(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072258
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】発光素子、これを含む表示装置、および発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/06 20100101AFI20240520BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240520BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240520BHJP
H01L 33/30 20100101ALI20240520BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20240520BHJP
【FI】
H01L33/06
G09F9/33
G09F9/30 338
H01L33/30
H01L33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187588
(22)【出願日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2022-0152619
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】イ,グァンジェ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ボンチュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドンオン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンア
【テーマコード(参考)】
5C094
5F241
【Fターム(参考)】
5C094AA31
5C094AA43
5C094BA03
5C094BA25
5C094CA19
5C094DA13
5C094DA15
5C094EA04
5C094EA07
5C094FA02
5F241AA24
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA34
5F241CA39
5F241CA40
5F241CA65
5F241CA66
5F241CA74
5F241CB11
5F241FF01
(57)【要約】
【課題】発光素子から放出される光の輝度変化率の低下を防止して、信頼性のある発光素子、これを含む表示装置および発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の発光素子は第1半導体層と、前記第1半導体層上に配置された活性層と、前記活性層上に配置された第2半導体層と、第1方向に順次配置された前記第1半導体層、前記活性層、および前記第2半導体層の少なくとも一部を取り囲む絶縁膜と、を含み、前記活性層は、前記第1方向に順次配置された第1障壁層、第1井戸層、および第2障壁層を含み、前記第1井戸層は、前記第1井戸層を貫通する第1ホールを含むことができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体層と、
前記第1半導体層上に配置された活性層と、
前記活性層上に配置された第2半導体層と、
第1方向に順次配置された前記第1半導体層、前記活性層、および前記第2半導体層の少なくとも一部を取り囲む絶縁膜と、を含み、
前記活性層は、前記第1方向に順次配置された第1障壁層、第1井戸層、および第2障壁層を含み、
前記第1井戸層は、前記第1井戸層を貫通する第1ホールを含むことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記第1井戸層は、GaN、GaInP、AlGaInP、InGaN、およびInGaAsPのうちの少なくとも1つの物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第1井戸層は、InXGa1-XN(ただし、0<X<1)を含み、
前記第1井戸層のインジウム組成比Xは、0.05~0.4であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1ホールは、前記第1井戸層を前記第1方向に貫通し、前記第1方向と交差する第2方向に配列され、
前記第1ホールのそれぞれは、前記第1方向の位置によって前記第2方向の幅が変わることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
断面視において、前記第1ホールのそれぞれは、前記第2方向に対称な形状を含むことを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
平面視において、前記第1井戸層は、前記第1井戸層の中心と隣接する第1領域と前記第1井戸層の縁と隣接する第2領域とを含み、
前記第1ホールは、前記第2領域に配置されることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項7】
前記第2障壁層は、前記第1ホールおよび前記第1障壁層によって形成される空間を満たすことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項8】
前記第2障壁層上に前記第1方向に順次配置される第2井戸層および第3障壁層をさらに含み、
前記第2井戸層は、前記第1方向に前記第2井戸層を貫通する第2ホールを含み、
前記第1井戸層および前記第2井戸層は、GaN、GaInP、AlGaInP、InGaN、およびInGaAsPのうちの少なくとも1つの物質を含み、
前記第1井戸層および前記第2井戸層の組成は同じであり、前記第1井戸層および前記第2井戸層の組成比は互いに異なり、
前記第1ホールの個数および前記第2ホールの個数は互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
基板上に第1半導体層、活性層および第2半導体層を第1方向に順次形成するステップを含み、
前記第1半導体層上に前記活性層を形成するステップは、
前記第1半導体層上に第1障壁層を形成するステップと、
前記第1障壁層上に井戸層を形成するステップと、
前記井戸層を部分的にエッチングするステップと、
前記井戸層上に第2障壁層を形成するステップと、を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記井戸層を部分的にエッチングするステップは、
前記井戸層の少なくとも一領域を前記第1方向にエッチングして、前記第1方向と交差する第2方向に沿った位置に複数のホールを形成することを特徴とする請求項9に記載の発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記井戸層を形成するステップは、GaN、GaInP、AlGaInP、InGaN、およびInGaAsPのうちの少なくとも1つの物質を有機金属気相成長(MOCVD:metalorganic chemical vapor deposition)を用いて成長させ、
前記井戸層を部分的にエッチングするステップは、インジウム(In)の組成比が低くなるように、前記井戸層の前記少なくとも一領域をエッチングすることを特徴とする請求項10に記載の発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記井戸層は、第1温度で形成され、前記第1障壁層および前記第2障壁層は、前記第1温度よりも高い第2温度で形成され、
前記井戸層の少なくとも一領域を前記第1方向にエッチングするステップは、
前記井戸層の前記少なくとも一領域を前記第1温度から前記第2温度まで温度が上昇する間に、エッチングガスに露出させるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記エッチングガスは、水素(H2)ガスを含むことを特徴とする請求項12に記載の発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記井戸層に形成される前記複数のホールの大きさおよび個数は、前記エッチングガスの量、前記エッチングガスの露出時間、および前記エッチングガスに露出される前記井戸層の前記少なくとも一領域の大きさのうちの少なくとも1つによって制御されることを特徴とする請求項12に記載の発光素子の製造方法。
【請求項15】
基板上に配置される第1電極および第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置される発光素子と、
前記第1電極と前記発光素子とを電気的に接続する第1コンタクト電極と、
前記第2電極と前記発光素子とを電気的に接続する第2コンタクト電極と、を含み、
前記発光素子は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層上に配置される活性層と、
前記活性層上に配置される第2半導体層と、
第1方向に順次配置される前記第1半導体層、前記活性層、および前記第2半導体層の少なくとも一部を取り囲む絶縁膜と、を含み、
前記活性層は、前記第1方向に順次配置された第1障壁層、第1井戸層、および第2障壁層を含み、
前記第1井戸層は、前記第1井戸層を貫通する第1ホールを含むことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、これを含む表示装置、および発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、情報ディスプレイに対する関心が高まるにつれて、表示装置に関する研究開発が持続的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、発光素子から放出される光の輝度変化率の低下を防止して、信頼性のある発光素子を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、前記発光素子を含む表示装置および前記発光素子の製造方法を提供することにある。
【0006】
ただし、本発明の目的は前述の目的に限定されず、本発明の思想および領域から逸脱しない範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による発光素子は、第1半導体層と、前記第1半導体層上に配置された活性層と、前記活性層上に配置された第2半導体層と、第1方向に順次配置された前記第1半導体層、前記活性層、および前記第2半導体層の少なくとも一部を取り囲む絶縁膜と、を含み、前記活性層は、第1方向に順次配置された第1障壁層、第1井戸層、および第2障壁層を含み、前記第1井戸層は、前記第1井戸層を貫通する第1ホールを含むことができる。
【0008】
一実施形態によれば、前記第1井戸層は、GaN、GaInP、AlGaInP、InGaN、およびInGaAsPのうちの少なくとも1つの物質を含むことができる。
【0009】
一実施形態によれば、前記第1井戸層は、InXGa1-XN(ただし、0<X<1)を含み、前記第1井戸層のインジウム組成比Xは、0.05~0.4であり得る。
