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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072306
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】水中油型乳化日焼け止め化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/68 20060101AFI20240521BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240521BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A61K8/68
A61K8/81
A61Q17/04
A61K8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183003
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】591230619
【氏名又は名称】株式会社ナリス化粧品
(72)【発明者】
【氏名】井上(中野) 千尋
(72)【発明者】
【氏名】中村 徹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB222
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC262
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC512
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC682
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD212
4C083AD252
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD412
4C083AD572
4C083AD622
4C083AD662
4C083BB23
4C083BB25
4C083BB46
4C083CC03
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE05
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】
本発明は、耐水性、使用感、経時安定性に優れた水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明者らが鋭意研究した結果、特定の成分組み合わせを有する水中油型乳化日焼け止め化粧料において、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、次の成分(A)~(D)を含有する水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供するものである。
(A)スフィンゴ糖脂質
(B)油溶性紫外線吸収剤から選ばれる1種または2種以上
(C)疎水化処理金属酸化物 0.01~15質量%
(D)ポリアクリルアミド化合物 0.01~5質量%
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D)を含む水中油型乳化日焼け止め化粧料。
成分(A):スフィンゴ糖脂質
成分(B):油溶性紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上
成分(C):疎水化処理金属酸化物 0.01~15質量%
成分(D):ポリアクリルアミド化合物 0.01~5質量%
【請求項2】
成分(A)を0.05~5.0質量%配合することを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化日焼け止め化粧料。
【請求項3】
成分(D)が(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸Na、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及び(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーから選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型乳化日焼け止め化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の保湿機能を亢進させて、耐水性および経時安定性に優れ、みずみずしくべたつきのない使用感にも優れた水中油型乳化日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼けは、太陽光線中の波長が290~315nmの中波長紫外線(以下、UV-Bと略記する)と315~400nmの長波長紫外線(以下、UV-Aと略記する)により惹起されるが、UV-Bは皮膚に紅斑を惹起し、炎症後黒化をもたらす。一方UV-Aは、UV-Bに比較して、紅斑惹起力が非常に弱く、実質上紅斑を起こさず皮膚を黒化する。このようにして、シミや老化が引き起こされる。
【0003】
シミや老化の原因となる紫外線を防御するため、また組成物の安定性向上のため、紫外線吸収剤を有する化粧料が種々上市されている。日焼け止め化粧料は、特に夏場の強い紫外線に暴露される屋外において使用されるため、プールや海水浴の際や、汗をかくシーンで使用されることが多く、紫外線防御効果が高いもの、紫外線防御効果持続の観点から耐水性に優れたものが求められている。
【0004】
従来の日焼け止め化粧料としては、耐水性に優れる等の理由から、外相が油性である油中水型乳化化粧料が主として用いられている。
【0005】
しかし油中水型乳化化粧料には、使用上のべたつきや油性感等の良好でない使用感の問題があった。さらに、油膜閉塞性を示すため混合肌や脂性肌には好ましくなく、皮脂のてかりやにきび等の皮脂トラブルを悪化させるという問題や、洗浄性が悪いという問題もあった。
【0006】
