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特開2024-72156太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造
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  • 特開-太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造 図1
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  • 特開-太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造 図12
  • 特開-太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造 図13
  • 特開-太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造 図14
  • 特開-太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造 図15
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072156
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20240520BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240520BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182858
(22)【出願日】2022-11-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】522447554
【氏名又は名称】株式会社アイシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100122242
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 多香子
(72)【発明者】
【氏名】石川修
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK04
2E108KS05
2E108LL01
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で安価かつ容易に太陽電池モジュールを屋根に取り付けることができ、止水も可能な太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造を提供する。
【解決手段】太陽電池モジュールPを支持するための支持部材1と、太陽電池モジュールPを支持部材2に対して保持させるための保持部材3とを有し、支持部材2は、野地板Nに固定される長尺の基部4と、基部4の短手方向中央部に長手方向に沿って設けられ、太陽電気モジュールPの側面を囲うための囲いパーツ部7と、基部4の両端部近傍に長手方向に沿って立設された立設部6とを有し、立設部6は保持部材3と太陽電池モジュールPとの隙間から侵入した雨水が野地板Nに流出するのを防止する堤防として機能し、保持部材3は、隣り合う太陽電池モジュールP同士の隙間を蓋った状態で太陽電池モジュールP端部を押さえつけるようにして囲いパーツ部7に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地板に複数の太陽電池モジュールを取り付けるための太陽電池モジュールの取付具であって、
前記太陽電池モジュールを支持するための支持部材と、
前記太陽電池モジュールを前記支持部材に対して保持させるための保持部材とを有し、
前記支持部材は、前記野地板に固定される長尺の基部と、
前記基部の短手方向中央部に長手方向に沿って設けられ、前記太陽電気モジュールの側面側を囲うための囲いパーツ部と、
前記基部の両端部近傍に長手方向に沿って立設された立設部とを有し、
前記立設部は、前記保持部材と前記太陽電池モジュールとの隙間から侵入した雨水が前記野地板に流出するのを防止する堤防として機能し、
前記保持部材は、隣り合って配置される前記太陽電池モジュール同士の隙間を蓋った状態で、前記太陽電池モジュール端部を押さえつけるようにして前記囲いパーツ部に固定されることを特徴とする太陽電池モジュールの取付具。
【請求項2】
前記囲いパーツ部は、前記太陽電池モジュールを前記立設部により支持したときに、前記囲いパーツ部の頂部が、前記太陽電池モジュールの上面と同じ高さか、それよりも低くなるような高さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項3】
前記囲いパーツ部の側面には、前記立設部が設けられている方向に向けて突設され、前記太陽電池モジュールを配置したときに前記太陽電池モジュールの側面に当接する当接部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項4】
前記基部の少なくとも上面は、前記立設部から前記囲いパーツ部に向けて低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項5】
前記基部は、層構造を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項6】
前記支持部材は、長手方向の端面が長手方向側面視において斜めに形成されていることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具を用いて前記太陽電池モジュールを前記野地板に取り付ける太陽電池モジュールの取付構造であって、
前記支持部材からなり、前記野地板の傾斜方向に沿って所定の間隔で複数配置される傾斜方向支持部材と、
前記支持部材からなり、前記傾斜方向支持部材の間に軒先と平行する方向に沿って所定の間隔で複数配置される平行方向支持部材とを有し、
前記平行方向支持部材は、その長手方向両端部が前記傾斜方向支持部材の前記立設部に載置された状態で前記野地板に固定され、
前記太陽電池モジュールは、その側面を前記傾斜方向支持部材および前記平行方向支持部材の前記囲いパーツ部により囲われるとともに、前記平行方向支持部材の前記立設部に載置された状態で配置されることを特徴とする太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項8】
ケラバ近傍、軒先近傍または棟近傍に1つまたは複数設けることで、前記ケラバ端、前記軒先端または前記棟までの距離を調整するための調整部材を有することを特徴とする請求項7に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項9】
前記ケラバ側面または前記軒先側面を覆う側面覆い部と、前記側面覆い部に延設され、前記ケラバの端部上面または前記軒先の端部上面を覆うとともに前記調整部材から前記ケラバ端または前記軒先端までの距離を微調整しながら前記調整部材に固定する微調整部微調整部とを有する端部被覆部材を有し、
前記微調整は、前記調整部材の上面に前記微調整部を固定するときに、前記微調整部の前記調整部材との重なり量を調整することにより行われることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項10】
前記ケラバに設置される前記端部被覆部材は、棟から前記軒先までの長さに応じて複数設置され、
隣接して設置される前記端部被覆部材同士の継ぎ目部分の下には、前記継ぎ目部分から侵入した雨水を受ける雨水受け部材が設置され、
前記雨水受け部材の水下側端部には前記雨水を受け流す樋部材が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項11】
前記樋部材の前記ケラバ端側とは反対側の端部から流れ落ちる前記雨水を受け、最も近い前記傾斜方向支持部材の前記立設部の内側に導く補助樋を有し、
前記補助樋は、板状の雨水誘導部と、前記雨水誘導部の一端に設けられ前記雨水誘導部を前記立設部に係止させるための係止片と、前記雨水誘導部の他端側に設けられ前記雨水誘導部を前記基部に支持させる支持片とを有することを特徴とする請求項10に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項12】
換気棟を有し、前記換気棟を前記調整部材の上面に固定するときに、前記換気棟の前記調整部材との重なり量を調整することにより、前記調整部材から前記棟までの距離を微調整することを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根に太陽電池モジュールを取り付けるための太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建築物の屋根の上の空間を利用して、自然エネルギーである太陽光を有効に活用する太陽熱温水器や太陽光発電システムで利用する太陽電池モジュールを屋根の上に載置する住宅が増えている。この太陽光発電システムとは、太陽電池モジュールを利用して発電し、余った電力は電力会社に売り、夜間や発電量が少ない雨の日などは電力会社から購入するシステムであり、省エネルギー効果に加えて経済的メリットもあり、広く普及している。
【0003】
屋根に太陽光発電システムで利用する太陽電池モジュールを設置する場合、大きくわけると3通りの方法がある。一つめは、太陽電池モジュール用架台を屋根に取り付け、該架台に太陽電池モジュールを設置する方法(例えば、特許文献1参照)、二つめは、スレート瓦タイプの平坦瓦やアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板等の屋根葺き材に太陽電池モジュールを設けた太陽電池一体型屋根葺き材を屋根として葺く方法(例えば、特許文献2,3参照)、三つめは、太陽電池モジュールを屋根下地材に屋根葺き材の代わりに直接葺く方法(例えば、特許文献4参照)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-40462号公報
【特許文献2】特開平5-55618号公報
【特許文献3】特開2004-3336号公報
【特許文献4】特開平10-46770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の設置方法では、屋根葺き材に架台を設置するため、屋根葺き材を痛めるという問題があった。また、屋根葺き材の上に架台を設置し、その上に太陽電池モジュール取り付けるため重みにより耐震性が低下するという問題もあった。特許文献2,3の設置方法では、屋根葺き材に太陽電池モジュールを設けるため工数がかかるという問題があった。また、屋根葺き材と太陽電池モジュールとでは寿命が異なるため、メンテナンス費用が高くなるという問題があった。
