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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072321
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/32 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B65D19/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183026
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】590000477
【氏名又は名称】日本プラパレット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】市村 拓弥
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA05
3E063CA03
3E063DA05
3E063EE03
3E063FF01
(57)【要約】
【課題】ICタグを容易に取り付け可能なパレットを提供する。
【解決手段】ICタグ100を収容する収容部30を備えるパレット1であって、収容部30は、パレット1の外面に位置するタグ挿入口31と、パレット1の内部において、収容位置まで挿入されたICタグ100を保持する保持部35と、を備え、保持部35は、収容位置において、ICタグ100の第1面101を押圧する中央突片60と、ICタグ100の第2面102を押圧する第2案内片42と、タグ挿入口31から収容位置に向けて挿入されるICタグ100の移動を許容し、かつ、収容位置からタグ挿入口31に向かうICタグ100の移動を規制する抜け止め部50と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のICタグを収容する収容部を備えるパレットであって、
前記収容部は、
前記パレットの外面に位置し、前記ICタグを挿入可能な開口と、
前記パレットの内部に位置し、前記開口から前記収容部において前記ICタグが収容される収容位置まで挿入された前記ICタグを保持する保持部と、を備え、
前記保持部は、
前記収容位置において、前記ICタグの第1面を押圧する第1押圧面を備えた凸条である第1押圧片と、
前記収容位置において、前記ICタグの前記第1面と反対の第2面を押圧する第2押圧面を備えた凸条である第2押圧片と、
前記開口から前記収容位置に向けて挿入される前記ICタグの移動を許容し、かつ、前記収容位置から前記開口に向かう前記ICタグの移動を規制する抜け止め片と、を備える
パレット。
【請求項2】
前記パレットは、上側部材と下側部材とが突き合わされて構成され、
前記収容部は、前記上側部材と前記下側部材とに跨る凹部であり、
前記開口は、前記上側部材及び前記下側部材のうち一方の外面に設けられ、
前記保持部は、前記上側部材及び前記下側部材のうち他方に設けられる
請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記抜け止め片は、前記開口から前記収容位置に向かう前記ICタグの進入路を塞ぐ弾性片である
請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
前記収容部は、前記上側部材及び前記下側部材のうち前記開口が設けられた部材に位置する誘い込み部をさらに備え、
前記誘い込み部は、前記ICタグを前記保持部に案内する
請求項2または3に記載のパレット。
【請求項5】
前記第1押圧片は、前記第1押圧面における前記開口側の端部から、前記第1押圧面と前記第2押圧面とが前記ICタグを押圧する押圧軸に沿う前記第1押圧片と前記第2押圧片との距離を大きくするように傾斜する傾斜面を備える
請求項1ないし3のうち何れか一項に記載のパレット。
【請求項6】
前記保持部は、前記押圧軸に沿う方向における前記ICタグの可動域を規定する案内部を備え、
前記案内部は、前記押圧軸に沿う方向において、前記第1面の可動域を規定する第1案内面と、前記第2面の可動域を規定する第2案内面と、を備え、
前記第2案内面は、前記第2押圧片が備える前記第2押圧面であって、
前記第1案内面における前記開口側の端部及び前記第2押圧面における前記開口側の端部は、前記傾斜面における前記開口側の端部よりも前記開口の近くに位置し、
前記第1案内面と前記第2押圧面との前記押圧軸に沿う距離は、前記第1押圧面と前記第2押圧面との前記押圧軸に沿う距離よりも大きく、前記傾斜面における前記開口側の端部と前記第2押圧面との前記押圧軸に沿う距離よりも小さい
請求項5に記載のパレット。
【請求項7】
前記保持部は、複数の前記第2押圧片を備え、
前記第1押圧片は、前記ICタグの挿入方向、及び、前記第1押圧面と前記第2押圧面とが前記ICタグを押圧する押圧軸のそれぞれと交差する一次元方向において、隣り合う2つの前記第2押圧片の間に位置する
請求項1ないし3のうち何れか一項に記載のパレット。
【請求項8】
前記開口は、前記パレットにおいて物品が載置される載荷面に設けられる
請求項1ないし3のうち何れか一項に記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグを収容可能なパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
