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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072233
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
H01G4/30 201D
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 201C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051133
(22)【出願日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0152271
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フワン、ヒュン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン キュン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、スン イル
(72)【発明者】
【氏名】リー、ギル ヨン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ス ジ
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ムン セオン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ウォン セオク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ミン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AJ01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE22
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG04
5E082FG26
5E082PP10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内部電極の連結性を向上させる積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層セラミックキャパシター(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体と、本体の外側に配置され、内部電極と連結される外部電極131、132と、を含む。内部電極は、ハフニウム(Hf)を含み、内部電極の中央部の平均Hf含量(at%)をHfc、内部電極のうち内部電極の中央部から誘電体層と接する界面までの平均Hf含量(at%)をHfsと定義したときに、1.5≦Hfs/Hfc≦5.0を満たすことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体の外側に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記内部電極はHfを含み、前記内部電極の中央部の平均Hf含量(at%)をHfc、前記内部電極のうち前記内部電極の中央部から前記誘電体層と接する界面までの平均Hf含量(at%)をHfsと定義したときに、1.5≦Hfs/Hfc≦5.0を満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記内部電極に含まれている平均Hf含量(at%)は、前記内部電極の中央部から前記誘電体層と接する界面の方向に次第に増加する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記内部電極のうち前記誘電体層と接する界面から前記内部電極の中央部の方向に100nm以内の領域の平均Hf含量(at%)をHfs1と定義したときに、1.5≦Hfs1/Hfc≦5.0を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記内部電極に含まれている平均Hf含量が0.01at%以上20.0at%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記内部電極に含まれている平均Hf含量が5.0at%以上20.0at%以下である、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記Hfは酸化物である、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記内部電極の面積に対する、前記内部電極に含まれているHf酸化物の面積が0.001%以上1.0%以下である、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記内部電極に含まれている平均Hf含量が0.025wt%以上50.0wt%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記内部電極の平均厚さが0.6μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記誘電体層の平均厚さが0.6μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記本体は、第1方向に互いに向かい合う第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結されて第2方向に互いに向かい合う第3及び第4面、前記第1~第4面と連結されて第3方向に互いに向かい合う第5及び第6面を有し、前記誘電体層と前記第1方向に交互に配置される内部電極を含んで容量を形成するアクティブ部と、前記アクティブ部の前記第1方向の両端面に配置されるカバー部と、を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記本体の前記第3方向の両端面に配置されるマージン部を含む、請求項11に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の1つである積層セラミックキャパシター(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、スマートフォン、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサーである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシターは、小型でありながらも高容量が保障され、且つ実装が容易であるという利点を有するため、種々の電子装置の部品として用いられることができる。コンピューター、モバイル機器などの各種電子機器の小型化、高出力化に伴い、積層セラミックキャパシターに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
