IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

特開2024-72166インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法
<>
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図1
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図2
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図3
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図4
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図5
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図6
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図7
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図8
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図9
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図10
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図11
  • 特開-インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072166
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
B25B21/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182869
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 智哉
(57)【要約】
【課題】ハンマケースの内部に存在する潤滑剤の漏出を抑制すること。
【解決手段】インパクト工具は、ロータを有するモータと、ロータにより回転される打撃機構と、打撃機構により打撃されるアンビルと、開口を有するハンマケースと、ハンマケースの内部においてハンマケースに固定され、アンビルを支持するアンビルベアリングと、ハンマケースの内部においてアンビルベアリングとアンビルとの間に配置されるシール部材と、開口に面するように配置され、シール部材を前方から支持可能な支持部材と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータを有するモータと、
前記ロータにより回転される打撃機構と、
前記打撃機構により打撃されるアンビルと、
開口を有するハンマケースと、
前記ハンマケースの内部において前記ハンマケースに固定され、前記アンビルを支持するアンビルベアリングと、
前記ハンマケースの内部において前記アンビルベアリングと前記アンビルとの間に配置されるシール部材と、
前記開口に面するように配置され、前記シール部材を前方から支持可能な支持部材と、を備え、
前記支持部材の内径は、前記開口の内径よりも小さい、
インパクト工具。
【請求項2】
前記支持部材は、前記シール部材と対向する、
請求項1に記載のインパクト工具。
【請求項3】
前記支持部材は、前記アンビルの周囲の少なくとも一部に配置される、
請求項1に記載のインパクト工具。
【請求項4】
前記支持部材は、前記アンビルの周囲に配置されるワッシャを含む、
請求項3に記載のインパクト工具。
【請求項5】
前記シール部材の少なくとも一部は、前記アンビルに接触し、
前記支持部材は、前記アンビルから離れている、
請求項1に記載のインパクト工具。
【請求項6】
前記支持部材は、前記ハンマケース及びアンビルベアリングの少なくとも一方に固定される、
請求項1に記載のインパクト工具。
【請求項7】
前記支持部材は、前記アンビルベアリングと前記ハンマケースの一部とに前後方向から挟まれる、
請求項6に記載のインパクト工具。
【請求項8】
前記シール部材は、前記アンビルベアリングに支持される、
請求項1に記載のインパクト工具。
【請求項9】
ロータを有するモータと、
前記ロータにより回転される打撃機構と、
前記打撃機構により打撃されるアンビルと、
前記アンビルの一部及び前記打撃機構を収容し、前記アンビルが配置される開口を有するハンマケースと、
前記ハンマケースの内部において前記ハンマケースに固定され、前記アンビルを支持するアンビルベアリングと、
前記ハンマケースの内部において前記アンビルベアリングと前記アンビルとの間に配置され、前記アンビルベアリングにより抜け止め保持されるシール部材と、
前記開口の内径よりも小さい内径を有し、前記シール部材を支持する支持部材と、を備える、
インパクト工具。
【請求項10】
第1アンビルシャフト部と、第1ハンマケースと、前記第1アンビルシャフト部と前記第1ハンマケースとの間に設けられる第1アンビルベアリングと、前記第1ハンマケースとは別の支持部材により抜け止めされる第1シール部材と、を有する第1インパクトレンチと、
前記第1アンビルシャフト部の外径よりも大きい外径の第2アンビルシャフト部と、前記第1ハンマケースと、前記第2アンビルシャフト部と前記第1ハンマケースとの間に設けられる第2アンビルベアリングと、第1ハンマケースにより抜け止めされる第2シール部材と、を有する第2のインパクトレンチと、インパクトレンチの同一メーカーで製造する、
インパクトレンチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、インパクト工具及びインパクトレンチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インパクト工具に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなインパクトレンチが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-187700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インパクト工具は、打撃機構により打撃されるアンビルと、アンビルの少なくとも一部及び打撃機構を収容するハンマケースとを備える。ハンマケースの内部に存在する潤滑剤がハンマケースの前端部の開口から漏出する可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、ハンマケースの内部に存在する潤滑剤の漏出を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、インパクト工具を開示する。インパクト工具は、ロータを有するモータと、ロータにより回転される打撃機構と、打撃機構により打撃されるアンビルと、開口を有するハンマケースと、ハンマケースの内部においてハンマケースに固定され、アンビルを支持するアンビルベアリングと、ハンマケースの内部においてアンビルベアリングとアンビルとの間に配置されるシール部材と、開口に面するように配置され、シール部材を前方から支持可能な支持部材と、を備えてもよい。支持部材の内径は、開口の内径よりも小さくてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、ハンマケースの内部に存在する潤滑剤の漏出が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るインパクト工具を示す右前方からの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るインパクト工具を示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係るインパクト工具の上部を示す縦断面図である。
図4図4は、実施形態に係るインパクト工具の上部を示す横断面図である。
図5図5は、実施形態に係るインパクト工具の一部を拡大した縦断面図である。
図6図6は、実施形態に係るインパクト工具を示す右前方からの分解斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
図8図8は、実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
図9図9は、実施形態に係るアンビルを前方から見た図である。
図10図10は、実施形態に係るアンビルの一部を拡大した図である。
