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特開2024-72239プレストパウダー製品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072239
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】プレストパウダー製品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20240520BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240520BHJP
   A61K 8/03 20060101ALI20240520BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240520BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
A61K8/25
C09D201/00
A61K8/03
A61Q1/12
A61K8/81
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105428
(22)【出願日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】202211423577.4
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523246215
【氏名又は名称】上海綿花棠生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai Marshmallowmakeup Biotech Corp., Ltd
【住所又は居所原語表記】Building 3, No. 58, Lane 1575, Weichang Road, Shanyang Town, Jinshan District, Shanghai, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】顧 宏偉
(72)【発明者】
【氏名】秦 海峰
(72)【発明者】
【氏名】余 淮承
【テーマコード(参考)】
4C083
4J038
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB291
4C083AB292
4C083AB322
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC102
4C083AD091
4C083AD111
4C083AD112
4C083BB21
4C083CC12
4C083DD05
4C083DD17
4C083EE03
4J038CB052
4J038CE022
4J038HA166
4J038HA266
4J038HA442
4J038HA526
4J038HA556
4J038KA06
4J038KA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プレストパウダー製品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】プレストパウダー製品は、基礎プレストパウダー層、インク吸収層、パターン層を含む。前記パターン層は、インクを印刷することによって形成され、前記インク吸収層は、インク吸収塗料を前記基礎プレストパウダー層に吹き付けることによって形成され、前記インク吸収塗料が、オイルコントロール剤、顕色剤、溶剤、及び安定剤を含み、前記オイルコントロール剤が、質量比が(5~6):(1~2)であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなる。プレストパウダー製品の製造方法は、オイルコントロール剤、顕色剤、溶剤、安定剤を均一に混合して、混合物を得るステップと、前記混合物を基礎プレストパウダー層に吹き付け、乾燥して、セミプレストパウダー製品を得るステップと、前記セミプレスパウダー製品にパターンを印刷して、プレストパウダー製品を得るステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎プレストパウダー層、インク吸収層、パターン層を含み、
前記パターン層は、インクを印刷することによって形成され、