しかしながら、積層セラミックキャパシターを小型化した際にも容量は維持される必要があるため、誘電体層及び内部電極の薄層化、多層化がともに進められる必要がある。容量は、誘電体層の比誘電率と内部電極の有効面積に比例し、誘電体層の厚さに反比例する。この時、誘電体層の比誘電率を高めるよりも、誘電体層及び内部電極の薄層化、多層化により大容量化を達成するか、内部電極の連結性を高めて有効電極面積を増大させる方がが容易であるため、これに関する研究が活発に行われている。
【0005】
薄層化を実現するためには、誘電体層及び内部電極材料の微粒化技術の開発が先行される必要があり、材料が微粒化してナノサイズになると融点が低下するようになるが、これは、熱収縮開始温度の低下をもたらす。金属材料は、サイズの減少による熱収縮開始温度の低下がセラミック材料よりもさらに高く、誘電体層と内部電極の熱収縮温度において差が生じる。誘電体層と内部電極の熱収縮温度差が大きいほど、焼成過程中における内部電極の連結性の低下が大きくなり、電気的容量と信頼性劣化の問題が発生する恐れがある。
【0006】
現在、誘電体層と内部電極との熱収縮温度差を減少させるために、内部電極にナノサイズのチタン酸バリウム(BatiO)を共材として添加する方式が用いられているが、内部電極の薄層化を達成するために多量のチタン酸バリウム共材を添加することにより、内部電極の膜密度が減少し、共材が誘電体層に吸収されて誘電体層の厚さが厚くなって、容量が減少するようになる副効果が発生する。よって、チタン酸バリウムより熱安定性の高い新しい共材の開発が求められている状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-135095号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、内部電極の連結性を向上させることにある。
【0009】
但し、本発明が解決しようとする様々な課題は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体の外側に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記内部電極はHfを含み、上記内部電極の中央部の平均Hf含量(at%)をHfc、上記内部電極のうち上記内部電極の中央部から上記誘電体層と接する界面までの平均Hf含量(at%)をHfsと定義したときに、1.5≦Hfs/Hfc≦5.0を満たすことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果の一つは、内部電極の共材としてHfを添加することで、内部電極の連結性を向上させることである。
【0012】
但し、本発明の多様で且つ有益な利点と効果は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2図1の内部電極の積層構造を示した分離斜視図を概略的に示したものである。
図3図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものである。
図4図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものである。
図5図4のP領域を拡大した図を概略的に示したものである。
図6】本発明の一実施形態をSEM-EDSにより測定した位置及び結果グラフである。
図7】本発明の一実施形態のHf含量による熱収縮開始温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0015】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0017】
積層型電子部品
図1は本発明の一実施形態である積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、図2図1の内部電極の積層構造を示した分離斜視図を概略的に示したものであり、図3図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものであり、図4図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものであり、図5図4のP領域を拡大した図を概略的に示したものであり、図6は本発明の一実施形態をSEM-EDSにより測定した位置及び結果グラフであり、図7は本発明の一実施形態のHf含量による熱収縮開始温度を示すグラフである。
【0018】
以下、図1から図7を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。
【0019】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体110の外側に配置され、上記内部電極121、122と連結される外部電極131、132と、を含み、上記内部電極121、122はHfを含み、上記内部電極の中央部の平均Hf含量(at%)をHfc、上記内部電極121、122のうち上記内部電極の中央部から上記誘電体層111と接する界面までの平均Hf含量(at%)をHfsと定義したときに、1.5≦Hfs/Hfcを満たすことができる。
【0020】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0021】
より具体的に、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成するアクティブ部Acを含むことができる。
【0022】
本体110の具体的な形状は特に制限されないが、図示されたように、本体110は、六面体形状またはそれに類似の形状からなることができる。焼成過程における、本体110に含まれているセラミック粉末の収縮により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0023】
本体110は、第1方向に互いに向かい合う第1及び第2面1、2と、第1及び第2面1、2と連結されて第2方向に互いに向かい合う第3及び第4面3、4と、第1~第4面1、2、3、4と連結されて第3方向に互いに向かい合う第5及び第6面5、6と、を有することができる。
【0024】
本体110を成す複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0025】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができれば制限されない。一般に、ペロブスカイト(ABO)系材料を用いることができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などが使用できる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、セラミック粉末の例として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)、またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0026】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて、種々のセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0027】
