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特開2024-72277温水ボイラーを有するホット飲料調製装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072277
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】温水ボイラーを有するホット飲料調製装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/46 20060101AFI20240520BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
A47J31/46 100
B67D1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023193698
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】22207613.5
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512218854
【氏名又は名称】フランケ・カフェーマシーネン・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】FRANKE KAFFEEMASCHINEN AG
【住所又は居所原語表記】FRANKE‐STRASSE 9, 4663 AARBURG, SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト・オギエール
(72)【発明者】
【氏名】ゼルゲ・ヴェヒター
【テーマコード(参考)】
3E082
4B104
【Fターム(参考)】
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC03
3E082DD20
3E082EE01
3E082FF03
4B104AA11
4B104BA16
4B104BA23
4B104BA90
4B104DA22
4B104EA22
(57)【要約】
【課題】 温度管理に関して改良されており極めてコンパクトな構造を可能にするホット飲料調製装置を提供すること。
【解決手段】 ホット飲料を調製するための温水または熱蒸気を加熱および貯蔵するための温水ボイラーを有するホット飲料調製装置、特にコーヒーメーカーにおいて、温水ボイラーが冷水給水口、ヒーターを有する貯蔵器および温水および/または蒸気吐出口を有し、前記貯蔵器に少なくとも部分的に真空断熱が設けられているか当該貯蔵器が当該真空断熱によって囲まれている。真空絶縁によって前記温水ボイラーの熱損失を顕著に下げることが可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水および/または熱蒸気を加熱および貯蔵するための少なくとも一つの温水ボイラー(10、10a、10b)を有する、ホット飲料を調製するためのホット飲料調製装置であって、前記温水ボイラー(10、10a、10b)は、冷水給水口、ヒーター(14)を有する貯蔵器(11、11‘)および温水吐出口および/または蒸気吐出口を有し、
前記貯蔵器(11、11‘)には少なくとも部分的に真空断熱(12、22)が設けられているか、前記貯蔵器が前記真空断熱によって囲まれていることを特徴とする、ホット飲料調製装置。
【請求項2】
前記真空断熱のために前記貯蔵器の外壁(11a、11b)は、少なくとも部分的に二重壁状に構成されており、前記外壁の前記二重壁状の領域は、真空化空間(12)を包囲することを特徴とする、請求項1に記載のホット飲料調製装置。
【請求項3】
前記真空断熱のために、前記貯蔵器(11‘)は、少なくとも部分的に二重壁状の外部ケーシング(20)内に挿入されており、前記外部ケーシングの前記二重壁状の領域(21a、21b)は、真空化空間(22)を包囲することを特徴とする、請求項1に記載のホット飲料調製装置。
【請求項4】
二重壁状の前記貯蔵器(11‘)、または前記二重壁状の外部ケーシング(20)は、電気コネクタおよび/または油圧コネクタ(14a、14b、15、16、17)が通る真空断熱されていない蓋(13、23)を有する、ことを特徴とする、請求項2または3に記載のホット飲料調製装置。
【請求項5】
前記貯蔵器(11、11‘)は、圧力容器として構成されており、前記貯蔵器の内部において運転時には温水が100℃超の温度にて貯蔵され、前記温水吐出口は、放出時に温水に冷水を混合するために分配して冷水を混合するための分配弁(40)と接続されていることで、飲料調製のために100℃未満の温度の混合水が放出されるようにすることを特徴とする、請求項1の上位概念、特に請求項1から4のいずれか1項に記載のホット飲料調製装置。