これに対し、外相が水性である水中油型乳化化粧料は、油性感のなさやみずみずしさといった観点から使用感が良好かつ油膜閉塞性を示さず、洗浄性も良好であるが、耐水性に劣るために紫外線防御効果の持続性に問題があった。
【0007】
先に述べた耐水性とは、水流に対する化粧料塗布膜の耐久性を指す。海水浴やプールなどの使用シーンにおいては水流が発生することから、単純に水に浸漬した際の耐久性ではなく、水流に対する耐久性が重要である。そのため、FDA(米国食品医薬品局)の最終モノグラフに準拠した耐水性試験や、COLIPA(欧州化粧品工業会)で定められた「日焼け止め製品の耐水性評価のためのガイドライン(Guidelines for Evaluating Sun Product Water Resistance)(December 2005)」においても、水流を発生させて耐水性評価を実施している。
【0008】
水中油型乳化化粧料における耐水性付与の従来技術としては、水不溶性のシリコーン樹脂等の皮膜形成剤を配合することにより、生成される化粧皮膜の耐水性向上を図る試みもなされているが、この場合皮膜感が強く、自然な仕上がりが得られにくい上、より多くの皮膜形成剤を溶解させるための油性成分を水相に分散させるには親水性の界面活性剤が必要であるため、耐水性が悪くなり、汗等により容易に流れ落ちてしまうという問題があった(特許文献1,2,3)。
【0009】
また、粉体表面をシリコーン化合物で被覆することにより化粧膜の撥水性を向上させる技術が提案されている(特許文献4)。しかしながら、紫外線防御化粧料が主に夏に使用されるという特性から、汗などによる過酷な条件に対して必ずしも十分な耐水性を有しておらず、耐水性を向上させるために高配合するときしみ感や保湿感のなさなどの使用感が優れないという欠点があった。
【0010】
特許文献5では、両性界面活性剤および/または半極性界面活性剤と、高級脂肪酸とを混合して得られる複合体、粉末、水および液状の不揮発性油分を含有する水中油型乳化組成物が提案されている。この水中油型乳化組成物では、ジメチルポリシロキサンなどの不揮発性油分を配合することにより耐水性の向上を図っているが、紫外線防御効果を高めるために極性の高い油溶性成分を多量に配合する必要があり、耐水性の点でも不十分であることに加え、乳化が不安定になるという問題があった。
【0011】
また、界面活性剤を配合せずに乳化する技術として高分子乳化法が用いられているが、乳化剤として用いることができる高分子が限られるため、油溶性紫外線吸収剤を含む油分の種類や配合量も限定される。さらに、乳化粒子径を制御することが難しく、経時安定性の維持が難しいという問題があった。
【0012】
このように、耐水性と使用感を両立しながら、安定性を維持することは難しく、これらの条件を満たす水中油型乳化日焼け止め化粧料の開発が望まれていた。
【0013】
一方、スフィンゴ糖脂質は、皮膚の細胞間脂質の主要な構成成分の一種であり、両親媒性物質であるため皮膚中でラメラ構造をとることが知られている。
【0014】
また、このような細胞間脂質は、皮膚の保湿性やバリア機能改善に優れた化粧料用成分として知られている一方で、結晶性が高く、経時安定性の確保が困難であることも知られている。さらに、日焼け止めの耐水性向上についての知見もない。
【0015】
以上のことから、耐水性、使用感、経時安定性に優れた水中油型乳化日焼け止め化粧料が求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平8-310940号公報
【特許文献2】特開平8-310941号公報
【特許文献3】特開2004-91377号公報
【特許文献4】特開2007-176867号公報
【特許文献5】特開2004-231530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、耐水性、使用感、経時安定性に優れた水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意研究した結果、特定の成分組み合わせを有する水中油型乳化日焼け止め化粧料において、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち本発明は、次の成分(A)~(D)を含有する水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供するものである。
(A)スフィンゴ糖脂質
(B)油溶性紫外線吸収剤から選ばれる1種または2種以上
(C)疎水化処理金属酸化物 0.01~15質量%
(D)ポリアクリルアミド化合物 0.01~5質量%
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、皮膚の保湿機能を亢進させて、耐水性、使用感、経時安定性に優れた水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について更に詳しく説明する。なお、特段注釈のない限り、以下で成分の配合量を「%」で表示する場合は質量%を意味する。
【0022】
本発明における成分(A)スフィンゴ糖脂質は、アミノ基を持つ長鎖アルコールであるスフィンゴイド類(スフィンゴイド塩基)を含む脂質に脂肪酸及び糖類が結合した複合糖脂質を指し、以下の化学式(式1)で表される。
【0023】
【化1】
【0024】
式1中、Rは、飽和又は不飽和のアルキル基であり、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、水酸基などで置換されていてもいなくてもよい。アルキル基の炭素数は、通常1~50の範囲内であり、10~25の範囲内であるのが好ましい。
は、糖類である。糖類としては、単糖類、二糖類及び多糖類などが挙げられる。また、糖におけるヒドロキシル基やヒドロキシメチル基を他の基で置き換えた糖誘導体であっても構わない。このような糖誘導体としては、例えば、グルコサミンやグルクロン酸、N-アセチルグルコサミンなどがある。これらの中でも、ガラクトース、マンノース、グルクロン酸、グルコサミンの内少なくとも1種を構成単糖として含まれるのが好ましい。
は、シクロアルキル基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。Rの炭素数はとくに限定されないが、15~25の範囲内であるのが好ましい。Rのアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は直鎖であっても分枝鎖であってもよく、また、水酸基やメチル基などで置換されていてもいなくてもよい。とくに、アルキル基の鎖中にシクロプロピル基などのシクロアルキル基が存在していてもよい。アルケニル基の二重結合の位置や、アルキニル基の三重結合の位置はとくに限定されない。
