(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072138
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】天井下地構造
(51)【国際特許分類】
E04B 9/14 20060101AFI20240520BHJP
E04B 9/22 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
E04B9/14 C
E04B9/22 D
E04B9/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182825
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】湯 正明
(72)【発明者】
【氏名】永松 英夫
(57)【要約】
【課題】施工現場において、天井面の位置調整が容易である。
【解決手段】天井下地構造15は、梁14に連結され、梁14に沿う前後方向3へ延出する第1ランナー37aと、梁14を挟んで第1ランナー37aと対向しており前後方向3へ延出する第2ランナー37bと、梁14の下方において第1ランナー37aと第2ランナー37bとの間に位置する下地金具23とを備える。下地金具23は、平板形状の板部70と、板部70の上面74から延びており左右方向2に離間する第1爪部80および第2爪部81とを備える。第1爪部80および第2爪部81は、第1ランナー37aと第2ランナー37bとの間において、第1ランナー37aおよび第2ランナー37bとそれぞれ当接して相互に近づく向きへ弾性変形しており、板部70は、第3壁49a,49bに当接している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁に連結され、上記梁に沿う第1方向へ延出する第1下地材と、
上記梁を挟んで上記第1下地材と対向しており、上記第1方向へ延出する第2下地材と、
上記梁の下方において上記第1下地材と上記第2下地材との間に位置する下地金具と、を備える天井下地構造であって、
上記下地金具は、
平板形状の板部と、
上記板部の主面から延びており上記第1方向に対して交差する第2方向に離間する第1爪部および第2爪部と、を備えており、
上記第1爪部および上記第2爪部は、上記第1下地材と上記第2下地材との間において、上記第1下地材および上記第2下地材とそれぞれ当接して相互に近づく向きへ弾性変形しており、
上記板部は、上記第1下地材および上記第2下地材の下面に当接している天井下地構造。
【請求項2】
上記板部は、上記第1下地材および上記第2下地材に対して締結具によって締結されている請求項1に記載の天井下地構造。
【請求項3】
上記第1下地材および上記第2下地材は、上記梁と接しており、且つ、上記第1下地材の一部および上記第2下地材の一部がそれぞれ、上記梁の下端よりも上方に位置している請求項1または2に記載の天井下地構造。
【請求項4】
上記板部と上記梁とは上下方向に離間する請求項1または2に記載の天井下地構造。
【請求項5】
上記板部に固定された天井ボードをさらに備えた請求項4に記載の天井下地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結金具によって下地材を連結する天井下地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の連結金具は、2つの野縁の間において各野縁の上面に上方水平片が掛けられ、各野縁の下面に下方水平片が当接して、2つの野縁を連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
野縁などの天井の下地材は梁を挟んで配置されることがある。梁と下地材とが近接していると、梁と野縁との間に前述された上方水平片を挿入する隙間がないため、前述された連結金具の構成が採用できない。梁の下方においても天井ボードをビス止めする必要があるので、従来は、梁の下方に平板形状の木材を貼り付けて、木材に対して天井ボードをビス止めしていた。しかしながら、木材の厚みが一定であるので、施工現場において、天井面の位置を微調整することが難しい。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、下地材が対向して配置された梁の下方に容易に取り付けられ、位置調整が可能な下地金具を備えた天井下地構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 請求項1は、梁に連結され、上記梁に沿う第1方向へ延出する第1下地材と、上記梁を挟んで上記第1下地材と対向しており、上記第1方向へ延出する第2下地材と、上記梁の下方において上記第1下地材と上記第2下地材との間に位置する下地金具と、を備える天井下地構造であって、上記下地金具は、平板形状の板部と、上記板部の主面から延びており上記第1方向に対して交差する第2方向に離間する第1爪部および第2爪部と、を備えており、上記第1爪部および上記第2爪部は、上記第1下地材と上記第2下地材との間において、上記第1下地材および上記第2下地材とそれぞれ当接して相互に近づく向きへ弾性変形しており、上記板部は、上記第1下地材および上記第2下地材の下面に当接している天井下地構造である。
