IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイオーズ インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-72241PWMコントローラI/O端子の障害診断
<>
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図1
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図2
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図3
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図4
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図5
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図6
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図7
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図8
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図9
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図10
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図11
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図12
  • 特開-PWMコントローラI/O端子の障害診断 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072241
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】PWMコントローラI/O端子の障害診断
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240520BHJP
【FI】
G01R31/26 C
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023121830
(22)【出願日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】18/055,555
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】318000156
【氏名又は名称】ダイオーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ドンジー
(72)【発明者】
【氏名】ライカー,ハリシュ
(72)【発明者】
【氏名】パティル,アービンド
(72)【発明者】
【氏名】パンチャムキー,アクシェイ
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA05
2G003AB18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】システムコントローラがLEDシステムの障害状態を確実に決定することができる単純な障害診断装置を有することが望ましい。
【解決手段】装置は、クランプ回路の出力で所定の電圧を供給するように構成されるクランプ回路と、クランプ回路の出力に結合されるクランプスイッチと、クランプスイッチとコントローラの入力/出力端子との間に接続されるパスデバイスとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ回路の出力で所定の電圧を供給するように構成されるクランプ回路と、
前記クランプ回路の前記出力に結合されるクランプスイッチと、
前記クランプスイッチとコントローラの入力/出力端子との間に接続されるパスデバイスと、
を備える装置。
【請求項2】
前記クランプ回路は、演算増幅器と、第1の抵抗器と、第2の抵抗器とを備え、
前記演算増幅器の非反転入力が所定の基準に接続され、
前記演算増幅器の反転入力が前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器との共通ノードに接続され、
前記第1の抵抗器および前記第2の抵抗器は、前記演算増幅器の出力とグランドとの間に直列に接続され、前記演算増幅器の前記出力が前記クランプ回路の前記出力である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記クランプ回路、前記クランプスイッチ、および前記パスデバイスは、障害事象に応答して前記コントローラの前記入力/出力端子における論理ハイ電圧が所定の設定点にクランプされるように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記クランプスイッチのゲートに接続される出力を有する障害論理ユニットを更に備え、前記障害論理ユニットは、障害事象に応答して前記障害論理ユニットが前記クランプスイッチをオンにする信号を生成するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記パスデバイスは、p型トランジスタと、第1のクランプダイオードと、第2のクランプダイオードと、バイアス抵抗器とを備え、
前記p型トランジスタのソース端子にはボディ端子が接続され、
前記第1のクランプダイオードが前記p型トランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に接続され、
前記第2のクランプダイオードが前記p型トランジスタの前記ゲート端子と前記ソース端子との間に接続され、
前記バイアス抵抗器が前記ゲート端子とグランドとの間に接続される、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記パスデバイスがダイオードを備え、
前記ダイオードのアノードが前記コントローラの前記入力/出力端子に接続され、
前記ダイオードのカソードが前記クランプスイッチに接続される、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記パスデバイスは、前記コントローラの前記入力/出力端子と前記クランプスイッチとの間に接続される抵抗器を備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記パスデバイスが静電放電(ESD)デバイスを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ESDデバイスがツェナーダイオードであり、
前記ツェナーダイオードのカソードが前記コントローラの前記入力/出力端子に接続され、
前記ツェナーダイオードのアノードが前記クランプスイッチに接続される、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記パスデバイスは、前記クランプスイッチと前記コントローラの前記入力/出力端子との間に接続される導電線を備え、
