IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社ミライズテクノロジーズの特許一覧 ▶ 国立大学法人名古屋大学の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図2
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図3
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図4
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図5
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図6
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図7
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図8
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図9
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図10
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図11
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図12
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図13
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図14
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図15
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007226
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240111BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20240111BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240111BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01L21/78 L
H01L21/20
H01L29/78 301B
H01L29/78 301Q
H01L21/78 Q
H01L21/304 611Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108558
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 聖也
(72)【発明者】
【氏名】牛島 隆志
(72)【発明者】
【氏名】石田 崇
(72)【発明者】
【氏名】恩田 正一
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 千秋
(72)【発明者】
【氏名】小島 淳
【テーマコード(参考)】
5F057
5F063
5F140
5F152
【Fターム(参考)】
5F057AA01
5F057BA16
5F057BB06
5F057BB12
5F057BC09
5F057CA14
5F057CA31
5F057DA19
5F057DA22
5F057DA31
5F057FA22
5F063AA02
5F063BA07
5F063BA13
5F063BA31
5F063BA43
5F063BA47
5F063CB02
5F063CB03
5F063CB06
5F063CB13
5F063CB17
5F063CB28
5F063CC05
5F063CC49
5F063DD27
5F063DD78
5F063EE81
5F140AA08
5F140AA34
5F140BA06
5F140BA20
5F140BC12
5F152LN05
5F152NN13
5F152NQ09
(57)【要約】
【課題】 窒化ガリウム基板を用いた半導体装置や、窒化ガリウム基板の加工において、窒化ガリウム基板の反りを抑制する。
【解決手段】 半導体装置は、窒化ガリウム基板と、前記窒化ガリウム基板の表面に設けられたパターン膜と、を備える。前記窒化ガリウム基板は、前記表面に沿う第1方向のヤング率が、前記表面に沿うとともに前記第1方向に直交する前記第2方向のヤング率よりも大きい。前記窒化ガリウム基板の前記第1方向の寸法を前記窒化ガリウム基板の前記第2方向の寸法で除算した第1比率R1と前記パターン膜の前記第1方向の寸法を前記パターン膜の前記第2方向の寸法で除算した第2比率R2が、R1<R2を満たす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置(10、100)であって、