前記インク吸収層は、インク吸収塗料を前記基礎プレストパウダー層に吹き付けることによって形成され、前記インク吸収塗料が、重量パーセントが0.5~10%であるオイルコントロール剤、重量パーセントが0.5~20%である顕色剤、重量パーセントが55~98.5%である溶剤、及び重量パーセントが0.5~10%である安定剤を含み、前記オイルコントロール剤が、質量比が(5~6):(1~2)であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなることを特徴とするプレストパウダー製品。
【請求項2】
前記ヒドロキシアパタイトは、変性ヒドロキシアパタイトであり、前記変性ヒドロキシアパタイトの製造方法は、以下のステップを含み:キトサン第四級アンモニウム塩をスチレン-ブタジエンエマルションに浸漬して、前処理キトサン第四級アンモニウム塩を得て、前記前処理キトサン第四級アンモニウム塩を前記ヒドロキシアパタイトと混合して、前記変性ヒドロキシアパタイトを得ることを特徴とする、請求項1に記載のプレストパウダー製品。
【請求項3】
前記キトサン第四級アンモニウム塩は、変性キトサン第四級アンモニウム塩であり、前記変性キトサン第四級アンモニウム塩は、前記キトサン第四級アンモニウム塩がトリエトキシオクチルシランで表面処理されたものであることを特徴とする、請求項2に記載のプレストパウダー製品。
【請求項4】
前記キトサン第四級アンモニウム塩は、有機溶媒でエッチングされたものであることを特徴とする、請求項3に記載のプレストパウダー製品。
【請求項5】
前記カオリンにおいて、粒度分布の0.5~ 0.8μmであるカオリンの質量割合が20%~25%を占め、粒度分布の0.8~1.5μmであるカオリンの質量割合が30%~35%を占め、粒度分布の1.5~ 2.0μmであるカオリンの質量割合が25%~30%を占め、粒度分布の2.0~2.5μmであるカオリンの質量割合が15%~20%を占めることを特徴とする、請求項1に記載のプレストパウダー製品。
【請求項6】
前記インク吸収塗料は、さらに1%~2%の接着剤を含み、前記接着剤が、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体の中の少なくとも両種を含むことを特徴とする、請求項1に記載のプレストパウダー製品。
【請求項7】
前記接着剤が、質量比が(5~6):(3~4):(1~2)である二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体からなることを特徴とする、請求項6に記載のプレストパウダー製品。
【請求項8】
オイルコントロール剤、顕色剤、溶剤、安定剤を均一に混合して、混合物を得る混合物の調製のステップであって、前記混合物は、重量パーセントが0.5~10%であるオイルコントロール剤、重量パーセントが0.5~20%である顕色剤、重量パーセントが55~98.5%である溶剤、及び重量パーセントが0.5~10%である安定剤を含み、前記オイルコントロール剤が、質量比が(5~6):(1~2)であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなる混合物の調製のステップと、
前記混合物を基礎プレストパウダー層に吹き付け、乾燥して、セミプレストパウダー製品を得るインク吸収層の作製のステップと、
前記セミプレストパウダー製品にパターンを印刷して、プレストパウダー製品を得るプレストパウダー製品の製造のステップと、
を含むことを特徴とする前記請求項1~7のいずれかの一項に記載のプレストパウダー製品の製造方法。
【請求項9】
前記混合物は、さらに接着剤を含むことを特徴とする、請求項8に記載のプレストパウダー製品の製造方法。
【請求項10】
前記ヒドロキシアパタイトは、変性ヒドロキシアパタイトであり、
前記変性ヒドロキシアパタイトの製造方法は、以下のステップ:キトサン第四級アンモニウム塩をスチレン-ブタジエンエマルションに浸漬して、前処理キトサン第四級アンモニウム塩を得て、前記前処理キトサン第四級アンモニウム塩を前記ヒドロキシアパタイトと混合して、前記変性ヒドロキシアパタイトを得る、を含む
ことを特徴とする、請求項8に記載のプレストパウダー製品の製造方法。
【請求項11】
前記キトサン第四級アンモニウム塩は、変性キトサン第四級アンモニウム塩であり、前記変性キトサン第四級アンモニウム塩が、前記キトサン第四級アンモニウム塩をトリエトキシオクチルシランで表面処理することによって得られたものであることを特徴とする、請求項10に記載のプレストパウダー製品の製造方法。
【請求項12】
前記キトサン第四級アンモニウム塩は、有機溶媒でエッチングすることによって得られたものであることを特徴とする、請求項10に記載のプレストパウダー製品の製造方法。
【請求項13】