【0006】
特許文献4の設置方法は、上記問題を解決するものであるが、太陽電池モジュールが屋根葺き材としての役割も果たすことから、止水のために特殊な形状の部材が必要となり、部品点数が多くなったり価格が高くなったりするという問題があった。また、止水のために、設置時に特別な技術を要するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、少ない部品点数で安価かつ容易に太陽電池モジュールを屋根に取り付けることができ、止水も可能な太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による太陽電池モジュールの取付具は、野地板に複数の太陽電池モジュールを取り付けるための太陽電池モジュールの取付具であって、前記太陽電池モジュールを支持するための支持部材と、前記太陽電池モジュールを前記支持部材に対して保持させるための保持部材とを有し、前記支持部材は、前記野地板に固定される長尺の基部と、前記基部の短手方向中央部に長手方向に沿って設けられ、前記太陽電気モジュールの側面側を囲うための囲いパーツ部と、前記基部の両端部近傍に長手方向に沿って立設された立設部とを有し、前記立設部は、前記保持部材と前記太陽電池モジュールとの隙間から侵入した雨水が前記野地板に流出するのを防止する堤防として機能し、前記保持部材は、隣り合って配置される前記太陽電池モジュール同士の隙間を蓋った状態で、前記太陽電池モジュール端部を押さえつけるようにして前記囲いパーツ部に固定されることを特徴とする。
【0009】
また、上述の太陽電池モジュールの取付具は、前記囲いパーツ部が、前記太陽電池モジュールを前記立設部により支持したときに、前記囲いパーツ部の頂部が、前記太陽電池モジュールの上面と同じ高さか、それよりも低くなるような高さに形成されていることが好ましい。
【0010】
また、上述の太陽電池モジュールの取付具は、前記囲いパーツ部の側面には、前記立設部が設けられている方向に向けて突設され、前記太陽電池モジュールを配置したときに前記太陽電池モジュールの側面に当接する当接部が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、上述の太陽電池モジュールの取付具は、前記基部の少なくとも上面が、前記立設部から前記囲いパーツ部に向けて低くなるように傾斜していることが好ましい。
【0012】
上述の太陽電池モジュールの取付具は、前記基部が、層構造を有することが好ましい。
【0013】
また、上述の太陽電池モジュールの取付具は、前記支持部材の長手方向の端面が長手方向側面視において斜めに形成されていることが好ましい。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明による太陽電池モジュールの取付構造は、上述の太陽電池モジュールの取付具を用いて前記太陽電池モジュールを前記野地板に取り付ける太陽電池モジュールの取付構造であって、前記支持部材からなり、前記野地板の傾斜方向に沿って所定の間隔で複数配置される傾斜方向支持部材と、前記支持部材からなり、前記傾斜方向支持部材の間に軒先と平行する方向に沿って所定の間隔で複数配置される平行方向支持部材とを有し、前記平行方向支持部材は、その長手方向両端部が前記傾斜方向支持部材の前記立設部に載置された状態で前記野地板に固定され、前記太陽電池モジュールは、その側面を前記傾斜方向支持部材および前記平行方向支持部材の前記囲いパーツ部により囲われるとともに、前記平行方向支持部材の前記立設部に載置された状態で配置されることを特徴とする。
【0015】
上述の太陽電池モジュールの取付構造は、ケラバ近傍、軒先近傍または棟近傍に1つまたは複数設けることで、前記ケラバ端、前記軒先端または前記棟までの距離を調整するための調整部材を有することが好ましい。
【0016】
また、上述の太陽電池モジュールの取付構造は、前記ケラバ側面または前記軒先側面を覆う側面覆い部と、前記側面覆い部に延設され、前記ケラバの端部上面または前記軒先の端部上面を覆うとともに前記調整部材から前記ケラバ端または前記軒先端までの距離を微調整しながら前記調整部材に固定する微調整部とを有する端部被覆部材を有し、前記微調整は、前記調整部材の上面に前記微調整部を固定するときに、前記微調整部の前記調整部材との重なり量を調整することにより行われることが好ましい。
【0017】
また、上述の太陽電池モジュールの取付構造は、前記ケラバに設置される前記端部被覆部材は、棟から前記軒先までの長さに応じて複数設置され、隣接して設置される前記端部被覆部材同士の継ぎ目部分の下には、前記継ぎ目部分から侵入した雨水を受ける雨水受け部材が設置され、前記雨水受け部材の水下側端部には前記雨水を受け流す樋部材が設けられていることが好ましい。
【0018】
また、上述の太陽電池モジュールの取付構造は、前記樋部材の前記ケラバ端側とは反対側の端部から流れ落ちる前記雨水を受け、最も近い前記傾斜方向支持部材の前記立設部の内側に導く補助樋を有し、前記補助樋は、板状の雨水誘導部と、前記雨水誘導部の一端に設けられ前記雨水誘導部を前記立設部に係止させるための係止片と、前記雨水誘導部の他端側に設けられ前記雨水誘導部を前記基部に支持させる支持片とを有することが好ましい。
【0019】
また、上述の太陽電池モジュールの取付構造は、換気棟を有し、前記換気棟を前記調整部材の上面に固定するときに、前記換気棟の前記調整部材との重なり量を調整することにより、前記調整部材から前記棟までの距離を微調整することも好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る太陽電池モジュールの取付具、およびこれを用いた太陽電池モジュールの取付構造によれば、少ない部品点数で安価かつ容易に太陽電池モジュールを屋根に取り付けることができ、止水も良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を用いて太陽電池モジュールを取り付ける方法を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を用いて太陽電池モジュールを取り付ける方法を示す平面図である。
図4】(A)は、図2(A)におけるA-A´断面図であり、(B)は、図3(A)におけるA-A´断面図である。
図5】(A)は、図3(B)におけるA-A´断面図であり、(B)は、図3(B)におけるB-B´断面図である。
図6】(A)は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具の支持部材の長手方向端面の形状を示す斜視図であり、(B)は、太陽電池モジュールの取付具の支持部材を接ぎ合わせた部分を示す長手方向側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を用いて太陽電池モジュールを野地板に取り付けた太陽電池モジュールの取付構造を示す正面図である。
図8】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付構造の取付方法を示すケラバ側面図である。
図9】(A)は、図7におけるA-A´断面図であり、(B)は、図7におけるB-B´断面図である。
図10】(A)は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を用いて太陽電池モジュールを野地板に取り付けた太陽電池モジュールの取付構造における第一調整部材の変形例を示す断面図であり、(B)は、(A)と直行する方向における第一調整部材および調整部材用樋19の構造を示す断面図である。
図11】(A)は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を用いて太陽電池モジュールを野地板に取り付けた太陽電池モジュールの取付構造における軒先の納まりの変形例を示す断面図であり、(B)は、(A)における第二調整部材の配置状態を上方から見た説明図である。
図12】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を用いて太陽電池モジュールを野地板に取り付けた太陽電池モジュールの取付構造における軒先の納まりの他の変形例を示す断面図である。
図13】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を用いて太陽電池モジュールを野地板に取り付けた太陽電池モジュールの取付構造における棟の納まりを示す断面図である。
図14】(A)は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を用いて太陽電池モジュールを野地板に取り付けた太陽電池モジュールの取付構造における換気棟用補助樋の構造を示す断面図であり、(B)は、(A)における換気棟用補助樋を上方から見た説明図である。
図15】本発明の他の実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
本実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具1は、複数の太陽電池モジュールP(図5参照)を屋根葺き材が葺かれていない屋根下地材に設置するためのものであり、図1を参照して、太陽電池モジュールPを支持するための支持部材2と、隣り合って配置される太陽電池モジュールP同士の隙間を蓋うとともに太陽電池モジュールPを保持するための保持部材3とを有している。
【0024】
支持部材2は、野地板N(図4,5参照)に固定される長尺の基部4を有しており、基部4は本実施の形態においては、三層構造を有している。なお、野地板Nの上面には、図示しないルーフィングが張られていてもよい。最下層の第一層41は、長尺の平板形状を有している。第一層41の上方には第一層41と略同一の大きさの中間層である第二層42が設けられており、第二層42は、第一層41の短手方向両端に立設されてなる支柱部44により支持されている。第二層42の短手方向両端部近傍には第二層42の上面から立設されてなる立設部5が設けられており、第二層42における両立設部5の内側は、短手方向断面視において浅いV字形状を有している。
【0025】
第二層42の上方には、第二層42の両立設部5の内側と略同一の大きさの最上層である第三層43が設けられており、第三層43の短手方向両端は両立設部5にそれぞれ接続されている。第三層43は、第二層42の両立設部5の内側と同様に、短手方向断面視において浅いV字形状を有している。これにより、基部4の上面は、立設部5から後述の囲いパーツ部7に向けて低くなるように傾斜している。なお、本実施の形態においては、基部4を構成する第二層42および第三層43は、短手方向断面視において、それぞれ上面および下面がともに中央部に向けて低くなるように傾斜し、浅いV字形状に形成されているが、厚みを調整することにより上面のみ中央部に向けて低くなるように傾斜し下面は平坦となるように形成してもよい。