窒化ガリウム基板(12、52)と、
前記窒化ガリウム基板の表面(12a、52a)に設けられたパターン膜(40、140)と、
を備え、
前記窒化ガリウム基板は、前記表面に沿う第1方向のヤング率が、前記表面に沿うとともに前記第1方向に直交する前記第2方向のヤング率よりも大きく、
前記窒化ガリウム基板の前記第1方向の寸法を前記窒化ガリウム基板の前記第2方向の寸法で除算した第1比率R1と、前記パターン膜の前記第1方向の寸法を前記パターン膜の前記第2方向の寸法で除算した第2比率R2が、R1<R2を満たす、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1比率R1が1より大きく、
前記第2比率R2が1より大きい、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記表面がm面であり、前記第1方向が(0001)方向であり、前記第2方向が(11-20)方向である、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
1.01R1≦R2≦1.25R2を満たす、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
1.01R1≦R2≦1.05R2を満たす、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体装置の製造方法であって、
窒化ガリウム基板(112、212)の表面(112a、212a)に溝部(114、214)を形成することによって、前記窒化ガリウム基板の前記表面を複数の領域(120、220)に区画する工程と、
前記窒化ガリウム基板にレーザ(132)を照射することによって、前記窒化ガリウム基板の内部であって前記溝部の深さ範囲に、前記表面に沿って延びる改質層(116)を形成する工程と、
前記改質層に沿って前記窒化ガリウム基板を分割する工程、
を備え、
前記窒化ガリウム基板は、前記表面に沿う第1方向のヤング率が、前記表面に沿うとともに前記第1方向に直交する第2方向のヤング率よりも大きく、
前記溝部を形成する工程では、前記第1方向と前記第2方向に沿って前記溝部を形成することによって、前記各領域の前記第1方向の寸法が前記各領域の前記第2方向の寸法よりも大きくなるように前記表面を前記複数の領域に区画する、
製造方法。
【請求項7】
前記表面がm面であり、前記第1方向が(0001)方向であり、前記第2方向が(11-20)方向である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記各領域の前記第1方向の寸法を前記各領域の前記第2方向の寸法で除算した比率Sが、1.01≦S≦1.25を満たす、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記各領域の前記第1方向の寸法を前記各領域の前記第2方向の寸法で除算した比率Sが、1.01≦S≦1.05を満たす、請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
特許文献1には、窒化ガリウムにより構成された基板に対してレーザを照射することにより基板の内部に改質層を形成し、改質層に沿って分割することで、基板を薄板化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-126844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窒化ガリウムは、複数の結晶面を有しており、各結晶面に沿う方向によってヤング率が異なる。ヤング率が小さい面方向は、ヤング率が大きい面方向に比べて、応力に対する歪み量が大きいため、窒化ガリウム基板は、特定の方向に反り易い性質を有する。窒化ガリウム基板が反った状態では、所望の面に平行にレーザを照射することが難しく、窒化ガリウム基板を所望の面に沿って精度良く分割することが難しい。また、窒化ガリウム基板が特定の方向に反る可能性があるため、例えば、窒化ガリウム基板を用いて製造された半導体装置は、特性が安定し難いという問題がある。本明細書では、窒化ガリウム基板を用いた半導体装置や、窒化ガリウム基板の加工において、窒化ガリウム基板の反りを抑制する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する半導体装置(10、100)は、窒化ガリウム基板(12、52)と、前記窒化ガリウム基板の表面(12a、52a)に設けられたパターン膜(40、140)と、を備える。前記窒化ガリウム基板は、前記表面に沿う第1方向のヤング率が、前記表面に沿うとともに前記第1方向に直交する前記第2方向のヤング率よりも大きい。前記窒化ガリウム基板の前記第1方向の寸法を前記窒化ガリウム基板の前記第2方向の寸法で除算した第1比率R1と前記パターン膜の前記第1方向の寸法を前記パターン膜の前記第2方向の寸法で除算した第2比率R2が、R1<R2を満たす。
【0006】
