(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072289
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】蛍光シグナルを測定し3D表現を決定する方法、画像取込み処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
A61B10/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023194564
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】63/425,397
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】23205174.8
(32)【優先日】2023-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519207011
【氏名又は名称】クエスト・フォトニック・デバイシーズ・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】QUEST PHOTONIC DEVICES B.V.
【住所又は居所原語表記】Industrieweg 41, 1775 PW Middenmeer, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リシェル ヨハンナ マリア ホベリング
(72)【発明者】
【氏名】トーマス コープマン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ヨハネス コルネリス ミースター
(57)【要約】
【課題】蛍光シグナルを測定する強化された画像取込み処理装置を提供する。
【解決手段】蛍光剤(8)が添加された肢部(4)の組織内の蛍光シグナルを測定し、肢部(4)の少なくとも一部の3D表現を決定するように構成された画像取込み処理装置(2)。装置(2)は、照射部(16)と、蛍光撮像部(22)と、トポロジ取込み部とを備える。トポロジ取込み部は、肢部(4)の少なくとも一部の表面のトポロジに関するデータを取り込み、取り込んだデータから肢部(4)の少なくとも一部の3D表現を決定するように構成される。出力部は、蛍光画像(7)及び3D表現の視覚化画像を出力するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光剤(8)が添加された肢部(4)の組織内の蛍光シグナルを測定し、前記肢部(4)の少なくとも一部の3D表現を決定し、前記蛍光剤(8)が添加された前記組織が前記肢部(4)の一部を形成する方法であって、
-前記蛍光剤(8)の励起発光による発光を生じさせるのに適した波長を有する励起光を前記組織に照射し、蛍光画像(7)を提供するように前記発光を空間分解測定することにより前記蛍光画像(7)を取り込むステップと、
-前記肢部(4)の少なくとも前記一部の前記表面(11)のトポロジに関するデータを取り込み、前記取り込んだデータから前記肢部(4)の少なくとも前記一部の3D表現を決定するステップと、
-前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の視覚化画像(44)を出力するステップとを含む方法。
【請求項2】
-前記3D表現から前記肢部(4)の少なくとも前記一部の体積を決定するステップと、
-前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)を、前記決定された体積(V)の視覚化画像(48)と共に出力するステップとをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
-オーバーレイ画像(9)を提供するように、前記蛍光画像(7)と、前記肢部(4)の少なくとも前記一部の前記3D表現の前記視覚化画像(44)とを重畳するステップと、
-前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)の出力として前記オーバーレイ画像(9)を出力するステップとをさらに含む、
請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光画像(7)を取り込むステップと、前記肢部(4)の少なくとも前記一部の前記表面(11)の前記トポロジに関するデータを取り込むステップとが同時に行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光画像(7)と、前記肢部(4)の少なくとも前記一部の前記表面(11)の前記トポロジに関するデータとを取り込むステップと、前記取り込まれたデータからの前記肢部(4)の少なくとも前記一部の前記3D表現を決定するステップとが、少なくとも第1の測定シリーズ及び第2の測定シリーズで行われ、前記異なる測定シリーズが、異なる肢部(4)に対して又は異なる時点で行われ、前記出力するステップが、前記第1のシリーズ及び前記第2のシリーズの前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(4)を出力することを含み、特に、前記第1のシリーズ及び前記第2のシリーズの前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(4)が、少なくとも1つの差分画像として出力される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
-前記肢部(4)の前記表面の少なくとも前記一部の可視光画像(5)を取り込むステップであって、前記蛍光画像(7)と前記可視光画像(5)の視線方向及び/又は視点が既知の関係を介して連結されているステップをさらに含み、
前記出力するステップが、
-前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)と共に前記可視光画像(5)を出力するステップを含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
-前記蛍光画像(7)を取り込むステップ及び前記可視光画像(5)を取り込むステップを繰り返して蛍光画像(7)のシリーズ及び可視光画像(5)のシリーズを提供するステップであって、前記肢部(4)の前記表面の前記トポロジに関するデータの前記取込みが、前記蛍光画像(7)及び前記可視光画像(5)の前記シリーズを取り込むときに撮像される前記肢部(4)の少なくとも前記一部で行われるステップと、
-前記可視光画像(5)の前記シリーズにスティッチングアルゴリズムを適用して大きな可視光画像を生成するステップであって、前記スティッチングアルゴリズムがスティッチングパラメータのセットを決定して適用するステップと、
-蛍光画像(7)の前記シリーズに前記スティッチングアルゴリズムを適用して大きな蛍光画像を生成するステップであって、前記スティッチングアルゴリズムが、前記可視光画像(5)の前記スティッチングを行うときに決定された前記スティッチングパラメータのセットを適用するステップとをさらに含み、
前記出力するステップが、
-前記大きな蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)と共に前記大きな可視光画像(5)を出力することを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記蛍光シグナルの前記測定が、少なくとも第1及び第2の蛍光剤(8)が添加された組織に対して行われ、前記蛍光画像を取り込む前記ステップが、
-前記第1の蛍光剤(8)の第1の励起発光による発光を生じさせるのに適した第1の波長を有する第1の励起光を前記組織に照射することによって生成された、第1の波長範囲の第1の蛍光画像を取り込むことと、
-前記第2の蛍光剤(8)の第2の励起発光による発光を生じさせるのに適した第2の波長を有する第2の励起光を組織に照射することによって生成された、第2の波長範囲の第2の蛍光画像を取り込むこととを含み、さらに、前記出力するステップが、前記第1の蛍光画像及び前記第2の蛍光画像並びに前記3D表現の前記視覚化画像(44)を出力することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
蛍光剤(8)が添加された肢部(4)の組織内の蛍光シグナルを測定し、前記肢部(4)の少なくとも一部の3D表現を決定し、前記蛍光剤(8)が添加された前記組織が前記肢部(4)の一部を形成するように構成された画像取込み処理装置(2)であって、
-前記蛍光剤(8)の励起発光による発光を生じさせるのに適した波長を有する励起光を前記組織に照射するように構成された照射部(16)と、
-前記蛍光画像(7)を提供するように前記発光を空間分解測定することにより蛍光画像を取り込むように構成された蛍光撮像部(22)と、
-肢部(4)の少なくとも前記一部の前記表面(11)のトポロジに関するデータを取り込み、前記取り込んだデータから前記肢部(4)の少なくとも前記一部の3D表現を決定するように構成されたトポロジ取込み部(40)とを備える画像取込み装置(10)を備え、
-前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の視覚化画像を出力するように構成された出力部(42)を備える処理装置(12)をさらに備える、画像取込み処理装置(2)。
【請求項10】
前記処理装置(12)が、
-前記3D表現から前記肢部(4)の少なくとも前記一部の体積(V)を決定するように構成された体積決定部(46)をさらに備え、前記出力部(42)が、
-前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)を、前記決定された体積(V)の視覚化画像(48)と共に出力するようにさらに構成された、請求項9に記載の装置(2)。
【請求項11】
前記処理装置(12)が、
-オーバーレイ画像(9)を提供するように、前記蛍光画像(7)と、前記肢部(4)の少なくとも前記一部の前記3D表現の前記視覚化画像とを重畳するように構成された重畳部(30)と、