誘電体層111の厚さtdは、特に限定する必要はない。
【0028】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さは0.6μm以下であることができ、より好ましくは0.4μm以下であることができる。
【0029】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1内部電極121と第2内部電極122との間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味し得る。
【0030】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向のサイズを意味し得る。また、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味し、誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味し得る。
【0031】
誘電体層111の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つの誘電体層111において、第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は、アクティブ部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して行うと、誘電体層111の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0032】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に積層されることができる。
【0033】
内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0034】
より具体的に、第1内部電極121は、第4面4から離隔して第3面3を介して露出し、第2内部電極122は、第3面3から離隔して第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0035】
すなわち、第1内部電極121は、第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は、第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。この時、第1及び第2内部電極121、122は、その間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0036】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成することで形成されることができる。
【0037】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気伝導性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0038】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷することで形成されることができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0039】
一方、近年の積層型電子部品は、小型化及び高容量化をともに達成することが主要課題の一つであるといえる。しかしながら、積層型電子部品を小型化した際にも容量は維持される必要があるため、誘電体層及び内部電極の薄層化、多層化がともに進行される必要がある。薄層化を実現するためには、誘電体層及び内部電極材料の微粒化技術の開発が先行される必要があり、材料が微粒化してナノサイズになると融点が減少するようになるが、これは、熱収縮開始温度の減少をもたらす。金属材料は、サイズの減少による熱収縮開始温度の低下がセラミック材料よりも高く、誘電体層と内部電極の熱収縮温度において差が生じる。誘電体層と内部電極の熱収縮温度差が大きいほど、焼成過程中における内部電極の連結性の低下が大きくなり、電気的容量と信頼性劣化の問題が発生する恐れがある。
【0040】
現在、誘電体層と内部電極との熱収縮温度差を減少させるために、内部電極にナノサイズのチタン酸バリウム(BatiO)を共材として添加する方式が用いられているが、内部電極の薄層化を達成するために多量のチタン酸バリウム(BatiO)共材を添加することにより、内部電極の膜密度が減少し、共材が誘電体層に吸収されて誘電体層の厚さが厚くなって、容量が減少するようになる副効果が発生する恐れがある。
【0041】
チタン酸バリウム(BaTiO)より融点が高い酸化物は非常に多様であるが、高温焼成時に誘電体層111に吸収されることがなく、吸収されるとしても誘電率に影響を与えない必要があるため、適用可能な酸化物は非常に制限的である。ハフニウム酸化物(HfO)は、チタン酸バリウム(BaTiO)に比べて融点が約1100℃程度高いため、内部電極121、122の共材141として添加する場合、内部電極121、122の熱収縮を遅延させる効果がチタン酸バリウム(BaTiO)に比べて著しく高いことができる。
【0042】
酸化アルミニウム(Al)も融点がチタン酸バリウム(BaTiO)より高いが、Tiより原子半径が小さく、誘電体物質と二次相を形成して誘電率を減少させるという問題がある。ハフニウム(Hf)は、原子半径がTiより大きいため、高温焼成時に誘電体層111へ拡散されず、誘電率に影響を与えない効果がある。
【0043】
本発明の一実施形態において、内部電極121、122はハフニウム(Hf)を含むことができ、内部電極121、122の中央部の平均Hf含量(at%)をHfc、内部電極121、122のうち内部電極の中央部から誘電体層111と接する界面までの領域を第1領域と定義し、第1領域の平均Hf含量(at%)をHfsと定義したときに、1.5≦Hfs/Hfc≦5.0を満たすことができる。
【0044】
これは、焼成過程で内部電極の共材141の一種類であるHfが焼結遅延効果を発生させ、内部電極の外側方向である誘電体層との界面方向にHfが移動することにより誘電体層111との熱収縮差を減少させることができ、これにより、内部電極の連結性が向上することができる。内部電極に共材141が分布する形状は、熱処理温度、焼成雰囲気などの条件によって適宜制御することができる。
【0045】
