(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072232
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】材料表面処理装置、材料表面処理方法および炭化ケイ素材料表面処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240520BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20240520BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20240520BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20240520BHJP
B24B 1/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H01L21/304 621
H01L21/304 622W
B01J19/12 F
B24B37/10
B24B37/00 Z
B24B1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207643
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】111143638
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504007741
【氏名又は名称】國立中央大學
【住所又は居所原語表記】NO.300, Jhongda Road, Jhongli District, Taoyuan City, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】李天錫
(72)【発明者】
【氏名】呉俊煌
(72)【発明者】
【氏名】邱祐昇
(72)【発明者】
【氏名】李恕成
(72)【発明者】
【氏名】黄威▲チ▼
(72)【発明者】
【氏名】陳▲シン▼
【テーマコード(参考)】
3C049
3C158
4G075
5F057
【Fターム(参考)】
3C049AA07
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3C049CA04
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3C158AA07
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3C158CA04
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3C158ED26
4G075AA03
4G075AA13
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4G075FC13
5F057AA47
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5F057DA40
(57)【要約】
【課題】材料基板に応用される、材料表面処理装置を提供する。
【解決手段】前記材料表面処理装置は、表面処理装置および少なくとも一つの導波装置を含む。表面処理装置は、材料基板を搭載することで、表面処理工程を実行する。各導波装置は、材料基板に対して電磁波を導入することに用いられることで、表面処理工程の実行を補助する。電磁波の導入によって、材料基板の表面処理工程が実行しやすくなり、且つ強化効果を達成できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料基板に応用される、材料表面処理装置であって、前記材料表面処理装置は、表面処理装置と、少なくとも一つの導波装置と、を含み、
前記表面処理装置は、材料基板を搭載することで、表面処理工程を実行し、
各前記導波装置は、前記材料基板に対して電磁波を導入することに用いられることで、前記表面処理工程の実行を補助すること、を特徴とする材料表面処理装置。
【請求項2】
前記電磁波はマイクロ波であり、かつ前記マイクロ波の周波数の範囲は、900MHzから2.45GHzまでであること、を特徴とする請求項1に記載の材料表面処理装置。
【請求項3】
前記電磁波は紫外線であり、かつ前記の周波数の範囲は、8×1014Hzから2.4×1016Hz間であること、を特徴とする請求項1に記載の材料表面処理装置。