【請求項6】
前記貯蔵器(11、11‘)は、運転時には110℃超、好ましくは110℃から180℃の範囲、さらに好ましくは120℃から140℃の範囲の温度で温水を貯蔵するように形成されていることを特徴とする、請求項5に記載のホット飲料調製装置。
【請求項7】
冷水の混合のための前記分配弁(40)は、調整可能な弁、特に比例弁として構成されており、前記ホット飲料調製装置は、混合水温を決定するための温度センサ(44)と前記分配弁(40)を制御することによって混合水温を調整するための制御装置とを有することを特徴とする、請求項5または6に記載のホット飲料調製装置。
【請求項8】
前記分配弁(40)と前記温度センサ(44)との間には、冷水流と温水流とを混合するための静的ミキサー、特にスパイラルミキサーが配置されることを特徴とする、請求項5から7のいずれか1項に記載のホット飲料調製装置。
【請求項9】
前記ヒーター(14)は、前記貯蔵器(11、11‘)の内部に配置された加熱コイルとして形成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のホット飲料調製装置。
【請求項10】
前記加熱コイルは、前記加熱コイルの電気絶縁のために好ましくは酸化マグネシウム粉が充填された、スパイラル状の加熱管(14)内を延伸することを特徴とする、請求項9に記載のホット飲料調製装置。
【請求項11】
温水生成のための第一の、および、蒸気生成のための第二の温水ボイラー(10a、10b)を有し、前記温水ボイラー(10a、10b)の両方に、前記真空断熱(12、22)が設けられ、または両方が当該真空断熱によって囲まれていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のホット飲料調製装置。
【請求項12】
前記真空化空間(12、22)内には、ゲッター材が配設されていることを特徴とする、請求項2または3に記載のホット飲料調製装置。
【請求項13】
前記真空化空間(12、22)内には、反射箔が配設されていることを特徴とする、請求項2または3に記載のホット飲料調製装置。
【請求項14】
プログラム技術構成を有する制御装置を有し、当該制御装置は、温水温度または蒸気温度の監視および/または調整のために前記温水ボイラー(10、10‘、10a、10b)内に配置された前記温度センサ(39、69)と接続されており、前記制御装置は、前記ヒーター(14)のオフ切り替え後に冷却時間を検知し、閾値を下回った場合に不良である真空断熱を示すエラーメッセージを生成するように構成されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載のホット飲料調製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホット飲料を調製するための温水または熱蒸気を加熱および貯蔵するための温水ボイラーを有するホット飲料調製装置、特にコーヒーメーカーに関し、前記温水ボイラーは、冷水給水口、ヒーターを有する貯蔵器および温水吐出口または蒸気吐出口を有する。
【発明の概要】
【0002】
コーヒーメーカーにおいて、飲料調製のために必要である温水を貯蔵するために多くの場合には100℃未満の温度領域における、典型的には約90℃付近の温水を貯蔵するボイラーが使用される。温水と蒸気のために別々のボイラーすら設けることも多い。温水生成時に必然的に生じるボイラーの排熱は、前記装置が内部において熱くなりすぎないように排出する必要がある。コーヒーメーカーの内部における高すぎる温度は、構成要素の一時的な故障、早期劣化による長期不良および製品品質のばらつきにつながり得る。特に極めてコンパクトな構造を有する装置において生じる排熱を装置の外面に排出するための十分なスペースがない場合、熱問題につながる可能性がある。多くの場合、温水を用意する時の排熱を排出するために送風機を用いてコーヒーメーカーを能動的に冷却する必要がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
よって本発明は、温度管理に関して改良されており極めてコンパクトな構造を可能にするホット飲料調製装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の特徴によって解消される。有利な実施形態は、従属請求項により得られる。
【0005】
上述した類のホット飲料調製装置において、本発明によれば、前記貯蔵器に少なくとも部分的に真空断熱が設けられているか当該貯蔵器が当該真空断熱によって囲まれている。