【0026】
第二層42における両立設部5の外側および当該部分と対向する第一層41の部分は、基部4を野地板Nに固定する基部固定部45となっており、基部4を野地板Nに固定する木ねじ9(図4,5、参照)を挿通するためのねじ孔(図示しない)が設けられている。基部4の基部固定部45より内側の部分は、保持部材3と太陽電池モジュールPとの隙間から侵入した雨水を軒先nから地上へ流すための樋部46となっている。第一層41と第二層42との間における、立設部5の下方であって立設部5より外側には、第一層41から立設され、基部固定部45と樋部46とを隔てる仕切り部6が、基部4の長手方向に沿って設けられている。
【0027】
基部4上面の短手方向中央部には、長手方向に沿って基部4底面に対して略垂直に、太陽電池モジュールPの側面を囲うための囲いパーツ部7が設けられている。囲いパーツ部7の側面には、立設部5が設けられている方向に向けて囲いパーツ部7から略垂直に突設され、太陽電池モジュールPを配置したときに太陽電池モジュールPの側面に当接する当接部8が、囲いパーツ部7の長手方向に沿って設けられている。
【0028】
保持部材3は、長尺の平板形状を有する平板部31を有しており、平板部31の中央部には長手方向に沿って、平板部31の強度を補強する補強部32が設けられている。保持部材3は、支持部材2に太陽電池モジュールPが配置された状態で、支持部材2の囲いパーツ部7に対してビス12(図3(B)、図7参照)で固定することにより、隣り合って配置される太陽電池モジュールP同士の隙間を蓋った状態で、太陽電池モジュールPを太陽電池モジュールPの端部上面から支持部材2に対して押さえつけるようになっている。
【0029】
支持部材2および保持部材3を構成する各部の大きさは特に限定されるものではないが、囲いパーツ部7は、太陽電池モジュールPを立設部5により支持したときに、囲いパーツ部7の頂部が、太陽電池モジュールPの上面と同じ高さか、それよりも低くなるような高さに形成されることが好ましい。すなわち、基部4底面から立設部5の頂部までの高さと基部4底面から囲いパーツ部7の頂部までの高さとの差が太陽電池モジュールPの厚みと同じ大きさか、またはそれよりも小さくなるように、囲いパーツ部7の高さが形成されることが好ましい。特に、基部4底面から立設部5の頂部までの高さと基部4底面から囲いパーツ部7の頂部までの高さとの差が、市販されている太陽電池モジュールで最も厚いものの厚みと同じ大きさか、またはそれよりも小さくなるようにしておけば、市販されている太陽電池モジュールに汎用的に用いることができる。
【0030】
また、立設部5の高さは特に限定されるものではない。保持部材3が、隣り合って配置される太陽電池モジュールP同士の隙間を蓋った状態で、太陽電池モジュールPを太陽電池モジュールPの端部上面から支持部材2に対して押さえつけるように固定されることから、隣り合って配置される太陽電池モジュールP同士の隙間から雨水が支持部材2内に流入するのを大幅に低減できるため、保持部材3と太陽電池モジュールPとの隙間から侵入する少量の雨水が野地板Nに流出するのを防止する堤防として機能する高さを有していればよい。例えば、立設部5の高さは、立設部5の基部4上面からの突出量が2mm以上となるようにすることが好ましいが、基部4が短手方向断面視においてV字形状を有する場合は、V字の深さによっては、立設部5は基部4上面から突出していなくてもよい。
【0031】
また、樋部46の囲いパーツ部7から立設部5までの長さは、特に限定されるものではないが、太陽電池モジュールPのフレーム(図示しない)とガラス(図示しない)との間から漏水があった場合に、その漏水も受けることができる長さとすることが好ましい。
【0032】
支持部材2および保持部材3を構成する各部の材質は特に限定はないが、アルミニウムなどの強度、耐食性、耐候性を備えた軽量な金属を用いることが好ましい。また、各部の形成方法についても特に限定はないが、押出成形を用いることが好ましい。
【0033】
次に、本実施の形態による太陽電池モジュールの取付具1を用いて、太陽電池モジュールPを野地板Nに取り付ける太陽電池モジュールPの取付け方法、および本実施の形態による太陽電池モジュールの取付具1を用いた太陽電池モジュールPの取付構造について、図2~9を参照して説明する。
【0034】
まず、図2(A)および図4(A)を参照して、屋根葺き材が葺かれていない屋根下地材の上面、すなわち野地板Nの上面または野地板Nに張られたルーフィングの上面に、野地板Nの傾斜方向に沿って支持部材2を配置し、支持部材2の基部固定部45に設けられた図示しないねじ孔に木ねじ9を挿通し、野地板Nに木ねじ9を螺着することにより、支持部材2を野地板Nに対して固定する。なお、野地板Nの傾斜方向に沿って配置された支持部材2を、本明細書においては傾斜方向支持部材2(21)と称する。
【0035】
傾斜方向支持部材2(21)は、一方のケラバkから他方のケラバkまで所定の間隔で配置される。傾斜方向支持部材2(21)の配置間隔は、太陽電池モジュールPが設置される領域においては、太陽電池モジュールPの設置したときに軒先nと平行になる辺の長さ(以下、本明細書において「長さ」という)に応じて決定される。具体的には、隣り合う傾斜方向支持部材2(21)の当接部8間の距離が、太陽電池モジュールPの長さと略同一なるように、傾斜方向支持部材2(21)を配置する。太陽電池モジュールPが設置されない領域においては、後述する第一調整部材11a(図7、参照)の設置したときに軒先nと平行になる辺の長さに応じて決定される。
【0036】
傾斜方向支持部材2(21)を配置する位置は、より具体的には、一方のケラバk端から他方のケラバk端まで長さに、太陽電池モジュールPを何個配置することができるかを求め、その個数分の太陽電池モジュールPを配置して余る長さに、後述する第一調整部材11aを何個配置することができるかを求め、さらにその個数分の第一調整部材11aを配置して余る長さを均等に2つに分けた長さ分を両ケラバk端からそれぞれ空けるようにして決定するとよい。例えば、屋根の軒先nと平行する長さが7000mm、太陽電池モジュールPの長さが1800mmである場合、屋根の軒先nと平行する方向には太陽電池モジュールPが3枚配置でき、余りが1600mmとなる。第一調整部材11aの長さが500mmである場合、この太陽電池モジュールPを配置できずに余った部分には、屋根の軒先nと平行する方向に第一調整部材11aを3個配置することができ、余りが100mmとなるため、50mmを両ケラバk端からそれぞれ空けるようにして、傾斜方向支持部材2(21)を配置していく。
【0037】
傾斜方向支持部材2(21)は、棟mから軒先nまでの距離と略同一の長さに予め形成されているか、複数本を継ぎ合わせることによって棟mから軒先nまでの距離と略同一の長さになるように構成されている。複数本を継ぎ合わせる場合は、図6を参照して、水上側に配置される側の端面が、長手方向側面視において上面側より下面側の方が短くなるように予め斜めに形成され、水下側に配置される側の端面が、長手方向側面視において上面側より下面側の方が長くなるように予め斜めに形成されている。継ぎ合わせる際は、図6(B)に示すように、一の傾斜方向支持部材2(21)の水上側端面uと他の傾斜方向支持部材2(21)の水下側端面dとを突き合わせ、一本の傾斜方向支持部材2(21)となるようにする。
【0038】
次に、図2(B)を参照して、傾斜方向支持部材2(21)の間の所定位置に、軒先nと平行する方向に沿って配置する支持部材2を安定して固定するための固定部材10を配置し、木ビス(図示しない)で野地板Nに対して固定する。固定部材10は、支持部材2の底面から立設部5の頂部までの高さと略同一の高さで、支持部材2の短手方向の幅と略同一の幅を有し、木材で形成されている。また、図示しない木ビスを挿通するためのねじ孔が設けられている。積雪や風の負荷が小さい地域では高さ調整材10は使わなくても良い。
【0039】
次に、図3(A)、図4(B)を参照して、固定部材10の上に支持部材2を軒先nと平行する方向に沿って載置し、その支持部材2の長手方向端部を傾斜方向支持部材2(21)の立設部5に載置するとともに長手方向端面を傾斜方向支持部材2(21)の当接部8に当接させるようにした状態で、支持部材2の基部固定部45に設けられた図示しないねじ孔に木ねじ9を挿通し、少なくとも固定部材10に木ねじ9を螺着することにより、固定部材10を介して支持部材2を野地板Nに対して固定する。なお、軒先nと平行する方向に沿って配置された支持部材2を、本明細書においては平行方向支持部材2(22)と称する。
【0040】
平行方向支持部材2(22)は、棟mから軒先nまで所定の間隔で配置される。平行方向支持部材2(22)は、太陽電池モジュールPの長さと略同一の長さに、予め成形されている。平行方向支持部材2(22)の配置間隔は、太陽電池モジュールPが設置される領域においては、太陽電池モジュールPの設置したときに野地板Nの傾斜方向と平行になる辺の長さ(以下、本明細書において「幅」という)に応じて決定される。具体的には、隣り合う平行方向支持部材2(22)の当接部8間の距離が、太陽電池モジュールPの幅と略同一となるように、平行方向支持部材2(22)を配置する。軒先n近傍の太陽電池モジュールPが設置されない領域においては、後述する第二調整部材11b(図7参照)の設置したときに傾斜方向と平行になる辺の長さに応じて決定される。
【0041】
平行方向支持部材2(22)を配置する位置は、例えば、棟mから軒先nまで長さに、太陽電池モジュールPを何個配置することができるかを求め、その個数分の太陽電池モジュールPを配置して余る長さに、後述する第二調整部材11bを何個配置することができるかを求め、さらにその個数分の第二調整部材11bを配置して余る長さを軒先n端から空けるようにして決定するとよい。
【0042】
次に、図3(A)を参照して、隣り合う傾斜方向支持部材2(21)および平行方向支持部材2(22)により形成された空間に太陽電池モジュールPを配置する。このとき、図5を参照して、太陽電池モジュールPは、軒先nと平行になる辺の端部が平行方向支持部材2(22)の立設部5に載置されるとともに、軒先nと平行になる辺の端面が平行方向支持部材2(22)の当接部8に当接され、傾斜方向と平行になる辺の端面が傾斜方向支持部材2(21)の当接部8に当接された状態で配置される。これにより、太陽電池モジュールPの側面は、平行方向支持部材2(22)および傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7により囲われた状態となっている。
【0043】
