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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072301
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】自走式ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/013 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
G21C17/013
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182990
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】中島 悟
(72)【発明者】
【氏名】荻野 翔矢
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075AA20
2G075BA03
2G075BA16
2G075CA50
2G075DA08
2G075DA20
2G075EA01
2G075FA05
2G075FA12
2G075FC03
2G075GA37
(57)【要約】
【課題】放射性物質で汚染されやすい部分を効率的に除染できる自走式ロボット装置を提供する。
【解決手段】自走式ロボット装置100は、台座部10と、前記台座部10の上面に設けられ、周囲の情報を検出可能な測定装置20と、前記台座部10の前記上面に設けられ、前記測定装置20の動作を制御可能な制御装置30と、前記台座部10の下面に設けられ、前記台座部10に対して着脱可能に接続された下部構造体60と、を備え、前記下部構造体60は、前記台座部10に着脱可能に接続され、回転軸を有する駆動部61と、接地面を有し、前記回転軸に着脱可能に接続されて前記回転軸を回転中心として回転可能な車輪部62と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座部と、
前記台座部の上面に設けられ、周囲の情報を検出可能な測定装置と、
前記台座部の前記上面に設けられ、前記測定装置の動作を制御可能な制御装置と、
前記台座部の下面に設けられ、前記台座部に対して着脱可能に接続された下部構造体と、
を備え、
前記下部構造体は、
前記台座部に着脱可能に接続され、回転軸を有する駆動部と、
接地面を有し、前記回転軸に着脱可能に接続されて前記回転軸を回転中心として回転可能な車輪部と、
を備える、
自走式ロボット装置。
【請求項2】
前記駆動部における前記回転軸は、互いに交差する第一回転軸と第二回転軸とを有し、
前記車輪部は、前記台座部を挟んで前記第一回転軸および前記第二回転軸の両端に接続されたオムニホイールである、
請求項1に記載の自走式ロボット装置。
【請求項3】
前記自走式ロボット装置の外部からの信号を受信し、前記信号を前記制御装置へ送信する通信部を備える、
請求項2に記載の自走式ロボット装置。
【請求項4】
前記測定装置は、動画像情報を検出可能である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の自走式ロボット装置。
【請求項5】
前記測定装置は、点群情報を検出可能である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の自走式ロボット装置。
【請求項6】
前記測定装置は、線量を検出可能である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の自走式ロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電所等の高線量区域において、作業員に代わって作業を行う自走式ロボット装置がある。特に、原子力発電所において事故が発生した際、放射性物質に汚染された環境で作業員に代わって撮影又は物理量の計測等の作業をする自走式ロボット装置が求められる。
【0003】