【0010】
一実施形態によれば、前記第1ホールは、前記第1井戸層を前記第1方向に貫通し、前記第1方向と交差する第2方向に配列されることができる。
【0011】
一実施形態によれば、前記第1ホールのそれぞれは、前記第1方向の位置によって前記第2方向の幅が変わってもよい。
【0012】
一実施形態によれば、断面視において、前記第1ホールのそれぞれは、前記第2方向に対称な形状を含むことができる。
【0013】
一実施形態によれば、平面視において、前記第1井戸層は、前記第1井戸層の中心と隣接する第1領域と前記第1井戸層の縁と隣接する第2領域とを含み、前記第1ホールは、前記第2領域に配置されることができる。
【0014】
一実施形態によれば、前記第2障壁層は、前記第1ホールおよび前記第2障壁層によって形成される空間を満たすことができる。
【0015】
一実施形態によれば、前記第2障壁層上に前記第1方向に順次配置される第2井戸層および第3障壁層をさらに含み、前記第2井戸層は、前記第1方向に前記第2井戸層を貫通する第2エッチングホールを含むことができる。
【0016】
一実施形態によれば、前記第1井戸層および前記第2井戸層は、GaN、GaInP、AlGaInP、InGaN、およびInGaAsPのうちの少なくとも1つの物質を含み、前記第1井戸層および前記第2井戸層の組成は同じであり、前記第1井戸層および前記第2井戸層の組成比は互いに異なってもよい。
【0017】
一実施形態によれば、前記第1ホールの個数および前記第2ホールの個数は、互いに異なってもよい。
【0018】
本発明の実施形態による発光素子の製造方法は、基板上に第1半導体層、活性層、および第2半導体層を第1方向に順次形成するステップを含み、前記第1半導体層上に前記活性層を形成するステップは、前記第1半導体層上に第1障壁層を形成するステップと、前記第1障壁層上に井戸層を形成するステップと、前記井戸層を部分的にエッチングするステップと、前記井戸層上に第2障壁層を形成するステップと、を含むことができる。
【0019】
一実施形態によれば、前記井戸層を部分的にエッチングするステップは、前記井戸層の少なくとも一領域を前記第1方向にエッチングして、前記第1方向と交差する第2方向に沿った位置に複数のホールを形成することができる。
【0020】
一実施形態によれば、前記井戸層を形成するステップは、GaN、GaInP、AlGaInP、InGaN、およびInGaAsPのうちの少なくとも1つの物質を有機金属気相成長(MOCVD、metalorganic chemical vapor deposition)を用いて成長させ、前記井戸層を部分的にエッチングするステップは、インジウム(In)の組成比が低くなるように前記井戸層の前記少なくとも一領域をエッチングすることができる。
【0021】
一実施形態によれば、前記井戸層は、前記井戸層の中心と隣接する第1領域と前記井戸層の縁と隣接する第2領域とを含み、前記複数のホールは、前記第2領域に配置されることができる。
【0022】
一実施形態によれば、前記井戸層の少なくとも一領域を前記第1方向にエッチングするステップは、前記井戸層の前記少なくとも一領域をエッチングガスに露出させるステップを含むことができる。
【0023】
一実施形態によれば、前記井戸層は、第1温度で形成され、前記第1障壁層および前記第2障壁層は、前記第1温度よりも高い第2温度で形成され、前記エッチングガスを露出させるステップは、前記第1温度から前記第2温度まで温度が上昇する間に前記エッチングガスを露出することができる。
【0024】
一実施形態によれば、前記エッチングガスは、水素(H2)ガスを含むことができる。
【0025】
一実施形態によれば、前記井戸層に形成される前記複数のホールの大きさおよび個数は、前記エッチングガスの量、前記エッチングガスの露出時間、および前記エッチングガスに露出される前記井戸層の前記少なくとも一領域の大きさのうちの少なくとも1つによって制御することができる。
【0026】
本発明の実施形態による表示装置は、基板上に配置された第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置された発光素子と、前記第1電極と前記発光素子とを電気的に接続する第1コンタクト電極と、前記第2電極と前記発光素子とを電気的に接続する第2コンタクト電極と、を含み、前記発光素子は、第1半導体層と、前記第1半導体層上に配置された活性層と、前記活性層上に配置された第2半導体層と、第1方向に順次配置された前記第1半導体層、前記活性層、および前記第2半導体層の少なくとも一部を取り囲む絶縁膜と、を含み、前記活性層は、前記第1方向に順次配置された第1障壁層、第1井戸層、および第2障壁層を含み、前記第1井戸層は、前記第1井戸層を貫通する第1ホールを含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態による発光素子、これを含む表示装置、および発光素子の製造方法は、発光素子の活性層を形成する井戸層の一部をエッチングしてエッチングホールを形成することによって、井戸層の縁に向かって形成される電流経路(current path)を抑制(または遮断)することができる。したがって、井戸層内に注入された電子が井戸層の縁に沿って移動することを防止することができる。
【0028】
本発明の実施形態による発光素子は、井戸層の縁に沿って移動した電子によって漏洩電流(leakage current)が発生することを防止(または抑制)することができる。
【0029】
本発明は、前記漏洩電流によって発光素子の信頼性の低下する現象を改善することができる。
【0030】
ただし、本発明の効果は前述の効果に限定されず、本発明の思想および領域から逸脱しない範囲で多様に拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態に係る発光素子を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の発光素子の一実施形態を示す断面図である。
【
図3a】
図1の発光素子の活性層の一例を示す断面図である。
【
図3b】
図1の発光素子の活性層の一例を示す断面図である。
【
図4a】
図1の活性層を構成する井戸層の一実施形態を示す斜視図である。
【
図4b】
図1の活性層を構成する井戸層の他の一実施形態を示す斜視図である。
【
図5】
図3aの活性層の一実施形態を示す断面図である。
【
図6】
図3bの活性層を構成する井戸層の一実施形態を示す断面図である。
【
図7】
図1の発光素子の活性層の電流密度に対する外部量子効率を示すグラフである。
【
図8】
図1の発光素子の活性層から放出される光の輝度変化率を示すグラフである。
【
図9】
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な断面図である。
【
図10】
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な断面図である。
【
図11】
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な断面図である。
【
図12】
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な断面図である。
【
図13】
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な断面図である。
【
図14】
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な断面図である。
【
図15】
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な断面図である。
【
図16】
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な断面図である。
【
図17】
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な断面図である。
【
図18】実施形態に係る発光素子を含む表示装置を示す平面図である。
【
図19】
図18の表示装置に含まれる画素の一実施形態を示す断面図である。
【
図20】
図18の表示装置に含まれる第1~第3画素を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態をより詳しく説明する。図において同じ構成要素については同じ参照符号を付し、同じ構成要素について重複する説明は省略する。
【0033】
図1は、本発明の実施形態に係る発光素子を概略的に示す斜視図である。
図2は、
図1の発光素子の一実施形態を示す断面図である。
【0034】
図1および
図2を参照すると、発光素子LDは、第1半導体層11、第2半導体層13、および第1半導体層11およびと第2半導体層13との間に介在する活性層12を含むことができる。一例として、発光素子LDは、第1半導体層11、活性層12、および第2半導体層13が順次積層された発光積層体(または積層パターン)として具現されることができる。
【0035】
一実施形態では、発光素子LDは、一方向に延びる形状で提供されることができる。発光素子LDの延びる方向を長さ方向とすると、発光素子LDは、長さ方向に沿って第1端部EP1と第2端部EP2とを含むことができる。発光素子LDの第1端部EP1には、第1半導体層11と第2半導体層13とのうちの1つの半導体層が位置することができ、発光素子LDの第2端部EP2には、第1半導体層11と第2半導体層13とのうちの残りの半導体層が位置することができる。
【0036】
一実施形態では、発光素子LDは、様々な形状で提供されることができる。一例として、発光素子LDは、
図1に示すように長さ方向に長い(または縦横比が1よりも大きい)ロッド状(rod-like shape)、棒状(bar-like shape)、または柱状を有することができる。別の例として、発光素子LDは、長さ方向に短い(または縦横比が1よりも小さい)ロッド状、棒状、または柱状を有することができる。さらに別の例として、発光素子LDは、縦横比が1のロッド状、棒状、または柱状を有することができる。
【0037】
このような発光素子LDは、一例としてナノスケール(nano scale)(またはナノメートル)乃至マイクロスケール(micro scale)(またはマイクロメートル)程度の直径Dおよび/または長さLを有するほどに超小型に製作された発光ダイオード(LED:light emitting diode)を含むことができる。
【0038】
一実施形態では、発光素子LDが長さ方向に長い(すなわち、縦横比が1よりも大きい)場合、発光素子LDの直径Dは約0.5μm~6μm程度であり、その長さLは約1μm~10μm程度である。ただし、発光素子LDの直径Dおよび長さLはこれに限定されず、発光素子LDの適用される照明装置または自発光表示装置の要求条件(または設計条件)に合致するように発光素子LDの大きさを変更してもよい。
【0039】
