(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072305
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】電動三路シャッター
(51)【国際特許分類】
F24F 13/10 20060101AFI20240521BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20240521BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
F24F13/10 B
F24F13/02 D
F24F7/08 101L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183001
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000108557
【氏名又は名称】タイム技研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】菱川 実
【テーマコード(参考)】
3L080
3L081
【Fターム(参考)】
3L080AA04
3L080AD02
3L080AD03
3L081AB02
(57)【要約】
【課題】極端に温度が低い外気がボディ本体内に取り込まれても駆動部で結露の発生を抑止可能な電動三路シャッターを提供する。
【解決手段】第1ポート7と、第1ポート7の軸線と直交し、かつ、同軸上に対向して設けられた第2ポート8および第3ポート9と、各ポートの流路14、15、16と流路に個別に連通する各開口20、21、22が形成された弁室17とが形成されたボディ部2と、自軸周りに回動可能となるようボディ部2に支持され、弁室17内で回動する切換羽10と、通電により切換羽10を回動駆動させる駆動部3とを備えた電動三路シャッターにおいて、ボディ部2は、発砲スチロールで成形されたボディ4と、ボディ4を上下方向で狭持する金属製の天板5および底板6と、天板5と底板6とを連結する支柱11とから構成し、駆動部3は天板5に取り付けるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全熱交換型換気システムに用いられる電動三路シャッターであって、該電動三路シャッターは、
室内空間に連通する第1のポートと、
前記第1のポートの軸線と直交し、かつ、同軸上に対向して設けられた外気に連通する第2のポートおよび換気装置に連通する第3のポートと、
前記各ポートの流路と個別に連通する各開口を設けた弁室が形成されたボディと、
自軸周りに回動可能となるよう前記ボディに支持され、前記弁室内で回動する弁体と、
通電により前記弁体を回動駆動させる駆動部とを備え、
前記ボディは、発砲スチロールで成形され前記弁室を備えたボディ本体と、該ボディ本体を上下方向で狭持する硬質部材の天板および底板と、該天板と該底板とを連結する連結部材とからなり、
前記駆動部は、前記天板及び前記底板の少なくともいずれか一方に取り付けられることを特徴とする電動三路シャッター。
【請求項2】
前記弁室の前記各ポートの各開口の外縁には、該各開口を囲むように、上面が前記弁体の外周端に当接する程度の高さに形成され、不織布で形成したブロックが、各々設けられたことを特徴とする請求項1に記載の電動三路シャッター。
【請求項3】
前記ブロックは、前記第1のポートの流路と連通する開口と前記第2のポートの流路と連通する開口との間の設けられた第1のブロックと、前記第1のポートの流路と連通する開口と前記第3のポートの流路と連通する開口との間の設けられた第2のブロックと、前記第2のポートの流路と連通する開口の外周において前記第1のブロックと相対する位置に設けられた第3のブロックと、前記第3のポートの流路と連通する開口の外周において前記第2のブロックと相対する位置に設けられた第4のブロックとからなり、
少なくとも前記第1のブロックと第2のブロックは、前記弁体の外周端と当接する面が、回動する前記弁体の外周端が移動する円弧の接線に対して、前記第1のブロックは前記第2のポートに向かって、前記第2のブロックは前記第3のポートに向かって、それぞれ、内側(弁室内方向)に傾斜して設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電動三路シャッター。
【請求項4】
前記駆動部にはステッピングモータを用いて前記弁体の回動角度を調整可能にし、前記駆動部により、