-前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)の出力として前記オーバーレイ画像(9)を出力するように構成された出力部(42)とをさらに備える、請求項9又は10に記載の装置(2)。
【請求項12】
前記蛍光撮像部(22)及び前記トポロジ取込み部(40)が、前記蛍光画像(7)の取込みと、前記肢部(4)の少なくとも前記一部の前記表面(11)の前記トポロジのデータの取込みとを同時に行うように構成された、
請求項9から11のいずれか一項に記載の装置(2)。
【請求項13】
前記画像取込み装置(10)が、
-前記肢部(4)の前記表面の少なくとも前記一部の可視光画像を取り込むように構成された可視光撮像部(24)であって、前記蛍光撮像部(22)と前記可視光撮像部(24)とが、前記蛍光画像と前記可視光画像との視線方向及び/又は視点が、既知の関係を介して連結されるように構成された可視光撮像部(24)をさらに備え、
-前記出力部(42)が、前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)と共に前記可視光画像(5)を出力するように構成された、請求項9から12のいずれか一項に記載の装置(2)。
【請求項14】
-前記蛍光撮像部(22)及び前記可視光撮像部(24)が、前記蛍光画像(7)及び前記可視光画像(5)を取り込むことを繰り返して蛍光画像(7)のシリーズ及び可視光画像(5)のシリーズを提供するようにさらに構成され、前記トポロジ取込み部が、前記蛍光画像(7)及び前記可視光画像(5)の前記シリーズを取り込むときに撮像される前記肢部(4)の少なくとも前記一部において、前記肢部(4)の前記表面の前記トポロジに関するデータを取り込むように構成され、前記処理装置(12)が、
-前記可視光画像(5)の前記シリーズにスティッチングアルゴリズムを適用して前記肢部(4)の大きな可視光画像を生成するように構成されたスティッチング部(28)であって、前記スティッチングアルゴリズムがスティッチングパラメータのセットを決定して適用し、前記スティッチング部(28)が、蛍光画像(7)の前記シリーズに前記スティッチングアルゴリズムを適用して大きな蛍光画像を生成するようにさらに構成され、前記スティッチングアルゴリズムが、前記可視光画像(5)の前記スティッチングを行うときに決定された前記スティッチングパラメータのセットを適用するスティッチング部(28)をさらに備え、
前記出力部(42)が、前記大きな蛍光画像及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)と共に前記大きな可視光画像を出力するように構成された、
請求項13に記載の装置(2)。
【請求項15】
前記蛍光撮像部(22)及び前記可視光撮像部(24)が、前記蛍光画像(7)及び前記可視光画像(5)の前記視線方向及び前記視点が同一であるように構成され、特に、前記蛍光撮像部(22)及び前記可視光撮像部(24)が、前記蛍光画像(7)及び前記可視光画像(5)が同一の対物レンズ(18)を介して取り込まれるように構成された、請求項13又は14に記載の装置(2)。
【請求項16】
前記蛍光撮像部(22)及び前記可視光撮像部(24)が、前記蛍光画像(7)の信号と前記可視光画像(5)の信号との間の時間切替えなしに、前記蛍光画像(7)及び前記可視光画像(5)を同時に取り込むように構成された、請求項13から15のいずれか一項に記載の装置(2)。
【請求項17】
画像取込み装置(10)が、前記蛍光画像(7)を形成する蛍光及び前記可視光画像(5)を形成する可視光を入射面(S1)を介して受光するように構成されたダイクロイックプリズムアセンブリ(20)であって、第1のプリズム(P1)と、第2のプリズム(P3)と、前記第1のプリズム(P1)と前記第2のプリズム(P3)との間に配置された第1の補正プリズム(P2)と、前記可視光を3つの光成分に分割するための別のダイクロイックプリズムアセンブリ(P5、P6、P7)と、前記第2のプリズム(P3)と前記別のダイクロイックプリズムアセンブリ(P5、P6、P7)との間に配置された第2の補正プリズム(P4)とを備えるダイクロイックプリズムアセンブリ(20)をさらに備え、
前記第1のプリズム(P1)及び前記第2のプリズム(P3)がそれぞれ、少なくとも5つの角を有する断面を有し、各角が少なくとも90度の内角を有し、前記第1のプリズム(P1)及び前記第2のプリズム(P3)の各角がそれぞれの入射面(S1、S2)及びそれぞれの出射面を有し、前記入射面(S1、S3)の法線に平行な方向に前記それぞれのプリズム(P1、P3)の前記入射面(S1、S3)に入射する入射ビームが、前記それぞれのプリズム(P1、P3)の内部で2回反射され、前記出射面の法線に平行な出射面を介して前記それぞれのプリズム(P1、P3)を出射するように設計され、
前記それぞれのプリズム(P1、P3)の前記入射面(S1、S3)の前記法線と前記出射面の前記法線とが互いに垂直であり、
光が前記入射面(S1)を通って前記第1のプリズム(P1)に入射すると、前記光が前記第1のプリズム(P1)の前記出射面に向かって部分的に反射され、それにより、前記第1のプリズム(P1)の前記入射面(S1)から前記第1のプリズム(P1)の前記出射面までの第1の経路長を進み、前記光が前記第1の補正プリズム(P2)を介して前記第2のプリズム(P3)に部分的に入射し、前記第2のプリズム(P3)の前記出射面に向かって部分的に反射され、それにより、前記第1のプリズム(P1)の前記入射面から前記第2のプリズム(P3)の前記出射面までの第2の経路長を進み、
前記第1の経路長と前記第2の経路長とが同じになるように、前記第1のプリズム(P1)が前記第2のプリズム(P3)よりも大きい、請求項9から16のいずれか一項に記載の装置(2)。
【請求項18】
-肢部(4)に蛍光剤(8)を投与するステップと、
-前記蛍光剤(8)が投与された前記肢部(4)の組織内の蛍光シグナルを測定し、前記肢部(4)の少なくとも一部の3D表現を決定するステップであって、前記蛍光剤(8)が添加された前記組織が前記肢部(4)の一部を形成するステップと、
-前記蛍光剤(8)の励起発光による発光を生じさせるのに適した波長を有する励起光を前記組織に照射し、蛍光画像(7)を提供するように前記発光を空間分解測定することにより前記蛍光画像(7)を取り込むステップと、
-前記肢部(4)の少なくとも前記一部の前記表面のトポロジに関するデータを取り込み、前記取り込んだデータから前記肢部(4)の少なくとも前記一部の3D表現を決定するステップと、
-前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)を出力するステップと、
-前記蛍光画像(7)及び前記3D表現の前記視覚化画像(44)を分析することによって、リンパ浮腫に関連する、特にリンパ浮腫の重症度又はレベルに関連する診断結果を導出するステップとを含む、
リンパ浮腫を診断する方法。
【請求項19】
前記患者(6)の足又は手の指の節骨の間の組織に前記蛍光剤(8)を注入することによって患者の腕又は脚に前記蛍光剤(8)を投与する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
患者(6)に対して、請求項18又は19に記載のステップを行うことによってリンパ浮腫に関する診断を行うステップと、
-前記患者(6)に対して治療を行うステップであって、前記治療がリンパ浮腫に関する前記診断結果に合わせて調整されるステップと、
-前記患者(6)に対してリンパ浮腫を診断する前記ステップと治療を行うステップとを繰り返すステップであって、各反復において、前記治療がリンパ浮腫の前記診断、特にリンパ浮腫の重症度又はレベルに合わせて調整されるステップとを含む、リンパ浮腫の長期治療の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光剤が添加された肢部の組織内の蛍光シグナルを測定し、肢部の少なくとも一部の3D表現を決定する方法であって、蛍光剤が添加された組織が肢部の一部を形成する方法に関する。さらに、本発明は、蛍光剤が添加された肢部の組織内の蛍光シグナルを測定し、肢部の少なくとも一部の3D表現を決定するように構成された画像取込み処理装置であって、蛍光剤が添加された組織が肢部の一部を形成する装置に関する。
【0002】
本発明はまた、リンパ浮腫を診断する方法及びリンパ浮腫の長期治療の方法に関する。
【0003】
本方法並びに画像取込み処理装置は、特にリンパ浮腫の診断、治療及び/又は予防を考慮したリンパ機能の撮像及び測定に関する。
【背景技術】
【0004】
リンパ浮腫は、身体組織のリンパ液が貯留することである。酸素化血液が動脈を介して心臓から組織に圧送される一方で、脱酸素化血液は静脈を介して心臓に戻る。動脈側の圧力レベルは静脈側よりもはるかに高いため、血液の無色の流体部分が細胞間の空間に押し込まれる。典型的には、静脈側で再吸収される量よりも多くの流体が押し出される。過剰な流体は、リンパ毛細管によって輸送される。さらに、流体は、大きなタンパク質及び細胞残屑などの局所及び外部の物質を運び去る。リンパ系に入った、輸送物質を含むこの流体はリンパ又はリンパ液と呼ばれる。
【0005】
リンパ系は、リンパを次のリンパ節に輸送するための静脈弁に似た一方向弁を有するリンパ管を含む。リンパ節は、特定の物質を除去して流体が血流に戻る前に流体を浄化する。
【0006】
リンパの流れが遮断されて所望のレベルで行われないという点でリンパ系が閉塞すると、リンパ液は組織細胞間の間質腔に貯留する。この貯留はリンパ輸送の障害によるものであり、リンパ浮腫と呼ばれる。リンパの貯留は炎症反応を引き起こし、患部の周囲の細胞を損傷する可能性がある。それはさらに線維症を引き起こし、罹患組織の硬化に転じる可能性がある。
【0007】
リンパ浮腫は、治癒又は投薬が存在しない一生続く疾患であるため、排液を改善し、流体負荷を減少させるための早期診断及び適切な早期対策は、患者の健康及び回復にとって非常に重要である。リンパマッサージ及び圧迫包帯から手術までの可能な治療は重症度に依存し、以下のように重症度の4つのステージが世界保健機関(WHO)によって定義されている。