放射性物質汚染環境で作業する自走式ロボット装置として、特許文献1に記載のある遠隔制御作業車がある。特許文献1に記載のある遠隔制御作業車は、遠隔操作によって走行および操舵される車体と、車体上に立設され、遠隔操作によって上下に伸縮される伸縮支柱と、伸縮支柱の上端部に着脱可能に設けられた作業手段と、を備える。撮影手段、照明手段又は物理量計測手段等の作業手段が伸縮支柱の上端部に設けられる。特許文献1に記載のある遠隔制御作業車は、伸縮支柱の上端部に設けられた作業手段によって、走行しながら高所における所要作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-211343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射性物質汚染環境で走行した自走式ロボット装置には放射性物質が付着するため、自走式ロボット装置が放射性物質汚染環境での作業を終えた後、自走式ロボット装置の除染作業が必要になる。特に、自走式ロボット装置において、放射性物質汚染環境の床面(地面)の近くに配置された部位は放射性物質が付着しやすい。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のある遠隔制御作業車は、遠隔制御作業車の放射性物質が付着した部分を除染する際に、遠隔制御作業車の全体を除染する必要がある。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、放射性物質で汚染されやすい部分を効率的に除染できる自走式ロボット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の自走式ロボット装置は、台座部と、前記台座部の上面に設けられ、周囲の情報を検出可能な測定装置と、前記台座部の前記上面に設けられ、前記測定装置の動作を制御可能な制御装置と、前記台座部の下面に設けられ、前記台座部に対して着脱可能に接続された下部構造体と、を備え、前記下部構造体は、前記台座部に着脱可能に接続され、回転軸を有する駆動部と、接地面を有し、前記回転軸に着脱可能に接続されて前記回転軸を回転中心として回転可能な車輪部と、を備える。
【0009】
本発明によれば、下部構造体は台座部に着脱可能に接続され、下部構造体が備える駆動部と車輪部とは着脱可能に接続されているため、自走式ロボット装置が放射性物質で汚染されたとき、汚染された部分のみを取り外して効率的に除染できる。
【0010】
本発明の自走式ロボット装置は、前記駆動部における前記回転軸は、互いに交差する第一回転軸と第二回転軸とを有し、前記車輪部は、前記台座部を挟んで前記第一回転軸および前記第二回転軸の両端に接続されたオムニホイールであってもよい。
【0011】
本発明によれば、車輪部は、第一回転軸および第二回転軸に接続されたオムニホイールであるため、本発明の自走式ロボット装置は、任意の方向へ移動又は回転できる。
【0012】
本発明の自走式ロボット装置は、前記自走式ロボット装置の外部からの信号を受信し、前記信号を前記制御装置へ送信する通信部を備えてもよい。
【0013】
本発明によれば、外部からの信号を受信して制御装置へ送信する通信部を備えるため、本発明の自走式ロボット装置は、外部から信号を送信して制御できる。
【0014】
本発明の自走式ロボット装置は、前記測定装置は、動画像情報を検出可能であってもよい。
【0015】
本発明によれば、本発明の自走式ロボット装置は、測定装置によって周囲の動画像情報を検出できる。
【0016】
本発明の自走式ロボット装置は、前記測定装置は、点群情報を検出可能であってもよい。
【0017】
本発明によれば、本発明の自走式ロボット装置は、測定装置によって周囲の点群情報を検出できる。
【0018】
本発明の自走式ロボット装置は、前記測定装置は、線量を検出可能であってもよい。
【0019】
本発明によれば、本発明の自走式ロボット装置は、測定装置によって周囲の線量を検出できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の自走式ロボット装置によれば、放射性物質で汚染されやすい部分を効率的に除染できる自走式ロボット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る自走式ロボット装置の斜視図である。
図2】同自走式ロボット装置の正面図、平面図および底面図である。
図3】同自走式ロボット装置の分解斜視図である。
図4】同自走式ロボット装置における下部構造体の一部分を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る自走式ロボット装置100の斜視図である。
自走式ロボット装置100は、台座部10と、測定装置20と、制御装置30と、メインバッテリ40と、モータ用バッテリ50と、下部構造体60とを備える。
【0024】