ここで、内部電極の中央部は、内部電極121、122の第1方向の中央を繋いだ線を意味し、内部電極121、122と誘電体層111が接する界面は、内部電極121、122と誘電体層111が当接する領域を繋いだ線を意味し得る。
【0046】
この時、内部電極121、122の中央部の平均Hf含量(Hfc at%)、及び内部電極121、122のうち内部電極の中央部から誘電体層111と接する界面までの平均Hf含量(Hfs at%)が1.5≦Hfs/Hfc≦5.0を満たす場合、内部電極の連結性、誘電容量、BDV(Break Down Voltage)、及びMTTF(Mean Time to Failure)が向上する効果を奏することができる。
【0047】
内部電極の中央部の平均Hf含量(Hfc at%)に対する、内部電極の中央部から誘電体層と接する界面までの平均Hf含量(Hfs at%)の割合(Hfs/Hfc)が1.5未満である場合、内部電極の連結性が低下し、内部電極の有効面積が十分に確保できないという問題が発生する恐れがある。内部電極の中央部の平均Hf含量(Hfc)に対する、内部電極の中央部から誘電体層と接する界面までの平均Hf含量(Hfs)の割合(Hfs/Hfc)が5.0を超える場合、内部電極の連結性には優れるが、内部電極と誘電体層との界面にHfが過量分布し、誘電体層が厚くなる結果によって容量の低下が発生する恐れがあり、BDV及びMTTFも低下する恐れがある。
【0048】
本発明の一実施形態において、内部電極121、122に含まれている平均Hf含量(at%)は、内部電極の中央部から、誘電体層111と接する界面方向に進むにつれて次第に増加することができる。
【0049】
本発明の一実施形態において、内部電極のうち、誘電体層と接する界面から内部電極の中央部の方向に100nm以内の領域を第2領域と定義し、第2領域の平均Hf含量(at%)をHfs1と定義したときに、1.5≦Hfs1/Hfc≦5.0を満たすことができる。
【0050】
一方、内部電極121、122に含まれている平均Hf含量は、20.0at%以下が好ましい。
【0051】
内部電極にHf共材を少量添加しても内部電極の連結性は向上することができるため、下限は特に制限しないが、内部電極121、122に含まれている平均Hf含量は、0.01at%以上が好ましい。
【0052】
内部電極121、122に含まれている平均Hf含量が20.0at%を超える場合、内部電極の連結性には優れるが、有効容量、BDV、及びMTTFが低下する恐れがある。
【0053】
図7を参照すると、5%の熱収縮が発生した時の温度を熱収縮開始温度と評価したときに、Hf共材を添加しなかった比較例の熱収縮開始温度は408℃であるのに対し、Hfを0.1at%添加した場合には熱収縮開始温度が415℃であって、比較例より約7℃増加したことが確認できる。Hfを10.0at%添加した場合には熱収縮開始温度が496℃であり、比較例よりも約88℃増加したことが確認できる。
【0054】
このような熱収縮開始温度の上昇により、内部電極と誘電体層の熱収縮開始温度差を減少させることで、内部電極の連結性を向上させ、内部電極のアイランド(island)化を抑制することができる。
【0055】
内部電極に含まれている平均Hf含量を重量百分率(wt%)を基準として添加する場合、0.025wt%以上、50.0wt%以下が好ましい。
【0056】
本発明の一実施形態において、内部電極に共材として含まれているハフニウム(Hf)は、5.0at%以上存在する時に、酸化物(HfO)の形態で存在し、SEM-EDSにより測定時に容易に検出されることができる。
【0057】
この時、検出されるHfOの面積は、内部電極の面積に対して0.001%以上、1.0%以下が好ましい。
【0058】
内部電極121、122に含まれるハフニウム(Hf)の含量は、SEM-EDS(SEM-Energy Dispersive X-ray Spectrometer)装置を用いて測定することができる。
【0059】
より具体的に、図6を参照すると、積層型電子部品の第1及び第2方向の断面を第3方向に1/2程度の深さまで研磨し、アクティブ部Acの中央部の断面(cross-section)を測定して内部電極を観察することができる。この時、測定条件として、加速電圧5-10kV、作動距離(WD)6.5mmの条件で測定することができる。この時、内部電極が3個の層が見えるように測定位置を調節し、図面に示されているように、内部電極の第1方向の中央部で、第2方向に500nmの間隔で撮った5ポイント(1~5)、及び内部電極と誘電体層の界面から内部電極の中央部の方向に50nm離隔した地点で、第2方向に500nmの間隔で撮った5ポイント(1~5)の高配率画像で測定した後、HfOがトラップ(trap)された地点に対してPoint-EDS分析を行うことで、Hf元素の含量(at%)を確認することができる。Point-EDS分析は、内部電極に含まれているHfOが存在する地点で、加速電圧5kV、WD5-8mmの条件で測定することであることができる。このような方式により、内部電極の中央部、及び内部電極の中央部から誘電体層の界面までの領域である第1領域に含まれているHfの含量を測定することができ、測定したHf含量の平均値を計算して平均Hf含量(at%)を求めることができ、ハフニウム酸化物(HfO)がトラップ(trap)された面積を求めることができる。かかるHf含量の測定方法は、第2領域でも同様に適用することができる。
【0060】
一方、内部電極121、122の厚さteは、特に限定する必要はない。
【0061】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であることができ、より好ましくは、0.4μm以下であることができる。
【0062】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味し得る。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味し、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味し得る。
【0063】
内部電極121、122の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つの内部電極121、122において、第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は、アクティブ部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して行うと、内部電極121、122の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0064】
一方、本体110は、アクティブ部Acの第1方向の両端面上に配置されたカバー部112、113を含むことができる。
【0065】
