(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072246
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】給餌管理方法、給餌管理システム、及び給餌管理プログラム
(51)【国際特許分類】
A01K 61/80 20170101AFI20240520BHJP
【FI】
A01K61/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141121
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2022182450
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】義川 滉太
(72)【発明者】
【氏名】上住谷 啓祐
(72)【発明者】
【氏名】馬屋原 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 章夫
(72)【発明者】
【氏名】三浦 良治
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104CA01
2B104CF01
2B104CF28
2B104GA01
(57)【要約】
【課題】ユーザによる魚の飼育を効率的に支援する。
【解決手段】給餌管理方法は、飼育する魚11の身体を表す第1身体情報と、魚11を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、魚11を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、魚11への給餌量を決定することを含む。また、給餌管理方法は、決定された給餌量を表す給餌情報を出力することを含む。ここで、第1飼育方針は、給餌率を含む。給餌管理方法は、さらに、第1飼育方針に基づき、現時点以降の魚11を飼育する第1期間における魚11の第1成長速度を推定することを含んでもよい。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼育する魚の身体を表す第1身体情報と、前記魚を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに前記魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、前記魚を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、前記魚への給餌量を決定することと、
決定された前記給餌量を表す給餌情報を出力することと、
を含み、
前記第1飼育方針は、給餌率を含む
給餌管理方法。
【請求項2】
前記第1飼育方針に基づき、現時点以降の前記魚を飼育する第1期間における前記魚の第1成長速度を推定することと、
推定された前記第1成長速度を表す情報を出力することと、
をさらに含む請求項1に記載の給餌管理方法。
【請求項3】
前記魚を飼育する方針を表す1つ以上の飼育方針に基づき、前記魚を飼育する予定の第2期間において、前記1つ以上の飼育方針の各々に対応した前記魚の1つ以上の第2成長速度を推定することと、
推定された前記1つ以上の第2成長速度を表す予測情報を出力することと、
前記1つ以上の飼育方針から選択された飼育方針を表し、前記予測情報の出力に対する応答として取得される選択情報に基づき、前記第1飼育方針を取得することと、
をさらに含む請求項1に記載の給餌管理方法。
【請求項4】
前記1つ以上の第2成長速度を推定することは、
飼育開始時における前記魚の身体を表す第2身体情報と、前記魚を飼育する期間において前記魚を飼育する環境を表す第2環境情報と、前記給餌率とに基づき、前記1つ以上の第2成長速度を推定すること
を含む請求項3に記載の給餌管理方法。
【請求項5】
前記1つ以上の飼育方針は、前記魚の出荷時期と、前記魚の飼育を開始するときの前記魚の前記第2身体情報とを含み、
前記1つ以上の第2成長速度を推定することは、
前記出荷時期における前記魚の身体を表す第3身体情報と、飼育開始時の前記第2身体情報と、前記第2環境情報と、前記給餌率とに基づき、前記1つ以上の第2成長速度を推定することと、
前記1つ以上の第2成長速度と、前記出荷時期とに基づき、前記魚の飼育を開始する飼育開始時期を推定することと、
を含み、
前記予測情報は、前記飼育開始時期を含む
請求項4に記載の給餌管理方法。
【請求項6】
前記1つ以上の第2成長速度を推定することは、
前記給餌率に基づき、前記魚を飼育するための予測給餌量を決定することと、
前記予測給餌量に基づき、前記魚の餌の費用を表す給餌費用を推定することと、
を含み、
前記予測情報は、前記給餌費用を含む
請求項3から5のいずれか1項に記載の給餌管理方法。
【請求項7】
前記魚への給餌を行う期間において、前記給餌を開始した時点の前記魚の大きさと、現時点の前記魚の大きさとに基づき、前記給餌量に達する前であっても前記給餌の停止を決定することと、
前記給餌の停止を決定したとき、前記給餌の停止を表す停止信号を出力することと、
をさらに含む請求項1から5のいずれか1項に記載の給餌管理方法。
【請求項8】
前記給餌を開始した時点の前記魚の大きさに対する、前記給餌を開始した時点の前記魚の大きさと現時点の前記魚の大きさとの差の比率が所定値より大きいとき、前記給餌の停止を決定すること
を含む請求項7に記載の給餌管理方法。
【請求項9】
前記魚の大きさは、前記魚の体形が紡錘形であるとき、前記魚の高さ方向の長さを表す
請求項7に記載の給餌管理方法。
【請求項10】
前記魚の大きさは、前記魚の体形が側扁形であるとき、前記魚の幅方向の長さを表す
請求項7に記載の給餌管理方法。
【請求項11】
飼育している魚への給餌を行う期間において、前記給餌を開始する時点の前記魚の大きさと、現時点の前記魚の大きさとに基づき、前記給餌の停止を決定することと、
前記給餌の停止を決定したとき、前記給餌の停止を表す停止信号を出力することと、
を含む給餌管理方法。
【請求項12】
飼育する魚の身体を表す第1身体情報と、前記魚を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに前記魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、前記魚を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、前記魚への給餌量を決定する給餌量決定部と、
決定された前記給餌量を表す給餌情報を出力する出力部と、
を備え、
前記第1飼育方針は、給餌率を含む
給餌管理システム。
【請求項13】
飼育している魚への給餌を行う期間において、前記給餌を開始する時点の前記魚の大きさと、現時点の前記魚の大きさとに基づき、前記給餌の停止を決定する停止決定部と、
前記給餌の停止を決定したとき、前記給餌の停止を表す停止信号を出力する給餌制御部と、
を備える給餌管理システム。
【請求項14】
飼育する魚の身体を表す第1身体情報と、前記魚を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに前記魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、前記魚を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、前記魚への給餌量を決定することと、
決定された前記給餌量を表す給餌情報を出力することと、
を演算装置に実行させ、
前記第1飼育方針は、給餌率を含む
給餌管理プログラム。
【請求項15】
飼育している魚への給餌を行う期間において、前記給餌を開始する時点の前記魚の大きさと、現時点の前記魚の大きさとに基づき、前記給餌の停止を決定することと、
前記給餌の停止を決定したとき、前記給餌の停止を表す停止信号を出力することと、
を演算装置に実行させる給餌管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給餌管理方法、給餌管理システム、及び給餌管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生簀に飼育している魚に効率的に餌を与える方法が研究されている。
【0003】
特許文献1には、自動的に魚に餌を与える自動給餌装置の餌の残存量に応じて、餌を発注する技術が開示されている。さらに、特許文献1には、給餌の終了タイミングを、魚の移動速度に基づき決定することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、魚の活性、例えば餌料を食べているか否かの高低度に基づき、給餌の終了タイミングを決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6628379号公報