図11図11は、実施形態に係る第2インパクトレンチの一部を拡大した縦断面図である。
図12図12は、その他の実施形態に係るインパクト工具の一部を拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、ロータを有するモータと、ロータにより回転される打撃機構と、打撃機構により打撃されるアンビルと、開口を有するハンマケースと、ハンマケースの内部においてハンマケースに固定され、アンビルを支持するアンビルベアリングと、ハンマケースの内部においてアンビルベアリングとアンビルとの間に配置されるシール部材と、開口に面するように配置され、シール部材を前方から支持可能な支持部材と、を備えてもよい。支持部材の内径は、開口の内径よりも小さくてもよい。
【0010】
上記の構成では、シール部材により、ハンマケースの内部に存在する潤滑剤がハンマケースの開口を介してハンマケースの外部に漏出することが抑制される。また、シール部材により、ハンマケースの外部の異物がハンマケースの開口を介してハンマケースの内部に侵入することが抑制される。支持部材により、ハンマケースの開口からシール部材が抜けることが抑制される。また、支持部材の内径は、ハンマケースの内径よりも小さいので、支持部材により、潤滑剤の漏出及び異物の侵入が抑制される。また、例えばハンマケースの開口の大きさが変更されても、ハンマケースの開口の大きさの変更に合わせて支持部材を変更するだけで、シール部材が抜けることを抑制され、潤滑剤の漏出及び異物の侵入が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、支持部材は、シール部材と対向してもよい。
【0012】
上記の構成では、支持部材は、ハンマケースの開口からシール部材が抜けることを抑制することができる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、支持部材は、アンビルの周囲の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0014】
上記の構成では、支持部材は、シール部材を安定して支持することができる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、支持部材は、アンビルの周囲に配置されるワッシャを含んでもよい。
【0016】
上記の構成では、ワッシャはシール部材と均一な力で接触することができるので、シール部材に局所的に大きい力が加わることが抑制される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、シール部材の少なくとも一部は、アンビルに接触してもよい。支持部材は、アンビルから離れてもよい。
【0018】
上記の構成では、支持部材がアンビルから離れているので、アンビルは円滑に回転することができる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、支持部材は、ハンマケース及びアンビルベアリングの少なくとも一方に固定されてもよい。
【0020】
上記の構成では、支持部材とハンマケースとアンビルベアリングとの相対位置の変化が抑制される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、支持部材は、アンビルベアリングとハンマケースの一部とに前後方向から挟まれてもよい。
【0022】
上記の構成では、支持部材とハンマケースとアンビルベアリングとの相対位置の変化が抑制される。また、インパクト工具を組み立てやすい。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、シール部材は、アンビルベアリングに支持されてもよい。
【0024】
上記の構成では、支持部材とアンビルベアリングとの相対位置の変化が抑制される。
【0025】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、インパクト工具1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。インパクト工具1は、動力源としてモータ6を有する。
【0026】
実施形態において、モータ6の回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0027】
回転軸AXは、前後方向に延びる。軸方向一方側は、前方であり、軸方向他方側は、後方である。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。
【0028】
[インパクト工具]
図1は、実施形態に係るインパクト工具1を示す右前方からの斜視図である。図2は、実施形態に係るインパクト工具1を示す側面図である。図3は、実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す縦断面図である。図4は、実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す横断面図である。図5は、実施形態に係るインパクト工具1の一部を拡大した縦断面図である。図6は、実施形態に係るインパクト工具1を示す右前方からの分解斜視図である。
【0029】
実施形態において、インパクト工具1は、インパクトレンチである。インパクト工具1は、ハウジング2と、ハンマケース4と、カバー3と、モータ6と、減速機構7と、スピンドル8と、打撃機構9と、アンビル10と、ファン12と、バッテリ装着部13と、トリガレバー14と、正逆転切換レバー15と、操作表示部16と、ライト17と、シール部材70と、支持部材80とを備える。
【0030】
ハウジング2は、合成樹脂製である。実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lの右方に配置される右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。
【0031】
ハウジング2は、モータ収容部21と、グリップ部22と、バッテリ保持部23とを有する。
【0032】
モータ収容部21は、モータ6を収容する。モータ収容部21とハンマケース4とは、複数のねじ2Tにより固定される。
【0033】
グリップ部22は、作業者に握られる。グリップ部22は、モータ収容部21から下方に延びる。トリガレバー14は、グリップ部22の上部に設けられる。
【0034】
バッテリ保持部23は、バッテリ装着部13を介してバッテリパック25を保持する。バッテリ保持部23は、グリップ部22の下端部に接続される。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、バッテリ保持部23の外形の寸法は、グリップ部22の外形の寸法よりも大きい。
【0035】
モータ収容部21は、吸気口19と、排気口20とを有する。排気口20は、吸気口19よりも前方に設けられる。ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間の空気は、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0036】
ハンマケース4は、減速機構7の一部を収容する。ハンマケース4は、スピンドル8の一部を収容する。ハンマケース4は、打撃機構9を収容する。ハンマケース4は、アンビル10の一部を収容する。減速機構7の一部及びスピンドル8の一部は、ベアリングボックス24の内側に配置される。減速機構7は、複数のギヤを含む。
【0037】
ハンマケース4は、金属製である。実施形態において、ハンマケース4は、アルミニウム製である。ハンマケース4は、筒状である。ハンマケース4は、モータ収容部21の前方に配置される。ハンマケース4の内部にベアリングボックス24が挿入される。
【0038】
カバー3は、ハンマケース4の外面の少なくとも一部を覆うように配置される。実施形態において、カバー3は、ハンマケース4の外面の前部を覆う。
【0039】
モータ6は、インパクト工具1の動力源である。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ26と、ロータ27とを有する。ステータ26は、モータ収容部21に固定される。ロータ27の少なくとも一部は、ステータ26の内側に配置される。ロータ27は、ステータ26に対して回転する。ロータ27は、前後方向に延びる回転軸AXを中心に回転する。
【0040】
減速機構7は、ロータ27とスピンドル8とを連結する。減速機構7は、ロータ27の回転をスピンドル8に伝達する。減速機構7は、ロータ27の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル8を回転させる。減速機構7は、モータ6よりも前方に配置される。減速機構7は、遊星歯車機構を含む。減速機構7は、複数のギヤを有する。減速機構7のギヤは、ロータ27により回転される。
