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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072237
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】樹脂組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C08L 79/00 20060101AFI20240520BHJP
   C08L 79/04 20060101ALI20240520BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240520BHJP
   C08K 3/24 20060101ALI20240520BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
C08L79/00 B
C08L79/04 B
C08L63/00 A
C08K3/24
C08K5/54
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023071279
(22)【出願日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】111143478
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】張 宏毅
(72)【発明者】
【氏名】劉 家霖
(72)【発明者】
【氏名】黄 威儒
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CD04Y
4J002CM02W
4J002CM02X
4J002DE186
4J002EX017
4J002EX077
4J002FD016
4J002FD126
4J002FD317
4J002GQ01
4J002HA08
4J002HA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板材料として、高い誘電率(Dk)を有する樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂ベースと、無機フィラーと、シロキサンカップリング剤と、を含む樹脂組成物及びその用途が提供される。樹脂基板としては、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂等が挙げられ、無機フィラーとしてはチタン酸ストロンチウムやカルシウムドープチタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスマレイミド樹脂と、ベンゾオキサジン樹脂と、ナフタレンエポキシ樹脂と、を含む樹脂ベースと、
チタン酸ストロンチウム又はカルシウムドープチタン酸ストロンチウムを含む無機フィラーと、
シロキサンカップリング剤と、を含む
樹脂組成物。
【請求項2】
前記カルシウムドープチタン酸ストロンチウムがSrCaTiOで表され、xが0.05~0.4であり、yが0.6~0.95である、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
樹脂ベースの全重量に基づいて、前記ビスマレイミド樹脂が10重量%~70重量%であり、前記ベンゾオキサジン樹脂が10重量%~50重量%であり、前記ナフタレンエポキシ樹脂が10重量%~50重量%である、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記ビスマレイミド樹脂の構造が、式(I)で表される、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【化1】
式(I)
式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキルであり、Cは、ビフェニル、ナフタレン環及びビスフェノールAから選ばれる1つである。
【請求項5】
及びRはメチルであり、R及びRはエチルである、
請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記ナフタレンエポキシ樹脂の構造が、式(II)で表される、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【化2】
式(II)
式中、Rは、ナフタレン環誘導体又はビナフチル誘導体である。
【請求項7】
前記樹脂組成物の全重量を100重量部として、前記無機フィラーの添加量が100重量部~300重量部である、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記樹脂ベースの全重量を100重量部として、前記シロキサンカップリング剤の添加量が0.1重量部~4重量部である、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