前記弁体を前記第1のポートの流路の方向に回動して、前記弁体の外周端を前記第1のポートの流路に連通する前記開口の前記ブロックの上面に当接させて室内空間に連通する前記第1のポートの前記開口を略遮断して、外気と換気装置とを連通させる第1種換気状態と、
前記弁体を前記第3のポートの流路の方向に回動して、前記弁体の外周端を前記第3のポートの流路に連通する前記開口の前記ブロックの上面に当接させて換気装置に連通する前記第3のポートの前記開口を略遮断して、外気と室内空間とを連通させる第3種換気状態と、
前記弁体を前記第1のポートと前記第2ポートの中間位置に回動して、前記第1のポートの前記開口と前記第2のポートの前記開口とを各々一部開口して外気と室内空間の空気との混合気体を換気装置に送り込む室内空気再循環状態とを切換可能にしたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電動三路シャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示の技術は、全熱交換型換気システムに用いられる電動三路シャッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、換気として取り込んだ外気を床下に設置した熱交換器によって、暖かい空気・冷たい空気として直接室内の各部屋へ送る24時間全熱交換型換気システムにおいて、空気の流路を切り替える電動三路シャッターが非特許文献1などに開示されている。
【0003】
非特許文献1には、三菱電機株式会社製の電動三路シャッター(中間取付形)P-183DUEの仕様が開示されている。非特許文献1に開示された電動三路シャッターのように、従来、24時間全熱交換型換気システムに用いられる電動三路シャッターの(弁室を有する)本体ボディは、亜鉛メッキ鋼板などの金属製の板金部品を組み付けて形成される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】三菱電機株式会社、“電動三路シャッター(中間取付形)P-183DUE納入仕様書”、[online]、2014年2月16日、[令和4年9月1日検索]、インターネット〈URL:https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/ldg/wink_doc/m_contents/wink/FAN_SN/p―183due_0_sn.pdf〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
24時間全熱交換型換気システムにおいて、空気の流路を切り替える電動三路シャッターは床下に配置される場合が多い。このような場合、非特許文献1に開示された電動三路シャッターのように本体ボディが亜鉛メッキ鋼板などの金属製の板金で形成された電動三路シャッターでは寒冷地で使用した場合、極端に温度が低い外気が電動三路シャッター内に取り込まれると、外気と温かく湿った室内や床下の空気との温度差で電動三路シャッターの本体ボディの金属表面が結露してしまい、金属部表面に組付けられたモータなどの駆動部に不具合が生じるおそれがあった。また、金属製の板金部品を組み付けて形成される本体ボディは、金型成型を用いて成型加工することが難しいことから製造コストを低減することが困難であった。
【0006】
本願に開示される技術は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、本体ボディを、発泡スチロールで形成したボディと、ボディを上下方向に挟持する硬質部材の上板および底板と、上板と底板とを連結する連結部材とから構成して、結露を抑止する電動三路シャッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため請求項1に係る電動三路シャッターは、全熱交換型換気システムに用いられる電動三路シャッターであって、電動三路シャッターは、室内空間に連通する第1のポートと、第1のポートの軸線と直交し、かつ、同軸上に対向して設けられた外気に連通する第2のポートおよび換気装置に連通する第3のポートと、各ポートの流路と個別に連通する各開口を設けた弁室が形成されたボディと、自軸周りに回動可能となるようボディに支持され、弁室内で回動する弁体と、通電により弁体を回動駆動させる駆動部とを備え、ボディは、発砲スチロールで成形され弁室を備えたボディ本体と、ボディ本体を上下方向で狭持する硬質部材の天板および底板と、天板と該底板とを連結する連結部材とからなり、駆動部は、天