(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072297
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】点検口
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
E04F19/08 101J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182980
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000133319
【氏名又は名称】株式会社ダイケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】穴田 佳子
(57)【要約】
【課題】内蓋を外枠に着脱する際、内蓋の側方にスライド用のスペースを確保する必要がない点検口を提供する。
【解決手段】天井材2に取付けられた外枠4に、内蓋6がヒンジ装置5を介して開閉自在に取付けられ、ヒンジ装置5は、外枠4に設けられた外枠ヒンジ30と、内蓋6の内枠8に設けられた内枠ヒンジ31とを有し、内枠ヒンジ31は外枠ヒンジ30の長さ方向に交差する係脱方向11において外枠ヒンジ30に係脱自在であり、内蓋6が外枠4から脱落するのを防止する脱落防止部材40が外枠4に設けられ、脱落防止部材40は、内枠ヒンジ31が外枠ヒンジ30から離脱するのを阻止する内蓋脱落防止位置と、内蓋着脱位置とに切替え可能であり、内蓋脱落防止位置において、内蓋6を開いた状態で外枠ヒンジ30に係合している内枠ヒンジ31が外枠ヒンジ30から離脱する離脱方向11aへ移動するのを規制する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定材の開口部に取り付けられた外枠と、外枠にヒンジ装置を介して開閉自在に取り付けられた内蓋とを有する点検口であって、
内蓋は外枠内に嵌合される内枠を有し、
ヒンジ装置は、外枠に設けられた外枠ヒンジと、内枠に設けられた内枠ヒンジとを有し、
内枠ヒンジは、外枠ヒンジの長さ方向に交差する係脱方向において外枠ヒンジに係脱自在であり、且つ、外枠ヒンジの周囲を開閉方向に沿って回動自在であり、
内蓋が外枠から脱落するのを防止する脱落防止部材が外枠に設けられ、
脱落防止部材は、内枠ヒンジが外枠ヒンジから離脱するのを阻止する内蓋脱落防止位置と、内枠ヒンジが外枠ヒンジから離脱するのを可能にする内蓋着脱位置とに切り替え可能であり、内蓋脱落防止位置において、内蓋を開いた状態で外枠ヒンジに係合している内枠ヒンジが外枠ヒンジから離脱する離脱方向へ移動するのを規制することを特徴とする点検口。
【請求項2】
脱落防止部材は抵抗付与部材を有し、
脱落防止部材が内蓋着脱位置に切り替えられた状態で、閉方向へ回動する内枠ヒンジが抵抗付与部材に干渉することにより、抵抗付与部材が閉方向の抵抗を内枠ヒンジに付与することを特徴とする請求項1記載の点検口。
【請求項3】
脱落防止部材は外枠に対する内蓋の位置をずらすずれ発生部材を有し、
脱落防止部材が内蓋着脱位置に切り替えられた状態で、閉方向へ回動する内枠ヒンジがずれ発生部材に干渉することにより、ずれ発生部材は、内枠ヒンジが回動するスペースを制限して、内枠ヒンジの位置を外枠ヒンジに対して所定方向へずらすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の点検口。
【請求項4】
所定方向はヒンジ装置の取付側からその反対側へ向かう方向であることを特徴とする請求項3に記載の点検口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば天井等の固定材に設けられる点検口に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の点検口としては、例えば、
図14,
図15に示すように、天井101に設けられる点検口102がある。点検口102は、天井101の開口部103に取り付けられた外枠104と、外枠104にヒンジ装置105を介して開閉自在に取り付けられた蓋体106とを有している。