【特許文献2】特許第6739049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、魚の種類によっては、魚が満腹になるまで給餌をしなくても、魚の成長速度が変わらない場合がある。しかし、特許文献1、2に記載の技術では、魚が満腹近くの状態になると、魚の活性等が変化するため、魚が満腹になる前に給餌を終了することは難しい。このため、餌の費用に対する魚の成長が非効率となる場合があった。また、給餌量が不明確なため、餌の費用を予測することも困難であった。
【0007】
上記の状況に鑑み、本開示は、魚に与える餌の給餌率を設定することで、ユーザによる魚の飼育を効率的に支援することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による給餌管理方法は、飼育する魚(11)の身体を表す第1身体情報と、魚(11)を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、魚(11)を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、魚(11)への給餌量を決定することを含む。また、給餌管理方法は、決定された給餌量を表す給餌情報を出力することを含む。ここで、第1飼育方針は、給餌率を含む。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による給餌管理方法は、飼育している魚(11)への給餌を行う期間において、給餌を開始する時点の魚(11)の大きさと、現時点の魚(11)の大きさとに基づき、給餌の停止を決定することを含む。また、給餌管理方法は、給餌の停止を決定したとき、給餌の停止を表す停止信号を出力することを含む。
【0011】
上記目的を達成するための一実施の形態による給餌管理システム(1000)は、給餌量決定部(260)と、出力部(270)とを備える。給餌量決定部(260)は、飼育する魚(11)の身体を表す第1身体情報と、魚(11)を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、魚(11)を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、魚(11)への給餌量を決定する。出力部(270)は、決定された給餌量を表す給餌情報を出力する。ここで、第1飼育方針は、給餌率を含む。
【0012】
上記目的を達成するための一実施の形態による給餌管理システム(1000)は、停止決定部(170)と、給餌制御部(150)とを備える。停止決定部(170)は、飼育している魚(11)への給餌を行う期間において、給餌を開始する時点の魚(11)の大きさと、現時点の魚(11)の大きさとに基づき、給餌の停止を決定する。給餌制御部(150)は、給餌の停止を決定したとき、給餌の停止を表す停止信号を出力する。
【0013】
上記目的を達成するための一実施の形態による給餌管理プログラム(430)は、飼育する魚(11)の身体を表す第1身体情報と、魚(11)を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、魚(11)を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、魚(11)への給餌量を決定することを演算装置(120、220、320)に実行させる。また、給餌管理プログラム(430)は、決定された給餌量を表す給餌情報を出力することを演算装置(120、220、320)に実行させる。ここで、第1飼育方針は、給餌率を含む。
【0014】
上記目的を達成するための一実施の形態による給餌管理プログラム(430)は、飼育している魚(11)への給餌を行う期間において、給餌を開始する時点の魚(11)の大きさと、現時点の魚(11)の大きさとに基づき、給餌の停止を決定することを演算装置(120、220、320)に実行させる。また、給餌管理プログラム(430)は、給餌の停止を決定したとき、給餌の停止を表す停止信号を出力することを演算装置(120、220、320)に実行させる。
【発明の効果】
【0015】
上記の形態によれば、ユーザによる魚の飼育を効率的に支援する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施の形態における給餌管理システムの概略図である。
【
図2】一実施の形態における魚の給餌率と、魚の成長との関係を表す図である。
【
図3】一実施の形態における給餌装置の構成を表す図である。
【
図4】一実施の形態における給餌管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
【
図5】一実施の形態における給餌管理装置の構成を表す図である。
【
図6】一実施の形態における端末の構成を表す図である。
【
図7】一実施の形態における給餌管理システムに給餌方針を設定する処理を表すフローチャートである。
【
図8】一実施の形態において、給餌管理装置が推定した魚の成長速度を表す図である。
【
図9】一実施の形態における給餌管理システムが魚に餌を与える処理を表すフローチャートである。
【
図10】一実施の形態において、給餌の停止の決定に用いる魚の大きさを説明する図である。
【
図11】一実施の形態における給餌管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
【
図12】一実施の形態における給餌管理システムが魚に餌を与える処理を表すフローチャートである。
【
図13】一実施の形態における給餌管理システムが給餌を停止する処理を表すフローチャートである。
【
図14】一実施の形態において、給餌の停止の決定に用いる魚の大きさを説明する図である。
【
図15】一実施の形態において、給餌の停止の決定に用いる魚の大きさを説明する図である。
【
図16】一実施の形態において、給餌の停止の決定に用いる魚の大きさを説明する図である。
【
図17】一実施の形態において、給餌の停止の決定に用いる魚の大きさを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による給餌管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、
図1に示すように、給餌管理システム1000は、給餌装置100と、給餌管理装置200と、端末300とを備える。給餌管理装置200は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、給餌装置100と、端末300とに通信可能に接続されている。
【0018】
給餌装置100は、給餌管理装置200から取得する給餌情報に基づき、生簀10で飼育されている魚11に餌を与える。ここで、発明者は、
図2に示すように、魚11に与える餌の量を表す給餌率が100%でなくとも魚11の成長速度がほぼ変わらない魚種があることを確認した。このため、給餌率を100%から減少させると、魚11の成長に対して与える餌の効率を表す餌料効率は上昇する。例えば、給餌率が所定の値、例えば70%のときに餌料効率は最大となる。このため、生簀10において、餌料効率を上げるために、給餌管理システム1000は、設定した給餌率で魚11に餌を与える。ここで、成長速度は、例えば魚11が所定の期間に増加する体重を表す。また、給餌率は、魚11が満腹となる給餌量に対して、実際に魚11に与える給餌量の比率を表す。例えば、給餌率が100%であることは、魚11に満腹になるまで餌を与えることを意味する。
【0019】
(給餌管理システムの構成)
図1に示す給餌管理システム1000に含まれる給餌装置100の構成を説明する。給餌装置100は、
図3に示すように、入出力装置110と、環境センサ111と、魚センサ112と、給餌部113と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。給餌装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0020】
環境センサ111は、生簀10の環境情報、例えば水温、水の流速などを測定する。測定された環境情報は、演算装置120に出力される。環境センサ111は、給餌装置100と別体で形成され、測定された環境情報を、給餌管理装置200に直接出力してもよい。
【0021】
魚センサ112は、生簀10で飼育されている魚11の身体、例えば体重、体長などに関する身体情報を取得する。また、魚センサ112は、魚11の尾数に関する数量情報を取得する。例えば、魚センサ112は、光学カメラを備え、光学カメラで撮像された魚11の画像を表す画像情報を、身体情報と数量情報とを表す魚情報として演算装置120に出力する。魚センサ112は、給餌装置100と別体で形成され、取得された情報を給餌管理装置200に直接出力してもよい。
【0022】