前記クランプスイッチがn型金属酸化物半導体(NMOS)ESDセルを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラの前記入力/出力端子が前記コントローラのパルス幅変調(PWM)端子であり、前記PWM端子は、システムコントローラからPWM信号を受信するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラは、直列に接続される複数の発光ダイオードを通じて流れる平均電流を制御するためのゲート駆動信号を生成するように構成されるPWMコントローラである、
請求項1に記載の装置。
【請求項13】
発光ダイオード(LED)システムのコントローラのPWM端子に供給されるPWM信号を生成するようにマイクロコントローラを構成するステップと、
前記LEDシステムにおける障害事象を検出するステップと、
前記LEDシステムにおける前記障害事象に応答して、クランプ装置を介して前記PWM信号の論理ハイ電圧を所定レベルにクランプするステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記クランプ装置は、
クランプ回路の出力で所定の電圧を供給するように構成されるクランプ回路と、
前記クランプ回路の前記出力に結合されるクランプスイッチと、
前記クランプスイッチと前記コントローラの前記PWM端子との間に接続されるパスデバイスと、
を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クランプ回路は、演算増幅器と、第1の抵抗器と、第2の抵抗器とを備え、
前記演算増幅器の非反転入力が所定の基準に接続され、
前記演算増幅器の反転入力が前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器との共通ノードに接続され、
前記第1の抵抗器および前記第2の抵抗器が前記演算増幅器の出力とグランドとの間に直列に接続され、前記演算増幅器の前記出力が前記クランプ回路の前記出力であり、
前記クランプスイッチが障害論理ユニットに接続されるゲートを有し、前記障害論理ユニットは、前記障害事象に応答して前記障害論理ユニットが前記クランプスイッチをオンにする信号を生成するように構成され、
前記パスデバイスがダイオードを備え、
前記ダイオードのアノードが前記コントローラの前記PWM端子に接続され、
前記ダイオードのカソードが前記クランプスイッチに接続される、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記障害事象が発生した後に前記PWM信号の前記論理ハイ電圧を感知するステップと、
前記PWM信号の前記論理ハイ電圧を前記所定のレベルと比較するステップと、
前記PWM信号の前記論理ハイ電圧を前記所定のレベルと比較する前記ステップで得られる比較結果に基づいて前記所定の基準を調整するステップであって、前記所定の基準を調整した結果として、様々な動作条件下で前記PWM信号の前記論理ハイ電圧が前記所定のレベルに等しい、ステップと、
を更に含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記障害事象が発生した後に前記PWM信号の前記論理ハイ電圧を感知するステップと、
前記PWM信号の前記論理ハイ電圧を前記所定のレベルと比較するステップと、
前記PWM信号の前記論理ハイ電圧を前記所定レベルと比較する前記ステップで得られる比較結果に基づいて前記クランプスイッチのゲート駆動電圧を調整するステップであって、前記クランプスイッチの前記ゲート駆動電圧を調整した結果として、様々な動作条件下で前記PWM信号の前記論理ハイ電圧が前記所定レベルに等しい、ステップと、
を更に含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記障害事象が発生した後に前記PWM信号の前記論理ハイ電圧を感知するステップと、
前記PWM信号の前記論理ハイ電圧を前記所定のレベルと比較するステップと、
を更に含み、
前記PWM信号の前記論理ハイ電圧が前記所定のレベル未満である場合に、前記PWM信号の前記論理ハイ電圧が前記所定のレベルに等しくなるように前記クランプスイッチのゲート駆動電圧を低減し、
前記PWM信号の前記論理ハイ電圧が前記所定のレベルよりも大きい場合に、前記PWM信号の前記論理ハイ電圧が前記所定のレベルに等しくなるように前記所定の基準を低減する、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記PWM信号の少なくとも1つのPWMパルスが2つの論理ハイレベルを有するように前記障害論理ユニットを構成するステップを更に含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
入力電圧バスと電源スイッチとの間に直列に接続される複数の発光ダイオードと、
前記電源スイッチのゲートに供給されるゲート駆動信号を生成するように構成されるPWMコントローラと、
前記PWMコントローラのPWM端子に結合される障害診断回路と、
を備え、
前記障害診断回路は、
クランプ回路の出力で所定の電圧を供給するように構成されるクランプ回路と、
前記クランプ回路の前記出力に結合されるクランプスイッチと、
前記クランプスイッチと前記PWMコントローラの入力/出力端子との間に接続されるパスデバイスと、
を備える、システム。
【請求項21】
前記クランプ回路は、演算増幅器と、第1の抵抗器と、第2の抵抗器とを備え、
前記演算増幅器の非反転入力が所定の基準に接続され、
前記演算増幅器の反転入力が前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器との共通ノードに接続され、
前記第1の抵抗器および前記第2の抵抗器が前記演算増幅器の出力とグランドとの間に直列に接続され、前記演算増幅器の前記出力が前記クランプ回路の前記出力であり、
前記クランプスイッチが障害論理ユニットに接続されるゲートを有し、前記障害論理ユニットは、前記障害事象に応答して前記障害論理ユニットが前記クランプスイッチをオンにする信号を生成するように構成され、
前記パスデバイスがダイオードを備え、
前記ダイオードのアノードが前記PWMコントローラの前記入力/出力端子に接続され、
前記ダイオードのカソードが前記クランプスイッチに接続される、
請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明の実施形態は、障害診断装置に関し、より詳細には、発光ダイオードシステムにおける障害診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]発光ダイオード(LED)は半導体光源である。LEDに電圧が印加されると、LEDに電流が流れる。LEDを流れる電流に応じて、電子及び正孔がダイオードのPN接合において再結合する。再結合プロセスでは、エネルギーが光子の形態で放出される。
【0003】
