(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007225
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】バイナリ発電ユニット、及び、バイナリ発電システム
(51)【国際特許分類】
F01K 23/10 20060101AFI20240111BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20240111BHJP
F01K 13/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
F01K23/10 Z
F01K25/10 W
F01K13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108557
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】土佐 真一
(72)【発明者】
【氏名】小川 進
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BB04
3G081BC11
3G081BC15
(57)【要約】
【課題】任意数のバイナリ発電ユニットを容易に連結して用いることができるバイナリ発電ユニット、及び、バイナリ発電システムを提供する。
【解決手段】バイナリ発電ユニットは、熱源媒体導入路、熱源媒体排出路、流体循環路、蒸発器、発電機を備え、これらが筐体に配置される。筐体は第一外側面と第二外側面を有する。熱源媒体導入路は導入側本流配管と導入側支流配管を備える。導入側本流配管は第一外側面と第二外側面に開口する。導入側支流配管は導入側本流配管から分岐して蒸発器に接続される。熱源媒体排出路は排出側本流配管と排出側支流配管を備える。排出側本流配管は第一外側面と第二外側面に開口する。排出側支流配管は排出側本流配管から分岐して蒸発器に接続される。導入側本流配管には導入側継手が設けられ、排出側本流配管には排出側継手が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源媒体が導入される熱源媒体導入路と、
使用した前記熱源媒体を外部に排出する熱源媒体排出路と、
作動流体が流れる流体循環路と、
前記熱源媒体との熱交換により前記流体循環路内を流れる前記作動流体を気化させる蒸発器と、
前記蒸発器で気化された前記作動流体のエネルギーにより発電を行う発電機と、
前記熱源媒体導入路、前記熱源媒体排出路、前記流体循環路、及び、前記蒸発器が配置される筐体と、を備え、
前記筐体は、互いに異なる方向を向き、二つのバイナリ発電ユニットが連結されるときに相互に対向して配置される第一外側面、及び、第二外側面を有し、
前記熱源媒体導入路は、
前記筐体を貫通し両側の端部が前記第一外側面と前記第二外側面に開口する導入側本流配管と、
前記導入側本流配管から分岐して前記蒸発器の前記熱源媒体の流入部に接続される導入側支流配管と、を備え、
前記熱源媒体排出路は、
前記筐体を貫通し両側の端部が前記第一外側面と前記第二外側面に開口する排出側本流配管と、
前記排出側本流配管から分岐して前記蒸発器の前記熱源媒体の流出部に接続される排出側支流配管と、を備え、
前記導入側本流配管の両側の前記端部には、複数のバイナリ発電ユニットが前記第一外側面と前記第二外側面で対向した状態で、前記導入側本流配管同士を接続する導入側継手が設けられ、
前記排出側本流配管の両側の前記端部には、複数のバイナリ発電ユニットが前記第一外側面と前記第二外側面で対向した状態で、前記排出側本流配管同士を接続する排出側継手が設けられていることを特徴とするバイナリ発電ユニット。
【請求項2】
前記筐体は、互いに異なる方向を向き、二つのバイナリ発電ユニットが連結されるときに相互に対向して配置される第三外側面、及び、第四外側面をさらに有し、
前記熱源媒体導入路は、
前記筐体を貫通して設けられるとともに中途部が前記導入側本流配管に導通し、両側の端部が前記第三外側面と前記第四外側面に開口する導入側接続配管をさらに備え、
前記熱源媒体排出路は、
前記筐体を貫通して設けられるとともに中途部が前記排出側本流配管に導通し、両側の端部が前記第三外側面と前記第四外側面に開口する排出側接続配管をさらに備え、
前記導入側接続配管の両側の前記端部には、二つのバイナリ発電ユニットが前記第三外側面と前記第四外側面で対向した状態で、前記導入側接続配管同士を接続する第二の導入側継手が設けられ、
前記排出側接続配管の両側の前記端部には、二つのバイナリ発電ユニットが前記第三外側面と前記第四外側面で対向した状態で、前記排出側接続配管同士を接続する第二の排出側継手が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項3】
前記第一外側面と前記第二外側面は、相互に相反方向を向く略平行な面で、かつ、鉛直方向と略直交する方向を向く面とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項4】
前記熱源媒体導入路は、前記熱源媒体排出路よりも鉛直方向上側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項5】
前記第三外側面と前記第四外側面は、相互に相反方向を向く略平行な面で、かつ、鉛直方向を向く面とされていることを特徴とする請求項2に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項6】
前記導入側本流配管は、前記筐体の平面視において、前記排出側本流配管と重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項7】
前記流体循環路を流れる前記作動流体として有機媒体が用いられ、前記発電機は、前記流体循環路の前記蒸発器の下流側に配置され前記蒸発器とともにランキンサイクルを構成する膨張機によって駆動されることを特徴とする請求項1または2に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項8】
前記ランキンサイクルは、
前記流体循環路内で前記作動流体を循環させる循環ポンプと、
前記流体循環路内の前記循環ポンプの下流側に配置される前記蒸発器と、
前記流体循環路内の前記蒸発器の下流側に配置される前記膨張機と、
前記流体循環路内の前記膨張機の下流側に配置され、前記膨張機を通過した前記作動流体を冷却して液化させる凝縮器と、を備え、
前記凝縮器は、空冷式凝縮器によって構成されていることを特徴とする請求項7に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項9】
前記空冷式凝縮器は、複数のバイナリ発電ユニットが連結されるときに、前記筐体同士が相互に対向しない外側面に空気流通面が臨むように配置されていることを特徴とする請求項8に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項10】
前記空冷式凝縮器は、前記空気流通面を正面から見たときに、当該空気流通面が前記熱源媒体導入路と前記熱源媒体排出路のいずれにも重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項11】
前記導入側支流配管の前記導入側本流配管から前記蒸発器までの距離は、前記排出側支流配管の前記排出側本流配管から前記蒸発器までの距離よりも短いことを特徴とする請求項1または2に記載のバイナリ発電ユニット。
【請求項12】
請求項1に記載のバイナリ発電ユニットを複数備え、
複数の前記バイナリ発電ユニットが前記第一外側面と前記第二外側面を対向させた状態で配置されるとともに、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記導入側本流配管同士が前記導入側継手によって接続され、かつ、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記排出側本流配管同士が前記排出側継手によって接続されていることを特徴とするバイナリ発電システム。
【請求項13】
請求項2に記載のバイナリ発電ユニットを複数備え、
複数の前記バイナリ発電ユニットが前記第一外側面と前記第二外側面を対向させた状態で配置されるとともに、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記導入側本流配管同士が前記導入側継手によって接続され、かつ、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記排出側本流配管同士が前記排出側継手によって接続され、
複数の前記バイナリ発電ユニットが前記第三外側面と前記第四外側面を対向させた状態で配置されるとともに、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記導入側接続配管同士が前記第二の導入側継手によって接続され、かつ、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記排出側本流配管同士が前記第二の排出側継手によって接続されていることを特徴とするバイナリ発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地熱や排熱等を利用して発電を行うバイナリ発電ユニット、及び、バイナリ発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地熱や排熱等の熱源媒体の熱を回収して発電を行うバイナリ発電システムが知られている。