板及び底板の少なくともいずれか一方に取り付けられることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る電動三路シャッターは、請求項1に記載の電動三路シャッターであって、弁室の各ポートの各開口の外縁には、各開口を囲むように、上面が弁体の外周端に当接する程度の高さに形成され、不織布で形成したブロックが、各々設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る電動三路シャッターは、請求項2に記載の電動三路シャッターであって、ブロックは、第1のポートの流路と連通する開口と第2のポートの流路と連通する開口との間の設けられた第1のブロックと、第1のポートの流路と連通する開口と第3のポートの流路と連通する開口との間の設けられた第2のブロックと、第2のポートの流路と連通する開口の外周において第1のブロックと相対する位置に設けられた第3のブロックと、第3のポートの流路と連通する開口の外周において第2のブロックと相対する位置に設けられた第4のブロックとからなり、第1のブロックと第2のブロックは、弁体の外周端と当接する面が、回動する弁体の外周端が移動する円弧の接線に対して、第1のブロックは第2のポートに向かって、第2のブロックは第3のポートに向かって、それぞれ、内側(弁室内方向)に傾斜して設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る電動三路シャッターは、請求項1から3の何れか一項に記載の電動三路シャッターであって、駆動部にはステッピングモータを用いて弁体の回動角度を調整可能にし、駆動部により、弁体を第1のポートの流路の方向に回動して、弁体の外周端を第1のポートの流路に連通する開口のブロックの上面に当接させて室内空間に連通する第1のポートの開口を略遮断して、外気と換気装置とを連通させる第1種換気状態と、弁体を第3のポートの流路の方向に回動して、弁体の外周端を第3のポートの流路に連通する開口のブロックの上面に当接させて換気装置に連通する第3のポートの開口を略遮断して、外気と室内空間とを連通させる第3種換気状態と、弁体を第1のポートと第2ポートの中間位置に回動して、第1のポートの開口と第2のポートの開口とを各々一部開口して外気と室内空間の空気との混合気体を換気装置に送り込む室内空気再循環状態とを切換可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る電動三路シャッターでは、弁室を有するボディ本体を発砲スチロールで成形し、モータなどを含む駆動部をボディ本体の発砲スチロールを介した天板および底板の内少なくとも一方に組み付けることにより、極端に温度が低い外気がボディ本体内に取り込まれても、発砲スチロールの断熱効果で天板および底板に伝わることが抑止することができることから、駆動部に結露の発生が抑止されて駆動部の不具合を防止することができる。
【0012】
また、ボディ本体の素材を発砲スチロールにすることにより、容易に金型成型による成型加工ができること、さらに、材料が安価な発砲スチロールであることから、製造コストを低減することができる。さらに、発砲スチロールで形成した本体ボディを金属製の板金などのような硬質部材の天板と底板とで上下方向で挟持し、天板と底板とを連結部材で連結することにより、ボディ本体が変形することなく、モータなどの駆動部を天板または底板に取り付けることができる。
【0013】
請求項2に係る電動三路シャッターでは、ボディ本体を発砲スチロールで成型加工する際に生じる公差により弁体と各開口との間に隙間が生じても、弁室の各ポートの各開口の外縁に、各開口を囲むように、上面が弁体の外周端に当接する程度の高さに形成され、不織布で形成したブロックを各々設けることにより、各開口を弁体で遮断する際に各開口に設けたブロックと弁体とが当接するため、弁体による各流路の遮断をより確実に行うことができる。また、ブロックを不織布で形成することにより、弁体が過度に当接してもブロックが損傷されにくく、そのため、損傷時に出るゴミも抑止することができる。
【0014】
請求項3に係る電動三路シャッターでは、第1のポートの流路と連通する開口と第2のポートの流路と連通する開口との間に設けた第1のブロックと、第1のポートの流路と連通する開口と第3のポートの流路と連通する開口との間に設けた第2のブロックのそれぞれの弁体の外周端と当接する面が、回動する弁体の外周端が移動する円弧の接線に対して、第1のブロックは第2のポートに向かって、第2のブロックは第3のポートに向かって、それぞれ、内側(弁室内方向)に傾斜して設けられているため、弁体の外周端が第1のブロックまたは第2のブロックの当接面を圧縮方向に干渉しながら弁体が回動させることができる。そのため、ブロックへの負荷を軽減することができるとともに、より確実に弁体の外周端とブロックとを当接させることができる。