物品の運搬や保管などに用いられるパレットには、パレット自体の管理やパレットに載置された物品の管理のためのICタグが取り付けられる。ICタグは、例えば、パレットまたはパレットに載置された物品を特定可能な情報を記憶する。ICタグに記憶された情報は、例えば、管理装置と接続されたリーダライタを用いた無線通信によって読み取られる。例えば、特許文献1のパレットは、ICタグを取り付けるために、ICタグを取り付けたタグホルダをパレットに収容する収容部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-048659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タグホルダを用いてICタグをパレットに取り付ける場合、ICタグをタグホルダに取り付けた後、さらに、タグホルダをパレットに取り付ける作業が必要となる。そこで、ICタグのパレットへの取付け作業の更なる簡略化が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのパレットは、板状のICタグを収容する収容部を備えるパレットであって、前記収容部は、前記パレットの外面に位置し、前記ICタグを挿入可能な開口と、前記パレットの内部に位置し、前記開口から前記収容部において前記ICタグが収容される収容位置まで挿入された前記ICタグを保持する保持部と、を備え、前記保持部は、前記収容位置において、前記ICタグの第1面を押圧する第1押圧面を備えた凸条である第1押圧片と、前記収容位置において、前記ICタグの前記第1面と反対の第2面を押圧する第2押圧面を備えた凸条である第2押圧片と、前記開口から前記収容位置に向けて挿入される前記ICタグの移動を許容し、かつ、前記収容位置から前記開口に向かう前記ICタグの移動を規制する抜け止め片と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、ICタグを開口から収容位置に向けて挿入することで、ICタグが第1押圧片と第2押圧片とによって挟み込むように押圧される。したがって、タグホルダを使用せずともICタグをパレットに取り付けることができるため、パレットへのICタグの取付けに要する作業を簡略化できる。保持部が抜け止め片を備えることで、仮にICタグが第1押圧片及び第2押圧片から外れた場合でも、ICタグが開口から脱落することを防止できる。また、ICタグを挟み込む第1押圧片と第2押圧片とが凸条であることで、例えば、複雑なばね形状などによってICタグを押圧保持する構成と比較して、射出成形によるパレットの製造が容易となる。
【0007】
上記パレットにおいて、前記パレットは、上側部材と下側部材とが突き合わされて構成され、前記収容部は、前記上側部材と前記下側部材とに跨る凹部であり、前記開口は、前記上側部材及び前記下側部材のうち一方の外面に設けられ、前記保持部は、前記上側部材及び前記下側部材のうち他方に設けられることが好ましい。上記構成によれば、抜け止め片が上側部材及び下側部材のうち開口が設けられた部材に位置する構成よりも、第1押圧片と第2押圧片とに保持されたICタグと抜け止め片との距離をより近づけることが可能となる。これにより、仮にICタグが第1押圧片及び第2押圧片から外れた場合に、ICタグの移動をより狭い範囲で規制できるため、ICタグのがたつきを好適に抑制できる。
【0008】
上記パレットにおいて、前記抜け止め片は、前記開口から前記収容位置に向かう前記ICタグの進入路を塞ぐ弾性片であることが好ましい。上記構成によれば、開口から挿入されたICタグが弾性片を押圧することで弾性片が変位するため、ICタグを収容位置まで挿入できる。そして、ICタグが弾性片を乗り越えると、弾性片が弾性復帰することで、収容位置から開口に向かうICタグの移動を規制できる。
【0009】
上記パレットにおいて、前記収容部は、前記上側部材及び前記下側部材のうち前記開口が設けられた部材に位置する誘い込み部をさらに備え、前記誘い込み部は、前記ICタグを前記保持部に案内することが好ましい。上記構成によれば、開口から収容位置に向けて挿入されたICタグは、誘い込み部を通過する際に保持部に向けて案内される。したがって、開口から収容位置に向けて挿入されたICタグを保持部に向けて円滑に挿入することができる。
【0010】
上記パレットにおいて、前記第1押圧片は、前記第1押圧面における前記開口側の端部から、前記第1押圧面と前記第2押圧面とが前記ICタグを押圧する押圧軸に沿う前記第1押圧片と前記第2押圧片との距離を大きくするように傾斜する傾斜面を備えることが好ましい。上記構成によれば、傾斜面によって、ICタグを第1押圧面と第2押圧面との間に挿入し易くできる。
【0011】
上記パレットにおいて、前記保持部は、前記押圧軸に沿う方向における前記ICタグの可動域を規定する案内部を備え、前記案内部は、前記押圧軸に沿う方向において、前記第1面の可動域を規定する第1案内面と、前記第2面の可動域を規定する第2案内面と、を備え、前記第2案内面は、前記第2押圧片が備える前記第2押圧面であって、前記第1案内面における前記開口側の端部及び前記第2押圧面における前記開口側の端部は、前記傾斜面における前記開口側の端部よりも前記開口の近くに位置し、前記第1案内面と前記第2押圧面との前記押圧軸に沿う距離は、前記第1押圧面と前記第2押圧面との前記押圧軸に沿う距離よりも大きく、前記傾斜面における前記開口側の端部と前記第2押圧面との前記押圧軸に沿う距離よりも小さいことが好ましい。上記構成によれば、開口から収容位置に向けて挿入されたICタグは、第1案内面と第2案内面である第2押圧面とによって押圧軸に沿う方向の可動域が規定される。さらに挿入が進むと、ICタグが第1案内面と第2案内面である第2押圧面とによって案内される状態から、ICタグが傾斜面によって第1押圧面と第2押圧面との間に案内される状態に円滑に移行する。したがって、開口から挿入されたICタグを第1押圧面と第2押圧面との間に円滑に挿入することができる。
【0012】
上記パレットにおいて、前記保持部は、複数の前記第2押圧片を備え、前記第1押圧片は、前記ICタグの挿入方向、及び、前記第1押圧面と前記第2押圧面とが前記ICタグを押圧する押圧軸のそれぞれと交差する一次元方向において、隣り合う2つの前記第2押圧片の間に位置することが好ましい。上記構成によれば、ICタグの挿入方向、及び、押圧軸のそれぞれと交差する一次元方向において、第1押圧片が2つの第2押圧片の間に位置することで、第1押圧片と第2押圧片とによってICタグを安定した状態で保持できる。また、仮に、ICタグの挿入方向及び押圧軸と交差する一次元方向において、第1押圧片と第2押圧片の一方とが同じ位置に設けられる構成の場合では、第1押圧片と第2押圧片の一方とが対向する構成となる。この場合、ICタグの厚さが小さいと、第1押圧片と第2押圧片とのクリアランスも小さくする必要がある。そのため、パレットの製造において第1押圧片及び第2押圧片を区画する金型パーツの寸法が小さくなることから、当該金型パーツが破損し易くなる。この点、ICタグの挿入方向と交差する一次元方向において第1押圧片が2つの第2押圧片の間に位置する構成であれば、当該一次元方向において第1押圧片の位置と第2押圧片の位置とがずれた状態となる。したがって、パレットの製造において第1押圧片及び第2押圧片を区画する金型パーツの寸法を大きくすることができるため、当該金型パーツを破損しにくくすることができる。