スフィンゴ糖脂質としては、市販されているものを用いることができ、例えば、大日本化成社製のビオセラG及びビオセラQD、キッコーマンバイオケミファ社製のバイオスフィンゴ等を用いることができる。
【0025】
成分(A)の配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されないが、通常、水中油型乳化化粧料全量に対し0.05~5%の範囲で用いられることが好ましい。この範囲では経時安定性、耐水性および使用感が非常に優れている。
【0026】
成分(A)を用いることで、塗布対象物に対する化粧料塗布膜の密着性が向上し、結果、高い耐水性が得られるものであると考えられる。
【0027】
本発明における成分(B)は、油溶性紫外線吸収剤から選ばれる1種または2種以上である。油溶性紫外線吸収剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば使用することができ、特に制限はない。
【0028】
これらの油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、オクトクリレン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p-メトキシハイド7ロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルへキシル、パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノールアミン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2,2’4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-硫酸、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、シノキサート、メチル-O-アミノベンゾエート、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール等が挙げられる。これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0029】
成分(B)の配合量としては、求める紫外線防御効果によって異なるが、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常、水中油型乳化化粧料全量に対し40質量%以下、好ましくは0.5~30質量%の範囲で用いられる。この範囲では経時安定性および使用感が非常に優れている。
【0030】
本発明における成分(C)疎水化処理金属酸化物は、金属酸化物の表面が疎水化処理されたものである。
金属酸化物の種類は通常化粧料に用いられる範囲であれば特に限定されないが、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の微粒子金属酸化物が好適である。中でも酸化亜鉛及び酸化チタンは、紫外線を遮断する粉体であり、形状は特に限定されないが、高い日焼け止め効果を求める場合は、平均粒子径が10~100nmであることが好ましい。
粉体粒子の粒子径又は平均粒子径は、原料メーカーから提供された値を用いる。あるいは、レーザー回析/散乱法を用いて、エタノールを分散媒として、レーザー回析散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所製、LA-920)で測定して算出することもでき、この場合の平均粒子径は粒度分布の体積分布から求めた50%径をいう。
【0031】
本発明において、疎水化とは水への溶解度が1g質量%以下のものを言い、疎水化処理剤としては、通常の化粧料に用いられるものであればよく、例えば、金属石鹸、シリコーン、脂肪酸、リン脂質、フッ素化合物、シリル化剤、およびアシルアミノ酸などが好適に使用できる。特に脂肪酸のイソステアリン酸処理及びシリコーン処理が、組成物の安定性、耐水性、使用感の観点から好適である。シリコーン処理に用いるシリコーンとしては、メチコン、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコンなどが挙げられるが、特にシリコーンの種類は限定されない。またシリカ、アルミナ等の無機化合物が疎水化処理と同時に被覆されていてもよい。本発明における成分(C)は、疎水化処理剤を用いて表面被覆処理することにより、油相中への分散性が向上する。
【0032】
成分(C)の配合量は、日焼け止め化粧料全量に対し、0.01~15質量%以下、さらには0.5~10質量%とすることが好ましい。この範囲であれば、使用時のみずみずしさや保湿感に優れ、耐水性及び経時安定性も良好である。また、成分(B)と組み合わせて配合することで、十分な紫外線防御効果が得られる。
【0033】
成分(C)は、処理粉体をそのまま用いてもよいが、油相に安定に分散させるため、予めシリコーン油等の油性成分に分散させ、分散体として用いても良い。また、成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してよい。
【0034】
本発明における成分(D)は、水溶性高分子化合物であり、アクリルアミドならびにそれらの誘導体のホモポリマーまたはコポリマーの群から選ばれる1 種又は2 種以上のポリマーである。ポリアクリルアミド化合物には、ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマーが含まれる。ポリアクリルアミドコポリマーとしては、アクリルアミド及び/ 又はアクリロイルジメチルタウリンを構成単位として含むコポリマーが挙げられる。化粧品に使用されるものであれば特に限定されず、公知のものが使用でき、例えば、( アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸Na、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー等が挙げられる。