【0015】
請求項4に係る電動三路シャッターでは、従来、極端に外気温が低い地域では、外気を取り込んだ際に熱交換器が凍結してしまう問題があったが、弁体の回動駆動にステッピングモータを採用することにより、弁体の回動角度を任意に調整可能になり、弁体を第1のポートと第2ポートの中間位置に調整回動させて外気を取り込む量が少ない状態で外気と室内空気を混ぜることができるようになり、熱交換器が凍結しない温度で空気を換気装置に送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明にかかる一実施形態である電動三路シャッターの外観図であり、(A)上面図、(B)正面図、(C)下面図、(D)正面図を右から見た側面図である。
【
図2】(A)
図1のA-A断面図、(B)
図1のB-B断面図、(C)
図1のC-C断面図である。
【
図4】本発明にかかるボディ(ボディ本体)を形成するボディ上部の(A)上面図、(B)正面図、(C)下面図、(D)正面図を右から見た側面図、(E)
図3のA-A断面図、(F)
図3のB-B断面図である。
【
図5】本発明にかかるボディ(ボディ本体)を形成するボディ下部の(A)上面図、(B)正面図、(C)下面図、(D)正面図を右から見た側面図、(E)
図4のA-A断面図、(F)
図4のB-B断面図である。
【
図6】本発明にかかる第2ポートおよび第3ポートの(A)正面図、(B)側面図、(C)
図5のA-A断面図である。
【
図7】本発明にかかる(弁体として機能する)切替羽の(A)上面図、(B)正面図、(C)下面図、(D)正面図を右から見た側面図、(E)
図6のA-A断面図である。
【
図8】ボディを上下方向で挟持する(A)天板の正面図およびA-A断面図、(B)底板の正面図およびB-B断面図である。
【
図9】電動三路シャッターの組み付け方法の説明図である。
【
図10】
図8で組み付けた状態を説明する透視図である。
【
図11】切替羽を回動駆動して流路を切換える方法の説明図である。
【
図12】ボディを上下方向で挟持する天板と底板とを連結する連結部材の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明にかかる一実施形態である電動三路シャッター1について図面を参照して説明する。
図1は、本発明にかかる一実施形態である電動三路シャッター1の外観図である。
図1の(A)は上面図、(B)は正面図、(C)は下面図、(D)は正面図を右から見た側面図である。
【0018】
図1に示すように、電動三路シャッター1は流路を切り換える切換羽10と、内部に切換羽10が収納される弁室17および第1ポート7が設けられたボディ部2と、第1ポート7の軸線と直交し、かつ、同軸上に対向してボディ部2の左右端に接続される第2ポート8および第3ポート9と、切換羽10を回動制御するステッピングモータやギアなどから構成される駆動部3とから構成されている。ボディ部2は、発砲スチロールで形成されたボディ4と、ボディ4を上下方向で挟持する天板5および底板6と、ボディ4を天板5と底板6と挟持した状態で天板5と底板6とを連結する支柱11とから構成されている。
図1の(A)および(B)、(D)に示すように、駆動部3は(図示しない)取付ネジによりボディ4の上面に載置された天板5に組み付けられている。尚、本実施形態では、第1ポート7は室内空間に、第2ポート8は外気に、第3ポート9は換気装置に、それぞれ、連通するように全熱交換型換気システムに組み込まれている。
【0019】
ボディ4は、全体が発泡スチロールで形成されている。そして、金型により成型加工して製作するため、第2ポート8および第3ポート9の軸線の中心線(
図1の(B)のC-Cのライン)に沿ってボディ上部4Aおよびボディ下部4Bに分割されている。また、天板5および底板6は硬質部材の板部材として金属製の板金を加工して形成されているが、これに限定するものではない。
【0020】
図2は電動三路シャッター1の断面図である。
図2の(A)は
図1のA-A断面図、(B)は
図1のB-B断面図、(C)は
図1のC-C断面図である。
【0021】