バイナリ発電システムでは、蒸発温度の低い有機熱媒体等が作動流体として用いられ、作動流体が循環ポンプの駆動によって流体循環路内を流動する。流体循環路には、作動流体と温水等の熱源媒体との間で熱交換を行う蒸発器と、蒸発器内で気化(蒸発)した作動流体の蒸気によって作動する膨張機と、膨張機から流出した作動流体を冷却して凝縮させる凝縮器と、作動流体を循環させる循環ポンプと、が接続されている。発電機は、膨張機に連結され、膨張機による駆動によって発電を行う。
【0003】
従来、この種のバイナリ発電システムとして、膨張機と発電機を一体化したモジュールを複数設け、各モジュールの膨張機を共通の流体循環路に並列に接続したものが案出されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
このバイナリ発電システムは、作動流体が流れる流体循環路の蒸発器の下流側に複数の分岐配管が併設され、各分岐配管に対応するモジュールの膨張機が接続されている。流体循環路の蒸発器には熱源媒体の供給配管と排出配管が接続されている。蒸発器では、供給配管から供給された熱源媒体の熱によって作動流体が気化し、作動流体の蒸気が各分岐配管に送られる。これにより、各モジュールの膨張機は作動流体の蒸気を受けて駆動し、各発電機において発電を行う。各モジュールの膨張機から流出した作動液は流体循環路に戻される。また、各モジュールで発電された電力は制御部によって管理され、外部に出力される。
【0005】
また、別の従来のバイナリ発電システムとして、循環ポンプ、蒸発器、膨張機(発電機に連結された膨張機)、及び、凝縮器が流体循環路で接続されて一つの発電ユニットとして構成され、この発電ユニットが施設内に複数配置されたものが案出されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
このバイナリ発電システムでは、各発電ユニットの蒸発器に、熱源媒体の供給配管と排出配管が夫々個別に接続されている。各発電ユニットで発電された電力は、上記のバイナリ発電システムと同様に制御部で管理されて外部に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-252557号公報
【特許文献2】特開2008-175108号公報
【特許文献3】特開平2-256803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した前者のバイナリ発電システムは、システムの共通の流体循環路に対し、複数のモジュールを長尺な分岐配管(接続配管)によって個別に接続する必要がある。このため、バイナリ発電システムを構築する場合には、長尺な専用配管(接続配管)を設備内に引き回さなければならず、このことがシステムの小型化や簡素化を阻害する要因となっていた。
【0009】
また、上述した後者のバイナリ発電システムは、複数の発電ユニットに対し、熱源媒体の供給配管(接続配管)と排出配管(接続配管)を個別に接続する必要がある。このため、バイナリ発電システムを構築する場合には、熱源媒体の長尺な供給配管や排出配管を個別に対応する発電ユニットに引き回さなければならず、前者のバイナリ発電システムと同様に、このことがシステムの小型化や簡素化を阻害する要因となっていた。
【0010】
そこで本発明は、任意数のバイナリ発電ユニットを容易に連結して用いることができるバイナリ発電ユニット、及び、バイナリ発電システムを提供しようとするものである。そして、延いては、エネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るバイナリ発電ユニット、及び、バイナリ発電システムは、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明の第1態様のバイナリ発電ユニットは、熱源媒体が導入される熱源媒体導入路(例えば、実施形態の熱源媒体導入路7)と、使用した前記熱源媒体を外部に排出する熱源媒体排出路(例えば、実施形態の熱源媒体排出路8)と、作動流体が流れる流体循環路(例えば、実施形態の流体循環路2)と、前記熱源媒体との熱交換により前記流体循環路内を流れる前記作動流体を気化させる蒸発器(例えば、実施形態の蒸発器4)と、前記蒸発器で気化された前記作動流体のエネルギーにより発電を行う発電機(例えば、実施形態の発電機11)と、前記熱源媒体導入路、前記熱源媒体排出路、前記流体循環路、及び、前記蒸発器が配置される筐体(例えば、実施形態の筐体9)と、を備え、前記筐体は、互いに異なる方向を向き、二つのバイナリ発電ユニットが連結されるときに相互に対向して配置される第一外側面(例えば、実施形態の側面Ss1)、及び、第二外側面(例えば、実施形態の側面Ss2)を有し、前記熱源媒体導入路は、前記筐体を貫通し両側の端部が前記第一外側面と前記第二外側面に開口する導入側本流配管(例えば、実施形態の導入側本流配管13)と、前記導入側本流配管から分岐して前記蒸発器の前記熱源媒体の流入部に接続される導入側支流配管(例えば、実施形態の導入側支流配管14)と、を備え、前記熱源媒体排出路は、前記筐体を貫通し両側の端部が前記第一外側面と前記第二外側面に開口する排出側本流配管(例えば、実施形態の排出側本流配管15)と、前記排出側本流配管から分岐して前記蒸発器の前記熱源媒体の流出部に接続される排出側支流配管(例えば、実施形態の排出側支流配管16)と、を備え、前記導入側本流配管の両側の前記端部には、複数のバイナリ発電ユニットが前記第一外側面と前記第二外側面で対向した状態で、前記導入側本流配管同士を接続する導入側継手(例えば、実施形態の導入側継手17a,17b)が設けられ、前記排出側本流配管の両側の前記端部には、複数のバイナリ発電ユニットが前記第一外側面と前記第二外側面で対向した状態で、前記排出側本流配管同士を接続する排出側継手(例えば、実施形態の排出側継手18a,18b)が設けられていることを特徴とする。
【0012】
複数のバイナリ発電ユニットを連結してバイナリ発電システムを構築する場合には、一のバイナリ発電ユニットの第一外側面と他のバイナリ発電ユニットの第二外側面を対向させ、その状態で一のバイナリ発電ユニットの導入側本流配管と他のバイナリ発電ユニットの導入側本流配管を導入側継手によって接続する。また、この状態において、一のバイナリ発電ユニットの排出側本流配管と他のバイナリ発電ユニットの排出側本流配管を排出側継手によって接続する。バイナリ発電ユニットは、同様にして任意数連結する。
こうして構築されたバイナリ発電システムでは、いずれかのバイナリ発電ユニットの導入側本流配管と排出側本流配管を夫々外部の供給配管と排出配管に接続する。外部の供給配管から熱源媒体が供給されると、複数のバイナリ発電ユニットの導入側本流配管に熱源媒体が導入される。導入された熱源媒体は、各バイナリ発電ユニットの導入側支流配管を通って蒸発器に流入し、蒸発器において流体循環路内の作動流体を加熱する。これにより、各バイナリ発電ユニットの流体循環路内において作動流体が気化し、気化した作動流体のエネルギーによって各発電機が動作する。各バイナリ発電ユニットの蒸発器で使用された熱源媒体は、排出側支流配管と排出側本流配管を通って外部の排出配管に排出される。
本形態のバイナリ発電ユニットは、バイナリ発電ユニット毎に外部の長尺な接続配管を接続することなく、任意数のバイナリ発電ユニットを容易に連結して用いることができる。したがって、使用環境等に応じてバイナリ発電ユニットの連結数を容易に増減させることができる。また、本形態のバイナリ発電ユニットは、単体でも用いることができる。さらに、本形態のバイナリ発電ユニットは、連結するバイナリ発電ユニットの数を容易に増減することができるため、発電システムの構築後であっても発電能力を容易に増減することができる。
また、本形態のバイナリ発電ユニットは、仕様の同じ複数のバイナリ発電ユニットを連結して使用することができるため、同一仕様のバイナリ発電ユニットを量産することによって生産効率を高めることができる。
【0013】
本発明の第2態様のバイナリ発電ユニットは、第1態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記筐体は、互いに異なる方向を向き、二つのバイナリ発電ユニットが連結されるときに相互に対向して配置される第三外側面(例えば、実施形態の上面Su)、及び、第四外側面(例えば、実施形態の下面Sl)をさらに有し、前記熱源媒体導入路は、前記筐体を貫通して設けられるとともに中途部が前記導入側本流配管に導通し、両側の端部が前記第三外側面と前記第四外側面に開口する導入側接続配管(例えば、実施形態の導入側接続配管30)をさらに備え、前記熱源媒体排出路は、前記筐体を貫通して設けられるとともに中途部が前記排出側本流配管に導通し、両側の端部が前記第三外側面と前記第四外側面に開口する排出側接続配管(例えば、実施形態の排出側接続配管32)をさらに備え、前記導入側接続配管の両側の前記端部には、二つのバイナリ発電ユニットが前記第三外側面と前記第四外側面で対向した状態で、前記導入側接続配管同士を接続する第二の導入側継手(例えば、実施形態の導入側継手31a,31b)が設けられ、前記排出側接続配管の両側の前記端部には、二つのバイナリ発電ユニットが前記第三外側面と前記第四外側面で対向した状態で、前記排出側接続配管同士を接続する第二の排出側継手(例えば、実施形態の排出側継手33a,33b)が設けられている。