給餌部113は、演算装置120からの指示に基づき、生簀10で飼育されている魚11に餌を与える。例えば、給餌部113は、演算装置120から給餌量を表す信号を受信したとき、信号により表された給餌量の餌を魚11に与える。
【0023】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、給餌管理装置200から取得する信号を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を給餌管理装置200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0024】
記憶装置140は、生簀10で飼育されている魚11に餌を与えるための様々なデータ、例えば給餌プログラム400を格納する。記憶装置140は、給餌プログラム400を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。給餌プログラム400は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0025】
演算装置120は、給餌プログラム400を記憶装置140から読み出し実行して、魚11に餌を与えるための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0026】
演算装置120は、給餌プログラム400を読み出し実行することで、
図4に示すように、給餌制御部150と、転送部160とを実現する。給餌制御部150は、給餌部113を制御して、魚11に餌を与える。転送部160は、環境センサ111と、魚センサ112により取得された情報を給餌管理装置200に出力する。
【0027】
次に、
図1に示す給餌管理装置200の構成を説明する。給餌管理装置200は、
図5に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。給餌管理装置200は、例えば、コンピュータである。給餌管理装置200は、クラウドサーバであってもよい。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置210は省略されてもよい。
【0028】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、給餌装置100または端末300から取得する情報を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を給餌装置100または端末300に転送する。通信装置230は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0029】
記憶装置240は、生簀10で飼育されている魚11に与える餌の給餌量を決定するための様々なデータ、例えば飼育データ410と、成長データ420と、給餌管理プログラム430とを格納する。記憶装置240は、給餌管理プログラム430を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。給餌管理プログラム430は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0030】
飼育データ410は、生簀10の環境情報と、魚11の身体情報、例えば体重とに関連付けられた給餌量を表す飼育情報を格納する。飼育情報は、例えば環境情報と、身体情報との組み合わせにおいて、基準給餌率、例えば給餌率が100%であるときの給餌量を表す基準給餌量を表す。
【0031】
また、飼育データ410は、生簀10において、所定の期間、例えば1年間の環境情報を表す予測環境情報を格納する。予測環境情報は、例えば過去の生簀10における水温から決定され、所定の期間、例えば1年間の水温の変化を表す。
【0032】
成長データ420は、魚11に与える餌の給餌率と、生簀10の水温と、魚11の成長速度とを関連付けて表す成長情報を格納する。例えば、成長情報は、ある水温で、魚11にある給餌率の餌を与えたときに、推定される魚11の成長速度、例えば所定の期間に増加する体重を表す。
【0033】
演算装置220は、給餌管理プログラム430を記憶装置240から読み出し実行して、給餌量を決定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置220は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0034】
演算装置220は、給餌管理プログラム430を読み出し実行することで、
図4に示すように、成長推定部250と、給餌量決定部260と、出力部270とを実現する。成長推定部250は、飼育方針と、成長データ420とに基づき、魚11を飼育する期間における魚11の成長速度を推定する。推定された成長速度は、ユーザに提供され、飼育方針の決定に利用される。給餌量決定部260は、飼育方針と、生簀10の環境情報とに基づき、魚11に与える給餌量を決定する。例えば、給餌量決定部260は、日々の環境情報に基づき、実際に魚11に与える給餌量を決定する。出力部270は、決定された給餌量を表す情報を給餌装置100に出力する。
【0035】
次に、
図1に示す端末300の構成を説明する。端末300は、
図6に示すように、入出力装置310と、演算装置320と、通信装置330と、記憶装置340とを備える。端末300は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置310には、演算装置320が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置310は、演算装置320が処理を実行した結果を出力する。入出力装置310は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0036】
通信装置330は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置330は、給餌管理装置200から取得する信号を演算装置320に転送する。また、演算装置320が生成した信号を給餌管理装置200に転送する。通信装置330は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0037】
記憶装置340は、ユーザにより設定される飼育方針を表す情報を受け付けるための様々なデータ、例えば受付プログラム440を格納する。記憶装置340は、受付プログラム440を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。受付プログラム440は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体3に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0038】
演算装置320は、受付プログラム440を読み出し実行することで、
図4に示すように、入出力装置310と協働して、受付部350を実現する。受付部350は、ユーザにより設定される飼育方針を表す情報を受け付け、受け付けた情報を給餌管理装置200に出力する。
【0039】
(給餌管理システムの動作)
端末300の演算装置320は、ユーザにより入出力装置310に、生簀10において飼育する魚11の飼育方針を設定するための操作が入力されると、受付プログラム440を読み出し実行する。受付プログラム440が読み出し実行されると、演算装置320は、給餌管理方法の一部である
図7に示す処理を開始する。ステップS110において、演算装置320により実現される受付部350は、1つ以上の飼育方針を受け付ける。例えば、ユーザは、入出力装置310に、方針情報として、魚11に与える餌の給餌率と、飼育を開始するときの魚11の体重とを表す飼育方針を1つ以上入力する。受付部350は、入力された方針情報を受け付け、受け付けた方針情報を給餌管理装置200に出力する。飼育方針は、所定の期間、例えば1日に餌を与える回数を表す給餌回数を含んでもよい。
【0040】
ステップS120において、成長推定部250は、方針情報に基づき、魚11を飼育する期間において、魚11の成長速度を推定する。例えば、最初に、成長推定部250は、方針情報から、飼育を開始するときの魚11の体重と、魚11に与える餌の給餌率を取得する。また、成長推定部250は、飼育データ410から、生簀10における所定の期間、例えば魚11を飼育する期間の予測環境情報を取得する。例えば、成長推定部250は、飼育データ410から、魚11の飼育を開始する日から、飼育を終了する日までの各日の水温を予測環境情報として取得する。
【0041】
