(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072172
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】貼付装置、貼付方法
(51)【国際特許分類】
B65C 9/26 20060101AFI20240520BHJP
B65B 17/02 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B65C9/26
B65B17/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182884
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】505045322
【氏名又は名称】サンワテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊浦 健
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095AA01
3E095BA10
3E095CA01
3E095DA24
3E095DA40
3E095DA42
3E095DA45
3E095DA49
3E095DA52
3E095EA24
3E095EA34
3E095FA03
3E095FA06
3E095FA08
3E095FA12
3E095FA13
(57)【要約】
【課題】対象物の被貼付体への貼り付けを効率よく行うことができる技術を提供する。
【解決手段】上面の粘着面に対して対象物が接着された粘着体を保持する保持搬送部20と、保持搬送部20に保持された粘着体を、被貼付体に対して押し出すことにより、少なくとも粘着体の一部の裏面と被貼付体とを当接させる押出搬送部30と、粘着体を折り曲げることにより、粘着面を被貼付体に対して当接させて接着させる昇降接着部40とを備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の粘着面に対して対象物が接着された粘着体を保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記粘着体を、被貼付体に対して押し出すことにより、少なくとも前記粘着体の一部の裏面と前記被貼付体とを当接させる当接部と、
前記粘着体を折り曲げることにより、前記粘着面を前記被貼付体に対して当接させて接着させる接着部と
を備えることを特徴とする貼付装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記粘着体に前記被貼付体に対して当接しない非当接部が形成されるように、前記接着体の一部のみを前記被貼付体に対して当接させ、
前記接着部は、前記非当接部を折り曲げることにより、該非当接部における粘着面を前記被貼付体に対して当接させて接着させる
ことを特徴とする請求項1記載の貼付装置。
【請求項3】
前記接着部は、前記非当接部を上方に折り曲げて、前記被貼付体の端面に貼り付ける
ことを特徴とする請求項2記載の貼付装置。
【請求項4】
前記接着部は、上方に折り曲げた前記非当接部を、上下方向に交わる方向に更に折り曲げて、前記被貼付体における前記上下方向に交わる方向に延在する平面に貼り付ける
ことを特徴とする請求項3記載の貼付装置。
【請求項5】
前記粘着体は粘着テープであり、
前記粘着体を前記保持部上に繰り出すテープディスペンサと、
前記保持部に保持された前記粘着体上に前記対象物が載置された場合、該対象物を前記粘着体に対して移動不能に付勢する付勢部と、
前記付勢部により前記対象物が付勢された状態において、前記保持部を前記被貼付体近傍にまで搬送する第1搬送部と
を更に備え、
前記当接部は、
前記搬送部により搬送された前記保持部が保持する前記粘着体を、前記被貼付体内に位置するように押し出すための押出部と、
前記押出部を前記被貼付体に向けて搬送する第2搬送部と
を有する
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項記載の貼付装置。
【請求項6】
上面の粘着面に対して対象物が接着された粘着体の裏面と前記被貼付体とを当接させ、
前記粘着体を折り曲げることにより、前記粘着面を前記被貼付体に対して当接させて接着させる