【0007】
下地金具の第1爪部および第2爪部が第1下地材と第2下地材の間に挟まれるため、作業者は、下地金具を支える手間なく下地金具を第1下地材と第2下地材に容易に取り付けることができる。このため、天井面の位置調整を可能にするために、板部と梁下の間に下地となる木材を配置することなく天井下地構造を形成できる。
【0008】
(2) 請求項2は、上記板部は、上記第1下地材および上記第2下地材に対して締結具によって締結されている請求項1に記載の天井下地構造。
【0009】
天井下地構造を強固に形成できる。
【0010】
(3) 請求項3は、上記第1下地材および上記第2下地材は、上記梁と接しており、且つ、上記第1下地材の一部および上記第2下地材の一部がそれぞれ、上記梁の下端よりも上方に位置している請求項1または2に記載の天井下地構造。
【0011】
梁との間に隙間がない状態で第1下地材および第2下地材が配置される場合であっても、天井高を調整できる。
【0012】
(4) 請求項4は、上記板部と上記梁とは上下方向に離間する請求項1から3のいずれかに記載の天井下地構造。
【0013】
板部と梁下との間にスペースが確保されるため、天井高を高くできる。
【0014】
(5) 請求項5は、上記板部に固定された天井ボードをさらに備えた請求項1から4のいずれかに記載の天井下地構造。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工現場において、天井面の位置調整が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態にかかる天井下地構造15を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態にかかる下地金具23の平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す下地金具23のV-V断面図である。
【
図7】
図7(a)および(b)は、天井下地の施工方法を説明するための図である。
【
図8】
図8(a)および(b)は、天井下地の施工方法を説明するための図である。
【
図9】
図9(a)および(b)は、天井下地の施工方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0018】
以下では、建物10が建築された状態(
図1参照)を基準として上下方向1が定義される。上下方向1に直交する第1野縁21および第2野縁22が延出する方向が左右方向(第2方向の一例)2と定義される。上下方向1および左右方向2に直交する梁14が延出する方向が前後方向(第1方向の一例)3と定義される。
【0019】
[天井下地構造15]
図1に示される建物10は、木造軸組構造の住宅などである。
図1においては、建物10の1階部分が模式的に示されており、2階以上は省略されている。建物10において、基礎11に土台13が載置されており、土台13に複数の柱12が立てられている。複数の柱12のうち一部の柱12が梁14を支持している。梁14の下方には、天井下地構造15が位置する。土台13は根太16を支持しており、
図1には示されていないが、根太16上に床下地構造が位置する。なお、建物10に実際に使用される梁14等の建築資材は、通常、設計寸法とは誤差があり、施工現場において各部材と組み付け可能に寸法調整される。
【0020】
天井下地構造15は、2階9の床16aの下方に位置しており、梁14に設置されている。
図2、
図3に示されるように、天井下地構造15は、第1ランナー37aと、第2ランナー37bと、第1野縁21と、第2野縁22と、下地金具23と、を備えている。
【0021】
図2に示されるように、梁14は、前後方向3に沿って延びている。梁14は、上方を向く梁上面28と、下方を向く梁下面(梁14の下端の一例)29と、左方を向く梁左面30と、右方を向く梁右面31とを有している。梁下面29は建物10の床面19からの高さが設計寸法通りに一定にはならず、1階8における場所によって若干異なっている。梁左面30および梁右面31は平坦な面である。
【0022】
第1ランナー(第1下地材の一例)37aは、ビス20によって梁左面30に固定されている。第1ランナー37aは、梁14に沿って前後方向3に延出している。第1ランナー37aは、前後方向3から視て断面がU字形状の部材である。第1ランナー37aは、第1壁47aと、第2壁48aと、第3壁(第1下地材の下面の一例)49aとを有している。第1壁47aは、左右方向2および前後方向3に広がる。第1壁47aは、上下方向1に貫通する貫通孔(不図示)を有している。
【0023】
