(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072216
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】配線回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20240520BHJP
H05K 3/44 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H05K1/11 C
H05K3/44 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182954
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 良介
【テーマコード(参考)】
5E315
5E317
【Fターム(参考)】
5E315AA01
5E315BB04
5E315BB05
5E315BB15
5E315BB16
5E315CC01
5E315DD15
5E315GG13
5E317AA04
5E317BB02
5E317BB03
5E317BB12
5E317BB13
5E317BB14
5E317BB18
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD15
5E317CD25
5E317GG09
(57)【要約】
【課題】端子が第1絶縁層から剥離することを抑制できる配線回路基板を提供する。
【解決手段】
配線回路基板1は、第1絶縁層12と、厚み方向において第1絶縁層12の一方側に配置され、端子131Aと、端子131Aと接続される配線133Aとを有する導体パターン13と、端子131Aが第1絶縁層12から剥離することを抑制するための第2絶縁層14とを備える。第2絶縁層14は、厚み方向において第1絶縁層12の一方側に配置される第1部分14Aと、厚み方向において端子131Aの周縁部Eの一方側に配置され、周縁部Eを覆う第2部分14Bとを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
厚み方向において前記第1絶縁層の一方側に配置され、端子と、前記端子と接続される配線とを有する導体パターンと、
前記端子が前記第1絶縁層から剥離することを抑制するための第2絶縁層であって、前記厚み方向において前記第1絶縁層の前記一方側に配置される第1部分と、前記厚み方向において前記端子の周縁部の前記一方側に配置され、前記周縁部を覆う第2部分とを有する第2絶縁層と、
を備える、配線回路基板。
【請求項2】
前記端子は、
前記厚み方向において前記第1絶縁層の前記一方側に配置される第1導体層と、
前記第1導体層と同じ材料からなり、前記厚み方向において前記第1導体層の前記一方側に配置される第2導体層と
を有する、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記第1導体層は、前記周縁部を有し、
前記周縁部は、前記厚み方向と直交する方向において前記第2導体層のエッジよりも外側に配置され、
前記第2絶縁層の前記第2部分は、前記第2導体層を覆わず、前記第1導体層の前記周縁部を覆う、請求項2に記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記第2導体層は、前記周縁部を有し、
前記周縁部は、前記厚み方向と直交する方向において前記第1導体層のエッジよりも外側に配置され、
前記第2絶縁層の前記第2部分は、前記第2導体層の前記周縁部を覆う、請求項2に記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記端子は、前記厚み方向において、前記第2絶縁層よりも前記一方側に突出する、請求項2に記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記第2導体層は、前記第1導体層よりも厚い、請求項2に記載の配線回路基板。
【請求項7】
前記第2絶縁層の前記第2部分は、前記端子の全周において、前記周縁部を覆う、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項8】
前記周縁部は、
前記配線と接続される第1周縁部と、