【0013】
上記パレットにおいて、前記開口は、前記パレットにおいて物品が載置される載荷面に設けられることが好ましい。上記構成によれば、開口が載荷面に設けられることで、ICタグが上方から下方に向けて挿入される。したがって、パレットに収容されたICタグに、パレットの積み下ろし時の衝撃が加わった場合でも、ICタグが収容位置から外れにくくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ICタグをパレットに容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、パレットの斜視図である。
図2図2は、パレットに設けられたタグ挿入口を拡大して示す上面図である。
図3図3は、パレットに設けられた収容部を拡大して示す下面図である。
図4図4は、図2に示す切断線から見た収容部の断面図である。
図5図5は、図4に示す切断線から見た図であって、保持部を拡大して示す断面図である。
図6図6は、図2に示す切断線から見た図であって、ICタグが挿入される際の保持部の構成を拡大して示す断面図である。
図7図7は、図2に示す切断線から見た図であって、ICタグが収容位置まで挿入された状態の保持部の構成を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[パレット]
以下、パレットの一実施形態について図1図7を参照して説明する。なお、図1図7に示すX軸、Y軸、及び、Z軸は、互いに直交する軸である。
【0017】
図1に示すように、パレット1は、四方差しの片面パレットである。パレット1は、パレット1の上部を構成する上側部材10と、パレット1の下部を構成する下側部材20とを備える。パレット1は、上側部材10と下側部材20とが、Z軸に沿って重なった状態で溶着されて略直方体状に構成される。
【0018】
上側部材10は、射出成形の一例であるガスアシスト成形法によって製造される部材である。上側部材10を構成する合成樹脂の一例は、ポリプロピレンである。上側部材10は、矩形板状を有するデッキボード11を備える。デッキボード11の外面は、物品が載置される載荷面11Aである。
【0019】
下側部材20は、射出成形の一例であるガスアシスト成形法によって製造される部材である。下側部材20を構成する合成樹脂の一例は、ポリプロピレンである。下側部材20は、矩形板状を有する接地ボード21を備える。接地ボード21の外面は、パレット1が載置される面と対向する接地面である。
【0020】
パレット1は、デッキボード11と接地ボード21とを繋ぐ9つの桁2を備える。各桁2は、上側部材10が備える上側桁部12と、下側部材20が備える下側桁部22とによって構成される。上側桁部12は、デッキボード11から接地ボード21に向かってZ軸に沿って延びる部分である。下側桁部22は、接地ボード21からデッキボード11に向かってZ軸に沿って延びる部分である。上側部材10及び下側部材20は、対向する上側桁部12と下側桁部22とが相互に溶着されてパレット1を構成する。
【0021】
9つの桁2のうちパレット1の四角に位置する4つの桁2は、角桁2Aである。9つの桁2のうちX軸に沿う方向において2つの角桁2Aの間に位置する2つの桁2は、第1中間桁2Bである。9つの桁2のうちY軸に沿う方向において2つの角桁2Aの間に位置する2つの桁2は、第2中間桁2Cである。9つの桁2のうちX軸に沿う方向において2つの第2中間桁2Cの間に位置し、かつY軸に沿う方向において2つの第2中間桁2Cの間に位置する1つの桁2は、中央桁(非図示)である。中央桁は、パレット1において、X軸に沿う方向における中央、かつY軸に沿う方向における中央に位置する。
【0022】
また、パレット1は、Y軸と直交する2つの側面の各々において、2つの角桁2Aの間に、第1中間桁2Bによって区画される2つの第1差込口3Aを備える。すなわち、パレット1は、4つの第1差込口3Aを備える。同様に、パレット1は、X軸と直交する2つの側面の各々において、2つの角桁2Aの間に、第2中間桁2Cによって区画される2つの第2差込口3Bを備える。すなわち、パレット1は、4つの第2差込口3Bを備える。第1差込口3A及び第2差込口3Bは、パレット1を搬送する際にフォークを挿入するための開口である。
【0023】
載荷面11Aは、Z軸と直交する面である。載荷面11Aには、ゴム製のグロメット13や、滑り止めテープ14が設けられる。グロメット13及び滑り止めテープ14は、載荷面11Aに載置された物品の位置ずれを抑制する。なお、載荷面11Aに設けられるグロメット13及び滑り止めテープ14の数、位置は任意に決定される。また、載荷面11Aにグロメット13及び滑り止めテープ14を設けない構成であってもよい。
【0024】
パレット1は、ICタグ100(図4参照)を収容する収容部30を備える。収容部30は、X軸に沿う方向の中央付近、かつ、Y軸に沿う方向の中央付近に位置する。収容部30は、載荷面11Aから下側部材20に向かって窪んだ凹部である。収容部30は、ICタグ100が挿入される開口であるタグ挿入口31を備える。タグ挿入口31は、一例として、載荷面11Aの中央付近、特に、中央桁の上方に位置している。
【0025】
[ICタグ]
ここで、図4を参照してパレット1に収容されるICタグ100について説明する。
図4に示すように、ICタグ100は、矩形板状のハウジングと、ハウジングに収容されるICチップ及び小型のアンテナとを備える。ICタグ100は、無線電波を利用して非接触でICチップの中のデータを読み書きするRFID(Radio Frequency Identification)技術を利用したものである。ICチップには、パレット自体の管理やパレットに載置された物品の管理のための管理情報が格納される。ICタグ100は、一例として、電源を持たないパッシブ型である。ICタグ100は、リーダライタが発振する無線電波をアンテナで受信することによって、管理情報の書き込みや読み出し等の通信が行われる。なお、ICタグ100は、電源が内蔵されたアクティブ型であってもよい。