【0008】
ステージ1:リンパ系の正常な流れ。徴候又は症状なし。
ステージ2:腫れを伴う流体の貯留。
ステージ3:患部の肢部又は身体部分の隆起を伴う消散しない永続的な腫れ。
ステージ4:象皮病(大きく変形した肢部)、「いぼ状」成長を伴う皮膚肥厚及び広範な瘢痕化。
【0009】
リンパ系機能の診断のために一般的に使用される手法は、患部の肢部又は身体部分を医師が人手で検査する方法である。公知のイメージング技術はリンパシンチグラフィである。この技術では、放射線トレーサを患部の身体部分の組織に注入した後、MRI(磁気共鳴画像法)、CT(コンピュータ断層撮影法)、PET-CTスキャン(陽電子放出断層撮影法)又は超音波撮像を行う。
【0010】
比較的新しいイメージング技術は、蛍光色素、例えばICG(インドシアニングリーン)を用いた赤外蛍光イメージングである。ICGは、40年以上にわたって使用されている緑色の医療用色素である。この色素は、600nm~800nmの波長を有する近赤外光で励起されると蛍光を発する。励起により、ICGは750nm~950nmの蛍光を発する。ICG色素の蛍光は、CCD又はCMOSセンサ又はカメラを使用して検出することができる。患部の肢部又は身体部分の組織に蛍光色素を投与し、検出した蛍光に基づいて、リンパ液の濃度及び流れを追跡することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、蛍光シグナルを測定する強化された方法、及び強化された画像取込み処理装置、並びに強化された内視鏡又は腹腔鏡を提供することであり、特に、強化された蛍光イメージング出力を提供できるものである。
【0012】
さらに、本発明の目的は、リンパ浮腫の強化された診断方法及びリンパ浮腫の強化された長期治療の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
目的は、蛍光剤が添加された肢部の組織内の蛍光シグナルを測定し、肢部の少なくとも一部の3D表現を決定し、蛍光剤が添加された組織が肢部の一部を形成する方法であって、
蛍光剤の励起発光による発光を生じさせるのに適した波長を有する励起光を組織に照射し、蛍光画像を提供するように発光を空間分解測定することにより蛍光画像を取り込むステップと、
肢部の少なくとも一部の表面のトポロジに関するデータを取り込み、取り込んだデータから肢部の少なくとも一部の3D表現を決定するステップと、
蛍光画像及び3D表現の視覚化画像を出力するステップとを含む方法によって解決される。
【0014】
有利には、蛍光画像から導出可能な情報は、肢部の3Dトポロジを考慮して、又はそれと組み合わせて分析することができる。これにより、医師はより多くの情報に基づいて診断を行うことができ、診断の精度及び信頼性を高めることができる。
【0015】
肢部の表面のトポロジに関するデータは、適切なスキャナ又は取得装置を使用して取得することができる。これは、例えば、カラー画像、ステレオ画像、3D画像を取り込むための装置、ラインスキャナ、LiDARスキャナ、TOFセンサ、点群生成器、又は物体から3Dデータセットを生成することができる任意の他の適切な装置であってもよい。したがって、3Dデータセット、すなわち患者の肢部の表面のトポロジに関するデータは、例えば点群又は任意の他の3D表現である。3D表現の視覚化のために、3Dデータセットは、点群、グリッドネットワーク構造、3Dモデルレンダリング、又は任意の他の適切な3Dイラストに変換(すなわち、計算)することができる。視覚化画像は、適切な装置を介して再生される真の3D画像であってもよい。装置は、例えば3Dスクリーンであってもよい。3Dスクリーンは、典型的には、3Dスクリーン上の物体を見るときにユーザによって装着される適切な眼鏡と組み合わせて使用される。3D画像の再生のための装置はまた、3Dヘッドセット、3Dゴーグル又は眼鏡、VR眼鏡、AR眼鏡などであってもよい。これにより、ユーザは、真の3Dで3D表現を見て分析することができる。
【0016】
本発明の有利な実施形態によれば、方法は、3D表現から肢部の少なくとも一部の体積を決定するステップと、蛍光画像及び3D表現の視覚化画像を、決定された体積の視覚化画像と共に出力するステップとを含むことによってさらに強化される。
【0017】
肢部の体積の測定値は、典型的には、リンパ浮腫の程度又は重症度を判定するために使用される。測定値は、治療的処置の成功を分析するために使用することもできる。リンパ浮腫の治療が有効である場合、患部の肢部の体積は何らかの形で変化するはずである。ほとんどの場合、有効な治療法は患部の肢部の体積を減少させると予想される。肢部の体積を決定する従来の方法は、いわゆるテープ測定である。これは、患者の足又は手のある地点から開始し、腕又は脚の上に一定の間隔でテープを置き換えていくことによって行われる。テープのそれぞれの位置で、肢部の周囲を測定する。肢部の全体積は、テープのそれぞれの位置で測定された円周に等しい円周を有する円柱又は錐台によって近似される。しかしながら、この従来の方法には重大な欠点がある。第1に、体積の決定は非常に大まかな近似となることである。第2に、特に異なるオペレータによって又は異なる時点で異なる測定が行われた場合、再現可能な測定結果を生成することは非常に困難なことである。
【0018】
体積の決定は測定された3Dデータに基づくため、本発明の態様による方法は、肢部の体積の正確で再現可能な決定を提供することによってこうした欠点を完全に解消する。したがって、肢部の体積の変化を経時的に観察することが可能である。リンパ浮腫の発症を検出することができ、治療処置の成功又は特定の処置に対する患者の個々の反応を決定することができる。
【0019】
本発明の態様による方法によって行われる肢部の体積の決定に基づいて、患者の左右の肢部を比較することも可能である。対応する肢部の体積を比較することは、2つの肢部の一方がリンパ浮腫に罹患しているか否かを診断するための周知の指標である。例えば、患者の左腕と右腕、又は左脚と右脚を比較することができる。さらに、体積の絶対値を比較することができる。例えば1つの肢部の総体積を考慮して2つの肢部の体積の差を分析することができるため、これは有利であり得る。測定結果は、例えば、左腕の体積が右腕の体積よりも10%大きいなどといったものであり得る。
【0020】
肢部の3D表現と組み合わせて、体積分布を生成することができる。例えば、肢部の長手方向延在部にわたる体積の値を計算することができる。これにより、医師は、リンパ浮腫に罹患していると思われる肢部の特定の部分を検出することができる。この測定は、蛍光画像と組み合わせることができる。医師は、予備診断を検証又は誤りを立証することができ、有利には、完全に新しい基準に基づいて診断を行うことができる。これにより診断の品質は向上し、診断は医師の個々の経験及び資格に起因する個人的要素を含まなくなり、それに対して結果は客観的な測定に基づくようになる。
【0021】
本発明の別の有利な実施形態によれば、方法は、オーバーレイ画像を提供するように、蛍光画像と、肢部の少なくとも一部の3D表現の視覚化画像とを重畳するステップと、蛍光画像及び3D表現の視覚化画像の出力としてオーバーレイ画像を出力するステップとを含む。
【0022】
蛍光画像及び3D表現の視覚化画像の出力は、例えば、2つの画像を画面又はモニタに並べて表示することによって行うことができる。蛍光画像で見られる物体は、3D表現の視覚化画像の同じ位置で見つけることができる。これは、2つの画像の対応する位置で見ることができる構造を比較するだけで行うことができる。しかしながら、このプロセスは、オーバーレイ画像を使用することによってさらに簡略化することができる。オーバーレイ画像は、3D表現及び蛍光画像における対応する部分の割り当てを著しく単純化する。したがって、オーバーレイ画像は、情報を迅速かつ容易に理解する方法をユーザに提供する。
【0023】
さらに別の実施形態によれば、方法は、蛍光画像を取り込むステップと、肢部の少なくとも一部の表面のトポロジに関するデータを取り込むステップとが同時に行われる点でさらに強化される。
【0024】
特に、蛍光画像を取り込む蛍光撮像部と、表面のトポロジに関するデータを取り込むトポロジ取込み部とが1つの装置に配置される。装置はさらに、画像データの取得とトポロジデータの取得とを同時に行うことができるように構成される。
【0025】
さらに別の有利な実施形態によれば、方法は、蛍光画像と、肢部の少なくとも一部の表面のトポロジに関するデータとを取り込むステップと、取り込まれたデータからの肢部の少なくとも一部の3D表現を決定するステップとが、少なくとも第1の測定シリーズ及び第2の測定シリーズで行われ、異なる測定シリーズが、異なる肢部に対して又は異なる時点で行われ、出力するステップが、第1のシリーズ及び第2のシリーズの蛍光画像及び3D表現の視覚化画像を出力することを含み、特に、第1のシリーズ及び第2のシリーズの蛍光画像及び3D表現の視覚化画像が、少なくとも1つの差分画像として出力されるという点でさらに強化される。
【0026】
例えば、第1のシリーズは、患者の最初の検査時に取り込むことができる。第2のシリーズは、同じ患者が第2の検査に戻っている間に取り込まれる。2つのシリーズのデータを比較することにより、リンパ浮腫の発生若しくは進行を観察することができ、又は治療の成功を評価することができる。
【0027】
代替の適用シナリオでは、第1のシリーズのデータは、例えば患者の左腕から取り込むことができる。第2のシリーズは、患者の右腕から取り込む。典型的には、リンパ浮腫は、2つの肢部の一方、例えば左腕のみに影響を及ぼし、右腕には影響を及ぼさない。左右の肢部を比較することによって、リンパ浮腫のレベルを評価することができる。
【0028】
さらに別の有利な実施形態によれば、方法は、肢部の表面の少なくとも一部の可視光画像を取り込むステップであって、蛍光画像と可視光画像の視線方向及び/又は視点が既知の関係を介して連結されているステップをさらに含み、出力するステップは、蛍光画像及び3D表現の視覚化画像と共に可視光画像を出力するステップを含む。
【0029】