前記カオリンにおいて、粒度分布の0.5~ 0.8μmであるカオリンの質量割合が20%~25%を占め、粒度分布の0.8~1.5μmであるカオリンの質量割合が30%~35%を占め、粒度分布の1.5~ 2.0μmであるカオリンの質量割合が25%~30%を占め、粒度分布の2.0~2.5μmであるカオリンの質量割合が15%~20%を占めることを特徴とする、請求項8に記載のプレストパウダー製品の製造方法。
【請求項14】
前記混合物は、さらに1%~2%の接着剤を含み、前記接着剤が、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体の中の少なくとも両種を含むことを特徴とする、請求項9に記載のプレストパウダー製品の製造方法。
【請求項15】
前記接着剤が、質量比が(5~6):(3~4):(1~2)である二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体からなることを特徴とする、請求項14に記載のプレストパウダー製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連特許出願の相互参照>
本願は、2022年11月15日に出願した、出願番号が202211423577.4であり、発明の名称が「表面が完全なパターンを有するプレストパウダー製品及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照により本願に援用される。
【0002】
本発明は、プレストパウダー製品の製造の技術分野に関し、特にプレストパウダー製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
パウダーケーキ、チークルージュ、アイシャドーなどのプレストパウダー製品は、プレス成型することによって作られる製品である。特にパウダーケーキは、パウダーケーキを製造するための原材料を混合した後、パウダーコンパクターでプレス成型することによって作られる。
【0004】
パウダーケーキの機能性を高めることを前提として、さらにパウダーケーキの販売数量を拡大するために、人々は、通常には、パウダーケーキの表面にいくつかのパターンを設置することによって、消費者の注意を引く。現在、表面にパターンが設置されたプレストパウダー製品が、主にプレスパウダー製品の表面に白色のスラリーを吹き付けることによって、局部的に単純なパターンを少数設置したものである。
【0005】
現在、表面にパターンが設置されたプレストパウダー製品は、パターンの色が単一であり、単純なパターンしか吹き付けることができず、吹き付けられたパターンは不完全である。
【0006】
プレストパウダー製品の表面のパターンの完全性を高めるために、本発明は、プレストパウダー製品及びその製造方法を提供する。
【0007】
一方では、本発明は、プレストパウダー製品を提供して、以下の技術内容を採用する。
【0008】
プレストパウダー製品は、基礎プレストパウダー層、インク吸収層、パターン層を含み、前記パターン層は、インクを印刷することによって形成され、前記インク吸収層は、インク吸収塗料を前記基礎プレストパウダー層に吹き付けることによって形成され、前記インク吸収塗料が、重量パーセントが0.5~10%であるオイルコントロール剤、重量パーセントが0.5~20%である顕色剤、重量パーセントが55~98.5%である溶剤、及び重量パーセントが0.5~10%である安定剤を含み、前記オイルコントロール剤が、質量比が(5~6):(1~2)であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなる。
【0009】
前記顕色剤は、二酸化チタンである。
【0010】
前記安定剤は、炭酸カルシウムである。
【0011】
前記溶剤は、アルコール、イソプロパノールのいずれかの一種である。好ましくは、溶剤がアルコールであることである。
【0012】
前記オイルコントロール剤は、質量比が(5~6):(1:2)であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなる。好ましくは、前記オイルコントロール剤が、質量比が5:1であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなることである。
【0013】
前記カオリンは、焼成カオリンであることである。
【0014】