【請求項4】
前記表面処理装置は、さらに、処理剤付加ユニットを含み、前記紫外線を吸収する処理剤を、前記材料基板に付加すること、を特徴とする請求項3に記載の材料表面処理装置。
【請求項5】
前記表面処理装置は、さらに、処理剤付加ユニットを含み、前記電磁波を吸収する処理剤を、前記材料基板に付加すること、を特徴とする請求項1に記載の材料表面処理装置。
【請求項6】
前記処理剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物またはハロゲン化物、を含むこと、を特徴とする請求項5に記載の材料表面処理装置。
【請求項7】
前記処理剤は、遷移金属の酸化物またはハロゲン化物を含むこと、を特徴とする請求項5に記載の材料表面処理装置。
【請求項8】
前記処理剤は、液体または固体であること、を特徴とする請求項5に記載の材料表面処理装置。
【請求項9】
前記材料表面処理装置が、さらに、気体導入装置を含み、前記表面処理工程を実行する時に、少なくとも1つの不活性ガスまたは少なくとも1つの活性ガスを導入することに用いられること、を特徴とする請求項1に記載の材料表面処理装置。
【請求項10】
前記材料表面処理装置のうち、イ素基板、窒化ケイ素基板、窒化ガリウム基板、窒化アルミニウム基板、酸化ケイ素基板、酸化ジルコニウム基板または酸化アルミニウム基板であること、を特徴とする請求項1に記載の材料表面処理装置。
【請求項11】
前記材料基板は、表面薄膜を有する基板であること、を特徴とする請求項1に記載の材料表面処理装置。
【請求項12】
前記表面薄膜は、酸化ケイ素薄膜、炭化ケイ素薄膜、窒化ケイ素薄膜、窒化ガリウム薄膜、窒化アルミニウム薄膜、酸化ジルコニウム薄膜または酸化アルミニウム薄膜であること、を特徴とする請求項11に記載の材料表面処理装置。
【請求項13】
前記材料基板は、第四族元素半導体、第四族複合化合物半導体、第三~第五族複合化合物半導体、第二~第六族複合化合物半導体、または金属、半導体の酸化物または窒化物から構成されること、を特徴とする請求項1に記載の材料表面処理装置。
【請求項14】
前記表面処理工程は、食刻工程、薄化工程または研磨工程であること、を特徴とする請求項1に記載の材料表面処理装置。
【請求項15】
材料基板に応用される、材料表面処理方法であって、前記材料表面処理方法は、
表面処理装置を提供することで前記材料基板を搭載することと、
前記材料基板に対し表面処理工程を実行することと、および、
前記材料基板に対し電磁波を導入することで前記表面処理工程の実行を補助することと、を含むことを特徴とする材料表面処理方法。
【請求項16】
炭化ケイ素材料表面処理方法であって、前記炭化ケイ素材料表面処理方法は、
表面処理装置を提供することで炭化ケイ素基板を搭載することと、
前記炭化ケイ素基板に対し表面処理工程を実行することと、および、
前記炭化ケイ素基板に対しマイクロ波または紫外線を導入することで前記表面処理工程の実行を補助することと、を含むことを特徴とする炭化ケイ素材料表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料表面処理技術に関し、特に、電磁波を応用する材料表面処理方法、装置及び炭化ケイ素材料表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料基板は、主として、電子部品または製品の基礎構造部材とする。一般的に言うと、前記電子部品または製品の製造工程において、まず材料基板に対して相応の表面処理、例えば、研磨、食刻または薄化等を実行する必要があり、それにより、後続の他の製造工程の実行または応用が有利になる。
【0003】
半導体分野で常用される炭化ケイ素基板を例とすると、炭化ケイ素基板の硬度はダイヤモンドより低いため、炭化ケイ素基板に対して表面研磨を実行することは非常に困難である。従って、現在の研磨材料においては、ナノレベルのダイヤモンド粒子を用いる必要があり、それにより、理想的な研磨効果を達成することが期待できる。しかしながら、前記のダイヤモンド粒子は、製造上の難度が高く、かつ相当なコストがかかる。一方、前記研磨材料に強アルカリ或は強酸化剤の化学物質を添加して、炭化ケイ素基板の表面激化状態を引き起こし、更に化学反応を促進することで、表面の研磨が有利になる。しかしながら、前記研磨材料の製造工程後に生成された廃液には、これらの化学物質が存在し、強酸又は強アルカリ性を有するため、使用上環境に優しくないだけでなく、後続の処理が不適切であれば環境に危害をもたらす。
