(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072322
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】フレキシブルディスプレイ用粘着シート、フレキシブルディスプレイ用積層体、およびフレキシブルディスプレイ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20240521BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183027
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中山 蕗夢
(72)【発明者】
【氏名】石 智文
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004FA05
4J040DB022
4J040DN032
4J040EF282
4J040GA05
4J040GA07
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA26
4J040LA10
4J040MA10
4J040MB03
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】視認性に優れながらも、カラーレスポリイミドフィルムに対する良好な接着性を有し、繰り返し屈曲後も浮きや剥がれが発生しないフレキシブルディスプレイ用粘着シート、フレキシブルディスプレイ用積層体及び、フレキシブルディスプレイの提供を目的とする。
【解決手段】粘着剤層を備えるフレキシブルディスプレイ用粘着シートであって、前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)及び、イソシアネート硬化剤(C)を含み、粘着付与樹脂(B)は、C5-C9系石油樹脂、スチレン系モノマー単独重合体、スチレン系モノマーとスチレン系モノマー以外の芳香族系モノマーとの共重合体、およびスチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでなり、前記粘着剤層のヘーズが、3%以下であることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用粘着シートである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層を備えるフレキシブルディスプレイ用粘着シートであって、
前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体(A)(ただし、(メタ)アクリル系共重合体(A)は(メタ)アクリル系共重合体(D)を除く)、粘着付与樹脂(B)及び、イソシアネート硬化剤(C)を含み、
粘着付与樹脂(B)は、C5-C9系石油樹脂、スチレン系モノマー単独重合体、スチレン系モノマーとスチレン系モノマー以外の芳香族系モノマーとの共重合体、およびスチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでなり、
前記粘着剤層のヘーズが、3%以下であることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項2】
前記粘着付与樹脂(B)の軟化点が90℃以上、150℃以下である請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項3】
(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量%に対して、粘着付与樹脂(B)を0.1~3.5質量%含む請求項2に記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項4】
前記粘着剤層は、さらに脂環式(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含むモノマー混合物の共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(D)を含んでなる、請求項3に記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項5】
前記粘着剤層は、カラーレスポリイミドフィルムに対する粘着力が15~50N/25mmである請求項1~4に記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項6】
請求項5記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シート及び、カラーレスポリイミドを備えるフレキシブルディスプレイ用積層体。
【請求項7】
請求項5記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シートを備えるフレキシブルディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルディスプレイ用粘着シート、フレキシブルディスプレイ用積層体、およびフレキシブルディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ(OLED)等のディスプレイとタッチパネルを組み合わせて用いる入力装置が普及している。タッチパネルに用いる透明導電性フィルムは、支持ガラス等の部材に粘着剤層を介して積層されている。また、ディスプレイに用いる偏光板フィルムは、液晶モジュールや有機ELモジュールに粘着剤層を介して貼付される。
【0003】
前記ディスプレイとしては、ガラス基板を用いたフラットディスプレイが主流であったが、近年、プラスチック等の可撓性基板を用いたフォルダブルディスプレイ(Foldable display)やローラブルディスプレイ(Rollable display)等の、フレキシブルディスプレイが開発されている。このようなフレキシブルディスプレイは、従来のガラス基板を用いたフラットディスプレイと比較して、軽量性、薄さ、可撓性等に優れており、また意匠性にも優れている等の種々の利点を有する。
【0004】