[0003]典型的なLEDシステムは、複数のLEDストリングを備える。各LEDストリングは、電源とグランドとの間に直列に接続された複数の発光ダイオード、電源スイッチ、及び電流感知抵抗器を備える。LEDシステムはPWMコントローラを更に備える。動作時、PWMコントローラは、システムコントローラ(例えば、マイクロコントローラ)によって生成されたPWM信号と電流感知抵抗器の両端間の電圧とを受信するように構成される。受信信号に基づいて、PWMコントローラは、電源スイッチのゲートに印加されるゲート駆動信号を生成するように構成される。ゲート駆動信号は、複数の発光ダイオードを通じて流れる平均電流が異なる動作要件に基づいて調整可能であるように制御される。LED平均電流を制御するプロセスは、しばしば調光と呼ばれる。
【0004】
[0004]パルス幅変調(PWM)は、マイクロコントローラなどのデジタルデバイスからアナログ信号を生成する一般的に使用される制御技術である。典型的なPWMコントローラシステムにおいて、マイクロコントローラは、1つ又は複数のプロトコルで半導体集積回路(例えば、PWMコントローラ)と通信及び/又はインタフェースする。また、LEDシステムは、通常、ハードウェア障害検出機構も含む。障害が検出されると、PWMコントローラは、様々な通信方法を介してマイクロコントローラに障害を報告する。最も単純な通信方法は、マイクロコントローラとPWMコントローラとが単一の配線を介して情報を交換する一配線通信である。単一配線通信は、マイクロコントローラがPWMコントローラに命令を送信してPWMコントローラが命令を実行する一方向通信システムとして分類され得る。他の通信方法は、マイクロコントローラ及びPWMコントローラの両方が命令を送受信することができる双方向通信システムに基づく。双方向通信システムは、I2C、SPI、UART、それらの任意の組み合わせなどの適切なプロトコルを使用することによって得ることができる。幾つかの用途では、障害フラグピンが他の一般的な代替手段である。障害フラグピンは、PWMコントローラの障害状態を示すために使用される。障害フラグピンによって与えられる障害状態を読み取ることによって、マイクロコントローラは、LEDシステムに障害が発生しているかどうかを決定することができる。
【0005】
[0005]前述した通信方法は有効である。しかしながら、これらの通信方法の実施は、複雑で高価なシステムを引き起こす。そのような複雑で高価なシステムは、設計の柔軟性の欠如、低い信頼性などの多くの欠点を有する。システムコントローラがLEDシステムの障害状態を確実に決定することができる単純な障害診断装置を有することが望ましい。この開示は、LEDシステムの障害状態を決定するための単純で費用効率の高い装置について記載する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]これら及び他の問題は、一般に、LEDシステムにおける障害診断装置及び方法を提供する本開示の好ましい実施形態によって解決又は回避され、技術的利点が一般に達成される。
【0007】
[0007]一実施形態によれば、装置は、クランプ回路の出力で所定の電圧を供給するように構成されるクランプ回路と、クランプ回路の出力に結合されるクランプスイッチと、クランプスイッチとコントローラの入力/出力端子との間に接続されるパスデバイスとを備える。
【0008】
[0008]他の実施形態によれば、方法は、発光ダイオード(LED)システムのコントローラのPWM端子に供給されるPWM信号を生成するようにマイクロコントローラを構成するステップと、LEDシステムにおける障害事象を検出するステップと、LEDシステムにおける障害事象に応答して、クランプ装置を介してPWM信号の論理ハイ電圧を所定レベルにクランプするステップとを含む。
【0009】
[0009]更なる他の実施形態によれば、システムは、入力電圧バスと電源スイッチとの間に直列に接続される複数の発光ダイオードと、電源スイッチのゲートに供給されるゲート駆動信号を生成するように構成されるPWMコントローラと、PWMコントローラのPWM端子に結合される障害診断回路と、障害診断回路は、クランプ回路の出力で所定の電圧を供給するように構成されるクランプ回路と、クランプ回路の出力に結合されるクランプスイッチと、クランプスイッチとPWMコントローラの入力/出力端子との間に接続されるパスデバイスとを備える。
【0010】
[0010]以上は、以下の本開示の詳細な説明がより良く理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点をかなり大雑把に概説した。本開示の特許請求の範囲の主題を成す本開示の更なる特徴及び利点を以下に説明する。当業者であれば分かるように、開示された概念及び特定の実施形態は、本開示の同じ目的を果たすための他の構造又はプロセスを修正又は設計するための基礎として容易に利用され得る。また、当業者であれば理解できるように、そのような同等の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の思想及び範囲から逸脱しない。
【0011】
[0011]本開示及びその利点のより完全な理解のために、ここで、添付図面と併せて解釈される以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の様々な実施形態に係る発光ダイオードシステムのブロック図を示す。
図2】本開示の様々な実施形態に係る図1に示される障害診断装置の第1の実施態様の概略図を示す。
図3】本開示の様々な実施形態に従って障害診断装置が第1の制御機構の下で動作するように構成されるときの図2に示される障害診断装置に関連する2つの信号を示す。
図4】本開示の様々な実施形態に従って障害診断装置が第2の制御機構の下で動作するように構成されるときの図2に示される障害診断装置に関連する2つの信号を示す。
図5】本開示の様々な実施形態に係る図2に示されるパスデバイスの第1の実施態様を示す。
図6】本開示の様々な実施形態に係る図2に示されるパスデバイスの第2の実施態様を示す。
図7】本開示の様々な実施形態に係る図2に示されるパスデバイスの第3の実施態様を示す。
図8】本開示の様々な実施形態に係る図2に示されるパスデバイスの第4の実施態様を示す。
図9】本開示の様々な実施形態に係る図1に示される障害診断装置の第2の実施態様の概略図を示す。
図10】本開示の様々な実施形態に係る基準電圧を調整するための制御回路の概略図を示す。
図11】本開示の様々な実施形態に係るゲート駆動電圧を調整するための制御回路の概略図を示す。
図12】本開示の様々な実施形態に係る基準電圧及びゲート駆動電圧の両方を調整するための制御回路の概略図を示す。
図13】本開示の様々な実施形態に係る図1に示される発光ダイオードシステムを制御するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0025]異なる図における対応する数字及び記号は、一般に、別段に示唆しなければ、対応する部分を指す。図は、様々な実施形態の関連する態様を明確に示すために描かれており、必ずしも原寸に比例して描かれていない。
【0014】
[0026]現在好ましい実施形態の作製及び使用を以下に詳細に説明する。しかしながら、本開示は、多種多様な特定の状況で具現化され得る多くの適用可能な発明概念を提供することを理解すべきである。説明される特定の実施形態は、本開示を作製及び使用するための特定の方法の単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0015】