次に、成長推定部250は、魚11の体重と、給餌率と、魚11を飼育する期間における予測環境情報とに基づき、魚11の成長速度を推定する。例えば、成長推定部250は、成長データ420に基づき、飼育開始時の魚11の体重と、給餌率と、飼育開始時の生簀10の水温とに基づき、飼育開始から所定の期間、例えば1日経過したときの魚11の体重を推定する。さらに、成長推定部250は、成長データ420に基づき、飼育開始から1日経過したときの魚11の体重と、給餌率と、飼育開始から1日経過したときの生簀10の水温とに基づき、飼育開始から2日経過したときの魚11の体重を推定する。このように、成長推定部250は、所定の期間経過した魚11の体重を推定していくことで、飼育期間における魚11の成長速度を推定する。また、成長推定部250は、入力されたすべての方針情報に対して、魚11の成長速度を推定する。成長推定部250は、推定された成長速度を表す予測情報を端末300に出力する。
【0042】
ステップS130において、端末300の受付部350は、魚11の成長速度を表す予測情報を表示し、ユーザによる飼育方針の選択情報を受け付ける。例えば、受付部350は、
図8に示すように、魚11の飼育期間における魚11の体重の変化を表す情報を、成長速度を表す予測情報として表示する。
図8の例では、受付部350は、ユーザにより2つの飼育方針が入力され、入力された2つの飼育方針に応じた成長速度、例えば第1成長速度510と、第2成長速度520とを表す情報を表示する。例えば、第1成長速度510に対応する飼育方針の給餌率は、第2成長速度520に対応する飼育方針の給餌率と異なる。ユーザは、表示された情報に基づき、魚11を飼育する飼育方針を決定し、決定した飼育方針を選択する操作を入出力装置310に入力する。受付部350は、選択された飼育方針を表す選択情報を給餌管理装置200に出力する。
【0043】
ステップS140において、給餌管理装置200の成長推定部250は、選択情報からユーザにより決定された飼育方針を取得する。取得された飼育方針を表す方針情報は、魚11の飼育方針として記憶される。
【0044】
このように、給餌管理システム1000は、ユーザにより入力された飼育方針に基づき、魚11の成長速度を推定し、推定した成長速度をユーザに提示する。これにより、ユーザは、推定される成長速度を確認して、飼育方針を決定することができる。
【0045】
次に、給餌管理システム1000が、決定された飼育方針に基づき、魚11に餌を与える方法を説明する。例えば、給餌装置100の演算装置120は、定期的に給餌管理方法の一部である
図9に示す処理を実行する。例えば、給餌装置100の演算装置120は、給餌装置100が起動されると、給餌プログラム400を読み出し実行する。給餌プログラム400が読み出し実行されると、演算装置120は、定期的に
図9に示す処理を開始する。
【0046】
ステップS210において、演算装置120により実行される転送部160は、環境センサ111の環境情報と、魚センサ112の魚情報とを取得する。例えば、環境センサ111は、定期的に生簀10の環境情報、例えば水温を取得する。また、魚センサ112は、生簀10で飼育されている魚11の身体、例えば体重に関する身体情報を取得する。また、魚センサ112は、生簀10で飼育されている魚11の尾数に関する数量情報を取得する。例えば、魚センサ112は、生簀10の魚11を撮像した画像情報を、身体情報と数量情報とを表す魚情報として取得する。転送部160は、環境センサ111から環境情報を取得し、魚センサ112から魚情報を取得する。転送部160は、取得された環境情報と魚情報とを給餌管理装置200に出力する。
【0047】
ステップS220において、給餌管理装置200の給餌量決定部260は、予め設定された飼育方針に基づき、魚11に与える給餌量を決定する。例えば、最初に、給餌量決定部260は、飼育データ410と、魚情報に含まれる身体情報と、生簀10の環境情報とに基づき、基準給餌率であるときに1尾の魚11に与える基準給餌量を決定する。例えば、飼育データ410は、環境情報と、身体情報との組み合わせにおいて、基準給餌率、例えば給餌率が100%であるときの基準給餌量を格納する。このため、給餌量決定部260は、飼育データ410から、魚情報に含まれる身体情報と、生簀10の環境情報とを用いて、基準給餌率であるときの1尾あたりの基準給餌量を決定する。ここで、魚情報が魚11を撮像した画像情報であるとき、魚11の身体、例えば体重、体長などは、魚11の画像から任意の方法で推定される。例えば、給餌量決定部260は、人工知能を用いて、魚11を撮像した画像から魚11の身体、例えば体重、体長などを推定してもよい。この場合、人工知能は、魚11を撮像した画像から魚11の身体を推定するように学習されている。
【0048】
次に、給餌量決定部260は、基準給餌量と、飼育方針とに基づき、1回あたりに1尾の魚11に与える給餌量を決定する。例えば、給餌量決定部260は、基準給餌量と、飼育方針に表される給餌率とに基づき、給餌量を決定する。例えば、給餌量決定部260は、基準給餌量に、基準給餌率に対する飼育方針に表される給餌率の比を積算することで、給餌量を決定する。また、飼育方針が所定の期間、例えば1日に餌を与える回数が2以上であるとき、給餌量決定部260は、給餌率により決定された給餌量を、所定の期間に与える回数を用いて、1回あたりの給餌量を修正する。例えば、給餌量決定部260は、給餌率により決定された給餌量を、所定の期間に与える回数で除算することで、1回あたりに1尾の魚11に与える給餌量を決定する。
【0049】
続いて、給餌量決定部260は、1尾の魚11に与える給餌量と、魚情報に含まれる数量情報とに基づき、1回あたりに生簀10の魚11に与える給餌量を決定する。例えば、給餌量決定部260は、1尾の魚11に与える給餌量に、魚情報に含まれる数量情報により表される尾数を積算することで、1回あたりに生簀10の魚11に与える給餌量を決定する。ここで、魚情報が魚11を撮像した画像情報であるとき、魚11の尾数は、魚11の画像から任意の方法で推定される。例えば、給餌量決定部260は、人工知能を用いて、魚11を撮像した画像から魚11の尾数を推定してもよい。出力部270は、決定された給餌量を表す給餌情報を給餌装置100に出力する。
【0050】
ステップS230において、成長推定部250は、方針情報と、魚11の身体情報とに基づき、現時点以降の魚11を飼育する期間において、魚11の成長速度を推定する。成長推定部250は、給餌装置100により測定された現在の魚11の身体情報に基づき、魚11の成長速度を推定する。例えば、成長推定部250は、
図7に示すステップS120と同様に、魚11の成長速度を推定する。例えば、最初に、成長推定部250は、飼育データ410から、生簀10における所定の期間、例えば現時点から魚11の飼育を終了するまでの期間に関する予測環境情報を取得する。成長推定部250は、成長データ420と、現時点の魚11の身体情報と、給餌率と、予測環境情報とに基づき、魚11の成長速度を推定する。成長推定部250は、推定された成長速度を表す情報を端末300に出力する。
【0051】
ステップS240において、給餌装置100の給餌制御部150は、給餌情報に基づき、生簀10の魚11に給餌する。例えば、給餌制御部150は、給餌情報に表される給餌量を魚11に与えるように、給餌部113を制御する。給餌部113は、給餌制御部150により指定された給餌量の餌を魚11に与える。
【0052】
ステップS250において、端末300の受付部350は、魚11の成長速度を表す情報を表示し、ユーザによる飼育方針の変更情報を受け付ける。例えば、受付部350は、ステップS130と同様に、魚11の飼育期間における魚11の体重の変化を表す情報を、成長速度を表す情報として表示する。ユーザは、魚11の成長速度を確認し、飼育方針を変更する場合、変更した後の飼育方針を表す変更情報、例えば変更後の給餌率を端末300の入出力装置310に入力する。受付部350は、入力された変更情報を給餌管理装置200に出力する。
【0053】
ステップS260において、給餌管理装置200の成長推定部250は、ユーザにより入力された変更情報に基づき飼育方針を変更する。変更された飼育方針を表す方針情報は、新しい魚11の飼育方針として記憶される。
【0054】
このように、給餌管理システム1000は、ユーザにより決定された飼育方針に基づき、魚11に餌を与える。ここで、給餌管理システム1000は、餌を与えられた魚11の動きによらず、給餌量を決定する。魚11の動きを用いて給餌量を決定する場合、餌を食べなくなるまで魚11に餌を与えるため、魚11の給餌率は約100%となる。給餌管理システム1000は、魚11の動きを用いずに給餌量を決定することで、給餌率を任意に設定することができる。このように、給餌管理システム1000は、餌料効率の高い飼育を行うことができる。また、給餌量が予め推定されるため、給餌管理システム1000は、魚11の飼育に必要となる餌の費用を推定することができる。このように、給餌管理システム1000は、ユーザによる魚11の飼育を効率的に支援することができる。
【0055】