【0035】
成分(D)の配合量は、本発明の水中油型乳化日焼け止め化粧料全体の0.01~5質量%であり、0.1~3質量%がより好ましい。配合量が少なすぎると、水中油型乳化化粧料の経時安定性が悪く、耐水性が悪くなる場合がある。また、配合量が多すぎると、水相の高粘度化により乳化が困難になったり、仕上がりの感触がべたつき、みずみずしさが少なくなったりする場合がある。また、成分(D)は、1種又は2種以上を組合せて使用してよい。
【0036】
本発明の組成物には、上記の必須成分のほかに、必要に応じ一般的に化粧料などに用いられる成分を配合することも可能である。例えば、成分(C)以外の粉体、パール剤、保湿剤、油剤、成分(D)以外の増粘剤、水溶性高分子、香料、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、抗炎症剤、抗酸化剤、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等の添加物を適時配合することができる。これら成分を含有させる場合の配合割合は、その種類や目的に応じて適宜選択することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【実施例0037】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に説明する。なお、これら各処方の組成物は常法にて作製し、本発明を何ら限定するものではない。
【0038】
実施例及び比較例の評価方法について述べる。評価時点において分離していたり、評価ができなかった場合には「-」とした。
<経時安定性の評価>
調製から1日後の乳化化粧料を40℃で3ヶ月静置し、熟練した技術者が目視により下記の基準で評価した。
[経時安定性の評価基準]
「○」:分離がなく均一である
「△」:一部不均一である
「×」:結晶または分離が認められる
【0039】
<使用感評価>
調製から1日後の乳化化粧料を基礎化粧品官能評価員10名が実際に使用し、それぞれ下記基準に基づいて評価した。10名の評価点の平均値を算出し、3.0点未満を×、3.0点以上4.0点未満を△、4.0点以上4.5点未満を○、4.5点以上を◎とした。
なお、保湿感とは、塗布後における肌のしっとりとした感触を意味し、みずみずしさとは、塗布時にさっぱりとした清涼感が得られることを意味する。また、べたつきとは、塗布時及び塗布後に感じるべたべたした感触のことを意味する。

[保湿感の評価基準]
5点:非常に満足
4点:やや満足
3点:ふつう
2点:やや不満
1点:非常に不満

[みずみずしさの評価基準]
5点:非常に満足
4点:やや満足
3点:ふつう
2点:やや不満
1点:非常に不満

[べたつきの評価基準]
5点:全くべたつかない
4点:ほとんどべたつかない
3点:ふつう
2点:ややべたつく
1点:非常にべたつく
【0040】
[耐水性の評価]
調製から1週間後の乳化化粧料を0.02g秤量し、前腕内部上の2×2cm範囲に均一に塗布した。このとき、実塗布量を記録した。30分乾燥させた後、30℃のウォーターバスシェーカー内に前腕を浸漬し、65回/分で30分間振盪した。振盪後、30分乾燥させた後、乳化化粧料塗布部にテープ(角質チェッカー PROタイプ)を貼付してテープストリッピングを行い、5枚分採取した。テープストリッピングしたサンプルをハサミで剪断し、95%エタノール20mLを入れたスクリュー管(VIOLAMO Screw-Top Vial SCC 50mL)に浸漬し、超音波処理を15分行ったものを孔径0.45μmのフィルター(GL クロマトディスク)にてろ過した。得られたサンプルを、95%エタノールで4倍希釈して分光光度計(312nm)にて吸光度(A)を測定した。
各サンプルについて、実塗布量を秤量し、95%エタノール20mLを入れたスクリュー管に浸漬し、超音波処理15分行ったものを孔径0.45μmのフィルター(GL クロマトディスク)にてろ過した。得られたサンプルを、95%エタノールで4倍希釈して分光光度計(312nm)にて吸光度(B)を測定した。残存率を数式1にて算出した。

[評価基準]
◎:60%以上の残存率
○:50%以上から60%未満の残存率
×:50%未満の残存率
【0041】
【数1】
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
表1の結果から明らかなように、実施例1~15の水中油型乳化日焼け止め化粧料では、経時安定性、保湿感、みずみずしさ、べたつき、および耐水性において全て良好なものであった。実施例1~4では成分Aについてその配合量を変更しても本発明の効果を奏することが確認できた。実施例5では成分Bについてその種類を問わず本発明の効果を満たすことがわかる。実施例6~8では、成分Bについてその配合量を変更しても本発明の効果を奏することが確認できた。また、実施例8及び9では成分Cが多く、実施例10では成分Cが少なくなっているが、当該配合量範囲では問題なく本発明の効果を奏する結果であった。実施例11~13では成分Dについてその種類を問わず本発明の効果を満たすこと、成分Dの各実施例範囲内では問題なく本発明の効果を奏することがわかる。実施例14及び15では、成分Cとして酸化亜鉛でなく酸化チタンを用いた場合や、酸化亜鉛と酸化チタンの併用であった場合も問題なく本発明の効果を奏することが確認できた。
【0045】
一方で表2の結果から、成分Aの類似成分である比較例1及び4では、調製直後から翌日にかけて分離した。また、比較例2及び3では、親水性界面活性剤を用いているが、経時安定性を優先させると使用感や耐水性が悪化し、親水性界面活性剤の量を減らすと、安定性が悪くなった。比較例5では、成分Bを油溶性でない紫外線吸収剤に置き換えているが、安定性及び耐水性において満足できる結果を得られなかった。比較例6では、成分Cの配合量が多く、翌日以降安定性が悪く、満足できる使用感も得られなかった。比較例7で成分Dを他の高分子化合物に置き換えたところ、経時安定性が悪く、べたつきも悪化した。さらに、比較例8の結果から明らかなように、成分Dの配合量が多すぎる場合は、みずみずしさがなく、べたつく傾向にあった。また、成分Dの配合量が少ない比較例9では、経時安定性が悪かった。加えて、成分Cを配合しなかった比較例10では、耐水性が悪化した。
【0046】