一実施形態では、第1半導体層11は、一例として少なくとも1つのn型半導体層を含むことができる。第1半導体層11は、発光素子LDの長さ方向に沿って活性層12と接触する上部面と外部に露出された下部面とを含むことができる。第1半導体層11の下部面は、発光素子LDの一端部(または下端部)であり得る。
【0040】
一実施形態では、活性層12は、第1半導体層11上に配置され、単一または多重量子井戸(multiple quantum wells)構造で形成されることができる。一例として、活性層12を多重量子井戸構造で形成する場合、活性層12は障壁層(barrier layer)(例えば、
図3aの障壁層QB)および井戸層(well layer)(例えば、
図3aの井戸層QW)が一つのユニットとして周期的に繰り返し積層されることができる。一例では、前記障壁層は、歪み強化層(strain reinforcing layer)をさらに含んでもよい。前記歪み強化層は、相対的に小さい格子定数を有して井戸層に印加される歪み、一例として圧縮歪みをさらに強化することができる。ただし、活性層12の構造は前述の実施形態に限定されない。
【0041】
一実施形態では、活性層12は、約400nm~900nmの波長を有する光を放出することができ、ダブルヘテロ構造(double hetero structure)を用いることができる。活性層12は、第1半導体層11と接触する第1面および第2半導体層13と接触する第2面を含むことができる。
【0042】
一実施形態では、活性層12から放出される光の波長に応じて発光素子LDの色(または出光色)を決めることができる。このような発光素子LDの色は、これに対応する画素の色を決めることができる。例えば、発光素子LDは、赤色光、緑色光、または青色光を放出することができる。
【0043】
一実施形態では、発光素子LDの両端部に所定電圧以上の電界を印加すると、活性層12で電子-正孔対が結合しながら発光素子LDが発光することになる。このような原理を用いて発光素子LDの発光を制御することによって、発光素子LDを表示装置の画素をはじめとする様々な発光装置の光源(または発光源)として用いることができる。
【0044】
一実施形態では、第2半導体層13は、活性層12の第2面上に配置され、第1半導体層11と異なるタイプの半導体層を含むことができる。一例として、第2半導体層13は、少なくとも1つのp型半導体層を含むことができる。
【0045】
一実施形態では、第2半導体層13は、発光素子LDの長さ方向に沿って活性層12の第2面と接触する下部面と外部に露出された上部面とを含むことができる。ここで、第2半導体層13の上部面は発光素子LDの他端部(または上端部)であり得る。
【0046】
一実施形態では、第1半導体層11と第2半導体層13は、発光素子LDの長さ方向に互いに異なる厚さを有してもよい。一例として、発光素子LDの長さ方向に沿って第1半導体層11が第2半導体層13よりも相対的に厚くてもよい。これにより、発光素子LDの活性層12は、第1半導体層11の下部面よりも第2半導体層13の上部面の近くに位置することができる。
【0047】
一実施形態では、第1半導体層11と第2半導体層13は、それぞれ一つの層で構成されるものとして示されているが、これに限定されない。一例では、活性層12の物質に応じて、第1半導体層11と第2半導体層13のそれぞれは少なくとも1つ以上の層、一例としてクラッド層および/またはTSBR(tensile strain barrier reducing)層をさらに含んでもよい。TSBR層は、格子構造の異なる半導体層の間に配置されて、格子定数(lattice constant)の差を減らすための緩衝の役割をする歪み(strain)緩和層であり得る。TSBR層は、p-GaInP、p-AlInP、p-AlGaInPなどのようなp型半導体層で構成されることができるが、これに限定されない。
【0048】
一実施形態では、発光素子LDは、前述の第1半導体層11、活性層12、および第2半導体層13の他にも、前記第2半導体層13の上部に配置されるコンタクト電極(以下、「第1コンタクト電極」と称する)をさらに含んでもよい。また、他の実施形態によれば、第1半導体層11の一端に配置される一つの他のコンタクト電極(以下、「第2コンタクト電極」と称する)をさらに含んでもよい。
【0049】
一実施形態では、第1および第2コンタクト電極のそれぞれはオーミック(ohmic)コンタクト電極であり得るが、これに限定されない。実施形態によれば、第1および第2コンタクト電極はショットキーコンタクト電極であり得る。第1および第2コンタクト電極は、導電性物質を含んでもよい。
【0050】
一実施形態では、発光素子LDは、絶縁膜14(または絶縁被膜)をさらに含んでもよい。ただし、実施形態によっては、絶縁膜14は省略されてもよく、第1半導体層11、活性層12、および第2半導体層13の一部だけを覆うように提供されてもよい。
【0051】
一実施形態では、絶縁膜14は、活性層12が第1および、第2半導体層11、13以外の伝導性物質と接触して発生する可能性のある電気的短絡を防止することができる。また、絶縁膜14は、発光素子LDの表面欠陥を最小化して、発光素子LDの寿命および発光効率を向上させることができる。活性層12が外部の伝導性物質と接触して短絡が発生することを防止可能であれば、絶縁膜14を備えるか否かは限定されない。
【0052】
一実施形態では、絶縁膜14は、第1半導体層11、活性層12、および第2半導体層13を含む発光積層体の外周面の少なくとも一部を取り囲むことができる。
【0053】
前述の実施形態では、絶縁膜14が第1半導体層11、活性層12、および第2半導体層13のそれぞれの外周面を全体的に取り囲む形状として説明したが、これに限定されない。
【0054】
一実施形態では、絶縁膜14は、透明な絶縁物質を含んでもよい。例えば、絶縁膜14は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)、アルミニウム酸化物(AlOx)、チタン酸化物(TiOx)、ハフニウム酸化物(HfOx)、チタンストロンチウム酸化物(SrTiOx)、コバルト酸化物(CoxOy)、マグネシウム酸化物(MgO)、亜鉛酸化物(ZnOx)、ルセニウム酸化物(RuOx)、ニッケル酸化物(NiO)、タングステン酸化物(WOx)、タンタル酸化物(TaOx)、ガドリニウム酸化物(GdOx)、ジルコニウム酸化物(ZrOx)、ガリウム酸化物(GaOx)、バナジウム酸化物(VxOy)、ZnO:Al、ZnO:B、InxOy:H、ニオブ酸化物(NbxOy)、フッ化マグネシウム(MgFX)、フッ化アルミニウム(AlFx)、アルコン(Alucone)高分子フィルム、チタン窒化物(TiN)、タンタル窒化物(TaN)、アルミニウム窒化物(AlNX)、ガリウム窒化物(GaN)、タングステン窒化物(WN)、ハフニウム窒化物(HfN)、ニオブ窒化物(NbN)、ガドリニウム窒化物(GdN)、ジルコニウム窒化物(ZrN)、バナジウム窒化物(VN)などからなる群から選択される1つ以上の絶縁物質を含むことができるが、これに限定されず、絶縁性を有する様々な材料を前記絶縁膜14の材料として用いることができる。
【0055】
一実施形態では、絶縁膜14は、単一層の形態で提供されても、二重層を含む多重層の形態で提供されてもよい。
【0056】
前述の発光素子LDは、様々な表示装置の発光源(または光源)として用いられることができる。発光素子LDは、表面処理過程を経て製造されることができる。例えば、複数の発光素子LDを流動性の溶液(または溶媒)に混合してそれぞれの画素領域(例えば、各画素の発光領域または各副画素の発光領域)に供給する際、発光素子LDが前記溶液内で不均一に凝集することなく均一に噴射されることができるように、それぞれの発光素子LDを表面処理することができる。
【0057】
前述の発光素子LDを含む発光部(または発光装置)は、表示装置をはじめ光源を必要とする様々な種類の電子装置に用いられることができる。例えば、表示パネルの各画素の画素領域内に複数の発光素子LDを配置する場合、発光素子LDは前記各画素の光源として用いられることができる。ただし、発光素子LDの適用分野は前述の例に限定されない。例えば、発光素子LDは、照明装置などのように光源を必要とする他の種類の電子装置にも用いられることができる。
【0058】
ただし、これは例示に過ぎず、本発明の実施形態による表示装置に適用される発光素子LDはこれに限定されない。例えば、発光素子は、フリップチップ(flip chip)タイプのマイクロ発光ダイオードまたは有機発光層を含む有機発光素子であり得る。
【0059】
図3aおよび
図3bは、
図1の発光素子の活性層の一例を示す断面図である。
【0060】
図3aおよび
図3bを参照すると、活性層12は、障壁層QBおよび井戸層QWを含むことができる。
図3aは、1つの井戸層を含む単一量子井戸構造を示し、
図3bは、複数の量子層を含む多重量子井戸構造を示す。
【0061】
図1および
図3aを参照すると、活性層12は、第1および、第2障壁層QB1、QB2および井戸層QWを含むことができる。第1障壁層QB1は、第1半導体層11と井戸層QWとの間に配置されることができる。第2障壁層QB2は、井戸層QWと第2半導体層13との間に配置されることができる。
【0062】
図1および
図3bを参照すると、障壁層QBは、第1、第2、第3、第4障壁層QB1、QB2、QB3、QB4を含み、井戸層QWは、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3を含むことができる。一例では、活性層12は、第1、第2、第3、第4障壁層QB1、QB2、QB3、QB4および第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3が互いに交互に順次積層された多層構造であり得る。一実施形態では、第1障壁層QB1および第2障壁層QB2は、第1井戸層QW1を挟んで第1半導体層11上に形成されることができる。第2障壁層QB2および第3障壁層QB3は、第2井戸層QW2を挟んで第1井戸層QW1上に形成されることができる。第3障壁層QB3および第4障壁層QB4は、第3井戸層QW3を挟んで第2井戸層QW2上に形成されることができる。
【0063】
活性層12は、多重量子井戸構造を有し、3対の井戸構造(例えば、第1および、第2障壁層QB1、QB2および第1井戸層QW1)が積層されたものとして
図3bに示されているが、これに限定されない。例えば、活性層12は、2対、4対以上(または、4対~9対)の井戸構造を有することができる。
【0064】
一実施形態では、第1~第4障壁層QB1~QB4は、第1方向DR1に同じ厚さを有してもよいが、これに限定されず、第1~第4障壁層QB1~QB4のうちの少なくとも一部は、第1方向DR1に互いに異なる厚さを有してもよい。障壁層QBの製造工程において、第1~第4障壁層QB1~QB4それぞれに対する工程条件によって、第1~第4障壁層QB1~QB4の厚さは互いに異なってもよい。
【0065】
以下、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3をまとめて言うときは井戸層QWと言い、第1、第2、第3、第4障壁層QB1、QB2、QB3、QB4をまとめて言うときは障壁層QBと言う。
【0066】