ことを特徴とする貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、対象物を被貼付体に貼り付ける貼付装置、貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運搬の容易性などの観点から、商品を分解した状態で発送し、発注者自らが商品を組み立てる手法が広く普及している。発送される商品には、その商品の組み立て時に用いるネジやナット等の締結具が商品を構成する構成部品と一緒に梱包されていることが多く、商品の中には、構成部品に対して締結具を収納する収納袋が直接テープ等で貼り付けられて梱包されるものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような締結具や部品等の対象物を他の部品等の被貼付体に対して貼り付ける作業は、主に作業員により手作業で行われることから、貼り付け作業の効率化が望まれていた。
【0004】
対象物の被貼付体への貼り付けを効率よく行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、上面の粘着面に対して対象物が接着された粘着体を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記粘着体を、被貼付体に対して押し出すことにより、少なくとも前記粘着体の一部の裏面と前記被貼付体とを当接させる当接部と、前記粘着体を折り曲げることにより、前記粘着面を前記被貼付体に対して当接させて接着させる接着部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、対象物の被貼付体への貼り付けを効率よく行うことができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る貼付装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る貼付装置の構成を示す概略斜視図である。
【
図3】実施形態に係る貼付装置の構成を示す概略平面図である。
【
図4】実施形態に係る保持搬送部における付勢部の動作を説明するための概略正面図である。
【
図5】実施形態に係る押出搬送部における押出部の動作を説明するための概略正面図である。
【
図6】実施形態に係るテープディスペンサの動作及び保持搬送部の第1動作を説明するための概略平面図である。
【
図7】実施形態に係る保持搬送部の第2動作を説明するための概略平面図である。
【
図8】実施形態に係る保持搬送部の第3動作及び押出搬送部の第1動作を説明するための概略平面図である。
【
図9】実施形態に係る押出搬送部の第2動作を説明するための概略平面図である。
【
図10】実施形態に係る保持搬送部の第4動作及び押出搬送部の第3動作を説明するための概略平面図である。
【
図11】実施形態に係る昇降接着部の動作を説明するための概略正面図である。
【
図12】実施形態に係るベース搬送部の動作を説明するための概略平面図である。
【
図13】実施形態に係る水平接着部の動作を説明するための概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。本実施形態においては、貼り付ける対象物を、ネジやナット等の締結具を収納した収納袋とし、収納袋の被貼付体を、プラロック等の筒状のエアコン据付台であるベースとした場合の貼付装置を例にとり説明を行う。
【0009】
(装置構成)
図1は、本実施形態に係る貼付装置1の構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態に係る貼付装置の構成を示す概略斜視図であり、
図3は、本実施形態に係る貼付装置の構成を示す概略平面図である。
図4は、本実施形態に係る保持搬送部における付勢部の動作を説明するための概略正面図であり、
図5は、本実施形態に係る押出搬送部における押出部の動作を説明するための概略正面図である。なお、
図2における符号Xは前後方向における前方(正面側)から後方(背面側)の方向を示し、Yは左右方向を示している。
【0010】
図1~
図3に示されるように、本実施形態に係る貼付装置1は、テープディスペンサ10と、保持搬送部20と、押出搬送部30と、昇降接着部40と、ベース搬送部50と、水平接着部60、制御装置70とを備える。なお、説明上、制御装置70は
図2及び
図3には図示していない。
【0011】