言い換えれば、蛍光及びトポロジに関する情報を含むデータセットは、可視光画像によって補完される。可視光画像との組み合わせは、患者の肢部において特定の現象が検出される位置をユーザが見つける助けとなり得る。これは、可視光画像と現実世界とを比較することによって容易に行うことができる。特定の位置の識別は、例えば、患者の肢部の特定の領域をマークすることによってサポートすることができる。このマーキングは可視光画像で見ることができ、医師が特定の関心領域を突き止める助けとなり得る。
【0030】
本明細書の文脈内で、「可視光画像」は現実世界の状況の画像である。これは、人間の目に見えるものと同様の画像印象を再現する。人間の目とは異なり、可視光画像は、カラー画像でも、グレースケール画像でも、偽色スケールプロットでもよい。可視光画像は、蛍光剤が投与された組織を含む肢部の表面を示す。組織が肢部の表面に配置される場合、肢部の表面の撮像は組織の表面の撮像を含む。
【0031】
当然ながら、トポロジデータ及び蛍光画像の取込みは、肢部の特定の部分に限定されることが多い。言い換えれば、肢部全体、例えば腕又は脚全体を1つの画像で撮像することは不可能である。以下の実施形態は、この欠点を解消する。有利には、方法は、
蛍光画像を取り込むステップ及び可視光画像を取り込むステップを繰り返して蛍光画像のシリーズ及び可視光画像のシリーズを提供するステップであって、肢部の表面のトポロジに関するデータの取込みが、蛍光画像及び可視光画像のシリーズを取り込むときに撮像される肢部の少なくとも一部で行われるステップと、
可視光画像のシリーズにスティッチングアルゴリズムを適用して大きな可視光画像を生成するステップであって、スティッチングアルゴリズムがスティッチングパラメータのセットを決定して適用するステップと、
蛍光画像のシリーズにスティッチングアルゴリズムを適用して大きな蛍光画像を生成するステップであって、スティッチングアルゴリズムが、可視光画像のスティッチングを行うときに決定されたスティッチングパラメータのセットを適用するステップとをさらに含み、
出力するステップは、
大きな蛍光画像及び3D表現の視覚化画像と共に大きな可視光画像を出力することを含む。
【0032】
有利には、例えば肢部全体を示す2つの大きな画像を出力することができ、ユーザに優れた概観を示すことができる。スティッチングプロセスは、典型的にはより顕著な特徴を含む可視光画像に基づいて開始する。これらの特徴により、スティッチングアルゴリズムは、スティッチングされる予定の画像を再配置することができる。この目的のために、スティッチングされるべき2つの画像に特別な特徴を見つけなければならない。さらに、そのような見つけやすい特徴を生成することも可能である。これは、例えば、患者の肢部の表面にマークを付けることによって行うことができる。蛍光画像において同様のアプローチはできない。これに加えて、蛍光画像は、典型的に多くの重要な特徴を欠いている。このため、スティッチングアルゴリズムは、蛍光画像上でスティッチングを行うときに問題を抱えることが多い。この欠点は、スティッチングパラメータが可視光画像のスティッチングから導出された、同一のパラメータを有するスティッチングアルゴリズムを可視画像及び蛍光画像に適用することによって完全に取り除かれる。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態によれば、蛍光画像及び可視光画像の視線方向及び視点は同一である。特に、蛍光画像と可視光画像は、同一の対物レンズを介して取り込まれる。蛍光画像及び可視光画像が、特に視線方向及び視点に関して固定された空間的関係を用いて取り込まれる場合、両方のデータセット、すなわち可視光画像及び蛍光画像に対してスティッチングアルゴリズムを実行するのに有利となる。同一の対物レンズを介して画像を取り込むことによって、この前提条件を容易に満たすことができる。
【0034】
さらに別の有利な実施形態によれば、蛍光画像の取込み及び可視光画像の取込みは、蛍光画像の信号と可視光画像の信号との間の時間切替えなしに同時に行われる。時間切替えがない場合、高フレームリピートレートを達成することができる。レートは、例えば毎秒60フレーム又はそれ以上と高くなり得る。ライブ画像には高フレームレートが望まれることが多い。これにより、様々な応用分野が開かれる。
【0035】
さらに別の有利な実施形態によれば、蛍光画像を取り込み、組織に励起光を照射し、同時に可視光画像を取り込むステップは、単一の画像取込み装置によって行われる。この単一の画像取込み装置は、使いやすいコンパクトなツールとなる。
【0036】
本発明の態様による方法は、蛍光シグナルの測定が、少なくとも第1及び第2の蛍光剤が添加された組織に対して行われ、かつ、蛍光画像を取り込むステップが、
第1の蛍光剤の第1の励起発光による発光を生じさせるのに適した第1の波長を有する第1の励起光を組織に照射することによって生成された、第1の波長範囲の第1の蛍光画像を取り込むことと、
第2の蛍光剤の第2の励起発光による発光を生じさせるのに適した第2の波長を有する第2の励起光を組織に照射することによって生成された、第2の波長範囲の第2の蛍光画像を取り込むこととを含み、さらに、出力するステップが、
第1の蛍光画像及び第2の蛍光画像並びに3D表現の視覚化画像を出力することを含む点において、さらに強化される。
【0037】
2つの蛍光波長を使用する蛍光イメージングによって新しい分野が開かれ、これは顧客からも求められることが多い。別の実施形態によれば、第1の蛍光色素は例えばメチレンブルーであり、第2の色素はICGであってもよい。蛍光画像を取り込むステップは、本実施形態では、第1の蛍光色素が発した蛍光の第1の蛍光画像を取り込むことと、第2の蛍光色素が発した蛍光の第2の蛍光画像を取り込むこととを含む。2つの画像の取り込みは、特に時間切替えなく行われる。第1の蛍光画像は、第1の蛍光色素としてメチレンブルーを使用した場合、700nm~800nmの波長範囲で取り込むことができる。第2の蛍光画像は、第2の蛍光色素としてICGを使用した場合、800nm~900nmの波長範囲で取り込むことができる。2つの異なる蛍光剤に基づく蛍光イメージングは、測定及び診断の新しい可能性をもたらす。
【0038】
蛍光色素(同じものが第1の蛍光色素及び第2の蛍光色素に当てはまる)は、例えばICG(インドシアニングリーン)又はメチレンブルーである。本明細書の文脈内で、「蛍光色素」又は「色素」の用語(「フルオロクロム」又は「フルオロフォア」とも呼ばれる)は、分子を蛍光性にする分子成分を指す。その成分は、特定の波長のエネルギーを吸収し、異なる特定の波長のエネルギーを再放出する分子内の官能基である。様々な態様において、蛍光剤は、蛍光色素、その類似体、その誘導体又はそれらの組み合わせを含む。適切な蛍光色素は、インドシアニングリーン(ICG)、フルオレセイン、メチレンブルー、イソスルファンブルー、パテントブルー、シアニン5(Cy5)、シアニン5.5(Cy5.5)、シアニン7(Cy7)、シアニン7.5(Cy7.5)、サイぺート、シリコンローダミン、5-ALA、IRDye700、IRDye800CW、IRDye800RS、IRDye800BK、ポルフィリン誘導体、イルミナーレ-1、ALM-488、GCP-002、GCP-003、LUM-015、EMI-137、SGM-101、ASP-1929、AVB-620、OTL-38、VGT-309、BLZ-100、ONM-100、BEVA800を含むがこれらに限定されない。
【0039】
目的は、蛍光剤が添加された肢部の組織内の蛍光シグナルを測定し、肢部の少なくとも一部の3D表現を決定し、蛍光剤が添加された組織が肢部の一部を形成するように構成された画像取込み処理装置であって、
蛍光剤の励起発光による発光を生じさせるのに適した波長を有する励起光を組織に照射するように構成された照射部と、
蛍光画像を提供するように発光を空間分解測定することにより蛍光画像を取り込むように構成された蛍光撮像部と、
肢部の少なくとも一部の表面のトポロジに関するデータを取り込み、取り込んだデータから肢部の少なくとも一部の3D表現を決定するように構成されたトポロジ取込み部とを備える画像取込み装置を備え、
蛍光画像及び3D表現の視覚化画像を出力するように構成された出力部を備える処理装置をさらに備える画像取込み処理装置によってさらに解決される。
【0040】
蛍光シグナルを測定し3D表現を決定する方法に関して述べた同じ又は類似の利点が、同じ又は類似の形で画像取込み処理装置にも適用されるため、それについて繰り返さないものとする。
【0041】
有利な実施形態によれば、画像取込み処理装置の処理装置は、
3D表現から肢部の少なくとも一部の体積を決定するように構成された体積決定部をさらに備え、出力部は、
蛍光画像及び3D表現の視覚化画像を、決定された体積の視覚化画像と共に出力するようにさらに構成される。
【0042】
3D表現、蛍光シグナル、及び肢部の体積の値を決定する可能性によって、画像取込み処理装置のユーザは、例えばリンパ浮腫の診断のための優れた基礎を得る。
【0043】
処理装置は、オーバーレイ画像を提供するように、蛍光画像と、肢部の少なくとも一部の3D表現の視覚化画像とを重畳するように構成された重畳部と、蛍光画像及び3D表現の視覚化画像の出力としてオーバーレイ画像を出力するように構成された出力部とをさらに備える点において、さらに強化される。
【0044】
さらに、装置は、蛍光撮像部及びトポロジ取込み部が、蛍光画像の取込みと、肢部の少なくとも一部の表面のトポロジのデータの取込みとを同時に行うように構成される点においてさらに強化され得る。
【0045】
3Dデータ及び蛍光データは、有利には、可視光画像データで補完することができる。したがって、本発明の態様による画像取込み装置は、有利には、
肢部の表面の少なくとも一部の可視光画像を取り込むように構成された可視光撮像部であって、蛍光撮像部と可視光撮像部とが、蛍光画像と可視光画像との視線方向及び/又は視点が、既知の関係を介して連結されるように構成された可視光撮像部をさらに備えることができ、
出力部は、蛍光画像及び3D表現の視覚化画像と共に可視光画像を出力するように構成される。
【0046】
さらに、装置は、
蛍光撮像部及び可視光撮像部が蛍光画像及び可視光画像の取込みを繰り返して蛍光画像のシリーズ及び可視光画像のシリーズを提供するようにさらに構成され、トポロジ取込み部が、蛍光画像及び可視光画像のシリーズを取り込むときに撮像される肢部の少なくとも一部において、肢部の表面のトポロジに関するデータを取り込むように構成され、処理装置が、