前記技術内容を採用することにより、プレストパウダー製品の表面のパターンの完全性を高めるために、本発明は、プレストパウダー製品の表面にパターン層を設置して、パターン層がインクを印刷することによって形成される。インクが印刷するプロセスでプレストパウダー製品の内部に浸透することを軽減するために、パターン層とプレストパウダー層との間にインク吸収層を設置して、それによってパターン層のインクがプレストパウダー層に浸透して、プレストパウダー製品の使用に影響をもたらすことを軽減する。インク吸収層のオイルコントロール剤は、カオリンとヒドロキシアパタイトが配合して形成され、カオリンの構造がふわふわで、多孔質であるので、インク吸収層の隙間の容積及び厚さを増やすのに便利であり、インクを吸収することに便利である。ヒドロキシアパタイトは、インクがプレスパウダー層に浸透することを軽減することができ、顕色剤は、パターン層の完全性を高めることができ、オイルコントロール剤と顕色剤が互いに協力し合うことで、一方では、プレストパウダー製品の表面のパターンの完全性及び多様性を高めることができ、一方では、インクがプレストパウダー層に浸透して、プレストパウダー製品の使用に影響をもたらすことを軽減することができる。
【0015】
前記ヒドロキシアパタイトは、変性ヒドロキシアパタイトであり、前記変性ヒドロキシアパタイトの製造方法は、以下のステップを含む。すなわち、キトサン第四級アンモニウム塩をスチレン-ブタジエンエマルションに浸漬して、前処理キトサン第四級アンモニウム塩を得て、前記前処理キトサン第四級アンモニウム塩を前記ヒドロキシアパタイトと混合して、前記変性ヒドロキシアパタイトを得る。
【0016】
前記キトサン第四級アンモニウム塩と前記ヒドロキシアパタイトとの質量比は、1:(4~6)である。
【0017】
前記技術内容を採用することによって、キトサン第四級アンモニウム塩が抗菌性、制菌性、吸湿性、保湿性などの第四級アンモニウム塩の代表的な性質を有し、且つキトサンの本来の良好な皮膜形成性や生体適合性が維持され、キトサン第四級アンモニウム塩の外層にヒドロキシアパタイトが付着され、ヒドロキシアパタイトは、キトサン第四級アンモニウム塩の外層にオイルコントロール層が形成されるので、インク吸収層のインク浸透力を調整することを前提として、インク吸収層に一定の抗菌性を付与して、プレストパウダー製品が応用される時の抗菌性を高めることができる。
【0018】
前記キトサン第四級アンモニウム塩は、変性キトサン第四級アンモニウム塩であり、前記変性キトサン第四級アンモニウム塩は、前記キトサン第四級アンモニウム塩がトリエトキシオクチルシランで表面処理されたものである。
【0019】
前記変性キトサン第四級アンモニウム塩の粒径は、50nm~100nmである。
【0020】
前記技術内容を採用することによって、前記キトサン第四級アンモニウム塩がトリエトキシオクチルシランで表面処理された後、その表面が親油性となるので、ある程度の疎水性を有し、インク吸収層の疎水性の向上が容易となる。
【0021】
前記キトサン第四級アンモニウム塩は、有機溶媒でエッチングされたものである。
【0022】
前記技術内容を採用することにより、キトサン第四級アンモニウム塩が有機溶媒でエッチングされた後、キトサン第四級アンモニウム塩の表面の比表面積が増加し、さらにキトサン第四級アンモニウム塩の表面の粗さが増加し、それによって、浸漬プロセス中では、キトサン第四級アンモニウム塩は、より多くのスチレン-ブタジエンエマルションが付着され、さらにより多くのヒドロキシアパタイトが付着される。それによって、オイルコントロール層の緻密性を高め、オイルコントロール層のオイルコントロールを高め、さらにインクがプレストパウダー製品に浸透したことを低減することができる。
【0023】
前記カオリンにおいて、粒度分布の0.5~ 0.8μmであるカオリンの質量割合が20%~25%を占め、粒度分布の0.8~1.5μmであるカオリンの質量割合が30%~35%を占め、粒度分布の1.5~ 2.0μmであるカオリンの質量割合が25%~30%を占め、粒度分布の2.0~2.5μmであるカオリンの質量割合が15%~20%を占める。
【0024】
前記技術内容を採用することにより、本発明は、異なる粒径を持つカオリンを添加することによって、カオリンがインク吸収層に交互に分布され、インク吸収層の隙間に充填され、それによって、インク吸収層の緻密性を向上させ、インクがプレストパウダー製品に浸透したことを低減することができるとともに、パターンの完全性を高める。
【0025】
前記インク吸収塗料は、さらに1%~2%の接着剤を含み、前記接着剤が、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体の中の少なくとも両種を含む。
【0026】
前記技術内容を採用することにより、接着剤の添加は、インク吸収層の各成分の間の接着性を高めるのに便利であり、ヒドロキシアパタイトのオイルコントロール及び顕色剤の顕色効果をより良く発揮して、パターンの完全性を高め、同時にインク吸収層の緻密性を高め、インクがプレスパウダー製品に浸透することを低減することができる。