前記厚み方向と直交する第1方向において前記第1周縁部に対して前記配線の反対側に配置される第2周縁部と
を有し、
前記第2絶縁層の前記第2部分は、前記第1周縁部を覆わず、前記第2周縁部を覆う、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項9】
前記厚み方向において前記第1絶縁層の他方側に配置される金属支持層を、さらに備える、請求項1に記載の配線回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベース絶縁層と、端子部と配線部とを有する導体層と、配線部を覆うカバー絶縁層とを備える配線回路基板が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載されるような配線回路基板において、端子部がベース絶縁層から剥離することを抑制したいという要望がある。
【0005】
本発明は、端子が第1絶縁層から剥離することを抑制できる配線回路基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明[1]は、第1絶縁層と、厚み方向において前記第1絶縁層の一方側に配置され、端子と、前記端子と接続される配線とを有する導体パターンと、前記端子が前記第1絶縁層から剥離することを抑制するための第2絶縁層であって、前記厚み方向において前記第1絶縁層の前記一方側に配置される第1部分と、前記厚み方向において前記端子の周縁部の前記一方側に配置され、前記周縁部を覆う第2部分とを有する第2絶縁層とを備える、配線回路基板を含む。
【0007】
このような構成によれば、第2絶縁層の第2部分が端子の周縁部を覆っている。
【0008】
そのため、第2絶縁層の第2部分によって、端子が第1絶縁層から剥離することを抑制できる。
【0009】
本発明[2]は、前記端子が、前記厚み方向において前記第1絶縁層の前記一方側に配置される第1導体層と、前記第1導体層と同じ材料からなり、前記厚み方向において前記第1導体層の前記一方側に配置される第2導体層とを有する、上記[1]の配線回路基板を含む。
【0010】
このような構成によれば、端子が複数の導体層(第1導体層、第2導体層)からなる。そのため、端子が1つの導体層からなる場合と比べて、端子が、厚く、かつ、重くなる。
【0011】
そのため、端子が1つの導体層からなる場合と比べて、端子が第1絶縁層から剥離しやすくなる可能性がある。
【0012】
この点、第2絶縁層の第2部分で端子の周縁部を覆うことにより、端子が複数の導体層からなる場合であっても、端子が第1絶縁層から剥離することを抑制できる。
【0013】
本発明[3]は、前記第1導体層が、前記周縁部を有し、前記周縁部が、前記厚み方向と直交する方向において前記第2導体層のエッジよりも外側に配置され、前記第2絶縁層の前記第2部分が、前記第2導体層を覆わず、前記第1導体層の前記周縁部を覆う、上記[2]の配線回路基板を含む。
【0014】
このような構成によれば、第2絶縁層で覆われない第2導体層において端子と電子部品とを容易に接続できながら、第1導体層の周縁部を第2絶縁層で覆うことにより、端子が第1絶縁層から剥離することを抑制できる。
【0015】
本発明[4]は、前記第2導体層が、前記周縁部を有し、前記周縁部が、前記厚み方向と直交する方向において前記第1導体層のエッジよりも外側に配置され、前記第2絶縁層の前記第2部分が、前記第2導体層の前記周縁部を覆う、上記[2]の配線回路基板を含む。
【0016】
このような構成によれば、第1導体層の一方側に配置される第2導体層で、端子の周縁部が構成される。
【0017】
そのため、第1導体層を第2導体層で覆い、さらに、第2導体層の周縁部を第2絶縁層で覆うことができる。
【0018】
その結果、端子が第1絶縁層から剥離することだけでなく、第2導体層が第1導体層から剥離することも抑制できる。
【0019】
本発明[5]は、前記端子が、前記厚み方向において、前記第2絶縁層よりも前記一方側に突出する、上記[2]~[4]のいずれか1つの配線回路基板を含む。
【0020】
このような構成によれば、端子が第1絶縁層から剥離することを抑制できながら、端子と電子部品とを容易に接続できる。
【0021】
本発明[6]は、前記第2導体層が、前記第1導体層よりも厚い、上記[2]~[5]のいずれか1つの配線回路基板を含む。
【0022】