可視光画像のシリーズにスティッチングアルゴリズムを適用して肢部の大きな可視光画像を生成するように構成されたスティッチング部であって、スティッチングアルゴリズムがスティッチングパラメータのセットを決定して適用し、スティッチング部が、蛍光画像のシリーズにスティッチングアルゴリズムを適用して大きな蛍光画像を生成するようにさらに構成され、スティッチングアルゴリズムが、可視光画像のスティッチングを行うときに決定されたスティッチングパラメータのセットを適用するスティッチング部をさらに備え、
出力部が、大きな蛍光画像及び3D表現の視覚化画像と共に大きな可視光画像を出力するように構成されることによってさらに強化され得る。
【0047】
さらに別の有利な実施形態によれば、重畳部は、大きな可視光画像と大きな蛍光画像とを重畳して肢部のオーバーレイ画像を提供するように構成され得る。出力部は、3D表現の視覚化画像と共にオーバーレイ画像を出力するようにさらに構成され得る。
【0048】
さらに別の有利な実施形態によれば、装置は、蛍光撮像部及び可視光撮像部が、蛍光画像及び可視光画像の視線方向及び視点が同一であるように構成され、特に、蛍光撮像部及び可視光撮像部が、蛍光画像及び可視光画像が同一の対物レンズを介して取り込まれるように構成されるという点でさらに強化され得る。
【0049】
さらに、装置は、蛍光撮像部及び可視光撮像部が、蛍光画像の信号と可視光画像の信号との間の時間切替えなしに、蛍光画像及び可視光画像を同時に取り込むように構成されるという点で有利に強化される。
【0050】
さらに別の有利な実施形態によれば、画像取込み装置は、蛍光画像を形成する蛍光及び可視光画像を形成する可視光を入射面を介して受光するように構成されたダイクロイックプリズムアセンブリであって、第1のプリズムと、第2のプリズムと、第1のプリズムと第2のプリズムとの間に配置された第1の補正プリズムと、
可視光を3つの光成分に分割するための別のダイクロイックプリズムアセンブリと、第2のプリズムと別のダイクロイックプリズムアセンブリとの間に配置された第2の補正プリズムとを備えるダイクロイックプリズムアセンブリを備え、
第1のプリズム及び第2のプリズムがそれぞれ、少なくとも5つの角を有する断面を有し、各角が少なくとも90度の内角を有し、第1のプリズム及び第2のプリズムの各角がそれぞれの入射面及びそれぞれの出射面を有し、前記入射面の法線に平行な方向にそれぞれのプリズムの入射面に入射する入射ビームが、それぞれのプリズムの内部で2回反射され、前記出射面の法線に平行な出射面を介してそれぞれのプリズムを出射するように設計され、
それぞれのプリズムの入射面の法線と出射面の法線とが互いに垂直であり、
光が入射面を通って第1のプリズムに入射すると、光が第1のプリズムの出射面に向かって部分的に反射され、それにより、第1のプリズムの入射面から第1のプリズムの出射面までの第1の経路長を進み、光が第1の補正プリズムを介して第2のプリズムに部分的に入射し、第2のプリズムの出射面に向かって部分的に反射され、それにより、第1のプリズムの入射面から第2のプリズムの出射面までの第2の経路長を進み、
第1の経路長と第2の経路長とが同じになるように、第1のプリズムが第2のプリズムよりも大きいことによってさらに強化される。
【0051】
有利には、上記の5つのプリズムアセンブリは、2つの蛍光撮像波長及び可視光撮像のための3つの色、例えば赤、青及び緑を取り込むことを可能にする。5つのプリズムアセンブリは、入射面からそれぞれのセンサに進む光の光路が同じ長さを有するという点で有利である。したがって、すべてのセンサに焦点が合っており、さらに、センサの信号間にタイミングギャップがない。有利には、装置は、受信信号の時間切替えを必要としない。これにより、高フレームレートで高画質の撮像が可能となる。
【0052】
さらに別の態様によれば、画像取込み装置は、蛍光及び可視光を第1、第2及び第3のセンサにそれぞれ向けるための第1、第2及び第3の光路を画定し、画像取込み装置は、蛍光及び可視光を入射面を介して受光するように構成されたダイクロイックプリズムアセンブリをさらに備え、ダイクロイックプリズムアセンブリは、第1のプリズムと、第2のプリズムと、第3のプリズムとを備え、各プリズムはそれぞれの第1、第2及び第3の出射面を有し、第1の出射面は第1のセンサを設け、第2の出射面は第2のセンサを設け、かつ、第3の出射面は第3のセンサを設け、特に、第1の光路は第1のフィルタを設け、第2の光路は第2のフィルタを設け、かつ、第3の光路は第3のフィルタを設け、
第1、第2及び第3のフィルタは、順不同で、緑フィルタ、赤外フィルタ、及び、赤と青のフィルタを交互のパターンにおいて含む赤・青パターンフィルタであって、赤・青パターンフィルタによって受光された光の半分が青フィルタを通過し、赤・青パターンフィルタによって受光された光の半分が赤フィルタを通過するようになっている赤・青パターンフィルタである。
【0053】
さらに別の態様によれば、第1、第2及び第3のフィルタは、順不同で、赤・緑・青パターンフィルタ(RGBフィルタ)、第1の赤外フィルタ、及び第2の赤外フィルタであり、特に、第1及び第2の赤外フィルタは異なる透過波長を有する。
【0054】
言い換えれば、第1及び第2の赤外フィルタは、異なる赤外波長間隔、例えば、典型的な蛍光色素が第1の蛍光ピークを発する第1のIR域、及び典型的な蛍光色素が第2の蛍光ピークを発する第2のIR域において、赤外光をフィルタリングするためのものである。典型的には、第2のIR域は第1のIR域に比べて高い波長に位置している。第1及び第2の赤外フィルタは、異なる蛍光剤の発光域に調整されてもよい。したがって、例えば、第1の蛍光剤の発光は第1のフィルタを通過し、(かつ、特に第2のフィルタによって阻止され、)対応する第1のセンサで検出されることができ、第2の蛍光剤の発光は第2のフィルタを通過し、(かつ、特に第1のフィルタで阻止され、)対応する第2のセンサで検出されることができる。例えば、第1のフィルタはメチレンブルーの蛍光発光を測定するために構成され、第2のフィルタはICGの蛍光発光を測定するように構成されてもよい。
【0055】
また、実施形態に関して、蛍光シグナルを測定する方法に関して述べたのと同じ又は類似の利点及び有利な態様が適用される。
【0056】
さらに、目的は、
肢部に蛍光剤を投与するステップと、
蛍光剤が投与された肢部の組織内の蛍光シグナルを測定し、肢部の少なくとも一部の3D表現を決定するステップであって、蛍光剤が添加された組織が肢部の一部を形成するステップと、
蛍光剤の励起発光による発光を生じさせるのに適した波長を有する励起光を組織に照射し、蛍光画像を提供するように発光を空間分解測定することにより蛍光画像を取り込むステップと、
肢部の少なくとも一部の表面のトポロジに関するデータを取り込み、取り込んだデータから肢部の少なくとも一部の3D表現を決定するステップと、
蛍光画像及び3D表現の視覚化画像を出力するステップと、
蛍光画像及び3D表現の視覚化画像を分析することによって、リンパ浮腫に関連する、特にリンパ浮腫の重症度又はレベルに関連する診断結果を導出するステップとを含む、リンパ浮腫を診断する方法によって解決される。
【0057】
リンパ浮腫を診断する方法は、より高い精度及び信頼性で有利に行うことができるため、より良好な結果を提供する。この全く新しいアプローチは、リンパ浮腫を診断する古典的な方法に有利に取って代わり得る。リンパ浮腫を診断する従来の方法は、患部の肢部を医師が人手で検査するものである。しかしながら、こうした診断を行う方法は、医師の個々の経験及び資格に起因する再現不可能でランダムな要素を含まざるを得ない。さらに、リンパ浮腫を診断する方法は、蛍光シグナルを測定する方法に関して前述したのと同じ又は類似の利点を含む。さらに、この方法は、従来の方法よりも良好な結果を提供する。特に、不正確なテープ測定法を行わなくて済む。
【0058】
一実施形態によれば、3D表現の視覚化画像は、決定された体積の視覚化画像によって補完することができる。言い換えれば、肢部の少なくとも一部の体積は、3D表現から決定され、体積は、蛍光画像及び3D表現の視覚化画像と共に出力される。決定された体積の視覚化画像は、グラフィック図、例えばカラースケール図とすることができる。しかしながら、グラフィック図は、決定された値の数値表現も含むべきである。
【0059】
リンパ浮腫を診断する方法は、2つ以上の肢部に対する診断の実施をさらに含むことができる。例えば、方法は、患者の左右の肢部に対して行うことができる。これによって差分診断が可能となる。
【0060】
さらに、方法は、患者の足又は手の指の節骨の間の組織に蛍光剤を注入することによって患者の腕又は脚に蛍光剤を投与する点において、強化することができる。
【0061】
目的は、
本方法の上述の実施形態のうちの1つ以上に従ってリンパ浮腫に関する診断を行うステップと、
患者に対して治療を行うステップであって、治療がリンパ浮腫に関する診断結果に合わせて調整されたステップと、
リンパ浮腫を診断するステップと患者に対して治療を行うステップとを繰り返すステップであって、各反復において、治療がリンパ浮腫の診断、特にリンパ浮腫の重症度又はレベルに合わせて調整されるステップとを含むリンパ浮腫の長期治療の方法によっても解決される。
【0062】
本発明の態様による長期治療の方法は、リンパ浮腫の診断が、従来の方法とは対照的に、疾患の重症度又はレベルに関して客観的な結果をもたらすために特に有用である。したがって、長期治療の成功を客観的な観点から分析することができる。したがって、診断及び治療を強化することができる。
【0063】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲及び含まれる図面と共に本発明による実施形態の説明から明らかになるであろう。本発明による実施形態は、個々の特性又はいくつかの特性の組み合わせを満たすことができる。
【0064】