一実施形態では、障壁層QBの第1方向DR1における厚さは、井戸層QWの厚さと同じであっても異なってもよい。例えば、障壁層QBの厚さは、井戸層QWの厚さよりも厚くてもよい。
【0067】
一実施形態では、障壁層QBおよび井戸層QWは、互いに異なる組成を有してもよい。例えば、井戸層QWは、GaN、GaInP、AlGaInP、InGaN、およびInGaAsPのうちの少なくとも1つを含むことができる。障壁層QBは、GaN、InGaN、AlGaP、およびAlGaAsのうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、井戸層QWは、障壁層QBよりも高いインジウム(In)組成比を有してもよい。
【0068】
一実施形態では、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成は互いに同じでもよいが、これに限定されず、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成は互いに異なってもよい。例えば、第1および、第2井戸層QW1、QW2がInGaNである場合、第3井戸層QW3はGaNであってもよい。
【0069】
一実施形態では、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成が互いに同じである場合、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成比は互いに異なってもよいが、これに限定されず、互いに同じであってもよい。
【0070】
一実施形態では、第1~第4障壁層QW1、QW2、QW3、QW4の組成は互いに同じであってもよいが、これに限定されず、第1~第4障壁層QW1、QW2、QW3、QW4の組成は互いに異なってもよい。
【0071】
一実施形態では、第1~第4障壁層QW1、QW2、QW3、QW4の組成が互いに同じである場合、第1~第4障壁層QW1、QW2、QW3、QW4の組成比は互いに同じであってもよいが、これに限定されず、第1~第4障壁層QW1、QW2、QW3、QW4の組成比は互いに異なってもよい。
【0072】
図1、
図3a、および
図3bを参照すると、第1半導体層11から注入される電子と第2半導体層13から注入される正孔とが活性層12の井戸層QWで再結合(recombination)し、これにより井戸層QWのバンドギャップエネルギーに該当する光が発散されることができる。
【0073】
図4aは、
図1の活性層を構成する井戸層の一実施形態を示す斜視図である。
【0074】
図4aに示す活性層12は、単一量子井戸構造(
図3a参照)を有することができるが、これに限定されない。例えば、活性層12が多重量子井戸構造を有する場合、
図4aに示す井戸層QWは、複数の井戸層のうちの少なくとも1つの井戸層を示す。
【0075】
一実施形態では、井戸層QWは、障壁層QB上に配置されることができる。井戸層QWは、第1面および前記第1面に対向する第2面を含むことができる。一例では、井戸層QWの前記第1面および第2面は障壁層QBと接してもよい。例えば、井戸層QWの前記第1面が第1障壁層(例えば、
図3aの第1障壁層QB1)と接する場合、井戸層QWの前記第2面は第2障壁層(例えば、
図3aの第2障壁層QB2)と接してもよい。
【0076】
一実施形態では、井戸層QWは、複数のエッチングホールEHを含んでもよい。複数のエッチングホールEHは、第1方向DR1に井戸層QWを貫通することができる。エッチングホールEHは、井戸層QWの前記第1面から前記第2面まで延びてもよい。
【0077】
一実施形態では、エッチングホールEHは互いに離隔して配置されてもよい。エッチングホールEHは、互いに異なる形状を有してもよい。一例では、第2方向DR2におけるエッチングホールEHの断面積は互いに異なってもよい。
【0078】
一実施形態では、エッチングホールEHは、井戸層QWを部分的に除去することによって形成されることができる。一例では、障壁層QB上に配置された井戸層QWをエッチングガスに露出する場合、複数のエッチングホールEHが形成されることができる。以下、複数のエッチングホールEHを含む井戸層QWの製造方法については、
図9~
図17を参照して後述する。
【0079】
一実施形態では、井戸層QWに形成された複数のエッチングホールEHは、井戸層QWの縁に向かって形成される電流経路(current path)を遮断することができる。すなわち、複数のエッチングホールEHは、井戸層QWに注入された電子が井戸層QWの縁に移動することを遮断(または抑制)することができる。
【0080】
本発明の実施形態による発光素子は、井戸層QWに形成された複数のエッチングホールEHを介して、井戸層QWの縁に沿って移動した電子によって漏洩電流(leakage current)が発生することを防止(または抑制)することができる。
【0081】
本発明の実施形態による発光素子は、前記漏洩電流によって活性層12から放出される光の特性(例えば、外部量子効率および輝度変化率)が変化して、発光素子の信頼性が低下することを改善することができる。
【0082】
図4bは、
図1の活性層を構成する井戸層の他の一実施形態を示す斜視図である。
【0083】
図4aおよび
図4bを参照すると、複数のエッチングホールEH’を除いた残りの構成は、
図4aに示した構成と同じであるので、重複する説明は省略する。
【0084】
図4bを参照すると、井戸層QW’は、第1領域EA1および第2領域EA2を含むことができる。一例では、第1領域EA1は、井戸層QW’の中心と隣接する領域であり得る。第2領域EA2は、井戸層QW’の縁と隣接する周辺領域であり得る。第1領域EA1は、第2領域EA2の内側領域であり得る。井戸層QW’の中心は、平面図において井戸層QW’の重心であり得る。井戸層QW’の縁は、井戸層QW’の中心から所定距離離隔された井戸層QW’の一領域であり得る。
【0085】
一実施形態では、井戸層QW’の平面形状は円形状として示されたが、これに限定されず、井戸層QW’の平面形状は多角形状を含んでもよい。
【0086】
井戸層QW’はエッチングホールEH’を含んでもよい。エッチングホールEH’は、井戸層QW’の第2領域EA2にのみ配置されることができる。すなわち、エッチングホールEH’は、井戸層QW’の縁に隣接する領域にのみ配置されることができる。
【0087】
一実施形態では、エッチングホールEH’は、第2領域EA2に配置されることによって、第1領域EA1に注入された電子が井戸層QW’の縁に移動することを遮断(または抑制)することができる。
【0088】
一実施形態では、井戸層QWの内部量子効率(IQE:internal quantum efficiency)を低下させない範囲内で、エッチングホールEH’を井戸層QW’の縁と隣接する領域に配置することができる。
【0089】
図5は、
図3aの活性層の一実施形態を示す断面図である。
【0090】
図5を参照すると、井戸層QWは、第1障壁層QB1および第2障壁層QB2の間に配置されることができる。井戸層QWは、複数のエッチングホールEH1を含んでもよい。
【0091】
一実施形態では、複数のエッチングホールEH1は、第1エッチングホールEH1aおよび第2エッチングホールEH1bを含んでもよいが、これに限定されず、第3~第Nエッチングホールを含んでもよい。
【0092】
一実施形態では、複数のエッチングホールEH1は、井戸層QWを第1方向DR1に貫通することができる。複数のエッチングホールEH1は、第2方向DR2に沿って配置(または配列)されることができる。一例では、第2方向DR2は、第1方向DR1と交差する方向であり得る。第1エッチングホールEH1aおよび第2エッチングホールEH1bは、互いに離隔して配置されることができる。
【0093】
一実施形態では、複数のエッチングホールEH1は、様々な柱状に形成されることができる。一例では、複数のエッチングホールEH1のそれぞれは、第1方向DR1の位置によって第2方向DR2の幅が変わってもよい。例えば、第1エッチングホールEH1aの第1幅W1aは、第2幅W2aよりも狭くてもよい。第1幅W1aは、第2障壁層QB2と接する領域における第1エッチングホールEH1aの幅であり得る。第2幅W2aは、活性層12の長さ方向(例えば、第1方向DR1の中央箇所における第1エッチングホールEH1aの幅であり得る。
【0094】
一実施形態では、複数のエッチングホールEH1の幅はそれぞれ異なってもよい。一例では、第1エッチングホールEH1aの第1幅W1aは、第2エッチングホールEH1bの第1幅W1bよりも狭くてもよい。第1エッチングホールEH1aの第1幅W1aおよび第2エッチングホールEH1bの第1幅W1bは、第2障壁層QB2と接する領域における複数のエッチングホールEH1の幅であり得る。一例では、第1エッチングホールEH1aの第2幅W2aは、第2エッチングホールEH1bの第2幅W2bよりも狭くてもよい。
【0095】
一実施形態では、複数のエッチングホールEH1の幅(または、側壁の形状)は、第2方向DR2の軸(例えば、井戸層QWの膜厚方向において、井戸層QWの膜厚の1/2の位置において第2方向DR2に延びる軸)を中心として対称であり得る。一例では、第1エッチングホールEH1aの第1幅W1aは、第1障壁層QB1と接する領域における第1エッチングホールEH1aの幅と同じであってもよいが、これに限定されない。例えば、第1エッチングホールEH1aの第1幅W1aは、第1障壁層QB1と接する領域における第1エッチングホールEH1aの幅よりも大きくてもよい。
【0096】
一実施形態では、第2障壁層QB2は、井戸層QWに形成された複数のエッチングホールEH1および第1障壁層QB1によって形成された空間を満たすことができる。第1障壁層QB1上に井戸層QWが形成されるので、第1障壁層QB1および井戸層QWに形成された複数のエッチングホールEHは溝(Groove)を形成することができる。すなわち、井戸層QW上に第2障壁層QB2が形成されるので、第2障壁層QB2は第1障壁層QB1および井戸層QWに形成された複数のエッチングホールEHによって形成された溝の少なくとも一空間を満たすことができる。
【0097】
一実施形態では、井戸層QW内で凝集したインジウムは、相対的に他の組成よりも結合エネルギーが低いので、井戸層QWに対するエッチング工程によって先に除去されることができる。すなわち、井戸層QWに対するエッチング比が大きいほど井戸層QWのインジウム組成比は低くなり得る。井戸層QWに対するエッチング比が大きいほどエッチングホールEHの大きさは大きくなり得る。
【0098】
図6は、
図3bの活性層を構成する井戸層の一実施形態を示す断面図である。
【0099】
図6を参照すると、第1井戸層QW1は、第1エッチングホールEH1を含むことができる。第1エッチングホールEH1は、第1井戸層QW1を第1方向DR1に貫通することができる。一例では、第1エッチングホールEH1は、第1障壁層QB1から第2障壁層QB2に向かうように第1井戸層QW1を貫通することができる。
【0100】
一実施形態では、第2井戸層QW2は、第2障壁層QB2および第3障壁層QB3の間に配置されることができる。一例では、第2井戸層QW2は、第2エッチングホールEH2を含むことができる。第2エッチングホールEH2は、第2井戸層QW2を第1方向DR1に貫通することができる。一例では、第2エッチングホールEH2は、第2障壁層QB2から第3障壁層QB3に向かうように第2井戸層QW2を貫通することができる。