【0004】
したがって、前記問題点を改善できるような材料表面処理装置を如何にして設計するかは、実に研究に値する課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表面処理工程中に材料基板に対して電磁波を導入することによって材料表面処理の効果を向上させる、材料表面処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の材料表面処理装置は、材料基板に応用される。前記材料表面処理装置は、表面処理装置および少なくとも一つの導波装置を含む。表面処理装置は、材料基板を搭載することで、表面処理工程を実行する。各導波装置は、材料基板に対して電磁波を導入することに用いられることで、表面処理工程の実行を補助する。
【0007】
本発明の一実施例において、電磁波はマイクロ波であり、かつマイクロ波の周波数の範囲は、900MHzから2.45GHzまでである。
【0008】
本発明の一実施例において、電磁波は紫外線であり、かつ紫外線の周波数の範囲は、8×1014Hzから2.4×1016Hz間である。
【0009】
本発明の一実施例において、表面処理装置は、さらに、処理剤付加ユニットを含み、電磁波を吸収する処理剤を材料基板に付加する。
【0010】
本発明の一実施例において、処理剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物またはハロゲン化物、を含む。
【0011】
本発明の一実施例において、処理剤は、遷移金属の酸化物またはハロゲン化物を含む。
【0012】
本発明の一実施例において、処理剤は、液体または固体である。
【0013】
本発明の一実施例において、材料表面処理装置は、さらに、気体導入装置を含み、表面処理工程を実行する時に、少なくとも1つの不活性ガスまたは少なくとも1つの活性ガスを導入することに用いられる。
【0014】
本発明の一実施例において、材料基板は、ケイ素基板、ゲルマニウム基板、炭化ケイ素基板、窒化ケイ素基板、窒化ガリウム基板、窒化アルミニウム基板、酸化ケイ素基板、酸化ジルコニウム基板または酸化アルミニウム基板である。
【0015】
本発明の一実施例において、材料基板は、表面薄膜を有する基板である。
【0016】
本発明の一実施例において、表面薄膜は、酸化ケイ素薄膜、炭化ケイ素薄膜、窒化ケイ素薄膜、窒化ガリウム薄膜、窒化アルミニウム薄膜、酸化ジルコニウム薄膜または酸化アルミニウム薄膜である。
【0017】
本発明の一実施例において、材料基板は、第四族元素半導体、第四族複合化合物半導体、第三~第五族複合化合物半導体、第二~第六族複合化合物半導体、または金属、半導体の酸化物または窒化物から構成される。
【0018】
本発明の一実施例において、表面処理工程は、食刻工程、薄化工程または研磨工程である。
【0019】
本発明の他の目的は、材料表面処理方法を提供することである。本発明の材料表面処理方法は、表面処理装置を提供することで前記材料基板を搭載することと、前記材料基板に対し表面処理工程を実行することと、および、前記材料基板に対し電磁波を導入することで前記表面処理工程の実行を支援することと、を含む。
【0020】
本発明の又の目的は、炭化ケイ素材料表面処理方法を提供することである。本発明の炭化ケイ素材料表面処理方法は、表面処理装置を提供することで炭化ケイ素基板を搭載することと、前記炭化ケイ素基板に対し表面処理工程を実行することと、および、前記炭化ケイ素基板に対しマイクロ波または紫外線を導入することで前記表面処理工程の実行を支援することと、を含む。
【発明の効果】
【0021】
これにより、本発明は、導波装置によって、紫外線、マイクロ波または電磁波を、材料表面工程中に導入し、マイクロ波化学原理によって、紫外線等の電磁波を増強し、材料基板の表面化学反応を促進することで、材料表面工程を強化する効果を達成する。その他、本発明は、化学処理剤の使用を減少でき、更なる環境保護であるばかりでなく、製造コストを有効的に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の材料表面処理装置の実施例1の概略図である。
【
図2A】材料表面がマイクロ波処理を経た後に軟化し、並びに平坦化した概略図である。
【
図2B】マイクロ波により促進された酸化還元反応の概略図である。
【
図3】本発明の材料表面処理装置の実施例2の概略図である。
【