【0026】
ICタグ100が備えるハウジングは、ICタグ100の外形を構成する。ハウジングは、第1面101と、第1面101とは反対の第2面102とを備える。第1面101と第2面102との間の距離は、ハウジングの厚さに相当する。ハウジングは、一例として、0.5mm以上1.0mm以下の厚さを有する。また、第1面101及び第2面102は、1辺の長さが20mm以上80mm以下の正方形状を有する。なお、第1面101または第2面102の何れか一辺の寸法がICタグ100の幅に相当する。
【0027】
次に、図2~5を参照して収容部30の各部について説明する。
[タグ挿入口]
図2に示すように、収容部30が備えるタグ挿入口31は、開口中央部31Aと、2つの開口端部31Bとを備える。開口中央部31Aは、タグ挿入口31の一部分である。開口端部31Bは、タグ挿入口31の一部分であって、開口中央部31AにおけるY軸に沿う方向の各端に1つずつ位置する。タグ挿入口31は、開口中央部31Aと、2つの開口端部31Bとによって、ICタグ100を挿入可能な大きさに構成される。
【0028】
X軸に沿う方向において、開口中央部31Aが区画する開口幅は、開口端部31Bが区画する開口幅よりも大きい。X軸に沿う方向において、開口端部31Bが区画する開口幅は、ICタグ100の厚さよりも大きい。Y軸に沿う方向において、開口中央部31Aが区画する開口幅は、ICタグ100の幅よりも小さい。Y軸に沿う方向において、2つの開口端部31Bが区画するタグ挿入口31の開口幅は、ICタグ100の幅よりも大きい。
【0029】
[収容部の内部構造]
図4に示すように、収容部30は、上側部材10の載荷面11Aに位置するタグ挿入口31から下側部材20に跨る凹部である。収容部30は、部分的に上側部材10及び下側部材20を貫通しており、かつ、ICタグ100が抜け落ちないように下側部材20によって部分的に非貫通とされる。
【0030】
収容部30は、上述したタグ挿入口31の他、誘い込み部32と、保持部35とを備える。誘い込み部32は、収容部30において上側部材10中に構成された部分である。保持部35は、収容部30において下側部材20中に構成された部分である。ICタグ100は、タグ挿入口31から誘い込み部32を通じて保持部35にまで挿入される。ICタグ100が挿入される挿入方向Dは、一例として、Z軸に沿う方向であって、上方から下方に向かう方向である。
【0031】
図3に示すように、下側部材20は、収容部30が設けられる位置の下方において、第1貫通孔23と、2つの第2貫通孔24とを備える。第1貫通孔23及び第2貫通孔24は、接地ボード21の外面から収容部30まで貫通する。第1貫通孔23は、下側部材20において、収容部30のY軸に沿う方向における中央に位置する。第2貫通孔24は、Y軸に沿う方向において、第1貫通孔23の両側に1つずつ位置する。第1貫通孔23及び第2貫通孔24を設けることで、収容部30に入り込んだ水や異物を排出できる。また、第2貫通孔24は、収容部30に収容されたICタグ100を視認可能な大きさに構成される。これにより、収容部30の内部におけるICタグ100の有無を、上方からだけではなく下方からも確認できる。
【0032】
[誘い込み部]
図4に示すように、誘い込み部32は、第1内面32Aと、第2内面32Bとを備える。第1内面32A及び第2内面32Bは、誘い込み部32において収容部30を区画する互いに対向した面であって、X軸と直交する面である。第1内面32Aは、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100の第1面101と対向する面である。第2内面32Bは、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100の第2面102と対向する面である。
【0033】
図2に示すように、誘い込み部32は、2つの第1誘い込み片33と、2つの第2誘い込み片34とを備える。2つの第1誘い込み片33は、Y軸に沿う方向において、開口中央部31Aと2つの開口端部31Bとの境界部分のそれぞれに1つずつ設けられる。2つの第2誘い込み片34は、Y軸に沿う方向において、2つの第1誘い込み片33の間に設けられる。
【0034】
図4に示すように、第1誘い込み片33は、X軸に沿って第1内面32Aから第2内面32Bに向かって突出し、かつ、Z軸に沿ってタグ挿入口31から上側部材10の下端部近傍まで延びる凸条である。第1誘い込み片33は、第1誘い込み面33Aを備える。第1誘い込み面33Aは、第2内面32Bと対向する面であって、タグ挿入口31側の上端部から挿入方向Dに進むにつれて第2内面32Bに近づくように傾斜する。
【0035】
第2誘い込み片34は、X軸に沿って第2内面32Bから第1内面32Aに向かって突出し、かつ、Z軸に沿ってタグ挿入口31から上側部材10の下端部近傍まで延びる凸条である。第2誘い込み片34は、第2誘い込み面34Aを備える。第2誘い込み面34Aは、第1内面32Aと対向する面であって、タグ挿入口31側の上端部から挿入方向Dに進むにつれて第1内面32Aに近づくように傾斜する。
【0036】
X軸に沿う方向において、第1誘い込み面33Aと第2誘い込み面34Aとの距離は、挿入方向Dに進むにつれて小さくなる。X軸に沿う方向における第1誘い込み面33Aと第2誘い込み面34Aとの距離は、その距離が最も小さくなる上側部材10の下端部近傍においても、ICタグ100の厚さと同等もしくはそれよりも大きく構成される。第1誘い込み片33と第2誘い込み片34とが凸条であることで、これらが複雑な形状を有する構成と比較して、射出成形による上側部材10の製造が容易となる。
【0037】
[保持部]
図4に示すように、保持部35は、第3内面35Aと、第4内面35Bとを備える。第3内面35A及び第4内面35Bは、保持部35において収容部30を区画する互いに対向した面であって、X軸と直交する面である。第3内面35Aは、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100の第1面101と対向する面である。第4内面35Bは、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100の第2面102と対向する面である。なお、第3内面35Aは、第1内面32Aとの間に段差が設けられてもよいし、第1内面32Aと面一の構成であってもよい。同様に、第4内面35Bは、第2内面32Bとの間に段差が設けられてもよいし、第2内面32Bと面一の構成であってもよい。