特定方向における窒化ガリウム基板の歪み量は、窒化ガリウム基板の当該特定方向に加わる応力に比例するとともに、窒化ガリウム基板の当該特定方向のヤング率に反比例する。また、窒化ガリウム基板の特定方向に加わる応力は、窒化ガリウム基板の当該特定方向の寸法に比例する。一方、窒化ガリウム基板の表面に設けられるパターン膜は、形成時及び形成後の温度変化や、半導体装置の動作時の発熱サイクルにより、膨張及び収縮する。このため、窒化ガリウム基板には、その表面に設けられたパターン膜の膨張及び収縮に起因する引張応力及び圧縮応力が印加される。パターン膜から窒化ガリウム基板の特定方向に印加される応力は、当該特定方向のパターン膜の寸法に比例する。この半導体装置では、比率R1が比率R2よりも小さい。すなわち、パターン膜は、窒化ガリウム基板よりも、第1方向に対する第2方向の寸法が小さくなっている。このため、窒化ガリウム基板の第1方向のヤング率と第2方向のヤング率の差に起因する歪み量が、パターン膜から窒化ガリウム基板に印加される応力により緩和され、第1方向と第2方向との間で歪み量の差が低減する。したがって、上記の半導体装置では、窒化ガリウム基板が反り難く、半導体装置の特性を安定させることができる。
【0007】
本明細書が開示する半導体装置の製造方法は、窒化ガリウム基板(112、212)の表面(112a、212a)に溝部(114、214)を形成することによって、前記窒化ガリウム基板の前記表面を複数の領域(120、220)に区画する工程と、前記窒化ガリウム基板にレーザ(132)を照射することによって、前記窒化ガリウム基板の内部であって前記溝部の深さ範囲に、前記表面に沿って延びる改質層(116)を形成する工程と、前記改質層に沿って前記窒化ガリウム基板を分割する工程、を備える。前記窒化ガリウム基板は、前記表面に沿う第1方向のヤング率が、前記表面に沿うとともに前記第1方向に直交する第2方向のヤング率よりも大きい。前記溝部を形成する工程では、前記第1方向と前記第2方向に沿って前記溝部を形成することによって、前記各領域の前記第1方向の寸法が前記各領域の前記第2方向の寸法よりも大きくなるように前記表面を前記複数の領域に区画する。
【0008】
特定方向における窒化ガリウム基板の歪み量は、窒化ガリウム基板の当該特定方向に加わる応力に比例するとともに、窒化ガリウム基板の当該特定方向のヤング率に反比例する。また、窒化ガリウム基板の特定方向に加わる応力は、窒化ガリウム基板の当該特定方向の寸法に比例する。上記の製造方法では、ヤング率が大きい第1方向の寸法が、ヤング率が小さい第2方向の寸法よりも大きくなるように溝部が形成される。すなわち、溝部により区画される各領域は、第1方向の寸法が第2方向の寸法よりも大きい。各領域では、ヤング率が大きい(すなわち、歪み難い)第1方向の寸法が、ヤング率が小さい(すなわち、歪み易い)第2方向の寸法よりも大きいので、溝部が形成された深さ範囲では、第1方向と第2方向の間の歪み量の差が低減し、各領域において反りが抑制される。反りが抑制された窒化ガリウム基板に対してレーザを照射して改質層を形成するので、表面に沿って(すなわち、所望の面に沿って)改質層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の半導体装置の要部断面図。
図2】実施例1の半導体装置の平面図。
図3】窒化ガリウムの面方向とヤング率の関係を示す図。
図4】実施例2の半導体装置の要部断面図。
図5】実施例2の半導体装置の平面図。
図6】サファイヤ基板上に成長させた窒化ガリウムの面方向とヤング率の関係を示す図。
図7】実施例3の製造方法における窒化ガリウム基板の平面図。
図8】実施例3の溝部形成工程を説明するための図。
図9】実施例3の溝部形成工程を説明するための図。
図10】実施例3の溝部形成工程を説明するための図。
図11】実施例3の改質層形成工程を説明するための図。
図12】実施例3の基板分割工程を説明するための図。
図13】実施例4の製造方法におけるサファイヤ基板の平面図。
図14】実施例4の窒化ガリウム成長工程を説明するための図。
図15】実施例4の溝部形成工程を説明するための図。
図16】実施例4の溝部形成工程を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書が開示する一例の半導体装置では、前記第1比率R1が1より大きく、前記第2比率R2が1より大きくてもよい。窒化ガリウム基板の第1方向のヤング率は第2方向のヤング率よりも大きい。このような構成では、窒化ガリウム基板の第1方向の寸法が第2方向の寸法よりも大きいので、各方向のヤング率の差に起因する反りを低減することができる。
【0011】
本明細書が開示する一例の半導体装置では、前記表面がm面であり、前記第1方向が(0001)方向であり、前記第2方向が(11-20)方向であってもよい。このような構成では、第1方向及び第2方向を、窒化ガリウムの結晶面に垂直な方向とすることで、各方向におけるヤング率のばらつきが小さくなり、窒化ガリウム基板の反りを安定して低減させることができる。
【0012】