図4】本発明の材料表面処理方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の炭化ケイ素材料表面処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
各種の形態と実施例は例示的でかつ非制限的であるため、本明細書を読んだ後、通常の知識を有する者は、本発明の範疇から逸脱しない範囲の下で、他の形態と実施例をも有する可能がある。下記の詳細な説明と特許請求の範囲に基づいて、前記等実施例の特徴および利点は、更に強調される。
【0024】
本文において、「一つ」または「一個」という用語は、本文に記載された部品、ユニットおよびアセンブリを説明するために使用される。これは説明の便宜上のためであり、本発明の範囲に一般的な意味を持たせているに過ぎない。したがって、別の意味が意図されていることが明らかでない限り、このような記述は、一つ、少なくとも一つ、を含むと理解されるべきであり、単数形は同時に複数形も含む。
【0025】
本文において、「含む」、「有する」といった用語、あるいは他の任意の類似の用語は、非排他的な包含を含むことが意図される。例えば、複数の要素を含むユニットあるいは構造は、本文に列挙するこのような要素に限定されないものであり、明確には列挙されていないが前記ユニットあるいは構造に通常固有である他の要素を含むことが可能である。
【実施例0026】
図1を参考にされたい。本発明の材料表面処理装置の実施例1の概略図である。
図1に示す通り、本発明の材料表面処理装置1は、主に材料基板5の表面処理に応用される。材料基板5は、電子部品または製品の基礎構造部材である。材料基板5は、単一の材料で構成される単層構造あるいは異なる材料で構成される多層構造であってもよく、且つ材料基板5は、異なる需要に応じてその構造および/または構成材料を変更する。
【0027】
本発明の一実施例において、材料基板5は前記単層構造を例とし、材料基板5は、ケイ素基板、ゲルマニウム基板、炭化ケイ素基板、窒化ケイ素基板、窒化ガリウム基板、窒化アルミニウム基板、酸化ケイ素基板、酸化ジルコニウム基板または酸化アルミニウム基板であってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
本発明の一実施例において、材料基板5は前記多層構造を例とし、材料基板5は、表面薄膜を有する基板であってもよく、つまり、材料基板5は前記単層構造に基づいて基礎層を形成し、並びに基礎層に表面薄膜層を形成することができる。前記表面薄膜は
酸化ケイ素薄膜、炭化ケイ素薄膜、窒化ケイ素薄膜、窒化ガリウム薄膜、窒化アルミニウム薄膜、酸化ジルコニウム薄膜または酸化アルミニウム薄膜であってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0029】
このほか、本発明の一実施例において、材料基板5は、半導体材料を用いて構成してもよい。例えば、材料基板5は、第四族元素半導体、第四族複合化合物半導体、第三~第五族複合化合物半導体、第二~第六族複合化合物半導体、または金属、半導体の酸化物または窒化物から構成されてもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
本発明の材料表面処理装置1は、主に、表面処理装置10および少なくとも一つの導波装置20を含む。表面処理装置10は、材料基板5を搭載することで、表面処理工程を実行する。本発明の一実施例において、表面処理工程は、食刻工程、薄化工程、研磨工程、化学機械研磨工程、または他の表面処理と関連する工程であってもよい。本発明において、表面処理装置10は、表面処理ユニット11および駆動ユニット12を含み、且つ駆動ユニット12は表面処理ユニット11に接続される。表面処理ユニット11は、材料基板5に直接接触して材料基板5に対して対応する表面処理を実行することに用いられ、駆動ユニット12は、表面処理ユニット11が材料基板5に対して運動するように駆動することに用いられる。表面処理工程は研磨工程を例とし、本発明において、表面処理ユニット11は研磨ディスクであってもよく、且つ駆動ユニット12は研磨ディスクに接続されるサーボモータであってもよい。従って、サーボモータによって研磨ディスクが材料基板5に対して回転するように駆動することができ、それにより研磨ディスクを利用して材料基板5の表面に対して研磨工程を実行する。前記表面処理ユニット11及び駆動ユニット12は、実行する表面処理工程の違いに応じてその構造および/または運動形態を変更することができる。
【0031】