同様にして、ケラバk近傍や軒先n近傍においては、隣り合う傾斜方向支持部材2(21)および平行方向支持部材2(22)により形成された空間に調整部材11を配置する。調整部材11は、図7を参照して、ケラバkの端部までの距離を調整するための第一調整部材11aと、軒先nの端部までの距離を調整するための第二調整部材11bと、ケラバkと軒先nとが交差する部分においてケラバkの端部および軒先nの端部までの距離を調整するための第三調整部材11cとにより構成される。第一調整部材11aはその上面で、後述の端部被覆部材13aまたは端部被覆部材13cの微調整部132を受け端部被覆部材13aまたは端部被覆部材13cを固定させる役割を果たす。第二調整部材11bはその上面で、後述の端部被覆部材13dまたは端部被覆部材13eの微調整部132を受け端部被覆部材13dまたは端部被覆部材13eを固定させる役割を果たす。
【0044】
調整部材11は、直方体形状を有する。調整部材11の大きさは特に限定されるものではないが、第一調整部材11aは、太陽電池モジュールPの厚みおよび幅と略同一の厚みと幅を有し、太陽電池モジュールPの長さの1/4~1/2の長さであることが好ましく、略1/3の長さであることがより好ましい。第二調整部材11bは、太陽電池モジュールPの厚みおよび長さと略同一の厚みと長さを有し、太陽電池モジュールPの幅の1/4~1/2の幅であることが好ましく、略1/3の幅であることがより好ましい。第三調整部材11cは、太陽電池モジュールPの厚みと略同一の厚みを有し、太陽電池モジュールPの長さおよび幅のそれぞれ1/4~1/2の長さと幅であることが好ましく、略1/3の長さと幅であることがより好ましい。調整部材11の幅や長さが小さいと、調整部材11を配置する数が多くなり、これを支持する支持部材2も多く配置する必要がある。調整部材11の幅や長さが大きいと、後述する端部被覆部材13aの微調整部132の長さを大きくする必要がある。ただし、第一調整部材11aは、継ぎ目を減らす観点からは太陽電池モジュールPの幅の複数倍のものを用いることも好ましい。また、本実施の形態においては、調整部材11は直方体としたが、これに限定されるものではなく、端部被覆部材13を受ける面は矩形の平板形状を有し、立設部5に載置される面から端部被覆部材13を受ける面までの高さが太陽電池モジュールPの厚みと略同一であればよく、断面ロ字形状、断面コ字形状や断面エ字形状等とすることができる。
【0045】
調整部材11は、材料は特に限定されるものではないが、剛性、耐候性があり、軽量であることが好ましく、アルミニウムであることが好ましい。
【0046】
次に、図3(B)、図5を参照して、傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7の両側部に隣り合って配置された太陽電池モジュールP同士の隙間を蓋うようにして保持部材3の短手方向端部を太陽電池モジュールPの端部に載置し、保持部材3の短手方向中央部上面から傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7頂部に向けてビス12を螺入し、保持部材3を傾斜支持部材2に対して固定する。同様にして、ケラバk近傍においては、傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7の両側部に隣り合って配置された太陽電池モジュールPと調整部材11との隙間、または傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7の両側部に隣り合って配置された調整部材11同士の隙間を蓋うようにして保持部材3の短手方向端部を太陽電池モジュールPまたは調整部材11の端部に載置し、保持部材3の短手方向中央部上面から傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7頂部に向けてビス12を螺入し、保持部材3を傾斜支持部材2に対して固定する。
【0047】
傾斜方向支持部材2(21)に固定される保持部材3は、棟mから軒先nまでの距離と略同一の長さに予め形成されているか、複数本を継ぎ合わせることによって棟mから軒先nまでの距離と略同一の長さになるように構成されている。傾斜方向支持部材2(21)および保持部材3を複数本つなぎ合わせてから軒先nまでの距離と略同一の長さとする場合は、止水の観点から、保持部材3を傾斜方向支持部材2(21)に固定したときに傾斜方向支持部材2(21)の継ぎ目と保持部材3の継ぎ目とが重ならないように、1本の長さを調整することが好ましい。
【0048】
さらに、平行方向支持部材2(22)の囲いパーツ部7の両側部に隣り合って配置された太陽電池モジュールP同士の隙間を蓋うようにして保持部材3の短手方向端部を太陽電池モジュールPの端部に載置し、保持部材3の短手方向中央部上面から平行方向支持部材2(22)の囲いパーツ部7頂部に向けてビス12を螺入し、保持部材3を平行方向支持部材2(22)に対して固定する。同様にして、軒先n近傍においては、平行方向支持部材2(22)の囲いパーツ部7の両側部に隣り合って配置された太陽電池モジュールPと調整部材11との隙間、または平行方向支持部材2(22)の囲いパーツ部7の両側部に隣り合って配置された調整部材11同士の隙間を蓋うようにして保持部材3の短手方向端部を太陽電池モジュールPまたは調整部材11の端部に載置し、保持部材3の短手方向中央部上面から傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7頂部に向けてビス12を螺入し、保持部材3を傾斜支持部材2に対して固定する。以上のようにして、太陽電池モジュールPが支持部材2に支持された状態で保持される。平行方向支持部材2(22)に固定される保持部材3は、隣り合って配置された傾斜方向支持部材2(21)に固定された保持部材3内側の端部間の距離と略同一の長さに、予め成形されている。
【0049】
本実施形態の太陽電池モジュールの取付具1によれば、太陽電池モジュールPや調整部材11と保持部材3との隙間から平行方向支持部材2(22)内に侵入した雨水は、該平行方向支持部材2(22)の樋部46を伝って該平行方向支持部材2(22)が載置されている傾斜方向支持部材2(21)の方へ移動する。このとき、平行方向支持部材2(22)には立設部5が設けられおり、また樋部46は中央部に向けて傾斜しているため、雨水が平行方向支持部材2(22)の外に流れ出るのを防止することができる。そして、平行方向支持部材2(22)の樋部46を伝って平行方向支持部材2(22)の長手方向端部に到達した雨水は、該平行方向支持部材2(22)が載置されている傾斜方向支持部材2(21)の樋部46に落下する。平行方向支持部材2(22)から落下した雨水および太陽電池モジュールPや調整部材11との隙間から傾斜方向支持部材2(21)内に侵入した雨水は、該傾斜方向支持部材2(21)の樋部46を伝って軒先nから外へ排出される。
【0050】
このとき、傾斜方向支持部材2(21)の継ぎ目においては、傾斜方向支持部材2(21)の水上側に配置される側の端面uが、長手方向側面視において上面側より下面側の方が短くなるように予め斜めに形成され、水下側に配置される側の端面dが、長手方向側面視において上面側より下面側の方が長くなるように予め斜めに形成され、互いの端面u,dを突き合わせて配置されているため、水上側の上層の樋部46を伝ってきた雨水は、水下側の下層の樋部46で受けることができるため、雨水が継ぎ目から野地板Nに侵入することがない。また、最下層の第一層41において雨水を受けたときも、基部固定部45と樋部46とを隔てる仕切り部6が、立設部5の下方であって立設部5より外側に設けられているため、雨水が基部固定部45へ流れてねじ孔から野地板Nに侵入することがない。さらに、樋部46が中央部に向けて傾斜しており、立設部5が雨水に触れることがないため、傾斜方向支持部材2(21)の継ぎ目部分において、雨水が立設部5を伝って野地板Nに落下するのを防止することができる。
【0051】
以上のように、本実施形態の太陽電池モジュールの取付具1によれば、太陽電池モジュールPや調整部材11が配置されている箇所では、太陽電池モジュールPや調整部材11が屋根葺き材の役割を果たすので、屋根葺き材を葺く必要がないため、屋根葺き材を痛めることもなく、屋根葺き材分が軽量化できるので耐震性にも優れる。また、野地板Nの傾斜方向に沿って配置される支持部材2と軒先nと平行する方向に沿って配置された支持部材2とは、同一形状のものを用いることができるため、安価に製造することができ、設置も容易に行うことができる。さらに、屋根葺き材が葺かれていない屋根下地材の上面に支持部材2を設置し、太陽電池モジュールPを配置して保持部材3で固定するのみで、止水まですることができるため、屋根葺きの技術や止水のための部材を要することがなく、少ない部品点数で容易に太陽電池モジュールPを屋根に設置することができる。また、支持部材2や調整部材11等は汎用性が高く、安価かつ入手が容易な市販の汎用太陽電池モジュールを使用できるため、安価に太陽電池モジュールPを屋根に設置することができる
【0052】
次に、図7を参照して、本実施の形態による太陽電池モジュールの取付具1を用いた太陽電池モジュールPの取付構造においては、ケラバkは、複数の端部被覆部材13aにより覆われており、隣接して設置される端部被覆部材13a同士の継ぎ目部分の下には、継ぎ目部分から侵入した雨水を受ける雨水受け部材14が設置されている。
【0053】
端部被覆部材13aは、図9(A)を参照して、ケラバkの側面を覆う側面覆い部131と、側面覆い部131に延設され、ケラバkの端部上面を覆うとともに側面覆い部131を所定の位置に位置合わせしながら第一調整部材11aに固定する微調整部132とを有する。側面覆い部131および微調整部132は平板形状を有しており、互いに略垂直に形成されている。微調整部132の端部には、端部被覆部材13aの下に雨水受け部材14が配置されることにより生じる第一調整部材11aの上面との隙間を塞ぐため、雨水受け部材14の厚み分だけ第一調整部材11aが配置される側に向けて屈折させ第一調整部材11aに接するようにさせた隙間塞ぎ部133が設けられている。
【0054】
端部被覆部材13aの大きさは特に限定されるものではないが、側面覆い部131におけるケラバk側面の短手方向に対応する方向の長さが、一般的なケラバk水切りにおけるケラバk側面の短手方向に対応する方向の長さと同様の長さとなるように形成されていることが好ましい。また、微調整部132の軒先nと平行する方向の長さが、第一調整部材11aの長さの1/2よりも微調整部132を第一調整部材11aに固定する際の固定代分以上大きく、第一調整部材11aの長さより小さくなるように形成されていることが好ましい。例えば、第一調整部材11aの長さが500mmである場合、太陽電池モジュールPおよび第一調整部材11aを配置した余りの最大長さは500mmより小さくなるため、ケラバkの両端からそれぞれ250mm未満が余ることとなる。したがって、固定代も考慮して、微調整部132の軒先nと平行する方向の長さは300mm程度とすることが好ましい。