さらに硬化剤を含み、前記樹脂ベースの全重量を100重量部として、前記硬化剤の添加量が0~30重量部である、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記硬化剤が、第一級アミン化合物又は第二級アミン化合物を含む、
請求項9に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
触媒をさらに含み、樹脂ベースの全重量を100重量部として、前記触媒の添加量は、0重量部~10重量部である、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記基板の誘電率が9以上である、
請求項1に記載の樹脂組成物の基板としての用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種の樹脂組成物に関するものであり、特に高誘電率(high-k)を有する一種の樹脂組成物及びその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
5G/B5G通信世代において、回路基板の小型化が進む中、回路線間の絶縁性を高め、回路線伝送の消費電力を低減するために、基板材料として、高い誘電率(Dk)を有する樹脂組成物を開発することが業界の急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
5G向けの高誘電率特性を備えた基板材料の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、樹脂組成物及びその用途を提供する。樹脂組成物は、5G高周波用基板材料として使用でき、製造される基板の耐熱性を維持しながら高誘電率特性を有する。
【0005】
本発明の樹脂組成物は、樹脂ベースと、無機フィラーと、シロキサンカップリング剤と、を含む樹脂ベースは、ビスマレイミド樹脂と、ベンゾオキサジン樹脂と、ナフタレンエポキシ樹脂と、を含む。無機フィラーは、チタン酸ストロンチウム又はカルシウムドープチタン酸ストロンチウムを含む。
【0006】
本発明の一実施形態において、前記カルシウムドープチタン酸ストロンチウムは、SrCaTiOで表され、xは0.05~0.4、yは0.6~0.95である。
【0007】
本発明の一実施形態において、樹脂ベースの全重量に基づいて、前記ビスマレイミド樹脂は、10重量%~70重量%であり、ベンゾオキサジン樹脂は、10重量%~50重量%であり、ナフタレンエポキシ樹脂は、10重量%~50重量%である。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記ビスマレイミド樹脂の構造は、式(I)で表される。
【化1】
式(I)
式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキルであり、Cはビフェニル、ナフタレン環及びビスフェノールAから選ばれる1つである。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記R及びRはメチルであり、R及びRはエチルである。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記ビスマレイミド樹脂は、大和化成工業株式会社から購入した商品名BMI-5000のビスマレイミド樹脂、大和化成工業株式会社から購入した商品名BMI-2300のビスマレイミド樹脂、日本化薬株式会社から購入した商品名MIR-3000のビスマレイミド樹脂、及び日本化薬株式会社から購入した商品名MIR-5000のビスマレイミド樹脂のうち少なくとも1つを含む。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記ナフタレンエポキシ樹脂の構造は、式(II)で表される。
【化2】
式(II)
式中、Rは、ナフタレン環誘導体又はビナフチル誘導体である。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記ナフタレンエポキシ樹脂は、日本DIC株式会社から購入した商品名HP-4710のナフタレンエポキシ樹脂、日本DIC株式会社から購入した商品名HP-6000のナフタレンエポキシ樹脂、及び日本DIC株式会社から購入した商品名HP-9500のナフタレンエポキシ樹脂の少なくとも1種を含んでも良いが、これに限定されない。
【0013】
本発明の一実施形態において、樹脂組成物100重量部に対して、前記無機フィラーの添加量は100~300重量部である。
【0014】
本発明の一実施形態において、樹脂ベース100重量部に対して、前記シロキサンカップリング剤の添加量は、0.1重量部~4重量部である。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記樹脂組成物は、硬化剤をさらに含む。硬化剤の添加量は、樹脂ベース100重量部に対して、0重量部~30重量部である。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記硬化剤は、詠友企業株式会社から購入した商品名S-1817の硬化剤、ワッカー・ケミーから購入した商品名HP-2000の硬化剤、及びシグマアルドリッチから購入した商品名DDSの硬化剤である。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記樹脂組成物は、触媒をさらに含む。前記触媒の添加量は、樹脂ベース100重量部に対して、0重量部から10重量部である。