【0027】
前記接着剤が、質量比が(5~6):(3~4):(1~2)である二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる。
【0028】
前記技術内容を採用することにより、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体の三種類の成分が互いに協力し、良好な相乗効果をもたらし、ポリビニルアルコールは、二酸化ケイ素とエチレン酢酸ビニルがインク吸収層に分散された分散性を高めるのに便利であり、インク吸収層の均一性を高め、インク吸収層の表面でのインクの広がりをより均一にならせる。ポリビニルアルコールとエチレン酢酸ビニルは、粒径と形状がよく一致しており、両者が連携して、インクの拡散と浸透を効果的に調整し、インクがプレスパウダー層に浸透することを低減し、同時にパターン層の安定性を高めることができる。
【0029】
一方では、本発明は、プレスパウダー製品の製造方法を提供する。
【0030】
プレスパウダー製品の製造方法は、以下のステップを含む。
混合物の調製:オイルコントロール剤、顕色剤、溶剤、安定剤を均一に混合して、混合物を得る。前記混合物は、重量パーセントが0.5~10%であるオイルコントロール剤、重量パーセントが0.5~20%である顕色剤、重量パーセントが55~98.5%である溶剤、及び重量パーセントが0.5~10%である安定剤を含み、前記オイルコントロール剤が、質量比が(5~6):(1~2)であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなる。
インク吸収層の作製:前記混合物を基礎プレストパウダー層に吹き付け、乾燥して、セミプレストパウダー製品を得る。
プレストパウダー製品の製造:前記セミプレスパウダー製品にパターンを印刷して、プレストパウダー製品を得る。
【0031】
前記混合物は、さらに接着剤を含む。
【0032】
前記混合物は、さらに1%~2%の接着剤を含み、前記接着剤が、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体の中の少なくとも両種を含む。
【0033】
本発明の基礎プレストパウダー層は、パウダーケーキ、チークルージュ、アイシャドーなどのプレス成型することによって作られるレストパウダー製品の表面である。
【0034】
前記乾燥は、オーブンで乾燥して、乾燥温度が40℃~50℃であり、乾燥時間が1時間~2時間である。
【0035】
前記技術内容を採用することにより、本発明は、基礎プレストパウダー層にインク吸収層を吹き付けることによって、一方では基礎プレストパウダー層の表面のパターンの完全性と多様性を向上させるのに便利であり、同時にインク吸収層にオイルコントロール剤が添加されるので、パターンの中のインクが基礎プレストパウダー層に浸透することを軽減することができる。
【0036】
本発明は、以下の効果を有する。
【0037】
1、本発明のプレストパウダー製品は、基礎プレストパウダー層、インク吸収層、パターン層が設置される。パターン層は、必要なパターンをインクで印刷するのに便利であり、インク吸収層は、中間層としてパターン層と基礎プレストパウダー層とを接続することに便利であり、インク吸収層は、インクの吸収や浸透の度合いを調整することによって、インクが基礎プレストパウダー層に直接に浸透することを軽減して、さらに、印刷されたパターンがプレスパウダー製品への影響を軽減する。
【0038】
本発明のプレストパウダー製品のインク吸収層は、接着剤が添加される。接着剤の添加は、インク吸収層の各成分の間の接着性を高めるのに便利であり、ヒドロキシアパタイトのオイルコントロール及び顕色剤の顕色効果をより良く発揮して、パターンの完全性を高め、同時にインク吸収層の緻密性を高め、インクがプレスパウダー製品に浸透することを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施形態に係るプレストパウダー製品の全体構造(1、パターン層;2、インク吸収層;3、基礎プレストパウダー層)を示す図である。
図2】本願の比較例におけるプレストパウダー製品の全体構造を示す図である(1’、パターン層、3’、基礎プレストパウダー層)。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、実施形態と結合して、本発明をさらにより詳細に説明する。
【0041】
実施形態1