本実施形態では、図1に示すように、自走式ロボット装置100における鉛直方向を「上下方向V」、鉛直上向きを上下方向Vにおける「上方UP」、鉛直下向きを上下方向Vにおける「下方LO」と定義する。また、上下方向Vと垂直な方向、かつ、自走式ロボット装置100が主に走行する方向を「前後方向D」、測定装置20が配置された向きを前後方向Dにおける「前方FR」、反対向きを前後方向Dにおける「後方RR」と定義する。また、上下方向Vおよび前後方向Dと垂直な方向を「水平方向H」、自走式ロボット装置100を正面(前方FR)から見たときの左向きを水平方向Hにおける「左方LT」、反対向きを水平方向Hにおける「右方RT」と定義する。
【0025】
図2(a)は、本実施形態に係る自走式ロボット装置100の正面図である。図2(b)は、本実施形態に係る自走式ロボット装置100の平面図である。図2(c)は、本実施形態に係る自走式ロボット装置100の底面図である。
【0026】
台座部10は、上方UPから見たときに円形状をした平板である。台座部10として、例えば、樹脂で形成された平板、木材の平板、アルミニウム又はステンレス等の金属系の平板、それらを組み合わせた複合材の平板等を採用できる。台座部10は、表面に付着した汚染物質を容易に除去できるアクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等によって形成されるのが望ましい。また、台座部10の上面10tの形状は円形状に限定されず、八角形等の多角形でもよい。
【0027】
測定装置20は、台座部10の上面10tに設けられている。また、測定装置20は、台座部10の前方FRの外縁近傍に配置されている。測定装置20は、周囲の情報を検出可能であり、例えば、USB(Universal Serial Bus)カメラ、3次元レーザスキャナ又は線量計等の計測装置である。測定装置20として、複数の計測装置を組み合わせて配置してもよい。自走式ロボット装置100は、測定装置20によって周囲の動画像情報、点群情報又は線量等を検出することができる。
【0028】
また、測定装置20は、台座部10に着脱可能に接続されている。例えば、測定装置20が有する貫通孔と、台座部10が有する貫通孔とを六角穴付きボルト等の接続部材で締結して接続されている。測定装置20を台座部10に着脱可能に接続することで、複数の計測装置を容易に載せ替えることができる。また、測定装置20が汚染物質によって汚染された際、測定装置20のみを台座部10から取り外して効率的に汚染物質を除去できる。
【0029】
測定装置20は、接続部材を介さないスナップフィット等の構造により台座部10へ接続されるのが望ましい。スナップフィット等の接続部材を介さない着脱構造を用いることで、測定装置20を台座部10から取り外す際に工具を使用する必要が無いため、自走式ロボット装置100に付着した汚染物質が工具へ付着する虞が無い。
【0030】
制御装置30は、台座部10の上面10tに設けられている。また、制御装置30は、台座部10の後方RRの外縁近傍に配置されている。制御装置30は、測定装置20に接続されており、測定装置20の動作を制御可能である。また、制御装置30は、外部と無線接続された通信部31を備えるのが望ましい。制御装置30が通信部31を備えることで、制御装置30は、通信部31を介して外部への信号の送信又は外部からの信号(指令)の受信等を行うことができる。通信部31は、制御装置30と一体に設けられてもよいし、制御装置30と接続されて制御装置30の外部に設けられてもよい。制御装置30から測定装置20へ指令を伝送することで、測定装置20による周囲の情報の検出や、測定装置20が検出した情報の外部への送信等を制御できる。
【0031】
また、制御装置30は、台座部10に着脱可能に接続されている。例えば、制御装置30が有する貫通孔と、台座部10が有する貫通孔とを六角穴付きボルト等の接続部材で締結して接続されている。制御装置30を台座部10に着脱可能に接続することで、制御装置30が汚染物質によって汚染された際、制御装置30のみを台座部10から取り外して効率的に汚染物質を除去できる。
【0032】
制御装置30は、接続部材を介さないスナップフィット等の構造により台座部10へ接続されるのが望ましい。スナップフィット等の接続部材を介さない着脱構造を用いることで、制御装置30を台座部10から取り外す際に工具を使用する必要が無いため、自走式ロボット装置100に付着した汚染物質が工具へ付着する虞が無い。
【0033】