【0101】
一実施形態では、第3井戸層QW3は、第3障壁層QB3および第4障壁層QB4の間に配置されることができる。一例では、第3井戸層QW3は、第3エッチングホールEH3を含むことができる。第3エッチングホールEH3は、第3井戸層QW3を第1方向DR1に貫通することができる。一例では、第3エッチングホールEH3は、第3障壁層QB3から第4障壁層QB4に向かうように第3井戸層QW3を貫通することができる。
【0102】
一実施形態では、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3は、GaInP、AlGaInP、InGaN、およびInGaAsPのうちの少なくとも1つの物質を含むことができる。
【0103】
一実施形態では、エッチングホールEHは、井戸層QWを部分的にエッチングすることによって形成されることができる。一例では、第1エッチングホールEH1は、第1井戸層QW1を部分的にエッチングすることによって形成されることができる。第2および、第3エッチングホールEH2、EH3も第1エッチングホールEH1と同じ方式で形成することができる。
【0104】
一実施形態では、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成は互いに同じであり、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成比は互いに異なってもよい。例えば、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成はインジウム(In)、ガリウム(Ga)、および窒素(N)で構成される場合、第3井戸層QW3のインジウム組成比は第1および、第2井戸層QW1、QW2のインジウム組成比よりも小さくてもよい。すなわち、第3井戸層QW3に対するエッチング比を第1、第2井戸層QW1、QW2のエッチング比よりも大きく設定する場合、第3井戸層QW3から除去されるインジウムの量は相対的に多くてもよい。他の一例では、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成は互いに同じであり、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成比も互いに同じであってもよい。例えば、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3のそれぞれが同じ物質および同じ工程条件に従ってエッチングされる場合、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3の組成および組成比は互いに同じであってもよい。一実施形態では、エッチングホールEHの個数および大きさのそれぞれは、エッチングホールEHを形成するための井戸層QWに対するエッチング工程条件によって変わってもよい。一例では、第1、第2、第3井戸層QW1、QW2、QW3に対するエッチングは、互いに異なる工程条件によって行うことができる。
【0105】
一実施形態では、第1、第2、第3エッチングホールEH1、EH2、EH3の個数は、互いに異なってもよい。一例では、第1エッチングホールEH1、第2エッチングホールEH2、および第3エッチングホールEH3の幅の大きさは、互いに異なってもよい。
【0106】
図7は、
図1の発光素子の活性層の電流密度に対する外部量子効率を示すグラフである。
【0107】
図7の符号Refは、井戸層の一領域がエッチングガスに露出されない場合を示す比較例であり、符号Ex1は、井戸層QWの一領域がエッチングガスに露出された場合を示す第1実施例である。一例では、前記エッチングガスは水素(H
2)ガスを含んでもよい。
【0108】
図7を参照すると、電流密度に関する全区間において第1実施例Ex1の外部量子効率(EQE:external quantum efficiency)は、比較例Refの外部量子効率よりも高い。第1実施例Ex1による井戸層QWには、複数のエッチングホールEHが形成されることができる。第1実施例Ex1による井戸層QWは、複数のエッチングホールEHを介して井戸層QWの縁に向かう電流経路を遮断することができる。すなわち、漏洩電流によって井戸層QWから放出される光の割合の低下を防止することができる。
【0109】
図8は、
図1の発光素子において、活性層から放出される光の輝度変化率を示すグラフである。
【0110】
図8の符号Refは、井戸層QWの一領域がエッチングガスに露出されない場合を示す比較例であり、符号Ex1は、井戸層QWの一領域が第1の時間の間にエッチングガスに露出された場合を示す第1実施例であり、符号Ex2は、井戸層QWの一領域が第2の時間の間にエッチングガスに露出された場合を示す第2実施例である。一例では、前記エッチングガスは水素(H
2)ガスを含んでもよい。前記第1の時間は前記第2の時間よりも長く、例えば、前記第1の時間は約90秒であって前記第2の時間は約60秒であってもよい。
【0111】
図8を参照すると、比較例Refは、第1実施例Ex1および第2実施例Ex2よりも経時による輝度変化率が大きい。比較例Refは、井戸層において、井戸層の縁に向かう電流経路が形成されていることから、前記電流経路に移動した電子によって漏洩電流が発生し得る。すなわち、漏洩電流によって、井戸層から放出される光の輝度変化率が大きくなり得る。比較例Refによる井戸層から放出される光の信頼性は、第1実施例Ex1および第2実施例Ex2による井戸層QWから放出される光よりも低い。
【0112】
第1実施例Ex1は、第2実施例Ex2よりも輝度変化率が小さい。第1実施例Ex1は、第2実施例Ex2よりも井戸層QWの一領域がエッチングガスに露出される時間が長い。井戸層QWの一領域がエッチングガスに露出される時間が長いほど、井戸層QWの縁に向かう相対的に多くの電流経路を遮断することができる。これにより、第1実施例Ex1は、第2実施例Ex2よりも前記電流経路を介して漏れる電流の量を減らすことができる。第1実施例Ex1による井戸層QWから放出される光は、第2実施例Ex2による井戸層QWから放出される光よりも漏洩電流によって輝度が低下する程度が低いことができる。
【0113】
図9~
図17は、
図1の発光素子を製造する方法を示す概略的な平面図である。
【0114】
図9を参照すると、基板SUB上に第1半導体層11を形成することができる。
【0115】
基板SUBは、対象物質を積層するためのベース板であり得る。基板SUBは、所定の物質に対するエピタキシャル成長(epitaxial growth)のためのウェハ(wafer)であり得る。一例によれば、基板SUBは、サファイア(sapphire)基板、GaAs基板、Ga基板、InP基板のうちのいずれか1つであり得るが、これに限定されない。例えば、特定の材料が発光素子LDを製造するための選択比を満たし、所定の物質に対するエピタキシャル成長が円滑に発生できる場合、前記特定の材料は基板SUBの材料として選ばれ得る。基板SUBの形状は、長方形を含む多角形状あるいは円形状であり得るが、これに限定されない。
【0116】
基板SUB上に第1半導体層11を配置するものとして
図10に示すが、基板SUBと第1半導体層11との間に未ドープ半導体層(図示せず)を形成することができる。前記未ドープ半導体層は、第1半導体層11内の欠陥を抑制するために、ドーパントが提供されない半導体層であってもよい。前記未ドープ半導体層は、InAlGaN、GaN、AlGaN、InGaN、AlN、InNのうちのいずれか1つの半導体材料を含むが、未ドープ半導体層には別途のドーパントが提供されなくてもよい。ドーパントが提供されない未ドープ半導体層のエッチング比は、第1半導体層11のエッチング比と異なってもよい。
【0117】
図10および
図11を参照すると、活性層(例えば、
図1の活性層12)の第1障壁層QB1および井戸層UQWを第1半導体層11上に、第1方向DR1に順次形成することができる。
【0118】
一実施形態では、井戸層UQWは、GaInP、AlGaInP、InGaN、およびInGaAsPのうちの少なくとも1つを含むことができる。第1障壁層QB1は、GaN、InGaN、AlGaP、およびAlGaAsのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0119】
一実施形態では、井戸層UQWに相対的に多量のインジウム(In)が含まれるほど、第1半導体層11と井戸層UQWとの間の格子不整合が大きくなる。したがって、第1半導体層11と井戸層UQWとの間に第1障壁層QB1を介在することで、第1半導体層11と井戸層UQWとの間の格子不整合を緩和することができる。
【0120】
一実施形態では、第1障壁層QB1は、第1温度を含む高温区間で成長されることができ、井戸層UQWは、前記第1温度よりも低い第2温度で成長されることができる。第1障壁層QB1の結晶性を確保するために、井戸層UQWよりも高い温度に成長されることができる。
【0121】
図12および
図13を参照すると、井戸層UQWの少なくとも一領域をエッチングすることによって、複数のエッチングホールEHを含む井戸層QWを形成することができる。
【0122】
一実施形態では、井戸層UQWの一領域を第1方向DR1にエッチングすることによって、複数のエッチングホールEHを形成することができる。前記井戸層UQWの少なくとも一領域は、エッチングガスに露出されてもよい。複数のエッチングホールEHは、井戸層UQWの一領域をエッチングして除去した領域に対応することができる。複数のエッチングホールEHは、井戸層QWを第1方向DR1に貫通することができる。
【0123】
一実施形態では、前記エッチングガスは水素(H2)ガスを含んでもよいが、これに限定されない。例えば、エッチングガスは、水素ガスを含む混合ガスであってもよい。
【0124】
一実施形態では、井戸層UQW内に凝集しているインジウム(In)は、前記エッチングガスによって除去することができる。凝集しているインジウム(In)は、相対的に結合エネルギーが低いので、エッチングガスによって他の物質よりも先に除去することができる。
【0125】
一実施形態では、井戸層QWの組成比は、エッチングの工程条件に応じて変わってもよい。一例では、井戸層QWにInXGa1-XN(ただし、0<X<1)が含まれる場合、井戸層QWのインジウム(In)の組成Xは約0.05~0.4であり得る。井戸層QWのインジウム組成比は、エッチング工程が進行する前の井戸層UQWのインジウム組成比よりも低くてもよい。
【0126】
一実施形態では、前記第1温度で井戸層UQWを形成した後、後続工程のために温度を第2温度に上昇させることができる。井戸層UQWに対する部分エッチング工程は、前記第1温度から前記第2温度まで上昇する間に行うことができる。一実施形態では、複数のエッチングホールEHの大きさおよび個数は、前記エッチングガスの量、前記エッチングガスの分圧、前記エッチングガスの露出時間、および前記エッチングガスに露出される井戸層UQWの一領域の大きさのうちの少なくとも1つによって制御することができる。一例では、前記エッチングガスの量が多いほど、複数のエッチングホールEHの大きさは大きくなり得る。前記エッチングガスの分圧が高いほど、複数のエッチングホールEHの大きさは大きくなり得る。前記エッチングガスの露出時間が長いほど、複数のエッチングホールEHの大きさは大きくなり得る。また、エッチングガスに露出される井戸層UQWの一領域が多いほど、複数のエッチングホールEHの個数は多くなり得る。