【0014】
この場合、一のバイナリ発電ユニットの第三外側面と他のバイナリ発電ユニットの第四外側面を対向させ、その状態で一のバイナリ発電ユニットと他のバイナリ発電ユニットの導入側接続配管同士と排出側接続配管同士を第二の導入側継手と第二の排出側継手によって夫々接続することができる。この場合、例えば、一のバイナリ発電ユニットの導入側本流配管に熱源媒体が導入されると、その熱源媒体が、相互に接続された導入側接続配管を通して他のバイナリ発電ユニットの導入側本流配管にも導入される。これにより、各バイナリ発電ユニットでは、導入側支流配管を通して夫々の蒸発器に熱源媒体が流入する。
また、各バイナリ発電ユニットの発電機を作動させた熱源媒体は、排出側支流配管と排出側本流配管に流れる。このとき、外部の排出配管に直接接続されている排出側本流配管では、熱源媒体は直接排出配管に排出される。また、外部の排出配管に直接接続されていない排出側本流配管では、熱源媒体は排出側接続配管を通って他方のバイナリ発電ユットの排出側本流配管に流れ込み、その排出側本流配管から排出配管に排出される。
したがって、本形態のバイナリ発電ユニットを採用した場合には、第一外側面と第二外側面の存在する方向だけでなく、第三外側面と第四外側面の存在する方向においても、第二の導入側継手と第二の排出側継手を通して複数のバイナリ発電ユニットを容易に連結することができる。よって、本形態のバイナリ発電ユニットを採用した場合には、限られた発電施設のスペース内に効率良くバイナリ発電システムを構築することが可能になる。
【0015】
本発明の第3態様のバイナリ発電ユニットは、第1態様、または、第2態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記第一外側面と前記第二外側面は、相互に相反方向を向く略平行な面で、かつ、鉛直方向と略直交する方向を向く面とされている。
【0016】
この場合、複数のバイナリ発電ユニットを第一外側面と第二外側面で対向させて連結することにより、複数のバイナリ発電ユニットを発電施設内に略水平に直線状に並べて配置することが可能になる。
【0017】
本発明の第4態様のバイナリ発電ユニットは、第1態様、または、第2態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記熱源媒体導入路は、前記熱源媒体排出路よりも鉛直方向上側に配置されている。
【0018】
熱源媒体の熱は鉛直方向の下方から上方に移動しようとする。このため、本構成のように、温度の高い熱源媒体が導入される熱源媒体導入路が熱源媒体排出路よりも鉛直方向上側に配置されていると、熱源媒体導入路の導入側支流配管から蒸発器に流入した熱源媒体の熱は蒸発器の内部に長時間滞留し易くなる。この結果、蒸発器では、熱源媒体の熱によって流体循環路内の作動流体を効率良く加熱できるようになる。したがって、本構成を採用した場合には、バイナリ発電ユニットの発電効率を高めることができる。
【0019】
本発明の第5態様のバイナリ発電ユニットは、第2態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記第三外側面と前記第四外側面は、相互に相反方向を向く略平行な面で、かつ、鉛直方向を向く面とされている。
【0020】
この場合、複数のバイナリ発電ユニットを第三外側面と第四外側面で対向させて連結することにより、複数のバイナリ発電ユニットを発電施設内に上下に直線状に並べて配置することが可能になる。
【0021】
本発明の第6態様のバイナリ発電ユニットは、第5態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記導入側本流配管は、前記筐体の平面視において、前記排出側本流配管と重ならない位置に配置されている。
【0022】
この場合、導入側本流配管と導通する導入側接続配管と、排出側本流配管と導通する排出側接続配管を鉛直方向に延出させて配置しても、導入側接続配管は排出側本流配管と干渉しにくくなり、排出側接続配管は導入側本流配管と干渉しにくくなる。このため、導入側接続配管や排出側接続配管の曲げを抑制することができる。したがって、本構成を採用した場合には、配管の流動負荷を低減することができるとともに、筐体内の配管の設置やメンテナンスを容易化することができる。
【0023】
本発明の第7態様のバイナリ発電ユニットは、第1態様または第2態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記流体循環路を流れる前記作動流体として有機媒体が用いられ、前記発電機は、前記流体循環路の前記蒸発器の下流側に配置され前記蒸発器とともにランキンサイクルを構成する膨張機(例えば、実施形態の膨張機5)によって駆動される。
【0024】
この場合、蒸発温度の低い有機媒体を用いる有機ランキンサイクルによって発電機が駆動されるため、機械設備等から排出される排熱を利用して効率良く発電を行うことができる。
【0025】
本発明の第8態様のバイナリ発電ユニットは、第7態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記ランキンサイクルは、前記流体循環路内で前記作動流体を循環させる循環ポンプ(例えば、実施形態の循環ポンプ3)と、前記流体循環路内の前記循環ポンプの下流側に配置される前記蒸発器と、前記流体循環路内の前記蒸発器の下流側に配置される前記膨張機と、前記流体循環路内の前記膨張機の下流側に配置され、前記膨張機を通過した前記作動流体を冷却して液化させる凝縮器(例えば、実施形態の凝縮器6)と、を備え、前記凝縮器は、空冷式凝縮器によって構成されている。
【0026】
この場合、各バイナリ発電ユットの作動流体が膨張機の下流側で空冷式凝縮器によって冷却されるため、冷却水によって作動流体を冷却する場合と比較して、冷却水配管を無くすことができる分、構造の簡素化と製造コストの低減を図ることができる。また、この場合、冷却水を循環させるための設備の設置や冷却水配管の引き回しを行う必要がないため、バイナリ発電ユニットの設置の自由度が高まる。
【0027】
本発明の第9態様のバイナリ発電ユニットは、第8態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記空冷式凝縮器は、複数のバイナリ発電ユニットが連結されるときに、前記筐体同士が相互に対向しない外側面に空気流通面(例えば、実施形態の空気流通面6a)が臨むように配置されている。
【0028】
この場合、複数のバイナリ発電ユニットの筐体のうちの、筐体同士が相互に対向する(連結される)外側面に、空冷式凝縮器の空気流通面が臨んで配置されないため、空冷式凝縮器に対する空気の流れが筐体の外側面によって阻害されにくくなる。したがって、本構成を採用した場合、空冷式凝縮器による作動流体の冷却効率を高めることができる。
【0029】
本発明の第10態様のバイナリ発電ユニットは、第9態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記空冷式凝縮器は、前記空気流通面を正面から見たときに、当該空気流通面が前記熱源媒体導入路と前記熱源媒体排出路のいずれにも重ならない位置に配置されている。
【0030】
この場合、空気流通面を流れる空気が熱源媒体導入路や熱源媒体排出路によって阻害されにくくなる。したがって、本構成を採用した場合、空冷式凝縮器による作動流体の冷却効率をより高めることができる。
【0031】
本発明の第11態様のバイナリ発電ユニットは、第1態様または第2態様のバイナリ発電ユニットにおいて、前記導入側支流配管の前記導入側本流配管から前記蒸発器までの距離は、前記排出側支流配管の前記排出側本流配管から前記蒸発器までの距離よりも短い。
【0032】
この場合、導入側本流配管に導入された高温の熱源媒体が、蒸発器に流入する前に導入側支流配管の周囲の雰囲気によって冷却されにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、熱源媒体の熱を蒸発器において効率良く作動流体に伝達することができ、発電効率をより高めることができる。
【0033】
本発明の第12態様のバイナリ発電システムは、第1態様のバイナリ発電ユニットを複数備え、複数の前記バイナリ発電ユニットが前記第一外側面と前記第二外側面を対向させた状態で配置されるとともに、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記導入側本流配管同士が前記導入側継手によって接続され、かつ、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記排出側本流配管同士が前記排出側継手によって接続されていることを特徴とする。
【0034】
本形態のバイナリ発電システムは、外部の長尺な接続配管を用いることなく、任意数のバイナリ発電ユニットが並列に連結されるため、システムの複雑化や大型化を招くことなく、システムを容易に構築することができる。
【0035】