【0038】
図5に示すように、保持部35は、2つの内壁36と、案内部40と、抜け止め部50と、中央突片60とを備える。2つの内壁36は、下側部材20において、下側部材20と上側部材10との境界近傍に設けられる。2つの内壁36は、保持部35におけるY軸に沿う方向の両端に1つずつ設けられる。
【0039】
各内壁36は、第1部分36Aと、第2部分36Bと、第3部分36Cとを備える。第1部分36Aは、第3内面35Aから第4内面35Bに向けて突き出た部分であって、後述する抜け止め部50が備える第1抜け止め片51の基端が位置する部分である。第2部分36Bは、第4内面35Bから第3内面35Aに向けて突き出た部分であって、後述する抜け止め部50が備える第2抜け止め片52の基端が位置する部分である。第3部分36Cは、第3内面35Aと、第4内面35Bと、保持部35において収容部30を区画する面のうちY軸と直交する1つの面との3つの面に接続される部分である。
【0040】
各第3部分36Cは、Y軸と直交し、かつ、収容部30の中央に面する側面36Dを備える。2つの側面36Dは、互いに対向している。2つの側面36Dの距離は、ICタグ100の幅よりも大きく構成される。2つの側面36Dは、保持部35に進入したICタグ100のY軸に沿う可動域を規定する。
【0041】
[案内部]
図5に示すように、案内部40は、2つの第1案内片41と、2つの第2案内片42とを備える。第1案内片41は、Y軸に沿う方向において、各第1部分36Aにおける収容部30の中央側の端部に1つずつ位置する。第2案内片42は、Y軸に沿う方向において、各第2部分36Bにおける収容部30の中央側の端部に1つずつ位置する。2つの第2案内片42は、Y軸に沿う方向において、2つの第1案内片41よりも収容部30の中央側に位置する。
【0042】
図4に示すように、第1案内片41は、X軸に沿って第3内面35Aから第4内面35Bに向かって突出し、かつ、Z軸に沿って内壁36の位置から下側部材20の下端部まで延びる凸条である。第1案内片41は、第1案内面41Aと、第1傾斜面41Bとを備える。第1案内面41Aは、第4内面35Bと対向する面であって、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100の第1面101と対向する面である。第1傾斜面41Bは、第1案内面41Aの上端部からタグ挿入口31に向かって、X軸に沿う方向における第1案内片41と第2案内片42との距離を大きくするように傾斜する面である。
【0043】
第2案内片42は、X軸に沿って第4内面35Bから第3内面35Aに向かって突出した凸条である。第2案内片42は、Z軸に沿って内壁36の位置から下側部材20の下端部まで延び、かつ、下側部材20の下端部において、X軸に沿って第3内面35Aまで延びる略L字状を有する。
【0044】
第2案内片42は、第2案内面42Aと、第2傾斜面42Bと、突き当て面42Cとを備える。第2案内面42Aは、内壁36の位置から下側部材20の下端部まで延びる部分のうち、第3内面35Aと対向する面である。第2案内面42Aは、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100の第2面102と対向する面である。第2案内面42Aは、X軸に沿う方向における第1案内面41Aとの距離が挿入方向Dに進むにつれて小さくなるようにわずかに傾斜している。第2傾斜面42Bは、第2案内面42Aの上端部からタグ挿入口31に向かって、X軸に沿う方向における第1案内片41と第2案内片42との距離を大きくするように傾斜する面である。突き当て面42Cは、下側部材20の下端部において第3内面35Aに向かって延びる部分のうち、タグ挿入口31に向かう面である。タグ挿入口31から挿入されたICタグ100の挿入量は、ICタグ100が突き当て面42Cに当接したときに最大となる。
【0045】
案内部40は、第1案内面41Aと第2案内面42Aとによって、保持部35に進入したICタグ100のX軸に沿う方向における可動域を規定する。案内部40では、第1案内面41Aと第2案内面42Aとによって、ICタグ100を第1案内面41Aと第2案内面42Aとの間に挿入し易くしている。
【0046】
[抜け止め部]
図5に示すように、抜け止め部50は、2つの第1抜け止め片51と、2つの第2抜け止め片52とを備える。第1抜け止め片51は、各第1部分36Aに対して1つずつ設けられる板状の弾性片である。第1抜け止め片51は、第1部分36Aにおける第4内面35Bと対向する面を基端として、第4内面35Bに向かって突出する。第1抜け止め片51は、その先端に第3傾斜面51Aを備える。第3傾斜面51Aは、タグ挿入口31側に位置する面であって、第1抜け止め片51の先端に向けて第1抜け止め片51の厚さを減少させるように傾斜する面である。
【0047】
第2抜け止め片52は、各第2部分36Bに対して1つずつ設けられる板状の弾性片である。第2抜け止め片52は、第2部分36Bにおける第3内面35Aと対向する面を基端として、第3内面35Aに向かって突出する。第2抜け止め片52は、その先端に第4傾斜面52Aを備える。第4傾斜面52Aは、タグ挿入口31側に位置する面であって、第2抜け止め片52の先端に向けて第2抜け止め片52の厚さを減少させるように傾斜する面である。
【0048】
Y軸に沿う方向において、第1案内片41と側面36Dとの間には、第1抜け止め片51と第2抜け止め片52とが1つずつ位置する。また、第1抜け止め片51は、Y軸に沿う方向において、第2抜け止め片52よりも側面36Dの近くに位置する。すなわち、抜け止め部50は、Y軸に沿う方向において、案内部40及び中央突片60とは異なる位置に設けられる。
【0049】