【0127】
図13を参照すると、井戸層QW上に第2障壁層QB2を形成することができる。
【0128】
一実施形態では、第2障壁層QB2は、前記第2温度で形成することができる。一例では、第2障壁層QB2は、第1障壁層QB1と同じ物質で形成することができる。
【0129】
一実施形態では、第2障壁層QB2は、井戸層QWに形成された複数のエッチングホールEHを満たすことができる。
【0130】
以上、活性層12が単一量子井戸構造を有する場合の製造方法について説明したが、活性層12が多重量子井戸構造を有する場合、障壁層QBと井戸層QWとを形成する工程を繰り返すことにより、多重量子井戸構造を有する活性層12を形成することができる。
【0131】
図14を参照すると、第2障壁層QB2上に第2半導体層13を形成することができる。
【0132】
一実施形態では、基板SUB上に第1方向DR1に順次積層された第1半導体層11、活性層12、および第2半導体層13は、第1積層構造SP1で構成されることができる。
【0133】
一実施形態では、第2半導体層13上に電極層(図示せず)を形成することができる。前記電極層は、発光素子LDの外部に放出される光の損失を最小化することができ、一例によれば、第2半導体層13への電流拡散(current spreading)効果を向上させるために、透明な金属酸化物を含んでもよい。
【0134】
第1半導体層11、活性層12、および第2半導体層13は、エピタキシャル成長によって形成されることができ、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor-phase Deposition)、分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)、気相エピタキシー法(VPE:Vapor Phase Epitaxy)、および液相エピタキシー法(LPE:Liquid Phase Epitaxy)のうちのいずれか1つの方法によって形成されることができる。
【0135】
前述したように、第1半導体層11と第2半導体層13は、互いに異なるタイプの半導体層で構成されることができる。活性層12は、互いに異なる極性を有する第1半導体層11と第2半導体層13との間に位置して、発光素子LDの両端に電圧以上の電気的情報が提供されると、活性層12から光が発散されることができる。
【0136】
図16を参照すると、第1積層構造SP1を積層方向(例えば、第1方向DR1)にエッチングすることによって、第2積層構造SP2を形成することができる。第2積層構造SP2は、前記積層方向に沿って第1積層構造SP1の一領域をエッチングして除去した構造に対応することができる。第2積層構造SP2それぞれは、第1半導体層11、活性層12、および第2半導体層13が順次配列された構造を意味することができる。
【0137】
第2積層構造SP2を形成するために、第1積層構造SP1の全面にマスク(図示せず)を配置し、エッチング工程を進行してナノスケール乃至マイクロスケール間隔のパターニングを行うことができる。一例では、第2積層構造SP2を形成するためのエッチング工程は、ドライエッチング法であってもよい。前記ドライエッチング法は、反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)、反応性イオンビームエッチング(RIBE;Reactive Ion Beam Etching)、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP-RIE;Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching)のうちのいずれか1つであり得る。
【0138】
前述したエッチング工程は、第2半導体層13から第1半導体層11に向かう方向に行うことができる。
【0139】
図17を参照すると、第1半導体層11、活性層12、および第2半導体層13をカバーするための絶縁膜14を形成することができる。例えば、絶縁膜14は、第2積層構造SP2をカバーすることができる。
【0140】
図17を参照すると、第2積層構造SP2は、第2積層構造SP2上の絶縁膜14を除去し、基板SUBから分離して発光素子LDで提供されることができる。基板SUBから分離された第2積層構造SP2は、発光素子LDとして提供されることができる。
【0141】
一実施形態では、絶縁膜14は、第2積層構造SP2と同じ高さを有してもよい。
【0142】
以下では、
図18~
図20を参照して、実施形態による発光素子LDを含む表示装置について説明する。
【0143】
図18は、実施形態による発光素子を含む表示装置を示す平面図である。
【0144】
図18では、発光素子LDを光源として利用可能な表示装置DDの一例を示す。
図18では、表示領域DAを中心として表示装置DDの構造を簡略に示す。ただし、実施形態によっては、図示しない少なくとも1つの駆動回路部(例えば、走査駆動部およびデータ駆動部のうちの少なくとも1つ)、配線および/またはパッドを表示装置DDにさらに配置してもよい。
【0145】
図18を参照すると、表示装置DDは、基板SSおよび基板SS上に配置された画素PXLを含むことができる。画素PXLは、基板SS上に複数備えられることができる。
【0146】
基板SSは、表示装置DDのベース部材を構成するものであって、硬性または軟性の基板やフィルムであり得る。
【0147】
表示装置DDおよびこれを形成するための基板SSは、映像を表示するための表示領域DAおよび表示領域DAを除く非表示領域NDAを含むことができる。
【0148】
表示領域DAには画素PXLを配置することができる。画素PXLは、発光素子LDを含むことができる。前記発光素子LDは、
図1、
図2および
図18を参照して前述した発光素子であり得る。非表示領域NDAには、表示領域DAの画素PXLに接続される各種配線、パッドおよび/または内蔵回路部を配置することができる。画素PXLは、ストライプ(stripe)またはペンタイル(PENTILE)(登録商標)配列構造などに従って規則的に配列されることができる。ただし、画素PXLの配列構造はこれに限定されず、画素PXLは様々な構造および/または方式で表示領域DAに配列されることができる。
【0149】
実施形態によれば、表示領域DAには、互いに異なる色の光を放出する2種類以上の画素PXLを配置することができる。一例として、画素PXLは、第1色の光を放出する第1画素PXL1、第2色の光を放出する第2画素PXL2、および第3色の光を放出する第3画素PXL3を含むことができる。互いに隣接するように配置した少なくとも1つの第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3は、様々な色の光を放出できる1つの画素ユニットを構成することができる。例えば、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3は、それぞれ所定色の光を放出するサブ画素であってもよい。実施形態によれば、第1画素PXL1は、赤色光を放出する赤色画素であってもよく、第2画素PXL2は、緑色光を放出する緑色画素であってもよく、第3画素PXL3は、青色光を放出する青色画素であってもよいが、これに限定されない。
【0150】
実施形態によれば、第1画素PXL1、第2画素PXL2および第3画素PXL3は、それぞれ第1色の発光素子LD、第2色の発光素子LDおよび第3色の発光素子LDを光源として備えることにより、それぞれ第1色、第2色および第3色の光を放出することができる。他の実施形態では、第1画素PXL1、第2画素PXL2および第3画素PXL3は、互いに同じ色の光を放出する発光素子LDを備えるが、それぞれの発光素子LD上に配置された互いに異なる色相のカラー変換層および/またはカラーフィルタを含むことによって、それぞれ第1色、第2色および第3色の光を放出することもできる。ただし、それぞれの画素ユニットを構成する画素PXLの色相、種類および/または個数などは特に限定されない。すなわち、それぞれの画素PXLが放出する光の色は様々に変更されることができる。
【0151】
実施形態によれば、画素PXLは、所定の制御信号(例えば、走査信号およびデータ信号)および/または所定の電源(例えば、第1電源および第2電源)によって駆動される少なくとも1つの光源を含むことができる。一実施形態では、それぞれの画素PXLは、能動型の画素で構成されることができる。ただし、表示装置に適用できる画素PXLの種類、構造および/または駆動方式は特に限定されない。例えば、それぞれの画素PXLは、様々な構造および/または駆動方式が受動型または能動型の発光表示装置の画素で構成されることができる。
【0152】
図19は、
図18の表示装置に含まれる画素の一実施形態を示す断面図である。
【0153】
図19を参照すると、画素PXLは、基板SS、画素回路部PCL、および表示素子層DPLを含むことができる。
【0154】
基板SSは、画素PXLの基底面を構成することができる。基板SSは、硬性または軟性の基板であり得る。一例によれば、基板SSは、硬性(rigid)素材あるいは可撓性(flexible)素材を含んでもよい。ただし、基板SSの素材は、特定の例に限定されない。
【0155】
画素回路部PCLは、基板SS上に配置されることができる。画素回路部PCLは、バッファ膜BFL、トランジスタT、ゲート絶縁膜GI、第1層間絶縁膜ILD1、第2層間絶縁膜ILD2、第1コンタクトホールCH1、第2コンタクトホールCH2、および保護膜PSVを含むことができる。
【0156】
バッファ膜BFLは、基板SS上に位置することができる。バッファ膜BFLは、不純物の外部からの拡散を防止できる。バッファ膜BFLは、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)、アルミニウム酸化物(AlOx)などのような金属酸化物のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0157】
トランジスタTは、駆動トランジスタであってもよい。トランジスタTは、半導体パターンSCL、ゲート電極GE、第1トランジスタ電極TE1、および第2トランジスタ電極TE2を含むことができる。
【0158】
半導体パターンSCLは、バッファ膜BFL上に位置することができる。半導体パターンSCLは、ポリシリコン(poly silicon)、アモルファスシリコン(amorphous silicon)および酸化物半導体のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0159】