【0041】
スピンドル8は、減速機構7により伝達されたロータ27の回転力により回転する。スピンドル8は、モータ6の少なくとも一部よりも前方に配置される。スピンドル8は、ステータ26よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、ロータ27よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、減速機構7の前方側に配置される。スピンドル8は、アンビル10の後方側に配置される。
【0042】
打撃機構9は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、アンビル10を回転方向に打撃する。モータ6の回転力は、減速機構7及びスピンドル8を介して打撃機構9に伝達される。
【0043】
アンビル10は、ロータ27の回転力に基づいて回転するインパクト工具1の出力シャフトである。アンビル10は、モータ6よりも前方に配置される。アンビル10の前端部に先端工具の一種であるソケットが装着される。アンビル10は、スピンドル8の少なくとも一部よりも前方に配置される。
【0044】
ファン12は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン12は、モータ6のステータ26よりも前方に配置される。ファン12は、ロータ27の少なくとも一部に固定される。ファン12が回転することにより、モータ収容部21の外部空間の空気が、吸気口19を介してモータ収容部21の内部空間に流入する。モータ収容部21の内部空間に流入した空気は、モータ収容部21の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。モータ収容部21の内部空間を流通した空気は、ファン12が回転することにより、排気口20を介してモータ収容部21の外部空間に流出する。
【0045】
バッテリ装着部13は、バッテリパック25に接続される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13に着脱可能である。バッテリ装着部13は、バッテリ保持部23の下部に配置される。バッテリパック25は、バッテリ保持部23の前方からバッテリ装着部13に挿入されることにより、バッテリ装着部13に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13から前方に抜去されることにより、バッテリ装着部13から外される。バッテリパック25は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリパック25は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部13に装着されることにより、バッテリパック25は、インパクト工具1に電力を供給することができる。モータ6は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する。
【0046】
トリガレバー14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガレバー14が操作されることにより、モータ6の駆動と停止とが切り換えられる。トリガレバー14は、グリップ部22に設けられる。
【0047】
正逆転切換レバー15は、作業者に操作される。正逆転切換レバー15が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル8の回転方向が切り換えられる。正逆転切換レバー15は、グリップ部22の上部に設けられる。
【0048】
操作表示部16は、複数の操作ボタン16Aと、インジケータ表示器16Bとを有する。作業者により操作ボタン16Aが操作されることにより、モータ6の動作モードが切り換えられる。インジケータ表示器16Bは、複数の発光部を有する。インジケータ表示器16Bは、複数の発光部の点灯パターンを変更することによって、モータ6の動作モードを表示する。操作表示部16は、バッテリ保持部23に設けられる。操作表示部16は、グリップ部22よりも前方側において、バッテリ保持部23の上面に設けられる。
【0049】
ライト17は、照明光を射出する。ライト17は、アンビル10及びアンビル10の周辺を照明光で照明する。ライト17は、アンビル10の前方を照明光で照明する。また、ライト17は、アンビル10に装着された先端工具及び先端工具の周辺を照明光で照明する。ライト17は、トリガレバー14の上方に配置される。
【0050】
ハンマケース4は、第1筒部401と、第2筒部402と、ケース接続部403と、第3筒部404と、第4筒部405とを有する。第1筒部401は、打撃機構9の周囲に配置される。第2筒部402は、第1筒部401よりも前方に配置される。第2筒部402の外径は、第1筒部401の外径よりも小さい。ケース接続部403は、第1筒部401の前部と第2筒部402の後部とを繋ぐように配置される。第3筒部404は、第2筒部402よりも前方に配置される。第4筒部405は、第3筒部404よりも前方に配置される。第2筒部402の内径は、第1筒部401の内径よりも小さい。第3筒部404の内径は、第2筒部402の内径よりも小さい。第4筒部405の内径は、第3筒部404の内径よりも小さい。
【0051】
図5に示すように、第2筒部402は、後方を向く後面402Rと、径方向内側を向く内周面402Sとを有する。第3筒部404は、後方を向く後面404Rと、径方向内側を向く内周面404Sとを有する。第4筒部405は、後方を向く後面405Rと、径方向内側を向く内周面405Sとを有する。内周面402Sの前端部と後面404Rの径方向の外端部とが接続される。内周面404Sの前端部と後面405Rの径方向の外端部とが接続される。内周面405Sは、ハンマケース4の前端部に設けられたハンマケース4の開口を規定する。
【0052】
モータ6は、ステータ26と、ロータ27とを有する。ステータ26は、ステータコア28と、前インシュレータ29と、後インシュレータ30と、コイル31とを有する。ロータ27は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ27は、ロータコア32と、ロータシャフト33と、ロータ磁石34とを有する。
【0053】
ステータコア28は、ロータ27よりも径方向外側に配置される。ステータコア28は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア28は、筒状である。ステータコア28は、コイル31を支持する複数のティースを有する。
【0054】
前インシュレータ29は、ステータコア28の前部に設けられる。後インシュレータ30は、ステータコア28の後部に設けられる。前インシュレータ29及び後インシュレータ30のそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。前インシュレータ29は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。後インシュレータ30は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。
【0055】
コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28に装着される。コイル31は、複数配置される。コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28のティースの周囲に配置される。コイル31とステータコア28とは、前インシュレータ29及び後インシュレータ30により電気的に絶縁される。複数のコイル31は、バスバーユニット38を介して接続される。
【0056】
ロータコア32及びロータシャフト33のそれぞれは、鋼製である。ロータシャフト33は、ロータコア32の内側に配置される。ロータコア32とロータシャフト33とは、固定される。ロータシャフト33の前端部は、ロータコア32の前端面から前方に突出し、ロータシャフト33の後端部は、ロータコア32の後端面から後方に突出する。
【0057】
ロータ磁石34は、ロータコア32に固定される。ロータ磁石34は、ロータコア32の内部に配置される。
【0058】
後インシュレータ30にセンサ基板37が取り付けられる。センサ基板37は、中心に孔が設けられた円板状の回路基板と、回路基板に支持される回転検出素子とを有する。センサ基板37の少なくとも一部は、ロータ磁石34に対向する。回転検出素子は、ロータ27のロータ磁石34の位置を検出することにより、ロータ27の回転方向の位置を検出する。
【0059】