(実施の形態2)
図1に示す給餌装置100は、魚11に餌を与えている期間における魚11の大きさに基づき、給餌管理装置200から取得する給餌量に達する前であっても、魚11への給餌を停止してもよい。例えば、魚11は、
図10に示すように、餌を食べることで体の大きさ、例えば左右の胸ビレの付け根の間隔(例えば第1幅611)が大きくなる。このため、給餌装置100は、魚11の大きさ、例えば第1幅611が所定の大きさに達したとき、給餌を停止してもよい。魚11の大きさは、例えば、生簀10において飼育されている魚11の対応する長さ、例えば第1幅611の統計値、例えば平均値、中央値、最小値、最大値などを表してもよい。
【0056】
図5に示す飼育データ410に表される生簀10の環境情報と魚11の身体情報に応じた基準給餌量、例えば給餌率が100%であるときの給餌量は、過去の魚11を飼育したときの情報が少ないとき、精度が低い場合がある。この場合、魚11の大きさに基づき、飼育方針で設定された給餌率に応じた量の餌が魚11に与えられたかを判定することで、給餌管理システム1000は、より飼育方針に沿った量の餌を魚11に与えることができる。
【0057】
なお、魚11の大きさを、前方向と、幅方向と、高さ方向とを用いて、説明する。前方向は、魚11の進む方向を表す。高さ方向は、前方向に直交し、魚11の腹から背中に向かう方向を表す。幅方向は、前方向と、高さ方向とに直交する方向を表す。
【0058】
(給餌管理システムの構成)
給餌管理システム1000の構成は、
図3に示す給餌装置100の演算装置120が、給餌プログラム400を実行するとき、
図11に示すように、停止決定部170を実現することを除き、実施の形態1と同様である。このため、停止決定部170を除き、詳細な説明を省略する。停止決定部170は、魚11への給餌を行う期間において、給餌を開始した時点の魚11の大きさと、現時点の魚11の大きさとに基づき、給餌の停止を決定する。
【0059】
(給餌管理システムの構成)
ユーザが飼育方針を設定するときの処理、例えば
図7に示す処理は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0060】
給餌管理システム1000が、決定された飼育方針に基づき、魚11に餌を与える方法を説明する。例えば、給餌装置100の演算装置120は、定期的に給餌管理方法の一部である
図12に示す処理を実行する。例えば、給餌装置100の演算装置120は、給餌装置100が起動されると、給餌プログラム400を読み出し実行する。給餌プログラム400が読み出し実行されると、演算装置120は、定期的に
図12に示す処理を開始する。
【0061】
ステップS210の処理は、実施の形態1と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0062】
ステップS220において、実施の形態1と同様に、給餌管理装置200の給餌量決定部260は、予め設定された飼育方針に基づき、魚11に与える給餌量を決定する。出力部270は、決定された給餌量を表す給餌情報を給餌装置100に出力する。給餌情報は、飼育方針に表される給餌率と、所定の期間に餌を与える回数とを含んでもよい。
【0063】
ステップS230の処理は、実施の形態1と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0064】
ステップS240Bにおいて、給餌装置100は、給餌情報に基づき、生簀10の魚11に給餌する。詳細な処理は後述する。
【0065】
ステップS250とステップS260との処理は、実施の形態1と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0066】
ステップS240Bにおける詳細な処理を説明する。ステップS240Bにおいて、給餌装置100は、
図13に示す処理を実行する。ステップS310において、給餌装置100の停止決定部170は、魚センサ112から、給餌を開始した時点における魚11の身体、具体的には大きさを表す情報を取得する。例えば、停止決定部170は、給餌を開始した時点における魚11の第1幅611を表す情報を取得する。
【0067】
ステップS320において、給餌制御部150は、魚11への給餌を開始する。例えば、給餌制御部150は、給餌部113に、魚11への給餌を開始するための開始信号を出力する。給餌部113は、開始信号に基づき、魚11の餌を生簀10に排出する。
【0068】
ステップS330において、停止決定部170は、魚11への給餌を開始した後の魚11の大きさを表す情報を取得する。例えば、停止決定部170は、魚11への給餌を行っている期間において、魚センサ112から魚11の大きさを表す情報を取得する。例えば、停止決定部170は、魚11の第1幅611を表す情報を取得する。
【0069】
ステップS340において、停止決定部170は、魚11の大きさが閾値(所定値)に達したかを判定する。魚11の大きさが閾値に達していたとき、処理は、ステップS350に移行する。魚11の大きさが閾値に達していないとき、処理は、ステップS360に移行する。
【0070】
ここで、閾値は、給餌を開始した時点における魚11の大きさと、給餌情報に表される給餌率と、所定の期間に餌を与える回数とに基づき、決定される。例えば、停止決定部170は、給餌を開始した時点における魚11の大きさに基づき、魚11が満腹になるまで餌を食べたときの魚11の大きさを決定する。停止決定部170は、魚11が満腹になるまで餌を食べたときの魚11の大きさから、給餌を開始した時点における魚11の大きさを減算し、魚11が満腹になったときの増加量を決定する。停止決定部170は、例えば、増加量に給餌率を積算し、さらに所定の期間に餌を与える回数で除算することで、飼育方針に沿って魚11が餌を食べた場合に給餌1回当たりに魚11の大きさが変化する変化量を決定する。例えば、閾値は、給餌を開始した時点における魚11の大きさに、決定された変化量を加算した値を表す。
【0071】
ここで、停止決定部170は、餌を食べる前の魚11の大きさと、餌を満腹になるまで食べたときの魚11の大きさとの関係を表す満腹情報を記憶している。満腹情報は、例えば、魚11が満腹になるまで餌を食べたときの魚11の大きさの変化を表す。例えば、満腹情報は、給餌を開始した時点における魚11の大きさと、魚11が満腹になるまで餌を食べたときの大きさとの違いを表す。例えば、満腹情報は、給餌を開始した時点における魚11の大きさと、魚11が満腹になるまで餌を食べたときの大きさとの比率を表す。また、満腹情報は、給餌開始時点の魚11の大きさと魚11が満腹になるまで餌を食べたときの魚11の大きさとの差を、給餌を開始した時点における魚11の大きさに対する比率で表してもよい。具体的には、満腹情報は、給餌開始時点の魚11の大きさと魚11が満腹になるまで餌を食べたときの魚11の大きさとの差を、給餌を開始した時点における魚11の大きさで除算した値を表す。また、満腹情報は、給餌を開始した時点における魚11の大きさと、魚11が満腹になるまで餌を食べたときの大きさとの差を、給餌を開始した時点における魚11の大きさに応じて表してもよい。
【0072】
魚11の大きさが閾値に達しているとき、ステップS350において、停止決定部170は、魚11への給餌の停止を決定する。魚11への給餌の停止が決定されると、処理はステップS370に移行する。
【0073】
魚11の大きさが閾値に達していないとき、ステップS360において、給餌制御部150は、生簀10に排出した餌の量が、給餌管理装置200から取得した給餌量に達したかを判定する。生簀10に排出した餌の量が給餌量に達していないとき、処理は、ステップS330に戻り、処理を繰り返す。生簀10に排出した餌の量が給餌量に達しているとき、処理は、ステップS370に移行する。
【0074】
ステップS370において、給餌制御部150は、魚11への給餌を停止する。例えば、給餌制御部150は、給餌部113に、魚11への給餌を停止するための停止信号を出力する。給餌部113は、停止信号に基づき、生簀10への餌の排出を停止する。
【0075】
このように、給餌装置100は、魚11の大きさに基づき、魚11への給餌を停止してもよい。
【0076】
給餌の停止に利用される魚11の大きさを説明する。魚11の大きさは、例えば任意の位置における魚11の幅方向の長さを表してもよい。例えば、魚11の大きさは、
図10に示すように、胸ビレ付け根断面810における魚11の幅方向の長さを表す第1幅611を表してもよい。胸ビレ付け根断面810は、
図14に示すように、胸ビレの付け根に位置する胸ビレ付け根位置811を含み、例えば魚11の前方向に直交する。例えば、第1幅611は、胸ビレ付け根断面810において、胸ビレ付け根位置811における魚11の幅方向の長さ、例えば魚11の体幅を表す。
【0077】