プレストパウダー製品は、下から上に、それぞれ基礎プレストパウダー層3、インク吸収層2、パターン層1である。本実施形態では、基礎プレストパウダー層3は、パウダーケーキであり、インク吸収層2は、インク吸収塗料を基礎プレストパウダー層3に吹き付けることによって形成され、インク吸収塗料の原料が表1に示す。そのうち、オイルコントロール剤は、質量比が5:1であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなり、顕色剤は、二酸化チタンであり、安定剤は、炭酸カルシウムであり、溶剤は、アルコールである。
【0042】
前述のプレストパウダー製品の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)混合物の調製:オイルコントロール剤、顕色剤、溶剤、安定剤を均一に混合して、混合物を得る。
(2)インク吸収層の作製:ステップ(1)で調製した混合物を基礎プレストパウダー層に吹き付け、乾燥温度50℃、乾燥時間1時間のオーブンで乾燥して、セミプレストパウダー製品を得る。
(3)プレストパウダー製品の製造:ステップ(2)で作製したセミプレスパウダー製品にパターンを印刷して、プレストパウダー製品を得る。
表1 実施形態1~6のプレストパウダー製品におけるインク吸収層の中のインク吸収スラリーの原料の用量
【0043】
実施形態2~4:プレスパウダー製品が実施形態1のプレスパウダー製品との違いは、原材料の用量が表1に示すことである。
【0044】
実施形態5:プレスパウダー製品が実施形態3のプレスパウダー製品との違いは、原材料の用量が表1に示して、接着剤が、質量比が1:1である二酸化ケイ素とポリビニルアルコールからなることである。
【0045】
前述のプレスパウダー製品の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)混合物の調製:オイルコントロール剤、顕色剤、溶剤、安定剤、接着剤を均一に混合して、混合物を得る。
(2)インク吸収層の作製:ステップ(1)で調製した混合物を基礎プレストパウダー層に吹き付け、乾燥温度50℃、乾燥時間1時間のオーブンで乾燥して、セミプレストパウダー製品を得る。
(3)プレストパウダー製品の製造:ステップ(2)で作製したセミプレスパウダー製品にパターンを印刷して、プレストパウダー製品を得る。
【0046】
実施形態6:プレストパウダー製品は、実施形態5のプレストパウダー製品との違いは、原材料の用量が表1に示すことである。
【0047】
実施形態7:プレスパウダー製品は、実施形態5のプレストパウダー製品との違いは、ヒドロキシアパタイトが変性ヒドロキシアパタイトであることである。変性ヒドロキシアパタイトの製造方法は、以下のステップを含む。キトサン第四級アンモニウム塩をスチレン-ブタジエンエマルションに浸漬して、前処理キトサン第四級アンモニウム塩を得、前処理キトサン第四級アンモニウム塩をヒドロキシアパタイトと混合して、変性ヒドロキシアパタイトを得る。キトサン第四級アンモニウム塩とヒドロキシアパタイトとの質量比は、1:6である。
【0048】
実施形態8:プレスパウダー製品は、実施形態7のプレストパウダー製品との違いは、変性ヒドロキシアパタイトを製造することに使用されるキトサン第四級アンモニウム塩が変性キトサン第四級アンモニウム塩であることである。変性キトサン第四級アンモニウム塩は、キトサン第四級アンモニウム塩がトリエトキシオクチルシランで表面処理されたものである。変性キトサン第四級アンモニウム塩の粒径は、60nmである。
【0049】
実施形態9:プレスパウダー製品は、実施形態7のプレストパウダー製品との違いは、変性ヒドロキシアパタイトを製造することに使用されるキトサン第四級アンモニウム塩は、有機溶媒でエッチングして、エッチングされたキトサン第四級アンモニウム塩を得て、エッチングされたキトサン第四級アンモニウム塩をトリエトキシオクチルシランで表面処理することによって得られたものである。
【0050】
実施形態10:プレスパウダー製品は、実施形態9のプレストパウダー製品との違いは、粒度分布の0.5~ 0.8μmであるカオリンの質量割合が25%を占め、粒度分布の0.8~1.5μmであるカオリンの質量割合が35%を占め、粒度分布の1.5~ 2.0μmであるカオリンの質量割合が25%を占め、粒度分布の2.0~2.5μmであるカオリンの質量割合が15%を占めることである。
【0051】
実施形態11:プレスパウダー製品は、実施形態10のプレスパウダー製品との違いは、接着剤が、質量比が5:3:1である二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体からなることである。