制御装置30は、例えば、プロセッサとメモリと記憶部等を備えたプログラム実行可能な装置(コンピュータ)である。制御装置30の各機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)又はGPU(Graphics Processing Unit;グラフィックスプロセッサ)のような1つ以上のプロセッサがプログラムメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。ただし、これら機能の全部又は一部は、LSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)等のハードウェア(例えば回路部;circuity)により実現されてもよい。また、上記機能の全部又は一部は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。記憶部は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory;読み出し専用メモリ)、又はRAM(Random Access Memory;読み書き可能なメモリ)等により実現される。
【0034】
制御装置30は、ディスプレイ等の表示装置を備えていてもよい。制御装置30が表示装置を備えることで、使用者は、自走式ロボット装置100の稼働状況や故障情報等を容易に確認することができ、複数の自走式ロボット装置100を使用する場合は、機体情報を表示装置に表示することで容易に機体を区別できる。また、制御装置30は、タッチパネルディスプレイ等の入力機能を有する表示装置を備えていてもよい。入力機能を有する表示装置を備えることで、使用者は、自走式ロボット装置100の外部から通信部31を介して制御装置30へ指令を送信しなくても、制御装置30へ指令を直接入力することができる。
【0035】
メインバッテリ40は、台座部10の上面10tに設けられている。また、メインバッテリ40は、台座部10の右方RTの外縁近傍に配置されている。メインバッテリ40は、測定装置20および制御装置30と接続されており、測定装置20および制御装置30へ給電する電源装置である。メインバッテリ40は、制御装置30によって制御されてもよく、例えば、メインバッテリ40は、制御装置30からの指令により、測定装置20への給電を行う。
【0036】
また、メインバッテリ40は、台座部10に着脱可能に接続されている。例えば、メインバッテリ40が有する貫通孔と、台座部10が有する貫通孔とを六角穴付きボルト等の接続部材で締結して接続されている。メインバッテリ40を台座部10に着脱可能に接続することで、メインバッテリ40が汚染物質によって汚染された際、メインバッテリ40のみを台座部10から取り外して効率的に汚染物質を除去できる。
【0037】
メインバッテリ40は、接続部材を介さないスナップフィット等の構造により台座部10へ接続されるのが望ましい。スナップフィット等の接続部材を介さない着脱構造を用いることで、メインバッテリ40を台座部10から取り外す際に工具を使用する必要が無いため、自走式ロボット装置100に付着した汚染物質が工具へ付着する虞が無い。
【0038】
モータ用バッテリ50は、台座部10の上面10tに設けられている。また、モータ用バッテリ50は、台座部10の左方RTの外縁近傍に配置されている。モータ用バッテリ50は、後述する駆動部61と接続されており、駆動部61へ給電する電源装置である。モータ用バッテリ50は、制御装置30によって制御されてもよく、例えば、モータ用バッテリ50は、制御装置30からの指令により、駆動部61への給電を行う。
【0039】
また、モータ用バッテリ50は、台座部10に着脱可能に接続されている。例えば、モータ用バッテリ50が有する貫通孔と、台座部10が有する貫通孔とを六角穴付きボルト等の接続部材で締結して接続されている。モータ用バッテリ50を台座部10に着脱可能に接続することで、モータ用バッテリ50が汚染物質によって汚染された際、モータ用バッテリ50のみを台座部10から取り外して効率的に汚染物質を除去できる。
【0040】
モータ用バッテリ50は、接続部材を介さないスナップフィット等の構造により台座部10へ接続されるのが望ましい。スナップフィット等の接続部材を介さない着脱構造を用いることで、モータ用バッテリ50を台座部10から取り外す際に工具を使用する必要が無いため、自走式ロボット装置100に付着した汚染物質が工具へ付着する虞が無い。
【0041】