制御装置70は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリ等の記憶装置とを有して作業者が操作可能な情報処理装置として構成されることが好ましい。制御装置70は、テープディスペンサ10、保持搬送部20、押出搬送部30、昇降接着部40、ベース搬送部50、及び水平接着部60のそれぞれが備える詳細は後述する駆動装置の制御を行う。制御装置70は、不図示の制御盤を有しており、作業者は制御盤を操作することにより貼付装置1のON/OFFや各種設定の変更等を行うことができる。制御装置70として、PC(Personal Computer)等を用いるようにしてもよい。
【0012】
テープディスペンサ10は、一方の面に粘着剤が塗布された粘着テープT(
図5参照)を巻回される形で保持しており、粘着テープTを不図示のテープ排出口から所定量繰り出して切断することができる。粘着テープTの繰り出し量は適宜であるが、後述する昇降接着部40及び水平接着部60による粘着テープTのベースBへの貼り付けが可能な長さを繰り出すことが好ましい。本実施形態においてテープディスペンサ10は、粘着面が上方を向くようにして粘着テープTを繰り出す。
【0013】
なお、本実施形態においてベースBは、正面視略四角形に形成されて前後方向に延在する筒状部材であり、内部に十字に隔壁が設けられることで4つの孔部が形成されている。本実施形態においては、このベースBの4つの孔部のうち、
図2中左下に位置する孔部B1内に収納袋Sを収容させて容易に脱落しないように貼り付けを行う。
【0014】
保持搬送部20は、テープディスペンサ10から繰り出された粘着テープTと収納袋Sとを保持し、移動不能に付勢した状態でベースBの孔部B1近傍まで搬送する機能を有する。保持搬送部20は、保持部210と、付勢部220と、揺動駆動部230と、支持プレート240と、ガイドレール250と、シリンダ260(
図3参照)とを備える。
【0015】
保持部210は、略中央が窪むことで窪み211が形成されたX方向に延在する板状部材である。保持部210は、窪み211においてテープディスペンサ10から繰り出された粘着テープTを受け取り、これを保持する。そのため、少なくとも当該窪み211の上面は、テープディスペンサ10における粘着テープTを繰り出す、不図示の排出口よりも上下方向位置において下方に位置することが好ましい。また、窪み211の左右方向端部には垂直の壁部が形成されることから、保持された粘着テープTは、左右方向において保持部210から脱落することが防止される。
【0016】
本実施形態においては、保持部210に保持された粘着テープTは、粘着面が上方を向く形で保持される。この粘着面上に締結具が袋詰めされた状態にある収納袋Sを載置することとなる。
【0017】
付勢部220は、略L字状に曲げられた平板部材である付勢プレート221と、付勢プレート221を支持する直線状の平板部材である回動プレート222とから構成されている。付勢プレート221は、その一端部が保持部210の窪み211に挿入可能な程度の幅を有して形成されており、他端部がネジ等で回動プレート222の一端部に固定されている。回動プレート222は、その他端部が揺動駆動部230の回転軸231に一体回転可能に軸支されている。したがって、
図4に示されるように、揺動駆動部230により付勢部220は、付勢プレート221及び回動プレート222が一体となって正面視時計回り及び反時計回りに揺動可能となっている。
【0018】
揺動駆動部230は、軸心が前後方向に平行な回転軸231を有し、内部に不図示の駆動モータが設けられている。揺動駆動部230は、所定のタイミングで回転軸231を回転、ここでは90度回転させることで、付勢部220を揺動させることができる。揺動駆動部230と保持部210との間には、平板状の支持プレート240が設けられており、これにより揺動駆動部230は、保持部210を相対移動不能に支持する。揺動駆動部230は、下方に設けられて前後方向に平行に延在するガイドレール250に対してスライド可能に支持されており、シリンダ260のピストンロッド261の一端が連結されている。
【0019】
シリンダ260は、空圧や油圧等でピストンロッド261を前後方向に往復動可能に収容しており、所定のタイミングで揺動駆動部230を前後方向に沿って移動させることができる。シリンダ260による揺動駆動部230の最後退位置は、保持部210の前方側端部がテープディスペンサ10に近接する位置とすることが好ましく、最前進位置は、保持部210の後方側端部がベースBの孔部B1に対向すると共に近接する位置とすることが好ましい。本実施形態においては、最後退位置が揺動駆動部230の基準位置となる。