【0018】
前記本発明の樹脂組成物の基板としての用途であって、前記基板の誘電率(Dk)が9以上である。
【発明の効果】
【0019】
以上より、本発明の樹脂組成物は、チタン酸ストロンチウム又はカルシウムドープチタン酸ストロンチウムの無機フィラーを導入することにより、材料の誘電率を向上させ、耐熱性を維持することができ、5G高周波の基板材料としてより好適であり、それから製造される基板の耐熱性を良好に保ちながら、高誘電率特性を得ることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、これらの実施形態は例示であり、本発明の開示はこれに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、「ある値から別の値」で示される範囲は、明細書においてその範囲内のすべての値を列挙することを避けた一般的な表現である。したがって、特定の数値範囲の説明は、あたかも明細書に任意の数値とそれより小さい数値範囲が記載されているかのように、その数値範囲内の任意の数値と、その数値範囲内の任意の数値によって定義されるより小さい数値範囲とを包含する。
【0022】
本発明において、樹脂組成物は、樹脂ベース、無機フィラー及びシロキサンカップリング剤を含んでも良い。また、いくつかの実施形態において、樹脂組成物は、硬化剤及び/又は触媒をさらに含んでも良い。以下、上記各構成要素について詳細に説明する。
【0023】
<樹脂ベース>
この実施形態において、樹脂ベースは、例えば、ビスマレイミド(BMI)樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、及びナフタレンエポキシ樹脂を含む。いくつかの実施形態において、ビスマレイミド樹脂は、大和化成工業株式会社から購入した商品名BMI-5000のビスマレイミド樹脂、大和化成工業株式会社から購入した商品名BMI-2300のビスマレイミド樹脂、日本化薬株式会社から購入した商品名MIR-3000のビスマレイミド樹脂、及び日本化薬株式会社から購入した商品名MIR-5000のビスマレイミド樹脂のうち少なくとも1つを含んでも良いが、これらに限定されない。ビスマレイミド樹脂の構造は、式(I)で表すことができる。
【化3】
式(I)
式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキルであり、Cは、ビフェニル、ナフタレン環及びビスフェノールAから選ばれる1つである。いくつかの実施形態において、R及びRはメチルであり、R及びRはエチルである。
【0024】
いくつかの実施形態において、ベンゾオキサジン樹脂は、昆盟化学工業株式会社から購入した商品名KB-610のベンゾオキサジン樹脂を含んでも良いが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、ナフタレンエポキシ樹脂は、日本DIC株式会社から購入した商品名HP-4710のナフタレンエポキシ樹脂、日本DIC株式会社から購入した商品名HP-6000のナフタレンエポキシ樹脂、及び日本DIC株式会社から購入した商品名HP-9500のナフタレンエポキシ樹脂の少なくとも1種を含んでも良いが、これに限定されない。ナフタレンエポキシ樹脂の構造は式(II)で表すことができる。
【化4】
式(II)
式中、Rはナフタレン環誘導体又はビナフチル誘導体であって良い。
【0025】
本実施形態において、樹脂ベースの全重量を100重量部として、ビスマレイミド樹脂は約10重量%~70重量%であり、ベンゾオキサジン樹脂は約10重量%~50重量%であり、ナフタレンエポキシ樹脂は約10重量%~50重量%である。いくつかの好ましい実施形態において、樹脂ベース中のビスマレイミド樹脂は、約20重量%~70重量%であって良く、ベンゾオキサジン樹脂は、約0重量%~30重量%であって良く、ナフタレンエポキシ樹脂は、約20重量%~約80重量%であって良い。樹脂ベース中の成分及び割合が上記で定義された範囲内にあるとき、樹脂組成物は、架橋度が高く、耐熱性が安定するという利点がある。
【0026】
<無機フィラー>