【0003】
蓋体106は外枠104内に嵌合される蓋枠107を有している。ヒンジ装置105は、外枠104に取り付けられたヒンジ金具108と、ヒンジ金具108の下端から下方に突出する突出部109と、突出部109に設けられたロッド110と、蓋枠107に形成された孔部111と、蓋枠107に形成された切欠部112とを有している。
【0004】
ロッド110は蓋枠107の孔部111に挿入されており、孔部111は切欠部112に連通している。また、蓋体106が外枠104から脱落するのを防止する脱落防止部材113が、ヒンジ金具108に設けられている。脱落防止部材113は上下方向に回動自在なレバーである。
これによると、蓋体106を外枠104から取り外した後、以下のようにして蓋体106を外枠104に取り付けることができる。
【0005】
先ず、
図15の仮想線で示すように、脱落防止部材113を上方に回動して無障害物状態にし、蓋枠107の切欠部112をヒンジ金具108の突出部109に嵌める。次に、ロッド110の先端を蓋枠107の孔部111の入口に合わせ、蓋体106を横方向114(ロッド110の軸心方向)へスライドさせて、ロッド110を孔部111に差し込む。
【0006】
その後、
図15の実線で示すように脱落防止部材113を下方に回動して、蓋枠107の切欠部112とヒンジ金具108の突出部109との間の間隙を脱落防止部材113で埋める。これにより、蓋枠107が外枠104に対して横方向114へ移動することは無く、不用意にロッド110が孔部111から抜け出すことは無いので、蓋体106が外枠104から脱落するのを防止することができる。
また、上記とは逆の手順によって、蓋体106を外枠104から取り外すことができる。
上記のような点検口102は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記の従来形式では、蓋体106を外枠104に着脱する際、蓋体106を横方向114へスライドさせるので、蓋体106の側方にスライド用のスペースを確保する必要がある。特に、ロッド110が長い場合、スライド用のスペースも広くなるため、スライド用スペースの確保が困難になることがある。
本発明は、内蓋を外枠に着脱する際、内蓋の側方にスライド用のスペースを確保する必要がない点検口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、固定材の開口部に取り付けられた外枠と、外枠にヒンジ装置を介して開閉自在に取り付けられた内蓋とを有する点検口であって、
内蓋は外枠内に嵌合される内枠を有し、
ヒンジ装置は、外枠に設けられた外枠ヒンジと、内枠に設けられた内枠ヒンジとを有し、
内枠ヒンジは、外枠ヒンジの長さ方向に交差する係脱方向において外枠ヒンジに係脱自在であり、且つ、外枠ヒンジの周囲を開閉方向に沿って回動自在であり、
内蓋が外枠から脱落するのを防止する脱落防止部材が外枠に設けられ、
脱落防止部材は、内枠ヒンジが外枠ヒンジから離脱するのを阻止する内蓋脱落防止位置と、内枠ヒンジが外枠ヒンジから離脱するのを可能にする内蓋着脱位置とに切り替え可能であり、内蓋脱落防止位置において、内蓋を開いた状態で外枠ヒンジに係合している内枠ヒンジが外枠ヒンジから離脱する離脱方向へ移動するのを規制するものである。
【0010】
これによると、内蓋を外枠から取り外す場合、先ず、内蓋を開き、脱落防止部材を内蓋脱落防止位置から内蓋着脱位置に切り替える。その後、内枠ヒンジを係脱方向に移動して外枠ヒンジから離脱させる。これにより、ヒンジ装置が内枠ヒンジと外枠ヒンジとに分離されるため、内蓋が外枠から取り外される。
【0011】
このようにして取り外した内蓋を外枠に取り付ける場合、先ず、内枠ヒンジを係脱方向に移動して外枠ヒンジに係合する。次に、脱落防止部材を内蓋着脱位置から内蓋脱落防止位置に切り替える。その後、内蓋を閉じることにより、内蓋が外枠に取り付けられる。
【0012】
上記のように、内蓋を外枠に着脱する際、内蓋を外枠ヒンジの長さ方向に交差する係脱方向に移動すればよく、内蓋を外枠ヒンジの長さ方向にスライドさせる必要は無いので、内蓋の側方にスライド用のスペースを確保する必要は無い。
【0013】