【0020】
押出搬送部30は、保持搬送部20に
図2中右側に隣接して配置されており、保持搬送部20により所定位置に搬送された収納袋SをベースBの孔部B1に押し出すように搬送する機能を有する。押出搬送部30は、押出部310と、揺動駆動部320と、ガイドレール330と、シリンダ340(
図3参照)とを備える。
【0021】
押出部310は、後方に向かうにつれて下るように傾斜する平板部材である押出プレート311と、押出プレート311の後端部を支持する略L字状に曲げられた平板部材である支持プレート312と、支持プレート312を支持する直線状の平板部材である回動プレート313とから構成されている。押出プレート311は、その一端部(前方側先端部)が保持部210の窪み211に挿入可能な程度の幅を有して形成されており、他端部(後端部)がネジ等で支持プレート312の一端部に固定されている。回動プレート313は、その一端部が揺動駆動部320の回転軸321(
図5参照)に一体回転可能に軸支されている。したがって、
図5に示されるように、揺動駆動部320により押出部310は、押出プレート311、支持プレート312、及び回動プレート313が一体となって正面視時計回り及び反時計回りに揺動可能となっている。
【0022】
揺動駆動部320は、軸心が前後方向に平行な回転軸321を有し、内部に不図示の駆動モータが設けられている。揺動駆動部320は、所定のタイミングで回転軸321を回転、ここでは90度回転させることで、押出部310を揺動させることができる。揺動駆動部320は、下方に設けられて前後方向に平行に延在するガイドレール330に対してスライド可能に支持されており、シリンダ340のピストンロッド341の一端が連結されている。
【0023】
シリンダ340は、空圧や油圧等でピストンロッド341を前後方向に往復動可能に収容しており、所定のタイミングで揺動駆動部320を前後方向に沿って移動させることができる。シリンダ340による揺動駆動部320の最後退位置は、保持搬送部20が最前進位置に位置付けられた状態において、押出部310が反時計回りに回転された際に押出プレート311の先端部が保持部210に保持されている収納袋Sの前方側に位置付けられる、または収納袋Sの前方側端部に当接する位置とすることが好ましい。また、シリンダ340による揺動駆動部320の最前進位置は、押出プレート311の先端部がベースBの孔部B1内に挿入される位置とすることが好ましい。本実施形態においては、最後退位置が揺動駆動部320の基準位置となる。
【0024】
本実施形態においては、揺動駆動部320が最前進位置に位置付けられた際、押出プレート311により後方に押し出された収納袋Sが完全に孔部B1内に位置させる、具体的には孔部B1の底面上に載置させると共に、粘着テープTの後端部が孔部B1から所定長さ垂下して露出するように、押出プレート311の先端部がベースBの孔部B1内に挿入される。ここでの「所定長さ」は、粘着テープTの垂下する後端部(以後、露出部分T1と称する)が略180度、即ち上方に向かって立ち上がるように折り曲げられた際に、孔部B1の上方に隣接する上方孔部B2にまで、露出部分T1先端が到達する長さとすることが好ましい。
【0025】
昇降接着部40は、保持搬送部20とベースBとの間に位置するように配置されており、粘着テープTの露出部分T1を上方に折り曲げてベースBに接着させる機能を有する。昇降接着部40は、ブラシ410と、支持プレート420と、シリンダ430とを備える。
【0026】
ブラシ410は、左右方向に延在する棒状部材であるブラシ柄411を有する。ブラシ柄411は、前後方向においてベースBから僅かに離間しており、且つ基準位置においてベースBより下方に位置付けられている。ブラシ柄411の左右方向一端部の背面には、ブラシ毛412が設けられている。ブラシ毛412は、ベースBの孔部B1の下方に位置し、且つ左右方向長さが孔部B1よりも長く、且つ可撓性を有する複数の毛材が束ねられて形成されている。また、ブラシ毛412は、その先端が前後方向においてベースBの前方側端面より後方に位置する長さを有する。使用される毛材としては、樹脂毛等の人工毛や獣毛等の天然毛を用いることが好ましい。
【0027】