[0027]本開示は、特定の状況における好ましい実施形態、すなわちLEDシステムにおける障害診断装置に関して説明される。しかしながら、本開示は、様々な電子システムに適用することもできる。以下、添付図面を参照して、種々の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
[0028]図1は、本開示の様々な実施形態に係る発光ダイオードシステムのブロック図を示す。入力電圧バスVINとグランドとの間には、複数の発光ダイオードD1-DN、電源スイッチQ1及び電流感知抵抗器Rが直列に接続される。図1に示すように、PWMコントローラ100は、入力電圧バスVINに接続されたバイアス電圧端子VCCと、システムコントローラ150によって生成されたPWM信号を受信するように構成されたPWM端子と、グランドに接続されたグランド端子GNDと、R及びQ1の共通ノードに接続されたフィードバック端子FBと、Q1のゲートに接続された出力端子OUTとを有する。
【0017】
[0029]動作中、PWMコントローラ100は、複数の発光ダイオードD1~DNを流れる平均電流を制御するようにQ1のターンオン及びターンオフを制御するためのゲート駆動信号を生成するように構成される。
【0018】
[0030]図1に示すように、発光ダイオードシステムは、PWM端子とグランドとの間に結合された障害診断装置200を更に備える。動作中、障害診断装置200は、障害状態報告デバイスとして機能する。より具体的には、障害(例えば、オープン負荷障害、地絡短絡障害、VIN短絡障害、熱遮断など)が発生した場合、障害診断装置200は、PWM信号の論理ハイ電圧を変更することができ、その結果、システムコントローラ150は、論理ハイ電圧変更に基づいてLEDシステムの障害状態を決定することができる。幾つかの実施形態では、障害が発生すると、障害診断装置200は、PWM信号の論理ハイ電圧を第1の論理ハイ電圧(例えば、4V)から第2の論理ハイ電圧(例えば、3V)に低減することができる。この論理ハイ電圧変化に応答して、システムコントローラ150は、LEDシステムに障害が発生したことを見つけることができる。障害診断装置200の詳細な構造及び動作原理は、図2図12を参照して以下に説明される。
【0019】
[0031]幾つかの実施形態では、システムコントローラ150、障害診断装置200、及びPWMコントローラ100は、1つの集積回路に組み込まれる。代替的な実施形態では、システムコントローラ150、障害診断装置200、及びPWMコントローラ100は、3つの別個の集積回路に実装されてもよい。
【0020】
[0032]図1に示す発光ダイオードシステムは単なる例であることに留意すべきである。異なる用途及び設計ニーズに応じて、システム構成はそれに応じて変化し得る。例えば、電流感知抵抗器Rは、複数の発光ダイオードと電源スイッチQ1との間に配置されてもよい。更に、図1は、1つのLEDストリングを有する発光ダイオードを示しているが、発光ダイオードは、任意の数のLEDストリングを収容することができる。
【0021】
[0033]幾つかの実施形態では、システムコントローラ150はマイクロコントローラとして実装される。代替の実施形態では、システムコントローラ150は、デジタル信号処理(DSP)コントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)プロセッサなどの任意の適切なプロセッサとして実装されてもよい。
【0022】
[0034]図2は、本開示の様々な実施形態に係る図1に示される障害診断装置の第1の実施態様の概略図を示す。障害診断装置200は、障害論理ユニット202と、パスデバイス204と、クランプスイッチQ2と、クランプ回路206とを備える。図2に示すように、パスデバイス204、クランプスイッチQ2、及びクランプ回路206は、直列に接続される。より詳細には、パスデバイス204は、集積回路(例えば、図1に示すPWMコントローラ100)の入力/出力端子(例えば、図1に示すPWM端子)とクランプスイッチQ2との間に接続される。クランプスイッチQ2は、パスデバイス204とクランプ回路206の出力との間に結合される。クランプ回路206は、クランプ回路206の出力で所定の電圧を供給するように構成される。
【0023】
[0035]図2に示すように、クランプ回路206は、演算増幅器A1と、第1の抵抗器R1と、第2の抵抗器R2とを備える。演算増幅器A1の非反転入力は、所定の基準VREFに接続されている。演算増幅器A1の反転入力は、第1の抵抗器R1及び第2の抵抗器R2の共通ノードに接続される。第1の抵抗器R1及び第2の抵抗器R2は、演算増幅器A1の出力とグランドとの間に直列に接続される。図2に示すように、演算増幅器A1の出力はクランプ回路206の出力である。
【0024】
[0036]障害論理ユニット202は、クランプスイッチQ2のゲートに接続された出力を有する。動作中、障害論理ユニット202は、オープン負荷障害、地絡短絡障害、VIN短絡障害、熱遮断などの障害を検出するように構成される。検出された障害に基づいて、障害論理ユニット202は、クランプスイッチQ2をオンにする信号を生成することができる。幾つかの実施形態では、障害論理ユニット202からの信号はまた、演算増幅器A1をイネーブルするために使用されてもよい。
【0025】
[0037]動作中、演算増幅器A1がイネーブルされると、演算増幅器A1の反転入力における電圧はVREFに等しい。分圧器の動作原理によれば、演算増幅器A1の出力における電圧(V1)は、以下の式で表すことができる。
【数1】
【0026】
[0038]幾つかの実施形態では、クランプスイッチQ2は、障害が発生すると完全にオンになる。クランプスイッチQ2が完全にオンにされた後、図2に示すV2はV1に等しい。
【0027】
[0039]通常動作において、PWM端子に供給されるPWM信号は、論理ハイ電圧(例えば、4V)及び論理ロー電圧(例えば、0V)である。障害が発生すると、演算増幅器A1がイネーブルされ、クランプスイッチQ2がオンされる。ノードV2の電圧は、式(1)の電圧V1と等しい。パスデバイス204は、ダイオード(例えば、図6に示すD1)として実装されてもよい。論理ハイ電圧がPWM端子上にあるとき、クランプ回路206、クランプスイッチQ2及びパスデバイス204は、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定の設定点にクランプされるように構成される。幾つかの実施形態では、所定の設定点は、ノードV2上の電圧+パスデバイス204内のダイオードの順方向電圧降下に等しい。クランプされた論理ハイ電圧は、通常動作において論理ハイ電圧よりも低い。一方、論理ロー電圧がPWM端子上にあるとき、論理ロー電圧はノードV2上の電圧よりも小さい。これにより、パスデバイス204内のダイオードが逆バイアスされる。逆バイアスダイオードは、ノードV2上の電圧が論理ロー電圧に影響を及ぼすのを防止する。
【0028】