半導体パターンSCLは、第1トランジスタ電極TE1と接触する第1接触領域および第2トランジスタ電極TE2と接触する第2接触領域を含むことができる。前記第1接触領域と前記第2接触領域は、不純物がドープされた半導体パターンであってもよい。前記第1接触領域と前記第2接触領域との間の領域はチャンネル領域であってもよい。前記チャンネル領域は、不純物がドープされていない真性半導体パターンであってもよい。
【0160】
ゲート絶縁膜GIは、半導体パターンSCL上に提供されることができる。ゲート絶縁膜GIは、無機材料を含んでもよい。一例によれば、ゲート絶縁膜GIは、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)およびアルミニウム酸化物(AlOx)のうちの少なくとも1つを含むことができる。実施形態によれば、ゲート絶縁膜GIは、有機材料を含んでもよい。
【0161】
ゲート電極GEは、ゲート絶縁膜GI上に位置することができる。ゲート電極GEの位置は、半導体パターンSCLのチャンネル領域の位置と対応することができる。例えば、ゲート電極GEは、ゲート絶縁膜GIを挟んで半導体パターンSCLのチャンネル領域上に配置されることができる。
【0162】
第1層間絶縁膜ILD1は、ゲート電極GE上に位置することができる。第1層間絶縁膜ILD1は、無機材料を含んでもよい。
【0163】
第1トランジスタ電極TE1および第2トランジスタ電極TE2は、第1層間絶縁膜ILD1上に位置することができる。第1トランジスタ電極TE1は、ゲート絶縁膜GIと第1層間絶縁膜ILD1とを貫通して半導体パターンSCLの第1接触領域と接触し、第2トランジスタ電極TE2は、ゲート絶縁膜GIと第1層間絶縁膜ILD1とを貫通して半導体パターンSCLの第2接触領域と接触することができる。第1トランジスタ電極TE1は、保護膜PSVを貫通する第1コンタクトホールCH1を介して第1接続配線CNL1と電気的に接続されることができる。一例によれば、第1トランジスタ電極TE1はソース電極であり、第2トランジスタ電極TE2はドレイン電極であり得る。
【0164】
第2層間絶縁膜ILD2は、第1トランジスタ電極TE1と第2トランジスタ電極TE2との上に位置することができる。第2層間絶縁膜ILD2は、第1層間絶縁膜ILD1およびゲート絶縁膜GIと同様に無機材料を含んでもよい。無機材料としては、第1層間絶縁膜ILD1およびゲート絶縁膜GIの構成物質として挙げられた物質、例えばシリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)およびアルミニウム酸化物(AlOx)のうちの少なくとも1つを含むことができる。実施例によれば、第2層間絶縁膜ILD2は、有機材料を含んでもよい。
【0165】
電源ラインPLは、第2層間絶縁膜ILD2上に配置されることができる。電源ラインPLは、保護膜PSVを貫通する第2コンタクトホールCH2を介して第2接続配線CNL2と電気的に接続されることができる。電源ラインPLには電源が供給され、供給された電源は第2コンタクトホールCH2を介して第2接続配線CNL2に提供されることができる。
【0166】
保護膜PSVは、第2層間絶縁膜ILD2上に位置することができる。保護膜PSVは、電源ラインPLをカバーすることができる。保護膜PSVは、有機絶縁膜、無機絶縁膜、または前記無機絶縁膜上に配置された前記有機絶縁膜を含む形態で提供されることができる。
【0167】
表示素子層DPLは、第1バンクBNK1、第1電極ELT1、第2電極ELT2、第1絶縁膜INS1、発光素子LD、第1コンタクト電極CNE1、第2コンタクト電極CNE2、第2絶縁膜INS2、第2バンクBNK2、および第3絶縁膜INS3を含むことができる。
【0168】
第1バンクBNK1は、上部方向に突出した形状を有してもよく、第1バンクBNK1上には第1電極ELT1および第2電極ELT2が配列されて、反射隔壁が形成されることができる。反射隔壁が形成されることで発光素子LDの光効率を改善することができる。
【0169】
第1電極ELT1の一部は保護膜PSV上に配列されることができ、第1電極ELT1の他の一部は第1バンクBNK1上に配列されることができる。第1電極ELT1は、第1接続配線CNL1を介して印加された発光素子LDに関する電気的情報が提供される経路であり得る。第2電極ELT2の一部は保護膜PSV上に配列されることができ、第2電極ELT2の他の一部は第1バンクBNK1上に配列されることができる。第2電極ELT2は、第2接続配線CNL2を介して印加された発光素子LDに関する電気的情報が提供される経路であり得る。
【0170】
第1絶縁膜INS1は、保護膜PSV上に位置することができる。第1絶縁膜INS1は、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)およびアルミニウム酸化物(AlOx)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0171】
第1絶縁膜INS1の少なくとも一部は、第1コンタクト電極CNE1、第2コンタクト電極CNE2、第1電極ELT1、および/または第2電極ELT2上に配置されて、電気的接続を安定させ、外部影響を減殺させることができる。
【0172】
第1絶縁膜INS1上には発光素子LDが位置することができる。一例によれば、第1絶縁膜INS1は、所定の溝を有することができ、発光素子LDの少なくとも一部は前記溝から形成された端部に接し、発光素子LDの他の一部は前記溝によって形成された他の端部に接することができる。
【0173】
発光素子LDは、第1電極ELT1と第2電極ELT2との間の第1絶縁膜INS1上に位置することができる。発光素子LDは、
図1および
図2を参照して前述した発光素子LDであり得る。
【0174】
第2絶縁膜INS2は、発光素子LD上に位置することができる。第2絶縁膜INS2は、発光素子LDの活性層ALに対応する領域をカバーするように形成されることができる。第2絶縁膜INS2は、有機材料あるいは無機材料のうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。
【0175】
実施形態によれば、第2絶縁膜INS2の少なくとも一部は、発光素子LDの背面上に位置することができる。発光素子LDの背面上に形成された第2絶縁膜INS2は、第2絶縁膜INS2を発光素子LD上に形成する過程において、第1絶縁膜INS1と発光素子LDとの間の隙間を埋めることができる。
【0176】
第1コンタクト電極CNE1および第2コンタクト電極CNE2は、第1絶縁膜INS1上に配置されることができる。第1コンタクト電極CNE1および第2コンタクト電極CNE2は、それぞれ第1絶縁膜INS1に形成されたコンタクトホールを介して第1電極ELT1および第2電極ELT2に電気的に接続されることができる。
【0177】
実施形態によれば、第1コンタクト電極CNE1および第2コンタクト電極CNE2は、透明伝導性物質を含んでもよい。一例によれば、第1コンタクト電極CNE1は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびITZO(Indium Tin Zinc Oxide)を含む導電性物質のうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。
【0178】
実施形態によれば、第1電極ELT1を介して提供された電気的信号は、第1コンタクト電極CNE1を介して発光素子LDに提供されることができ、このとき提供された電気的信号に基づいて、発光素子LDは光を発散することができる。第2電極ELT2を介して提供された電気的信号は、第2コンタクト電極CNE2を介して発光素子LDに提供されることができる。
【0179】
第2バンクBNK2は、画素PXLの発光領域を定義する構造物であり得る。発光領域は、発光素子LDから光が放出される領域を意味することができる。例えば、第2バンクBNK2は、隣接する画素PXL間の境界に配置されることができる。
【0180】
第3絶縁膜INS3は、第2バンクBNK2、第1コンタクト電極CNE1、第2コンタクト電極CNE2、および第2絶縁膜INS2上に配列されることができる。第3絶縁膜INS3は、有機材料あるいは無機材料のうちのいずれか1つを含むことができる。第3絶縁膜INS3は、外部影響から表示素子層DPLを保護することができる。
【0181】
発光素子LD、および電極構成などに関する配置関係は、
図20を参照して前述した例に限定されず、変形可能な様々な実施形態による配置関係が具現されることができる。
【0182】
図20は、
図18の表示装置に含まれる第1~第3画素を表す断面図である。
【0183】
図20は、
図18の画素PXLの表示素子層DPL上に提供された隔壁WL、カラー変換層CCL、光学層OPL、および/またはカラーフィルタ層CFLなどを示す。
【0184】
図20を参照すると、隔壁WLは、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3の表示素子層DPL上に配置されることができる。一例として、隔壁WLは、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3の間または境界に配置され、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3とそれぞれ重畳する開口部を含んでもよい。隔壁WLの開口部は、カラー変換層CCLを提供可能な空間を提供することができる。
【0185】
隔壁WLは、アクリル樹脂(acrylic resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)、ポリエステル樹脂(polyester resin)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(polyphenylenesulfide resin)またはベンゾシクロブテン(benzocyclobutene、BCB)などの有機物質を含んでもよい。ただし、必ずしもこれに限定されるものではなく、隔壁WLはシリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)、アルミニウム窒化物(AlNx)、アルミニウム酸化物(AlOx)、ジルコニウム酸化物(ZrOx)、ハフニウム酸化物(HfOx)、またはチタン酸化物(TiOx)をはじめとする様々な種類の無機物質を含んでもよい。
【0186】
実施形態によれば、隔壁WLは、少なくとも1つの遮光性および/または反射性物質を含むことができる。これにより、隣接する画素PXLの間での光漏れを防止することができる。例えば、隔壁WLは、少なくとも1つのブラックマトリックス物質および/またはカラーフィルタ物質などを含むことができる。一例として、隔壁WLは、光の透過を遮断できる黒色の不透明パターンで形成されることができる。一実施形態では、各画素PXLの光効率を高めることができるように、隔壁WLの表面(例えば、側壁)に反射膜(図示せず)などを形成してもよい。
【0187】
カラー変換層CCLは、隔壁WLの開口部内で、発光素子LDをはじめとする発光素子層LEL上に配置されることができる。カラー変換層CCLは、第1画素PXL1に配置される第1カラー変換層CCL1、第2画素PXL2に配置される第2カラー変換層CCL2、および第3画素PXL3に配置される散乱層LSLを含むことができる。