【0052】
実施形態12:プレストパウダー製品は、実施形態10のプレストパウダー製品との違いは、接着剤が、質量比が6:4:2である二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体からなることである。
【0053】
比較例
比較例1:プレストパウダー製品は、下から上に、基礎プレストパウダー層3’及びパターン層1’であり、本比較例における基礎プレストパウダー層3は、パウダーケーキである。
【0054】
比較例2:プレストパウダー製品は、実施形態1のプレスパウダー製品との違いは、オイルコントロール剤がカオリンであることである。
【0055】
比較例3:プレストパウダー製品は、実施形態1のプレスパウダー製品との違いは、オイルコントロール剤が、質量比が2 : 1であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなることである。
【0056】
比較例4:プレストパウダー製品は、実施形態1のプレスパウダー製品との違いは、オイルコントロール剤が、質量比が8:1であるヒドロキシアパタイトとカオリンからなることである。
【0057】
検出方法
安定性試験:実施形態1~12で製造されたプレストパウダー製品を50℃及び-18℃に1か月間置き、25℃のインキュベーターに置かれた製品と比較して、プレスパウダー製品の安定性を観察するために、外観、色、パターンの完全性、実用的なスメア感などを比較して、その試験結果を表2に示す。
【0058】
インク浸透性の検出:実施形態1~12及び比較例1~4で製造されたプレストパウダー製品を取り出し、水分計でプレストパウダー層の水分含有量を測定し、基礎プレストパウダー層のインクの浸透厚さを計算し、検出結果を表2に示す。
【0059】
パターンの完全性の検出:実施形態1~12及び比較例1~4で製造されたプレストパウダー製品を取り出し、パターンの完全性を観察し、パターンの完全性をスコア化する。スコアは、1~4、5~7 、及び8~10に分けられる。スコアが高いほどパターンがより完全であり、パターンのスコアリング結果を表2に示す。
表2 実施形態1~12及び比較例1~4のプレストパウダー製品の性能試験結果
【0060】
実施形態1~4と表2のデータを組み合わせると、実施形態1~4で製造されたプレストパウダー製品のパターンの完全性は比較的に高く、50℃及び-18℃で1か月間置いた場合、比較的に正常であることが分かる。これは、調製されたインク吸収層が比較的に安定であり、プレストパウダー層に浸透したインクの厚さが2μm未満であり、プレストパウダー製品への影響はほとんどないことを示す。本発明の発明者らは、パターン層と基礎プレストパウダー層との間にインク吸収層を設置することによって、一方では、パターン層のパターンの完全性を向上させることができ、他方では、インク吸収層が緩衝層として、インクが基礎プレストパウダー層に浸透することを減らすことができ、さらに、プレストパウダー製品の美観を向上させることを前提として、インクがプレストパウダー製品への影響を軽減することができると、推測する。
【0061】
実施形態4~6と表2のデータを組み合わせると、実施形態5~6で製造されたプレストパウダー製品のパターンの完全性は比較的に高く、50℃及び-18℃で1か月間置いた場合、比較的に正常であり、且つプレストパウダー層に浸透したインクの厚さが1μm以下であることが分かる。本発明の発明者らは、実施形態5~6と実施形態4との違いは、実施形態5~6におけるインク吸収塗料に接着剤が添加され、且つ接着剤が二酸化ケイ素とポリビニルアルコールが配合されたものであることであり、接着剤がインク吸収塗料の他の成分の結合をより強固にならせることができ、インク吸収層の緻密性を向上させることを前提として、インク吸収層の隣接する成分の間の隙間のサイズを小さくし、インクの吸収性と浸透性をより適切に調整することができ、プレストパウダー製品のパターンの安定性を向上させ、インクの浸透がプレストパウダー製品への影響を軽減することができると、推測する。
【0062】
実施形態5、実施形態7及び表2のデータを組み合わせると、実施形態7で製造されたプレストパウダー製品のパターンの完全性は比較的に高く、50℃及び-18℃で1か月間置いた場合、比較的に正常であり、且つプレストパウダー層に浸透したインクの厚さが1μm以下であることが分かる。実施形態5と比較して、本発明の発明者らは、実施形態7では、キトサン第四級アンモニウム塩の表面にヒドロキシアパタイトを包み込むことにより、キトサン第四級アンモニウム塩が抗菌性、制菌性、吸湿性、保湿性などの第四級アンモニウム塩の代表的な性質を有し、且つキトサンの本来の良好な皮膜形成性や生体適合性が維持され、キトサン第四級アンモニウム塩の外層にヒドロキシアパタイトが付着され、ヒドロキシアパタイトは、キトサン第四級アンモニウム塩の外層にオイルコントロール層が形成されるので、インク吸収層のインク浸透力を調整することを前提として、インク吸収層に一定の抗菌性を付与すると、推測する。