ロータシャフト33は、ロータベアリング39に回転可能に支持される。ロータベアリング39は、ロータシャフト33の前端部を回転可能に支持する前側ロータベアリング39Fと、ロータシャフト33の後端部を回転可能に支持する後側ロータベアリング39Rとを含む。
【0060】
前側ロータベアリング39Fは、ベアリングボックス24に保持される。ベアリングボックス24は、ベアリングボックス24の後面から前方に窪む凹部241を有する。前側ロータベアリング39Fは、凹部241に配置される。後側ロータベアリング39Rは、モータ収容部21の後部に保持される。ロータシャフト33の前端部は、ベアリングボックス24の開口を介してハンマケース4の内部空間に配置される。
【0061】
ファン12は、ロータシャフト33の前部に固定される。ファン12は、前側ロータベアリング39Fとステータ26との間に配置される。ファン12は、ロータシャフト33の回転により回転する。ロータシャフト33が回転することにより、ファン12は、ロータシャフト33と一緒に回転する。
【0062】
ロータシャフト33の前端部にピニオンギヤ41が形成される。ピニオンギヤ41は、減速機構7の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト33は、ピニオンギヤ41を介して減速機構7に連結される。
【0063】
減速機構7は、ピニオンギヤ41の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ42と、複数のプラネタリギヤ42の周囲に配置されるインターナルギヤ43とを有する。ピニオンギヤ41、プラネタリギヤ42、及びインターナルギヤ43のそれぞれは、ハンマケース4に収容される。複数のプラネタリギヤ42のそれぞれは、ピニオンギヤ41に噛み合う。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。スピンドル8は、プラネタリギヤ42により回転される。インターナルギヤ43は、プラネタリギヤ42に噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ43は、ハンマケース4に固定される。インターナルギヤ43は、ハンマケース4に対して常に回転不可能である。
【0064】
モータ6の駆動によりロータシャフト33が回転すると、ピニオンギヤ41が回転し、プラネタリギヤ42がピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ42の公転により、ピン42Pを介してプラネタリギヤ42に接続されているスピンドル8は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0065】
スピンドル8は、モータ6の回転力より回転する。スピンドル8は、モータ6の回転力を、打撃機構9を介してアンビル10に伝達する。スピンドル8は、スピンドルシャフト部801と、スピンドルシャフト部801の後部に設けられるフランジ部802とを有する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してフランジ部802に回転可能に支持される。スピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。スピンドル8は、回転軸AXを中心に回転する。スピンドル8は、スピンドルベアリング44に回転可能に支持される。スピンドル8の後端部に凸部803が設けられる。凸部803は、フランジ部802から後方に突出する。スピンドルベアリング44は、凸部803を囲むように配置される。
【0066】
ベアリングボックス24は、スピンドル8の周囲の少なくとも一部に配置される。スピンドルベアリング44は、ベアリングボックス24に保持される。ベアリングボックス24は、ベアリングボックス24の前面から後方に窪む凹部242を有する。スピンドルベアリング44は、凹部242に配置される。
【0067】
打撃機構9は、ハンマ47と、ハンマボール48と、コイルスプリング50と、ワッシャ61とを有する。ハンマ47、ハンマボール48、コイルスプリング50、及びワッシャ61を含む打撃機構9は、ハンマケース4の第1筒部401に収容される。第1筒部401は、ハンマ47の周囲に配置される。
【0068】
ハンマ47は、減速機構7よりも前方に配置される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部801の周囲に配置される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部801に支持される。
【0069】
ハンマ47は、モータ6により回転される。モータ6の回転力は、減速機構7及びスピンドル8を介してハンマ47に伝達される。ハンマ47は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、スピンドル8と一緒に回転可能である。ハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。ハンマ47は、回転軸AXを中心に回転する。
【0070】
ハンマ47は、ベース部471と、後側リング部473と、支持リング部474と、ハンマ突起部475とを有する。
【0071】
ベース部471は、スピンドルシャフト部801の周囲に配置される。ベース部471は、環状である。スピンドルシャフト部801は、ベース部471の内側に配置される。
【0072】
後側リング部473は、ベース部471の外周部から後方に突出する。後側リング部473は、筒状である。後側リング部473の後端部は、支持リング部474の後端部よりも後方に配置される。
【0073】
支持リング部474は、ベース部471の内周部から後方に突出する。支持リング部474は、筒状である。支持リング部474は、スピンドルシャフト部801の周囲に配置される。支持リング部474は、ハンマボール48を介してスピンドルシャフト部801に支持される。支持リング部474は、大径部474Aと、大径部474Aよりも後方に配置される小径部474Bとを有する。大径部474Aの外径は、小径部474Bの外径よりも大きい。大径部474Aと小径部474Bとの境界に段差部474Cが設けられる。
【0074】
ベース部471の前面から前方に突出する。ハンマ突起部475の前面は、ベース部471の前面よりも前方に配置される。ハンマ突起部475は、周方向に2つ配置される。
【0075】
ベース部471の後面と、後側リング部473の内周面と、支持リング部474の外周面とにより、凹部476が形成される。凹部476は、ハンマ47の後部に設けられる。凹部476は、ハンマ47の後面から前方に窪むように形成される。
【0076】
ハンマボール48は、鉄鋼のような金属製である。ハンマボール48は、スピンドルシャフト部801とハンマ47との間に配置される。スピンドル8は、ハンマボール48の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝804を有する。スピンドル溝804は、スピンドルシャフト部801の外周面の一部に設けられる。ハンマ47は、ハンマボール48の少なくとも一部が配置されるハンマ溝477を有する。ハンマ溝477は、支持リング部474の内周面の一部に設けられる。ハンマボール48は、スピンドル溝804とハンマ溝477との間に配置される。ハンマボール48は、スピンドル溝804の内側及びハンマ溝477の内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ47は、ハンマボール48に伴って移動可能である。スピンドル8とハンマ47とは、スピンドル溝804及びハンマ溝477により規定される可動範囲において、軸方向及び回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0077】
コイルスプリング50は、スピンドルシャフト部801の周囲に配置される。実施形態において、コイルスプリング50は、相互に並列に配置される第1コイルスプリング51及び第2コイルスプリング52を含む。第2コイルスプリング52は、第1コイルスプリング51の径方向内側に配置される。実施形態において、第1コイルスプリング51のばね定数は、第2コイルスプリング52のばね定数よりも大きい。第1コイルスプリング51の線径は、第2コイルスプリング52の線径よりも大きい。
【0078】
第1コイルスプリング51の後端部及び第2コイルスプリング52の後端部は、フランジ部802の前面に支持される。第1コイルスプリング51の後端部は、フランジ部802の前面に接触する。第2コイルスプリング52の後端部は、ワッシャ62を介してフランジ部802の前面に支持される。
【0079】