【0055】
また、端部被覆部材13aの軒先nと直行する方向の長さは、500~2000mmであることが好ましく、800~1200mmであることがさらに好ましい。さらに、端部被覆部材13aを棟mから軒先nまで配置していったときに端部被覆部材13aをもう一つ配置できずに余る部分に配置する調整用の端部被覆部材13cを設けることが好ましく、調整用の端部被覆部材13cは、軒先nと直行する方向の長さが、200~500mmであることが好ましい。端部被覆部材13aの軒先nと直行する方向の長さは、小さいと端部被覆部材13a同士の継ぎ目が多くなってしまい、大きいと端部被覆部材13aを棟mから軒先nまで配置していったときに余る部分が大きくなり、調整用の端部被覆部材13cが多く必要になってしまう。
【0056】
なお、ケラバkと軒先nの角部分に配置する角用の端部被覆部材13bについては、ケラバk側面を覆う側面覆い部131と軒先n側面を覆う側面覆い部131の両方を互いに略垂直になるように形成し、両側面覆い部131に対して略垂直に微調整部132を形成するようにするとよい。角用の端部被覆部材13bには、隙間塞ぎ部133は設けなくてよい。また、後述のように角用の端部被覆部材13bの上面に端部被覆部材13aを重ねて配置したときに、両者のケラバk側面の短手方向に対応する方向の長さが略同一となるように形成されている。角用の端部被覆部材13bの軒先nと平行する方向の長さは、端部被覆部材13aの隙間塞ぎ部133を除いた長さと略同一となるように形成されている。
【0057】
端部被覆部材13の素材は特に限定されるものではなく、一般に屋根の板金に用いられる素材を用いることができ、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板等を好適に用いることができる。
【0058】
雨水受け部材14は、隙間塞ぎ部133以外は端部被覆部材13aと同様に構成されており、側面覆い部141と微調整部142とを有し、雨水受け部材14の上面に端部被覆部材13aを重ねて配置したときに、両者のケラバk側面の短手方向に対応する方向の長さが略同一となるように形成されている。雨水受け部材14の軒先nと平行する方向の長さは、端部被覆部材13aの隙間塞ぎ部133を除いた長さと略同一となるように形成されている。雨水受け部材14の軒先nと直行する方向の長さは、端部被覆部材13aの継ぎ目から侵入した雨水が雨水受け部材14の水上側端部から屋根下地材へ滴下することがない長さであればよく、50~200mmであることが好ましく、70~120mmであることがさらに好ましい。また、雨水受け部材14の素材は、端部被覆部材13aと同様のものを用いることができる。
【0059】
図9(A),(B)を参照して、雨水受け部材14の配置されたときに屋根下地材上面に対向する面の水下となる側の端部には、雨水を受け流す樋部材15が設けられている。樋部材15は、断面コ字形状を有し雨水を受け流す樋本体部151と、樋本体部151に略垂直に延設され樋本体部151を雨水受け部材14に固定する固定部152とを有する。なお、樋本体部151の形状は、断面コ字形状に限定されるものではなく、断面U字形状、断面半円形状等であってもよい。樋部材15は、流水方向の一端は雨水受け部材14の配置されたときにケラバk側面に対向する面に突き当てるように設けられている。
【0060】
樋部材15の流水方向と直交する方向の長さは特に限定されるものではなく、通常は継ぎ目から侵入した雨水を受け流すことができる大きさであればよい。樋部材15の流水方向の長さは、第一調整部材11aの軒先nと平行する方向の長さ等との関係で適宜設定される。より具体的には、樋部材15の流水方向の長さは、最もケラバk端側に配置される支持部材2が、屋根の軒先nと平行方向の長さ、太陽電池モジュールPの長さ、第一調整部材11aの長さとの関係で、ケラバk端に最も近く配置される場合であっても、樋部材15が第一調整部材11aに干渉することのない長さに形成されている。
【0061】
樋部材15の素材は特に限定されるものではなく、一般的な樋に用いられる素材を用いることができ、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板、塩化ビニル等を好適に用いることができる。
【0062】
本実施の形態による太陽電池モジュールの取付具1を用いた太陽電池モジュールPの取付構造においては、図9(A)を参照して、最もケラバk端側に配置された傾斜方向支持部材2(21)の立設部5には、樋部材15のケラバk端側とは反対側の端部から落下する雨水を受け、立設部5の内側に導く補助樋16が係止されている。補助樋16は、板状の雨水誘導部161と、雨水誘導部161の一端から所定の角度で屈曲して延設され雨水誘導部161を立設部5に係止させるための係止片162と、雨水誘導部161の他端から所定の角度で屈曲して延設され補助樋16の重心を調整し補助樋16を立設部5に安定的に係止させるための重心調整部163と、重心調整部163の雨水誘導部161側とは反対側の端部から所定の角度で屈曲して延設され雨水誘導部161を基部4に支持させる支持片164とを有しており、断面が松葉形状に形成されている。重心調整部163は、雨水誘導部161と支持片164とが過度に鋭角に接しないように角度を調整するとともに、他の部分より肉厚にすることにより、重心が立設部5の外側(ケラバk端側)かつ屋根下地材方向に向かうように調整されている。
【0063】
補助樋16の流水方向の長さは、第一調整部材11aおよび樋部材15の軒先nと平行する方向の長さ等との関係で適宜設定される。より具体的には、補助樋16の流水方向の長さは、最もケラバk端側に配置される支持部材2が、屋根の軒先nと平行方向の長さ、太陽電池モジュールPの長さ、第一調整部材11aの長さとの関係で、ケラバk端から最も離れて配置される場合であっても、樋部材15から落下する雨水を受けることができる長さに形成されている。補助樋16の幅は、樋部材15の端部から落下する雨水を受けることができれば、特に限定されるものではないが、50~200mmであることが好ましく、70~120mmであることがさらに好ましい。補助樋16の素材は特に限定されるものではないが、アルミニウム、ステンレス、銅、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板等を好適に用いることができる。
【0064】
本実施の形態による太陽電池モジュールの取付具1を用いた太陽電池モジュールPの取付構造は、雨水受け部材14を支えるための支柱部材17を有していてもよい。支柱部材17は、平板形状を有しケラバk側面に当接されるケラバ側面当接部171と、ケラバ側面当接部171から略垂直に延設され屋根下地材上面に固定される屋根下地材固定部172と、屋根下地材固定部172から略垂直に延設され屋根下地材上面から雨水受け部材14へ立設される柱部173と、柱部173の先端に設けられ雨水受け部材14を雨水受け部材14の下面から支える支え部174とを有する。
【0065】
支柱部材17の素材は特に限定されるものではないが、アルミニウム、ステンレス、銅、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板、等を好適に用いることができる。
【0066】
また、本実施の形態による太陽電池モジュールの取付具1を用いた太陽電池モジュールPの取付構造においては、図7を参照して、軒先nは、複数の端部被覆部材13dにより覆われている。軒先nは、一般的に水切りが設けられているため、ケラバkのように、端部被覆部材13dの継ぎ目の下に雨水受け部材14を設置する必要はない。水切りが設けられていない場合には、ケラバkと同様に、端部被覆部材13dの継ぎ目の下に雨水受け部材14を設置するとよい。
【0067】
軒先nの端部被覆部材13dは、ケラバkの端部被覆部材13aと同様の構成を有している。軒先nの端部被覆部材13dは、隙間塞ぎ部133を設けなくてもよい。
【0068】
軒先nの端部被覆部材13dの大きさは特に限定されるものではないが、側面覆い部131における軒先n側面の短手方向に対応する方向の長さが、一般的な軒先n水切りにおける軒先n側面の短手方向に対応する方向の長さと同様の長さとなるように形成されていることが好ましい。また、微調整部132のケラバkと平行する方向の長さが、第二調整部材11bの幅の1/2よりも微調整部を第二調整部材11bに固定する際の固定代分以上大きく、第二調整部材11bの幅より小さくなるように形成されていることが好ましい。
【0069】
また、軒先nの端部被覆部材13dの軒先nと平行する方向の長さは、500~3000mmであることが好ましく、1000~2000mmであることがさらに好ましい。さらに、軒先nの端部被覆部材13dをケラバkの一端から他端まで配置していったときに端部被覆部材13dをもう一つ配置できずに余る部分に配置する調整用の端部被覆部材13eを設けることが好ましく、調整用の端部被覆部材13eは、軒先nと平行する方向の長さが、200~800mmであることが好ましい。
【0070】
次に、端部被覆部材13a等を設置する方法について、図7図9を参照して説明する。まず、図7,8(A)を参照して、ケラバkの軒先n側端部には、ケラバkの側面と軒先nの側面の両方を覆うことができる角用の端部被覆部材13bを設置する。端部被覆部材13bを設置する際は、ケラバkの側面と側面覆い部131との間、および軒先n側面と側面覆い部131との間に適切な隙間ができるように、微調整部132と第三調整部材11cとの重なり量を調整して、微調整部132を第三調整部材11cに対して図示しないビス等で固定する。
【0071】
そして、ケラバkの端部を蓋うための端部被覆部材13aを設置するのに先立って、隣接して設置される端部被覆部材13a同士の継ぎ目に相当する部分の屋根下地材上面に、雨水受け部材14を設置する。すなわち、屋根下地材上面の棟mから、端部被覆部材13aの軒先nと直行する方向の長さと同じ長さ毎に雨水受け部材14を設置していく。角用の端部被覆部材13bまでの残りの長さが、端部被覆部材13aの長さに満たない場合は、調整用の端部被覆部材13cの長さと同じ長さ毎に、角用の端部被覆部材13bまでの残りの長さが調整用の端部被覆部材13cの長さに満たなくなるまで、雨水受け部材14を設置する。雨水受け部材14を設置する際は、ケラバkの側面と雨水受け部材14の側面覆い部141との間に適切な隙間ができるように、雨水受け部材14の微調整部142と第一調整部材11aとの重なり量を調整して、微調整部132を第一調整部材11aに対して図示しないビス等で固定する。また、雨水受け部材14を設置したときに、雨水受け部材14に設けられた樋部材15の下方に位置する支持部材2の基部4には、予め補助樋16を立設部5に係止させておく。ケラバk端から支持部材2までの距離によっては、樋部材15から直接支持部材2の樋部46で雨水を受けることが可能な場合もあるが、補助樋16を必ず設けるようにすれば、補助樋16を設置するのを忘れたり、誤差等により実際には樋部材15から直接支持部材2の樋部46で雨水を受けることができなかったりして、樋部材15からの雨水が屋根下地材に落下してしまうのを防止することができる。なお、支持部材2がケラバk端に接近して設置される場合は、補助樋16が雨水受け部材14の側面覆い部141に干渉するが、補助樋16には重心調整部163が設けられているため、補助樋16は支持部材2の立設部5から外れることなく、立設部5および基部4との接点を起点として先端部分が上方に逃げることができるので問題はない。