【0006】
真空断熱を使用することによって、通常断熱されているボイラーと比較して温水ボイラーの熱損失を顕著に下げることが可能である。排熱が少ないことは、典型的には装置の最上部に保管されることによって特に上昇する排熱にさらされる新鮮なコーヒー豆の品質、賞味期間および挽き具合に対して良好な影響を与える。排熱を減らすことによって前記装置の能動的な冷却または換気を省略する、あるいは少なくとも冷却性能を大幅に減少させることが可能である。真空断熱された温水ボイラーの排熱が少なくなることによって、前記装置のエネルギー消費が低下し、よってエネルギー効率が改良され、さらに運転コストと二酸化炭素排出量が下がる。
【0007】
最も簡単な場合、単に前記ボイラーの前記貯蔵器の外壁を少なくとも部分的に二重壁状に構成することで前記外壁の前記二重壁状の領域が真空化空間を包囲する。よって前記ボイラーがコンパクトに構成され、排熱が少ない。
【0008】
代替的に、真空断熱のために前記貯蔵器を少なくとも部分的に二重壁状の外部ケーシングに挿入することが可能であり、当該外部ケーシングの二重壁状の領域は、真空化空間を包囲する。よって、従来のボイラーを使用することが可能となり、当該ボイラーを、不良時に修理または交換するために真空断熱する前記外部ケーシングから取り外して取り替えることが可能となる。
【0009】
いずれの場合にも、前記二重壁状の貯蔵器または前記二重壁状の外部ケーシングに、前記ボイラーの電気コネクタおよび/または油圧コネクタが通る、真空断熱されていない蓋を設けることが可能である。よって、手間をかけて真空ケーシングを貫通する必要がなく、簡単な方法でフィードスルーを実現できる。前記真空断熱されていない蓋に、例えば、従来の方法によって断熱材からなる断熱を設けることが可能である。
【0010】
本発明の範囲において、蒸気を供給および貯蔵するためのボイラーも温水ボイラーであるとみなされ、当該ボイラーは、通常運転時において加圧下にある蒸気量とその時点の温度条件および圧力条件下において未蒸発である温水量とを含んでいる。また、本発明の範囲における温水ボイラーは、温水と蒸気とを同時に供給するためにも使用され得て、温水吐出口と蒸気吐出口との両方が設けられる。
【0011】
本発明の好ましい発展態様においては、温水を100℃超の温度にて貯蔵し、飲料調製時には冷水を混合することによって100℃未満の調製温度にする。そのため、前記温水ボイラーの前記貯蔵器は、圧力容器として構成されており、運転時には当該圧力容器において温水が100℃超の温度にて貯蔵されており、前記温水吐出口は、分配された冷水の混合のための分配弁と接続されており、放出時に温水に冷水を混合することで飲料調製のために100℃未満の混合水が放出される。
【0012】
100℃超かつ圧力下での温水の貯蔵と取り出し時における冷水の混合とは、基本的に真空断熱されているボイラーの使用とは無関係であり、独立した進歩性を構成する。より高い貯蔵温度がゆえに真空断熱されているボイラーを使用することが特別な利点を伴うものではあるものの、基本的には通常の、従来どおり断熱されている温水ボイラーを使用することが可能である。
【0013】
冷水を混合することで飲料調製のために使用可能な温水の量が増える、あるいは前記ボイラーは、飲料調製のために使用可能である同一の温水の量に対してよりコンパクトな構造を有し得る。より高い貯蔵温度によって、従来の温水ボイラーの排熱が顕著に高くなる。しかしながら、本発明による真空断熱によって排熱が大幅に減少するため、より高い貯蔵温度にも関わらず前記装置をコンパクトな構造とし、前記装置の内部における許容運転温度を超えないようにすることが可能である。
【0014】
前記貯蔵温度は、110℃超、好ましくは110℃から180℃の範囲、さらに好ましくは120℃から140℃の範囲で選択され得る。
【0015】
さらに、冷水の混合が調整されて実施されることが好ましく、冷水の混合のための前記分配弁が調整可能な弁、特に比例弁として構成されており、前記飲料調製装置が混合水温を決定するための温度センサと前記分配弁を制御することによって混合水温を調整するための制御装置とを有する。よって、所望する飲料に応じて温水の吐出温度を異なる値に調整することが可能となる。例えば、エスプレッソコーヒーの場合にはより少ない冷水を、また、緑茶を調製するための茶用水の場合にはより多くの冷水を混合することが可能である。
【0016】
前記分配弁と前記温度センサとの間には、冷水流と温水流とを混合するための静的ミキサー、特にスパイラルミキサーが配置され得る。当該ミキサーは、水流が迅速且つしっかりと混合されることを保証する。よって、混合後に生じる制御変数としての混合水温を直後に計測することが可能である。これにより、特にコンパクトな構造が得られる。