図3は、本実施形態に係る自走式ロボット装置100の分解斜視図である。図4は、本実施形態に係る自走式ロボット装置100における下部構造体60の一部分を示す分解斜視図である。
【0042】
下部構造体60は、図3に示すように、台座部10の下面10bに設けられ、台座部10に対して着脱可能に接続されている。例えば、下部構造体60が有する貫通孔と、台座部10が有する貫通孔とを六角穴付きボルト等の接続部材70で締結して接続されている。下部構造体60を台座部10に着脱可能に接続することで、下部構造体60が汚染物質によって汚染された際、下部構造体60のみを台座部10から取り外して効率的に汚染物質を除去できる。特に、放射性物質汚染環境で走行する自走式ロボット装置100において、床面(地面)に近い位置に配置されている下部構造体60は汚染物質が付着しやすい。そのため、台座部10に対して、下部構造体60を着脱可能に接続することで、自走式ロボット装置100における汚染物質の除去をより効率的に行うことができる。
【0043】
下部構造体60は、駆動部61と、車輪部62と、リブ部63とを備える。駆動部61は、回転軸Rを有するモータ61aと、モータ固定部61bとを備える。
【0044】
モータ61aは、公知の電動モータである。モータ61aは、制御装置30およびモータ用バッテリ50に接続されている。モータ61aは、モータ用バッテリ50によって給電され、制御装置30によって動作を制御される。
【0045】
モータ固定部61bは、開口を回転軸R方向に向けた略U字形状の平板である。モータ固定部61bにおいて、略U字形状の開口側にモータ61aが接続部材70を介して着脱可能に接続されている。また、モータ固定部61bの上方UPの面は、台座部10と接続部材70を介して着脱可能に接続されている。すなわち、駆動部61は、台座部10と着脱可能に接続されている。
【0046】
駆動部61において、モータ61aおよびモータ固定部61bは、自走式ロボット装置100から独立して取り外すことができるため、モータ61a又はモータ固定部61bが汚染物質によって汚染された際、汚染された部品のみを取り外して効率的に汚染物質を除去できる。
【0047】
車輪部62は、駆動部61のモータ61aに着脱可能に接続され、モータ61aが有する回転軸Rを回転中心として回転可能である。本実施形態において、下部構造体60は、1つの駆動部61と、1つの車輪部62とを1組として、4組の駆動部61および車輪部62を有する。
【0048】
駆動部61における回転軸Rは、図2(c)に示すように、互いに交差する第一回転軸R1と、第二回転軸R2とを有する。また、下部構造体60は、台座部10を挟んで第一回転軸R1の両端に接続された一対の駆動部61および車輪部62と、台座部10を挟んで第二回転軸R2の両端に接続された一対の駆動部61および車輪部62とを有する。
【0049】
車輪部62は、接地面62sを有した公知のオムニホイールである。自走式ロボット装置100において、制御装置30およびモータ用バッテリ50と接続された駆動部61のモータ61aが、制御装置30によって制御されて駆動する。モータ61aが駆動すると、モータ61aが有する回転軸Rを回転中心として、車輪部62が回転する。車輪部62は接地面62sを有するため、車輪部62がモータ61aによって回転されると、車輪部62の回転によって自走式ロボット装置100が床面(地面)に対して移動する。
【0050】
また、車輪部62は、第一回転軸R1および第二回転軸R2の両端に接続された4つのオムニホイールである。モータ61aを制御装置30によって制御し、オムニホイール(車輪部62)を任意の回転方向および回転速度等で回転させることで、自走式ロボット装置100は、任意の方向へ回転および移動することができる。そのため、自走式ロボット装置100は、原子力発電所内等の狭い空間でも走行して作業できる。
【0051】
また、車輪部62は、モータ61aと着脱可能に接続されているため、車輪部62が汚染物質によって汚染された際、車輪部62のみを取り外して効率的に汚染物質を除去できる。
【0052】
リブ部63は、上方UPへ弓形に曲がったアーチ状の部材である。リブ部63は、一端がモータ固定部61bの下方LOの面に接続部材70を介して着脱可能に接続され、もう一端が隣り合う別のモータ固定部61bの下方LOの面に接続部材70を介して着脱可能に接続されている。すなわち、リブ部63は、2つのモータ固定部61bに架け渡されて接続されている。下部構造体60は、4つのリブ部63を有する。下部構造体60において、4つのリブ部63が、4つのモータ固定部61bを連結して配置されている。