ブラシ410のブラシ柄411の他端部は、支持プレート420が設けられており、支持プレート420はピストンロッド431を介してシリンダ430により上下方向に往復動可能に支持されている。
【0028】
シリンダ430は、空圧や油圧等でピストンロッド431を上下方向に往復動可能に収容しており、所定のタイミングで支持プレート420を介してブラシ410を上下方向に沿って移動させることができる。シリンダ430によるブラシ410の最後退位置、つまり最上昇位置は、ブラシ410のブラシ毛412がベースBにおける孔部B1の上方に隣接する上方孔部B2に達するまで上昇する位置とすることが好ましく、最前進位置、つまり最下降位置は上述した基準位置とすることが好ましい。
【0029】
ベース搬送部50は、昇降接着部40及び水平接着部60の前後方向後方に配置されており、ベースBを保持して左右方向に搬送する機能を有する。ベース搬送部50は、ベースホルダ510と、ガイドレール520とを備える。
【0030】
ベースホルダ510は、上方が開放された正面視略C字状に平板部材が折り曲げられ、且つ前後方向に延在して形成されており、ベースBの下面と両側面とに当接することでベースBを支持する。ベースホルダ510は、その下方に設けられて左右方向に平行に延在するガイドレール520に対してスライド可能に支持されており、左右方向への往復動を可能とする図示しない一軸のアクチュエータが連結されている。ガイドレール520は、一端部が保持搬送部20の後方に位置し、他端部が水平接着部60の後方に位置しており、これによりベースホルダ510は、保持搬送部20の後方に位置する基準位置から、水平接着部60の後方に位置する処理位置にまで移動可能となっている。
【0031】
水平接着部60は、押出搬送部30から
図2中右側に離間して配置されており、折り曲げられた状態にある露出部分T1を後方に折り曲げてベースBに接着させる機能を有する。水平接着部60は、ブラシ610と、支持プレート620と、シリンダ630とを備える。
【0032】
ブラシ610は、前後方向に延在する棒状部材であるブラシ柄611を有する。ブラシ柄611は、基準位置において、ベースBが上述した処理位置に位置付けられた際、前後方向においてベースBから僅かに離間しており、且つ上下方向において上方孔部B2に対向する位置に位置付けられている。ブラシ柄611の上下左右方向幅は、ベースBの上方孔部B2に挿入可能なサイズとなっている。ブラシ柄611の後方側端部下面には、ブラシ毛612が設けられている。ブラシ毛612は、可撓性を有する複数の毛材が束ねられて形成されており、その先端が上下方向においてベースBの上方孔部B2の底面、換言すれば孔部B1と上方孔部B2とを隔てる隔壁の上面より下方に位置する長さを有する。使用される毛材としては、樹脂毛等の人工毛や獣毛等の天然毛を用いることが好ましい。
【0033】
ブラシ610のブラシ柄611の前方側端部には、支持プレート620が設けられており、支持プレート620はピストンロッド631(
図13参照)を介してシリンダ630により前後方向に往復動可能に支持されている。
【0034】
シリンダ630は、空圧や油圧等でピストンロッド631を前後方向に往復動可能に収容しており、所定のタイミングで支持プレート620を介してブラシ610を前後方向に沿って移動させることができる。シリンダ630によるブラシ610の最後退位置は、ブラシ610がベースBに接触しない程度に前方に離間する位置とすることが好ましく、この最後退位置がブラシ610の基準位置となる。一方、ブラシ610の最前進位置は、少なくともブラシ毛612がベースBの上方孔部B2内に没入するまで前進した位置とすることが好ましい。
【0035】
(装置動作)
次に、本実施形態に係る貼付装置1の動作(貼付方法)について詳細に説明する。
図6~
図10は、それぞれ本実施形態に係るテープディスペンサ、保持搬送部、押出搬送部における各種動作を説明するための概略平面図である。
図11は、本実施形態に係る昇降接着部の動作を説明するための概略正面図である。
図12及び
図13は、それぞれ本実施形態に係るベース搬送部、水平接着部の動作を説明するための概略平面図である。なお、
図9、
図10、及び
図12においては、説明上、ベースBのみが孔部B1を横に切断した切断面から見た断面図で示されている。また
図13においては、説明上、ベースB、粘着テープT、及び収納袋Sのみが、それらを縦に切断した切断面から見た縦断面で示されている。
【0036】