【0063】
実施形態7~8と表2のデータを組み合わせると、実施形態8で製造されたプレストパウダー製品のパターンの完全性は比較的に高く、50℃及び-18℃で1か月間置いた場合、比較的に正常であり、且つプレストパウダー層に浸透したインクの厚さが0.7μm未満であることが分かる。本発明の発明者らは、実施形態8のキトサン第四級アンモニウム塩に疎水化処理が施されており、それによって、キトサン第四級アンモニウム塩の吸水性と吸湿性を低減して、同時にキトサン第四級アンモニウム塩の表面に付着されたヒドロキシアパタイトがインクをより良く吸収することができるので、インクが基礎プレストパウダー層に浸透した厚さを減少することができると、推測する。
【0064】
実施形態7、実施形態9及び表2のデータを組み合わせると、実施形態9で製造されたプレストパウダー製品のパターンの完全性は比較的に高く、50℃及び-18℃で1か月間置いた場合、比較的に正常であり、プレストパウダー層に浸透したインクの厚さが0.5μm以下であることが分かる。本発明の発明者らは、実施形態9では、まず、キトサン第四級アンモニウム塩に対して有機溶剤エッチング処理を行って、キトサン第四級アンモニウム塩の比表面積を向上させ、キトサン第四級アンモニウム塩の表面を粗くならせる。その後、前処理されたキトサン第四級アンモニウム塩に対して疎水化処理を施し、キトサン第四級アンモニウム塩の吸水性を低減することができ、さらにインクが基礎プレストパウダー層に浸透した厚さを低減することができると、推測する。
【0065】
実施形態9~10と表2のデータを組み合わせると、実施形態10で製造されたプレストパウダー製品のパターンの完全性は比較的に高く、50℃及び-18℃で1か月間置いた場合、比較的に正常であり、且つプレスドパウダー層に浸透したインクの厚さは0.5μm未満であることが分かる。本発明の発明者らは、実施形態10のインク吸収塗料に用いられたオイルコントロール剤におけるカオリンが異なる粒径を持ち、異なる粒径を持つカオリンがインク吸収層に交互に分布され、インク吸収層の隙間に充填され、それによって、インク吸収層の緻密性を向上させ、インクがプレストパウダー製品に浸透したことを低減することができるとともに、パターンの完全性を高めると、推測する。
【0066】
実施形態10~12と表2のデータを組み合わせると、実施形態11~12で製造されたプレストパウダー製品のパターンの完全性は比較的に高く、50℃及び-18℃で1か月間置いた場合、比較的に正常であり、且つプレスドパウダー層に浸透したインクの厚さは0.5μm未満であることが分かる。本発明の発明者らは、実施形態11~12におけるインク吸収塗料の中の接着剤は、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニルコポリマーの三つの成分が配合して構成され、インク吸収塗料の中の他の成分と互いに作用して、インクが基礎プレストパウダー層に浸透することを軽減することができ、同時にパターン層の多様性と安定性を高めると、推測する。
【0067】
前述の実施形態の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができるが、説明を簡潔にするために、前述の実施形態における各技術的特徴のすべての可能な組み合わせがすべて記載されているわけではないが、これらの技術的特徴の組み合わせが矛盾しない限り、すべてが本明細書の記載範囲であると見なされるべきである。
【0068】
前述の実施形態は、本発明のいくつかの実施形態を表現するだけであり、その説明は比較的に具体的かつ詳細であるが、特許出願の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者にとって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いくつかの変形及び修正を行うことができ、それらはすべて本発明の保護範囲に属することに留意されたい。従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に基づくべきである。
【符号の説明】
【0069】
1 パターン層
2 インク吸収層
3 基礎プレストパウダー層
1’ パターン層
3’ 基礎プレストパウダー層
図1
図2