【0053】
また、リブ部63は、上下方向Vに延びる円柱形状を両端に有する。リブ部63は、両端に有する円柱形状の下方LOにおいてモータ固定部61bの下方LOの面に接続部材70を介して着脱可能に接続され、円柱形状の上方UPにおいて台座部10と接続部材70を介して着脱可能に接続されている。
【0054】
リブ部63によって、4つのモータ固定部61bが連結され、また、モータ固定部61bと台座部10とが接続されているため、自走式ロボット装置100は、十分な剛性を有する。そのため、台座部10が測定装置20や制御装置30等の重さで下方LOに撓むのを抑制できる。また、モータ固定部61bが撓んでモータ61aおよび車輪部62が本来の角度および位置から移動するのを抑制し、自走式ロボット装置100の走行性能が悪化するのを抑制できる。
【0055】
また、リブ部63は、上方UPへ弓形に曲がったアーチ状であるため、床面(地面)にある瓦礫等の障害物や段差等と接触しにくく、自走式ロボット装置100の走行を阻害しない。
【0056】
また、リブ部63は、台座部10およびモータ固定部61bと着脱可能に接続されているため、リブ部63が汚染物質によって汚染された際、リブ部63のみを取り外して効率的に汚染物質を除去できる。
【0057】
また、台座部10と下部構造体60との接続、駆動部61と車輪部62との接続、駆動部61とリブ部63との接続は、接続部材を介さないスナップフィット等の構造により接続されるのが望ましい。スナップフィット等の接続部材を介さない着脱構造を用いることで、下部構造体60、下部構造体60を構成する駆動部61、車輪部62およびリブ部63を自走式ロボット装置100から取り外す際に工具を使用する必要が無いため、自走式ロボット装置100に付着した汚染物質が工具へ付着する虞が無い。
【0058】
本実施形態の自走式ロボット装置100によれば、台座部10の上面10tに設けられた測定装置20および制御装置30と、台座部10の下面10bに設けられた下部構造体60とを備える。また、下部構造体60は、回転軸Rを有する駆動部61と、回転軸Rを回転中心として回転可能な車輪部62を備える。そのため、自走式ロボット装置100は、原子力発電所内等の狭い空間を任意の方向に走行して移動でき、かつ、高線量区域において作業員に代わって周囲の情報を検出できる。
【0059】
また、下部構造体60は、台座部10に着脱可能に接続されている。さらに、下部構造体60において、駆動部61は台座部10と着脱可能に接続され、車輪部62は駆動部61と着脱可能に接続されている。そのため、高線量区域を走行した自走式ロボット装置100において、放射性物質で汚染された下部構造体60又は下部構造体60の構成部品のみを取り外し、汚染物質を除去できる。その結果、床面(地面)と近い位置に配置された放射性物質で汚染されやすい部分を効率的に除染することができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0061】
(変形例1)
上記実施形態において、下部構造体60は、車輪部62(オムニホイール)を4つ備えるが、下部構造体の態様はこれに限定されない。下部構造体は、任意の数の車輪部62を備えてもよい。例えば、自走式ロボット装置を安定して走行させるのに車輪部62の数が4つでは不十分な場合、車輪部62の数を4つより多くしてもよい。また、車輪部62が4つより少なくても自走式ロボット装置を安定して走行させられる場合、車輪部62の数を4つより少なくしてもよい。また、駆動部61およびリブ部63の数は、車輪部62の数に合わせて任意の個数にしてもよい。
【0062】
(変形例2)
上記実施形態において、下部構造体60は、リブ部63を備えるが、下部構造体の態様はこれに限定されない。下部構造体は、リブ部63を備えなくてもよい。下部構造体がリブ部63を備えなくても自走式ロボット装置が十分な剛性を有することができる場合は、下部構造体がリブ部63を備えなくても自走式ロボット装置は安定して走行できる。
【符号の説明】
【0063】
100 自走式ロボット装置
10 台座部
10t 台座部の上面
10b 台座部の下面
20 測定装置
30 制御装置
31 通信部
40 メインバッテリ
50 モータ用バッテリ
60 下部構造体
61 駆動部
61a モータ
61b モータ固定部
62 車輪部
62s 接地面
63 リブ部
70 接続部材
R 回転軸
R1 第一回転軸(回転軸)
R2 第二回転軸(回転軸)
V 上下方向
UP 上方
LO 下方
図1
図2
図3
図4