このような構成によれば、第2導体層によって、端子の厚みを確保できる。
【0023】
本発明[7]は、前記第2絶縁層の前記第2部分が、前記端子の全周において、前記周縁部を覆う、上記[1]~[6]のいずれか1つの配線回路基板を含む。
【0024】
このような構成によれば、端子が第1絶縁層から剥離することを、より抑制できる。
【0025】
本発明[8]は、前記周縁部が、前記配線と接続される第1周縁部と、前記厚み方向と直交する第1方向において前記第1周縁部に対して前記配線の反対側に配置される第2周縁部とを有し、前記第2絶縁層の前記第2部分が、前記第1周縁部を覆わず、前記第2周縁部を覆う、上記[1]~[7]のいずれか1つの配線回路基板を含む。
【0026】
このような構成によれば、少ない第2絶縁層で効率よく、端子が第1絶縁層から剥離することを抑制できる。
【0027】
本発明[9]は、前記厚み方向において前記第1絶縁層の他方側に配置される金属支持層を、さらに備える、上記[1]~[8]のいずれか1つの配線回路基板を含む。
【0028】
このような構成によれば、金属支持層により、配線回路基板の剛性を確保できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の配線回路基板によれば、端子が第1絶縁層から剥離することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態としての配線回路基板の平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す配線回路基板のA-A断面図である。
【
図3】
図3Aから
図3Eは、
図1に示す配線回路基板の製造工程を説明するための工程図であって、
図3Aは、金属支持層を準備する工程を示し、
図3Bは、第1絶縁層を形成する工程を示し、
図3Cは、第1導体層を形成する工程を示し、
図3Dは、第2導体層を形成する工程を示し、
図3Eは、第2絶縁層を形成する工程を示す。
【
図4】
図4Aは、第2絶縁層が、第1周縁部、第3周縁部および第4周縁部を覆わず、第2周縁部を覆う変形例を示す。
図4Bは、
図4AのB-B断面図を示す。
【
図5】
図5Aは、第2絶縁層が、第1周縁部および第2周縁部を覆わず、第3周縁部および第4周縁部を覆う変形例を示す。
図5Aは、第2絶縁層が、周縁部のコーナーのみを覆う変形例を示す。
【
図6】
図6Aは、第2絶縁層が、第1周縁部を覆わず、第2周縁部、第3周縁部および第4周縁部を覆う変形例を示す。
図6Aは、第2絶縁層が、第1周縁部および第4周縁部を覆わず、第2周縁部および第3周縁部を覆う変形例を示す。
【
図7】
図7Aは、端子が、第2導体層を有さず、第1導体層と保護層とからなる変形例を示す。
図7Bは、第2絶縁層の第2部分が端子の第2導体層よりも厚い変形例を示す。
【
図8】
図8は、第2導体層が周縁部を有する変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.配線回路基板
図1に示すように、配線回路基板1は、第1方向および第2方向に延びる。第1方向は、配線回路基板1の厚み方向と直交する。第2方向は、配線回路基板1の厚み方向および第1方向と直交する。本実施形態では、配線回路基板1は、略矩形状を有する。なお、配線回路基板1の形状は、限定されない。
【0032】
図2に示すように、配線回路基板1は、金属支持層11と、第1絶縁層12と、導体パターン13と、第2絶縁層14とを備える。
【0033】
(1)金属支持層
金属支持層11は、第1絶縁層12と、導体パターン13と、第2絶縁層14とを支持する。金属支持層11は、配線回路基板1の厚み方向において、第1絶縁層12の他方側に配置される。本実施形態では、金属支持層11の材料として、例えば、ステンレス、および、銅合金が挙げられる。
【0034】
(2)第1絶縁層
第1絶縁層12は、厚み方向において、金属支持層11の一方側に配置される。第1絶縁層12は、金属支持層11上に配置される。第1絶縁層12は、金属支持層11と導体パターン13との間に配置される。第1絶縁層12は、金属支持層11と導体パターン13とを絶縁する。第1絶縁層12は、樹脂からなる。樹脂として、例えば、ポリイミド、マレイミド、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサゾール、および、ポリエステルが挙げられる。