第1抜け止め片51の先端は、X軸に沿う方向において、第1案内面41Aと第2案内面42Aとの間に位置する。第2抜け止め片52の先端は、X軸に沿う方向において、第1案内面41Aと第2案内面42Aとの間であって、第1抜け止め片51の先端と同じ位置に位置する。したがって、抜け止め部50は、第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52によって、タグ挿入口31から保持部35の奥に向かうICタグ100の進入路を塞ぐ。なお、第2抜け止め片52の先端は、X軸に沿う方向における第1抜け止め片51の先端と第2抜け止め片52の先端との距離がICタグ100の厚さよりも小さければ、第1抜け止め片51の先端と同じ位置でなくてもよい。例えば、X軸に沿う方向において、第2抜け止め片52の先端が第1抜け止め片51の先端よりも第3内面35A及び第4内面35Bの何れか一方の側に偏倚していてもよい。
【0050】
第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52は、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100を介して挿入方向Dに押圧された際に、挿入方向Dに変位可能な厚さを有する。第3傾斜面51A及び第4傾斜面52Aを設けることで、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100によって、第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52を挿入方向に押圧し易くすることができる。
【0051】
[中央突片]
図5に示すように、中央突片60は、Y軸に沿う方向において、収容部30の中央であって、2つの第2案内片42の間に位置する。中央突片60は、第3内面35Aから第4内面35Bに向かって突出した凸条である。中央突片60の先端は、X軸に沿う方向において、第1案内面41Aと第2案内面42Aとの間に位置する。
【0052】
図4に示すように、中央突片60は、Z軸に沿って下側部材20の中央近傍から下側部材20の下端部まで延びる。中央突片60は、押圧面60Aと、第5傾斜面60Bとを備える。押圧面60Aは、第4内面35Bと対向する面である。押圧面60Aは、X軸に沿う方向における第2案内面42Aとの距離が挿入方向Dに進むにつれて小さくなるようにわずかに傾斜している。押圧面60Aは、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100の第1面101と対向する。
【0053】
第2案内面42Aと押圧面60AとのX軸に沿う距離は、第1案内面41Aと第2案内面42AとのX軸に沿う距離よりも小さい。第2案内面42Aと押圧面60AとのX軸に沿う距離は、ICタグ100の厚さよりも小さい。
【0054】
第5傾斜面60Bは、押圧面60Aの上端部からタグ挿入口31に向かって、X軸に沿う方向における中央突片60と第2案内片42との距離を大きくするように傾斜する面である。第1案内面41Aと第2案内面42AとのX軸に沿う距離は、第5傾斜面60Bにおけるタグ挿入口31側の端部と第2案内面42AとのX軸に沿う距離よりも小さい。また、第1案内面41Aにおけるタグ挿入口31側の端部、及び、第2案内面42Aにおけるタグ挿入口31側の端部は、何れも第5傾斜面60Bにおけるタグ挿入口31側の端部よりもタグ挿入口31の近くに位置する。
【0055】
保持部35において、第1案内片41、第2案内片42、及び中央突片60が凸条であることで、これらが複雑な形状を有する構成と比較して、射出成形による下側部材20の製造が容易となる。特に、第2案内片42、及び中央突片60が凸条であるため、例えば、ばね形状のような複雑な形状によってICタグ100を押圧保持する構成と比較して、射出成形による下側部材20の製造が容易となる。
【0056】
[ICタグと保持部との関係]
タグ挿入口31から挿入されたICタグ100は、押圧面60Aによって第1面101が押圧され、かつ、2つの第2案内面42Aによって第2面102が押圧される。換言すると、ICタグ100は、押圧面60Aと2つの第2案内面42Aとによって、X軸に沿って両側から挟み込まれるように押圧されることで、保持部35内に保持される。すなわち、X軸は、押圧面60A及び2つの第2案内面42AがICタグ100を押圧する方向に沿う押圧軸である。また、Z軸に沿う方向において、ICタグ100が押圧面60Aと2つの第2案内面42Aとによって挟み込まれて保持される位置が、収容部30においてICタグ100が収容される収容位置である。
【0057】
また、Y軸に沿う方向において、押圧面60Aが第1面101を押圧する位置は、2つの第2案内面42Aが第2面102を押圧する位置の間となる。これにより、押圧面60Aと第2案内面42AとによってICタグ100を安定した状態で保持できる。
【0058】
なお、押圧面60Aは、ICタグ100の第1面101を押圧する第1押圧面の一例である。また、中央突片60は、第1押圧面を備えた第1押圧片の一例である。そして、第2案内面42Aは、ICタグ100の第2面102を押圧する第2押圧面の一例である。また、第2案内片42は、第2押圧面を備えた第2押圧片の一例である。
【0059】
また、保持部35において、第2案内面42Aと押圧面60AとのX軸に沿う距離がICタグ100の厚さよりも小さい。仮に、Y軸に沿う方向において、第2案内片42の一方と中央突片60とが同じ位置に設けられる構成の場合では、一方の第2案内面42Aと押圧面60Aとが対向する構成となる。この場合、ICタグ100の厚さが小さいと、第2案内片42と中央突片60とのクリアランスも小さくする必要がある。すると、パレット1の製造において、第2案内片42と中央突片60とを区画する金型パーツの寸法が小さくなることから、当該金型パーツが破損し易くなる。
【0060】
この点、保持部35では、Y軸に沿う方向、すなわち、挿入方向D及び押圧軸と交差する一次元方向において、中央突片60が2つの第2案内片42の間に位置する構成である。これにより、Y軸に沿う方向において、中央突片60の位置と2つの第2案内片42の位置とがずれた状態となる。したがって、パレット1の製造において、中央突片及び第2案内片42を区画する金型パーツの寸法を大きくすることができるため、当該金型パーツを破損しにくくすることができる。
【0061】
[実施形態の作用]