第1壁47aは、梁下面29よりも上方に位置している。第2壁48aは、第1壁47aの右端から下方に延出している。第2壁48aは、上下方向1および前後方向3に広がる。第2壁48aは、右方に向く面の上側部分が梁左面30に当接している。第3壁49aは、第2壁48aの下端から左方に延出している。第3壁49aは、第1壁47aと対向する。第3壁49aは、左右方向2および前後方向3に広がる。第3壁49aは、梁下面29よりも下方に位置している。
【0024】
第1野縁21は、第2壁48aの左方に位置する。第1野縁21は、左右方向2に延びており、梁14に対して交差している。第1野縁21は、前後方向3に複数並んでいる(
図1参照)。第1野縁21の右端59は、第2壁48aに接しており、上下方向1において第1壁47aと第3壁49aに挟まれている。第1野縁21には、下地金具23が固定された状態で、下方からビス18によって天井ボード17が固定されている。
【0025】
第1野縁21は、上方に位置する第1上壁55と、下方に位置する第1下壁56と、前方に位置する第1前壁57と、後方に位置する第1後壁58とを有している。第1上壁55と第1下壁56は、左右方向2および前後方向3に沿っている。第1上壁55と第1下壁56とは互いに対向している。第1前壁57および第1後壁58は、上下方向1および前後方向3に沿っている。第1前壁57および第1後壁58は互いに対向している。第1上壁55は、梁下面29よりも上方に位置しており、第1下壁56は、梁下面29よりも下方に位置している。
【0026】
第2ランナー(第2下地材の一例)37bは、ビス20によって梁右面31に固定されている。第2ランナー37bは、梁14に沿って前後方向3に延出している。第2ランナー37bは、前後方向3から視て断面がU字形状の部材である。第2ランナー37bは、第1壁47bと、第2壁48bと、第3壁(第2下地材の下面の一例)49bとを有している。第1壁47bは、左右方向2および前後方向3に広がる。第1壁47bは、上下方向1に貫通する貫通孔(不図示)を有している。
【0027】
第1壁47bは、梁下面29よりも上方に位置している。第2壁48bは、第1壁47bの左端から下方に延出している。第2壁48bは、上下方向1および前後方向3に広がる。第2壁48bは、左方に向く面の上側部分が梁右面31に当接している。第3壁49bは、第2壁48bの下端から右方に延出している。第3壁49bは、第1壁47bと対向する。第3壁49bは、左右方向2および前後方向3に広がる。第3壁49bは、梁下面29よりも下方に位置している。第2ランナー37bは、前後方向3に延びている。第1ランナー37aの第2壁48aと、第2ランナー37bの第2壁48bとは互いに平行であり、梁14を挟んで対向している。
【0028】
第2野縁22は、梁14の右方に位置する。第2野縁22は、左右方向2に延びており、梁14に対して交差している。第2野縁22は、前後方向3に複数並んでいる(不図示)。第2野縁22の左端64は、第2壁48bに接しており、上下方向1において第1壁47bと第3壁49bに挟まれている。第2野縁22には、下地金具23が固定された状態で、下方からビス18によって天井ボード17が固定されている。
【0029】
第2野縁22は、上方に位置する第2上壁60と、下方に位置する第2下壁61と、前方に位置する第2前壁62と、後方に位置する第2後壁63とを有している。第2上壁60と第2下壁61は、左右方向2および前後方向3に沿っている。第2上壁60と第2下壁61とは互いに対向している。第2前壁62および第2後壁63は、上下方向1および前後方向3に沿っている。第2前壁62と第2後壁63とは互いに対向している。第2上壁60は、梁下面29よりも上方に位置しており、第2下壁61は、梁下面29よりも下方に位置している。
【0030】
[下地金具]
図2に示されるように、下地金具23は、第1ランナー37aと第2ランナー37bとの間に位置し、第1野縁21と第2野縁22とを連結する。下地金具23は、梁下面29から間隔を隔てて下方に位置する。下地金具23は、平板を曲げ加工して形成されている。下地金具23は、下方から天井ボード17がビス18によって固定される。
図5、
図6に示されるように、下地金具23は、板部70と、側部73と、第1爪部80と、第2爪部81と、を備えている。
【0031】
板部70は、下地金具23の左右方向2における中央に位置する。板部70は、梁下面29の下方に位置し、梁下面29に対向する。板部70は、平板形状である。板部70の左右方向2における寸法D1は、梁14の左右方向2における寸法D2よりも大きい(
図2参照)。板部70は、主部87と、第1延部88と、第2延部89と、第3延部90と、第4延部91とを有している。主部87は、上下方向1から視て矩形形状である。主部87は、前後方向3よりも左右方向2に長い。
【0032】
第1延部88は、板部70の前側から左方に延出している。第1延部88には、前後方向3における中央位置であって左右方向2における左寄りの位置において、第1孔94が上下方向1に貫通している。第1孔94には、第1延部88が第3壁49aに重なった状態においてビス101が締結される。
【0033】