【0035】
(3)導体パターン
導体パターン13は、厚み方向において、第1絶縁層12の一方側に配置される。導体パターン13は、第1絶縁層12上に配置される。導体パターン13の形状は、限定されない。
【0036】
本実施形態では、
図1に示すように、導体パターン13は、複数の端子131A,131Bと、複数の端子132A,132Bと、複数の配線133A,133Bとを有する。
【0037】
(3-1)端子
端子131A,131Bは、第1方向における配線回路基板1の一端部に配置される。端子131A,131Bは、間隔を隔てて第2方向に並ぶ。端子131A,131Bのそれぞれは、第1方向および第2方向に延びる角ランド形状を有する。なお、端子131A,131Bのそれぞれの形状は、限定されない。端子131A,131Bのそれぞれは、円形状であってもよい。端子131Aは、接続部Cと、周縁部Eとを有する。
【0038】
接続部Cは、電子部品と端子131Aとの接続に使用される部分である。接続部Cは、第1方向および第2方向において、端子131Aの中央部分に配置される。
【0039】
周縁部Eは、第1方向おける端子131Aの両端部、および、第2方向における端子131Aの両端部に配置される。周縁部Eは、接続部Cを囲む。
【0040】
また、
図2に示すように、端子131Aは、厚み方向において、第2絶縁層14よりも一方側に突出する。詳しくは、端子131Aは、第1導体層13Aと、第2導体層13Bと、保護層13Cとを有する。言い換えると、導体パターン13は、第1導体層13Aと、第2導体層13Bと、保護層13Cとを有する。
【0041】
第1導体層13Aは、厚み方向において、第1絶縁層12の上に配置される。第1導体層13Aは、第1方向および第2方向に延びる。第1導体層13Aは、接続部Cと周縁部Eとにわたって配置される。つまり、第1導体層13Aは、周縁部Eを有する。第1導体層13Aは、金属からなる。金属として、例えば、銅、銀、金、鉄、アルミニウム、クロム、および、それらの合金が挙げられる。良好な電気特性を得る観点から、好ましくは、銅が挙げられる。
【0042】
第2導体層13Bは、厚み方向において、第1導体層13Aの上に配置される。第2導体層13Bは、第1方向および第2方向に延びる。第2導体層13Bは、接続部Cに配置される。本実施形態では、第2導体層13Bは、周縁部Eには配置されていない。つまり、周縁部Eは、第1方向および第2方向において、第2導体層13Bのエッジよりも外側に配置される。第2導体層13Bは、第1導体層13Aと同じ材料からなる。第2導体層13Bは、第1導体層13Aよりも厚い。
【0043】
保護層13Cは、端子131Aのうち、第2絶縁層14から露出する部分を覆う。具体的には、保護層13Cは、第2導体層13Bの表面を覆う。保護層13Cは、第1導体層13Aの表面の一部を覆ってもよい。保護層13Cは、端子131Aの腐食を抑制する。保護層13Cは、第1導体層13Aおよび第2導体層13Bと異なる金属からなる。保護層13Cの金属として、例えば、ニッケル、金、および、錫が挙げられる。好ましくは、保護層13Cは、金からなる。
【0044】
なお、端子131Bについての説明は、端子131Aについての説明と同様である。そのため、端子131Bの説明は、省略される。
【0045】
また、
図1に示すように、端子132A,132Bは、第1方向における配線回路基板1の他端部に配置される。端子132A,132Bは、間隔を隔てて第2方向に並ぶ。
【0046】
端子132A,132Bのそれぞれについての説明も、端子131Aについての説明と同様である。そのため、端子132A,132Bの説明も省略される。
【0047】
(3-2)配線
配線133Aは、端子131Aと端子132Aとを電気的に接続する。配線133Aの一端は、端子131Aの第1導体層13Aと接続される。配線133Aの他端は、端子132Aの第1導体層13Aと接続される。配線133Aは、第1導体層13Aと同じ材料からなる。
【0048】
配線133Bは、端子131Bと端子132Bとを電気的に接続する。配線133Bの一端は、端子131Bの第1導体層13Aと接続される。配線133Bの他端は、端子132Bの第1導体層13Aと接続される。配線133Bは、第1導体層13Aと同じ材料からなる。
【0049】
(4)第2絶縁層