本発明の第13態様のバイナリ発電システムは、第2態様のバイナリ発電ユニットを複数備え、複数の前記バイナリ発電ユニットが前記第一外側面と前記第二外側面を対向させた状態で配置されるとともに、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記導入側本流配管同士が前記導入側継手によって接続され、かつ、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記排出側本流配管同士が前記排出側継手によって接続され、複数の前記バイナリ発電ユニットが前記第三外側面と前記第四外側面を対向させた状態で配置されるとともに、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記導入側接続配管同士が前記第二の導入側継手によって接続され、かつ、複数の前記バイナリ発電ユニットの前記排出側本流配管同士が前記第二の排出側継手によって接続されていることを特徴とする。
【0036】
本形態のバイナリ発電システムは、外部の長尺な接続配管を用いることなく、任意数のバイナリ発電ユニットが立体的に連結されるため、複数のバイナリ発電ユニットをより集約して発電施設内に設置することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係るバイナリ発電ユニットは、筐体の第一外側面側に開口する導入側本流配管と排出側本流配管の各端部に導入側継手と排出側継手が設けられ、筐体の第二外側面側に開口する導入側本流配管と排出側本流配管の各端部に導入側継手と排出側継手が設けられている。このため、複数のバイナリ発電ユニットの第一外側面と第二外側面を対向させ、互いの導入側本流配管同士と排出側本流配管同士を容易に接続することができる。したがって、本発明に係るバイナリ発電ユニットを用いた場合には、任意数のバイナリ発電ユニットを容易に連結して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、第1実施形態のバイナリ発電ユニットの機能説明図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のバイナリ発電ユニットの斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のバイナリ発電ユニットの正面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のバイナリ発電ユニットの
図3のIV矢視に相当する側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムの一例を示す正面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムの他の例を示す模式的な正面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムのさらに他の例を示す正面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムのさらに他の例を示す側面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態のバイナリ発電ユニットの正面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態のバイナリ発電ユニットの模式的な正面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムの一例を示す模式的な正面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムの他の例を示す模式的な正面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムのさらに他の例を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態のバイナリ発電ユニットで用いる空冷式の凝縮器の斜視図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態の空冷式の凝縮器の分解斜視図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態の空冷式の凝縮器の構成部品を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、第1変形例のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムの一例を示す模式的な平面図である。
【
図18】
図18は、第2変形例のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムの一例を示す模式的な平面図である。
【
図19】
図19は、第3変形例のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムの一例を示す模式的な平面図である。
【
図20】
図20は、第4変形例のバイナリ発電ユニットを用いたバイナリ発電システムの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態及び変形例と、その使用例では、共通部分に同一符号を付して、重複する説明を一部省略するものとする。
【0040】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のバイナリ発電ユニット1の機能説明図である。
バイナリ発電ユニット1は、作動流体が循環して流れる流体循環路2を備えている。本実施形態では、作動流体としてHFC(ハイドロフルオロカーボン)等の有機媒体が用いられている。また、流体循環路2内には、循環ポンプ3、蒸発器4、膨張機5、及び、凝縮器6が介装されている。循環ポンプ3、蒸発器4、膨張機5、及び、凝縮器6は、流体循環路2において、この順で配置されている。
【0041】
バイナリ発電ユニット1は、さらに、外部から高温の熱源媒体が導入される熱源媒体導入路7と、使用した熱源媒体を外部に排出する熱源媒体排出路8と、を備えている。熱源媒体導入路7と熱源媒体排出路8は、流体循環路2とともに、バイナリ発電ユニット1の筐体9に収容されている。熱源媒体の供給源は、例えば、高温を発する機械設備の熱回収部や地熱の熱回収設備等である。熱源媒体は、例えば、水やクーラント等である。
【0042】
循環ポンプ3は、電動モータ10によって駆動される。本実施形態では、循環ポンプ3と電動モータ10は、一体のモジュール部品として構成されているが、循環ポンプ3と電動モータ10は、別体の装置として構成して相互に連結するようにしても良い。循環ポンプ3は、電動モータ10による駆動により、流体循環路2内で作動流体を循環させる。
なお、循環ポンプ3は、電動モータ10以外のアクチュエータによって駆動するようにしても良い。
【0043】
蒸発器4は、流体循環路2内を流れる作動流体と、熱源媒体導入路7から導入された高温の熱源媒体との間で熱交換を行い、熱源媒体の熱によって流体循環路2内の作動流体を気化(蒸発)させる。
【0044】
膨張機5は、例えば、スクロール型膨張機等の容積型膨張機を用いることができる。膨張機5は、蒸発器4内で気化した作動流体のエネルギーを受けて駆動する。膨張機5の駆動軸には発電機11が連結されている。膨張機5は、蒸発器4とともに有機ランキンサイクルを構成する。発電機11は、膨張機5の駆動力を受けて発電を行う。本実施形態では、膨張機5と発電機11は、一体のモジュール部品として構成されているが、膨張機5と発電機11は、別体の装置として構成して相互に連結するようにしても良い。
【0045】
凝縮器6は、膨張機5を通過した作動流体を冷却することにより、作動流体を凝縮して液化する。本実施形態では、凝縮器6は空冷式のもの(空冷式凝縮器)を採用している。凝縮器6は、作動流体が内部を流れる放熱性のチューブを主要素とする本体部12aと、本体部12aに強制風を送るファン12bを有する。凝縮器6は、当該凝縮器6に流れ込む外気と流体循環路2内を流れる作動流体との間で熱交換を行う。凝縮器6で液化された作動流体は循環ポンプ3に流れ込み、循環ポンプ3から蒸発器4に送給される。
【0046】
図2は、バイナリ発電ユニット1の斜視図であり、
図3は、バイナリ発電ユニット1の正面図である。また、
図4は、バイナリ発電ユニット1の
図3のIV矢視に相当する側面図である。なお、
図2~
図4では、筐体9の内部が透過した状態で示されている。また、作動流体が循環する流体循環路2は、
図2では仮想線で示され、
図3,
図4では、点線で示されている。
バイナリ発電ユニット1の筐体9は、前後方向(
図3の紙面の奥行方向)の厚みが、上下方向(
図3の上下方向)の高さや左右方向(
図3の左右方向)の幅に比較して薄い略長方体状に形成されている。具体的には、筐体9は、相互に相反方向を向く略平行な前面Sf及び後面Srと、鉛直方向の上側を向く上面Suと、鉛直方向の下側を向く下面Slと、相互に相反方向を向く略平行な一対の側面Ss1,Ss2と、を有する。本実施形態では、一対の側面Ss1,Ss2が第一外側面と第二外側面を構成している。第一外側面と第二外側面である一対の側面Ss1,Ss2は、鉛直方向と略直交する面である。複数のバイナリ発電ユニット1が、略水平に連結されるときには、一のバイナリ発電ユニット1の一方の側面Ss1(第一外側面)と他のバイナリ発電ユニット1の他方の側面Ss2(第二外側面)が相互に対向して配置される。
【0047】