[0040]通常動作では、クランプスイッチQ2は、障害論理ユニット202によって生成される低ゲート電圧によってオフになる。クランプスイッチQ2はオフであるため、クランプスイッチQ2及びパスデバイス204は、PWM端子に結合された高インピーダンス回路を形成する。障害が発生すると、障害論理ユニット202は、クランプスイッチQ2をオンにするためのゲート駆動信号を生成する。クランプ回路206は、ノードV1に所定の電圧を供給する。加えて、クランプ回路206は、PWM信号の論理ハイ電圧をより低い電圧(例えば、3V)にクランプするためのシンク電流を供給する。クランププロセス中、パスデバイス204はバッファとして機能する。このバッファは、クランプスイッチQ2が入力/出力端子上の過酷な環境に直面するのを防止するように絶縁をもたらすことができる。更に、PWM信号が論理ロー状態であるとき、クランプスイッチQ2及び/又はパスデバイス204は、クランプ作用がPWM信号に影響を及ぼすのを阻止することができる。これにより、PWMコントローラ100によってPWM信号の論理ロー状態を確実に検出することができる。換言すれば、PWMコントローラ100は、フォルトクランプがトリガされても、PWM信号を正しく受信することができる。
【0029】
[0041]動作中、動作条件は、異なる用途に応じて変化する。異なる動作条件は、パスデバイス204にわたって大きな電圧降下差を引き起こす可能性がある。このような大きな電圧降下差は、システムコントローラ150が障害の有無を決定することを困難にする。幾つかの実施形態では、障害が発生したかどうかをシステムコントローラ150が正しく決定するのを助けるために、3つの異なる障害診断方法が採用される。
【0030】
[0042]第1の方法では、障害事象が発生した後にPWM信号の論理ハイ電圧が検知される。検知されたPWM信号の論理ハイ電圧は、所定のレベル(例えば、3V)と比較される。この比較結果に基づいて、所定の基準VREFが調整される。例えば、PWM信号の検知された論理ハイ電圧が所定レベル未満である場合、所定の基準VREFは、PWM信号の検知された論理ハイ電圧が所定レベルに等しくなるまで増大される。一方、PWM信号の検知された論理ハイ電圧が所定のレベルよりも高い場合、所定の基準VREFは、PWM信号の検知された論理ハイ電圧が所定のレベルに等しくなるまで低減される。第1の方法を用いることにより、PWM信号の論理ハイ電圧は、様々な動作条件下で所定のレベルに等しい。所定の基準VREFを調整するための制御回路は、図10に関して以下に説明される。
【0031】
[0043]第2の方法では、障害事象が発生した後にPWM信号の論理ハイ電圧が検知される。検知されたPWM信号の論理ハイ電圧は、所定のレベル(例えば、3V)と比較される。比較結果に基づいてクランプスイッチQ2のゲート駆動電圧が調整される。例えば、PWM信号の検知された論理ハイ電圧が所定のレベル未満である場合、クランプスイッチQ2のゲート駆動電圧は低減される。ゲート駆動電圧の低下は、クランプスイッチQ2にわたる著しい電圧降下をもたらす。クランプスイッチQ2にわたるこの著しい電圧降下は、PWM信号の検知された論理ハイ電圧が所定のレベルに等しくなるのを助ける。第2の方法を用いることにより、PWM信号の論理ハイ電圧は、様々な動作条件下で所定のレベルに等しい。ゲート駆動電圧を調整するための制御回路については、図11を参照して後述する。
【0032】
[0044]第3の方法では、障害事象が発生した後にPWM信号の論理ハイ電圧が検知される。検知されたPWM信号の論理ハイ電圧は、所定のレベル(例えば、3V)と比較される。PWM信号の論理ハイ電圧が所定レベル未満である場合、クランプスイッチQ2のゲート駆動電圧は、PWM信号の論理ハイ電圧が所定レベルに等しくなるように低減される。一方、PWM信号の論理ハイ電圧が所定レベルより大きい場合には、PWM信号の論理ハイ電圧が所定レベルに等しくなるように、所定の基準VREFを小さくする。第3の方法を用いることにより、PWM信号の論理ハイ電圧は、様々な動作条件下で所定のレベルに等しい。所定の基準VREF及びゲート駆動電圧の両方を調整するための制御回路は、図12に関して以下に説明される。
【0033】
[0045]幾つかの実施形態では、異なる用途及び設計の必要性に応じて、クランプスイッチQ2は絶縁スイッチに置き換えられてもよい。この絶縁スイッチは、背中合わせに接続された2つのトランジスタ、すなわち第1のトランジスタ及び第2のトランジスタによって形成される。幾つかの実施形態では、PWM信号の論理ハイ電圧が所定のレベル未満であるとき、PWM信号の論理ハイ電圧が所定のレベルに等しくなるように、絶縁スイッチの第1のトランジスタのゲート駆動電圧が低減される。代替の実施形態では、PWM信号の論理ハイ電圧が所定のレベル未満であるとき、PWM信号の論理ハイ電圧が所定のレベルに等しくなるように、絶縁スイッチの第2のトランジスタのゲート駆動電圧が低減される。また、PWM信号の論理ハイ電圧が所定レベル未満である場合、PWM信号の論理ハイ電圧が所定レベルに等しくなるように、第1のトランジスタのゲート駆動電圧と第2のトランジスタのゲート駆動電圧とが交互に調整される。
【0034】
[0046]第1のトランジスタ及び第2のトランジスタのゲート駆動電圧を交互に調整する1つの有利な特徴は、電力散逸をこれらの2つのトランジスタに均等に分配することができることである。
【0035】
[0047]図3は、本開示の様々な実施形態に従って障害診断装置が第1の制御機構の下で動作するように構成されるときの図2に示される障害診断装置に関連する2つの信号を示す。横軸は時間間隔を示す。2つの行がある。1行目は、PWM信号を表す。2行目は、障害が発生すると生成される障害信号を表す。
【0036】
[0048]第1の制御機構の下では、障害が検出されると、障害診断装置がイネーブルされる。図3に示すように、t1において、PWM信号は論理ロー状態から論理ハイ状態に変化する(例えば、4V)。t2において、障害が発生する。この障害に応答して、障害信号は適切な障害検出デバイスによって生成される。t2において、障害論理ユニットは、演算増幅器A1をイネーブルし、クランプスイッチQ2をオンにする。図2に関して前述したように、クランプ回路206、クランプスイッチQ2、及びパスデバイス204は、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定の設定点(例えば、3V)にクランプされるように構成される。図3に示すように、t1からt3までの持続時間におけるPWMパルスは、2つの論理ハイレベル(例えば、4V及び3V)を有する。
【0037】
[0049]t3において、PWM信号は論理ハイ状態から論理ロー状態に変化する。t4において、PWM信号は論理ロー状態から論理ハイ状態に変化する。t4からt5まで、論理ハイ電圧は所定の設定点(例えば、3V)に留まる。t6からt7まで、論理ハイ電圧は所定の設定点(例えば、3V)に留まる。t8において、障害は消滅する。障害信号は、図3に示すように論理ハイ状態から論理ロー状態に変化する。t9において、PWM信号は正常に戻る。
【0038】
[0050]図4は、本開示の様々な実施形態に従って障害診断装置が第2の制御機構の下で動作するように構成されるときの図2に示される障害診断装置に関連する2つの信号を示す。第2の制御機構の下では、障害診断装置の動作原理は、所定の遅延(図4に示すt4からt41)があることを除いて、図3に示すものと同様である。t2からt8まで、各PWMパルスにおいて、所定の遅延に起因して、PWMパルスは、PWMパルスの開始部分において通常論理ハイ電圧(例えば、4V)に留まる。所定の遅延の後、クランプ回路206、クランプスイッチQ2、及びパスデバイス204は、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定の設定点(例えば、3V)にクランプされるように構成される。図4に示すように、t1からt9までの持続時間におけるPWMパルスは、2つの異なる論理ハイレベル(例えば、4V及び3V)を有する。