また、第1幅611は、胸ビレ付け根断面810において、第1中点812における魚11の幅方向の長さを表してもよい。第1中点812は、胸ビレ付け根断面810において、胸ビレ付け根位置811から第1腹位置813までの間に位置する。例えば、第1中点812は、高さ方向において、胸ビレ付け根位置811と第1腹位置813との中点を表す。ここで、第1腹位置813は、魚11の高さ方向において下端、例えば魚11の腹を表す。なお、高さ方向は、魚11の腹から背中の方向を表す。
【0078】
また、魚11の大きさは、
図10に示すように、腹ビレの付け根の間隔を表す第2幅612を表してもよい。
【0079】
魚11の大きさは、腹ビレ付け根断面820における魚11の幅方向の長さを表す第3幅613を表してもよい。腹ビレ付け根断面820は、
図14に示すように、腹ビレの付け根に位置する腹ビレ付け根位置823を含み、例えば魚11の前方向に直交する。例えば、第3幅613は、腹ビレ付け根断面820において、第2位置821における魚11の幅方向の長さを表す。第2位置821は、腹ビレ付け根断面820において、高さ方向における胸ビレ付け根位置811を表す胸ビレ付け根高さ850の位置を表す。
【0080】
また、第3幅613は、腹ビレ付け根断面820において、第2中点822における魚11の幅方向の長さを表してもよい。第2中点822は、腹ビレ付け根断面820において、胸ビレ付け根高さ850の第2位置821から腹ビレ付け根位置823までの間に位置する。例えば、第2中点822は、高さ方向において、第2位置821と腹ビレ付け根位置823との中点を表す。ここで、腹ビレ付け根位置823は、魚11の高さ方向において、腹ビレを除いた下端、例えば魚11の腹を表す。
【0081】
魚11の大きさは、
図10に示すように、腹ビレ中間断面830における魚11の幅方向の長さを表す第4幅614を表してもよい。腹ビレ中間断面830は、
図15に示すように、前方向において、腹ビレ付け根位置823を含む腹ビレ付け根断面820と、腹ビレの後端を表す腹ビレ後端835との間の腹ビレ範囲836にあり、例えば魚11の前方向に直交する。例えば、腹ビレ中間断面830は、前方向において、腹ビレ付け根断面820と腹ビレ後端835との中点を含む。例えば、第4幅614は、腹ビレ中間断面830において、第3位置831における魚11の幅方向の長さを表す。第3位置831は、腹ビレ中間断面830において、高さ方向における胸ビレ付け根位置811を表す胸ビレ付け根高さ850の位置を表す。
【0082】
また、第4幅614は、腹ビレ中間断面830において、第3中点832における魚11の幅方向の長さを表してもよい。第3中点832は、腹ビレ中間断面830において、胸ビレ付け根高さ850の第3位置831から第3腹位置833までの間に位置する。例えば、第3中点832は、高さ方向において、第3位置831と第3腹位置833との中点を表す。ここで、第3腹位置833は、魚11の高さ方向において、腹ビレを除いた下端、例えば魚11の腹を表す。
【0083】
また、魚11の大きさは、例えば任意の位置における魚11の高さ方向の長さを表してもよい。例えば、魚11の大きさは、
図16に示すように、魚11の腹から背中までの長さを表す。
【0084】
例えば、魚11の大きさは、胸ビレ付け根断面810において、魚11の腹、例えば高さ方向における魚11の下端から背中、例えば高さ方向における魚11の上端までの第1高621(例えば魚11の体高)を表してもよい。また、魚11の大きさは、腹ビレ付け根断面820において、魚11の腹、例えば高さ方向における魚11の腹ビレを除いた下端から背中、例えば高さ方向における魚11の上端までの第2高622を表してもよい。魚11の大きさは、腹ビレ中間断面830において、魚11の腹、例えば高さ方向における魚11の腹ビレを除いた下端から背中、例えば高さ方向における魚11の上端までの第3高623を表してもよい。魚11の大きさは、肛門位置断面840において、魚11の腹、例えば高さ方向における魚11の下端から背中、例えば高さ方向における魚11の上端までの第4高624を表してもよい。ここで、肛門位置断面840は、魚11の肛門の位置を含み、例えば前方向に直交する。
【0085】
また、魚11の大きさは、
図17に示すように、魚11の高さ方向における一部の長さを表してもよい。例えば、魚11の大きさは、胸ビレ付け根断面810において、胸ビレ付け根位置811から魚11の背中までの第5高625を表してもよい。また、魚11の大きさは、胸ビレ付け根断面810において、胸ビレ付け根位置811から第1腹位置813までの第6高626を表してもよい。魚11の大きさは、腹ビレ付け根断面820において、胸ビレ付け根高さ850に位置する第2位置821から腹ビレ付け根位置823までの第7高627を表してもよい。魚11の大きさは、腹ビレ中間断面830において、胸ビレ付け根高さ850に位置する第3位置831から第3腹位置833までの第8高628を表してもよい。
【0086】
停止決定部170は、魚11の大きさとして、魚11の幅方向、または/および、高さ方向の複数の長さを用いて給餌の停止を決定してもよい。例えば、停止決定部170は、魚11の第1幅611と第1高621とに基づき、給餌の停止を決定してもよい。例えば、停止決定部170は、第1幅611が第1閾値に達し、かつ、第1高621が第2閾値に達したとき、給餌の停止を決定する。停止決定部170は、第1幅611が第1閾値に達したか、または、第1高621が第2閾値に達したとき、給餌の停止を決定してもよい。例えば、第1閾値は給餌を開始した時点における魚11の第1幅611に基づき決定され、第2閾値は給餌を開始した時点における魚11の第1高621に基づき決定される。
【0087】
停止決定部170は、魚11の大きさとして用いる長さを、飼育している魚11の体形に応じて決定してもよい。例えば、魚11の体形に応じて、餌を食べたときに変化する部分が異なる。例えば、魚11の体形が紡錘形であるとき、餌を食べたときに魚11の高さ方向の長さが大きく変化する。このため、停止決定部170は、魚11の体形が紡錘形であるとき、魚11の高さ方向の長さを魚11の大きさとして用いてもよい。なお、紡錘形の魚11は、主に輪郭が流線形を有し、効率的で継続的な遊泳に適し、例えばマグロ、カツオ、ブリ類などを含む。
【0088】
魚11の体形が側扁型であるとき、餌を食べたときに魚11の幅方向の長さが大きく変化する。このため、停止決定部170は、魚11の体形が側扁形であるとき、魚11の幅方向の長さを魚11の大きさとして用いてもよい。なお、側扁形の魚11は、体を左右(幅方向)につぶしたような形を有し、遊泳時に急な方向転換を行い、速度を変えるのに適している。側変形の魚11は、例えばタイ、イサキ、ヒラメ、カレイ、アジ類などを含む。
【0089】
魚11の体形が細長型であるとき、餌を食べたときに魚11の幅方向と、高さ方向との両方の長さが大きく変化する。このため、停止決定部170は、魚11の体形が細長形であるとき、魚11の高さ方向の長さと、幅方向の長さとのいずれか一方または両方を魚11の大きさとして用いてもよい。なお、細長形の魚11は、著しく細長い形を有し、石や岩の隙間に隠れ、泥中や砂中に潜むのに適している。細長形の魚11は、例えばウナギ、タチウオ類などを含む。
【0090】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、
図7に示すステップS110において、ユーザは、飼育方針を1つのみ入力してもよい。この場合、給餌管理装置200の成長推定部250は、ステップS120において、入力された1つの飼育方針について、魚11の成長速度を推定する。ステップS130において、ユーザは、表示された1つの魚11の成長速度を確認し、他の飼育方針を確認する場合は、飼育方針を変更する操作を行ってもよい。この場合、処理は、ステップS110に戻り、繰り返される。
【0091】
また、ユーザが1つの飼育方針のみ入力するとき、給餌管理システム1000は、ユーザに魚11の成長速度を提示することなく、飼育方針を決定してもよい。この場合、ステップS120において、給餌管理装置200の成長推定部250は、ユーザにより入力された飼育方針を方針情報として記憶する。この場合、給餌管理システム1000は、決定された飼育方針により推定される魚11の成長速度を推定し、ユーザに提示されてもよい。
【0092】
また、給餌管理システム1000には、飼育方針の典型的な例が予め登録されていてもよい。この場合、
図7に示すステップS110の処理は省略され、給餌管理装置200の成長推定部250は、予め登録された飼育方針に基づき、魚11の成長速度を推定してもよい。
【0093】
図7に示すステップS120、または/および、
図9に示すステップS230において、給餌管理装置200の成長推定部250は、飼育方針と、生簀10の環境情報に基づき、任意の方法で魚11の成長速度を推定してもよい。例えば、給餌量決定部260は、生簀10の環境情報と、魚11の身体情報と、給餌率とから魚11の成長速度を決定する関数を用いてもよい。この関数は、生簀10の環境情報と、魚11の身体情報と、給餌率から成長速度を決定するように学習された人工知能を用いてもよい。