第2延部89は、板部70の後側から左方に延出している。第2延部89は、第1延部88と左右方向2および前後方向3が同じ寸法である。第2延部89には、前後方向3における中央位置であって左右方向2における左寄りの位置において、第2孔95が上下方向1に貫通している。第2孔95には、第2延部89が第3壁49aに重なった状態においてビス101が締結される。
【0034】
第3延部90は、板部70の前側から右方に延出している。第3延部90には、前後方向3における中央位置であって左右方向2における右寄りの位置において、第3孔96が上下方向1に貫通している。第3孔96には、第3延部90が第3壁49bに重なった状態においてビス101が締結される。第3延部90は、板部70の左右方向2における中央を基準に、第1延部88と対象形状である。
【0035】
第4延部91は、板部70の後側から右方に延出している。第4延部91は、第3延部90と左右方向2および前後方向3が同じ寸法である。第4延部91には、前後方向3における中央位置であって左右方向2における右寄りの位置において、第4孔97が上下方向1に貫通している。第4延部91は、板部70の左右方向2における中央を基準に、第2延部89と対象形状である。第4孔97には、第4延部91が第3壁49bに重なった状態においてビス101が締結される。側部73は、板部70の前方端および後方端から上方に向かって延出している。
【0036】
第1爪部80は、板部70における前後方向3の中央、且つ左端に位置している。第1爪部80は、板部70に対して揺動自在である。第1爪部80は、第1支持104と、第1接片105とを有している。第1支持104は、板部70において上方を向く上面(主面の一例)74から、左方に傾斜しつつ上方に延出している。第1接片105は、第1支持104の上端106から右方に傾斜しつつ上方に延出している。第1接片105は、左右方向2において第1支持104の上端106よりも左方に突出する第1突片107を有している。第1突片107は、第1接片105に沿っている。第1突片107は、下地金具23が第1ランナー37aと第2ランナー37bとの間に位置するときにおいて、第2壁48aに当接する(
図2参照)。
【0037】
第2爪部81は、板部70における前後方向3の中央、且つ右端に位置している。第2爪部81は、板部70に対して揺動自在である。第2爪部81は、第2支持110と、第2接片111とを有している。第2支持110は、上面74から右方に傾斜しつつ上方に延出している。つまり、第1支持104および第2支持110は、上面74から上方に延びるにしたがって、左右方向2において互いに離間する。第2接片111は、第2支持110の上端112から左方に傾斜しつつ上方に延出している。つまり、第1支持104および第2支持110は、上面74から上方に延びるにしたがって、左右方向2において互いに近づく。第2接片111は、左右方向2において第2支持110の上端112よりも右方に突出する第2突片113を有している。第2突片113は、第2接片111に沿っている。第2突片113は、下地金具23が第1ランナー37aと第2ランナー37bとの間に位置するときにおいて、第2壁48bに当接する。
【0038】
図2、
図6に示されるように、上面74における第1爪部80の基端部115と第2爪部81の基端部116との間の寸法D3は、第1ランナー37aの第2壁48aと第2ランナー37bの第2壁48bとの間の左右方向2における寸法(D2に等しい)よりも小さい。また、第1爪部80および第2爪部81が第1ランナー37aの第2壁48aと第2ランナー37bの間に嵌め込まれる前の状態において、第1突片107の左端118と第2突片113の右端119との間の寸法D4は、第1ランナー37aの第2壁48aと第2ランナー37bの第2壁48bとの間の左右方向2における寸法(D2に等しい)よりも大きい。
【0039】
[天井下地の施工方法]
以下において、下地金具23を用いた天井下地の施工方法について
図7から
図9を参照しつつ説明される。天井下地の施工方法では、まず、
図7(a)に示されるように、第1ランナー37aが梁14の梁左面30にビス20によって固定される。次に、
図7(b)に示されるように、第1ランナー37aに対して、第1野縁21の右端59が嵌め込まれる。このとき、第1ランナー37aに嵌め込まれた第1野縁21の右端59は、第2壁48aに当接する。第1野縁21は、梁14に交差する左右方向2が長手方向となる。
【0040】
図8(a)に示されるように、第2ランナー37bが梁14の梁右面31にビス20によって固定される。
図8(b)に示されるように、第2ランナー37bに対して、第2野縁22の左端64が嵌め込まれる。このとき、第2ランナー37bに嵌め込まれた第2野縁22の左端64は、第2壁48bに当接する。第2野縁22は、左右方向2が長手方向となり、梁14を挟んで第1野縁21に相対して位置する。
【0041】
図9(a)に示されるように、下地金具23が下方から第1ランナー37aと第2ランナー37bの間に設置される。具体的には、