また、内蓋を外枠に取り付けて開いた場合、脱落防止部材は、内蓋脱落防止位置において、内枠ヒンジが外枠ヒンジに係合している状態で離脱方向へ移動するのを規制する。これにより、脱落防止部材を内蓋脱落防止位置に切り替えることにより、内枠ヒンジが外枠ヒンジから離脱するのを防止することができ、内蓋が開いた状態で外枠から脱落するのを確実に防ぐことができる。
【0014】
本第2発明における点検口は、脱落防止部材は抵抗付与部材を有し、
脱落防止部材が内蓋着脱位置に切り替えられた状態で、閉方向へ回動する内枠ヒンジが抵抗付与部材に干渉することにより、抵抗付与部材が閉方向の抵抗を内枠ヒンジに付与するものである。
【0015】
これによると、取り外した内蓋を外枠に取り付ける場合、先ず、内枠ヒンジを外枠ヒンジに係合し、次に、脱落防止部材を内蓋着脱位置から内蓋脱落防止位置に切り替え、その後、内蓋を閉じるのであるが、脱落防止部材を内蓋着脱位置から内蓋脱落防止位置に切り替える操作を忘れて、脱落防止部材を内蓋着脱位置にしたままで、内蓋を閉じようとすることがある。
【0016】
この場合、内蓋の閉動操作に応じて、内枠ヒンジが外枠ヒンジに対し閉方向へ回動して抵抗付与部材に干渉し、抵抗付与部材が閉方向の抵抗を内枠ヒンジに付与する。このため、内蓋の閉動操作の途中で、閉方向の抵抗が急に大きくなって閉動操作の負荷が増大し、これにより、操作者は、脱落防止部材を内蓋着脱位置から内蓋脱落防止位置に切り替える操作を忘れてしまったことに気付く。
【0017】
本第3発明における点検口は、脱落防止部材は外枠に対する内蓋の位置をずらすずれ発生部材を有し、
脱落防止部材が内蓋着脱位置に切り替えられた状態で、閉方向へ回動する内枠ヒンジがずれ発生部材に干渉することにより、ずれ発生部材は、内枠ヒンジが回動するスペースを制限して、内枠ヒンジの位置を外枠ヒンジに対して所定方向へずらすものである。
【0018】
これによると、取り外した内蓋を外枠に取り付ける場合、先ず、内枠ヒンジを外枠ヒンジに係合し、次に、脱落防止部材を内蓋着脱位置から内蓋脱落防止位置に切り替え、その後、内蓋を閉じるのであるが、脱落防止部材を内蓋着脱位置から内蓋脱落防止位置に切り替える操作を忘れて、脱落防止部材を内蓋着脱位置にしたままで、内蓋を閉じようとすることがある。
【0019】
この場合、内蓋の閉動操作に応じて、内枠ヒンジが外枠ヒンジに対し閉方向へ回動してずれ発生部材に干渉し、ずれ発生部材が、内枠ヒンジの回動スペースを制限して、内枠ヒンジの位置を外枠ヒンジに対して所定方向へずらす。これにより、内蓋が所定方向へずれて、内蓋を閉じる際に内蓋が外枠に干渉し、内蓋を完全に閉じることができなくなる。このため、操作者は、脱落防止部材を内蓋着脱位置から内蓋脱落防止位置に切り替える操作を忘れてしまったことに気付く。
【0020】
本第4発明における点検口は、所定方向はヒンジ装置の取付側からその反対側へ向かう方向であるものである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によると、内蓋を外枠に着脱する際、内蓋を外枠ヒンジの長さ方向に交差する係脱方向に移動すればよく、内蓋を外枠ヒンジの長さ方向にスライドさせる必要は無いので、内蓋の側方にスライド用のスペースを確保する必要は無い。
【0022】
また、脱落防止部材を内蓋脱落防止位置に切り替えることにより、内蓋を開いた状態で内枠ヒンジが外枠ヒンジから離脱するのを防止することができ、内蓋が開いた状態で外枠から脱落するのを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態における点検口の底面図である。
【
図2】同、点検口の一部切欠き側面図であり、内蓋を開いたときの様子を示す。
【
図3】同、点検口のヒンジ装置と脱落防止部材との取付部分の拡大断面図であり、脱落防止部材を内蓋脱落防止位置に切り替えた状態で内蓋を閉じたときの様子を示す。
【
図4】同、点検口のロック装置の取付部分の拡大断面図であり、内蓋を閉じたときの様子を示す。
【
図5】同、点検口のヒンジ装置と脱落防止部材との取付部分の拡大断面図であり、脱落防止部材を内蓋脱落防止位置に切り替えた状態で内蓋を開いたときの様子を示す。
【