熱源媒体導入路7は、筐体9の上部領域において左右方向に延び筐体9を左右方向に貫通する導入側本流配管13と、導入側本流配管13の中途部から鉛直下方に分岐して延びる導入側支流配管14と、を備えている。導入側本流配管13の両側の端部は、筐体9の左右の各側面Ss1,Ss2に開口している。導入側支流配管14の下端は、蒸発器4の熱源媒体の流入部に接続されている。左右の側面Ss1,Ss2に開口する導入側本流配管13の両側の端部には、複数のバイナリ発電ユニット1を、側面Ss1,Ss2を対向させて連結するときに、導入側本流配管13同士を接続するための導入側継手17a,17bが設けられている。
【0048】
導入側本流配管13は、導入側支流配管14に比較して大径の配管によって構成されている。このため、複数のバイナリ発電ユニット1の導入側本流配管13同士が導入側継手17a,17bによって連結されると、大径の導入側本流配管13は、複数のバイナリ発電ユニット1の筐体9を左右方向に貫くフレーム(構造体)として機能するようになる。
【0049】
本実施形態では、一方の側面Ss1に配置される導入側継手17aは、側面Ss1の外側に突出する雌型の継手とされ、他方の側面Ss2に配置される導入側継手17bは、側面Ss2の外側に突出する雄型の継手とされている。ただし、逆に、導入側継手17aが雄型の継手とされ、導入側継手17bが雌型の継手とされても良い。また、雌型の導入側継手は、筐体9の側面Ss1,Ss2から外側に突出しない構造であっても良い。
【0050】
熱源媒体排出路8は、筐体9の下部領域において左右方向に延び筐体9を左右方向に貫通する排出側本流配管15と、排出側本流配管15の中途部から鉛直上方に分岐して延びる排出側支流配管16と、を備えている。排出側本流配管15の両側の端部は、筐体9の左右の各側面Ss1,Ss2に開口している。排出側支流配管16の上端部は、蒸発器4の熱源媒体の流出部に接続されている。左右の側面Ss1,Ss2に開口する排出側本流配管15の両側の端部には、複数のバイナリ発電ユニット1を、側面Ss1,Ss2を対向させて連結するときに、排出側本流配管15同士を接続するための排出側継手18a,18bが設けられている。
【0051】
排出側本流配管15は、排出側支流配管16に比較して大径の配管によって構成されている。このため、複数のバイナリ発電ユニット1の排出側本流配管15同士が排出側継手18a,18bによって連結されると、大径の排出側本流配管15は、導入側本流配管13と同様に複数のバイナリ発電ユニット1の筐体9を左右方向に貫くフレーム(構造体)として機能するようになる。
【0052】
本実施形態では、一方の側面Ss1に配置される排出側継手18aは、側面Ss1の外側に突出する雄型の継手とされ、他方の側面Ss2に配置される排出側継手18bは、側面Ss2の外側に突出する雌型の継手とされている。ただし、逆に、排出側継手18aが雌型の継手とされ、排出側継手18bが雄型の継手とされても良い。また、雌型の導入側継手は、筐体9の側面Ss1,Ss2から外側に突出しない構造であっても良い。
【0053】
ここで、熱源媒体導入路7は、筐体9内において、熱源媒体排出路8よりも鉛直上方側に配置されている。また、熱源媒体導入路7の導入側本流配管13は、筐体9の平面視において、熱源媒体排出路8の排出側本流配管15と重ならない位置に配置されている。つまり、導入側本流配管13と排出側本流配管15とは、筐体9内において、前後方向にオフセットして配置されている。このため、導入側本流配管13の中途部から鉛直下方に延びる導入側支流配管14と、排出側本流配管15の中途部から鉛直上方に延びる排出側支流配管16とは、前後方向にオフセットした位置において、蒸発器4に接続されている。
【0054】
また、蒸発器4は、筐体9内の上下方向において、上部側寄り位置に配置されている。導入側本流配管13から分岐する導入側支流配管14の延出長さ(導入側本流配管13から蒸発器4までの距離)は、排出側本流配管15から分岐する排出側支流配管16の延出長さ(排出側本流配管15から蒸発器4までの距離)よりも短くなっている。
【0055】
空冷式の凝縮器6は、複数のバイナリ発電ユニット1が連結されるときに、空気流通面6aが筐体9同士の連結されない前面Sfと後面Srに臨むように配置されている。また、凝縮器6は、空気流通面6aを正面から見たときに、導入側本流配管13、導入側支流配管14、排出側本流配管15、排出側支流配管16、及び、循環ポンプ3、蒸発器4、膨張機5等の機器と重ならないように配置されている。
【0056】
図3に示すように、導入側本流配管13の一端側と他端側には、外部からの操作によって熱源媒体の流通を遮断可能な封止弁19a,19bが設けられている。これらの封止弁19a,19bは、例えば、複数のバイナリ発電ユニット1を左右方向に連結して使用するときに、熱源媒体の導入される側から最も離間した配管の端部を封止する。これにより、連結された複数の導入側本流配管13の内部の圧力が略一定圧となり、連結された導入側本流配管13から各バイナリ発電ユニット1の蒸発器4に熱源媒体が並列に導入されることになる。
なお、バイナリ発電ユニット1を単体で使用する場合には、封止弁19a,19bは、熱源媒体の導入される側と逆側の導入側本流配管13の端部を封止する。
【0057】
また、
図3に示すように、排出側本流配管15の一端側と他端側には、外部からの操作によって熱源媒体の流通を遮断可能な封止弁20a,20bが設けられている。これらの封止弁20a,20bは、複数のバイナリ発電ユニット1を左右方向に連結して使用するときに、熱源媒体の排出される側から最も離間した配管の端部を封止する。これにより、熱源媒体は、連結された排出側本流配管15の一端側からのみ外部に排出されることになる。
なお、バイナリ発電ユニット1を単体で使用する場合には、封止弁20a,20bは、熱源媒体の排出される側と逆側の排出側本流配管15の端部を封止する。
【0058】
また、
図3に示すように、導入側支流配管14と排出側支流配管16にも、外部からの操作によって熱源媒体の流通を遮断可能な封止弁21,22が設けられている。これらの封止弁21,22は、複数のバイナリ発電ユニット1を左右方向に連結して使用するときに、一部のバイナリ発電ユニット1の作動を停止させるときに、停止するバイナリ発電ユニット1の導入側支流配管14と排出側支流配管16を封止する。これにより、停止するバイナリ発電ユニット1の蒸発器4への熱源媒体の流入を規制するとともに、残余のバイナリ発電ユニット1への熱源媒体の導入を許容するようになる。
【0059】
<第1実施形態のバイナリ発電ユニットの使用例>
図5は、バイナリ発電ユニット1を用いた一例のバイナリ発電システム100を示す正面図である。
本例のバイナリ発電システム100は、同仕様の二つのバイナリ発電ユニット1が左右方向に並列に接続されている。一方のバイナリ発電ユニット1と他方のバイナリ発電ユニット1は側面Ss1,Ss2同士が対向して配置され、導入側継手17a,17bと排出側継手18a,18bによって両発電ユニット1の導入側本流配管13同士と排出側本流配管15同士が夫々接続されている。
【0060】
一方のバイナリ発電ユニット1の導入側継手17aには、熱源媒体の供給源23に接続された供給配管24が接続されている。一方のバイナリ発電ユニット1の排出側継手18aには、熱源媒体の排出配管25が接続されている。また、他方のバイナリ発電ユニット1は、導入側本流配管13の導入側継手17b側の端部と、排出側本流配管15の排出側継手18b側の端部が封止弁19b,20bによって封止されている。
なお、封止弁19b,20bは、記載を簡略化するために、
図5では、導入側継手17bと排出側継手18bの外側に板状に描かれている。
【0061】
本例のバイナリ発電システム100は、各バイナリ発電ユニット1の導入側本流配管13から導入側支流配管14を通して蒸発器4に高温の熱源媒体が導入されると、各バイナリ発電ユニット1の流体循環路2内の作動流体が気化し、その気化した作動流体によって各膨張機5が作動する。これにより、各バイナリ発電ユニット1の発電機11が発電を行う。各発電機11で発電された電力は図示しない制御部によって制御されて外部に出力される。
【0062】
図6は、バイナリ発電ユニット1を用いた他の例のバイナリ発電システム100Aを示す模式的な正面図である。
本例のバイナリ発電システム100Aは、同仕様の六つのバイナリ発電ユニット1が左右方向に並列に接続されている。隣接するバイナリ発電ユニット1は、導入側継手17a,17bと排出側継手18a,18bによって導入側本流配管13同士と排出側本流配管15同士が夫々接続されている。接続方向の一端側のバイナリ発電ユニット1の導入側本流配管13と排出側本流配管15には、外部の供給配管24と排出配管25が接続されている。また、接続方向の他端側のバイナリ発電ユニット1の導入側本流配管13と排出側本流配管15の各端部は封止弁19b,20bによって夫々封止されている。
【0063】
本例のバイナリ発電システム100Aは、上記の例のバイナリ発電システム100と同様にして六つのバイナリ発電ユニット1の発電機が発電を行い、各発電機で発電された電力が制御部によって制御されて外部に出力される。
【0064】
図6では、六つのバイナリ発電ユニット1のうちの一つがメンテナンス等の都合によって停止した状態が示されている。
図6では、×印が記されているものが停止しているバイナリ発電ユニット1である。この場合、導入側支流配管14中の封止弁21と排出側支流配管16中の封止弁22を閉じることにより、停止状態のバイナリ発電ユニット1には熱源媒体が導入されなくなり、かつ、残余のバイナリ発電ユニット1には問題なく熱源媒体が供給されることになる。
【0065】