【0017】
便宜的に、前記ボイラーのヒーターは、前記貯蔵器の内部に配置された加熱コイルとして形成され得る。その結果、前記ボイラーの特にコンパクトな構造につながる。特に、ヒーターはスパイラル状の管状ヒーターとして設計することができ、その場合、加熱コイルが、スパイラル状の加熱管内を通り、前記加熱コイルは、電気絶縁のために、好ましくは酸化マグネシウム粉が充填される。
【0018】
真空断熱された温水ボイラーを一つだけではなく、複数の温水ボイラーを設け、当該温水ボイラーのうち、例えば、一つが蒸気生成のために、また別の一つが温水生成のために設けられ、両方にそれぞれ真空断熱が設けられるまたは両方が当該真空断熱によって囲まれていることは、本発明の範囲内にある。例えば、二つの飲料の並行製造を可能にするために二つ以上の温水ボイラーを使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明のさらなる利点および実施態様は、図面に基づく以下の実施形態例の説明から明らかになる。
【0020】
図1】真空断熱された温水ボイラーの第一の実施形態例。
図2】真空断熱された外部ケーシングに挿入された温水ボイラーの実施形態例。
図3】それぞれ温水を供給するためと蒸気を供給するための二つの真空断熱された温水ボイラーを有するホット飲料調製装置の水流図。
図4】真空断熱の品質を評価するための冷却曲線の検知を図示する温水ボイラー内の温水温度の時間的推移の線図。
図5】混合弁を介して供給される冷水と温水ボイラーから取り出された温水とを混合するための静的ミキサーをさらに有する、別の実施形態例におけるホット飲料調製装置の水流図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において、例えば、コーヒーメーカーなどのホット飲料調製装置内において使用される温水ボイラー10は、図1において断面図として図示されている。前記温水ボイラー10は、下部領域において二重壁状に構成されて内側外壁11aと外側外壁11bとを有する貯蔵器11を有する。両者間に隙間空間12が設けられており、当該隙間空間は、真空化されていることで前記外壁11a、11bが真空断熱性を有する。上部領域において前記温水ボイラー10には、一つの壁のみを有するように構成された蓋13が設けられており、当該蓋を通って電気コネクタおよび/または油圧コネクタが延伸する。前記貯蔵器11の内部には、スパイラル状の管状ヒーター14が配されている。当該管状ヒーターは、前記蓋13における相応するフィードスルーを通って外に配線される二つの電気コネクタ14a、14bを有する。さらに前記温水ボイラーは、複数の接続のないフィードスルー15、16、17を有する。当該フィードスルーを通って供給管および排出管、ならびに例えば、圧力計や温度計などの計測装置を接続することが可能である。下部領域には真空弁18が配されており、当該真空弁を介して内側の前記外壁および外側の前記外壁11a、11bの間の前記隙間空間12が真空化された。
【0022】
図2にも真空断熱された温水ボイラー10の第二の実施形態例の部分断面図が図示されている。ここでは前記温水ボイラー10は、従来の単壁状に構成されている貯蔵器11’を含んでなる。前記貯蔵器内にはスパイラル状の管状ヒーター14が配置されており、当該管状ヒーターは、前記貯蔵器11’の上部領域に配置されたフィードスルーを通って外に配線される二つの電気コネクタ14a、14bを有する。図2においては一つのフィードスルー15のみが視認可能であるが、その他のフィードスルーは、供給管および排出管、ならびに場合によっては計測装置を接続するために使用される。
【0023】
前記貯蔵器11’は、真空断熱された外部ケーシング20内に配されており、当該外部ケーシングの下部領域は、内側の外壁21aと外側の外壁21bとを用いて二重壁状に構成されている。両者間には真空弁28を介して真空化された隙間空間22が配されている。上部領域において前記外部ケーシング20は、真空断熱されていない蓋23を用いて閉止されており、当該蓋を通って電気コネクタおよび/または油圧コネクタが延伸する。前記蓋23は、従来の断熱材(例えば、合成繊維からなるニードルフェルト、シリコンフォーム、グラスウールなど)を用いて断熱され得る。前記蓋23は、前記水ボイラー10を取り付けまたは取り外しあるいは修理するために開くことが可能であるため、前記真空断熱されている外部ケーシング20がない状態で前記温水ボイラー10の保守および取替を実施することが可能である。
【0024】