図6】同、点検口の脱落防止部材の正面図であり、内蓋脱落防止位置に切り替えたときの様子を示す。
【
図9】同、点検口の脱落防止部材の正面図であり、内蓋着脱位置に切り替えたときの様子を示す。
【
図10】同、点検口のヒンジ装置と脱落防止部材との取付部分の拡大断面図であり、内蓋を開いた状態で脱落防止部材を内蓋着脱位置に切り替えたときの様子を示す。
【
図11】同、点検口のヒンジ装置と脱落防止部材との取付部分の拡大断面図であり、脱落防止部材を内蓋着脱位置に切り替えたままの状態で内蓋を閉じているときの様子を示す。
【
図12】同、点検口のヒンジ装置と脱落防止部材との取付部分の拡大断面図であり、脱落防止部材を内蓋着脱位置に切り替えたままの状態で内蓋を閉じているときの様子を示す。
【
図13】同、点検口のロック装置の取付部分の拡大断面図であり、脱落防止部材を内蓋着脱位置に切り替えたままの状態で内蓋を閉じているときの様子を示す。
【
図14】従来の点検口の断面図であり、蓋体を開いたときの様子を示す。
【
図15】同、点検口のヒンジ装置と脱落防止部材との取付部分の拡大図であり、ヒンジ装置を分離して蓋体を外枠から取り外したときの様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
図1,
図2に示すように、1は天井材2(固定材の一例)に設けられた天井点検口である。天井点検口1は、天井材2に形成された開口部3に取り付けられた四角形の外枠4と、外枠4にヒンジ装置5を介して下方に開閉自在に取り付けられた片開き式の四角形の内蓋6とを有している。
内蓋6は、外枠4内に嵌合される四角形の内枠8と、内枠8の内側に設けられた平板状の閉鎖材9(石膏ボード等)とを有している。
ここで、ヒンジ装置5が取り付けられている側を前とし、その反対側を後とし、前後方向11に直交する方向を左右方向12とする。
【0026】
外枠4は前辺フレーム4aと後辺フレーム4bと右辺フレーム4cと左辺フレーム4dとを有している。また、
図3に示すように、外枠4は、上下方向の縦桟14と、縦桟14の下端から内枠8側および天井材2側にそれぞれ突出する横方向の底フランジ部15と、縦桟14の上端から内枠8側に突出する横方向の上フランジ部16とを有している。
上フランジ部16には、上面が開放された蟻溝18が全長にわたり形成されている。
【0027】
外枠4は複数の取付具19によって天井材2に取り付けられている。取付具19は、外枠4に設けられたハンガー金具20と、ハンガー金具20の上端部に形成された雌ねじ部に螺合するハンガーボルト21とを有している。
【0028】
ハンガー金具20の下端部は、蟻溝18に嵌め込まれ、蟻溝18の長さ方向に摺動自在である。天井材2の上面で且つ開口部3の周囲には野縁プレート22が設けられている。野縁プレート22はハンガーボルト21によって下向きに押圧されており、天井材2が野縁プレート22と外枠4の底フランジ部15との間に挟み込まれることにより、外枠4が天井材2に取り付けられる。
【0029】
内枠8は前辺フレーム8aと後辺フレーム8bと右辺フレーム8cと左辺フレーム8dとを有している。また、内枠8は、上下方向の縦桟26と、縦桟26の下端から外枠4側および閉鎖材9側にそれぞれ突出する横方向の底フランジ部27と、縦桟26の上端から外枠4側に突出するストッパ部28とを有している。
ヒンジ装置5は、外枠4の底フランジ部15に設けられた外枠ヒンジ30と、内枠8の底フランジ部27に設けられた内枠ヒンジ31とを有している。
【0030】
外枠ヒンジ30は、外枠4の各辺フレーム4a~4dの全長にわたり設けられており、
図3に示すように、各辺フレーム4a~4dにおけるそれぞれの底フランジ部15の内縁端から上向きに立ち上がった立ち上り部30aと、立ち上り部30aの上端から内側へ突出する突起部30bとを有している。
【0031】
内枠ヒンジ31は、断面が略J形のフック状に形成されており、内枠8の前辺フレーム8aの全長にわたり設けられ、内蓋6を閉じた状態で、前辺フレーム8aにおける底フランジ部27の外縁端から斜め上向きに立ち上がった立ち上り部31aと、立ち上り部31aに外側から対向する係止部31bと、立ち上り部31aの上端と係止部31bの上端との間に連設された連設部31cと、これら立ち上り部31aおよび係止部31bおよび連設部31cに囲まれたヒンジ空間31dとを有している。