図7は、バイナリ発電ユニット1を用いたさらに他の例のバイナリ発電システム200を示す正面図であり、
図8は、同じバイナリ発電システム200を示す側面図である。
本例のバイナリ発電システム200は、左右方向に並列に接続されたバイナリ発電ユニット1の対の上部に、同様に左右方向に並列に接続されたバイナリ発電ユニット1の対が重ねて配置されている。各バイナリ発電ユニット1の対は、
図5に示す例と同様の構成とされている。
【0066】
上段の対の一方のバイナリ発電ユニット1の導入側本流配管13は、熱源媒体の供給配管24に接続され、下段の対の一方のバイナリ発電ユニット1の導入側本流配管13は、供給配管24から分岐した分岐供給配管24aに接続されている。また、上段の対の一方のバイナリ発電ユニット1の排出側本流配管15は、熱源媒体の排出配管25に接続され、下段の対の一方のバイナリ発電ユニット1の排出側本流配管15は、熱源媒体の排出配管25に合流接続される合流排出配管25aに接続されている。
【0067】
本例のバイナリ発電システム200は、上段と下段の各対のバイナリ発電ユニット1の発電機が発電を行い、各発電機で発電された電力が制御部によって制御されて外部に出力される。本例のバイナリ発電システム200は、左右方向に並列に接続されたバイナリ発電ユニット1の対が上下方向に重ねられて設置されているため、発電施設内の限られた設置スペースに多数のバイナリ発電ユニット1を集約して配置することができる。
なお、本例では、左右方向に並列に接続したバイナリ発電ユニット1の対が上下に二段に重ねられて配置されているが、左右方向に並列に接続するバイナリ発電ユニット1の数は、三つ以上であっても良い。また、上下方向に重ねるバイナリ発電ユニット1の段数も三段以上であっても良い。
【0068】
<第1実施形態の効果>
本実施形態のバイナリ発電ユニット1は、筐体9の一方の側面Ss1側(第一外側面側)に開口する導入側本流配管13と排出側本流配管15の各端部に導入側継手17aと排出側継手18aが設けられ、筐体9の他方の側面Ss2側(第二外側面側)に開口する導入側本流配管13と排出側本流配管15の各端部に導入側継手17bと排出側継手18bが設けられている。このため、複数のバイナリ発電ユニット1の側面Ss1,Ss2を対向させ、互いの導入側本流配管13同士と排出側本流配管15同士を容易に接続することができる。
したがって、本実施形態のバイナリ発電ユニット1を採用した場合には、任意数のバイナリ発電ユニット1を容易に連結してバイナリ発電システムを構築することができる。
さらに、本実施形態のバイナリ発電ユニット1を採用した場合には、外部の長尺な接続配管を用いることなく、任意数のバイナリ発電ユニット1を容易に連結することができるため、使用環境等に応じてバイナリ発電ユニット1の連結数を容易に増減させることができる。また、バイナリ発電ユニット1は、単体でも用いることができる。
また、本実施形態のバイナリ発電ユニット1を採用した場合には、連結するバイナリ発電ユニット1の数を容易に増減することができるため、発電システムの構築後であっても発電能力を容易に増減することができる。
【0069】
また、本実施形態のバイナリ発電ユニット1は、筐体9の導入側本流配管13と排出側本流配管15の各端部が開口する側面Ss1,Ss2が相互に相反方向を向く略平行な面で、かつ、鉛直方向と略直交する方向を向く面とされている。このため、複数のバイナリ発電ユニット1を側面Ss1,Ss2同士で対向させて連結することにより、複数のバイナリ発電ユニット1を発電施設内に略水平に直線状に並べて配置することができる。したがって、本構成を採用した場合には、複数のバイナリ発電ユニット1が略水平に直線状に並ぶバイナリ発電システムを発電施設内に効率良く設置することができる。
【0070】
また、本実施形態のバイナリ発電ユニット1は、筐体9内において、熱源媒体導入路7が熱源媒体排出路8よりも鉛直方向上側に配置されている。このため、熱源媒体導入路7の導入側支流配管14から蒸発器4に流入した熱源媒体の熱が蒸発器4の内部に長時間滞留し易くなる。つまり、高温の熱源媒体の熱は上方に移動しようとするため、上方から蒸発器4の内部に流れ込む熱源媒体の熱は蒸発器4の内部に長時間滞留し易くなる。したがって、本構成を採用した場合には、蒸発器4の内部において、熱源媒体の熱によって流体循環路2内の作動流体を効率良く加熱できるため、バイナリ発電ユニット1の発電効率を高めることができる。
【0071】
さらに、本実施形態のバイナリ発電ユニット1は、流体循環路2を流れる作動流体として有機媒体が用いられ、発電機11が、蒸発器4とともにランキンサイクルを構成する膨張機5によって駆動される。このため、本構成を採用した場合には、機械設備等から排出される排熱を利用して効率良く発電を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態のバイナリ発電ユニット1は、上記のランキンサイクルにおいて、膨張機5を通過した作動流体を冷却して液化する凝縮器6として、空冷式冷却器が採用されている。このため、冷却水によって作動流体を冷却する場合と比較して、冷却水配管を無くすことができるため、構造の簡素化と製造コストの低減を図ることができる。また、本構成を採用した場合には、冷却水を循環させるための設備の設置や冷却水配管の引き回しを行う必要がないため、バイナリ発電ユニット1の設置の自由度をより高めることができる。
【0073】
さらに、本実施形態のバイナリ発電ユニット1は、複数のバイナリ発電ユニット1が連結されるときに、筐体9同士が相互に対向しない外側面(前面Sf及び後面Sr)に、空気流通面6aが臨むように空冷式の凝縮器6が配置されている。このため、凝縮器6を流れる空気が筐体9の外側面によって阻害されにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、空冷式の凝縮器6による作動流体の冷却効率を高めることができる。
【0074】
また、本実施形態のバイナリ発電ユニット1は、凝縮器6の空気流通面6aを正面から見たときに、当該空気流通面6aが熱源媒体導入路7や熱源媒体排出路8と重ならない位置に配置されている。このため、空気流通面6aを通して凝縮器6を流れる空気が熱源媒体導入路7や熱源媒体排出路8によって阻害されにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、空冷式の凝縮器による作動流体の冷却効率をより高めることができる。
【0075】
また、本実施形態のバイナリ発電ユニット1は、導入側支流配管14の導入側本流配管13から蒸発器4までの距離が、排出側支流配管16の排出側本流配管15から蒸発器4までの距離よりも短く設定されている。このため、導入側本流配管13に導入された高温の熱源媒体が、蒸発器4に流入する前に導入側支流配管14の周囲の雰囲気によって冷却されにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、熱源媒体の熱を蒸発器4において効率良く作動流体に伝達することができ、発電効率をより高めることができる。
【0076】
<第2実施形態>
図9は、本実施形態のバイナリ発電ユニット1Aの正面図であり、
図10は、バイナリ発電ユニット1Aの模式的な正面図である。
バイナリ発電ユニット1Aは、第1実施形態のバイナリ発電ユニット1と同様に、略長方体状の筐体9内に、流体循環路2と熱源媒体導入路7と熱源媒体排出路8が設けられている。流体循環路2内には、循環ポンプ3、蒸発器4、膨張機5、及び、凝縮器6が介装されている。熱源媒体導入路7には、外部の供給源から高温の熱源媒体が導入され、流体循環路2内には、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等の有機媒体から成る作動流体が流れる。
膨張機5は、蒸発器4とともに有機ランキンサイクルを構成する。膨張機5の駆動軸には発電機11が連結されている。発電機11は、膨張機5の駆動力を受けて発電を行う。凝縮器6は、空冷式であり、作動流体が内部を流れる放熱性のチューブを主要素とする本体部12aと、本体部12aに強制風を送るファン12bを有する。
【0077】
筐体9は、第1実施形態のものと同様に、相互に相反方向を向く略平行な前面Sf及び後面Srと、鉛直方向の上側を向く上面Suと、鉛直方向の下側を向く下面Slと、相互に相反方向を向く略平行な一対の側面Ss1,Ss2と、を有する。本実施形態では、一対の側面Ss1,Ss2が第一外側面と第二側側面を構成し、上面Suと下面Slが第三外側面と第四外側面を構成している。第三外側面である上面Suと第四外側面である下面Slは、相互に相反方向を向く略平行な面で、かつ、鉛直方向を向く面とされている。
複数のバイナリ発電ユニット1Aが、略水平に連結されるときには、一のバイナリ発電ユニット1Aの一方の側面Ss1(第一外側面)と他のバイナリ発電ユニット1Aの他方の側面Ss2(第二外側面)が相互に対向して配置される。また、複数のバイナリ発電ユニット1が、上下に連結されるときには、一のバイナリ発電ユニット1Aの上面Su(第三外側面)と他のバイナリ発電ユニット1Aの下面Sl(第四外側面)が相互に対向して配置される。
【0078】