【0039】
[0051]図5は、本開示の様々な実施形態に係る図2に示されるパスデバイスの第1の実施態様を示す。パスデバイス204は、p型トランジスタQ3と、第1のクランプダイオードD1と、第2のクランプダイオードD2と、バイアス抵抗器R3とを備える。
【0040】
[0052]図5に示すように、p型トランジスタQ3のボディ端子とソース端子とは互いに接続される。第1のクランプダイオードD1は、p型トランジスタQ3のゲート端子とドレイン端子との間に接続される。第2のクランプダイオードD2は、p型トランジスタQ3のゲート端子とソース端子との間に接続される。バイアス抵抗器R3は、p型トランジスタQ3のゲート端子とグランドとの間に接続される。
【0041】
[0053]動作中、論理ハイ電圧がPWM端子上にあるとき、Q3のゲート端子はバイアス抵抗器R3を介してグランドに接続されているため、p型トランジスタQ3のチャネルはオンになる。PWM端子に論理ロー電圧がオンすると、p型トランジスタQ3のチャネルがオフする。第1のクランプダイオードD1及び第2のクランプダイオードD2は、p型トランジスタQ3の損傷を防止するための保護素子として機能する。
【0042】
[0054]p型トランジスタQ3を有することの1つの有利な特徴は、p型トランジスタ(例えば、Q3)がn型トランジスタ(例えば、Q2)よりもロバストであるため、p型トランジスタQ3がクランプスイッチQ2を入力/出力線(例えば、ESD、ラッチアップなど)における過酷な動作条件から保護することができることである。
【0043】
[0055]p型トランジスタQ3を有することの他の有利な特徴は、p型トランジスタQ3がオンになると、Q3がゼロ電圧降下をもたらし、それによって正確なクランプを達成することである。
【0044】
[0056]図6は、本開示の様々な実施形態に係る図2に示されるパスデバイスの第2の実施態様を示す。パスデバイス204は、ダイオードD1を備える。図6に示すように、ダイオードD1のアノードは、PWMコントローラ100の入力/出力端子(例えば、PWM端子)に接続される。ダイオードD1のカソードはクランプスイッチQ2に接続される。
【0045】
[0057]動作中、論理ハイ電圧がPWM端子上にあるとき、順方向バイアスされたD1は、論理ハイ電圧を第1の電圧レベル(例えば、4V)から第2の電圧レベル(例えば、3V)にプルダウンするための導電経路をもたらす。論理ロー電圧がPWM端子上にあるとき、逆バイアスされたD1は、クランプ回路が論理ロー電圧に影響を及ぼすのを防止する。更に、ダイオードD1は絶縁をもたらし、それによって、入力/出力線(例えば、マイクロコントローラとPWMコントローラのPWM端子との間の線)上に大きな負電圧があるときにクランプスイッチQ2が損傷するのを防ぐ。
【0046】
[0058]図7は、本開示の様々な実施形態に係る図2に示されるパスデバイスの第3の実施態様を示す。パスデバイス204は、PWMコントローラ100の入力/出力端子(例えば、PWM端子)とクランプスイッチQ2との間に接続された抵抗器R3を備える。
【0047】
[0059]動作中、パスデバイスは抵抗器として実装されるため、電圧クランプはPWMサイクル全体でアクティブである。R3の低い抵抗値は、強いクランプ作用を与え得る。しかしながら、そのような低抵抗値は、システムコントローラ150がPWMコントローラ100に論理ロー電圧を送信するときに誤った論理ハイ電圧検出をもたらす可能性がある。R3の抵抗値は、論理ハイ電圧の値、論理ロー電圧の値、論理ハイ電圧下でのシンク電流能力、及び論理ロー電圧下でのソース電流能力を含む様々な要因に基づいて選択することができる。幾つかの実施形態では、R3は調整可能な抵抗器として実装されてもよい。論理ロー電圧がPWM端子上にあるとき、R3は高抵抗値である。論理ハイ電圧がPWM端子上にあるとき、R3は低抵抗値である。
【0048】
[0060]図8は、本開示の様々な実施形態に係る図2に示されるパスデバイスの第4の実施態様を示す。パスデバイス204はESDデバイスを備える。ESDデバイスは、ダイオード、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ、それらの任意の組み合わせなどの共通ESD回路を含むが、これらに限定されない。
【0049】
[0061]幾つかの実施形態では、パスデバイス204内のESDデバイスは、図8に示すようにツェナーダイオードD2として実装される。ツェナーダイオードD2のカソードは、PWMコントローラ100の入力/出力端子に接続される。ツェナーダイオードのアノードは、クランプスイッチQ2に接続される。
【0050】
[0062]図9は、本開示の様々な実施形態に係る図1に示される障害診断装置の第2の実施態様の概略図を示す。図9に示す障害診断装置の第2の実施態様は、クランプスイッチがNMOSESDセルに併合されることを除いて、図2に示す障害診断装置の第1の実施態様と同様である。パスデバイスは、NMOSESDセルに置き換えることができる。したがって、図9に示すように、パスデバイスを省略することができる。
【0051】
[0063]図10は、本開示の様々な実施形態に係る基準電圧を調整するための制御回路の概略図を示す。基準電圧を調整するための制御回路は、ピーク電圧検出器220と、増幅器A3によって形成されるバッファと、加算器240とを含む。ピーク電圧検出器220は、PWM端子の電圧の変動を検出する。図10に示すように、ピーク電圧検出器220は、抵抗器R3及びR4によって形成される分圧器と、増幅器A4と、ダイオードD1と、第1のコンデンサC1と、パワーアップリセットスイッチQ4と、第2のコンデンサC2とを備える。
【0052】
[0064]PWM端子の電圧は、分圧器を介して増幅器A4の非反転入力に供給される。第1のコンデンサC1及び分圧器は、望ましくない信号を減衰させるためのローパスフィルタを形成する。パワーアップリセットスイッチQ4は、パワーアップリセット信号PORによって制御される。パワーアップリセット信号PORは、ピーク電圧検出器をリセットして新たなピークを検出できるように構成される。図10に示すように、ピーク電圧検出器は、PWM端子上の電圧のサンプリングされたバージョンを表す信号VPEAKを供給するように構成される。
【0053】
[0065]サンプリングされた信号VPEAKは、増幅器A3にバッファされて、PWM端子上の電圧のサンプリングされたバージョンを表す信号Vsnsを生成する。バンドギャップ基準回路(図示せず)は、基準電圧Vbgを生成するように構成される。
【0054】
[0066]加算器240は、差動増幅器A2と、2つの加算抵抗器R11及びR12とを備える。差動増幅器の動作原理によれば、差動増幅器A2の出力電圧Vadjは、以下の式で表すことができる。
【数2】
【0055】