【0032】
図3に示すように、内蓋6を閉じた状態で、外枠ヒンジ30が下方から内枠ヒンジ31のヒンジ空間31d内に突入する。内枠ヒンジ31は、
図10に示すように外枠ヒンジ30の長さ方向に交差する前後方向11(係脱方向の一例)において外枠ヒンジ30に係脱自在であり、且つ、外枠ヒンジ30の周囲を開閉方向33に沿って回動自在である。
【0033】
また、
図1,
図4に示すように、天井点検口1には、内蓋6を閉じた状態でロックする複数のロック装置34が備えられている。ロック装置34は、手動操作によって内枠8の後辺フレーム8bの長さ方向Lへ移動してロック位置(
図1の実線参照)とロック解除位置(
図1の仮想線参照)とにスライド可能なロック部材35と、ロック部材35を後辺フレーム8bに保持する保持部材36と、外枠4の後辺フレーム4bに設けられた固定ロック片37とを有している。
ロック部材35は、操作部38と、操作部38に連動連結された可動ロック片39とを有している。
【0034】
内蓋6を閉じた状態で、操作部38を操作してロック部材35をロック解除位置(
図1の仮想線参照)からロック位置(
図1の実線参照)にスライドすることにより、
図4に示すように可動ロック片39が上方から固定ロック片37に係合するため、内蓋6は閉状態でロックされ、内蓋6が不用意に開くのを防止することができる。
【0035】
また、操作部38を操作してロック部材35をロック位置(
図1の実線参照)からロック解除位置(
図1の仮想線参照)にスライドすることにより、可動ロック片39が固定ロック片37の上方から横方向へ離脱するため、内蓋6のロックが解除され、内蓋6を下方へ開くことができる。
【0036】
図1,
図3,
図5~
図8に示すように、内蓋6が外枠4から脱落するのを防止する複数の脱落防止部材40が外枠4の前辺フレーム4aの縦桟14に設けられている。この縦桟14には、プレス加工等によって切起し部41が形成されている。脱落防止部材40は、リベット42を介して回動自在に切起し部41に取り付けられており、内枠ヒンジ31が外枠ヒンジ30から離脱するのを阻止する内蓋脱落防止位置A(
図6参照)と、内枠ヒンジ31が外枠ヒンジ30から離脱するのを可能にする内蓋着脱位置B(
図9参照)とに切り替え可能である。
【0037】
脱落防止部材40は、切起し部41に接する本体板44と、内蓋脱落防止位置Aに切り替えられた状態で、本体板44の下端から内側方へ突出する突出板45と、突出板45の内側縁から下方に延びる規制板46と、抵抗付与部材47と、ずれ発生部材48とを有している。
【0038】
内蓋脱落防止位置Aに切り替えられた脱落防止部材40の突出板45と規制板46と外枠4の縦桟14と底フランジ部15と外枠ヒンジ30とで囲まれた回動許容空間50が形成される。また、内蓋脱落防止位置Aに切り替えられた脱落防止部材40の規制板46と外枠ヒンジ30との間に、回動許容空間50の内外に連通する隙間51が形成される。
【0039】
尚、
図3に示すように、規制板46は、前後方向11において外枠4の縦桟14と外枠ヒンジ30とに対向するとともに、上方から内枠ヒンジ31と内枠8の縦桟26との間に突入している。これにより、
図5に示すように、脱落防止部材40を内蓋脱落防止位置Aに切り替え、内蓋6を開いた状態において、規制板46は、外枠ヒンジ30に係合している内枠ヒンジ31が外枠ヒンジ30から離脱する後方向11a(離脱方向の一例)へ移動するのを規制する。
【0040】
内枠ヒンジ31は、隙間51から回動許容空間50内に挿入され、内蓋6が開いた状態で回動許容空間50内において外枠ヒンジ30に係合するとともに脱落防止部材40の規制板46に当接可能である。また、
図3に示すように、内蓋6が閉じた状態で、内枠ヒンジ31の係止部31bが外枠4の縦桟14に接する。
【0041】
抵抗付与部材47は、突出板45に設けられた板状の部材であり、脱落防止部材40を内蓋脱落防止位置A(
図6参照)から内蓋着脱位置B(
図9参照)に切り替えることにより、傾斜姿勢から横倒姿勢に切り替えられて外枠ヒンジ30の上方に対向する。