本明細書が開示する一例の半導体装置では、1.01R1≦R2≦1.25R2を満たしてもよい。このような構成では、窒化ガリウム基板の第1方向と第2方向の歪み量を均一化することができる。
【0013】
本明細書が開示する一例の半導体装置では、1.01R1≦R2≦1.05R2を満たしてもよい。このような構成では、窒化ガリウム基板の第1方向と第2方向の歪み量をより均一化することができる。
【0014】
本明細書が開示する一例の製造方法では、前記表面がm面であり、前記第1方向が(0001)方向であり、前記第2方向が(11-20)方向であってもよい。このような構成では、改質層をm面に沿って形成する。m面は劈開し易い面であるため、改質層に沿って容易に分割することができる。また、m面は加工性が良く、後の工程において窒化ガリウム基板の内部に半導体構造を容易に形成することができる。
【0015】
本明細書が開示する一例の製造方法では、前記各領域の前記第1方向の寸法を前記各領域の前記第2方向の寸法で除算した比率Sが、1.01≦S≦1.25を満たしてもよい。このような構成では、分割後の窒化ガリウム基板の第1方向と第2方向の歪み量を均一化することができる。
【0016】
本明細書が開示する一例の製造方法では、前記各領域の前記第1方向の寸法を前記各領域の前記第2方向の寸法で除算した比率Sが、1.01≦S≦1.05を満たしてもよい。このような構成では、分割後の窒化ガリウム基板の第1方向と第2方向の歪み量をより均一化することができる。
【0017】
(実施例1)
図面を参照して、実施例1の半導体装置10について説明する。図1に示すように、半導体装置10は、横型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。半導体装置10は、窒化ガリウム基板12、ドレイン電極32、ソース電極34、ゲート電極36、及び絶縁膜40を備えている。
【0018】
窒化ガリウム基板12は、窒化ガリウムの単結晶により構成されている。図2に示すように、本実施例では、窒化ガリウム基板12は、上から見たときに、2つの平行な端面12bと、端面12bに直交する2つの平行な端面12cとにより画定される略正方形状を有している。窒化ガリウム基板12は、六方晶の結晶構造を有している。表面12aがm面であり、端面12bがa面であり、端面12cがc面である。m面に直交する方向は(10-10)方向であり、a面に直交する方向は(11-20)方向であり、c面に直交する方向は(0001)方向である。
【0019】
図1に示すように、窒化ガリウム基板12の内部には、複数のドレイン領域22、複数のソース領域24、及びボディ領域26が設けられている。
【0020】
ドレイン領域22は、n型領域である。ドレイン領域22は、窒化ガリウム基板12の表面12aに露出する位置に設けられている。ソース領域24は、n型領域である。ソース領域24は、ドレイン領域22から間隔を空けて配置されており、窒化ガリウム基板12の表面12aに露出する位置に設けられている。ボディ領域26は、p型領域である。ボディ領域26は、ドレイン領域22とソース領域24の間の範囲で、窒化ガリウム基板12の表面12aに露出している。ボディ領域26は、ドレイン領域22とソース領域24の間の範囲から、ドレイン領域22の下側及びソース領域24下側まで延びている。ボディ領域26により、ドレイン領域22とソース領域24が互いから分離されている。
【0021】
絶縁膜40は、1つのドレイン領域22から1つのソース領域24に跨る範囲において、窒化ガリウム基板12の表面12aを覆っている。絶縁膜40は、ドレイン領域22の上部に貫通孔40aを有している。また、絶縁膜40は、ソース領域24の上部に貫通孔40bを有している。
【0022】
ドレイン電極32は、絶縁膜40の貫通孔40aを介してドレイン領域22にオーミック接触している。ソース電極34は、絶縁膜40の貫通孔40bを介してソース領域24にオーミック接触している。ゲート電極36は、絶縁膜40の上面に設けられている。ゲート電極36は、ドレイン領域22とソース領域24の間に位置するボディ領域26に対向するように範囲に設けられている。ゲート電極36は、絶縁膜40によって、窒化ガリウム基板12から絶縁されている。
【0023】
図2に示すように、本実施例では、窒化ガリウム基板12の表面12a上に9つの絶縁膜40が設けられている。なお、図2では、ドレイン電極32、ソース電極34、及びゲート電極36の図示を省略している。各絶縁膜40は、上から見たときに矩形状を有している。各絶縁膜40は、その各辺が端面12b及び端面12cと平行になるように配置されている。図2に示すように、窒化ガリウム基板12の(11-20)方向の寸法をL1、(0001)方向の寸法をL2、各絶縁膜40の(11-20)方向の寸法をl1、(0001)方向の寸法をl2としたときに、L1とL2の比率L1/L2=R1と、l1とl2の比率l1/l2=R2が、1.01R1≦R2≦1.05R1の関係を満たしている。
【0024】