図2の(C)に示すように、ボディ4の中央には切換羽10が回動可能に収納される弁室17が設けられている。弁室17には第1ポート7の流路14と連通する第1開口部20と、第2ポート8が接続し第2ポート8の流路15が連通する第2開口部21と、第3ポート9が接続し第3ポート9の流路16が連通する第3開口部22とが設けられている。そして、第1開口部20、第2開口部21、第3開口部22の外周の位置には、不織布で形成したブロック13A、13B、13C、13Dが取り付けられている。ブロック13A、13B、13C、13Dは、
図2の(C)に対して前後方向に伸長する四角柱形状となっており、長さは各開口部の径よりやや大きく、その径(切換羽10に向かう高さ)は弁室17内を回動する切換羽10の弁部10bの外周端が当接する程度の大きさに設定されている。
【0022】
本実施形態にかかる電動三路シャッター1のようにボディ4を発砲スチロールの成形加工で形成する場合、公差により、各開口部20、21、22と切換羽10の弁部10bの外周端との間に隙間が生じやすい。そのため、本実施形態にかかる電動三路シャッター1では、生じた隙間を埋めるように、上述のように各開口部各開口部20、21、22の外周部にブロック13A、13B、13C、13Dを取り付けている。これにより、各開口部20、21、22を切換羽10の弁部10bで遮断する際に各開口部においてブロック13A、13B、13C、13Dと切換羽10の弁部10bの外周端とが、それぞれ、当接するため、切換羽10により各開口部に連通する各流路の遮断をより確実に行うことができる。また、ブロック13A、13B、13C、13Dを不織布で形成することにより、切換羽10が過度に当接してもブロック13A、13B、13C、13Dが損傷されにくく、そのため、損傷時に出るゴミも抑止することができるのである。
【0023】
図2に示すように、切換羽10の弁軸10aは、弁室17の中心において、その上端部が、ボディ4のボディ上部4Aの上面の貫通穴を貫通して駆動部3内に挿入されるとともに、その下端部が、ボディ4のボディ下部4Bの下面の貫通穴を貫通して底板6の(後述する)軸受けに支持されることにより回転自在に組み付けられ、そして、駆動部3の内部に組み込まれたステッピングモータ18、(図示しない)ギアや駆動基板などにより回転角度が制御され、これにより、切換羽10が弁室17内において回動制御される。
【0024】
図3は、本発明の特徴の1つであるブロックAおよびブロックBの取付状態を説明する図である。
図3の(A)は
図2の(C)を図示したものであり、
図3の(B)は
図3(A)で図示した領域Rを拡大して図示したものである。本実施形態では切換羽10は第1ポート7の軸中心線に対して図面左右方向に各略90°回動(すなわち、180°回動)するようになっている。そこで、切換羽10が通過する、第1ポートの流路14に連通する開口部20と第2ポートの流路15に連通する開口部21との間に設けられたブロックAと、第1ポートの流路14に連通する開口部20と第3ポートの流路16に連通する開口部22との間に設けられたブロックBは、
図3の(B)に示すように、切換羽10の弁部10bの外周端と当接する面に沿った線S1およびS2が、回動する切換羽10の弁部10bの外周端が移動する円弧の接線P1およびP2に対して、それぞれ、開口部21、開口部22に向かって、弁室17の内側方向に角度R傾斜するように取り付けられている。そのため、切換羽10の弁部10bの外周端がブロック13Aまたはブロック13Bの当接面を圧縮方向に干渉しながら切換羽10が回動させることができる。これにより、ブロックAおよびBへの負荷を軽減することができるとともに、より確実に切換羽10の弁部10bの外周端とブロックCまたはDとを当接させることができる。また、ブロック13Aおよびブロック13Bが取り付けられるボディ4の取付面4Pおよび4Qをブロック13Aおよびブロック13Bが取り付けられる傾斜に合わせて加工することにより、13A、13B、13C、13Dを同じ形状のものが採用できるため、部品コストを低減することができる。
【0025】
次に、電動三路シャッター1の主要な部品について、個々に図面を参照して説明する。
【0026】
図4はボディ4を形成するボディ上部4Aの外観図および断面図である。
図4の(A)は上面図、(B)は正面図、(C)は下面図、(D)は正面図を右から見た側面図、(E)は(A)のA-A断面図、(F)は(C)のB-B断面図である。
【0027】