以下、図4図6、及び、図7を参照して、パレット1の作用としてICタグ100の取付方法について説明する。
【0062】
図4に示すように、ICタグ100をパレット1に収容する際には、まず、ICタグ100をタグ挿入口31から収容部30の内部に向けて挿入する。タグ挿入口31から誘い込み部32に挿入されたICタグ100は、第1誘い込み面33Aと第2誘い込み面34Aとによって、X軸に沿う方向の位置が案内されながら挿入方向Dに進む。誘い込み部32の下端、すなわち、上側部材10の下端に達したICタグ100は、X軸に沿う方向において、第1案内面41Aと第2案内面42Aとの間に位置する。この状態で、ICタグ100が誘い込み部32から保持部35に向けてさらに挿入される。
【0063】
図6に示すように、保持部35に挿入されたICタグ100は、第1傾斜面41Bと第2傾斜面42Bとの間を通じて、第1案内面41Aと第2案内面42Aとの間の位置に達する。このとき、ICタグ100は、第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52を押圧して挿入方向Dに変位させる。第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52が挿入方向Dに変位することで、ICタグ100の収容位置への移動が許容される。
【0064】
そして、保持部35に挿入されたICタグ100は、第1案内面41Aと第2案内面42Aとによって、X軸に沿う方向の位置が案内されながら第5傾斜面60Bの位置まで挿入される。さらに、ICタグ100は、第5傾斜面60Bによって案内されながら、押圧面60Aと第2案内面42Aとの間に圧入される。
【0065】
このとき、第1案内面41Aと第2案内面42AとのX軸に沿う距離は、第5傾斜面60Bにおけるタグ挿入口31側の端部と第2案内面42AとのX軸に沿う距離よりも小さい構成である。そのため、ICタグ100が第1案内面41Aと第2案内面42Aとによって案内される状態から、第2案内面42Aと第5傾斜面60Bとによって案内される状態に円滑に移行する。したがって、ICタグ100を押圧面60Aと第2案内面42Aとの間に円滑に圧入できる。
【0066】
図7に示すように、収容位置まで挿入されたICタグ100は、押圧面60Aと第2案内面42Aとの面接触によって、押圧軸に沿って挟み込まれることで収容位置に保持される。このとき、中央突片60及び第2案内片42は、ICタグ100が圧入されても元の形状から大きく変形せず撓むことなくICタグ100を保持する。
【0067】
なお、収容位置は、ICタグ100が押圧面60Aと第2案内面42Aとによって挟み込まれることで保持される位置であればよく、ICタグ100を突き当て面42Cと当接する位置まで挿入しなくてもよい。
【0068】
また、ICタグ100が収容位置まで挿入された状態では、第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52がICタグ100による押圧が解除されて元の位置に弾性復帰する。したがって、仮にICタグ100が押圧面60Aと第2案内面42Aとの間から外れた場合であっても、抜け止め部50によって、収容位置からタグ挿入口31に向かうICタグ100の移動が規制される。抜け止め部50が下側部材20に位置することで、ICタグ100の移動をより狭い範囲で規制できるため、ICタグ100のがたつきを好適に抑制できる。
【0069】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)保持部35において、ICタグ100が第1押圧面の一例である押圧面60Aと、第2押圧面の一例である第2案内面42Aとによって挟み込まれて保持部35内に保持される。したがって、タグホルダを使用せずともICタグ100をパレット1に取り付けることができるため、パレット1へのICタグ100の取付けに要する作業を簡略化できる。
【0070】
(2)第2案内片42と中央突片60とが凸条であることで、例えば、複雑なばね形状などによってICタグ100を押圧保持する構成と比較して、射出成形によるパレット1の製造が容易となる。
【0071】
(3)保持部35が抜け止め部50を備えることで、仮にICタグ100が押圧面60Aと第2案内面42Aとの間から外れた場合でも、ICタグ100がタグ挿入口31から脱落することを防止できる。
【0072】
(4)抜け止め部50が下側部材20に位置することで、抜け止め部50が上側部材10に位置する構成よりも抜け止め部50が収容位置に近い構成となる。これにより、仮にICタグ100が押圧面60Aと第2案内面42Aとの間から外れた場合であっても、ICタグ100の移動をより狭い範囲で規制できるため、ICタグ100のがたつきを好適に抑制できる。
【0073】
(5)第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52は、タグ挿入口31から挿入されたICタグ100によって押圧されて変位するため、ICタグ100を収容位置まで挿入できる。そして、ICタグ100が第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52を乗り越えると、第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52が弾性復帰することで、収容位置からタグ挿入口31に向かうICタグ100の移動を規制できる。
【0074】
(6)タグ挿入口31から収容位置に向けて挿入されたICタグ100は、上側部材10を通過する際に、X軸に沿う方向の位置が第1案内面41Aと第2案内面42Aとの間となるように、誘い込み部32によって案内される。したがって、タグ挿入口31から収容位置に向けて挿入されたICタグ100を第1案内面41Aと第2案内面42Aとの間に円滑に挿入することができる。
【0075】
(7)中央突片60に第5傾斜面60Bを設けることで、第5傾斜面60BによってICタグ100を押圧面60Aと第2案内面42Aとの間に挿入し易くできる。
(8)保持部35において、ICタグ100が第1案内面41Aと第2案内面42Aとによって案内される状態から、第2案内面42Aと第5傾斜面60Bとによって案内される状態に円滑に移行できる。
【0076】