半導体装置10の使用時には、ゲート電極36にオン電圧を印加する。すると、絶縁膜40に対向する範囲(すなわち、ドレイン領域22とソース領域24の間の範囲)のボディ領域26に反転層が形成される。これにより、ドレイン電極32に接続されるドレイン領域22と、ソース電極34に接続されるソース領域24が、反転層を介して接続され、ドレイン電極32とソース電極34が導通する。これにより、半導体装置10がオンする。ゲート電極36の電圧をオフ電圧まで引き下げると、ボディ領域26に形成されていた反転層が消失し、半導体装置10がオフする。
【0025】
半導体装置10は、使用中に発熱する。半導体装置10の温度変化によって、窒化ガリウム基板12に応力が加わる。特定方向における窒化ガリウム基板12の歪み量は、窒化ガリウム基板12の当該特定方向に加わる応力に比例するとともに、窒化ガリウム基板12の当該特定方向のヤング率に反比例する。図3は、単結晶窒化ガリウムにおける各面方向のヤング率の文献値(Huang et al., Nanoscale Research Letters, 7(150), 2012、Cheng et al., basis solid state physics, 255(5), 2018)と、各文献値における(11-20)方向に対する(0001)方向の比率を示している。図3に示すように、単結晶窒化ガリウムは、(10-10)方向、(11-20)方向、及び(0001)方向で、それぞれ異なるヤング率を有している。具体的には、単結晶窒化ガリウムでは、(11-20)方向のヤング率に対して、(0001)方向のヤング率が1.01~1.05倍である。すなわち、窒化ガリウム基板12の(11-20)方向のヤング率は(0001)方向のヤング率よりも小さい。また、特定方向において窒化ガリウム基板12中に生じる応力は、当該特定方向の寸法が大きいほど大きくなる。本実施例では、窒化ガリウム基板12が上から見たときに略正方形状を有しており、(11-20)方向における寸法L1と(0001)方向における寸法L2が等しい。このように、(11-20)方向における寸法L1と(0001)方向における寸法L2が等しく、(11-20)方向のヤング率が(0001)方向のヤング率よりも小さいので、窒化ガリウム基板12は(11-20)方向で(0001)方向よりも歪み易い。しかしながら、本実施例では、窒化ガリウム基板12の表面12aに絶縁膜40が設けられている。絶縁膜40は、形成時及び形成後の温度変化や、半導体装置10の動作時の発熱サイクルにより、膨張及び収縮する。このため、窒化ガリウム基板12には、その表面12aに設けられた絶縁膜40の膨張及び収縮に起因する引張応力及び圧縮応力が印加される。絶縁膜40から窒化ガリウム基板12の特定方向に印加される応力は、当該特定方向の絶縁膜40の寸法に比例する。本実施例では、上述したように、比率R1と比率R2とが、1.01R1≦R2≦1.05R1を満たしている。比率R1が比率R2よりも大きいので、絶縁膜40が窒化ガリウム基板12よりも(11-20)方向の長さの比率が大きい形状を有している。このため、絶縁膜40から窒化ガリウム基板12に加わる応力が(11-20)方向で(0001)方向よりも大きい。したがって、(11-20)方向と(0001)方向との間で歪み量の差が低減する。特に、R2がR1に対して1.01~1.05倍であり、図3に示す窒化ガリウム基板12の(11-20)方向のヤング率と(0001)方向のヤング率の比率と略等しい値に設定されている。したがって、絶縁膜40から加わる応力によって、窒化ガリウム基板12の(11-20)方向と(0001)方向の歪み量が均一化される。このため、窒化ガリウム基板12が反り難く、半導体装置10は安定した特性を有する。
【0026】
(対応関係)
絶縁膜40が「パターン膜」の一例である。(11-20)方向、(0001)方向が、それぞれ「第1方向」、「第2方向」の一例である。
【0027】
(実施例2)
実施例2の半導体装置100では、図4に示すように、サファイヤ基板50の表面に窒化ガリウム基板52が設けられている。窒化ガリウム基板52は、サファイヤ基板50の表面にエピタキシャル成長によって形成された層である。図5に示すように、窒化ガリウム基板52は、上から見たときに、2つの平行な端面52bと、端面52bに直交する2つの平行な端面52cとにより画定される略正方形状を有している。本実施例では、窒化ガリウム基板52の表面52aがa面であり、端面52bがm面であり、端面52cがc面である。窒化ガリウム基板52の内部の構造(ドレイン領域22、ソース領域24、ボディ領域26)は、実施例1と同様である。
【0028】
図5に示すように、窒化ガリウム基板52の表面52aには、9つの絶縁膜140が設けられている。各絶縁膜140は、上から見たときに矩形状を有している。各絶縁膜140は、その各辺が端面52b及び端面52cと平行になるように配置されている。
図5に示すように、窒化ガリウム基板52の(10-10)方向の寸法をL1、(0001)方向の寸法をL2、各絶縁膜140の(10-10)方向の寸法をl3、(0001)方向の寸法をl4としたときに、L1とL2の比率L1/L2=R1と、l3とl4の比率l3/l4=R3が、1.01R1≦R3≦1.25R1の関係を満たしている。
【0029】