第1コイルスプリング51の前端部及び第2コイルスプリング52の前端部は、凹部476の内側に配置される。凹部476の内側にワッシャ61が配置される。第1コイルスプリング51の前端部及び第2コイルスプリング52の前端部は、ワッシャ61に支持される。ワッシャ61は、リング状の部材である。第1コイルスプリング51及び第2コイルスプリング52のそれぞれは、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を常時発生する。
【0080】
ワッシャ61は、ベース部471の後方に配置される。ワッシャ61は、第1コイルスプリング51の前端部及び第2コイルスプリング52の前端部を支持する。径方向において、ワッシャ61は、後側リング部473と支持リング部474との間に配置される。ワッシャ61は、凹部476の内側に配置される。ワッシャ61は、複数の支持ボール54を介してハンマ47に支持される。ハンマ47の前後方向の可動範囲においてハンマ47が最も前方に配置されている状態で、支持ボール54は、ハンマボール48の後端部よりも前方に配置される。
【0081】
支持ボール54は、凹部476の内側においてハンマ47に設けられた支持溝478に配置される。本実施形態において、支持溝478は、ベース部471の後面に設けられる。支持溝478は、回転軸AXを囲むようにリング状に設けられる。支持ボール54は、ワッシャ61を支持する。
【0082】
ワッシャ61は、前後方向からコイルスプリング50と支持ボール54とに挟まれる。ワッシャ61は、ハンマ47及びスピンドル8から離れている。
【0083】
アンビル10は、アンビルシャフト部101と、アンビル突起部102と、凹部103とを有する。
【0084】
アンビルシャフト部101は、軸方向(前後方向)に延びる。アンビルシャフト部101は、スピンドル8及びハンマ47よりも前方に配置される。アンビルシャフト部101の少なくとも一部は、ハンマケース4の前端部に設けられた開口に配置される。上述のように、ハンマケース4の前端部の開口は、第4筒部405の内周面405Sにより規定される。アンビルシャフト部101の前端部は、ハンマケース4の開口から前方に突出する。先端工具の一種であるソケットは、アンビルシャフト部101の前端部に装着される。
【0085】
アンビル突起部102は、アンビルシャフト部101の後端部から径方向外側に突出する。アンビル突起部102は、ハンマ突起部475により回転方向に打撃される。アンビル突起部102の前面と第2筒部402の後面402Rとの間にワッシャ53が配置される。ワッシャ53は、アンビル突起部102と第2筒部402との接触を抑制する。第2筒部402の後端部は、ワッシャ53を介してアンビル突起部102の荷重を受ける。
【0086】
凹部103は、アンビル10の後面の中央部から前方に窪むように設けられる。スピンドル8の前端部が凹部103に配置される。
【0087】
ベース部471は、アンビル突起部102よりも後方に配置される。アンビル突起部102の後面とベース部471の前面とは、接触又は離隔する。
【0088】
アンビル10は、アンビルベアリング46に回転可能に支持される。アンビル10の回転軸とハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。アンビル10は、回転軸AXを中心に回転する。アンビルベアリング46は、アンビルシャフト部101の周囲に配置される。アンビルベアリング46の一部は、ハンマケース4の第2筒部402の内側に配置される。アンビルベアリング46の一部は、ハンマケース4の第3筒部404の内側に配置される。アンビルベアリング46は、ハンマケース4の第2筒部402に保持される。アンビルベアリング46は、第2筒部402に圧入される。アンビルベアリング46は、ハンマケース4の内部においてハンマケース4に固定される。アンビルベアリング46は、アンビルシャフト部101を回転可能に支持する。
【0089】
実施形態において、アンビルベアリング46は、鉄製のスリーブである。図5に示すように、アンビルベアリング46は、外環部461と、後側支持部462と、前側支持部463と、後側凸部464と、前側凸部465とを有する。後側支持部462は、外環部461の後部から径方向内側に突出する。前側支持部463は、外環部461の前部から径方向内側に突出する。後側凸部464は、後側支持部462から後方に突出する。前側凸部465は、前側支持部463から前方に突出する。外環部461と後側支持部462と前側支持部463とによりアンビルベアリング46の凹部466が規定される。
【0090】
外環部461は、前方を向く前面461Fと、後方を向く後面461Rと、径方向内側を向く内周面461Sと、径方向外側を向く外周面461Tとを有する。
【0091】
後側支持部462は、前方を向く前面462Fと、径方向内側を向く内周面462Sとを有する。
【0092】
前側支持部463は、前方を向く前面463Fと、後方を向く後面463Rと、径方向内側を向く内周面463Sとを有する。
【0093】
後側凸部464は、後方を向く後面464Rと、径方向外側を向く外周面464Tとを有する。
【0094】
前側凸部465は、前方を向く前面465Fと、径方向内側を向く内周面465Sと、径方向外側を向く外周面465Tとを有する。
【0095】
外環部461の外周面461Tは、第2筒部402の内周面402Sに接触する。外環部461の内周面461Sは、アンビルシャフト部101の外周面から離れている。凹部466は、外環部461の内周面461Sと後側支持部462の前面462Fと前側支持部463の後面463Rとにより規定される。
【0096】
後述するように、アンビルシャフト部101は、後側円柱部112と、前側円柱部114と、凹部113とを有する。外環部461の内周面461Sは、凹部113の外周面に対向する。後側支持部462の内周面462Sは、後側円柱部112の外周面に接触する。前側支持部463の内周面463Sは、前側円柱部114の外周面に接触する。
【0097】
ワッシャ53の前面の径方向外側の外縁部は、第2筒部402の後面402Rに対向する。ワッシャ53の前面の径方向内側の内縁部は、外環部461の後面461Rに対向する。径方向内側を向くワッシャ53の内周面は、後側凸部464の外周面464Tに対向する。後側凸部464の後面464Rは、間隙を介してアンビル突起部102の前面に対向する。外環部461の前面461Fは、第3筒部404の後面404Rに対向する。前側凸部465の外周面465Tは、第3筒部404の内周面404Sに接触する。
【0098】
ハンマ突起部475は、アンビル突起部102に回転方向で接触可能である。ハンマ47とアンビル突起部102とが回転方向で接触している状態で、モータ6が回転することにより、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。
【0099】
アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。例えば、ボルト締付作業において、アンビル10に作用する負荷が高くなると、コイルスプリング50の荷重だけではアンビル10を回転させることができなくなる状況が発生する場合がある。コイルスプリング50の荷重だけではアンビル10を回転させることができなくなると、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。スピンドル8とハンマ47とは、ハンマボール48を介して軸方向及び周方向のそれぞれに相対移動可能である。ハンマ47の回転が停止しても、スピンドル8の回転は、モータ6が発生する動力により継続される。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ハンマボール48がスピンドル溝804及びハンマ溝477のそれぞれにガイドされながら後方に移動する。ハンマ47は、ハンマボール48から力を受け、ハンマボール48に伴って後方に移動する。すなわち、ハンマ47は、アンビル10の回転が停止された状態で、スピンドル8が回転することにより、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ47とアンビル突起部102との接触が解除される。
【0100】
ハンマ47が後方に移動するとき、ハンマ47は、スピンドルシャフト部801に対して相対回転する。ワッシャ61は、ハンマ47及びスピンドル8から離れている。そのため、ハンマ47の回転は、ワッシャ61に妨げられない。また、ワッシャ61とハンマ47との間に支持ボール54が配置される。支持ボール54が回転することにより、ハンマ47は、円滑に回転することができる。
【0101】