本発明において、表面処理ユニット11は、複数の開口111を含んでもよい。各開口111は、表面処理ユニット11の一側から対向する他側まで貫通する。
【0032】
少なくとも一つの導波装置20は、材料基板5に対して電磁波(紫外線およびマイクロ波を含む)を導入することに用いられることで、表面処理工程の実行を補助する。更に言えば、少なくとも一つの導波装置20は電磁波を材料基板5の所在区域に導入して、特に材料基板5の処理待ちの表面に対して電磁波を導入することで、電磁波によって表面処理工程を補助して実行する。少なくとも1つの導波装置20の数および/または位置は、設計の要求に応じて変更することができる。本発明の一実施例において、電磁波はマイクロ波であり、かつマイクロ波の周波数の範囲は、900MHzから2.45GHzまでである。本発明の他の実施例において、電磁波は紫外線であり、かつ紫外線の周波数の範囲は、8×1014Hzから2.4×1016Hz間であるが、前記の電磁波の種類や周波数の範囲は、材料基板5の違いによって変更させることができる。例えば、電磁波は、無線電波、高周波、または他の周波数帯域の電磁波であってもよい。
【0033】
本発明の材料表面処理装置1は、さらに、制御システム30を含むことができる。制御システム30は、表面処理装置10及び少なくとも一つの導波装置20を電気的に接続する。制御システム30によって、表面処理装置10及び少なくとも一つの導波装置20の作動を、それぞれ制御でき、それによって前記表面処理工程の実行に有利である。本発明の一実施例において、制御システム30は、コンピュータシステムまたは遠隔制御装置であってもよい。
【0034】
本発明の材料表面処理装置1は実際の操作において、まず処理待ちの材料基板5を表面処理装置10内に入れ、且つ材料基板5を表面処理ユニット11に搭載して固定する。その後、材料基板5が位置する区域に対して表面処理工程に必要な処理剤を加え、かつ少なくとも1つの波導装置20を利用して材料基板5に対して電磁波を導入し、電磁波は表面処理ユニット11の複数の開口111を貫通してから材料基板5の処理すべき面に到達し、材料基板5の処理すべき面に化学反応を発生させ、または処理剤に対して活性化効果を発生させ、表面処理工程を強化する目的に達する。最後に駆動ユニット12によって表面処理ユニット11を駆動して材料基板5に相対して運動させ、表面処理ユニット11を利用して材料基板5の処理待ちの表面に相応の表面処理を執行する。
【0035】
例えば、前記材料基板5が炭化ケイ素基板を採用し、前記表面処理工程が研磨工程であると仮定する。炭化ケイ素基板の処理待ちの表面が、導入されるマイクロ波(2.45GHz、900W)の照射を受ける際、マイクロ波は、炭化ケイ素基板の表面層内の電子、特にダングリングボンドの不対電子を励起する。これらの電子は自由キャリア吸収(free carrier absorption)効果によって、ホットエレクトロン(hot electrons)状態に変換され、即ち表面ブロックの炭素‐シリコン結合へのエネルギー障壁を突破する能力を意味する。従って、炭素原子がマイクロ波を吸収して激しい振動が発生すると、ホットエレクトロンが結合に入って不安定な状態になり、炭素‐ケイ素の化学的結合が切断されて炭素とケイ素がそれぞれ酸素と結合してCO2が形成され、基板の酸化が促進されてSiO2層またはSi(OH)4層が形成されることで、基板表面を柔化させ(即ち面硬度を低下させ)、基板表面改質の効果に達する。それによって、マイクロ波に照射された後の炭化ケイ素基板は表面の酸化に従って研磨性を呈する。
【0036】
また、炭化ケイ素基板が研磨される前に、その表面は大体に粗い表面を呈する。表面に形成された粗い部位の多くは先端部であるため、マイクロ波化学研磨の原理に基づき、これらの先端部における突出した原子表面は電荷集中効果により、前記の励起されたホットエレクトロンを収集しやすく、そのためさらに処理剤と酸化還元反応を発生しやすく、これらの突出した原子と処理剤の反応を他の比較的平坦な箇所よりさらに迅速にさせ、さらに処理剤に溶け込んだ後に消失し、表面平滑作用を発生させる。
【0037】
以下では図面を参照しながら、本発明を応用して表面処理工程の強化を実現する原理を説明する。
図2A及び
図2Bを併せて参照された。ここで
図2Aは、材料表面がマイクロ波処理を経た後に軟化し、並びに平坦化した概略図であり、
図2Bはマイクロ波により促進された酸化還元反応の概略図である。
図2Aに示すように、炭化ケイ素材料の研磨工程を例とすると、材料表面がマイクロ波の照射処理を経た後に酸化されてSiO
2層(あるいはSi(OH)