実施例2では、サファイヤ基板50の表面にエピタキシャル成長によって窒化ガリウム基板52が形成される。窒化ガリウム基板52は、サファイヤと窒化ガリウムとの格子定数が異なるため、歪みを生じながらサファイヤ基板50上に成長する。図6は、サファイヤ基板上に窒化ガリウムを成長させたときの、窒化ガリウムの各面方向のヤング率の文献値(Roder et al., Journal of Applied Physics, 100(103511), 2006)と、当該文献値における(11-20)方向に対する(0001)方向の比率を示している。図6に示すように、窒化ガリウムの単結晶と比較して、窒化ガリウム基板52の(10-10)方向のヤング率に対する(0001)方向のヤング率が大きくなる場合がある。このため、サファイヤ基板50上に形成された窒化ガリウム基板52は(10-10)方向で(0001)方向よりも大きく歪み易い。しかしながら、本実施例では、比率R1と比率R3とが、1.01R1≦R3≦1.25R1の関係を満たしている。このため、絶縁膜140から窒化ガリウム基板52に加わる応力が(10-10)方向で(0001)方向よりも大きい。このように、絶縁膜140を寸法決めすることにより、窒化ガリウム基板52の(10-10)方向と(0001)方向と間で歪み量が低減される。特に、R3がR1に対して1.01~1.25倍であり、図6に示す窒化ガリウム基板52の(10-10)方向のヤング率と(0001)方向のヤング率の比率と略等しい値に設定されている。したがって、絶縁膜140から加わる応力によって、窒化ガリウム基板52の歪み量が均一化される。
【0030】
(対応関係)
絶縁膜140が「パターン膜」の一例である。(10-10)方向、(0001)方向が、それぞれ「第1方向」、「第2方向」の一例である。
【0031】
(実施例3)
次に、図面を参照して、実施例3の製造方法について説明する。実施例3の製造方法では、窒化ガリウム基板112から半導体装置を製造する。図7は、加工対象の窒化ガリウム基板112を示している。窒化ガリウム基板112は、窒化ガリウムの単結晶により構成されている。窒化ガリウム基板112の外周縁の一部には、オリエンテーションフラット112fが設けられている。窒化ガリウム基板112の表面112aがm面であり、窒化ガリウム基板112のオリエンテーションフラット112fに平行な面がc面であり、m面及びc面に直交する面がa面である。以下では、m面に直交する方向を(10-10)といい、c面に直交する方向を(0001)方向といい、a面に直交する方向を(11-20)方向という。
【0032】
(溝部形成工程)
窒化ガリウム基板112から半導体装置を製造する際には、まず、溝部形成工程を実施する。図8に示すように、溝部形成工程では、窒化ガリウム基板112の表面112aに溝部114を形成する。ここでは、図8に示すように、窒化ガリウム基板112の裏面112bからレーザ130を照射する。レーザ130は、窒化ガリウム基板112内で焦点F1を形成するように照射される。レーザ130が照射された位置に、溝部114が形成される。レーザ130の照射位置を移動させることによって、図9に示すように、窒化ガリウム基板112の表面112aを複数の領域120に区画する。ここでは、(11-20)方向に沿って延びる溝115aと、(0001)方向に沿って延びる溝115bとを形成する。これにより、窒化ガリウム基板112の表面112aを、溝115aと溝115bによって画定される複数の矩形状の領域120に区画する。
【0033】
また、この工程では、図10に示すように、各領域120の(0001)方向の寸法S2が(11-20)方向の寸法S1よりも大きくなるように、溝部114を形成する。具体的には、本実施例では、各領域120において、S1/S2が、1.01以上1.05以下となるように、窒化ガリウム基板112の表面112aに溝部114を形成する。なお、溝部形成工程では、窒化ガリウム基板112の表面112a側から窒化ガリウム基板112にレーザ130を照射して、窒化ガリウム基板112の表面112aに溝部114を形成してもよい。また、溝115a及び溝115bは、窒化ガリウム基板112の端面(外周縁)まで延びるように形成されてもよい。
【0034】
(改質層形成工程)
次に、窒化ガリウム基板112の内部に改質層116を形成する改質層形成工程を実施する。改質層形成工程では、図11に示すように、裏面112b側から窒化ガリウム基板112にレーザ132を照射する。レーザ132は、窒化ガリウム基板112の内部で焦点F2を形成するように照射される。焦点F2の位置では、窒化ガリウム(GaN)が加熱されて分解される。その結果、焦点F2の位置に、ガリウムの析出層等によって構成された改質層116が形成される。改質層116の強度は、元の窒化ガリウム単結晶よりも低い。ここでは、レーザ132の照射位置を窒化ガリウム基板112の表面112a及び裏面112bと平行な方向に移動させることで、表面112a及び裏面112bに沿って延びる改質層116を形成する。また、ここでは、改質層116と溝部114とが深さ範囲において重複するように改質層116を形成する。言い換えると、窒化ガリウム基板112の厚み方向における改質層116の範囲116aと、窒化ガリウム基板112の厚み方向における溝部114の範囲114aとが重複するように、改質層116を形成する。また、ここでは、窒化ガリウム基板112の表面112a及び裏面112bと平行な方向の全体に改質層116を形成する。以下では、窒化ガリウム基板112のうち、改質層116よりも表面112a側の部分を第1部分160といい、改質層116よりも裏面112b側の部分を第2部分161という。