上述のように、コイルスプリング50は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を常時発生する。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング50の弾性力により、前方に移動する。ハンマ47は、前方に移動するとき、ハンマボール48から回転方向の力を受ける。すなわち、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動すると、ハンマ突起部475は、回転しながらアンビル突起部102に接触する。これにより、アンビル突起部102は、ハンマ突起部475により回転方向に打撃される。アンビル10には、モータ6の動力とハンマ47の慣性力との両方が作用する。したがって、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転することができる。
【0102】
[シール部材及び支持部材]
シール部材70は、ハンマケース4の内部に配置される。シール部材70は、ハンマケース4の第3筒部404の径方向内側に配置される。シール部材70は、ハンマケース4の内部においてアンビルベアリング46とアンビルシャフト部101との間に配置される。シール部材70の少なくとも一部は、アンビルシャフト部101の外周面に接触する。シール部材70は、アンビルベアリング46に支持される。シール部材70は、アンビルベアリング46により抜け止め保持される。シール部材70は、アンビルベアリング46の前側凸部465の径方向内側に配置される。実施形態において、シール部材70は、リップシールである。
【0103】
シール部材70は、アンビルベアリング46とアンビルシャフト部101との境界をシールする。シール部材70は、ハンマケース4の内部に存在する潤滑剤(グリス)がハンマケース4の前端部の開口を介してハンマケース4の外部に漏出することを抑制する。また、シール部材70は、ハンマケース4の外部の異物がハンマケース4の内部に侵入することを抑制する。
【0104】
図5に示すように、シール部材70は、外環部71と、後側リップ部72と、前側リップ部73とを有する。径方向外側を向く外環部71の外周面は、前側凸部465の内周面465Sに接触する。後側を向く外環部71の後面は、前側支持部463の前面463Fに接触する。後側リップ部72及び前側リップ部73のそれぞれは、外環部71よりも径方向内側に配置される。後側リップ部72は、前側リップ部73よりも後方に配置される。後側リップ部72及び前側リップ部73のそれぞれは、アンビルシャフト部101の外周面に接触する。後側リップ部72及び前側リップ部73のそれぞれは、前側円柱部114の外周面に接触する。
【0105】
支持部材80は、ハンマケース4の内部に配置される。支持部材80は、シール部材70よりも前方に配置される。支持部材80は、シール部材70と対向する。支持部材80は、シール部材70を前方から支持可能である。上述のように、ハンマケース4の前端部にアンビルシャフト部101が配置される開口が設けられる。ハンマケース4の開口は、第4筒部405の内周面405Sにより規定される。支持部材80は、ハンマケース4の開口に面するように配置される。支持部材80は、ハンマケース4の開口からシール部材70が前方に抜けることを抑制する。
【0106】
支持部材80は、リング状である。支持部材80は、アンビルシャフト部101の周囲に配置されるワッシャである。支持部材80は、アンビルシャフト部101から離れている。
【0107】
支持部材80は、ハンマケース4及びアンビルベアリング46の少なくとも一方に固定される。実施形態において、支持部材80は、アンビルベアリング46とハンマケース4の一部とに前後方向から挟まれる。実施形態において、支持部材80の径方向外側の外縁部が、前側凸部465の前面465Fと第4筒部405の後面405Rとに挟まれる。
【0108】
支持部材80は、ハンマケース4の後端部に設けられている開口からハンマケース4の内部に挿入される。支持部材80の前面が第4筒部405の後面405Rに接触するように支持部材80がハンマケース4の内部に挿入された後、シール部材70及びアンビルベアリング46のそれぞれがハンマケース4の後端部に設けられている開口からハンマケース4の内部に挿入される。アンビルベアリング46は、第2筒部402に圧入されることにより、ハンマケース4に固定される。外環部461の前面461Fと第3筒部404の後面404Rとが接触することにより、ハンマケース4とアンビルベアリング46とが前後方向において位置決めされる。
【0109】
なお、支持部材80は、アンビルシャフト部101の周囲の一部に配置されてもよい。支持部材80の一部に切欠部が設けられてもよい。支持部材80は、サークリップでもよい。支持部材80がサークリップである場合、ハンマケース4の前端部に設けられている開口を介してハンマケース4の内部に配置されてもよい。
【0110】
[アンビル]
図7は、実施形態に係るアンビル10を示す右前方からの斜視図である。図8は、実施形態に係るアンビル10を示す側面図である。図9は、実施形態に係るアンビル10を前方から見た図である。図10は、実施形態に係るアンビル10の一部を拡大した図である。
【0111】
アンビル10は、軸方向に延びるアンビルシャフト部101と、アンビルシャフト部101から径方向外側に突出するアンビル突起部102とを有する。アンビル突起部102は、2つ設けられる。
【0112】
アンビルシャフト部101は、第1シャフト部110と、第2シャフト部120と、遷移部130と、先端部140とを有する。第1シャフト部110の後端部は、アンビル突起部102に接続される。第2シャフト部120は、第1シャフト部110よりも前方に配置される。遷移部130は、前後方向において第1シャフト部110と第2シャフト部120との間に配置される。第1シャフト部110の前端部は、遷移部130の後端部に接続される。第2シャフト部120の後端部は、遷移部130の前端部に接続される。第1シャフト部110と第2シャフト部120とは、遷移部130を介して繋がる。先端部140は、第2シャフト部120よりも前方に配置される。
【0113】
第1シャフト部110は、ハンマケース4の内側に配置される。第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。回転軸AXに直交する第1シャフト部110の断面の外形は、円形状である。第1シャフト部110は、凹部111と、後側円柱部112と、凹部113と、前側円柱部114とを有する。凹部111は、後側円柱部112よりも後方に配置される。凹部111は、アンビルシャフト部101とアンビル突起部102との境界に設けられる。凹部111の外径は、後側円柱部112の外径よりも小さい。図5に示したように、後側円柱部112は、アンビルベアリング46の後側支持部462に支持される。後側円柱部112の外周面と後側支持部462の内周面462Sとは、接触する。凹部113は、後側円柱部112よりも前方に配置される。凹部113の外径は、後側円柱部112の外径よりも小さい。前側円柱部114は、凹部113よりも前方に配置される。前側円柱部114の外径は、後側円柱部112の外径と実質的に等しい。図5に示したように、前側円柱部114は、アンビルベアリング46の前側支持部463に支持される。前側円柱部114の外周面と前側支持部463の内周面463Sとは、接触する。
【0114】
第2シャフト部120は、ハンマケース4の外側に配置される。第2シャフト部120は、ハンマケース4の前端部に設けられた開口から前方に突出する。第2シャフト部120にソケット300が装着される。回転軸AXに直交する第2シャフト部120の断面の外形は、実質的に四角形状である。第2シャフト部120は、4つの平面部121と、4つの角部122とを有する。図9に示すように、平面部121は、平面部121Aと、周方向において平面部121Aに隣接する平面部121Bと、周方向において平面部121Bに隣接する平面部121Cと、周方向において平面部121Cに隣接する平面部121Dとを含む。角部122は、平面部121Aと平面部121Bとの境界に設けられる角部122Aと、平面部121Bと平面部121Cとの境界に設けられる角部122Bと、平面部121Cと平面部121Dとの境界に設けられる角部122Cと、平面部121Dと平面部121Aとの境界に設けられる角部122Dとを含む。
【0115】
図10に示すように、1つの平面部121は、前後方向に延びる第1エッジ124と、前後方向に延びる第2エッジ125とを有する。第1エッジ124は、平面部121の周方向一方側の端部に配置される。第2エッジ125は、平面部121の周方向他方側の端部に配置される。4つの平面部121のそれぞれが、第1エッジ124及び第2エッジ125を有する。
【0116】
図9の矢印で示すように、アンビル10を前方から見て反時計回りの方向を正転方向とした場合、第1エッジ124は、第2エッジ125よりも正転方向側に配置される。ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10は、周方向一方側に回転される。すなわち、ボルト締付作業において、アンビル10は、正転方向に回転される。