前記フレキシブルディスプレイまたはフレキシブルディスプレイに使用される粘着剤層、および粘着剤層によって積層された光学フィルム積層体には、光学特性や耐久性に加えて、良好な接着性や折り曲げを行っても剥がれや浮きの発生することのないことが必要とされる。
【0005】
そのため、接合部における接着性を向上させることにより、折り曲げ時の剥がれや、浮きの発生を抑制しようとする検討が行われている。例えば、特許文献1には、(メタ)アクリル酸エステルモノマー等の硬化性化合物からなる主剤を100質量部、および軟化点が130℃以上であるテルペンフェノール系粘着付与樹脂を0質量部を超えて5質量部未満で含む、粘着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、近年さらなるディスプレイの高耐久化に対応すべく、折り曲げを繰り返した際に浮き・剥がれが生じない特性(動的屈曲性)がこれまで以上に厳しい水準で要求され、長時間、屈曲状態を保持した際に浮きや剥がれが生じない特性(静的屈曲性)も必要となっている。
【0008】
さらに、フレキシブルディスプレイには強度と透明性の観点からカラーレスポリイミドフィルムの使用が増えているが、カラーレスポリイミドフィルムは一般的に低極性材料であるため、アクリル系粘着剤との親和性が低く、接着性が悪化するという課題があった。
【0009】
特許文献1の粘着シートをカラーレスポリイミドフィルムと接着する場合、粘着剤層の浮きや剥がれが発生することに加えて動的屈曲性、静的屈曲性も不足していた。
【0010】
そこで本発明は視認性に優れながらも、カラーレスポリイミドフィルムに対する良好な接着性を有し、繰り返し屈曲後も浮きや剥がれが発生しないフレキシブルディスプレイ用粘着シート、フレキシブルディスプレイ用積層体及び、フレキシブルディスプレイの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、粘着剤層を備えるフレキシブルディスプレイ用粘着シートであって、前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体(A)(ただし、(メタ)アクリル系共重合体(A)は(メタ)アクリル系共重合体(D)を除く)、粘着付与樹脂(B)及び、イソシアネート硬化剤(C)を含み、粘着付与樹脂(B)は、C5-C9系石油樹脂、スチレン系モノマー単独重合体、スチレン系モノマーとスチレン系モノマー以外の芳香族系モノマーとの共重合体(以下、スチレン系モノマー/芳香族系モノマー共重合体とも称する)、およびスチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体(以下、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体とも称する)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでなり、前記粘着剤層のヘーズが、3%以下であることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用粘着シートに関する。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の本発明によれば、ヘーズが3%以内であり、カラーレスポリイミドフィルムへの高い粘着力を有し、視認性や折り曲げ性が良好な高耐久フレキシブルディスプレイを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれる。また、本発明の粘着シートは、粘着フィルム、粘着テープと同義である。また、特に言及しない限り、粘着剤層中の各種配合成分は、それぞれ独立に、単独または2種類以上を併用できる。また、(メタ)アクリルはアクリル或いはメタクリルを、(メタ)アクリレートはアクリレート或いはメタクリレートをそれぞれ意味する。
【0014】
<粘着剤層>
本発明の粘着剤層は(メタ)アクリル系共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)及び、イソシアネート硬化剤(C)を含み、カラーレスポリイミドフィルムやガラス基材と貼り合わせフレキシブルディスプレイとして曲げて使用する。
【0015】
<(メタ)アクリル系共重合体(A)>
(メタ)アクリル系共重合体(A)とは、少なくとも、下記のモノマー(a-1)~(a-3)の全てを含むモノマー混合物の共重合体である。尚、(メタ)アクリル系共重合体(A)に、後述する(メタ)アクリル系共重合体(D)は含まれない。
【0016】
[モノマー(a-1)]
モノマー(a-1)は、炭素数6~10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸分岐アルキルエステルモノマーであり、具体的には、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル等が挙げられる。
【0017】
アクリル系共重合体(A)は、モノマー(a-1)を含有することで、側鎖に分岐構造をもつアルキル基を有することになる。これにより、ポリマー同士が適度に絡まり合い、応力緩和性が向上し、柔軟な粘着剤層が得られ、基材への密着性を高度に向上することができる。
【0018】
これらモノマー(a-1)のうち、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが応力緩和性および密着力の観点より好ましい。
【0019】
モノマー(a-1)は、モノマー混合物100質量%中、30~70質量%含まれることが好ましく、40~70質量%がより好ましい。含有量が30質量%以上になることで十分な応力緩和性を得やすい。また、含有量が70質量%以下になることで凝集力と応力緩和性を両立しやすくなるために動的屈曲性が向上する。
【0020】
[モノマー(a-2)]
モノマー(a-2)は、炭素数12~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、具体的には、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。これら(a-2)のうち、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イコシルがゴム弾性の観点で好ましく、(メタ)アクリル酸ドデシルが、屈曲性の観点より、なお好ましい。モノマー(a-2)を含有することで、粘着剤層の凝集力が向上し、強靭な粘着剤層が得られ、静的屈曲性が特に向上する。