図10に示すように、内蓋6を開いた状態で、内枠ヒンジ31の係止部31bが外枠ヒンジ30と抵抗付与部材47との間に位置する。
【0042】
図9に示すように、脱落防止部材40が内蓋着脱位置Bに切り替えられた状態で、
図11に示すように、内蓋6が閉方向Sへ回動した場合、閉方向Sへ回動する内枠ヒンジ31が抵抗付与部材47に干渉し、これにより、抵抗付与部材47が閉方向Sの抵抗を内枠ヒンジ31に付与する
【0043】
ずれ発生部材48は、外枠4に対する内蓋6の位置をずらすために、抵抗付与部材47に設けられた板状の部材であって、脱落防止部材40を内蓋脱落防止位置A(
図6参照)から内蓋着脱位置B(
図9参照)に切り替えることにより、傾斜姿勢から横倒姿勢に切り替えられて外枠4の縦桟14と外枠ヒンジ30との間に入り込む。尚、抵抗付与部材47とずれ発生部材48とによってL形状の部材が構成される。
【0044】
図9に示すように、脱落防止部材40が内蓋着脱位置Bに切り替えられた状態で、
図12に示すように、内蓋6が閉方向Sへ回動した場合、ずれ発生部材48が内枠ヒンジ31と外枠4の縦桟14との間に入り込んでいるため、閉方向Sへ回動する内枠ヒンジ31の係止部31bがずれ発生部材48に干渉する。これにより、ずれ発生部材48は、内枠ヒンジ31が回動するスペースを制限して、内枠ヒンジ31の位置を外枠ヒンジ30に対して所定方向Cへずらす。ここで、所定方向Cとは、ヒンジ装置5の取付側である前側から、その反対側である後側へ向かう方向である。
【0045】
尚、上記のように内枠ヒンジ31の位置が外枠ヒンジ30に対して所定方向Cへずれた際のずれの大きさは、
図13に示すように、内蓋6を閉じる際、ロック装置34の保持部材36が下方から外枠4の固定ロック片37に干渉する大きさに設定されている。
以下、上記構成における作用を説明する。
【0046】
内蓋6を外枠4から取り外す場合、先ず、
図1に示すように、ロック装置34の操作部38を操作してロック部材35をロック位置(実線参照)からロック解除位置(仮想線参照)にスライドすることにより、可動ロック片39を固定ロック片37の上方から横方向へ離脱させ、内蓋6のロックを解除する。
【0047】
次に、
図2に示すように内蓋6を開き、
図9に示すように、脱落防止部材40を内蓋脱落防止位置A(
図6参照)から内蓋着脱位置Bに切り替える。その後、
図10の仮想線で示すように、内枠ヒンジ31を後方向11a(離脱方向の一例)に移動して外枠ヒンジ30から離脱させる。これにより、ヒンジ装置5が外枠ヒンジ30と内枠ヒンジ31とに分離されるため、内蓋6が外枠4から取り外される。
【0048】
このようにして取り外した内蓋6を外枠4に取り付ける場合、先ず、
図10の実線で示すように、内枠ヒンジ31を前方向11b(係合方向の一例)に移動して外枠ヒンジ30に係合する。次に、
図6に示すように、脱落防止部材40を内蓋着脱位置B(
図9参照)から内蓋脱落防止位置Aに切り替える。これにより、
図5に示すように、内蓋6が開いた状態で外枠4に取り付けられる。その後、
図3,
図4に示すように、内蓋6を閉じることができる。
【0049】
このようにして内蓋6を閉じた後、
図1に示すように、ロック装置34の操作部38を操作してロック部材35をロック解除位置(仮想線参照)からロック位置(実線参照)にスライドすることにより、可動ロック片39が上方から固定ロック片37に係合し、内蓋6が閉状態でロックされる。
【0050】
また、
図10に示すように、内蓋6を外枠4に着脱する際、内蓋6を外枠ヒンジ30の長さ方向に交差する前後方向11(すなわち後方向11aと前方向11b)に移動すればよく、内蓋6を外枠ヒンジ30の長さ方向(この場合は左右方向12)にスライドさせる必要は無いので、内蓋6の左右両側方にスライド用のスペースを確保する必要は無い。
【0051】
また、内蓋6を外枠4に取り付け、
図6に示すように、脱落防止部材40を内蓋脱落防止位置Aに切り替えた状態において、
図3に示すように、内枠ヒンジ31は隙間51から回動許容空間50内に挿入されている。
【0052】