本発明は、本発明の一般的な意図を制限することなく、例示的な実施形態に基づいて以下に説明され、本文でより詳細に説明されていない本発明によるすべての詳細の開示に関しては図面が明示的に参照される。図面を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図2】画像取込み処理装置の画像取込み装置及び処理部の概略図である。
【
図3】蛍光撮像部及びトポロジ取込み部を備える画像取込み装置の動作の簡略図である。
【
図4】3D表現の視覚化画像及び蛍光画像を含むオーバーレイ画像の簡略図である。
【
図6】
図5a)及び
図5b)に示す蛍光画像における例示的な可視光から部分的に生成された大きなオーバーレイ画像である。
【
図7】画像取込み装置の内部プリズムアセンブリを示す概略図である。
【
図8】スティッチングアルゴリズムのフローチャートである。
【
図9】画像取込み装置の別の内部プリズムアセンブリを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図面において、同じ又は類似の種類の要素又は互いに対応する部分には、項目を再導入する必要がないように同じ参照番号が付されている。
【0067】
図1は、患者6の肢部4の組織における蛍光シグナルを測定するように構成された画像取込み処理装置2を示す。単なる一例として、患者6の肢部4は腕である。蛍光シグナルの測定は、患者6の他の肢部4、例えば脚に対して行うこともできる。
【0068】
最初に測定を開始する前に、蛍光剤8が患者の肢部4の組織に投与、すなわち注入される。肢部4の組織における蛍光シグナルの測定方法は、画像取込み処理装置2を示す図面でも説明するが、蛍光剤8を投与するステップを含まない。
【0069】
蛍光剤8は、例えば、ICG又はメチレンブルーである。ICG(インドシアニングリーン)は、40年以上にわたって使用されている緑色の医療用色素である。ICGは、600nm~800nmの波長を有する近赤外光で励起されると蛍光を発する。発する蛍光は750nm~950nmである。蛍光剤8が2つの異なる医療用色素を含むことも可能である。例えば、蛍光剤8はメチレンブルーとICGとの混合物であってもよい。
【0070】
蛍光剤8の投与後、
図1に矢印で示すように、画像取込み処理装置2の一部を構成する画像取込み装置10を用いて患者の肢部4を検査する。
【0071】
画像取込み装置10は、肢部4の表面11を撮像し、蛍光剤8が励起光で照射された結果生じる蛍光シグナルを検出するように構成される。適切な励起波長を有する光を発するために、画像取込み装置10は照射部16(
図1には示されていない)を備える。
【0072】
取り込まれた画像は、画像取込み処理装置2の一部を構成する処理装置12に通信される。分析の結果は出力され、例えば処理装置12のディスプレイ14に表示される。画像取込み装置10は、医師3によって操作され得る。
【0073】
図2は、画像取込み処理装置2の画像取込み装置10及び処理装置12をより詳細に示す模式図である。画像取込み装置10は、蛍光剤8の発光を励起することによって蛍光を発生させるのに適した波長を有する励起光を組織に照射するように構成された照射部16を備える。照射部16には、例えば複数のLEDが設けられている。
【0074】
さらに、画像取込み装置10はトポロジ取込み部40を備える。トポロジ取込み部40は、ラインスキャナ若しくはLiDARスキャナ、点群生成器、又は物体から3Dデータセットを生成することができる任意の他の適切な装置であってもよい。
【0075】
画像取込み装置10は、可視光及び蛍光を取り込む対物レンズ18をさらに備える。光は、対物レンズ18を通ってプリズムアセンブリ20に導かれる。プリズムアセンブリ20は、可視光画像をもたらす可視光から、特に750nm~950nmの波長範囲にある蛍光を分離するように構成される。蛍光は、例えば、必要に応じて追加の波長フィルタ及び電子機器を含むCCD又はCMOSセンサである蛍光撮像部22に向けられる。蛍光撮像部22は、蛍光画像を提供するように発光、すなわち蛍光剤8の励起発光の空間分解測定によって蛍光画像を取り込むように構成される。さらに、必要に応じて追加の異なる波長フィルタ及び電子機器を含む別のCCD又はCMOSセンサである可視光撮像部24がある。プリズムアセンブリ20は、可視光撮像部24が患者の肢部4の表面11の一部の可視光画像を取り込めるように可視光撮像部24に可視光を向けるように構成される。同様に、プリズムアセンブリ20は蛍光撮像部22に蛍光を向けるように構成される。プリズムアセンブリ20、蛍光撮像部22及び可視光撮像部24については、以下でさらに詳細に説明する。
【0076】
可視光撮像部24は、オプションである。すなわち、画像取込み装置10は、蛍光撮像部22及びトポロジ取込み部40のみを備えた構成とすることができる。先入観なしに単に説明を簡単にするために、両方のユニット、すなわち蛍光撮像部22及び可視光撮像部24を備える画像取込み装置10が示されている。
【0077】
画像取込み装置10はまた、奥行き情報を含む3D画像を計算することができる一対の立体画像を取り込むのに適した3Dカメラであってもよい。この場合、トポロジ取込み部40は、3D画像データから患者の肢部4の表面11のトポロジに関するデータを算出可能な処理部に置き換えることができる。この場合、肢部4の表面11のトポロジに関するデータを取得するための別個のセンサは不要である。
【0078】
トポロジ取込み部40は、患者6の肢部4の少なくとも一部の表面11のトポロジに関するデータを取り込むように構成される。さらに、トポロジ取込み部40は、取り込んだデータから肢部4の少なくとも一部の3D表現を決定するように構成される。
【0079】
画像データ及び3D表現に関するデータは、適切なデータリンク26を介して画像取込み装置10から処理装置12に通信される。データリンク26は、無線データリンク又は有線データリンク、例えばデータケーブルであってもよい。
【0080】
処理装置12は、蛍光画像及び3D表現の視覚化画像を出力するように構成された出力部42を備える。3D表現の視覚化画像は、処理装置12において、例えば出力部42によって計算することができる。処理装置12はまた、別個に示されていない、トポロジ取込み部40の一部と考えることができるさらなるユニットを備えてもよい。このユニットは、例えばトポロジ取込み部40のスキャン装置に取り込んだ3D表現のデータから3D表現の視覚化画像を計算するように構成される。3D表現の視覚化画像は、例えば、点群、グリッドネットワーク構造、3Dモデルレンダリング、又は任意の他の適切な3Dイラストであってもよい。
【0081】
図3は、蛍光撮像部22及びトポロジ取込み部40を備える画像取込み装置10が、蛍光画像と、肢部4の表面11のトポロジに関するデータとを取り込む様子を示している。これは、画像取込み装置10を肢部4の長手方向Lに沿って移動させることにより行われる。スキャンされたデータは出力部42によって処理され、肢部4の3D表現の視覚化画像44が生成される。
【0082】
図4は、そのような視覚化画像44を示す。単なる一例として、視覚化画像44は点群である。肢部4のこの視覚化画像44は、処理装置12のディスプレイ14に表示することができる(
図2を参照)。
【0083】
図3はまた、従来技術とは対照的に、肢部4の表面11のトポロジの測定値を示す。従来の手法は、いわゆるテープ法によって患者の肢部4の体積を決定する方法である。テープは、例えば患者の腕の周りに一定の間隔で配置される。
図3では、テープを黒い線で示している。テープの位置でのアームの円周が決定され、全体積は、テープのそれぞれの位置で測定された円周に等しい円周を有する円錐台の円筒によって近似される。しかしながら、この従来の方法は非常に大まかな近似である。さらに、この方法は不整合及び測定誤差を伴う。特に測定が異なる時点で又は異なる人によって行われる場合、異なる測定値を比較することは困難である。
【0084】
図4に戻って、患者6の肢部4の表面11のトポロジを特徴付ける3Dデータを意味する3D表現画像から、肢部4の体積Vを計算できることが分かる。肢部4の体積Vを算出するために、処理装置12は体積決定部46を含む。体積決定部46は、3D表現から肢部4の少なくとも一部の体積Vを決定するように構成される。計算された体積Vは、3D表現の視覚化画像44と共に表示することができる。例えば、体積Vは、単純な8桁を使用して表示することができ、これは
図4に示されており、決定された体積の視覚化画像48は「V=xycm3」である。
【0085】
さらに、処理装置12は、オーバーレイ画像9を提供するように蛍光画像と、肢部4の少なくとも一部の3D表現の視覚化画像44とを重畳する重畳部30を備える。それに応じて、出力部42はオーバーレイ画像9を出力するように構成される。
【0086】
これは、蛍光画像7を示す雲状の構造を示すことによって
図4に示されている。肢部4のこの部分には、高濃度の蛍光剤が存在し、これはリンパ輸送が不十分であることの強い徴候である。この情報は、体積Vに関する情報及び患者の肢部4の3D表現の視覚化画像44と共にマージされる。この情報はすべて、オーバーレイ画像9を形成する。オーバーレイ画像9は、例えばリンパ浮腫のその後の診断のための非常に良好なデータベースをユーザに与える。
【0087】
さらに、蛍光画像7を取り込むことと、肢部4の一部の表面11のトポロジに関するデータを取り込むことと、その後取り込んだデータから肢部4の一部の3D表現を決定することとは、少なくとも第1の測定シリーズと、第2の測定シリーズとに対して行ってもよい。異なる測定シリーズは、異なる肢部4に対して又は異なる時点で行ってもよい。例えば、第1の測定シリーズは患者6の左腕に対して行うことができ、第2の測定シリーズは患者6の右腕に対して行うことができる。第1の測定シリーズは第1の検査中に行い、第2の測定シリーズは、例えばその後の時間(数週間後)である第2の検査中に行うことも可能である。出力部42は、第1のシリーズ及び第2のシリーズの蛍光画像及び3D表現の視覚化画像を出力するように構成される。出力部42は、第1のシリーズ及び第2のシリーズの取込みデータから計算された差分画像を生成して出力するようにさらに構成される。言い換えれば、差分画像において第1のシリーズと第2のシリーズとの間の差が強調表示されるという点で、第1のシリーズと第2のシリーズの蛍光画像及び3D表現の視覚化画像44が出力される。この情報を差分画像に出力することで、第1のシリーズと第2のシリーズのデータ間の差分を容易に視覚化できる。例えば、患者6の左腕と右腕との間の体積Vの差である。典型的には、一方の腕のみがリンパ浮腫に罹患する。したがって、この比較によってリンパ浮腫の量又はレベルを容易に視覚化できる。第1の検査結果を第2の検査の測定値と比較することによって、疾患の進行を視覚化でき、又は治療的処置の効果を視覚化できる。どちらの場合でも、さらなる診断及び治療のための非常に良好なデータベースがシステムユーザに提供される。