本実施形態において、無機フィラーは、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)又はカルシウムドープチタン酸ストロンチウム(Ca-doped SrTiO)を含んでも良い。カルシウムドープチタン酸ストロンチウムは、SrCaTiOとして表すことができる。いくつかの好ましい実施形態において、xは0.05~0.4であり、yは0.6~0.95であるが、本発明はこれに限定されるものではない。一般的に、樹脂組成物に添加される無機フィラーとしては、例えば、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)等が知られている。無機フィラーは、樹脂組成物の流動性や熱膨張、又は硬化後の樹脂組成物の機械的強度や寸法安定性に関係し、その後の製品(回路基板など)の電気的性能にも影響を与える。本発明において、無機フィラーとしてチタン酸ストロンチウム又はカルシウムドープチタン酸ストロンチウムを導入することにより、樹脂組成物の誘電率を高め、耐熱性を維持することに貢献するため、樹脂組成物はより5G高周波用基板材料に適したものとなり、それによって製造される基板の良好な耐熱性を維持しながら、高誘電率(Dk)特性を得ることができる。
【0027】
詳細には、いくつかの実施形態では、樹脂組成物の全重量に基づいて、添加される無機フィラー(すなわち、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)又はカルシウムドープチタン酸ストロンチウム(Ca-doped SrTiO))の量は、約100重量部~300重量部であって良い。いくつかの好ましい実施形態では、添加される無機フィラーの量は、約150重量部~300重量部の範囲であって良い。一般的に使用される二酸化ケイ素(SiO)又は酸化アルミニウム(Al)と比較して、本発明のチタン酸ストロンチウム又はカルシウムドープチタン酸ストロンチウムは、その球形により、適切な粒子サイズ(D50は約0.5マイクロメートル、D90は約45ミクロンメートル)、適切な比率などにより、配列の密度が向上し、スタックを容易に形成できるため、効果的に最密充填が達成され、良好な耐熱性を維持しながら、誘電率(Dk)を高める効果が向上する。また、チタン酸ストロンチウムやカルシウムドープチタン酸ストロンチウムは、高い双極子モーメントの性質を有しているため、高誘電率の電気特性を実現することができる。また、いくつかの実施形態において、樹脂組成物の無機フィラーとしてカルシウムドープチタン酸ストロンチウム(Ca-doped SrTiO)は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)より効果的に樹脂組成物の誘電率を増加させることができる。また、誘電正接(Df)を効果的に低減し、高誘電体の電気的仕様を実現する。
【0028】
<シロキサンカップリング剤>
本発明において、樹脂組成物は、シロキサンカップリング剤を含む。シロキサンカップリング剤は、材料の結合性能を改善するために使用することができ、例えば、基板と銅箔との間の接着性を改善することができる。樹脂ベース100重量部に対して、シロキサンカップリング剤の添加量は、約0.1重量部~4重量部の範囲であって良い。いくつかの好ましい実施形態において、添加されるシロキサンカップリング剤の量は、約0.2重量部~3重量部であって良い。シロキサンカップリング剤の添加量が、0.1重量部未満又は4重量部を超える場合、材料と銅箔との間のファンデルワールス力又は化学結合が十分でないか、結合力が強すぎる可能性があり、全体の流動性とその適用範囲に影響を与える。シロキサンカップリング剤の添加量が、1重量部~2重量部である場合、相対的に適切な接着性を有することができる(つまり、材料は適度な流動性と適用性を有する)。本発明の実施形態において、シロキサンカップリング剤は、シロキサンを含んでも良いが、これに限定されない。また、官能基の種類によって、シロキサンは、シロキサンは、アミノシラン、エポキシドシラン、ビニルシラン、エステルシラン、ヒドロキシルシラン、イソシアネートシラン、メタクリルオキシシラン、アクリルオキシシランに分けることができる。本実施形態において、シロキサンカップリング剤は、ダウコーニングから購入した商品名Z6030のシロキサンカップリング剤を含んでも良いが、これに限定されない。
【0029】
<硬化剤>
本実施形態において、樹脂組成物は硬化剤をさらに含む。硬化剤は、主樹脂と化学反応して架橋及び硬化の目的を達成し、熱硬化性樹脂製品を形成することができる。具体的には、硬化剤は、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、p-アミノフェノールなどの第一級アミン及び第二級アミンを含んでも良いが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、硬化剤の添加量は、樹脂ベース100重量部に対して約0~30重量部である。硬化剤の添加量が30重量部を超える場合、樹脂組成物の硬化剤の流動性に影響を与え、樹脂組成物の早期の硬化を招き、最終製品(回路基板など)と回路との間に隙間が生じ、全体の性能に影響を与える。さらに、いくつかの実施形態において、硬化剤は、詠友企業株式会社から購入した商品名S-1817(第一級アミン)の硬化剤、ワッカー・ケミーから購入した商品名HP-2000の硬化剤、及びシグマアルドリッチから購入した商品名DDSの3,3’-ジアミノジフェニルスルホン硬化剤を含む。
【0030】
<触媒>