【0072】
次に、図8(B),(C)を参照して、棟mの上端から順に端部被覆部材13aを設置していく。端部被覆部材13aを設置する際は、ケラバkの側面と端部被覆部材13aの側面覆い部131との間に適切な隙間ができるように、端部被覆部材13aの微調整部132と第一調整部材11aとの重なり量を調整して、微調整部132を第一調整部材11aに対して図示しないビス等で固定する。これにより、端部被覆部材13aの継ぎ目部分においては、雨水受け部材14の上に端部被覆部材13aが重なるようにして設置される。なお、最も軒先n端に近い位置に配置される端部被覆部材13aまたは調整用の端部被覆部材13cは、その先端部が角用の端部被覆部材13bに重ねられて設置される。端部被覆部材13aの微調整部132と第一調整部材11aとの重なり量は、屋根の長さに応じて異なる。このように、第一調整部材11aを設置する個数と、第一調整部材11aと端部被覆部材13aの重なり量の調整により、第一調整部材11aと端部被覆部材13aを種々の長さの屋根に汎用的に用いることができる。また、設置現場で第一調整部材11aや端部被覆部材13aを屋根の長さに応じて切断する等の処理が必要ないため、容易に設置することができる。
【0073】
本実施例の太陽電池モジュールPの取付構造によれば、端部被覆部材13aと端部被覆部材13aとの隙間から侵入した雨水は、雨水受け部材14で受けられ、雨水受け部材14を伝って水下側に設けられた樋部材15に受けられ、一部の雨水は、側面覆い部141の方へ移動し側面覆い部141を伝って外へ排出される。また、一部の雨水は、支持部材2側へ移動して落下し、補助樋16を介するか、直接支持部材2の樋部46に流入して軒先nから外へ排出される。なお、第一調整部材11aと端部被覆部材13aや雨水受け部材14との隙間から侵入した雨水は、該第一調整部材11aを支持する支持部材2の樋部46で直接受けられる。
【0074】
次に、図7を参照して、ケラバkの端部被覆部材13aと同様にして、軒先nの端部を蓋うための端部被覆部材13dをケラバkの一端から順に設置する。他端側最端部に配置される調整用の端部被覆部材13eは、その手前の端部被覆部材13dに重ねられて設置される。この重なり量は、屋根の長さに応じて異なる。なお、調整用の端部被覆部材13eは、ケラバの端部被覆部材13aと同様に隙間塞ぎ部を有している。
【0075】
このように、本実施形態の太陽電池モジュールPの取付構造によれば、ケラバkや軒先nの板金による止水技術を要することなく、少ない部品点数で容易にケラバkや軒先nの止水を行うことができる。
【0076】
なお、上述の本実施形態の太陽電池モジュールPの取付構造では、ケラバk近傍においては、隣り合う傾斜方向支持部材2(21)および平行方向支持部材2(22)により形成された空間に第一調整部材11aを配置するようにしたが、図10を参照して、ケラバk近傍には平行方向支持部材2(22)を設置することなく、軒先から棟まで第一調整部材11a’の端面tと11a’の端面t同士を突き合わせるようにして配置してもよい。第一調整部材11a’は、図10(A)に示すように、当接部8の上面に載置するようにしてもよい。この場合、第一調整部材11a’の厚みは、当接部8の上面位置から保持部材3の下面位置までの垂直距離と略同一、すなわち太陽電池モジュールPの厚みより立設5の上面位置から当接部8の上面位置までの垂直距離分小さい。また、第一調整部材11a’ 図10(A)に示すように、内部を中空とした断面ロ字形状であることが好ましく、さらに、第一調整部材11a’の底面(野地板N側に向けて配置される面)を当接部8に載置する部分を除いて解放面としてもよい。
【0077】
第一調整部材11a’の底面(野地板N側に向けて配置される面)の一端部には、第一調整部材11a’の端面同士の隙間から侵入した雨水を受け、傾斜方向支持部材2(21)の樋部46の最上層である第三層43に流すための調整部材用樋19が設けられている。調整部材用樋19は、断面コ字形状を有し雨水を受け流す樋本体部191と、樋本体部191に略垂直に延設され樋本体部191を第一調整部材11a’に固定する固定部192とを有する。なお、樋本体部191の形状は、断面コ字形状に限定されるものではなく、断面U字形状、断面半円形状等であってもよい。樋本体部191は、第一調整部材11a’の端面から突出するように設けられている。
【0078】
上述の第一調整部材11a’は、当接部8の上面に載置するようにしたが、傾斜方向支持部材2(21)の立設部5の上面に載置するようにしてもよい。この場合、第一調整部材の内部を中空とし、上面の内部側面の一端部に調整部材用樋19を設けるとよい。また、第一調整部材の底面(立設部8に載置される面は、少なくとも調整部材用樋19の端部から雨水が落下する位置よりも当接部8に当接される面側の方が低くなるように傾斜を設けるとよい。これにより、調整部材用樋19の端部から落下した雨水は、第一調整部材の底面の傾斜を伝って、第一調整部材の端面同士の隙間から傾斜方向支持部材2(21)の樋部46の最上層である第三層43に落下する。
【0079】
また、上述の本実施形態の太陽電池モジュールPの取付構造では、軒先nの端部被覆部材13eはケラバkの端部被覆部材13aと同様にしたが、図11に示すように、端部被覆部材13e’を設置した際に、側面覆い部131’が地面に対して垂直に近くなるように、微調整部132’を側面覆い部131’に対して垂直より大きな所定の角度で設けてもよい。また、上述の本実施形態の太陽電池モジュールPの取付構造では、第二調整部材11bは、隣り合う傾斜方向支持部材2(21)および平行方向支持部材2(22)により形成された空間に1つ配置するようにしたが、長さが太陽電池モジュールPの幅の1/4~1/2程度で幅が150~300mm程度の第二調整部材11b’を隣合う平行方向支持部材2(22)の立設部5の上面に第二調整部材11b’の長手方向両端部をそれぞれ載置して、軒先nと平行する方向に例えば300mm程度のピッチで複数本配置するようにしてもよい。この場合、第二調整部材11b’を受け台として、第二調整部材11b’の上面アルミニウムなどの金属板20を配置し、金属板20の上面端部を保持部材3で押さえつけるようにして、保持部材3を支持部材2に対してビス12で固定するとよい。その後、軒先n側面と側面覆い部131’との間に適切な隙間ができるように、微調整部132’と第二調整部材11b’との重なり量を調整して、微調整部132’を第二調整部材11b’に対してビス12’で固定する。
【0080】
また、上述の本実施形態の太陽電池モジュールPの取付構造では、棟mと軒先nとの間に太陽電池モジュールPを配置して余る長さの調整を軒先n側で行ったが、棟m側で行ってもよい。この場合、軒先n側は、図12に示すように、端部被覆部材13d’ ’を用いて軒先n側から納めるとよい。端部被覆部材13d’ ’は、側面覆い部131’と、端部被覆部材13d’ ’を設置した際に、側面覆い部131’が地面に対して垂直に近くなるように側面覆い部131’ に対して垂直より大きな所定の角度で設けられ、軒先nの上面を覆う上面覆い部133と、上面覆い部133に略垂直に設けられ当接部8に当接される当接面134と、当接面134に略垂直に設けられ立設部5の上面に載置される載置面135とを有する。上面覆い部133の下面であって側面覆い部131’の近傍には、軒先nと平行する方向に沿って囲いパーツ部7の幅と略同一の幅で突出した補強部136が設けられていることが好ましい。
【0081】
端部被覆部材13d’ ’を設置するときは、端部被覆部材13d’ ’を軒先n側面と側面覆い部131’との間に適切な隙間ができるように配置したときに、補強部136に対応する位置に囲いパーツ部7がくるように傾斜方向支持部材2(21)を設置するとともに、当接面134が当接部8に当接するように別の傾斜方向支持部材2(21)を設置した後、端部被覆部材13d’ ’の当接面134を当接部8に当接させた状態で載置面135を立設部5に載置し、上面覆い部133の上面であって当接面134側の端部を保持部材3で押さえつけるようにして、保持部材3を支持部材2に対してビス12で固定し、補強部材136の上方からビス12を螺入して上面覆い部133を支持部材2に対して固定する。
【0082】
次に、棟mと軒先nとの間に太陽電池モジュールPを配置して余る長さの調整を切り妻屋根の棟m側で行う方法について説明する。まず、軒先n側での調整に用いる第二調整部材11bと同様の調整部材(図示しない)を棟m近傍の太陽電池モジュールPを配置して余った箇所に配置する。その後、図13を参照して、当該調整部材の上面および囲いパーツ部7上に換気棟30を配置する。このとき、棟mと換気棟30の頂部の位置が合うように、換気棟30と調整部材との重なり量を調整して、換気棟30を調整部材に対してビス(図示しない)で固定する。これにより、調整部材から棟mまでの距離が微調整される。すなわち、調整部材から棟mまでの距離が大きい場合は、換気棟30と調整部材との重なり量を小さくすればよく、調整部材から棟mまでの距離が小さい場合は、換気棟30と調整部材との重なり量を大きくすればよいため、調整部材と換気棟30を用いることで、種々の長さの屋根に対して調整が可能である。
【0083】
換気棟30は、4つの同形の換気棟パーツ31を組み合わせてなる。換気棟パーツ31は、平板状のベース部32を有し、ベース部32には、3枚の防風壁33が垂直に設けられている。また、ベース部32の先端には内側に向けて鋭角に先端壁34が設けられている。換気棟パーツ31の大きさは特に限定されるものではないが、長さが傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7の中央から隣の傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7の中央までの距離と同一の長さまたはその2倍の長さであることが好ましい。 また、換気棟パーツ31の幅は180~320mm、高さは15~28mmであることが好ましい。
【0084】