より具体的に、アクティブ部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112と、アクティブ部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113と、を含むことができる。
【0066】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層111または2つ以上の誘電体層111をアクティブ部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層することで形成されることができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0067】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0068】
一方、カバー部112、113の厚さtcは、特に限定する必要はない。
【0069】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは、100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品では、より好ましく20μm以下であることができる。
【0070】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向のサイズを意味し得る。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味し、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味し得る。
【0071】
カバー部112、113の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つのカバー部112、113において、第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は、上部カバー部112で指定されることができる。また、このような平均値の測定を下部カバー部113に拡張して行うと、カバー部112、113の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0072】
一方、本体110の第3方向の両端面(end-surface)上にはマージン部114、115が配置されることができる。
【0073】
より具体的に、マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部114と、第6面6に配置された第2マージン部115と、を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110の第3方向の両端面に配置されることができる。
【0074】
マージン部114、115は、図示されているように、本体110の第2及び第3方向に切断した断面を基準として、第1及び第2内部電極121、122の第3方向の両端と本体110の境界面との間の領域を意味し得る。
【0075】
マージン部114、115は、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0076】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上に、マージン部114、115が形成されるべき箇所を除いて導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑えるために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111または2つ以上の誘電体層111をアクティブ部Acの第3方向の両端面に第3方向に積層することで形成されてもよい。
【0077】
一方、第1及び第2マージン部114、115の幅wmは、特に限定する必要はない。
【0078】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、第1及び第2マージン部114、115の幅wmは、100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品では、より好ましく20μm以下であることができる。
【0079】
ここで、マージン部114、115の幅wmは、マージン部114、115の第3方向のサイズを意味し得る。また、マージン部114、115の幅wmは、マージン部114、115の平均幅wmを意味し、マージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味し得る。
【0080】
マージン部114、115の第3方向の平均サイズは、本体110の第1及び第3方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つのマージン部114、115において、第1方向に等間隔である30個の地点で第3方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は、第1マージン部114で指定されることができる。また、このような平均値の測定を第2マージン部115に拡張して行うと、マージン部114、115の第3方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0081】
本発明の一実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的によって変わり得る。
【0082】
外部電極131、132は本体110上に配置され、内部電極121、122と連結されることができる。
【0083】
より具体的に、外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は、本体の第3面3に配置されて第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は、本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0084】
外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば如何なる物質を用いて形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらには、多層構造を有することができる。
【0085】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132aと、電極層131a、132a上に配置されるめっき層131b、132bと、を含むことができる。
【0086】
電極層131a、132aのより具体的な例としては、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0087】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順に形成された形態であることができる。