以下に本発明の水中油型乳化日焼け止め化粧料の処方例を挙げる。常法にて、各処方の組成物を作製した。いずれの処方においても本発明の効果を奏することが確認された。
【0047】
処方例1 (日焼け止めミルク)
配合成分 配合量(%)
水添ナタネ油アルコール 0.5
酸化亜鉛(イソステアリン酸処理/平均粒子径35nm) 3.2
イソステアリン酸 0.12
ポリヒドロキシステアリン酸 0.6
水添ポリイソブテン 1.7
ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 2
ジメチコン 1
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 2
メチルグルセス-10 0.5
エタノール 5
1,3-BG 6
グリセリン 0.1
キサンタンガム 0.1
シロキクラゲ多糖体 0.02
スフィンゴ糖脂質 6
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー 0.1
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.7
t-ブタノール 0.01
アクリレーツコポリマー 0.9
メタクリル酸メチルクロスポリマー 3
トコフェロール 0.05
ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.02
エチルヘキシルグリセリン 0.2
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル 0.003
セラミドNP 0.0001
セラミドNG 0.0001
セラミドEOP 0.0001
ジラウロイルグルタミン酸リシンNa 0.0001
キレート剤 適量
水 残量
合計 100
【0048】
処方例2 (日焼け止めクリーム)
配合成分 配合量(%)
スフィンゴ糖脂質 0.5
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8
オクトクリレン 1
(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル 1
1,3-BG 6
酸化亜鉛(ハイドロゲンジメチコン処理/平均粒子径50nm) 2
酸化亜鉛(ハイドロゲンジメチコン処理/平均粒子径300nm) 0.5
ハイドロゲンジメチコン 0.2
シクロペンタシロキサン 1.2
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.2
メタクリル酸メチルクロスポリマー 3
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 2
水添ポリイソブテン 0.5
水添ナタネ油アルコール 1
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー 0.6
ポリアクリルアミド 0.1
ポリアクリル酸Na 0.1
PEG-50水添ヒマシ油 0.6
エチルヘキシルグリセリン 0.2
PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン 0.2
ラウレス-7 0.06
(C13,14)イソパラフィン 0.24
ポリヒドロキシステアリン酸 0.1
キサンタンガム 0.12
t-ブタノール 0.02
ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.02
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル 0.003
グリセリン 3
トコフェロール 0.06
レチノール 0.0001
リン脂質 0.0001
ヒアルロン酸Na 0.001
ナイアシンアミド 1
香料 適量
水 残量
合計 100
【0049】
処方例3 (日焼け止め化粧下地)
配合成分 配合量(%)
スフィンゴ糖脂質 0.7
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8
オクトクリレン 1
(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル 1
1,3-BG 6
酸化チタン(メチルポリシロキサン処理/平均粒子径250nm) 1.5
酸化チタン(イソステアリン酸処理/平均粒子径10nm) 0.5
酸化亜鉛(ハイドロゲンジメチコン処理/平均粒子径50nm) 0.95
水酸化Al 0.11
イソステアリン酸 0.06
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.08
シクロペンタシロキサン 0.8
ステアロイルグルタミン酸2Na 0.016
ジメチコン 0.13
シクロメチコン 0.4
ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30 0.02
ポリヒドロキシステアリン酸 0.02
イソノナン酸イソトリデシル 0.5
ハイドロゲンジメチコン 0.03
メタクリル酸メチルクロスポリマー 1
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 2
水添ポリイソブテン 0.5
水添ナタネ油アルコール 1
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー 0.6
ポリアクリルアミド 0.1
ポリアクリル酸Na 0.1
PEG-50水添ヒマシ油 0.6
エチルヘキシルグリセリン 0.2
PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン 0.2
ラウレス-7 0.06
(C13,14)イソパラフィン 0.24
ポリヒドロキシステアリン酸 0.1
キサンタンガム 0.12
t-ブタノール 0.02
ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.02
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル 0.003
グリセリン 3
トコフェロール 0.06
レチノール 0.0001
リン脂質 0.0001
ヒアルロン酸Na 0.001
ナイアシンアミド 1
香料 適量
水 残量
合計 100