図2に示すように、第2絶縁層14は、端子131Aが第1絶縁層12から剥離することを抑制する。第2絶縁層14は、樹脂からなる。樹脂としては、例えば、ポリイミド、マレイミド、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサゾール、および、ポリエステルが挙げられる。第2絶縁層14は、端子131Aの周縁部Eの少なくとも一部を覆う。詳しくは、第2絶縁層14は、第1部分14Aと、第2部分14Bとを有する。
【0050】
第1部分14Aは、厚み方向において、第1絶縁層12の上に配置される。
【0051】
第2部分14Bは、厚み方向において、端子131Aの周縁部Eの上に配置される。第2部分14Bは、第1部分14Aと連続する。第2部分14Bは、周縁部Eの少なくとも一部を覆う。第2部分14Bは、第2導体層13Bを覆わず、第1導体層13Aの周縁部Eの少なくとも一部を覆う。本実施形態では、
図1に示すように、第2部分14Bは、端子131Aの全周において、周縁部Eを覆う。
【0052】
また、
図2に示すように、第2部分14Bは、第2導体層13Bよりも薄い。これにより、上記したように、端子131Aは、厚み方向において、第2絶縁層14よりも一方側に突出する。
【0053】
なお、第2絶縁層14は、端子131B,132A,132Bの周縁部Eの少なくとも一部、および、配線133A,133Bも覆う。
【0054】
2.配線回路基板の製造方法
次に、
図3Aから
図3Eを参照して、配線回路基板1の製造方法について説明する。
【0055】
配線回路基板1の製造方法は、金属支持層11を準備する工程(
図3A参照)と、第1絶縁層12を形成する工程(
図3B参照)と、第1導体層13Aを形成する工程(
図3C参照)と、第2導体層13Bを形成する工程(
図3D参照)と、第2絶縁層14を形成する工程(
図3E参照)と、保護層13Cを形成する工程(
図2参照)とを含む。
【0056】
配線回路基板1の製造するには、まず、
図3Aに示すように、金属箔のロール(図示せず)から金属箔を引き出して、引き出された金属箔を金属支持層11として準備する。
【0057】
次に、
図3Bに示すように、第2工程では、金属支持層11の上に、第1絶縁層12を形成する。
【0058】
第1絶縁層12を形成するには、まず、金属支持層11の上に感光性樹脂の溶液(ワニス)を塗布して乾燥し、感光性樹脂の塗膜を形成する。次に、感光性樹脂の塗膜を露光および現像し、必要により加熱硬化させる。これにより、第1絶縁層12が、金属支持層11の上に形成される。
【0059】
次に、
図3Cに示すように、第3工程では、第1絶縁層12の上に、第1導体層13Aを形成する。
【0060】
第1導体層13Aを形成するには、まず、第1絶縁層12の表面にシード層を形成する。シード層は、例えば、スパッタリングにより形成される。シード層の材料としては、例えば、クロム、銅、ニッケル、チタン、および、これらの合金が挙げられる。
【0061】
次に、シード層が形成された第1絶縁層12の上に、メッキレジストを貼り合わせて、第1導体層13Aが形成される部分を遮光した状態で、メッキレジストを露光する。
【0062】
次に、露光されたメッキレジストを現像する。すると、遮光された部分のメッキレジストが除去され、第1導体層13Aが形成される部分にシード層が露出する。なお、露光された部分、すなわち、第1導体層13Aが形成されない部分のメッキレジストは、残る。
【0063】
次に、露出したシード層の上に、電解メッキにより、第1導体層13Aを形成する。
【0064】
そして、電解メッキが終了した後、メッキレジストを剥離する。
【0065】
次に、
図3Dに示すように、第4工程では、第1導体層13Aの上に、第2導体層13Bを形成する。
【0066】
第2導体層13Bを形成するには、まず、第1絶縁層12の上に、第1導体層13Aを覆うようにメッキレジストを貼り合わせて、第2導体層13Bが形成される部分を遮光した状態で、メッキレジストを露光する。
【0067】
次に、露光されたメッキレジストを現像する。すると、遮光された部分のメッキレジストが除去され、第2導体層13Bが形成される部分に第1導体層13Aが露出する。なお、露光された部分、すなわち、第2導体層13Bが形成されない部分のメッキレジストは、残る。
【0068】
次に、露出した第1導体層13Aの上に、電解メッキにより、第2導体層13Bを形成する。