[0067]2つの加算抵抗器R11,R12を介して、Vbg,Vsnsの差が増幅器A1の非反転入力に供給される。VbgとVsnsとの差は、負帰還ループの入力として機能する。この負帰還ループにより、PWM端子の電圧が所定の値(例えば、3V)に精密に調整される。幾つかの実施形態では、図10において、Rinは10KΩに等しい。Rfbは、200KΩに等しい。Vbgは1.2Vに等しい。Vsnsは1.26Vに等しい。R11は10KΩに等しい。R12は5KΩに等しい。R1は100Ωに等しい。R2は83.3Ωに等しい。PWM端子の電圧は、所定の値3.0Vに近い3.01Vに調整される。対照的に、図10に示される基準電圧を調整するための制御回路がない場合、PWM端子の電圧は3.15Vに調整される。図10に示される基準電圧を調整するための制御回路は、電圧調整精度を向上させることができる。
【0056】
[0068]図11は、本開示の様々な実施形態に係るゲート駆動電圧を調整するための制御回路の概略図を示す。図11に示す制御回路は、サンプリングされた信号(すなわち、Vsns)が増幅器A2の非反転入力に供給され、増幅器A2の出力電圧(すなわち、Vadj)がQ2のゲート駆動電圧に加えられることを除いて、図10に示す制御回路と同様である。増幅器A2の出力電圧は、以下の式で表すことができる。
【数3】
【0057】
[0069]図11に示す回路を通じて、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定レベル(例えば、3V)未満である場合、増幅器A2の出力電圧Vadjは式(3)に従って低減される。低減されたVadjは、クランプスイッチQ2のゲート駆動電圧に加算される。これにより、クランプスイッチQ2のゲート駆動電圧が低下する。ゲート駆動電圧の低下は、クランプスイッチQ2にわたる著しい電圧降下をもたらす。クランプスイッチQ2にわたるこの著しい電圧降下は、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定のレベル(例えば、3V)に達するまで、PWM端子上の論理ハイ電圧が増大するのを助ける。一方、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定レベルよりも大きい場合(例えば、3V)、図11に示す回路は、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定レベルに達するのを同様に助けることができる(例えば、3V)。幾つかの実施形態では、図11において、Rinは10KΩに等しい。Rfbは、200KΩに等しい。Vbgは1.2Vに等しい。Vsnsは1.239Vに等しい。R11は10KΩに等しい。R12は5KΩに等しい。R1は100Ωに等しい。R2は110Ωに等しい。V1は2.29Vに等しい。V2は2.485Vに等しい。PWM端子の電圧は、所定の値3.0Vに近い3.01Vに調整される。対照的に、図11に示されるゲート駆動電圧を調整するための制御回路がない場合、PWM端子の電圧は2.828Vに調整される。図11に示されるゲート駆動電圧を調整するための制御回路は、電圧調整精度を向上させることができる。
【0058】
[0070]図12は、本開示の様々な実施形態に係る基準電圧及びゲート駆動電圧の両方を調整するための制御回路の概略図を示す。図12に示す制御回路は、図10に示す制御回路と図11に示す制御回路との組み合わせである。第1の回路ブロック270は、増幅器A2と、抵抗器Rin1、Rfb1、R12と、第1のスイッチS1とを備える。第1の回路ブロック270は、クランプスイッチQ2のゲート駆動電圧を調整するための信号を生成するために用いられる。増幅器A2の出力電圧は、以下の式で表すことができる。
【数4】
【0059】
[0071]図12に示すように、増幅器A2の出力電圧Vadj_gateは、抵抗器R12及び第1のスイッチS1を介してクランプスイッチQ2のゲート駆動電圧に加えられる。増幅器A2の動作原理は、図11に関して前述したので、ここでは繰り返し説明しない。
【0060】
[0072]第2の回路ブロック280は、増幅器A5と、抵抗器Rin2、Rfb2、R14と、第2のスイッチS2とを備える。第2の回路ブロック280は、増幅器A1の非反転入力に供給される基準電圧を調整するための信号を生成するために用いられる。増幅器A5の出力電圧は、以下の式で表すことができる。
【数5】
【0061】
[0073]図12に示すように、増幅器A5の出力電圧Vadj_refは、抵抗器R14及び第2のスイッチS2を介して増幅器A1の非反転入力に加えられる。増幅器A5の動作原理は、図10に関して前述したので、ここでは繰り返し説明しない。
【0062】
[0074]第3の回路ブロック290は、スイッチS1及びS2のオン及びオフを制御するために使用される。図12に示すように、Vbgは、コンパレータCH1の非反転入力に供給される。Vsnsは、コンパレータCH1の反転入力に供給される。コンパレータCH1の出力は、インバータINV1の入力に接続される。コンパレータCH1の出力信号S1Cは、第1のスイッチS1の制御に用いられる。インバータINV1の出力信号S2Cは、第2のスイッチS2の制御に用いられる。コンパレータCH1及びインバータINV1は、以下の制御目標を達成できるように構成される。まず、PWM端子の論理ハイ電圧が所定レベル未満である場合(例えば、3V)、第1のスイッチS1がオンにされ、第2のスイッチS2がオフにされる。クランプスイッチQ2のゲート駆動電圧は、第1の回路ブロック270によって低減される。動作中、第1の回路ブロック270は、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定レベル(例えば、3V)に等しくなるまで、Q2のゲート駆動電圧を低下させ続ける。第2に、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定レベル(例えば、3V)よりも大きいとき、第1のスイッチS1はオフにされ、第2のスイッチS2はオンにされる。増幅器A1の非反転入力に供給される基準は、第2の回路ブロック280によって低減される。動作中、第2の回路ブロック280は、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定レベル(例えば、3V)に等しくなるまで、増幅器A1の非反転入力に供給される基準を減少させ続ける。コンパレータCH1の2つの入力信号が交換される場合(すなわち、Vbgは反転入力端子に結合されており、Vsnsは非反転入力端子に結合されている)、図12に示される回路は、PWM端子上の論理ハイ電圧が所定のレベル(例えば、3V)に達するのを同様に助けることができる。
【0063】
[0075]図13は、本開示の様々な実施形態に係る図1に示される発光ダイオードシステムを制御するフローチャートを示す。図13に示されるこのフローチャートは単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定すべきではない。当業者は、多くの変形、代替、及び修正を認識し得る。例えば、図13に示される様々なステップを追加、削除、置換、再配置、及び繰り返してもよい。
【0064】