【0188】
一実施形態では、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3は、互いに同じ色の光を放出する発光素子LDを含むことができる。例えば、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3は、第3色(または、青色)の光を放出する発光素子LDを含むことができる。このような第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3上に、それぞれ色変換粒子を含むカラー変換層CCLを配置することで、フルカラーの映像を表示することができる。
【0189】
第1カラー変換層CCL1は、発光素子LDから放出される第3色の光を第1色の光に変換する第1色変換粒子を含むことができる。例えば、第1カラー変換層CCL1は、ベース樹脂などのような所定のマトリックス材料内に分散された複数の第1量子ドットQD1を含むことができる。
【0190】
発光素子LDが青色の光を放出する青色発光素子であり、第1画素PXL1が赤色画素である場合、第1カラー変換層CCL1は、前記青色発光素子から放出される青色の光を赤色の光に変換する第1量子ドットQD1を含むことができる。第1量子ドットQD1は、青色光を吸収して、エネルギー遷移に応じて波長をシフトさせて赤色光を放出することができる。一方、第1画素PXL1が別の色の画素である場合、第1カラー変換層CCL1は、第1画素PXL1の色に対応する第1量子ドットQD1を含むことができる。
【0191】
第2カラー変換層CCL2は、発光素子LDから放出される第3色の光を第2色の光に変換する第2色変換粒子を含むことができる。例えば、第2カラー変換層CCL2は、ベース樹脂などのような所定のマトリックス材料内に分散された複数の第2量子ドットQD2を含むことができる。
【0192】
発光素子LDが青色の光を放出する青色発光素子であり、第2画素PXL2が緑色画素である場合、第2カラー変換層CCL2は、前記青色発光素子から放出される青色の光を緑色の光に変換する第2量子ドットQD2を含むことができる。第2量子ドットQD2は、青色光を吸収して、エネルギー遷移に応じて波長をシフトさせて緑色光を放出することができる。一方、第2画素PXL2が別の色の画素である場合、第2カラー変換層CCL2は、第2画素PXL2の色に対応する第2量子ドットQD2を含むことができる。
【0193】
可視光線領域のうち比較的短い波長を有する青色の光をそれぞれ第1量子ドットQD1および第2量子ドットQD2に入射させることで、第1量子ドットQD1および第2量子ドットQD2の吸収係数を増加させることができる。これにより、最終的に第1画素PXL1および第2画素PXL2から放出される光効率を向上させると共に、優れる色再現性を確保することができる。また、同じ色の発光素子LD(例えば、青色発光素子)を用いて第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3の発光部EMUを構成することによって、表示装置の製造効率を高めることができる。
【0194】
散乱層LSLは、発光素子LDから放出される第3色(または、青色)の光を効率的に用いるために備えられることができる。一例として、発光素子LDが青色の光を放出する青色発光素子であり、第3画素PXL3が青色画素である場合、散乱層LSLは、発光素子LDから放出される光を効率的に用いるために、少なくとも1種類の散乱体SCTを含むことができる。
【0195】
例えば、散乱層LSLは、ベース樹脂などのような所定のマトリックス材料内に分散された複数の散乱体SCTを含むことができる。一例として、散乱層LSLは、シリカ(silica)のような散乱体SCTを含むことができるが、散乱体SCTの構成物質はこれに限定されない。一方、散乱体SCTは、第3画素PXL3に配置されるだけでなく、第1カラー変換層CCL1または第2カラー変換層CCL2の内部にも選択的に含まれてもよい。一実施形態によれば、散乱体SCTを省略して、透明ポリマーからなる散乱層LSLを提供してもよい。
【0196】
カラー変換層CCL上には第1キャプピング層CPL1を配置することができる。第1キャッピング層CPL1は、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3にわたって提供されることができる。第1キャッピング層CPL1は、カラー変換層CCLをカバーすることができる。第1キャッピング層CPL1は、外部から水分または空気などの不純物が浸透して、カラー変換層CCLを損傷させたり汚染させたりすることを防止できる。
【0197】
第1キャッピング層CPL1は、無機層であって、無機材料を含むことができる。
【0198】
第1キャッピング層CPL1上には光学層OPLを配置することができる。光学層OPLは、カラー変換層CCLから提供された光を全反射によってリサイクルして光抽出効率を向上させる役割を果たすことができる。このために、光学層OPLは、カラー変換層CCLに比べて相対的に低い屈折率を有することができる。例えば、カラー変換層CCLの屈折率は約1.6~2.0であり、光学層OPLの屈折率は約1.1~1.3であり得る。
【0199】
光学層OPL上には第2キャプピング層CPL2を配置することができる。第2キャッピング層CPL2は、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3にわたって提供されることができる。第2キャッピング層CPL2は、光学層OPLをカバーすることができる。第2キャッピング層CPL2は、外部から水分または空気などの不純物が浸透して、光学層OPLを損傷させたり汚染させたりすることを防止できる。
【0200】
第2キャッピング層CPL2は無機層であって、シリコン窒化物(SiNx)、アルミニウム窒化物(AlNx)、チタン窒化物(TiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、アルミニウム酸化物(AlOx)、チタン酸化物(TiOx)、シリコン酸炭化物(SiOxCy)、またはシリコン酸窒化物(SiOxNy)などを含んでなることができる。
【0201】
第2キャッピング層CPL2上には平坦化層PLLを配置することができる。平坦化層PLLは、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3にわたって提供されることができる。
【0202】
平坦化層PLLは有機物質を含むことができる。ただし、必ずしもこれに限定されるものではなく、無機物質を含んでもよい。
【0203】
平坦化層PLL上には、カラーフィルタ層CFLを配置することができる。カラーフィルタ層CFLは、各画素PXLの色に合致するカラーフィルタCF1、CF2、CF3を含むことができる。第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3のそれぞれの色に合致するカラーフィルタCF1、CF2、CF3を配置することで、フルカラーの映像を表示することができる。
【0204】
カラーフィルタ層CFLは、第1画素PXL1に配置されて、第1画素PXL1から放出される光を選択的に透過させる第1カラーフィルタCF1、第2画素PXL2に配置されて、第2画素PXL2から放出される光を選択的に透過させる第2カラーフィルタCF2、および第3画素PXL3に配置されて、第3画素PXL3から放出される光を選択的に透過させる第3カラーフィルタCF3を含むことができる。
【0205】
一実施形態では、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2および第3カラーフィルタCF3は、それぞれ赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタであり得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。以下では、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2および第3カラーフィルタCF3のうちの任意のカラーフィルタを指す場合、または2種類以上のカラーフィルタをまとめて指す場合には「カラーフィルタCF」という。
【0206】
第1カラーフィルタCF1は、第1画素PXL1の表示素子層DPL(または発光素子LD)および第1カラー変換層CCL1と第2方向DR2に重畳してもよい。第1カラーフィルタCF1は、第1色(または、赤色)の光を選択的に透過させるカラーフィルタ物質を含むことができる。例えば、第1画素PXL1が赤色画素である場合、第1カラーフィルタCF1は赤色カラーフィルタ物質を含むことができる。
【0207】
第2カラーフィルタCF2は、第2画素PXL2の表示素子層DPL(または発光素子LD)および第2カラー変換層CCL2と第2方向DR2に重畳してもよい。第2カラーフィルタCF2は、第2色(または、緑色)の光を選択的に透過させるカラーフィルタ物質を含むことができる。例えば、第2画素PXL2が緑色画素である場合、第2カラーフィルタCF2は緑色カラーフィルタ物質を含むことができる。
【0208】
第3カラーフィルタCF3は、第3画素PXL3の表示素子層DPL(または発光素子LD)および散乱層LSLと第2方向DR2に重畳してもよい。第3カラーフィルタCF3は、第3色(または青色)の光を選択的に透過させるカラーフィルタ物質を含むことができる。例えば、第3画素PXL3が青色画素である場合、第3カラーフィルタCF3は青色カラーフィルタ物質を含むことができる。
【0209】
第1~第3カラーフィルタCF1、CF2、CF3の間には遮光層BMをさらに配置してもよい。このように、遮光層BMを第1~第3カラーフィルタCF1、CF2、CF3の間に形成する場合、表示装置の正面または側面から視認される混色不良を防止することができる。遮光層BMの物質は特に限定されず、様々な遮光性物質で構成されることができる。一例として、遮光層BMは、第1~第3カラーフィルタCF1、CF2、CF3を互いに積層して具現されることができる。
【0210】
カラーフィルタ層CFL上にはオーバーコート層OCを配置してもよい。オーバーコート層OCは、第1~第3画素PXL1、PXL2、PXL3にわたって提供されることができる。オーバーコート層OCは、カラーフィルタ層CFLをはじめとする下部部材をカバーすることができる。オーバーコート層OCは、前述の下部部材に水分または空気が浸透することを防止することができる。また、オーバーコート層OCは、塵のような異物から前述の下部部材を保護することができる。
【0211】
オーバーコート層OCは、有機物質を含んでもよい。ただし、必ずしもこれに限定されるものではなく、オーバーコート層OCは、様々な種類の無機物質を含んでもよい。
【0212】
以上、本発明の実施形態を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更可能であることを理解するべきである。
【符号の説明】
【0213】
LD 発光素子
11 第1半導体層
12 活性層
13 第2半導体層
14 絶縁膜
QW 井戸層
QB 障壁層
EH エッチングホール