図4の(A)に示すように、ボディ上部4Aの上面には天板5を載置するボディ上面部4aが形成されている。ボディ上面部4aは天板5の外周形状に沿って形成されており、これにより天板5を位置決めしてボディ4の上面に載置することができる。また、ボディ上面部4aには、中心に切換羽10の弁軸10aが貫通する上部貫通穴4c、駆動部3を天板5に取り付ける際にボディ4に向けて突出する取付ネジの下端部のための逃げ穴4m(5箇所)などが形成されている。
【0028】
ボディ上面部4aの図面下方には弁室17の上部を形成する弁室上部4j、第1ポート7の流路14を形成する第1流路上部4e、第2ポート8を接続するための取付溝を含む第2流路上部4g、第3ポート9を接続するための取付溝を含む第2流路上部4h、弁室17と第1ポート7の流路14とを連通する開口部20の上部、弁室17と第2ポート8の流路15とを連通する開口部21の上部、弁室17と第3ポート9の流路16とを連通する開口部22の上部などが形成されたボディ上部本体4bが設けられている。また、ボディ上部4Aの下端面には、下述するボディ下部4Bの上端部に設けられた位置決めピンに篏合するボディ上部篏合穴4k(4箇所)が形成されている。さらに、ボディ上部4Aの側面には、天板5と底板6とを連結する3つの支柱11のための通し溝4d(3箇所)が側面に沿って上下方向に形成されている。
【0029】
図5はボディ4を形成するボディ下部4Bの外観図および断面図である。
図5の(A)は上面図、(B)は正面図、(C)は下面図、(D)は正面図を右から見た側面図、(E)は(A)のA-A断面図、(F)は(C)のB-B断面図である。
【0030】
図5の(A)、(B)および(E)に示すように、ボディ上部4Aの上面には、ボディ上部4Aの下端面のボディ上部篏合穴4k(4箇所)に篏合する位置決めピン4r(4箇所)が形成されている。そして、ボディ下部本体上部4nには、弁室17の下部を形成する弁室下部4w、第1ポート7の流路14を形成する第1流路下部4v、第2ポート8を接続するための取付溝を含む第2流路下部4t、第3ポート9を接続するための取付溝を含む第2流路下部4u、弁室17と第1ポート7の流路14とを連通する開口部20の下部、弁室17と第2ポート8の流路15とを連通する開口部21の下部、弁室17と第3ポート9の流路16とを連通する開口部22の下部などが形成されている。また、弁室下部4wの中心には、切換羽10の弁軸10aが貫通する下部貫通穴4xが設けられている。
【0031】
図5の(C)に示すように、ボディ下部本体下部4pには、底板6を載置するボディ下面部4qが形成されている。ボディ下面部4qは底板6の外周形状に沿って形成されており、これにより底板6を位置決めしてボディ4の下面に載置することができる。また、ボディ下部4Bの側面には、天板5と底板6とを連結する3つの支柱11のための通し溝4s(3箇所)がボディ上部4Aの通し溝4dに合わせて側面に沿って上下方向に形成されている。
【0032】
図6は、第2ポート8および第3ポート9の外観図および断面図である。
図6の(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は(A)のA-A断面図である。
【0033】
第2ポート8と第3ポート9は同じ形状である。上述したように、第2ポート8は外気に連通する配管に接続され、第3ポート9は換気装置に連通する配管に接続されるようになっている。
図5に示すように、第2ポート8および第3ポート9は円筒形状のポート本体部8bおよび9bと、各配管を接続するための配管接続部8a、9aと、上述したボディ4の取付溝に篏合し、ボディ4に組み付け保持するためのポート保持部8c、9cとから構成されている。配管接続部8a、9aおよびポート保持部8c、9cは、ポート本体部8bおよび9bの側面に沿って外側に突出する円筒形状に形成されている。本実施形態では、第2ポート8および第3ポート9は硬質の樹脂材料により形成加工して形成されている。第2ポート8と第3ポート9の内周面8dおよび9dは、それぞれ、第2ポート8の流路15、第3ポート9の流路16となっている。
【0034】
図7は切替羽10の外観図と断面図である。
図7の(A)は上面図、(B)は正面図、(C)は下面図、(D)は正面図を右から見た側面図、(E)は(B)のA-A断面図である。
【0035】
切替羽10は弁室17内を回動するための回動軸である弁軸10aと、弁室17の内周面に沿って円弧形状に形成された弁部10bと、弁部10bを上端と下端とで弁軸10aに接続する棒形状の接続部10c(4箇所)から構成されている。弁部10bは円弧の面形状で、回動方向の幅は開口部20、21、23の径よりやや大きくなっており、そのため、弁部10bにより各開口部を覆うことが可能となり、これにより、切替羽10は弁体として機能する。また、弁軸10aの上端部10dは、駆動部3内のギアと篏合するギア形状となっている。