【0088】
また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式により形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式により形成されてもよい。
【0089】
電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量を形成するために上記内部電極121、122と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上を含むことができる。電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して準備された導電性ペーストを塗布した後、焼成することで形成されることができる。
【0090】
めっき層131b、132bは、実装特性を向上させる役割を果たす。
【0091】
めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含む単一層のめっき層131b、132bであってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0092】
めっき層131b、132bのより具体的な例としては、めっき層131b、132bは、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよい。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0093】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態及び添付図面により限定されず、添付の特許請求の範囲により限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0094】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解のためのものであって、本発明の範囲が実施例により限定されるものではない。
【0095】
(実施例)
下記表1は、内部電極に含まれているハフニウム(Hf)のトラップ面積及び含量による内部電極の連結性、有効容量、BDV、及びMTTFを測定したデータに該当する。
【0096】
サンプル1は、内部電極の共材であるHfを添加しなかった比較例であり、内部電極の連結性、有効容量、BDV、及びMTTFの基準値として評価したものであって、相対的な値で数値を比較するために、1と設定した。
【0097】
内部電極の連結性は、任意の一つの内部電極内で長さ方向(第2方向)に仮想の線を引いた後、内部電極の全長に対する、内部電極が切れていない長さの割合を示した。電極連結性は、MIA toolkit v2.1を用いて測定し、同じ条件で4個のサンプルチップの第1及び第3方向の断面(cross-section)の中央部を分析した。前処理時には、チップの第1及び第3方向の断面(cross-section)を第2方向に1/2まで研磨した後、200倍率の光学で測定した画像を使用した。内部電極の連結性は、前述のように、各サンプル毎にスキャンした画像で観察される内部電極の第2方向の全直線のうち、内部電極が切れていない長さを測定して割合で示した。
【0098】
容量特性は、Kesight社製のE4980Aモデルで測定し、1kHz、0.5V(AC)の条件下で測定した。この時、50個のサンプルのキャパシタンス値を測定し、その値の平均値を算出した。測定サンプルを準備するために、サンプルを150℃で熱処理した後、常温で2時間エージング後に測定を行った。
【0099】
BDV特性は、50個のサンプルに対して測定を行い、その平均値を算出した。BDVの測定時に、100V/sの昇圧条件で測定し、測定絶縁抵抗(IR)値が基準絶縁抵抗に対して10Ω以下に下がった時に不良と判断した。
【0100】
MTTF(Mean Time to Failure)評価は、温度条件125℃、電圧条件1.2Vの高温負荷試験を実施し、測定時に、絶縁抵抗値が初期絶縁抵抗に対して10Ω以下に減少した時の時間を故障時間と測定し、サンプルの平均故障時間(MTTF)を算出した。測定サンプル数は10個とし、その平均値を算出した。
【0101】
【表1】
【0102】
上記表1を参照すると、共材であるHfを少量添加しても、内部電極の連結性及び電気的特性が向上したことが確認でき、サンプル2~5を参照すると、Hfの含量が20.0at%までは、内部電極の連結性、容量、BDV、及びMTTFがサンプル1に比べて優れることが確認できる。しかし、サンプル6を参照すると、Hfの含量が30.0at%である場合、内部電極の連結性は優れるが、有効容量が低下していることが確認できる。これは、過量のHf共材の添加により、誘電体層の厚さが厚くなって有効容量が減少したことであると解釈することができる。
【0103】
下記表2は、内部電極の中央部のHf含量(at%)に対する、内部電極のうち誘電体層との界面でのHf含量(at%)の割合(Hfs/Hfc)による、サンプルチップの電気的特性(有効容量、BDV特性)及び信頼性(MTTF)評価データであり、各評価基準は、Hfs/Hfc=1.5である時を基準値として評価して計算した。
【0104】
この時、各サンプルは、内部電極の中央部のHf含量が10.0at%である時を基準として評価した。
【0105】
【表2】
【0106】
内部電極の中央部のHf含量に対する、界面のHf含量の割合(Hfs/Hfc)によるMLCCの有効容量及び信頼性は、上記表のとおりである。サンプル7のように、Hfs/Hfcの割合が1.0である時に、内部電極の連結性がサンプル8に比べて小幅減少し、BDVとMTTFが低くなることが確認できる。これは、内部電極の連結性が低下し、内部電極の有効面積を十分に確保することができなかった結果であると解釈することができる。
【0107】
サンプル8~サンプル10のように、Hfs/Hfcの割合が1.5以上5.0以下である場合、内部電極と誘電体層の熱収縮挙動の差を減らすことができ、これにより、内部電極の連結性が増加し、さらには、容量及びBDVとMTTFが増加した。
【0108】
しかし、サンプル11のように、Hfs/Hfcの割合が7.0である場合、内部電極の連結性には優れるが、内部電極と誘電体層との界面に過量のHfが分布し、誘電体層が厚くなった結果によって容量の低下が発生し、MTTFも低下することが確認できる。
【0109】
本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0110】
また、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0111】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b めっき層
141 共材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7