先ず作業者は、ベース搬送部50のベースホルダ510にベースBをセットした後、制御装置70が有する制御盤を操作して貼付装置1を駆動させる。
【0037】
駆動直後、
図6に示されるように、保持搬送部20の保持部210は基準位置にあり、その前方側端部がテープディスペンサ10の不図示のテープ排出口に近接した状態にある。テープディスペンサ10は、保持部210の窪み211上に載置されるように所定量粘着テープTを繰り出し、切断する。
【0038】
切断後、
図7に示されるように、作業者は収納袋Sを粘着テープT上に載置する。この時、粘着テープTは、粘着面が上面を向いているため、収納袋Sは粘着テープTに対して接着することとなる。この時、収納袋Sは粘着テープTの後方側端部近傍に載置されることが好ましい。なお、この粘着テープT上への収納袋Sの載置は、作業者ではなく機械により自動でなされるようにしてもよい。例えば、収納袋Sを把持する6軸等の自由度を有して移動可能なハンドユニットを用いて粘着テープTの切断タイミングで粘着テープT上に収納袋Sを載置するようにしてもよく、複数の収納袋Sを保持するホルダを粘着テープTの載置位置の上方に設け、当該切断タイミングで上方から順次落下させることで粘着テープT上に収納袋Sを載置するようにしてもよい。
【0039】
粘着テープT上に収納袋Sが載置された後、揺動駆動部230により付勢部220が正面視時計回りに揺動され、付勢プレート221の先端が収納袋Sに当接する。この時、付勢プレート221により収納袋Sが下方に付勢されることで、収納袋S及び粘着テープTは保持部210に対して移動不能に押え付けられた状態となる。
【0040】
付勢部220の揺動後、
図8に示されるように、シリンダ260により揺動駆動部230が後方に前進され、揺動駆動部230と共に保持部210が最前進位置に位置付けられる。この移動において、収納袋Sと共に粘着テープTが付勢プレート221により下方に付勢されるため、移動の影響で保持部210からこれらが脱落することを防止することができる。移動後、揺動駆動部230により付勢部220が正面視反時計回りに揺動され、収納袋Sの付勢が解除される、解除後、揺動駆動部320により押出部310が正面視反時計回りに揺動され、押出プレート311の先端が粘着テープT上に位置すると共に僅かに離間する位置に位置付けられる。
【0041】
押出部310の揺動後、
図9に示されるように、シリンダ340により揺動駆動部320が後方に前進され、揺動駆動部320と共に押出部310が最前進位置に位置付けられる。この移動により、押出部310の押出プレート311先端が収納袋Sに当接して共に後方に移動されることとなり、押出プレート311の先端と共に収納袋SがベースBの孔部B1内に挿入、収容されることとなる。この時、粘着テープTの前方側端部は、孔部B1から外部に垂下する形で露出し、上述した露出部分T1となる。
【0042】
なお、押出プレート311の先端を収納袋Sに当接して揺動駆動部320が後方に前進されるようにしてもよく、その場合は、押出プレート311により収納袋Sが下方に付勢される、または、収納袋S内の締結具群の前後方向前方側に押出プレート311の先端が位置することが好ましい。このような状態であっても、押出搬送部30により収納袋Sと共に粘着テープTをベースBの孔部B1内に収容させることができる。
【0043】
押出部310の最前進位置への位置付け後、
図10に示されるように、シリンダ340により揺動駆動部320が前方に後退されて基準位置に戻されると共に、揺動駆動部320により押出部310が正面視時計回りに揺動され、シリンダ260により揺動駆動部230が前方に後退されて基準位置に戻される。
【0044】
この揺動駆動部230の後退と同期して、
図11(a)に示される基準位置にあるブラシ410は、
図11(b)に示されるように、シリンダ430により支持プレート420と共に上昇されて最後退位置に位置付けられる。このブラシ410の上昇により、粘着テープTの露出部分T1は、その裏面がブラシ410のブラシ毛412に接触してこれと共に上方に折り曲げられるように立ち上げられる。この立ち上げがなされると、ブラシ毛412の先端はベースBの前方側端部よりも後方にまで突出していることから、露出部分T1の裏面を摺動することにより、露出部分T1の上面、つまり粘着面をベースBの前方側端面に付勢しつつ上昇することとなる。
【0045】