【0035】
(基板分割工程)
次に、基板分割工程を実施する。基板分割工程では、図12に示すように、窒化ガリウム基板112の表面112aに支持部材180を貼り付ける。支持部材180は、硬い板材であってもよいし、柔軟性を有するシート状の部材であってもよい。その後、第2部分161に対して第1部分160から離れる方向に力を加えることで、改質層116に沿って窒化ガリウム基板112を分割する。すなわち、第2部分161を第1部分160から分離させる。上述したように、改質層116の強度は窒化ガリウム単結晶の強度よりも低いので、改質層116に沿って窒化ガリウム基板112を分割することができる。なお、第1部分160には、表面112aから改質層116まで達する溝部が形成されているので、第1部分160は、複数のチップ170に分割された状態となる。その後、分割されたチップ170を利用して、従来公知の方法により半導体装置を製造する。
【0036】
特定方向における窒化ガリウム基板112の歪み量は、窒化ガリウム基板112の当該特定方向のヤング率に反比例する。具体的には、図3に示すように、(11-20)方向のヤング率が(0001)方向のヤング率よりも小さいので、(11-20)方向に歪み易い。また、特定方向における窒化ガリウム基板112の歪み量は、窒化ガリウム基板112の当該特定方向に加わる応力、すなわち、窒化ガリウム基板112の当該特定方向の寸法に比例する。本実施例の製造方法では、窒化ガリウム基板112の表面112aに溝部114を形成するときに、溝部114により区画される各領域120の(0001)方向と(11-20)方向の寸法比S1/S2が、1.01以上1.05以下となるように、溝部114が形成される。寸法S1が寸法S2よりも大きいので、各領域120では、(0001)方向に加わる応力が(11-20)方向に加わる応力よりも大きい。したがって、(0001)方向と(11-20)との間で歪み量の差が低減する。特に、S1/S2が、1.01~1.05であり、図3に示す単結晶窒化ガリウムの(11-20)方向のヤング率と(0001)方向のヤング率の比率と略等しい値に設定されている。したがって、溝部114が形成された深さ範囲では、(0001)方向と(11-20)方向の間の歪み量が均一化され、各領域120において反りが抑制される。各領域120内では、反りが抑制されているので、レーザ132を表面112a(すなわち、m面)に平行に照射することができる。したがって、m面に沿って改質層116を形成することができる。また、改質層116に沿って分割したチップ170は、反りが生じ難い寸法比を有しているので、チップ170を用いて製造された半導体装置は、安定した特性を有する。
【0037】
なお、窒化ガリウム基板112は、溝部114よりも裏面112b側の部分(図11の部分161)は区画されていない。このため、部分161においては窒化ガリウム基板112に反りが生じ得る。しかしながら、改質層116は、溝部114と深さ範囲で重複する位置に形成される。溝部114が形成されている深さ範囲では、反りが抑制されている。反りが抑制されている範囲でレーザ132を移動させるので、レーザ132をm面に対して略平行に移動させることができる。
【0038】
また、本実施例では、改質層116を、m面に沿って形成する。m面は他の面と比較して劈開し易い面であるため、改質層116に沿って容易に分割することができる。また、m面は他の面と比較して加工性が良い。このため、分割面がm面となることにより、後の工程において、半導体構造を容易に形成することができる。
【0039】
(対応関係)
(11-20)方向、(0001)方向が、それぞれ「第1方向」、「第2方向」の一例である。
【0040】
(実施例4)
実施例4では、図13に示すサファイヤ基板200を利用して半導体装置を製造する。まず、図14に示すように、サファイヤ基板200の表面に、エピタキシャル成長によって窒化ガリウム層212を形成する。ここでは、窒化ガリウム層212の表面212aがa面となるように、サファイヤ基板200の表面に窒化ガリウムを結晶成長させる。
【0041】
次に、溝部形成工程を実施する。図15に示すように、窒化ガリウム層212の表面212aに溝部214を形成する。ここでは、実施例3の図8と同様に、窒化ガリウム層212に対してレーザを照射することにより、溝部214を形成する。レーザの照射位置を移動させることによって、図16に示すように、窒化ガリウム層212の表面212aを複数の領域220に区画する。ここでは、m面に直交する(10-10)方向に沿って延びる溝215aと、c面に直交する(0001)方向に沿って延びる溝215bとを形成することにより、窒化ガリウム層212の表面212aを、溝215aと溝215bによって画定される複数の矩形状の領域220に区画する。