【0036】
図8はボディを上下方向で挟持する天板5および底板6の外観図および断面図である。
図8の(A)は天板5の正面図およびA-A断面図、(B)は底板6の正面図およびB-B断面図である。
【0037】
天板5および底板6はともに金属製の板金で形成されている。上述したように、天板5はボディ4のボディ上部4Aのボディ上面部4aの形状に沿って形成され、底板6はボディ4のボディ下部4Bのボディ下部本体下部4pの形状に沿って形成されている。それぞれ、外周端部には、支柱11が貫通する貫通穴5a(3箇所)、貫通穴6a(3箇所)が設けられている。天板5の中心には切替羽10の弁軸10aが貫通する貫通穴5bが設けられている。また、底板6の中心には切替羽10の弁軸10aの下端部を支持する凹部6bが設けられている。
【0038】
次に、電動三路シャッター1の組み付け方法について説明する。
図9は電動三路シャッター1の組み付け方法の説明図である。
【0039】
まず、
図9に示すように、ボディ4のボディ上部4Aとボディ下部4Bとの間に第2ポート8、第3ポート9および切換羽10を配置し、ボディ下部4Bの上端部の位置決めピン4r(4箇所)をボディ上部4Aの下端部のボディ上部篏合穴4k(4箇所)に挿入し位置決めをして第2ポート8、第3ポート9および切換羽10を組み込んでボディ下部4Bにボディ上部4Aを組み込む。次に、ボディ4のボディ上部4Aのボディ上面部4aに天板5を、ボディ下部4Bのボディ下面部4qに底板6を載置する。そして、天板5の上方から3つの支柱11、11、11を天板5、ボディ上部4A、ボディ下部4Bおよび底板6の各貫通穴を貫通させて、底板6の下方から留めネジ12、12、12により貫通した支柱11、11、11の下端部をネジ留めしてボディ部2に第2ポート、第3ポートおよび切換羽10を組み付け保持する。さらに、駆動部3を(図示しない)留めネジにて天板5に組み付ける。
図10は組み付けた状態を示す透視図である。このように、電動三路シャッター1は、第2ポート8、第3ポート9および切換羽10をボディ4に組み付けた状態でボディ4を天板5と底板6とで挟持し、支柱11、11、11で天板5と底板6とを連結して保持し、さらに、天板5に駆動部3を組み付ける。
【0040】
上述のように組み付けられた電動三路シャッター1についてその操作について説明する。
【0041】
図11は、電動三路シャッター1において、切替羽10を回動駆動して流路を切換える方法を説明する図である。
図11の(A)は外気と換気装置とを連通させる第1種換気状態、(B)は外気と室内空間とを連通させる第3種換気状態、(C)は外気と室内空間の空気との混合気体を換気装置に送り込む室内空気再循環状態を示す。
【0042】
図11の(A)に示すように、切換羽10の弁部10bで第1ポート7の開口部20を遮断するように、駆動部3により切換羽10を回動すると、切換羽10の弁部10bの外周端が開口部20の外周部のブロック13A、13Bに当接するため、第1ポート7の流路14が略遮断される。そのため、弁室17を介して第2ポート8の流路15と第3ポート9の流路16が連通する。すると、
図10の破線の矢印(1)および(2)に示すように外気と換気装置とが連通し、外気が換気装置へと流れる第1種換気状態にすることができる。
【0043】
また、
図11の(B)の矢印(4)に示すように、切換羽10の弁部10bで第3ポート9の開口部22を遮断するように、駆動部3により切換羽10を回動すると、切換羽10の弁部10bの外周端が開口部22の外周部のブロック13B、13Dに当接するため、第3ポート9の流路16が略遮断される。そのため、弁室17を介して第2ポート8の流路15と第1ポート7の流路14が連通する。すると、
図10の破線の矢印(1)′および(3)に示すように外気と室内空間装置とが連通し、外気が室内空間へと流れる第3種換気状態にすることができる。
【0044】
また、
図11の(C)の矢印(5)に示すように、切換羽10の弁部10bを第1ポート7の開口部20と第2ポート8の開口部21との中間に位置するように、駆動部3により切換羽10を回動すると、弁室17を介して第1ポート7の流路14および第2ポート8の流路15と、第3ポート9の流路16とが連通して、