本実施形態において、システムの反応性を向上させるために、樹脂組成物はさらに触媒を含む。触媒は、例えば、イミダゾール及びホスホニウムボレートであって良いが、これらに限定されない。さらに、触媒は、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール(2PZCN;CAS:23996-12-5)、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(1B2PZ;CAS:37734-89-7)、チアベンダゾール(TBZ;CAS:7724-48-3)、又は上記の組み合わせを含む。さらに、いくつかの実施形態において、樹脂ベース100重量部に対して、添加される触媒の量は、0重量部から10重量部である。いくつかの実施形態において、樹脂ベース100重量部に対して、添加される触媒の量は、0重量部~10重量部である。好ましくは、添加される触媒の量は、0.01重量部~3重量部である。触媒の添加量が多すぎると、反応速度が速すぎて流動性が低下し、接着剤の充填異常、接着剤の不足などが発生する。本実施形態において、触媒は、例えば、北興化学工業株式会社の商品名TPP-MKのホスホニウムボレート系化合物であって良い。
【0031】
以下の実施例及び比較例は、本発明の効果を説明するために提供されるものであり、本発明の権利範囲は実施形態の範囲に限定されない。
【0032】
<実施例>
各実施例及び比較例で作製した銅箔基板を以下の方法で評価した。
【0033】
<樹脂組成物の調製>
表1に示す樹脂組成物をトルエンと混合して熱硬化性樹脂組成物のワニスを形成した。このワニスをナンヤガラスクロス(南亜プラスチック会社、クロスタイプ2013)に室温で含浸させ、次いで、130℃(含浸機)で数分間乾燥させた後、樹脂含有量60wt%(重量%)のプリプレグを得た。最後に、厚さ35μmの銅箔2枚の間にプリプレグ4枚を積層し、圧力25kg/cm、温度85℃で20分間一定温度に保ち、その後、昇温速度3℃/分で185℃まで昇温し、120分間一定温度に保持し、その後130℃まで徐冷し、厚さ0.5mmの銅箔基板を得た。
【0034】
<評価方法と結果>
耐熱性:288℃はんだ耐熱性(秒):プレッシャークッカーにて120℃、2気圧(atm)で120分加熱後、288℃のはんだ付け機に浸漬し、サンプルが破裂して剥離するのに必要な時間を記録を記録した。
【0035】
ガラス転移温度(℃):動的機械分析装置(DMA)による試験。
【0036】
誘電率Dk:10GHzの周波数での誘電率Dkが、アジレント・テクノロジー株式会社のモデルE4991Aの誘電分析器によって試験された。
【0037】
誘電正接Df:10 GHzの周波数での誘電正接Dfが、アジレント・テクノロジー株式会社のモデルE4991Aの誘電分析器によって試験された。
【0038】
銅箔剥離強度(lb/in):銅箔と回路キャリア間の剥離強度が試験された。
【0039】
【表1】
【0040】
表1の配合情報:
ビスマレイミド樹脂:BMI-2300
ベンゾオキサジン樹脂:KB-610
ナフタレンエポキシ樹脂:HP-4710
硬化剤:S-1817
シロキサンカップリング剤:Z6030
触媒:TPP-MK
【0041】
表1から分かるように、二酸化ケイ素(比較例1)又は酸化アルミニウム(比較例2)の使用と比較して、樹脂組成物はチタン酸ストロンチウム(実施例2)又はカルシウムドープチタン酸ストロンチウム(実施例1)を無機フィラーとして導入した場合、材料の誘電率を高め、剥離強度やガラス転移温度に影響を与えずに耐熱性を維持するのに貢献する。また、樹脂組成物の無機フィラーとしてチタン酸ストロンチウムを用いた場合(実施例2)と比較して、カルシウムドープチタン酸ストロンチウムを用いた樹脂組成物(実施例1)は、樹脂組成物の誘電率を向上させる効果がより高く、また、誘電正接(Df)を効果的に低減する。
【0042】
以上より、本発明の樹脂組成物は、無機フィラーとしてチタン酸ストロンチウム又はカルシウムドープチタン酸ストロンチウムを選択することにより、誘電率を向上させることができる。これにより、5G高周波用基板材料として使用でき、基板の耐熱性を良好に維持しながら、高誘電率特性を得ることができる。
【0043】
以上、当業者が以下の詳細な説明をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説した。当業者は、本明細書に導入された実施形態と同じ目的を実行し、及び/又は同じ利点を達成するために、他の工程及び構造を設計又は修正するための基礎として、本発明を容易に使用できることを理解すべきである。当業者はまた、そのような同等の構成が本発明の精神及び範囲から逸脱しないこと、及び本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、及び変更を行うことができることを理解するべきである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の樹脂組成物及びその用途は、5G/B5G通信分野に応用することができる。
【外国語明細書】