【0069】
そして、電解メッキが終了した後、メッキレジストを剥離する。
【0070】
次に、メッキレジストを剥離することにより露出したシード層を、エッチングにより除去する。
【0071】
次に、
図3Eに示すように、第5工程では、第1絶縁層12の形成と同様にして、第1絶縁層12、端子131A,131B,132A,132Bのそれぞれの周縁部E、および、配線133A,133Bの上に第2絶縁層14を形成する。
【0072】
次に、
図2に示すように、端子131Aのうち、第2絶縁層14から露出する部分に、無電解メッキまたは電解メッキにより、保護層13Cを形成する。
【0073】
3.作用効果
(1)配線回路基板1によれば、
図2に示すように、第2絶縁層14の第2部分14Bが、端子131Aの周縁部Eを覆っている。
【0074】
そのため、第2絶縁層14の第2部分14Bによって、端子131Aが第1絶縁層12から剥離することを抑制できる。
【0075】
(2)配線回路基板1によれば、
図2に示すように、端子131Aは、複数の導体層(第1導体層13A、第2導体層13B)からなる。
【0076】
そのため、端子131Aが1つの導体層からなる場合と比べて、端子131Aが、厚く、かつ、重くなる。
【0077】
そのため、端子131Aが1つの導体層からなる場合と比べて、端子131Aが第1絶縁層12から剥離しやすくなる可能性がある。
【0078】
この点、第2絶縁層14の第2部分14Bで端子131Aの周縁部Eを覆うことにより、端子131Aが複数の導体層からなる場合であっても、端子131Aが第1絶縁層12から剥離することを抑制できる。
【0079】
(3)配線回路基板1によれば、
図2に示すように、第1導体層13Aが、周縁部Eを有している。第2絶縁層14は、第2導体層13Bを覆わず、第1導体層13Aの周縁部Eを覆う。
【0080】
そのため、第2絶縁層14で覆われない第2導体層13Bにおいて端子131Aと電子部品とを容易に接続できながら、第1導体層13Aの周縁部Eを第2絶縁層14で覆うことにより、端子131Aが第1絶縁層12から剥離することを抑制できる。
【0081】
(4)配線回路基板1によれば、
図2に示すように、端子131Aは、厚み方向において、第2絶縁層14よりも一方側に突出する。
【0082】
そのため、端子131Aが第1絶縁層12から剥離することを抑制できながら、端子131Aと電子部品とを容易に接続できる。
【0083】
(5)配線回路基板1によれば、
図2に示すように、第2導体層13Bは、第1導体層13Aよりも厚い。
【0084】
そのため、第2導体層13Bによって、端子131Aの厚みを確保できる。
【0085】
(6)配線回路基板1によれば、
図1に示すように、第2部分14Bは、端子131Aの全周において、周縁部Eを覆う。
【0086】
そのため、端子131Aが第1絶縁層12から剥離することを、より抑制できる。
【0087】
(7)配線回路基板1は、
図2に示すように、厚み方向において第1絶縁層12の他方側に配置される金属支持層11を備える。
【0088】
そのため、金属支持層11により、配線回路基板1の剛性を確保できる。
【0089】
4.変形例
次に、
図4Aから
図8を参照して、変形例について説明する。変形例において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0090】
(1)
図4Aおよび
図4Bに示すように、第2絶縁層14は、端子131Aの全周において周縁部Eを覆わなくてもよい。第2絶縁層14は、周縁部Eの一部を覆ってもよい。
【0091】
詳しくは、周縁部Eは、第1周縁部E1と、第2周縁部E2と、第3周縁部E3と、第4周縁部E4とを有する。
【0092】
第1周縁部E1は、第1方向における端子131Aの他端部に配置される。第1周縁部E1は、第1方向において、端子131Aの接続部Cの他方側に配置される。第1周縁部E1は、配線133Aと接続される。第1周縁部E1は、第2方向に延びる。
【0093】
第2周縁部E2は、第1方向における端子131Aの一端部に配置される。第2周縁部E2は、第1方向において、端子131Aの接続部Cの一方側に配置される。第2周縁部E2は、第1方向において、第1周縁部E1から離れて配置される。第2周縁部E2は、第1方向において、第1周縁部E1に対して配線133Aの反対側に配置される。第2周縁部E2は、第2方向に延びる。