[0076]図1及び図2に戻って参照すると、複数の発光ダイオード(例えば、図1に示すD1-DN)が入力電圧バス(例えば、図1に示すVIN)と電源スイッチ(例えば、図1に示すQ1)との間に直列に接続される。PWMコントローラ(例えば、図1に示すPWMコントローラ100)は、電源スイッチのゲートに供給されるゲート駆動信号を生成するように構成される。PWMコントローラのPWM端子には、障害診断装置(例えば、図1に示す障害診断装置200)が接続される。障害診断回路は、クランプ回路の出力で所定の電圧を供給するように構成されたクランプ回路(例えば、図2に示すクランプ回路206)と、クランプ回路の出力に結合されたクランプスイッチ(例えば、図2に示すクランプスイッチQ2)と、クランプスイッチとPWMコントローラの入力/出力端子との間に接続されたパスデバイス(例えば、図2に示すパスデバイス204)とを備える。
【0065】
[0077]クランプ回路は、演算増幅器(例えば、図2に示す演算増幅器A1)と、第1の抵抗器(例えば、図2に示すR1)と、第2の抵抗器(例えば、図2に示すR2)とを備える。演算増幅器の非反転入力は、所定の基準に接続される。演算増幅器の反転入力は、第1の抵抗器及び第2の抵抗器の共通ノードに接続される。第1の抵抗器及び第2の抵抗器は、演算増幅器の出力とグランドとの間に直列に接続されている。演算増幅器の出力は、クランプ回路の出力である。クランプスイッチは、障害論理ユニット(例えば、図2に示す障害論理ユニット202)に接続されたゲートを有する。障害論理ユニットは、障害事象に応答して、障害論理ユニットがクランプスイッチをオンにする信号を生成するように構成される。
【0066】
[0078]システムコントローラ(例えば、マイクロコントローラ)が発光ダイオードシステムに障害が発生したかどうかを決定することができるように、障害の下で障害診断信号を生成するために以下の方法が採用される。
【0067】
[0079]ステップ1302において、マイクロコントローラは、発光ダイオード(LED)システムのコントローラのPWM端子に供給されるPWM信号を生成するように構成される。
【0068】
[0080]ステップ1304において、障害事象がLEDシステムにおいて検出される。
【0069】
[0081]ステップ1306において、LEDシステムの障害事象に応答して、PWM信号の論理ハイ電圧がクランプ装置を介して所定のレベルにクランプされる。
【0070】
[0082]幾つかの実施形態では、クランプ装置は、クランプ回路の出力で所定の電圧を供給するように構成されたクランプ回路と、クランプ回路の出力に結合されたクランプスイッチと、クランプスイッチとコントローラのPWM端子との間に接続されたパスデバイスとを備える。
【0071】
[0083]幾つかの実施形態では、クランプ回路は、演算増幅器と、第1の抵抗器と、第2の抵抗器とを備える。演算増幅器の非反転入力は、所定の基準に接続される。演算増幅器の反転入力は、第1の抵抗器及び第2の抵抗器の共通ノードに接続される。第1の抵抗器及び第2の抵抗器は、演算増幅器の出力とグランドとの間に直列に接続され、演算増幅器の出力はクランプ回路の出力である。クランプスイッチは、障害論理ユニットに接続されたゲートを有し、障害論理ユニットは、障害事象に応答して、障害論理ユニットがクランプスイッチをオンにする信号を生成するように構成される。パスデバイスはダイオードを備える。ダイオードのアノードは、集積回路の入力/出力端子に接続される。ダイオードのカソードはクランプスイッチに接続される。
【0072】
[0084]方法は、障害事象が発生した後にPWM信号の論理ハイ電圧を感知するステップと、PWM信号の論理ハイ電圧を所定のレベルと比較するステップと、PWM信号の論理ハイ電圧を所定のレベルと比較するステップで得られた比較結果に基づいて所定の基準を調整するステップであって、所定の基準を調整した結果として、PWM信号の論理ハイ電圧が、様々な動作条件下で所定のレベルに等しい、ステップとを更に含む。
【0073】
[0085]方法は、障害事象が発生した後にPWM信号の論理ハイ電圧を感知するステップと、PWM信号の論理ハイ電圧を所定のレベルと比較するステップと、PWM信号の論理ハイ電圧を所定のレベルと比較するステップで得られた比較結果に基づいてクランプスイッチのゲート駆動電圧を調整するステップであって、クランプスイッチのゲート駆動電圧を調整した結果、PWM信号の論理ハイ電圧が、様々な動作条件下で所定のレベルに等しい、ステップとを更に含む。
【0074】
[0086]方法は、障害事象が発生した後にPWM信号の論理ハイ電圧を感知するステップと、PWM信号の論理ハイ電圧を所定のレベルと比較するステップとを更に含む。PWM信号の論理ハイ電圧が所定レベル未満である場合、PWM信号の論理ハイ電圧が所定レベルに等しくなるようにクランプスイッチのゲート駆動電圧を低減する。PWM信号の論理ハイ電圧が所定のレベルより大きい場合、PWM信号の論理ハイ電圧が所定のレベルに等しくなるように所定の基準を低減する。
【0075】
[0087]方法は、PWM信号の少なくとも1つのPWMパルスが2つの論理ハイレベルを有するように障害論理ユニットを構成するステップを更に含む。
【0076】
[0088]本開示の実施形態及びその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換及び変更を行うことができることを理解されたい。
【0077】
[0089]更に、本出願の範囲は、本明細書に記載のプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図しない。当業者であれば、本開示の開示から容易に理解するように、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか、又は今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップが、本開示に従って利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップをその範囲内に含むことを意図している。
【符号の説明】
【0078】
100 PWMコントローラ
150 システムコントローラ
200 障害診断装置
202 障害論理ユニット
204 パスデバイス
206 クランプ回路
220 ピーク電圧検出器
240 加算器
270 第1の回路ブロック
280 第2の回路ブロック
290 第3の回路ブロック
1302 ステップ
1304 ステップ
1306 ステップ
A1 演算増幅器
A2 差動増幅器
A3 増幅器
A4 増幅器
A5 増幅器
C1 第1のコンデンサ
C2 第2のコンデンサ
CH1 コンパレータ
D1 第1のクランプダイオード
D1-DN 発光ダイオード
D2 第2のクランプダイオード
ESD 共通
FB フィードバック端子
GND グランド端子
INV1 インバータ
OUT 出力端子
POR パワーアップリセット信号
Q1 電源スイッチ
Q2 クランプスイッチ
Q3 p型トランジスタ
Q4 パワーアップリセットスイッチ
R1 第1の抵抗器
R11 加算抵抗器
R12 抵抗器
R14 抵抗器
R2 第2の抵抗器
R3 抵抗器
RS 電流感知抵抗器
Rin1 抵抗器
Rin2 抵抗器
S1 スイッチ
S1 第1のスイッチ
S1C 出力信号
S2 第2のスイッチ
S2C 出力信号
V1 電圧
V1 ノード
V2 ノード
VCC バイアス電圧端子
VIN 入力電圧バス
VPEAK 信号
Vadj 出力電圧
Vadj_gate 出力電圧
Vadj_ref 出力電圧
Vbg 基準電圧
Vsns 信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】