【0094】
また、成長推定部250は、
図7に示すステップS120、または/および、
図9に示すステップS230において、予測給餌量を推定してもよい。成長推定部250は、飼育データ410と、給餌率とに基づき、飼育期間における給餌量を表す予測給餌量を推定する。例えば、成長推定部250は、飼育データ410に表された基準給餌量に、基準給餌率に対する設定された給餌率の比を積算することで、予測給餌量を推定する。さらに、成長推定部250は、予測給餌量に基づき、給餌費用を推定してもよい。この場合、飼育データ410は、所定の量の餌に対する費用を表す情報を格納する。さらに、成長推定部250は、予測給餌量に基づき、飼育に要する総費用を推定してもよい。この場合、飼育データ410は、所定の期間における生簀10の維持費用を表す情報を格納する。成長推定部250は、飼育期間に応じた生簀10の維持費用を推定し、推定された維持費用と給餌費用とを加算することで、総費用を推定する。
【0095】
図9に示すステップS210において、生簀10の環境情報は、任意の方法で取得されてもよい。例えば、ユーザが端末300の入出力装置310に生簀10の環境情報を入力してもよい。この場合、端末300の受付部350は、入力された環境情報を給餌管理装置200に出力する。給餌管理装置200の給餌量決定部260は、ステップS220において、端末300から取得された環境情報を用いて、給餌量を決定する。この場合、給餌装置100の環境センサ111は省略されてもよい。
【0096】
また、魚11の身体情報と数量情報とを表す魚情報は、任意の方法で取得されてもよい。例えば、魚センサ112は、複数の光学センサ、例えば1つ以上のステレオカメラでもよく、音響センサでもよい。例えば、ユーザが端末300の入出力装置310に魚11の魚情報を入力してもよい。例えば、ユーザは、幼魚を購入して生簀10に入れる場合に、魚情報を入力する。また、ユーザは、定期的に身体情報と数量情報とを計測し、計測された身体情報と数量情報とを魚情報として入力してもよい。この場合、端末300の受付部350は、入力された魚情報を給餌管理装置200に出力する。給餌管理装置200の給餌量決定部260は、ステップS220において、端末300から取得された魚情報を用いて、給餌量を決定する。この場合、給餌装置100の魚センサ112は省略されてもよい。
【0097】
また、魚11の身体情報は、給餌管理装置200の成長推定部250により推定されてもよい。例えば、成長推定部250は、前回、魚11に与えられた給餌率と、魚11に与えられたときの環境情報とに基づき、現時点の魚11の身体情報を推定してもよい。この場合、給餌量決定部260は、ステップS220において、成長推定部250により推定された魚11の身体情報を用いて、給餌量を決定する。
【0098】
また、魚11の数量情報は、前回、魚11に餌を与えるときに用いられた尾数を用いてもよい。
【0099】
図9に示すステップS230において、成長推定部250は、現時点における生簀10の環境情報に基づき、飼育データ410に格納された予測環境情報を更新してもよい。例えば、成長推定部250は、所定の期間における水温の変化と、現時点における生簀10の水温とに基づき、魚11を飼育している期間における生簀10の水温を更新してもよい。
【0100】
また、給餌管理装置200の給餌量決定部260は、生簀10の環境情報と、魚11の身体情報とに基づき、任意の方法で、基準給餌率であるときの1尾あたりの魚11の基準給餌量を決定してもよい。例えば、給餌量決定部260は、生簀10の環境情報と、魚11の身体情報とから基準給餌量を決定する関数を用いてもよい。この関数は、生簀10の環境情報と、魚11の身体情報とから基準給餌量を決定するように学習された人工知能を用いてもよい。
【0101】
飼育方針は、魚11の飼育に関する任意の情報を含んでもよい。例えば、飼育方針は、魚11に与える餌の種類を含んでもよい。この場合、飼育データ410は、餌の種類、例えば餌に含まれる成分に応じて、生簀10の環境情報と、魚11の身体情報とに関連付けられた基準給餌量を表す飼育情報を格納する。この場合、給餌量決定部260は、
図9に示すステップS220において、生簀10の環境情報と、魚11の身体情報とに基づき、餌の種類に応じた基準給餌量を決定する。
【0102】
また、飼育方針は、魚11の種類、例えば、ブリ、マダイ、クロマグロなどを含んでもよい。この場合、飼育データ410は、魚11の種類に応じて、生簀10の環境情報と、魚11の身体情報とに関連付けられた基準給餌量を表す飼育情報を格納する。また、成長データ420は、魚11の種類に応じて、魚11に与える餌の給餌率と、生簀10の水温と、魚11の成長速度とを関連付けて表す成長情報を格納する。
【0103】
飼育方針は、出荷時期を含んでもよい。この場合、
図7に示すステップS120において、成長推定部250は、出荷時期と、飼育を開始するときの魚11の体重と、魚11に与える餌の給餌率とに基づき、魚11の成長速度を推定する。例えば、成長推定部250は、成長データ420に基づき、出荷時期の魚11の体重と、給餌率と、出荷時期の生簀10の環境情報とから、飼育開始時に設定された体重の魚11が出荷時期に設定された他体重となるための飼育開始時期を推定する。ここで、出荷時期の魚11の体重は、例えば、予め設定された固定値を表す。
【0104】
例えば、成長推定部250は、成長データ420に基づき、出荷時期の魚11の体重と、給餌率と、出荷時期の生簀10の環境情報とから、出荷時期より所定の期間、例えば1日前の魚11の体重を推定する。成長データ420に格納された成長情報は、ある水温で、魚11にある給餌率の餌を与えたときに、推定される魚11の成長速度、例えば所定の期間に増加する体重を表す。このため、成長推定部250は、成長データ420に基づき、出荷時期より1日前の魚11の体重を推定する。成長推定部250は、成長データ420と1日前の魚11の体重とに基づき、2日前の魚11の体重を推定する。成長推定部250は、魚11の体重が、設定された飼育開始時の体重以下となるまでこの処理を繰り返す。これにより、成長推定部250は、飼育開始時期を推定し、推定された飼育開始時期と、成長速度とを表す情報を端末300に出力する。
【0105】
出荷時期は、魚11の市場価格に基づき設定されてもよい。例えば、成長推定部250は、過去の市場価格に基づき、市場価格が最も高い時期を推定し、推定された時期を出荷時期として設定してもよい。
【0106】
飼育方針は、出荷量を含んでもよい。例えば、
図7に示すステップS120において、成長推定部250は、出荷量と、飼育を開始するときの魚11の体重と、魚11に与える餌の給餌率とに基づき、魚11の成長速度と、給餌量とを推定する。例えば、成長推定部250は、飼育を開始するときの魚11の体重と、魚11に与える餌の給餌率とに基づき、魚11の成長速度を推定する。また、成長推定部250は、出荷時期の魚11の体重と、出荷量とに基づき、魚11の尾数を決定する。成長推定部250は、決定した魚11の尾数と、給餌率と、飼育データ410とに基づき、給餌量を推定する。
【0107】
例えば、
図13に示すステップS340において、停止決定部170は、給餌情報に表される給餌率と、所定の期間に餌を与える回数とのいずれか一方または両方を用いずに、給餌の停止を決定するために用いる閾値を決定してもよい。例えば、停止決定部170は、所定の期間に餌を与える回数を用いずに閾値を決定してもよい。例えば、停止決定部170は、給餌を開始した時点における魚11の大きさに基づき、魚11が満腹になったときの増加量を決定する。停止決定部170は、増加量に給餌率を積算することで、飼育方針に沿って魚11が1回分の餌を食べた場合に変化する変化量を決定する。閾値は、給餌を開始した時点における魚11の大きさに、決定された変化量を加算した値を表す。
【0108】
例えば、停止決定部170は、給餌率を用いずに閾値を決定してもよい。例えば、停止決定部170は、給餌を開始した時点における魚11の大きさに基づき、魚11が満腹になったときの増加量を決定する。停止決定部170は、増加量を所定の期間に餌を与える回数で除算することで、飼育方針に沿って魚11が1回分の餌を食べた場合に変化する変化量を決定する。閾値は、給餌を開始した時点における魚11の大きさに、決定された変化量を加算した値を表す。
【0109】
例えば、停止決定部170は、給餌率と、所定の期間に餌を与える回数との両方を用いずに閾値を決定してもよい。例えば、停止決定部170は、給餌を開始した時点における魚11の大きさに基づき、魚11が満腹になったときの大きさを決定する。閾値は、魚11が満腹になったときの大きさを表す。