【0042】
実施例4では、実施例3と異なり、図16に示すように、各領域220において、(0001)方向の寸法S4と、(10-10)方向の寸法S3との比S3/S4が、1.01以上1.25以下となるように、窒化ガリウム層212の表面212aに溝部214を形成する。その後、実施例3と同様に、窒化ガリウム層212の内部の溝部214と重複する範囲に改質層を形成し、形成した改質層に沿って窒化ガリウム層212を分割する。
【0043】
本実施例では、サファイヤ基板200の表面にエピタキシャル成長によって窒化ガリウム層212が形成される。窒化ガリウム層212は、サファイヤと窒化ガリウムとの格子定数が異なるため、歪みを生じながらサファイヤ基板200上に成長する。このため、実施例2において説明したように、単結晶窒化ガリウムと比較して、窒化ガリウム層212の(10-10)方向のヤング率に対する(0001)方向のヤング率が大きくなる場合がある(図6参照)。本実施例では、S3/S4が1.01以上1.25以下の範囲を満たしている。このため、各領域220では、(0001)方向に加わる応力が(10-10)方向に加わる応力よりも大きい。特に、S3/S4が、1.01~1.25であり、図6に示す窒化ガリウムの(10-10)方向のヤング率と(0001)方向のヤング率の比率と略等しい値に設定されている。したがって、溝部214が形成された深さ範囲では、(0001)方向と(10-10)方向の間の歪み量が均一化され、各領域220において反りが抑制される。
【0044】
(対応関係)
(10-10)方向、(0001)方向が、それぞれ「第1方向」、「第2方向」の一例である。
【0045】
上述した実施例1及び3では、(11-20)方向、(0001)方向が、それぞれ「第1方向」、「第2方向」である例について説明し、実施例2及び4では、(10-10)方向、(0001)方向が、それぞれ「第1方向」、「第2方向」である例について説明した。しかしながら、第1方向及び第2方向は上記に限定されず、各方向のヤング率の差に応じて、窒化ガリウム基板とパターン膜の寸法や、窒化ガリウム基板に形成する溝部の寸法を調節すればよい。したがって、例えば、第1方向が(0001)方向であり、第2方向が(11-20)方向であってもよいし、第1方向が(0001)方向であり、第2方向が(10-10)方向であってもよい。また例えば、第1方向が(10-10)方向であり、第2方向が(11-20)方向であってもよいし、第1方向が(11-20)方向であり、第2方向が(10-10)方向であってもよい。換言すると、窒化ガリウム基板の表面が、c面であってもよいし、a面であってもよいし、m面であってもよい。
【0046】
また、上述した実施例1及び2では、絶縁膜40、140が、上から見たときに矩形状を有していたが、これに限られない。例えば、六角形状や他の多角形状であってもよいし、円状であってもよい。例えば、実施例1においては、絶縁膜40の(11-20)方向の最大寸法を(0001)方向の最大寸法で除算した比率をR2とし、実施例2においては、絶縁膜140の(10-10)方向の最大寸法を(0001)方向の最大寸法で除算した比率をR2とすればよい。
【0047】
また、上述した実施例1及び2では、窒化ガリウム基板12、52が、上から見たときに略正方形状である場合について説明したが、L1とL2の比率は特に限定されない。
【0048】
また、上述した実施例1及び2では、窒化ガリウム基板12、52の表面12a、52a上に設けられるパターン膜として、絶縁膜を例に挙げて説明したが、表面12a、52a上に設けられるパターン膜の種類は特に限定されず、例えば、金属膜等であってもよい。
【0049】
また、実施例1及び2では、半導体装置10、100として横型MOSEFTを例に挙げて説明したが、縦型の半導体装置であってもよい。
【0050】
なお、窒化ガリウム基板の表面に形成したトレンチの内面を水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)により処理した場合のa面及びm面について、a面の方がm面よりもチャネル移動度が高くなることが論文(Bahat Treidel et al., Journal of the Electron Devices Society, 9, 215-228, 2021)にて報告されている。したがって、半導体装置の製造過程においてTMAHによる処理を行う場合には、例えば、a面方向に沿ってチャネルが形成されるように処理を行うことにより、チャネル移動度が高い(すなわち、オン抵抗が低い)半導体装置を得ることができる。
【0051】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0052】
12:窒化ガリウム基板
40:絶縁膜
114:溝部
116:改質層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16