【0094】
第3周縁部E3は、第2方向における端子131Aの一端部に配置される。第3周縁部E3は、第2方向において、端子131Aの接続部Cの一方側に配置される。第3周縁部E3は、第1方向において、第1周縁部E1と第2周縁部E2との間に配置される。第3周縁部E3は、第1方向に延びる。第1方向における第3周縁部E3の一端部は、第2方向における第1周縁部E1の一端部と接続する。第1方向における第3周縁部E3の他端部は、第2方向における第2周縁部E2の一端部と接続する。
【0095】
第4周縁部E4は、第2方向における端子131Aの他端部に配置される。第4周縁部E4は、第1方向において、端子131Aの接続部Cの他方側に配置される。第4周縁部E4は、第1方向において、第1周縁部E1と第2周縁部E2との間に配置される。第4周縁部E4は、第1方向に延びる。第1方向における第4周縁部E4の一端部は、第2方向における第1周縁部E1の他端部と接続する。第1方向における第4周縁部E4の他端部は、第2方向における第2周縁部E2の他端部と接続する。
【0096】
第2絶縁層14の第2部分14Bは、第1周縁部E1を覆わず、第2周縁部E2を覆う。この場合、第2絶縁層14は、配線133A,133Bを覆わなくてもよい。配線回路基板1は、配線133A,133Bを覆う第3絶縁層20を備えてもよい。第3絶縁層20は、第2絶縁層14から離れて配置される。第3絶縁層20は、第2絶縁層14を形成する工程(
図3E参照)において、第2絶縁層14とともに形成されてもよい。
【0097】
また、
図5Aに示すように、第2絶縁層14は、第2方向において、端子131Aの接続部Cの一方側と、端子131Aの接続部Cの他方側とに、1つずつ配置されてもよい。第2方向において端子131Aの接続部Cの一方側に配置される第2絶縁層14は、第3周縁部E3を覆う。第2方向において端子131Aの接続部Cの他方側に配置される第2絶縁層14は、第4周縁部E4を覆う。
【0098】
また、
図5Bに示すように、第2絶縁層14は、端子131Aのコーナーにおいて、周縁部Eを覆ってもよい。
【0099】
また、
図6Aに示すように、第2絶縁層14は、第1周縁部E1を覆わず、第2周縁部E2、第3周縁部E3、および、第4周縁部E4を覆ってもよい。
【0100】
また、
図6Bに示すように、第2絶縁層14は、第1周縁部E1と第4周縁部E4を覆わず、第2周縁部E2および第3周縁部E3を覆ってもよい。また、第2絶縁層14は、第1周縁部E1と第3周縁部E3を覆わず、第2周縁部E2および第4周縁部E4を覆ってもよい。
【0101】
図4Aから
図6Bに示す変形例によれば、少ない第2絶縁層14で効率よく、端子131Aが第1絶縁層12から剥離することを抑制できる。
【0102】
(2)
図7Aに示すように、端子131Aは、第2導体層13Bを有さず、第1導体層13Aと保護層13Cとからなってもよい。
【0103】
(3)
図7Bに示すように、第2絶縁層14の第2部分14Bは、端子131Aの第2導体層13Bより厚くてもよい。
【0104】
(4)
図8に示すように、第2導体層13Bが周縁部Eを有してもよい。詳しくは、第2導体層13Bの周縁部Eは、第1方向および第2方向において、第1導体層13Aのエッジよりも外側に配置される。この場合、第1方向における第1導体層13Aの両側面、および、第2方向における第1導体層13Aの両側面の少なくとも一部は、第2導体層13Bによって覆われる。そして、第2絶縁層14の第2部分14Bは、第2導体層13Bの周縁部Eを覆う。
【0105】
この変形例によれば、第1導体層13Aの一方側に配置される第2導体層13Bで、端子131Aの周縁部Eが構成される。
【0106】
そのため、第1導体層13Aを第2導体層13Bで覆い、さらに、第2導体層13Bの周縁部Eを第2絶縁層14で覆うことができる。
【0107】
その結果、端子131Aが第1絶縁層12から剥離することだけでなく、第2導体層13Bが第1導体層13Aから剥離することも抑制できる。
【符号の説明】
【0108】
1 配線回路基板
11 金属支持層
12 第1絶縁層
13 導体パターン
13A 第1導体層
13B 第2導体層
14 第2絶縁層
14A 第1部分
14B 第2部分
131A 端子
133A 配線
E 周縁部
E1 第1周縁部
E2 第2周縁部