図9(b)に示されるように、第1ランナー37aおよび第2ランナー37bの間に第1爪部80および第2爪部81が嵌め込まれて、下地金具23が第1接片105および第2接片111によって第1ランナー37aおよび第2ランナー37bの間に保持される。この状態で、第1孔94、第2孔95、第3孔96、および第4孔97にそれぞれビス101が締結され、下地金具23が第1ランナー37aおよび第2ランナー37bに固定され、板部70において下方に向く下面75に天井ボード17がビス18によって固定される(
図2参照)。
【0042】
梁14に対する第1ランナー37aおよび第2ランナー37bの上下方向1の固定位置を調整することで天井面25の上下方向1における調整が可能である。
【0043】
[実施形態の作用効果]
下地金具23は、第1爪部80および第2爪部81が梁14を挟んで相対する第1ランナー37aと第2ランナー37bの間に挟持される。作業者は施工の際に下地金具23を支えることなく第1ランナー37aおよび第2ランナー37bにビス101止めして容易に取り付けることができる。このため、天井面25の位置調整を可能にするために、板部70と梁下面29の間に下地となる木材を配置することなく天井下地構造15を形成できる。
【0044】
本実施形態では、板部70を第1ランナー37aおよび第2ランナー37bに対してビス101固定することによって、天井下地を強固に形成できる。
【0045】
本実施形態では、梁14との間に隙間がない状態で第1ランナー37aおよび第2ランナー37bが配置される場合であっても、梁下面29と下地金具23との間にスペースがあることで、天井面25を上下方向1に移動して天井高を調整できる。
【0046】
本実施形態では、板部70と梁下面29との間にスペースが確保されるため、天井高を高くできる。
【0047】
[変形例]
上述の実施形態においては、下地金具23が第1野縁21および第2野縁22にビス101によって固定される場合を例にあげて説明したが、これに限らない。下地金具23は、第1ランナー37aの第3壁49aおよび第2ランナー37bの第3壁49bに対して粘着材によって固定されてもよい。
【0048】
上述の実施形態においては、板部70が、第1延部88、第2延部89、第3延部90、および第4延部91を有している場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。板部70は、第1野縁21および第2野縁22を連結できればよく、第1ランナー37aおよび第2ランナー37bに対してそれぞれ1箇所で固定されてもよい。
【0049】
上述の実施形態においては、建物10が2階建てである場合を例にあげて説明したが、これに限らない。建物10は1階建てであってもよいし、3階建て以上であってもよい。
【0050】
上述の実施形態においては、梁14が木製である場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。梁14は、H型鋼、I型鋼などの鋼製であってもよい。
【0051】
上述の実施形態においては、板部70が平板形状である場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。板部70は、上面74において座屈強度を高める目的で溝を有していてもよい。溝は、例えば、左右方向2に沿うものであってもよい。
【0052】
[請求項1]
梁に連結され、上記梁に沿う第1方向へ延出する第1下地材と、
上記梁を挟んで上記第1下地材と対向しており、上記第1方向へ延出する第2下地材と、
上記梁の下方において上記第1下地材と上記第2下地材との間に位置する下地金具と、を備える天井下地構造であって、
上記下地金具は、
平板形状の板部と、
上記板部の主面から延びており上記第1方向に対して交差する第2方向に離間する第1爪部および第2爪部と、を備えており、
上記第1爪部および上記第2爪部は、上記第1下地材と上記第2下地材との間において、上記第1下地材および上記第2下地材とそれぞれ当接して相互に近づく向きへ弾性変形しており、
上記板部は、上記第1下地材および上記第2下地材の下面に当接している天井下地構造。
【0053】
[請求項2]
上記板部は、上記第1下地材および上記第2下地材に対して締結具によって締結されている請求項1に記載の天井下地構造。
【0054】
[請求項3]
上記第1下地材および上記第2下地材は、上記梁と接しており、且つ、上記第1下地材の一部および上記第2下地材の一部がそれぞれ、上記梁の下端よりも上方に位置している請求項1または2に記載の天井下地構造。
【0055】
[請求項4]
上記板部と上記梁とは上下方向に離間する請求項1または2に記載の天井下地構造。
【0056】
[請求項5]
上記板部に固定された天井ボードをさらに備えた請求項4に記載の天井下地構造。
【符号の説明】
【0057】
14・・・梁
15・・・天井下地構造
17・・・天井ボード
23・・・下地金具
29・・・梁下面(梁の下端)
37a・・・第1ランナー(第1下地材)
37b・・・第2ランナー(第2下地材)
49a・・・第3壁(第1下地材の下面)
49b・・・第3壁(第2下地材の下面)
70・・・板部
74・・・上面(主面)
80・・・第1爪部
81・・・第2爪部
101・・・ビス(締結具)