熱源媒体導入路7は、筐体9の上部領域において左右方向に延び筐体9を左右方向に貫通する導入側本流配管13と、導入側本流配管13の一側寄りの中途部から鉛直下方に分岐して延びる導入側支流配管14と、を備えている。導入側本流配管13の両側の端部は、筐体9の左右の各側面Ss1,Ss2に開口している。導入側支流配管14の下端は、蒸発器4の熱源媒体の流入部に接続されている。左右の側面Ss1,Ss2に開口する導入側本流配管13の両側の端部には、複数のバイナリ発電ユニット1Aを、側面Ss1,Ss2を対向させて連結するときに、導入側本流配管13同士を接続するための導入側継手17a,17bが夫々設けられている。
【0079】
熱源媒体排出路8は、筐体9の下部領域において左右方向に延び筐体9を左右方向に貫通する排出側本流配管15と、排出側本流配管15の一側寄りの中途部から鉛直上方に分岐して延びる排出側支流配管16と、を備えている。排出側本流配管15の両側の端部は、筐体9の左右の各側面Ss1,Ss2に開口している。排出側支流配管16の上端部は、蒸発器4の熱源媒体の流出部に接続されている。左右の側面Ss1,Ss2に開口する排出側本流配管15の両側の端部には、複数のバイナリ発電ユニット1Aを、側面Ss1,Ss2を対向させて連結するときに、排出側本流配管15同士を接続するための排出側継手18a,18bが設けられている。
なお、本実施形態の場合も、導入側本流配管13と排出側本流配管15は、導入側支流配管14や排出側支流配管16に比較して大径の配管によって構成されている。
【0080】
また、熱源媒体導入路7は、筐体9の一端側寄り領域において上下方向(鉛直方向)に延び、筐体9を上下に貫通するとともに、延び方向の中途部が、導入側本流配管13に導通する導入側接続配管30をさらに備えている。導入側接続配管30の両側の端部は、筐体9の上面Su(第三外側面)と下面Sl(第四外側面)に開口している。導入側接続配管30の両側の端部には、二つのバイナリ発電ユニット1Aを、上面Su(第三外側面)と下面Sl(第四外側面)を対向させて連結するときに、導入側接続配管30同士を接続するための導入側継手31a,31b(第二の導入側継手)が設けられている。
【0081】
熱源媒体排出路8は、筐体9の他端側寄り領域において上下方向(鉛直方向)に延び、筐体9を上下に貫通するとともに、延び方向の中途部が、排出側本流配管15に導通する排出側接続配管32をさらに備えている。排出側接続配管32の両側の端部は、筐体9の上面Su(第三外側面)と下面Sl(第四外側面)に開口している。排出側接続配管32の両側の端部には、二つのバイナリ発電ユニット1Aを、上面Su(第三外側面)と下面Sl(第四外側面)を対向させて連結するときに、排出側接続配管32同士を接続するための排出側継手33a,33b(第二の排出側継手)が設けられている。
【0082】
また、
図9では図示が省略されているが、導入側接続配管30の一端側と他端側には、外部からの操作によって熱源媒体の流通を遮断可能な封止弁34a,34b(
図10参照)が設けられている。同様に、排出側接続配管32の一端側と他端側には、外部からの操作によって熱源媒体の流通を遮断可能な封止弁35a,35b(
図10参照)が設けられている。これらの封止弁34a,34b,35a,35bは、複数のバイナリ発電ユニット1Aを上下に連結して使用しないときに配管の端部を封止する。
【0083】
ここで、本実施形態の場合も、熱源媒体導入路7は、筐体9内において、熱源媒体排出路8よりも鉛直上方側に配置され、かつ、導入側本流配管13は、筐体9の平面視において、排出側本流配管15と重ならない位置に配置されている。そして、導入側本流配管13から分岐する導入側支流配管14の延出長さ(導入側本流配管13から蒸発器4までの距離)は、排出側本流配管15から分岐する排出側支流配管16の延出長さ(排出側本流配管15から蒸発器4までの距離)よりも短くなっている。
また、空冷式の凝縮器6は、複数のバイナリ発電ユニット1Aが連結されるときに、空気流通面6aが筐体9同士の連結されない前面Sfと後面Srに臨むように配置され、かつ、空気流通面6aを正面から見たときに、導入側本流配管13、導入側支流配管14、排出側本流配管15、排出側支流配管16や他の機器と重ならないように配置されている。
【0084】
<第2実施形態のバイナリ発電ユニットの使用例>
図11は、バイナリ発電ユニット1Aを用いた一例のバイナリ発電システム400を示す模式的な正面図である。
本例のバイナリ発電システム400は、同仕様の三つのバイナリ発電ユニット1Aが左右方向に並列に接続されている。左右方向で隣接するバイナリ発電ユニット1Aは側面Ss1,Ss2同士が対向して配置され、導入側継手17a,17bと排出側継手18a,18bによって両発電ユニット1Aの導入側本流配管13同士と排出側本流配管15同士が接続されている。本例のバイナリ発電システム400では、バイナリ発電ユニット1Aは上下方向には連結されていない。接続方向の一端側のバイナリ発電ユニット1Aの導入側本流配管13と排出側本流配管15には、外部の供給配管24と排出配管25が夫々接続されている。接続方向の他端側のバイナリ発電ユニット1Aの導入側本流配管13と排出側本流配管15の各端部は封止弁19b,20bによって夫々封止され、各バイナリ発電ユニット1Aの導入側接続配管30と排出側接続配管32の上下の各端部は封止弁34a,34b,35a,35bによって夫々封止されている。
【0085】
本例のバイナリ発電システム400は、左右方向に連結された三つのバイナリ発電ユニット1の発電機が夫々発電を行い、各発電機で発電された電力が外部に出力される。
【0086】
図12は、バイナリ発電ユニット1Aを用いた他の例のバイナリ発電システム500を示す模式的な正面図である。
本例のバイナリ発電システム500は、左右方向に並列に接続されたバイナリ発電ユニット1Aの対の上部に、同様に左右方向に並列に接続されたバイナリ発電ユニット1Aの対が重ねて配置されている。左右方向で接続されるバイナリ発電ユニット1Aは側面Ss1,Ss2を対向させた状態で、導入側本流配管13同士と排出側本流配管15同士が導入側継手17a,17bと排出側継手18a,18bによって夫々接続されている。また、上下方向で接続されるバイナリ発電ユニット1Aは、上面Suと下面Slを対向させた状態で、導入側接続配管30同士と排出側接続配管32同士が導入側継手31a,31bと排出側継手33a,33bによって夫々接続されている。
【0087】
上段の対の一方のバイナリ発電ユニット1Aの導入側本流配管13は、外部の供給配管24を介して熱源媒体の供給源23に接続されている。下段の対の一方のバイナリ発電ユニット1Aの排出側本流配管15は、外部の排出配管25に接続されている。上段と下段のバイナリ発電ユニット1Aの導入側本流配管13同士は導入側接続配管30を通して連通しているため、各バイナリ発電ユニット1Aの導入側本流配管13には、ほぼ同温、同圧の熱源媒体が供給配管24から導入される。また、上段と下段のバイナリ発電ユニット1Aの排出側本流配管15同士は排出側接続配管32を通して連通しているため、各バイナリ発電ユニット1Aの各蒸発器4から導入側本流配管13に流入した熱源媒体はほぼ同温、同圧になって排出配管25を通して外部に流出される。
【0088】
なお、本例のバイナリ発電システム500では、左右方向に並列に接続されたバイナリ発電ユニット1Aの対が上下二段で接続されているが、左右方向に接続するバイナリ発電ユニット1Aの数は三つ以上であっても良く、上下方向の接続段数も三つ以上であっても良い。また、単体のバイナリ発電ユニット1Aを上下方向に任意数接続するようにしても良い。
【0089】
図13は、バイナリ発電ユニット1Aを用いたさらに他の例のバイナリ発電システム600を示す模式的な正面図である。
本例のバイナリ発電システム600は、
図12に示すバイナリ発電システム500を横向きに寝かせて配置したシステムである。つまり、本例のバイナリ発電システム600は、左右方向に並列に接続されたバイナリ発電ユニット1Aの対の前方側に、同様に左右方向に並列に接続されたバイナリ発電ユニット1Aの対が連結されている。このバイナリ発電システム600の場合、筐体9に配置された空冷式の凝縮器6の空気流通面6aが鉛直方向を向き、凝縮器6の本体部に当てられる強制風が上方側(発電施設の天井側)を向くようになる。
【0090】
<第2実施形態の効果>
本実施形態のバイナリ発電ユニット1Aは、第1実施形態の構成に加え、筐体9を上下に貫通し中途部が導入側本流配管13に導通する導入側接続配管30と、筐体9を上下に貫通し中途部が排出側本流配管15に導通する排出側接続配管32と、を備えている。そして、筐体9の上面Su(第三外側面)と下面Sl(第四外側面)に開口する導入側接続配管30の両側の端部には、二つのバイナリ発電ユニット1Aを上面Suと下面Slで対向させた状態で導入側接続配管30同士を接続する導入側継手31a,31bと、排出側接続配管32同士を接続する排出側継手33a,33bが夫々設けられている。このため、任意数のバイナリ発電ユニット1Aを左右方向に容易に接続することができるうえ、任数のバイナリ発電ユニット1Aを上下方向にも容易に接続することができる。
したがって、本実施形態のバイナリ発電ユニット1Aを採用した場合には、外部の長尺な接続配管を用いることなく、任意数のバイナリ発電ユニット1を左右方向と上下方向に連結してバイナリ発電システムを容易に構築することができる。よって、本実施形態のバイナリ発電ユニット1Aを採用した場合には、限られた発電施設のスペース内に効率良くバイナリ発電システムを構築することができる。
【0091】