【0110】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、給餌管理装置200の一部、または、すべての処理を給餌装置100または端末300が実行してもよい。また、端末300の一部、または、すべての処理を給餌管理装置200が実行してもよい。また、給餌管理プログラム430は、給餌プログラム400と受付プログラム440とを含んでもよい。また、給餌管理システム1000は、端末300を含まず、給餌管理システム1000に含まれない外部端末から情報を取得してもよい。また、給餌管理システム1000は、給餌装置100を含まなくてもよい。この場合、給餌管理装置200は外部の給餌装置に給餌情報を出力してもよい。
【0111】
給餌管理システム1000は、給餌率に応じた給餌量を決定せずに給餌を開始し、魚11の大きさに基づき、魚11への給餌を停止してもよい。この場合、
図12に示す処理はステップS240Bを除いて省略されてもよい。
【0112】
(付記)
各実施の形態で記載した給餌管理方法と、給餌管理システムと、給餌管理プログラムとは以下のように言うことができる。
【0113】
第1の態様に係る給餌管理方法は、
飼育する魚の身体を表す第1身体情報と、前記魚を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに前記魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、前記魚を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、前記魚への給餌量を決定することと、
決定された前記給餌量を表す給餌情報を出力することと、
を含み、
前記第1飼育方針は、給餌率を含む。
【0114】
第2の態様に係る給餌管理方法は、第1の態様に係る給餌管理方法であって、
前記第1飼育方針に基づき、現時点以降の前記魚を飼育する第1期間における前記魚の第1成長速度を推定することと、
推定された前記第1成長速度を表す情報を出力することと、
をさらに含む。
【0115】
第3の態様に係る給餌管理方法は、第1または第2の態様に係る給餌管理方法であって、
前記魚を飼育する方針を表す1つ以上の飼育方針に基づき、前記魚を飼育する予定の第2期間において、前記1つ以上の飼育方針の各々に対応した前記魚の1つ以上の第2成長速度を推定することと、
推定された前記1つ以上の第2成長速度を表す予測情報を出力することと、
前記1つ以上の飼育方針から選択された飼育方針を表し、前記予測情報の出力に対する応答として取得される選択情報に基づき、前記第1飼育方針を取得することと、
をさらに含む。
【0116】
第4の態様に係る給餌管理方法は、第3の態様に係る給餌管理方法であって、
前記1つ以上の第2成長速度を推定することは、
飼育開始時における前記魚の身体を表す第2身体情報と、前記魚を飼育する期間において前記魚を飼育する環境を表す第2環境情報と、前記給餌率とに基づき、前記1つ以上の第2成長速度を推定すること
を含む。
【0117】
第5の態様に係る給餌管理方法は、第4の態様に係る給餌管理方法であって、
前記1つ以上の飼育方針は、前記魚の出荷時期と、前記魚の飼育を開始するときの前記魚の前記第2身体情報とを含み、
前記1つ以上の第2成長速度を推定することは、
前記出荷時期における前記魚の身体を表す第3身体情報と、飼育開始時の前記第2身体情報と、前記第2環境情報と、前記給餌率とに基づき、前記1つ以上の第2成長速度を推定することと、
前記1つ以上の第2成長速度と、前記出荷時期とに基づき、前記魚の飼育を開始する飼育開始時期を推定することと、
を含み、
前記予測情報は、前記飼育開始時期を含む。
【0118】
第6の態様に係る給餌管理方法は、第3から第5の態様のいずれか1つに係る給餌管理方法であって、
前記1つ以上の第2成長速度を推定することは、
前記給餌率に基づき、前記魚を飼育するための予測給餌量を決定することと、
前記予測給餌量に基づき、前記魚の餌の費用を表す給餌費用を推定することと、
を含み、
前記予測情報は、前記給餌費用を含む。
【0119】
第7の態様に係る給餌管理方法は、第1から第6の態様のいずれか1つに係る給餌管理方法であって、
前記魚への給餌を行う期間において、前記給餌を開始した時点の前記魚の大きさと、現時点の前記魚の大きさとに基づき、前記給餌量に達する前であっても前記給餌の停止を決定することと、
前記給餌の停止を決定したとき、前記給餌の停止を表す停止信号を出力することと、
をさらに含む。
【0120】
第8の態様に係る給餌管理方法は、第7の態様に係る給餌管理方法であって、
前記給餌を開始した時点の前記魚の大きさに対する、前記給餌を開始した時点の前記魚の大きさと現時点の前記魚の大きさとの差の比率が所定値より大きいとき、前記給餌の停止を決定すること
を含む。
【0121】
第9の態様に係る給餌管理方法は、第7または第8の態様に係る給餌管理方法であって、
前記魚の大きさは、前記魚の体形が紡錘形であるとき、前記魚の高さ方向の長さを表す。
【0122】
第10の態様に係る給餌管理方法は、第7から第9の態様のいずれか1つに係る給餌管理方法であって、
前記魚の大きさは、前記魚の体形が側偏形であるとき、前記魚の幅方向の長さを表す。
【0123】
第11の態様に係る給餌管理方法は、
飼育している魚への給餌を行う期間において、前記給餌を開始する時点の前記魚の大きさと、現時点の前記魚の大きさとに基づき、前記給餌の停止を決定することと、
前記給餌の停止を決定したとき、前記給餌の停止を表す停止信号を出力することと、
を含む。
【0124】
第12の態様に係る給餌管理システムは、
飼育する魚の身体を表す第1身体情報と、前記魚を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに前記魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、前記魚を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、前記魚への給餌量を決定する給餌量決定部と、
決定された前記給餌量を表す給餌情報を出力する出力部と、
を備え、
前記第1飼育方針は、給餌率を含む。
【0125】
第13の態様に係る給餌管理システムは、
飼育している魚への給餌を行う期間において、前記給餌を開始する時点の前記魚の大きさと、現時点の前記魚の大きさとに基づき、前記給餌の停止を決定する停止決定部と、
前記給餌の停止を決定したとき、前記給餌の停止を表す停止信号を出力する給餌制御部と、
を備える。
【0126】
第14の態様に係る給餌管理プログラムは、
飼育する魚の身体を表す第1身体情報と、前記魚を飼育する環境を表す第1環境情報と、基準給餌率であるときに前記魚に与える基準給餌量との関係を表す飼育情報と、前記魚を飼育する方針を表す第1飼育方針とに基づき、前記魚への給餌量を決定することと、
決定された前記給餌量を表す給餌情報を出力することと、
を演算装置に実行させ、
前記第1飼育方針は、給餌率を含む。
【0127】
第15の態様に係る給餌管理プログラムは、
飼育している魚への給餌を行う期間において、前記給餌を開始する時点の前記魚の大きさと、現時点の前記魚の大きさとに基づき、前記給餌の停止を決定することと、
前記給餌の停止を決定したとき、前記給餌の停止を表す停止信号を出力することと、
を演算装置に実行させる。
【符号の説明】
【0128】
1、2、3:記憶媒体
10 :生簀
11 :魚
20 :ネットワーク
100 :給餌装置
110 :入出力装置
111 :環境センサ
112 :魚センサ
113 :給餌部
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :給餌制御部
160 :転送部
170 :停止決定部
200 :給餌管理装置
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :成長推定部
260 :給餌量決定部
270 :出力部
300 :端末
310 :入出力装置
320 :演算装置
330 :通信装置
340 :記憶装置
350 :受付部
400 :給餌プログラム
410 :飼育データ
420 :成長データ
430 :給餌管理プログラム
440 :受付プログラム
510 :第1成長速度
520 :第2成長速度
611 :第1幅
612 :第2幅
613 :第3幅
614 :第4幅
621 :第1高
622 :第2高
623 :第3高
624 :第4高
625 :第5高
626 :第6高
627 :第7高
628 :第8高
810 :胸ビレ付け根断面
811 :胸ビレ付け根位置
812 :第1中点
813 :第1腹位置
820 :腹ビレ付け根断面
821 :第2位置
822 :第2中点
823 :腹ビレ付け根位置
830 :腹ビレ中間断面
831 :第3位置
832 :第3中点
833 :第3腹位置
835 :腹ビレ後端
836 :腹ビレ範囲
840 :肛門位置断面
850 :胸ビレ付け根高さ
1000 :給餌管理システム