【0088】
さらに、画像取込み装置10は、蛍光撮像部22及び可視光撮像部24を動作させて可視光画像と蛍光画像を同時に取り込むように構成され得る。特に、画像取込み装置10は、蛍光画像の信号と可視光画像の信号との間の時間切替えを行わない。言い換えれば、蛍光撮像部22及び可視光撮像部24のセンサは、それぞれの波長範囲の画像を取り込むために排他的に使用され、すなわち、撮像部22、24のセンサは、IRスペクトルの蛍光画像を取り込むために、又は可視スペクトルの可視光画像を取り込むためのいずれかに使用される。蛍光撮像部22及び可視光撮像部24のセンサは、両方の波長範囲の画像を取り込むためには使用されない。これは大きな利点をもたらす。例えば、センサは正確に焦点が合った状態で配置することができるが、この配置は、画像センサが両方の目的、すなわち可視光及び赤外光を取り込むために使用される場合、異なる波長の焦点の位置は通常異なるために不可能である。さらに、センサパラメータは、例えば必要な露光時間又はセンサゲインに関して個別に調整することができる。IR信号は通常、可視光信号よりも低いため、個別に設定できることは有利である。
【0089】
蛍光撮像部22と可視光撮像部24とは、互いの空間的な関係が固定されている。これは、各ユニットが画像取込み装置10の1つの実装構造又はフレーム内に配置されているためである。さらに、蛍光撮像部22及び可視光撮像部24は、それぞれ、蛍光画像の撮像及び可視光画像の撮像のため、同一の対物レンズ18及びプリズムアセンブリ20を用いる。この対策により、蛍光撮像部22と可視光撮像部24は、蛍光画像と可視光画像の視線方向と視点が既知の一定の関係で連結されるように構成される。所与の実施形態では、蛍光撮像部22、可視光撮像部24が同じ対物レンズ18を介して撮像するため、2つの画像の視線方向は同一である。
【0090】
画像取込み装置10は、蛍光撮像部22及び可視光撮像部24を動作させて、蛍光画像及び可視光画像の撮像を繰り返して蛍光画像のシリーズ及び可視光画像のシリーズを提供するようにさらに構成されてもよい。同時に、トポロジ取込み部40は、肢部4の表面11のトポロジに関するデータを取り込む。この動作は、処理装置12が、蛍光撮像部22のイメージセンサ、可視光撮像部24のイメージセンサ、及び、トポロジ取込み部40を動作させることにより行うことができる。画像のシリーズは、典型的には、オペレータ又は医師3(
図1及び
図3参照)が患者6の肢部4の長手方向Lに沿って画像取込み装置10を移動させている間に取り込まれる。この移動は、画像のシリーズの後続の画像が重複部分を含むように行ってもよい。言い換えれば、画像のシリーズの第1の画像に示される細部が、そのシリーズの後続の第2の画像にも示される。これは、その後のステッチプロセスにとって重要である。対応する特徴を後の画像で確実に見つけることができるように、画像取得の頻度を十分に高い値に設定することができる。画像の取込みは例えば医師3が人手で開始するか、又は記載された前提条件を満たすように画像取込み装置10によって制御され得る。これは、特に可視光画像に関する。
【0091】
2シリーズの画像(すなわち、第1のシリーズの可視光画像及び第2のシリーズの蛍光画像)又はシリーズの画像対(各画像対は蛍光画像及び可視光画像を含む)が取込み装置10によって取り込まれて処理装置12で受信されると、そのシリーズの可視光画像はスティッチング部28(
図2を参照)によって処理することができる。スティッチング部28は、シリーズの可視光画像にスティッチングアルゴリズムを適用して肢部4の大きな可視光画像を生成するように構成される。大きな画像は、画像取込み装置10で分析された患者6の肢部4のより大きな一部、次いで単一の画像を示すという点において「より大きい」。
【0092】
スティッチングアルゴリズムは、可視光画像のスティッチングから始まる。スティッチングアルゴリズムは、スティッチング動作を行うときにスティッチングパラメータのセットを生成して適用する。スティッチング部28の詳細な動作については、さらに後述する。スティッチング部28は、シリーズの可視光画像だけでなく、シリーズの蛍光画像に対してもスティッチングアルゴリズムを適用して、大きな蛍光画像を生成するように構成される。蛍光画像のスティッチングに適用されるスティッチングアルゴリズムは、可視光画像のスティッチングに使用されるのと同じアルゴリズムである。さらに、蛍光画像のスティッチングは、可視光画像のスティッチングを行う際に決定されたのと同じスティッチングパラメータのセットを用いて行われる。これは、可視光画像及び蛍光画像の視野方向及び視点の間に固定された関係があるために可能である。当然ながら、可視光画像と蛍光画像の視線方向と視点が同一でない場合、固定オフセット又はスティッチングパラメータの変更を適用する必要がある。このとき、IR及びVis画像センサと対応する光学系との間の既知の固定された空間的関係が考慮される。
【0093】
スティッチング後、大きな可視光画像及び大きな蛍光画像が3D表現の視覚化画像44と共に出力される。例えば、画像及び3D表現の視覚化画像44は、ディスプレイ14上に並べて表示される。従来の検査システムとは異なり、ディスプレイ14は、互いに対応する可視光画像及び蛍光画像を示す。言い換えれば、蛍光画像上で見ることができる細部、例えばリンパ液の貯留を示す高い蛍光強度が、可視光画像に示される、患者の肢部4の正確に対応する位置上に見出され得る。これにより、医師3は、リンパ液の貯留が存在する領域を正確に特定することができる。これは、例えば、患者6の調整された特定の治療のために非常に価値のある情報である。
【0094】
可視光画像、蛍光画像、及び3D表現の視覚化画像44、特に大きな可視光画像及び大きな蛍光画像を、肢部4のオーバーレイ画像、特に大きなオーバーレイ画像を提供するように3D表現の視覚化画像44と共に重ね合わせることも可能である。これは、処理装置12の重畳部30で行うことができる。オーバーレイ画像は、ディスプレイ14を介して出力することもできる。
【0095】
図5a)は、患者6の肢部4の表面11の一部が見える可視光画像5の一例を示す。単なる一例として、患者の脚の一部が示されている。
図5b)は、患者の脚の組織に適用された蛍光剤8の蛍光シグナルを測定することによって決定された対応する蛍光画像7を示す。蛍光シグナルの高強度のスポット又は領域が見える。このスポット又は領域は、患者の脚におけるゆっくりとしたリンパ輸送及びあり得るリンパ浮腫に起因するリンパの貯留を強く示している。有利には、医師3は、蛍光画像7を可視光画像5と比較することによって、ゆっくりとしたリンパ輸送が起こっている領域を特定することができる。
【0096】
図6にはオーバーレイ画像9が示されており、ここでは、
図5a)及び
図5b)に示す画像に加えて、可視光画像5及び蛍光画像7のスティッチングが行われている。さらに、オーバーレイ画像9は3D表現の視覚化画像44を含む。この視覚化画像は、
図4を参照して説明した視覚化画像44と同様のものである。単なる一例として、
図6に示されるオーバーレイ画像9には体積の視覚化画像48はない。
【0097】
例示的な単一の可視光画像5及び蛍光画像7も
図6に見ることができ、それはそれぞれ大きなオーバーレイ画像9に示される直線破線の間に投影される。可視光画像5と蛍光画像7とをスティッチングすることにより、患者6の肢部4のほぼ全体を示す大きなオーバーレイ画像9を提供することができる。蛍光シグナルは、可視光画像5の特徴と明確に区別するために着色して示してもよい。
【0098】
図7には、画像取込み装置10のプリズムアセンブリ20の一実施形態が示されている。これは、画像取込み装置10が可視光画像5及び蛍光画像7を同時に取得するように構成された実施形態に関する。第1のプリズムP1は、五角柱である。可視光及び蛍光である入射光Aは、入射面S1を介して第1のプリズムP1に入射し、2つの面のうちの入射面S1に隣接しない一方である面S2で部分的に反射される。次いで、反射ビームBは、入射面S1に隣接する面のうちの第1の面で再反射される。反射の角度は、反射が内部的にならないように、臨界角未満とすることができる(隣接面は、光の漏れを回避し、対象となる必要な波長を反射するようにコーティングすることができる)。そして、反射光Cは、入射光Aと交差し、入射面S1に隣接する面のうちの第2の面からセンサD1に向けて第1のプリズムP1を出射する。ビームAの一部は、面S2を通過して補正プリズムP2に入射する。2つの非内部反射を使用して、ビームB及びCを介して入射ビームAをセンサD1に向けることができる。さらに、プリズムP1とプリズムP2との間に空隙がなく、プリズムP3とプリズムP4との間に空隙がなく、プリズムP2とプリズムP3との間に空隙がなくてもよい。プリズムP2は、入射面S1からセンサD1~5の個々の光路の長さを調整するための補正プリズムである。
【0099】
P2から、ビームDは第2の五角柱のプリズムP3に入射する。プリズムP1と同様に、ビーム自体を交差させるために内向きの反射が使用される。簡潔にするために、ビームの説明は、プリズムP3におけるビーム部分E、F、及びGがそれぞれプリズムP1におけるビーム部分A、B、及びCに対応すると述べることを除いて繰り返さない。プリズムP3はまた、入射ビームをセンサD2に向けて反射させるために内部反射を使用することができない。2つの非内部反射を使用して、ビームF及びGを介して入射ビームEをセンサD2に向けることができる。
【0100】