【0117】
遷移部130は、円柱状の第1シャフト部110と四角柱状の第2シャフト部120とを繋ぐ。遷移部130の少なくとも一部は、第1シャフト部110の前側円柱部114の外周面と第2シャフト部120の外面とを滑らかに繋ぐ。遷移部130は、第2シャフト部120の第1エッジ124に繋がる支持部131と、第2シャフト部120の第2エッジ125に繋がる接続部135とを有する。周方向において、支持部131の位置と第1エッジ124の位置とは、実質的に等しい。周方向において、接続部135の位置と第2エッジ125の位置とは、実質的に等しい。すなわち、支持部131は、第1エッジ124の直後(第1エッジ124から後方に延びた延長線上)に配置される。接続部135は、第2エッジ125の直後(第2エッジ125から後方に延びた延長線上)に配置される。前後方向において、接続部135は、支持部131よりも後方に配置される。遷移部130は、支持部131よりも後方において第2エッジ125に繋がる。
【0118】
遷移部130は、4つの第1エッジ124のそれぞれに繋がる。遷移部130は、4つの第2エッジ125のそれぞれに繋がる。支持部131は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。接続部135は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。図9に示すように、支持部131は、平面部121Aの第1エッジ124に繋がる支持部131Aと、平面部121Bの第1エッジ124に繋がる支持部131Bと、平面部121Cの第1エッジ124に繋がる支持部131Cと、平面部121Dの第1エッジ124に繋がる支持部131Dとを含む。
【0119】
第2シャフト部120に装着されたソケット300の後端部は、4つの支持部131のそれぞれに接触する。第2シャフト部120に装着されたソケット300の後端部は、4つの接続部135のそれぞれに接触しない。
【0120】
遷移部130は、前側円柱部114に接続されるテーパ部134を有する。テーパ部134の後端部は、前側円柱部114の前端部に接続される。テーパ部134の外径は、前方に向かって徐々に小さくなる。テーパ部134の前端部は、平面部121及び角部122に繋がる。テーパ部134の一部が切り取られることにより、支持部131及び接続部135が形成される。テーパ部134が切り取られた部分の表面は、曲面状である。遷移部130は、平面部121に繋がる曲面部132を有する。曲面部132は、周方向において接続部135と支持部131との間に設けられる。テーパ部134の外面と曲面部132の表面との境界に曲線部133が形成される。曲線部133は、接続部135と支持部131とを繋ぐように形成される。曲線部133は、周方向一方側(正転方向側)に向かって前方に傾斜する。
【0121】
なお、実施形態において、平面部121の一部に凹部123が設けられる。凹部123は、平面部121から径方向内側に窪むように形成される。凹部123は、周方向一方側(正転方向側)に向かって前方に傾斜するように帯状に設けられる。なお、凹部123は無くてもよい。
【0122】
[インパクト工具の動作]
次に、インパクト工具1の動作について説明する。例えば、作業対象にボルト締付作業を実施するとき、作業者は、グリップ部22を例えば右手で握ってトリガレバー14を右手の人差し指で引き操作する。トリガレバー14が引き操作されると、バッテリパック25からモータ6に電力が供給され、モータ6が起動し、同時にライト17が点灯する。モータ6の起動により、ロータシャフト33が回転する。ロータシャフト33が回転すると、ロータシャフト33の回転力がピニオンギヤ41を介してプラネタリギヤ42に伝達される。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合った状態で、自転しながらピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。プラネタリギヤ42の公転により、スピンドル8は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0123】
ハンマ突起部475とアンビル突起部102とが接触している状態で、スピンドル8が回転すると、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。アンビル10が回転することにより、ボルト締付作業が進行する。
【0124】
ボルト締付作業の進行により、アンビル10に所定値以上の負荷が作用した場合、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ハンマ47は、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ突起部475とアンビル突起部102との接触が解除される。
【0125】
ハンマ47が後方に移動するとき、ハンマ47は、スピンドルシャフト部801に対して相対回転する。ワッシャ61は、ハンマ47及びスピンドル8から離れている。そのため、ハンマ47の回転は、ワッシャ61に妨げられない。また、ワッシャ61とハンマ47との間に支持ボール54が配置される。支持ボール54が回転することにより、ハンマ47は、円滑に回転することができる。
【0126】
後方に移動したハンマ47は、第1コイルスプリング51及び第2コイルスプリング52の弾性力により、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動することにより、アンビル突起部102は、ハンマ突起部475により回転方向に打撃される。これにより、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転する。そのため、ねじは作業対象に高いトルクで締め付けられる。
【0127】
[インパクトレンチの製造方法]
上記の構成では、例えばアンビルシャフト部101の外径が変更されても、アンビルシャフト部101の外径の変更に合わせて支持部材80を設けるだけで、シール部材70がハンマケース4から抜け止めされる。以下の説明においては、上述のインパクト工具1を適宜、第1インパクトレンチ1、と称し、第1インパクトレンチ1のアンビルシャフト部101の外径とは異なる外径のアンビルシャフト部101Bを有するインパクト工具を適宜、第2インパクトレンチ1B、と称する。
【0128】
上述のように、第1インパクトレンチ1は、アンビルシャフト部101(第1アンビルシャフト部)と、ハンマケース4(第1ハンマケース)と、アンビルシャフト部101とハンマケース4との間に設けられるアンビルベアリング46(第1アンビルベアリング)と、ハンマケース4とは別の支持部材80により抜け止めされるシール部材70(第1シール部材)と、を有する。
【0129】
図11は、実施形態に係る第2インパクトレンチ1Bの一部を拡大した縦断面図である。図11に示す例において、第2インパクトレンチ1Bは、アンビルシャフト部101(第1アンビルシャフト部)の外径よりも大きい外径のアンビルシャフト部101B(第2アンビルシャフト部)と、第1インパクトレンチ1のハンマケース4と同じ形状及び同じ寸法のハンマケース4と、アンビルシャフト部101Bとハンマケース4との間に設けられるアンビルベアリング46B(第2アンビルベアリング)と、ハンマケース4により抜け止めされるシール部材70B(第2シール部材)と、を有する。第2インパクトレンチ1Bにおいては、アンビルシャフト部101Bの外径が大きいので、シール部材70Bは、第1インパクトレンチ1のシール部材70よりも径方向外側に配置されることとなる。シール部材70Bが径方向外側に配置されるので、第2インパクトレンチ1Bの製造において、支持部材80を設けず、且つ、ハンマケース4の開口の大きさを変更しなくても、シール部材70Bは、ハンマケース4の前端部の第4筒部405で抜け止めされる。第1インパクトレンチ1のように、外径が小さいアンビルシャフト部101の使用が要求される場合、ハンマケース4の開口の大きさを変更しなくても、支持部材80を使用することにより、シール部材70は、支持部材80により抜け止めされる。このように、インパクトレンチ(1,1B)の製造において、相互に異なる外径のアンビルシャフト部(101,101B)の使用が要求される場合、支持部材80の使用の有無により、同じ形状及び同じ寸法のハンマケース4を使用しつつ、シール部材(70,70B)を抜け止めできる複数種類のインパクトレンチ(1,1B)を製造することができる。インパクトレンチのメーカーは、ハンマケース4を複数種類準備しなくても、支持部材80を使用するだけで、外径が相互に異なるアンビルシャフト部(101,101B)をそれぞれ有し、シール部材(70,70B)を抜け止めできる複数種類のインパクトレンチ(1,1B)を製造することできる。第1インパクトレンチ1と第2インパクトレンチ1Bとは、インパクトレンチの同一メーカーで製造される。