この付勢により、露出部分T1は、その粘着面がベースBの前方側端面、具体的には孔部B1と上方孔部B2との間の隔壁の前方側端面に付勢される。当該付勢により隔壁の前方側端面と露出部分T1の粘着面とが接着し、接着部分T2が形成されることとなる。接着部分T2が形成された後、
図11(c)に示されるように、シリンダ430により支持プレート420と共にブラシ410は下降され、基準位置に戻される。ブラシ410が基準位置に戻ったとしても、接着部分T2が形成されることで、露出部分T1は下方に垂下することなく、上方に折り曲げられた状態が維持される。
【0046】
ブラシ410の基準位置への移動後、
図12に示されるように、収納袋S及び粘着テープTが収容されたベースBがベースホルダ510と共に不図示のアクチュエータにより図中右方向に移動され、処理位置に位置付けられる。
【0047】
ベースBの最前進位置への位置付け後、
図13(a)に示される基準位置にあるブラシ610は、
図13(b)に示されるように、シリンダ630により支持プレート620と共に後方に前進されて最前進位置に位置付けられる。このブラシ610の前進により、粘着テープTの露出部分T1の先端は、その裏面がブラシ610のブラシ毛612に接触してこれと共に後方に折り曲げられる。この折り曲げがなされると、ブラシ毛612の先端は上方孔部B2の底面よりも下方突出していることから、露出部分T1の裏面を摺動することにより、露出部分T1の粘着面を上方孔部B2の底面に付勢しつつ前進することとなる。
【0048】
この付勢により、露出部分T1は、その粘着面が上方孔部B2の底面に付勢される。当該付勢により上方孔部B2の底面と露出部分T1の粘着面とが接着し、接着部分T3が形成されることとなる。接着部分T3が形成された後、
図13(c)に示されるように、シリンダ630により支持プレート620と共にブラシ610は前方に後退され、基準位置に戻される。このブラシ610の基準位置への移動と同期して、ベースBと共にベースホルダ510が基準位置に戻され、再び
図6に示されるようにテープディスペンサ10による粘着テープTの繰り出しがなされて上記動作が繰り返される。
【0049】
なお、接着部分T3が形成された段階で基準位置に戻るに先立って、ベースホルダ510からベースBを貼り外すようにしてもよく、当該取り外しは作業者またはハンドユニット等の把持装置によりなされるようにしてもよい。
【0050】
以上に説明した本実施形態によれば、収納袋SのベースBへの貼り付け作業を略自動化することができるため、作業者の作業を大幅に削減することが可能となり、効率化を図ることができる。また、収納袋Sは粘着テープTに貼り付けられ、粘着テープTは接着部分T2,T3が形成されることで確実にベースBに貼り付けられるため、収納袋SのベースBからの脱落といった不具合を低減することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、貼り付けの対象物を収納袋S、被貼付体をベースBとしたがこれに限定するものではない。対象物、被貼付体共に、粘着テープT等の粘着体を介して互いを接着可能なものであれば、どのようなものでも対象とすることができることは言うまでもない。
【0052】
また、本実施形態においては、貼付装置1が水平接着部60を有すると説明したがこれに限定するものではない。昇降接着部40によれば接着部分T2を形成することができるため、対象物の被貼付体への貼り付けは可能である。ただし、水平接着部60を用いることで、対象物の被貼付体への貼り付けはより一層強力なものとすることができる。
【0053】
また、本実施形態においては、保持搬送部20、押出搬送部30、昇降接着部40、及び水平接着部60がシリンダにより往復動可能となっていると説明したが、これに限定するものではなく、移動対象を往復動可能なアクチュエータであればどのような駆動装置を用いてもよい。
【0054】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0055】
1 貼付装置
10 テープディスペンサ
20 保持搬送部(保持部、付勢部、第1搬送部)
210 保持部
220 付勢部
260 シリンダ(第1搬送部)
30 押出搬送部(当接部、押出部、第2搬送部)
310 押出部
330 シリンダ(第2搬送部)
40 昇降接着部(接着部)
50 ベース搬送部
60 水平接着部(接着部)
S 収納袋(対象物)
B ベース(被貼付体)
T 粘着テープ(粘着体)
T1 露出部分(非当接部)