プリズムP3の後に、別の補正プリズムP4がある。最後に、ビームHは、それぞれセンサD3、D4及びD5を有するプリズムP5、P6及びP7を備えるダイクロイックプリズムアセンブリに入射する。ダイクロイックプリズムアセンブリは、それぞれのセンサD3、D4、及びD5に向かって可視光を赤、緑、及び青の成分に分割するためのものである。光は、ビームIを介してプリズムアセンブリに入射する。P5とP6との間に光学コーティングC1が配置され、プリズムP6とP7との間に別の光学コーティングC2が配置される。各光学コーティングC1及びC2は、異なる反射率及び波長感度を有する。C1において、入射ビームIは、光が入射したのと同じプリズムの面に部分的に反射して戻る(ビームJ)。同じ面で、ここではKとラベル付けされたビームは、再びセンサD3に向かって反射される。JからKへの反射は内部反射である。したがって、センサD3は、コーティングC1によって反射された光を受光し、同様に、センサD4は、コーティングC2によって反射されたビームLからの光(ビームM及びN)を受光し、センサD5は、妨げられずにプリズムを横断したビームOからの光を受光する。
【0101】
プリズムP4とプリズムP5との間には空隙が存在する。プリズムアセンブリ20では、各終点チャネルに対して以下の総経路長を定義することができる(チャネルの終点のセンサに関して定義される)。
【0102】
センサD1(例えば、第1の近赤外)経路:A+B+C
センサD2(例えば、第2の近赤外)経路:A+D+E+F+G
センサD3(例えば、赤色)経路:A+D+E+H+I+J+K
センサD4(例えば、青色)経路:A+D+E+H+I+0
センサD5(例えば、緑色)経路:A+D+E+H+I+M+N
【0103】
A+B+C=A+D+E+F+G=A+D+E+H+l+J+K=A+D+E+H+l+O=A+D+E+H+I+M+Nで経路長が一致する。
【0104】
経路長の一致は、センサD1~D5で検出される波長の焦点面及び焦点位置の差の調整を含むことができる。すなわち、鮮明で焦点の合った画像を作成するための理想的な距離は光の波長にある程度依存するため、例えば、青色(B)光のセンサに向かう経路長は、赤色(R)光のセンサに向かう経路長と正確に同じではない場合がある。プリズムは、この依存性を考慮して構成され得る。D+Hの長さは、補正プリズムP2、P4の横方向の変位によって波長シフトに起因して調整され、焦点補正器として作用し得る。
【0105】
経路I内のより大きな空隙は、追加のフィルタに使用することができるが、焦点シフト及び補正のためのガラス補正器で埋めることもできる。ビームJからビームKへの経路における内部反射のために、赤色プリズムの特定の底面に空隙が存在する必要がある。追加のフィルタを提供するために、プリズム出力面とセンサD1~D5の各々との間に空間を確保することができ、又はそれに応じてガラス補正器で埋めるべきである。
【0106】
センサD1、D2はIRセンサで、蛍光画像7を取り込むために構成される。一例として、センサD1及びD2並びに適切な電子機器は、蛍光撮像部22の一部である。センサD3、D4、D5は、可視光画像5の3成分を取り込むためのものである。一例として、センサD3、D4及びD5並びに適切な電子機器は、可視光撮像部24の一部である。それぞれのユニットの一部のセンサ、すなわち蛍光撮像部22及び可視光撮像部24にそれぞれ光ビームを向ける対応するプリズムを考えることもできる。
【0107】
図8は、可視光画像と蛍光画像のスティッチングに用いることができるスティッチングアルゴリズムのフローチャートを示す。フローチャートは、多かれ少なかれ自明のものであり、非常に簡単に説明される。最初に、取得された画像のシリーズ(S1)が処理装置12のスティッチング部28に転送される。次に、アルゴリズムがフレーム事前選択を行う(ステップS2)。この事前選択ステップでは、スティッチングに適したフレームが選択される。S3は選択されたスティッチングする画像を表し、次にそれらに前処理が施される(ステップS4)。前処理された画像(S5)において、特徴抽出が行われる(ステップS6)。画像特徴が抽出されると(S7)、S3の既知の画像と、ステップS7で抽出された特徴とを用いて、画像マッチング(ステップS8)が行われる。選択された画像(S9)に基づいて、画像の変換が推定される(ステップS10)。この画像変換(S11)の推定はスティッチングパラメータとも呼ばれ、適用される(ステップS12)。変換が適用され、変換された画像(S13)が生成される。さらなる画像補正、例えば露出補正を行うことができる(ステップS14)。変換及び補正された画像(S15)は、継ぎ目、すなわち画像が結合される線の位置を特定すること(ステップS16)によってスティッチングされる。継ぎ目(S17)の位置を示すデータは、変換及び補正された画像(S15)と共に使用されて、画像の合成物を作成する(ステップS18)。所与の実施形態では、これによって大きな可視光画像又は大きな蛍光画像が生成され、これらはスティッチング結果(S19)となる。
【0108】
図9では、画像取込み装置10の別のプリズムアセンブリ20の実施形態が示されている。プリズムアセンブリ20は、例えばそれぞれのセンサD3、D4及びD5に向けて赤、緑及び青の成分に光を分割するように構成されたプリズムP5、P6及びP7を備える。さらなる実施形態によれば、プリズムアセンブリ20は、入射光を緑成分、赤・青成分及び赤外成分に分割し、これらをそれぞれのセンサD3、D4及びD5に向けるように構成される。さらに別の実施形態によれば、プリズムアセンブリ20は、赤・緑・青センサ(RGBセンサ)に向けられる可視光成分、第1の波長又は波長間隔の第1の赤外成分、及び第2の波長又は波長間隔の第2の赤外成分に入射光を分割し、これらをそれぞれのセンサD3、D4及びD5に向けるように構成される。
【0109】
光は、示された矢印からプリズムアセンブリ20に入射する。P5とP6の間に光学コーティングC1が配置され、P6とP7の間に光学コーティングC2が配置され、各光学コーティングC1及びC2は、異なる反射率及び波長感度を有する。C1において、入射ビームIは、光が入射したのと同じプリズムP5の面に部分的に反射して戻る(ビームJ)。この同じ面で、ここではKとラベル付けされたビームは、再びフィルタF3とセンサD3に向かって反射される。JからKへの反射は内部反射である。したがって、フィルタF3及びセンサD3は、コーティングC1によって反射された光を受光し、同様に、フィルタF4及びセンサD4は、コーティングC2によって反射されたビームLからの光(ビームM及びN)を受光する。フィルタF5及びセンサD5は、妨げられずにプリズムを横断したビームOからの光を受光する。
【0110】
入射光が赤、緑及び青の成分に分割される実施形態に言及する場合、コーティング及びフィルタはそれに応じて選定される。
【0111】
入射光が緑成分、赤・青成分及び赤外成分に分離される実施形態では、フィルタF3はパターンフィルタ(赤・青)であってもよい。特に、赤と青のフィルタの交互のパターンのアレイがある。パターンは、特定の1つの色にフィルタリングされる2x2ピクセルのグループから構成されてもよい。フィルタF4は緑フィルタであってもよく、これはフィルタが緑フィルタのみを備えることを意味している。各ピクセルで受光した光が緑フィルタでフィルタリングされる単一のピクセルグリッドがある。フィルタF5はIRフィルタであってもよい。各ピクセルはIRフィルタでフィルタリングされる。
【0112】
一般に、コーティングC1及びC2はフィルタF3、F4及びF5に相当すべきである。例えば、第1のコーティングC1は可視光を透過してもよく、一方で赤外光を反射して赤外光がIRフィルタF3に向かって導かれるようにしてもよい。第2のコーティングC2は緑色光を透過してもよく、一方で赤色光と青色光を反射してフィルタF4が赤・青のパターンフィルタであり、F5が緑フィルタ23であるようにしてもよい。
【0113】
入射光が可視光成分(RGB)、第1の赤外成分及び第2の赤外成分に分割されるさらなる実施形態によれば、コーティングC1及びC2及びフィルタF3、F4及びF5は、例えば、センサD4が3色全ての可視光画像を検出するための色センサ(RGBセンサ)であるように構成される。さらに、センサD3が第1の波長の蛍光を検出するために構成され、センサD5が第2の波長の蛍光を検出するために構成されてもよい。
【0114】
同様に、
図7のプリズムアセンブリ20に言及する場合、センサD1、D2、D3、D4及びD5のそれぞれの1つの前に配置された、コーティングS1、S2、S3、S4、C1及びC2ならびにフィルタF1、F2、F3、F4及びF5は、最大4つの蛍光波長を検出できるように構成されてもよい。例えば、センサD4は、3色全ての可視光画像を検出するための色センサである。センサD3は、第1の波長又は波長間隔の蛍光を検出するためのものであり、センサD5は、第2の波長又は波長間隔の蛍光を検出するためのものであり、センサD1は、第3の波長又は波長間隔の蛍光を検出するためのものであり、センサD2は、第4の波長又は波長間隔の蛍光を検出するためのものである。
【0115】
図面のみから得られたものを含むすべての指定された特性、及び他の特性と組み合わせて開示された個々の特性は、単独及び組み合わせで本発明にとって重要であると考えられる。本発明による実施形態は、個々の特性又はいくつかの特性の組み合わせによって実施することができる。「In particular(特に)」又は「especially(特に)」いう表現と組み合わされる特徴は、好ましい実施形態として扱われるべきである。
【符号の説明】
【0116】
2 画像取込み処理装置
3 医師
4 肢部
5 可視光画像
6 患者
7 蛍光画像
8 蛍光剤
9 オーバーレイ画像
10 画像取込み装置
11 表面
12 処理装置
14 ディスプレイ
16 照射部
18 対物レンズ
20 プリズムアセンブリ
22 蛍光撮像部
24 可視光撮像部
26 データリンク
28 スティッチング部
30 重畳部
40 トポロジ取込み部
42 出力部
44 3D表現の視覚化画像
46 体積決定部
48 体積の視覚化画像
P1 第1の五角柱
P2、P4 補正プリズム
P3 第2の五角柱
P5、P6、P7 ダイクロイックプリズムアセンブリ
A 入射光ビーム
B~O 光線
S1 入射面
D1~D5 センサ
C1、C2 コーティング
L 長手方向
V 体積
【外国語明細書】