また、本実施形態のバイナリ発電ユニット1Aは、鉛直方向を向く筐体9の上面Suと下面Slが、二つのバイナリ発電ユニット1Aの連結時に相互に対向する外側面とされている。このため、複数のバイナリ発電ユニット1Aを上面Suと下面Slで対向させて連結することにより、複数のバイナリ発電ユニット1Aを発電施設内に上下に直線状に並べてコンパクトに配置することができる。
【0092】
さらに、本実施形態のバイナリ発電ユニット1Aは、導入側本流配管13が、筐体9の平面視において、排出側本流配管15と重ならないように筐体9内に配置されている。このため、導入側本流配管13と導通する導入側接続配管30を鉛直方向に直線状に延出させても、導入側接続配管30が排出側本流配管15と干渉しにくくなる。同様に排出側本流配管15と導通する排出側接続配管32を鉛直方向に直線状に延出させても、排出側接続配管32が導入側本流配管13と干渉しにくくなる。このため、導入側接続配管30や排出側接続配管32の曲げを抑制することができる。したがって、本構成を採用した場合には、配管の流動負荷を低減することができるとともに、筐体9内の配管の設置やメンテナンスを容易化することができる。
【0093】
また、本実施形態のバイナリ発電ユニット1Aは、第1実施形態と同様の基本構成を備えているため、上述した第1実施形態と同様の基本的な効果を得ることができる。
【0094】
<第3実施形態>
図14は、本実施形態のバイナリ発電ユニットで用いる空冷式の凝縮器6Aの斜視図である。
図15は、凝縮器6Aの分解斜視図であり、
図16は、凝縮器6Aの構成部品の斜視図である。
本実施形態のバイナリ発電ユニットは、循環ポンプ、蒸発器、膨張機や、熱源媒体導入路、熱源媒体排出路等が配置される筐体の外側に、空冷式の凝縮器6Aが配置された構成とされている。バイナリ発電ユニットは、このように空冷式の凝縮器6Aを筐体の外側に配置することにより、バイナリ発電システムを構築したときに、凝縮器6Aの本体部に対する送風が筐体の壁や筐体内部の配管や機器等によって阻害されるのを抑制することができる。本実施形態のバイナリ発電ユニットは、凝縮器6Aの配置以外は第1実施形態や第2実施形態と同様の構造を採用することができる。
【0095】
凝縮器6Aは、正面視が略矩形状のフレーム状のケーシング40と、ケーシング40に脱着可能に取り付けられる複数(例えば、三つ)のチューブカートリッジ41と、ケーシング40に取り付けられてチューブカートリッジ41のチューブ41aに強制風を送るファン12bと、を備えている。本実施形態では、凝縮器6Aの本体部12aは、複数のチューブカートリッジ41によって構成されている。
【0096】
チューブカートリッジ41は、一方向に略水平に延びる複数のチューブ41aと、複数のチューブ41aの延出方向の両側の端部を支持する一対のホルダーブロック41b,41cと、を備えている。一方のホルダーブロック41bには、作動流体が流入する流入口42と、作動流体が流出する流出口43が設けられている。一方のホルダーブロック41bの内部は、流入口42が連通する図示しない流入室と、流出口43が連通する図示しない流出室とに隔成されている。
図16に示す下二つのチューブ41aの一端部は流入室に連通し、
図16に示す上二つのチューブ41aの一端部は流出室に連通している。他方のホルダーブロック41cの内部には、図示しない一つの連通室が形成されている。下二つのチューブ41aの他端部と上二つのチューブ41aの他端部は、連通室において相互に連通している。
【0097】
上記の構成のチューブカートリッジ41では、流入口42から一方のホルダーブロック41bの流入室に作動流体が流入すると、その作動流体が下二つのチューブ41aを通って他方のホルダーブロック41cの連通室に流入する。連通室に流入した作動流体は、さらに上二つのチューブ41a通って一方のホルダーブロック41bの流入室に流入する。流入室に流入した作動流体は流出口43から外部に流出する。
【0098】
複数のチューブカートリッジ41は、
図15に示すように、ケーシング40に取り付けられた後に、各チューブカートリッジ41の流入口42と流出口43に図示しない接続配管が接続される。一部の接続配管は、異なるチューブカートリッジ41の流入口42と流出口43に接続され、残余の接続配管は筐体側の流体循環路に接続される。
【0099】
<第3実施形態の効果>
本実施形態のバイナリ発電ユニットは、基本構成は第1実施形態や第1実施形態と同様であるため、第1実施形態や第1実施形態のバイナリ発電ユニットと同様の基本的な効果を得ることができる。
【0100】
これに加え、本実施形態のバイナリ発電ユニットは、空冷式の凝縮器6Aが筐体の外側に配置されているため、凝縮器6Aの本体部に対する送風が筐体の壁や筐体内部の配管や機器等によって阻害されるのを抑制することができる。
【0101】
また、本実施形態のバイナリ発電ユニットで採用する凝縮器6Aは、複数のチューブカートリッジ41がケーシング40に脱着可能に取り付けた構造とされている。このため、ケーシング40に取り付けるチューブカートリッジ41の個数や取付向きを柔軟に変更することができる。したがって、本構成の凝縮器6Aを採用した場合には、設置環境に応じた柔軟な設計変更を容易に行うことができるうえ、共通仕様のチューブカートリッジ41を量産することにより、凝縮器6Aの生産性を高めることができる。
【0102】
<第1変形例>
図17は、第1変形例のバイナリ発電ユニット1Bを用いた一例のバイナリ発電システム700の模式的な平面図である。
本変形例のバイナリ発電ユニット1Bは、筐体9Bの平面視が台形状に形成されている。本変形例では、筐体9Bの相反方向を向く平行な二つの側面Ss1,Ss2が、複数のバイナリ発電ユニット1Bが連結されるときに相互に対向する第一外側面と第二外側面を構成している。導入側本流配管13と排出側本流配管15の両側の端部は、これらの側面Ss1,Ss2に開口している。
【0103】
<第2変形例>
図18は、第2変形例のバイナリ発電ユニット1Cを用いた一例のバイナリ発電システム800の模式的な平面図である。
本変形例のバイナリ発電ユニット1Cは、筐体9Cの平面視が正六角形状に形成されている。本変形例では、筐体9Cの相反方向を向く平行な二つの側面Ss1,Ss2が、複数のバイナリ発電ユニット1Cが連結されるときに相互に対向する第一外側面と第二外側面を構成している。導入側本流配管13と排出側本流配管15の両側の端部は、これらの側面Ss1,Ss2に開口している。
【0104】
<第3変形例>
図19は、第3変形例のバイナリ発電ユニット1Dを用いた一例のバイナリ発電システム900の模式的な平面図である。
本変形例のバイナリ発電ユニット1Dは、第2変形例と同様に筐体9Dの平面視が正六角形状に形成されている。本変形例では、筐体9Dの相反方向を向く平行な二つの側面が、複数のバイナリ発電ユニット1Dが連結されるときに相互に対向する第一外側面と第二外側面を構成し、第一外側面と第二外側面に隣接する残余の面が他のバイナリ発電ユニット1Dが連結される外側面とされている。導入側本流配管13と排出側本流配管15の両側の端部は、これらの第一外側面と第二外側面に開口している。また、バイナリ発電ユニット1Dの熱源媒体導入路7には、導入側本流配管13に導通する導入側接続配管30が設けられ、熱源媒体排出路8には、排出側本流配管15に導通する排出側接続配管32が設けられている。導入側接続配管30と排出側接続配管32の端部は、バイナリ発電ユニット1Dの前記残余の面に開口している。
【0105】
<第4変形例>
図20は、第4変形例のバイナリ発電ユニット1Eを用いた一例のバイナリ発電システム1000の模式的な平面図である。
本変形例のバイナリ発電ユニット1Eは、第2変形例や第3変形例と同様に筐体9Eの平面視が正六角形状に形成されている。本変形例では、筐体9Eの一の側面を間に挟んで配置される傾斜した二つの側面Ss1,Ss3が、複数のバイナリ発電ユニット1Dが連結されるときに相互に対向する第一外側面と第二外側面を構成している。導入側本流配管13と排出側本流配管15の両側の端部は、これらの側面Ss1,Ss3に開口している。本変形例では、隣接するバイナリ発電ユニット1Eの二つの側面Ss1,Ss3を相互に対向させるようにして、六つのバイナリ発電ユニット1Eが環状に配置されている。
【0106】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、バイナリ発電ユニットの筐体の形状は、長方体状や、平面視が台形状である形状や、平面視が六角形状である形状に限定されない。二つのバイナリ発電ユニットを連結するときに、相互に対向する外側面を持つ形状であれば、他の種々の形状のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1,1A,1B,1C,1D,1E…バイナリ発電ユニット
2…流体循環路
3…循環ポンプ
4…蒸発器
5…膨張機
6,6A…凝縮器
6a…空気流通面
7…熱源媒体導入路
8…熱源媒体排出路
9,9B,9C,9D,9E…筐体
11…発電機
13…導入側本流配管
14…導入側支流配管
15…排出側本流配管
16…排出側支流配管
17a,17b…導入側継手
18a,18b…排出側継手
30…導入側接続配管
31a,31b…導入側継手(第二の導入側継手)
32…排出側接続配管
33a,33b…排出側継手(第二の排出側継手)
100,100A,200,400,500,600,700,800,900,1000…バイナリ発電システム
Ss1…側面(第一外側面)
Ss2…側面(第二外側面)
Su…上面(第三外側面)
Sl…下面(第四外側面)