4)を形成し、材料表面の突出が激しいほど、酸化される部位も多くなる。そのため、研磨(Touch Polishing)またはCMP研磨を経た後に除去可能な量も比較的多く、材料表面をより平面にして平坦化する。前記酸化層のモース硬度(約6~7)は炭化ケイ素のモース硬度(約9)より遥かに低いので、硬度が比較的に低いペレットを使用して酸化層を除去する時に、炭化ケイ素が露出した新しい表面を再度損傷させることはない。
図2A中の破線部分は、炭化ケイ素表面に形成する酸化層と炭化ケイ素材料の境界線を示す。また、一回目に形成された酸化層をCMP研磨により除去して平坦化した後、再酸化・再研磨の工程を反復して行い、最終的に材料表面をより平滑にする。
【0038】
図2Bに示すように、マイクロ波照射で電子を励起した後、電子から伝導帯まで研磨処理剤と還元反応を行い、それに伴う電子口は表面酸化反応を行い、炭素‐ケイ素結合を分解させる。そのため、処理剤は強酸又は強アルカリを使用する必要がなく、炭化ケイ素材料の表面処理工程の強化効果を達成することができる。
【0039】
図1に戻る。本発明の一実施例において、表面処理装置10は、さらに、処理剤付加ユニット13を含み、電磁波を吸収する処理剤を材料基板5に付加する。処理剤付加ユニット13は、表面処理ユニット11の周辺に設置されてもよく、それにより材料基板5の所在位置に対して処理剤を付加する。処理剤は電磁波を吸収した後に活性化され、処理剤と材料基板5の表面化学反応を増強させ、酸化層を更に容易に産生させて表面処理工程の実行に有利的である。異なる要求に応じて、処理剤は液体あるいは固体(例えば粉末状又は顆粒状の処理剤を用いる)であってもよく、又は上記両者の混合であってもよい。本発明の一実施例において、処理剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物またはハロゲン化物、を含むことができる。処理剤もまた、遷移金属の酸化物またはハロゲン化物を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
そのほか、処理剤は複数の固体顆粒を含むことができ、これらの固体顆粒は次のグループのうちの少なくとも一つから選ばれて構成される。二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素及びダイヤモンド。これによって、電磁波の導入によって、本発明中に炭化ケイ素基板に対して表面処理を実行しても、硬度がダイヤモンドより低い粒子を処理剤の主成分として選択できて、予期の表面処理効果に達する。
【0041】
本発明の材料表面処理装置1は、さらに、気体導入装置40を含み、表面処理工程を実行する時に、少なくとも1つの不活性ガス(例えばネオンガス)または少なくとも1つの活性ガス(例えば酸素)を導入することに用いられる。前記不活性ガスあるいは活性ガスは表面処理装置10の周辺あるいは表面処理装置10の内部空間に充満でき、表面処理工程は前記不活性ガスあるいは活性ガスが充満する環境で実行される。前記不活性ガスは化学反応を緩和することに用いられ、それにより材料が過度の反応によって損傷することを回避する。前記活性ガスは化学反応を補助することに用いられ、処理剤と材料基板5との間の反応をより激しくさせる。
前記工程S12の後、表面処理工程中に材料基板5に対して電磁波を導入し、材料基板5の表面との化学反応および/または活性化処理剤を増強することで、表面処理工程の実行に有利である。
前記工程S22の後、表面処理工程中に炭化ケイ素基板に対してマイクロ波または紫外線を導入し、炭化ケイ素基板の表面との化学反応および/または活性化処理剤を増強することで、表面処理工程の実行に有利である。
以上の実施方式は本質的に補助説明のみであり、且つ出願対象の実施例又は該等実施例の応用又は用途を限定することを意図しない。その他、前記実施方式の中に少なくとも一つの例示的実施例を提示したが、本発明は依然として大量の変形が存在することを理解すべきである。また同様に、本文に記載された実施例は、いかなる方法によっても、請求される出願対象の範囲、用途または構成を制限することを意図していないことを理解すべきである。対して、前記実施方式は属する領域の通常の知識を有する者に、前記一種または多種の実施例を実施するための簡便な指針を提供できる。さらに、部品の機能と配列に対して各種の変化を行うことができ、特許請求の範囲に定義された範囲から逸脱せず、かつ特許請求の範囲は既知の均等物および本願を提出する時のすべての予見可能な均等物を含む。