図3において二つの温水ボイラー10a、10bを有する本発明によるコーヒーメーカーのいわゆる水流図が図示されており、両方に本発明の方法によって前述のとおり真空絶縁が設けられているか、両方が当該真空絶縁によって囲まれている。前記温水ボイラー10aは、飲料調製のための温水の調製と貯蔵のために使用され、前記温水ボイラー10bは、ミルクを泡立てるための蒸気の調製と貯蔵のために使用され、熱平衡にある水量と蒸気量とを含んでいる。
【0025】
入口側において給水部または水容器のコネクタと接続されている給水口には、水フィルタ31、閉止弁32、二つの連続して接続された逆止弁33、水ポンプ34および温度センサ35を有するユニット30が配されている。前記水ポンプ34から冷水が、流量計36と、追加の逆止弁37とを介して前記ボイラー10aの取り入れ口に到達する。前記温水ボイラー10aにおいて水は、120℃から140℃の貯蔵温度に加熱される。温度センサ39を介して前記温水ボイラー10aにおける温度を決定し、前記温水ボイラー10aの前記ヒーター14を制御することによって調整することが可能である。超過圧力が生じた場合には、前記ボイラーの前記取り入れ口におけるリリーフ弁38が前記温水ボイラー10aから水を排出口に導出する。前記ボイラー10aの温水排出口は、二つの弁ブロック41、42へとつながる。前記温水ボイラー10aの取り入れ口と排出口との間において比例弁40が配されており、当該比例弁によって前記温水ボイラー10aからの温水に冷水が混合され得る。温度センサ44を介して、混合水の水温を計測することができ、それに応じて前記比例弁40を適切に制御することによって設定することが可能である。
【0026】
温水と前記比例弁40によって供給された冷水との混合は、冷水および温水の合流部の後方におけるホースライン内において実施され得る。両水流の可能な限り迅速な混合を得るためにはさらに、例えば、スパイラルミキサーなどの、両水流をしっかりと混合する静的ミキサー43を配置することが可能である。このことは図5において概略的に図示されている。スパイラルミキサーとは、静的ミキサーであって、筒状ハウジング内に複数の連続して配置された、互いに対してそれぞれ90度ずつオフセットされた180度コイルが配置されている。さらに、互いに連続するコイルは、それぞれ反対方向への回転方向を有する。それぞれのコイルは、通流する液体の流れを二つの部分流に分割する。当該部分流は、それぞれ次のコイルへのそれぞれの移行部において再度二つの部分流に分割され、それぞれ先行するコイルからの部分流と合流される。これにより液体流の混合が実施される。
【0027】
前記温水ボイラー10aの前記温水排出口は、両方の前記弁ブロック41、42と接続されている。弁41aを介して茶を供給するために温水を放出することが可能であり、弁41bを介して蒸気調製のために温水ボイラー10bを充填することが可能である。本実施形態例において弁41cは、使用されておらず、別の任意の機能のために使用することが可能である。弁41dの入口は、前記弁41bの出口と接続されており、同様に前記温水吐出口につながっているため、温水と蒸気とを同時に放出することが可能である。弁42aを介して飲料吐出ヘッド45において温水を放出することが可能であり、当該温水を、例えば、インスタント飲料またはコーヒー飲料を混合するために使用することが可能である。さらに、前記弁42aを介して抽出群52から前記吐出ヘッド45への吐出管をすすぐことが可能である。本実施形態例において、弁42bは、使用されておらず、例えば「インスタント飲料」というオプションのために使用することが可能である。
【0028】
さらに、前記温水ボイラー10aの前記温水排出口からは、導管が抽出ユニット50内の抽出弁51へとつながっている。前記抽出ユニット50は、円筒状の抽出チャンバを閉止する、可動である抽出ピストンを有する抽出群52を含んでなる。当該抽出群には、異なるコーヒー種のための二つの別個のミル部53a、53bを介して自動的に挽きたてのコーヒー粉を充填することが可能である。前記抽出弁51が開いているとき、温水は、前記温水ボイラー10aから前記抽出群52を通って前記水ポンプ34からの圧力下で流れることが可能である。前記抽出群52の出口において調整可能な背圧弁54が配されており、当該背圧弁を介して挽きたてのコーヒー飲料の流動速度を調整することが可能である。前記背圧弁54から、挽きたてのコーヒーは、前記コーヒーメーカーの前記吐出ヘッド45へと流れる。
【0029】
前記温水ボイラー10bを介して、ミルクを加熱しておよび場合によっては泡立てるための蒸気が供給される。二つの並列接続された弁60a、60bを有する弁ブロック60を介して、スチームランス62につながる蒸気管61を開放することが可能である。ミルクを泡立てるために、空気ポンプ63と逆止弁64とを介して、蒸気に放出時に空気を加えることが可能となる。さらに、前記スチームランス62に蒸気によって加熱されたまたは泡立てられたミルクの温度を計測する温度センサ65を設けることが可能である。