図10の破線の矢印(1)′′、(2)′および(3)′に示すように、外気と室内空間の空気との混合気体を換気装置に送り込む室内空気再循環状態にすることができる。切換羽10の弁部10bの回動角度は駆動部3のステッピングモータ18により任意に設定することができるため、混合気体において外気と室内空間の空気との混合比を任意に調整することができる。これにより、極端に外気温が低い地域においても、熱交換器が凍結しない温度で空気を換気装置に送ることができるため、外気を取り込んだ際に熱交換器が凍結してしまうことを抑止することができる。
【0045】
さらに、弁室17を有するボディ4を発砲スチロールで成形し、ステッピングモータ18などを含む駆動部3がボディ4を挟持する(一方の)天板5に組み付けられているため、極端に温度が低い外気がボディ4内に取り込まれても、発砲スチロールの断熱効果で外気温が天板5(および底板6)に伝わることを抑止することができ、駆動部3内において結露の発生を抑止することができて、結果、駆動部3の不具合を防止することができるのである。
【0046】
ここで、電動三路シャッター1は電動三路シャッターの一例であり、ボディ部2はボディの一例であり、駆動部3は駆動部の一例であり、ボディ4はボディ本体の一例であり、天板5は天板の一例であり、底板6は底板の一例であり、第1ポート7は第1のポートの一例であり、第2ポート8は第2のポートの一例であり、第3ポート9は第3のポートの一例であり、切換羽10は弁体の一例であり、支柱11は連結部材の一例であり、ブロック13Aは第1のブロックの一例であり、ブロック13Bは第2のブロックの一例であり、ブロック13Cは第3のブロックの一例であり、ブロック13Dは第4のブロックの一例であり、弁室17は弁室の一例であり、ステッピングモータ18はステッピングモータの一例である。
【0047】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることが、理解されるべきである。
【0048】
例えば、上記実施形態である電動三路シャッター1では、駆動部3は天板5に組み付けられているが、底板6に組み付けられていてもいいし、天板5と底板6との両方に分割されて組み付けられていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態である電動三路シャッター1では、天板5と底板6とを3本の支柱11を用いてネジ留めして連結したが、支柱13は3本に限定するものでなはく、4本以上であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態である電動三路シャッター1では、長ネジ状の3本の支柱11を用いて天板5と底板6とを連結したが、連結部材は支柱13のような長ネジでなく、
図12に示すように、他の連結方法を採用してもよい。例えば、
図12の(A)の上面図および(B)の側面図に示す電動三路シャッター100は、細長い板状の板金の上端部と下端部を90°より小さな角度で折り曲げたコの字状の連結部材110を採用した例である。このように、天板と底板とを少なくとも3箇所で、連結部材110、110,110を挟んで連結してもよい。連結部材110の上端部と下端部は、上述のように90°より小さな角度で折り曲げられているので、天板および底板に対してバネ力として互いにボディに向かって付勢するため、天板と底板とを連結して保持することができる。この場合、電動三路シャッター1のようにネジ留めする必要がないため、組み立てが容易になる。
【0051】
また、
図12の(C)の上面図および(D)の側面図に示す電動三路シャッター200は、天板50の外周にコの字型に延長した連結部50a、50a、50aを設けた例である。連結部50aの下端部と底板とを留めネジ51で締め込んで固定する。この場合、電動三路シャッター1のように支柱11は必要がないため、部品を削減することができる。
【0052】
また、上記実施形態である電動三路シャッター1では、ブロックAおよびブロックBについて、各々の当接面が回動する切換羽10の弁部10bの外周端が移動する円弧の接線に対して角度R傾斜するように取り付けたが、切換羽10が180°以上回動する場合は、ブロック13Cおよびブロック13Dについても同様な角度傾斜させて取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1・・電動三路シャッター
2・・ボディ部
3・・駆動部
4・・ボディ
5・・天板
6・・底板
7・・第1ポート
8・・第2ポート
9・・第3ポート
10・・切換羽
11・・支柱
12・・留めネジ
13A、13B、13C、13D・・ブロック
14、15、16・・流路
17・・弁室
18・・ステッピングモータ
20、21、22・・開口部