次に、換気棟30の組み立て方法について説明する。まず、一の換気棟パーツ31の内側2つの防風壁33の先端に短冊状の金属板35の一の面を当接して、ベース部32の外側面から金属板35に対してビス36を螺入し換気棟パーツ31に金属板35を固定する。次に、この金属板35の他の面に他の換気棟パーツ31の内側2つの防風壁33を一の換気棟パーツ31の防風壁33と互い違いになるように載置し、ベース部32の外側面から金属板35に対してビス36を螺入し換気棟パーツ31に金属板35を固定することで、一の換気棟パーツ31と他の換気棟パーツ31とが、金属板35を介して結合される。2つの換気棟パーツ31は、先端壁34が互いに相手の換気棟パーツ31の外側の防風壁33よりも外側に位置するように結合されている。同様にして、残りの2つの換気棟パーツ31を結合させる。2つの換気棟パーツ31を組み合わせた2組の結合部品は、棟m上方で、先端壁34同士を突き合わせた状態で、棟mを隔てて両斜面に配置される。換気棟30は、2つの換気棟パーツ31を防風壁33が互い違いになるように組み合わせているため、強風に対しては防風壁33が邪魔になり強風時の雨の侵入を防ぐことができ、一方で、弱い気流には邪魔にならないので風を流すことができる。
【0085】
ここで、換気棟30は、さらに、換気棟用樋37を有している。換気棟用樋37は、2組の換気棟パーツ31の結合部品を配置したときに、棟m上方で突き合わされた先端壁34の外側の面に沿って取り付けられる1対の取付面371と、断面V字形状を有する換気棟用樋本体部372とを有し、1対の取付面371の一端と換気棟用樋本体部372の端部とがそれぞれ連結されている。なお、換気棟用樋本体部372の形状は、断面V字形状に限定されることなく、断面U字形状であってもよいし、断面半円形状であってもよい。換気棟用樋37は、換気棟パーツ31の長さと同じ長さを有する。
【0086】
2組の換気棟パーツ31の結合部品は、先端壁34を棟m上方で突き合わされた状態で先端壁34に換気棟用樋37の取付面371をビス(図示しない)等で固定することで、互いに結合されるとともに、換気棟用樋37が取り付けられる。これにより、棟m上方で突き合わされた先端壁34同士の隙間から侵入した雨水は、換気棟用樋本体部372で受けられる。
【0087】
また、換気棟30の長さ方向の端部に対応する位置に配置された傾斜方向支持部材2(21)には、換気棟用樋37で受けられ換気棟用樋37の長手方向両端部から落下する雨水を受けて傾斜方向支持部材2(21)の樋部46の最上層である第三層43に流すための換気棟用補助樋40が取り付けられている。このとき、傾斜方向支持部材2(21)と棟mとの間に、換気棟用補助樋40を支持するための支持用傾斜方向支持部材2’を配置するとよい。支持用傾斜方向支持部材2’は、傾斜方向支持部材2(21)と同一形状の部材を長手方向の長さを短く切断したものである。
【0088】
換気棟用補助樋40は、図14を参照して、断面W字形状の長尺形状を有している。換気棟用補助樋40の一端部であって断面W字形状の中央頂部には切欠き部41が設けられており、傾斜方向支持部材2(21)の囲いパーツ部7の側面を両側から挟持できるようになっている。また、換気棟用補助樋40の長手方向所定の位置であって断面W字形状の中央頂部には、支持用傾斜方向支持部材2’の囲いパーツ部7’を挿通させて嵌合するための嵌合孔42が設けられている。換気棟用補助樋40は、傾斜方向支持部材2(21)と支持用傾斜方向支持部材2’との間の換気棟30同士の隙間から侵入した雨水も受け流すことができる。
【0089】
換気棟30の各部材および換気棟用補助樋40は、アルミニウムなどの金属で構成されていることが好ましい。
【0090】
次に、図10を参照して、本発明による太陽電池モジュールの取付具の他の実施形態について、説明する。上述の第一の実施形態による太陽電池モジュールの取付具1と同一の符号を付したものは、第一の実施形態による太陽電池モジュールの取付具1と同様の構成を有している。
【0091】
本実施形態に係る太陽電池モジュールの取付具100は、太陽電池モジュールPを支持するための支持部材200と、隣り合って配置される太陽電池モジュールP同士の隙間を蓋うとともに太陽電池モジュールPを保持するための保持部材3とを有している。
【0092】
支持部材200は、野地板Nに固定される長尺の基部400を有しており、基部400は本実施の形態においては、二層構造を有している。第一層410は、長尺の平板形状を有している。第一層410の上方には第一層410と略同一の大きさで平板形状を有する第二層420が設けられており、第二層420は、第一層410の短手方向両端に立設されてなる支柱部44により支持されている。第二層420の短手方向両端部近傍には第二層420の上面から立設されてなる立設部5が設けられている。第二層420における両立設部5の外側および当該部分と対向する第一層410の部分は、基部400を野地板Nに固定する基部固定部45となっており、基部400を野地板Nに固定する木ねじ9を挿通するためのねじ孔(図示しない)が設けられている。なお、支持部材200を傾斜方向支持部材として配置する際に複数本を継ぎ合わせることを想定していない場合、すなわち棟mから軒先nまでの距離と略同一の長さに予め形成することのみを想定している場合は、基部400は複数層設ける必要はなく、一層のみで構成してもよい。
【0093】
基部400の基部固定部45より内側の部分は、保持部材3と太陽電池モジュールPとの隙間から侵入した雨水を軒先nから地上へ流すための樋部460となっている。第一層410と第二層420との間であって、立設部5の下方であって立設部5より外側には、第一層410から立設され、基部固定部45と樋部460とを隔てる仕切り部6が、基部400の長手方向に沿って設けられている。
【0094】
基部400の短手方向中央部には、長手方向に沿って基部400に対して略垂直に、太陽電池 モジュールPの側面側を囲うための囲いパーツ部7が設けられている。囲いパーツ部7の側面には、立設部5が設けられている方向に向けて囲いパーツ部7から略垂直に突設され、太陽電池モジュールPを配置したときに太陽電池モジュールPの側面に当接する当接部8が、囲いパーツ部7の長手方向に沿って設けられている。
【0095】
本実施形態による太陽電池モジュールの取付具100を用いた太陽電池モジュールPの野地板Nへの取付け方法は、上述の第一の実施形態の太陽電池モジュールの取付具1を用いた太陽電池モジュールPの野地板Nへの取付け方法と同様である。ただし、傾斜方向支持部材2(21)の継ぎ目においては、水上側の傾斜方向支持部材2(21)の第二層420から落下する雨水が第一層410の継ぎ目から屋根下地材上面に侵入することがないように、雨水を受ける受け皿18が設置される。受け皿18は、薄板形状を有する板ばねにより構成されており、平状態にもどろうとする力に抗して両端部から力を加えて撓ませ第一層410と第二層420との間に挿通し、仕切り部6の上部に外方向に付勢した状態で取り付けることにより第一層410と第二層420との間に固定される。
【0096】
本実施形態の太陽電池モジュールの取付具100によれば、太陽電池モジュールPや調整部材11と保持部材3との隙間から平行方向支持部材2(22)内に侵入した雨水は、該平行方向支持部材2(22)の樋部460を伝って該平行方向支持部材2(22)が載置されている傾斜方向支持部材2(21)の方へ移動する。このとき、平行方向支持部材2(22)には立設部5が設けられているため、雨水が平行方向支持部材2(22)の外に流れ出るのを防止することができる。そして、平行方向支持部材2(22)の樋部460を伝って平行方向支持部材2(22)の長手方向端部に到達した雨水は、該平行方向支持部材2(22)が載置されている傾斜方向支持部材2(21)の樋部460に落下する。平行方向支持部材2(22)から落下した雨水および太陽電池モジュールPや調整部材11との隙間から傾斜方向支持部材2(21)内に侵入した雨水は、該傾斜方向支持部材2(21)の樋部460を伝って軒先nから外へ排出される。このとき、傾斜方向支持部材2(21)の継ぎ目においては、水上側の上層(第二層420)の樋部460を伝ってきた雨水は、第二層420と第一層410の間に設けられた受け皿18で受けられ、水下側の下層(第一層41)の樋部460へ流れるため、継ぎ目から雨水が屋根下地材へ侵入することはない。
【0097】
本実施形態の太陽電池モジュールの取付具100によれば、上述の第一の実施形態による太陽電池モジュールの取付具1と同様に、太陽電池モジュールPや調整部材11が配置されている箇所では、太陽電池モジュールPや調整部材11が屋根葺き材の役割を果たすので、屋根葺き材を葺く必要がないため、屋根葺き材を痛めることもなく、屋根葺き材分が軽量化できるので耐震性にも優れる。また、野地板Nの傾斜方向に沿って配置される支持部材200と軒先nと平行する方向に沿って配置された支持部材200とは、同一形状のものを用いることができるため、安価に製造することができ、設置も容易に行うことができる。さらに、屋根葺き材が葺かれていない屋根下地材上面に支持部材200を設置し、太陽電池モジュールPを配置して保持部材3で固定するのみで、止水まですることができるため、屋根葺きの技術や止水のための部材を要することがなく、少ない部品点数で容易に太陽電池モジュールPを屋根に設置することができる。また、支持部材200や調整部材11等は汎用性が高く、安価かつ入手が容易な市販の汎用太陽電池モジュールを使用できるため、安価に太陽電池モジュールPを屋根に設置することができる
【0098】
上述の第一の実施形態による太陽電池モジュールの取付具1を用いた太陽電池モジュールPの取付構造において、第一の実施形態による太陽電池モジュールの取付具1に替えて本実施形態の太陽電池モジュールの取付具100を用いることができる。
【0099】
なお、上述の第二の実施形態による太陽電池モジュールの取付具100では、基部400を2層構造で構成したが、継ぎ目を設けない場合は、第一層410、支柱部44、仕切り部6を設けることなく、第二層420のみの一層で構成してもよい。また、平行方向支持部材2(22)の基部400のみを一層で構成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1,100:太陽電池モジュールの取付具
2,200:支持部材
3:保持部材
4,400:基部
41,441:第一層
42,442:第二層
43,443:第三層
45:基部固定部
46,460:樋部
5:立設部
7:囲いパーツ部
8:当接部
11:調整部材
11a:第一調整部材
11b:第二調整部材
11c:第三調整部材
13:端部被覆部材
131:側面覆い部
132:微調整部
14:雨水受け部材
15樋部材
16補助樋
P:太陽電池モジュール
N:野地板
n:軒先
m:棟
k:ケラバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地板に複数の太陽電池モジュールを取り付けるための太陽電池モジュールの取付具であって、
前記太陽電池モジュールを支持するための支持部材と、
前記太陽電池モジュールを前記支持部材に対して保持させるための保持部材とを有し、 前記支持部材は、前記野地板に固定される長尺の基部と、
前記基部の短手方向中央部に長手方向に沿って設けられ、前記太陽電気モジュールの側面側を囲うための囲いパーツ部と、
前記基部の短手方向両端部近傍に長手方向に沿って立設された立設部とを有し、
前記立設部は、前記保持部材と前記太陽電池モジュールとの隙間から侵入した雨水が前記野地板に流出するのを防止する堤防として機能し、
前記立設部は、前記太陽電池モジュールを支持する機能を有するとともに、他の前記支持部材の前記基部を載置する機能を有し、
前記保持部材は、隣り合って配置される前記太陽電池モジュール同士の隙間を蓋った状態で、前記太陽電池モジュール端部を押さえつけるようにして前記囲いパーツ部に固定されることを特徴とする太陽電池モジュールの取付具。
【請求項2】
前記囲いパーツ部は、前記太陽電池モジュールを前記立設部により支持したときに、前記囲いパーツ部の頂部が、前記太陽電池モジュールの上面と同じ高さか、それよりも低くなるような高さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項3】
前記囲いパーツ部の側面には、前記立設部が設けられている方向に向けて突設され、前記太陽電池モジュールを配置したときに前記太陽電池モジュールの側面に当接する当接部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項4】
前記基部の少なくとも上面は、前記立設部から前記囲いパーツ部に向けて低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項5】
前記基部は、層構造を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項6】
前記支持部材は、長手方向の端面が長手方向側面視において斜めに形成されていることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具を用いて前記太陽電池モジュールを前記野地板に取り付ける太陽電池モジュールの取付構造であって、
前記支持部材からなり、前記野地板の傾斜方向に沿って所定の間隔で複数配置される傾斜方向支持部材と、
前記支持部材からなり、前記傾斜方向支持部材の間に軒先と平行する方向に沿って所定の間隔で複数配置される平行方向支持部材とを有し、
前記平行方向支持部材は、その長手方向両端部が前記傾斜方向支持部材の前記立設部に載置された状態で前記野地板に固定され、
前記太陽電池モジュールは、その側面を前記傾斜方向支持部材および前記平行方向支持部材の前記囲いパーツ部により囲われるとともに、前記平行方向支持部材の前記立設部に載置された状態で配置されることを特徴とする太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項8】
ケラバ近傍、軒先近傍または棟近傍に1つまたは複数設けることで、前記ケラバ端、前記軒先端または前記棟までの距離を調整するための調整部材を有することを特徴とする請求項7に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項9】
前記ケラバ側面または前記軒先側面を覆う側面覆い部と、前記側面覆い部に延設され、前記ケラバの端部上面または前記軒先の端部上面を覆うとともに前記調整部材から前記ケラバ端または前記軒先端までの距離を微調整しながら前記調整部材に固定する微調整部微調整部とを有する端部被覆部材を有し、
前記微調整は、前記調整部材の上面に前記微調整部を固定するときに、前記微調整部の前記調整部材との重なり量を調整することにより行われることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項10】
前記ケラバに設置される前記端部被覆部材は、棟から前記軒先までの長さに応じて複数設置され、
隣接して設置される前記端部被覆部材同士の継ぎ目部分の下には、前記継ぎ目部分から侵入した雨水を受ける雨水受け部材が設置され、
前記雨水受け部材の水下側端部には前記雨水を受け流す樋部材が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項11】
前記樋部材の前記ケラバ端側とは反対側の端部から流れ落ちる前記雨水を受け、最も近い前記傾斜方向支持部材の前記立設部の内側に導く補助樋を有し、
前記補助樋は、板状の雨水誘導部と、前記雨水誘導部の一端に設けられ前記雨水誘導部を前記立設部に係止させるための係止片と、前記雨水誘導部の他端側に設けられ前記雨水誘導部を前記基部に支持させる支持片とを有することを特徴とする請求項10に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項12】
換気棟を有し、前記換気棟を前記調整部材の上面に固定するときに、前記換気棟の前記調整部材との重なり量を調整することにより、前記調整部材から前記棟までの距離を微調整することを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地板に複数の太陽電池モジュールを取り付けるための太陽電池モジュールの取付具であって、
前記太陽電池モジュールを支持するための支持部材と、
前記太陽電池モジュールを前記支持部材に対して保持させるための保持部材とを有し、 前記支持部材は、前記野地板に固定される長尺の基部と、
前記基部の短手方向中央部に長手方向に沿って設けられ、前記太陽電池モジュールの側面側を囲うための囲いパーツ部と、
前記基部の短手方向両端部近傍に長手方向に沿って立設された立設部とを有し、
前記立設部は、前記保持部材と前記太陽電池モジュールとの隙間から侵入した雨水が前記野地板に流出するのを防止する堤防として機能し、
前記立設部は、前記太陽電池モジュールを支持する機能を有するとともに、他の前記支持部材の前記基部を載置する機能を有し、
前記保持部材は、隣り合って配置される前記太陽電池モジュール同士の隙間を蓋った状態で、前記太陽電池モジュール端部を押さえつけるようにして前記囲いパーツ部に固定されることを特徴とする太陽電池モジュールの取付具。
【請求項2】
前記囲いパーツ部は、前記太陽電池モジュールを前記立設部により支持したときに、前記囲いパーツ部の頂部が、前記太陽電池モジュールの上面と同じ高さか、それよりも低くなるような高さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項3】
前記囲いパーツ部の側面には、前記立設部が設けられている方向に向けて突設され、前記太陽電池モジュールを配置したときに前記太陽電池モジュールの側面に当接する当接部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項4】
前記基部の少なくとも上面は、前記立設部から前記囲いパーツ部に向けて低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項5】
前記基部は、層構造を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項6】
前記支持部材は、長手方向の端面が長手方向側面視において斜めに形成されていることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュールの取付具。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの取付具を用いて前記太陽電池モジュールを前記野地板に取り付ける太陽電池モジュールの取付構造であって、
前記支持部材からなり、前記野地板の傾斜方向に沿って所定の間隔で複数配置される傾斜方向支持部材と、
前記支持部材からなり、前記傾斜方向支持部材の間に軒先と平行する方向に沿って所定の間隔で複数配置される平行方向支持部材とを有し、
前記平行方向支持部材は、その長手方向両端部が前記傾斜方向支持部材の前記立設部に載置された状態で前記野地板に固定され、
前記太陽電池モジュールは、その側面を前記傾斜方向支持部材および前記平行方向支持部材の前記囲いパーツ部により囲われるとともに、前記平行方向支持部材の前記立設部に載置された状態で配置されることを特徴とする太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項8】
ケラバ近傍、軒先近傍または棟近傍に1つまたは複数設けることで、前記ケラバ端、前記軒先端または前記棟までの距離を調整するための調整部材を有することを特徴とする請求項7に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項9】
前記ケラバ側面または前記軒先側面を覆う側面覆い部と、前記側面覆い部に延設され、前記ケラバの端部上面または前記軒先の端部上面を覆うとともに前記調整部材から前記ケラバ端または前記軒先端までの距離を微調整しながら前記調整部材に固定する微調整部とを有する端部被覆部材を有し、
前記微調整は、前記調整部材の上面に前記微調整部を固定するときに、前記微調整部の前記調整部材との重なり量を調整することにより行われることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項10】
前記ケラバに設置される前記端部被覆部材は、棟から前記軒先までの長さに応じて複数設置され、
隣接して設置される前記端部被覆部材同士の継ぎ目部分の下には、前記継ぎ目部分から侵入した雨水を受ける雨水受け部材が設置され、
前記雨水受け部材の水下側端部には前記雨水を受け流す樋部材が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項11】
前記樋部材の前記ケラバ端側とは反対側の端部から流れ落ちる前記雨水を受け、最も近い前記傾斜方向支持部材の前記立設部の内側に導く補助樋を有し、
前記補助樋は、板状の雨水誘導部と、前記雨水誘導部の一端に設けられ前記雨水誘導部を前記立設部に係止させるための係止片と、前記雨水誘導部の他端側に設けられ前記雨水誘導部を前記基部に支持させる支持片とを有することを特徴とする請求項10に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項12】
換気棟を有し、前記換気棟を前記調整部材の上面に固定するときに、前記換気棟の前記調整部材との重なり量を調整することにより、前記調整部材から前記棟までの距離を微調整することを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの取付構造。