図5に示すように、内蓋6を開いた場合、内枠ヒンジ31は、回動許容空間50内において外枠ヒンジ30に係合した状態で脱落防止部材40の規制板46に当接するため、規制板46によって後方向11a(離脱方向の一例)への移動が規制される。これにより、内枠ヒンジ31が外枠ヒンジ30から離脱するのを防止することができ、内蓋6が開いた状態で外枠4から脱落するのを確実に防ぐことができる。
【0053】
また、
図10の仮想線で示すように取り外した内蓋6を外枠4に取り付ける場合、先ず、
図10の実線で示すように内枠ヒンジ31を外枠ヒンジ30に係合し、次に、
図6に示すように脱落防止部材40を内蓋着脱位置Bから内蓋脱落防止位置Aに切り替え、その後、
図3,
図4に示すように内蓋6を閉じるのであるが、脱落防止部材40を内蓋着脱位置Bから内蓋脱落防止位置Aに切り替える操作を忘れて、
図9に示すように脱落防止部材40を内蓋着脱位置Bにしたままで、内蓋6を閉じようとすることがある。
【0054】
この場合、
図11に示すように、内蓋6の閉動操作に応じて、先ず、内枠ヒンジ31が外枠ヒンジ30に対し閉方向Sへ回動して脱落防止部材40の抵抗付与部材47に干渉し、抵抗付与部材47が閉方向Sの抵抗を内枠ヒンジ31に付与する。このため、内蓋6の閉動操作の途中で、閉方向Sの抵抗が急に大きくなって閉動操作の負荷が増大し、これにより、操作者は、脱落防止部材40を内蓋着脱位置B(
図9参照)から内蓋脱落防止位置A(
図6参照)に切り替える操作を忘れてしまったことに気付く。
【0055】
その後も引き続いて内蓋6の閉動操作が行われた場合、
図12に示すように、ずれ発生部材48が内枠ヒンジ31と外枠4の縦桟14との間に入り込んでいるため、内枠ヒンジ31の回動スペースが制限(縮小)され、内枠ヒンジ31がさらに閉方向Sへ回動して内枠ヒンジ31の係止部31bがずれ発生部材48に干渉し、ずれ発生部材48が内枠ヒンジ31の位置を外枠ヒンジ30に対して所定方向Cへずらす。
【0056】
これにより、内蓋6が所定方向Cへずれて、
図13に示すように、内枠8の後辺フレーム8bの上端が下方から外枠4の固定ロック片37に干渉し、内蓋6を完全に閉じることができなくなる。このため、操作者は、脱落防止部材40を内蓋着脱位置B(
図9参照)から内蓋脱落防止位置A(
図6参照)に切り替える操作を忘れてしまったことに気付く。
【0057】
このように、脱落防止部材40を内蓋着脱位置B(
図9参照)から内蓋脱落防止位置A(
図6参照)に切り替える操作の忘れ防止機能として、内蓋6の閉動操作の途中で、閉方向Sの抵抗が急に大きくなって閉動操作の負荷が増大する第1段階と、内蓋6が所定方向Cへずれて、内蓋6を完全に閉じることができなくなる第2段階との二重の忘れ防止機能が働く。このため、操作者は、脱落防止部材40を内蓋着脱位置Bから内蓋脱落防止位置Aに切り替える操作を忘れてしまったことに確実に気付き、脱落防止部材40を内蓋着脱位置Bから内蓋脱落防止位置Aに切り替える操作を行った後、内蓋6を閉じる。これにより、内蓋6が外枠4から脱落するのを確実に防止することができる。
上記実施の形態では、
図1に示すように、外枠4に2個の脱落防止部材40を設けているが、脱落防止部材40を1個又は3個以上設けてもよい。
【0058】
上記実施の形態では、
図7に示すように、脱落防止部材40に抵抗付与部材47とずれ発生部材48との両者を備えているが、抵抗付与部材47とずれ発生部材48とのいずれか片方のみを備えてもよい。
【0059】
上記実施の形態では、
図13に示すように、内枠8の後辺フレーム8bの上端が下方から外枠4の固定ロック片37に干渉することにより、内蓋6を完全に閉じることができなくなるが、万一、内枠8の後辺フレーム8bの上端が下方から外枠4の固定ロック片37に干渉しなかった場合であっても、ロック装置34の保持部材36が下方から外枠4の固定ロック片37に干渉することにより、内蓋6を完全に閉じることができなくなる。
【符号の説明】
【0060】
1 点検口
2 天井材(固定材)
3 開口部
4 外枠
5 ヒンジ装置
6 内蓋
8 内枠
11 前後方向(係脱方向)
11a 後方向(離脱方向)
30 外枠ヒンジ
31 内枠ヒンジ
33 開閉方向
40 脱落防止部材
47 抵抗付与部材
48 ずれ発生部材
50 回動許容空間
51 隙間
A 内蓋脱落防止位置
B 内蓋着脱位置
C 所定方向
S 閉方向