【0130】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、インパクト工具1は、前後方向に延びる回転軸AXを中心に回転するロータ27を有するモータ6と、ロータ27の回転力により回転するスピンドル8と、スピンドル8の少なくとも一部よりも前方に配置され、回転軸AXに平行な軸方向に延びるアンビルシャフト部101及びアンビルシャフト部101から回転軸AXの径方向外側に突出するアンビル突起部102を有するアンビル10と、スピンドル8に支持され、アンビル突起部102を回転方向に打撃するハンマ突起部475を有するハンマ47と、アンビル10の少なくとも一部及びハンマ47を収容し、アンビルシャフト部101が配置される開口を有するハンマケース4と、ハンマケース4の内部においてハンマケース4に固定され、アンビルシャフト部101を支持するアンビルベアリング46と、ハンマケース4の内部においてアンビルベアリング46とアンビルシャフト部101との境界に配置されるシール部材70と、ハンマケース4の内部においてハンマケース4の開口に面するように配置され、シール部材70を前方から支持可能な支持部材80と、を備える。支持部材80の内径は、ハンマケース4の開口の内径よりも小さい。
【0131】
上記の構成では、シール部材70により、ハンマケース4の内部に存在する潤滑剤がハンマケース4の開口を介してハンマケース4の外部に漏出することが抑制される。また、シール部材70により、ハンマケース4の外部の異物がハンマケース4の開口を介してハンマケース4の内部に侵入することが抑制される。支持部材80により、ハンマケース4の開口からシール部材70が抜けることが抑制される。また、支持部材80の内径は、ハンマケース4の内径よりも小さいので、支持部材80により、潤滑剤の漏出及び異物の侵入が抑制される。また、例えばハンマケース4の開口の大きさが変更されても、ハンマケース4の開口の大きさの変更に合わせて支持部材80を変更するだけで、シール部材70が抜けることを抑制され、潤滑剤の漏出及び異物の侵入が抑制される。
【0132】
実施形態において、支持部材80は、シール部材70と対向する。
【0133】
上記の構成では、支持部材80は、ハンマケース4の開口からシール部材70が抜けることを抑制することができる。
【0134】
実施形態において、支持部材80は、アンビルシャフト部101の周囲の少なくとも一部に配置される。
【0135】
上記の構成では、支持部材80は、シール部材70を安定して支持することができる。
【0136】
実施形態において、支持部材80は、アンビルシャフト部101の周囲に配置されるワッシャを含む。
【0137】
上記の構成では、ワッシャはシール部材70と均一な力で接触することができるので、シール部材70に局所的に大きい力が加わることが抑制される。
【0138】
実施形態において、シール部材70の少なくとも一部は、アンビルシャフト部101に接触する。支持部材80は、アンビルシャフト部101から離れる。
【0139】
上記の構成では、支持部材80がアンビルシャフト部101から離れているので、アンビル10は円滑に回転することができる。
【0140】
実施形態において、支持部材80は、ハンマケース4及びアンビルベアリング46の少なくとも一方に固定される。
【0141】
上記の構成では、支持部材80とハンマケース4とアンビルベアリング46との相対位置の変化が抑制される。
【0142】
実施形態において、支持部材80は、アンビルベアリング46とハンマケース4の一部とに前後方向から挟まれる。
【0143】
上記の構成では、支持部材80とハンマケース4とアンビルベアリング46との相対位置の変化が抑制される。また、インパクト工具1を組み立てやすい。
【0144】
実施形態において、シール部材70は、アンビルベアリング46に支持される。
【0145】
上記の構成では、支持部材80とアンビルベアリング46との相対位置の変化が抑制される。
【0146】
[その他の実施形態]
図12は、その他の実施形態に係るインパクト工具1Cの一部を拡大した縦断面図である。上述の実施形態においては、支持部材80は、ハンマケース4の内部においてハンマケース4の開口に面するように配置されることとした。図12に示すように、支持部材80Cの少なくとも一部が、ハンマケース4の外部においてハンマケース4の開口に面するように配置されてもよい。支持部材80Cの後部は、アンビルベアリング46と第4筒部405とに挟まれて、ハンマケース4に固定される。支持部材80の一部は屈曲しており、支持部材80の前部はハンマケース4の開口よりも前方に配置される。図12に示す例においても、支持部材80Cは、シール部材70を前方から支持することができ、シール部材70を抜け止することができる。
【0147】
上述の実施形態において、アンビルベアリング46は、鉄製のスリーブであることとした。アンビルベアリング46は、ニードルベアリングでもよいし、ボールベアリングでもよい。
【0148】
上述の実施形態においては、インパクト工具1がインパクトレンチであることとした。インパクト工具1は、インパクトドライバでもよい。
【0149】
上述の実施形態において、インパクト工具1の電源は、バッテリパック25でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0150】
1…インパクト工具、2…ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、2S…ねじ、2T…ねじ、3…カバー、4…ハンマケース、6…モータ、7…減速機構、8…スピンドル、9…打撃機構、10…アンビル、12…ファン、13…バッテリ装着部、14…トリガレバー、15…正逆転切換レバー、16…操作表示部、16A…操作ボタン、16B…インジケータ表示器、17…ライト、19…吸気口、20…排気口、21…モータ収容部、22…グリップ部、23…バッテリ保持部、24…ベアリングボックス、25…バッテリパック、26…ステータ、27…ロータ、28…ステータコア、29…前インシュレータ、30…後インシュレータ、31…コイル、32…ロータコア、33…ロータシャフト、34…ロータ磁石、37…センサ基板、38…バスバーユニット、39…ロータベアリング、39F…前側ロータベアリング、39R…後側ロータベアリング、41…ピニオンギヤ、42…プラネタリギヤ、42P…ピン、43…インターナルギヤ、44…スピンドルベアリング、46…アンビルベアリング、47…ハンマ、48…ハンマボール、50…コイルスプリング、51…第1コイルスプリング、52…第2コイルスプリング、53…ワッシャ、54…支持ボール、61…ワッシャ、62…ワッシャ、70…シール部材、71…外環部、72…後側リップ部、73…前側リップ部、80…支持部材、101…アンビルシャフト部、102…アンビル突起部、103…凹部、110…第1シャフト部、111…凹部、112…後側円柱部、113…凹部、114…前側円柱部、120…第2シャフト部、121…平面部、121A…平面部、121B…平面部、121C…平面部、121D…平面部、122…角部、122A…角部、122B…角部、122C…角部、122D…角部、123…凹部、124…第1エッジ、125…第2エッジ、130…遷移部、131…支持部、131A…支持部、131B…支持部、131C…支持部、131D…支持部、132…曲面部、133…曲線部、134…テーパ部、135…接続部、140…先端部、241…凹部、242…凹部、300…ソケット、401…第1筒部、402…第2筒部、402R…後面、402S…内周面、403…ケース接続部、404…第3筒部、404R…後面、404S…内周面、405…第4筒部、405R…後面、405S…内周面、461…外環部、461F…前面、461R…後面、461S…内周面、461T…外周面、462…後側支持部、462F…前面、462S…内周面、463…前側支持部、463F…前面、463R…後面、463S…内周面、464…後側凸部、464R…後面、464T…外周面、465…前側凸部、465F…前面、465S…内周面、465T…外周面、466…凹部、471…ベース部、473…後側リング部、474…支持リング部、474A…大径部、474B…小径部、474C…段差部、475…ハンマ突起部、476…凹部、477…ハンマ溝、478…支持溝、801…スピンドルシャフト部、802…フランジ部、803…凸部、804…スピンドル溝、AX…回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12