(9)Y軸に沿う方向において、中央突片60が2つの第2案内片42の間に位置することで、中央突片60と2つの第2案内片42とによってICタグ100を安定した状態で保持できる。
【0077】
(10)Y軸に沿う方向において、中央突片60の位置と2つの第2案内片42の位置とがずれた構成である。したがって、パレット1の製造において中央突片60及び第2案内片42を区画する金型パーツの寸法を大きくすることができるため、当該金型パーツを破損しにくくすることができる。
【0078】
(11)タグ挿入口31が載荷面11Aに設けられることで、ICタグ100が上方から下方に向けて挿入される。すなわち、挿入方向Dが上方から下方に向かう方向となる。したがって、パレット1に収容されたICタグ100にパレット1の積み下ろし時の衝撃が加わった場合でも、押圧面60Aと第2案内面42Aとの間からICタグ100が外れにくくすることができる。
【0079】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・タグ挿入口31が接地ボード21の接地面に設けられる構成であってもよい。この場合、収容部30の天地が逆転した状態となる。このような構成であっても、パレット1にICタグ100を収容できる。また、パレット1が二方差しの場合のように、桁2の体積が十分大きい構成であれば、タグ挿入口31をパレット1の側面に設け、そして、収容部30がX軸またはY軸に沿って延びる凹部である構成であってもよい。
【0080】
・パレット1の製造において中央突片60及び第2案内片42を区画する金型パーツの強度を確保できるのであれば、Y軸に沿う方向において、中央突片60の位置と第2案内片42の位置とが一致した構成であってもよい。例えば、ICタグ100の厚さが大きい場合は、押圧面60Aと第2案内面42AとのX軸に沿う距離も大きくなる。この場合、パレット1の製造において、中央突片60及び第2案内片42を区画する金型パーツの寸法を大きくして強度を確保できる。なお、この場合では、中央突片60と1つの第2案内片42とによってICタグ100を挟み込む構成であってもよい。
【0081】
・第2案内片42は、3つ以上設けられてもよい。このとき、Y軸に沿う方向において、中央突片60が隣り合う2つの第2案内片42の間に位置する構成であればよい。このような構成であっても、パレット1の製造において中央突片60及び第2案内片42を区画する金型パーツの寸法を大きくして強度を確保できる。
【0082】
・第1案内面41Aと第2案内面42AとのX軸に沿う距離が、第5傾斜面60Bにおけるタグ挿入口31側の端部と第2案内面42AとのX軸に沿う距離と同じであってもよい。すなわち、X軸に沿う方向において、第1案内面41Aの位置と、第5傾斜面60Bにおけるタグ挿入口31側の端部の位置が一致する構成であってもよい。この場合であっても、保持部35において、ICタグ100が第1案内面41Aと第2案内面42Aとによって案内される状態から、第2案内面42Aと第5傾斜面60Bとによって案内される状態に円滑に移行できる。
【0083】
・中央突片60において、第5傾斜面60Bに代えて、押圧面60Aの上端部からタグ挿入口31に向かって、X軸に沿う方向における中央突片60と第2案内片42との距離を大きくする曲面であるR面を設けてもよい。この場合でも、当該R面によってICタグ100を押圧面60Aと第2案内面42Aとの間に挿入し易くできる。
【0084】
・収容部30において、誘い込み部32を設けず保持部35が上側部材10に位置する構成であってもよい。この場合、収容部30は、上側部材10にのみ位置する構成となる。また、下側部材20には、収容部30まで貫通する第1貫通孔23及び第2貫通孔24が設けられるのみとなる。このような構成であっても、パレット1へのICタグ100の取付けに要する作業を簡略化できる。
【0085】
・収容部30において、誘い込み部32は、ICタグ100が挿入方向Dに進むにつれて、保持部35に案内される構成であればよい。例えば、誘い込み部32は、X軸に沿う方向において、ICタグ100が少なくとも第1傾斜面41Bと第2傾斜面42Bとの間に位置するように、ICタグ100を案内する構成であってもよい。
【0086】
・抜け止め部50の構成は、弾性片である第1抜け止め片51及び第2抜け止め片52を備える構成に限定されない。例えば、ICタグ100に任意のばね形状を設ける。そして、任意の形状を有した抜け止め部50とICタグ100のばね形状との干渉によって、タグ挿入口31から収容位置に向かうICタグ100の移動を許容し、かつ収容位置からタグ挿入口31に向かうICタグ100の移動を規制する構成であってもよい。
【0087】
・抜け止め部50は、第1抜け止め片51のみを備える構成であってもよく、同様に、第2抜け止め片52のみを備える構成であってもよい。この場合でも、タグ挿入口31から収容位置に向かうICタグ100の移動を許容し、収容位置からタグ挿入口31に向かうICタグ100の移動を規制できる。
【0088】
・抜け止め部50が上側部材10に位置する構成であってもよい。例えば、抜け止め部50が上側部材10に位置する構成であれば、ICタグ100における挿入方向Dに沿う長さが、下側部材20のZ軸に沿う寸法よりも大きい場合であっても、パレット1にICタグ100を収容できる。
【0089】
・収容部30が中央桁に設けられる構成に限定されず、角桁2A、第1中間桁2B、及び、第2中間桁2Cのうち何れの桁2に設けられてもよい。また、パレット1は、二方差しパレットであってもよく、この場合も上側部材10と下側部材20とを繋ぐ何れかの桁に収容部30が設けられれば良い。
【符号の説明】
【0090】
D…挿入方向
1…パレット
10…上側部材
11A…載荷面
20…下側部材
30…収容部
31…タグ挿入口
32…誘い込み部
33…第1誘い込み片
34…第2誘い込み片
35…保持部
40…案内部
41…第1案内片
41A…第1案内面
42…第2案内片
42A…第2案内面
50…抜け止め部
51…第1抜け止め片
52…第2抜け止め片
60…中央突片
60A…押圧面
60B…第5傾斜面
100…ICタグ
101…第1面
102…第2面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7