【0030】
前記温水ボイラー10bの蒸気吐出口には、さらにリリーフ弁66、圧力計67および温度センサ68が配されている。前記温水ボイラー10bの内部における温度を温度センサ69を介して監視することが可能であり、および、前記温度は、前記ヒーター14を適切に制御することによって、設定することが可能である。
【0031】
本発明による前記温水ボイラー10a、10bの真空断熱によって、ヒーター排熱の顕著な削減が得られるため、熱の問題が生じることなく前記装置を極めてコンパクトな構造とすることが可能となる。さらに、真空断熱によって、温水をより高い貯蔵温度で蓄えることが可能となるため、冷水を混合することにより、放出時により大きな水量が利用可能となる。よって、前記温水ボイラー10aをよりコンパクトな構造とするか、あるいは新たに温水を再加熱する必要が生じるまでにより多量のホット飲料を調製することが可能となる。
【0032】
前記真空断熱の二重壁領域における真空は、典型的には1ミリバール未満、好ましくは1マイクロバール未満ですら、さらに好ましくは0.1μバール未満ですらある。加えて、真空の長期安定性を保持するため、極微の漏れおよび素材のガス放出時にガスを吸収するためにいわゆるゲッター材を真空に配設することも可能である。ゲッターまたは捕集材は、真空をできる限り長く保持するために使用される化学反応性材料である。ゲッターの表面において、ガス分子が前記ゲッター材の原子と化学結合(酸化)するか、前記ガス分子が吸着により固定される。こうしてガス分子が「捕集」される。ゲッターとしては、例えばバリウム合金、アルミニウム合金、またはマグネシウム合金などの金属が適しており、当該金属は、排出後に前記ゲッター金属を蒸発させるために場合によっては加熱することが可能である。
【0033】
加えて、真空化された前記隙間空間12、22には、前記温水ボイラー10、10‘の排熱をさらに減少させる反射箔を配設することが可能である。
【0034】
前述のとおり、前記真空断熱は、前記温水ボイラーの一部であって、当該温水ボイラーと機械的に接続されているか一体化されていることが可能であり、あるいは、前記真空断熱を別個の部品として構成して前記温水ボイラーをその内部に内蔵することが可能である。
【0035】
真空断熱の品質評価のために使用可能な冷却曲線の検知は、図4において示される線図において図示されており、当該線図は、前記温水ボイラー内の温水温度の経時変化を示す。
【0036】
このために、制御装置によって追加のソフトウェア機能が実現され、前記制御装置は同時に前記ヒーター14の制御と前記温水ボイラー10、10‘における温水温度の調整に使用され得て、当該ソフトウェア機能は、前記温度センサ39、69を用いて計測され得る前記温水ボイラー10、10‘の冷却曲線を用いて断熱の品質を求める。これにより真空断熱を検査することが可能となる。早すぎる冷却が確認されると、前記真空断熱の真空に欠陥があると判断し、前記真空断熱を交換するか修理するよう、適切なエラーメッセージを生成することが可能である。この情報は、前記装置自体あるいは遠隔保守によっても検索することが可能である。
【0037】
図4において、前記温水ボイラー10aまたは10bの前記温度センサ39または69によって計測された温度曲線が時間tに亘ってプロットされている。前記ヒーターをオフ切り替えした後、温度はゆっくり下側閾値まで下がる。当該下側閾値に到達すると、前記ヒーター14は、加熱期間Hに亘ってオン切り替えされる。よって、温度は、上側閾値または前記ボイラーにおける目標温度まで再び上昇する。その後、ここでは60秒である予め定められたタイムスパンの間、前記ヒーター14が温水に全ての加熱エネルギーを供給するまで待機する。その後、温度が本実施形態例では1℃である、予め定められた温度差ΔT分下がるまでのタイムスパンΔtが計測される。当該冷却時間は、前記真空断熱の断熱特性がどの程度良好であるかの指標である。1℃の冷却時間が良好な真空絶縁の最低値を下回るまで下がると、エラーメッセージが生成され、データ通信によって監視センターに前記ボイラー10aまたは10bの前記真空断熱がおそらく不良であり、点検が必要である旨が通知される。よって、簡単な方法で前記真空断熱を評価し、前記真空の不良が生じているかどうかを確認することが可能となる。当然冷却時間として、例えば、二つの加熱期間H間のタイムスパン、すなわち温度が下側閾値まで下がって、前記ヒーター14が再び活性化されるまでの時間との両方を検知することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】