【0021】
モノマー(a-2)は、モノマー混合物100質量%、10~50質量%含まれることが好ましく、20~50質量%がより好ましい。含有量が10質量%以上になることで十分なゴム弾性を得やすくなり、強靭な粘着剤層が得られる。また、含有量が50質量%以下になることで柔軟性とゴム弾性を両立しやすくなるため、動的屈曲性と静的屈曲性を向上させることができる。
【0022】
[モノマー(a-3)]
モノマー(a-3)は、ヒドロキシ基を有するモノマーを有し、さらに、カルボキシ基を有するモノマーを有していても良い。ヒドロキシ基を有するモノマーは、分子内にヒドロキシ基を有するモノマーであれば制限されず、具体的には、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルがカラーレスポリイミドフィルムへの接着性が良化する観点より好ましい。
【0023】
カルボキシ基を有するモノマーは、分子内にカルボキシ基を有するモノマーであれば制限されず、具体的には、(メタ)アクリル酸、アクリル酸p-カルボキシベンジル、アクリル酸β-カルボキシエチル、マレイン酸、モノエチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸が凝集力およびカラーレスポリイミドフィルムへの接着力の観点より好ましい。
【0024】
モノマー(a-3)を含有することで、後述するイソシアネート硬化剤(C)との間で架橋構造が形成され、粘着剤層の凝集力が向上し、強靭な粘着剤層が得られ、カラーレスポリイミドフィルムに対する接着性が向上するとともに、動的屈曲性や静的屈曲性を向上させることができる。
【0025】
モノマー(a-3)は、モノマー混合物100質量%、0.5~2.5質量%含まれることが好ましく、0.5~2.0質量%がより好ましい。含有量が0.5質量%以上になることで十分な凝集力を得やすくなる。また、含有量が2.5質量%以下になることで凝集力と応力緩和性を両立しカラーレスポリイミドフィルムへの接着性が向上する。
【0026】
[その他のモノマー]
(メタ)アクリル系共重合体(A)はモノマー(a-1)~(a-3)に加えて、その他のモノマーを含んでよい。その他のモノマーとしては、モノマー(a-1)~(a-3)以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸モノマー、アミノ基を有する(メタ)アクリル酸モノマー、アルキレンオキシ基を有するモノマー、その他ビニルモノマー等が挙げられる。但し、後述する脂環式モノマー(d-1)は除くものとする。
【0027】
<(メタ)アクリル系共重合体(D)>
(メタ)アクリル系共重合体(D)は、少なくとも脂環式(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(d-1)を含むモノマー混合物の共重合体であり、モノマー混合物は、必要に応じてモノマー(a-1)~(a-3)を含んでもよい。なお、モノマー(a-1)~(a-3)の全てを含んでいても、モノマー(d-1)を含む場合は、(メタ)アクリル系共重合体(D)に該当するものと定義する。
【0028】
[脂環式モノマー(d-1)]
脂環式モノマー(d-1)は(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ脂環構造含有基を有するものである。ここで、「脂環構造含有基」とは、少なくとも一つの脂環構造を含む部分をいい、以下、脂環式基と呼ぶことがある。脂環式基としては脂環構造を有する炭化水素基や炭化水素オキシ基が挙げられる。
【0029】
前記脂環式モノマー(d-1)としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0030】
(メタ)アクリル系共重合体(D)100質量%中の脂環式モノマー(d-1)は80~95質量%含有することが好ましい。
【0031】
粘着剤層は(メタ)アクリル系共重合体(A)に加え、さらに(メタ)アクリル系共重合体(D)を含むことで、粘着力が向上するため好ましい。前記脂環式モノマー(d-1)は、ハードセグメントとして凝集力の向上に寄与するため剥離強度が向上し、それに伴い粘着力が向上すると考えられる。
【0032】
(メタ)アクリル系共重合体(D)の含有量は粘着剤層100質量%中、0.1~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。10質量%を超えると、粘着剤層中のハードセグメントの比率が高くなることにより、タックが低減し、粘着力が減少することがある。
【0033】
粘着剤層は(メタ)アクリル系共重合体(A)に、さらにその他のアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤を含んでもよい。この場合、(メタ)アクリル系共重合体(A)は粘着剤層100質量%中70質量%以上含んでいればよい。
【0034】
<粘着付与樹脂>
粘着付与樹脂(B)は、C5-C9系石油樹脂、スチレン系モノマー単独重合体、スチレン系モノマー/芳香族系モノマー共重合体、およびスチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。上述した粘着付与樹脂(B)群はいずれも石油を原料とするモノマーを重合した樹脂であって、非天然物由来である。一方、ロジン等の天然材料から形成される樹脂の場合は天然物由来であり本発明の粘着シートに含有することは好ましくない。
粘着付与樹脂(B)は単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量%に対して、粘着付与樹脂(B)は0.1~3.5質量%含むことが好ましく、1~3質量%を含むことがより好ましい。粘着付与樹脂(B)を0.1質量%以上含むと、粘着付与樹脂(B)が粘着剤層中に高凝集ドメインを形成し、剥離強度が増大する。加えて、低極性なカラーレスポリイミドフィルムに対する良好な接着性が発現し、繰り返し屈曲後も浮きや剥がれが発生しない粘着剤層となる。粘着付与樹脂(B)を3.5質量%以下にすることで粘着剤層中の相溶性を保ちヘーズを3%以下とすることができ高い透明性を維持できる。
【0035】
C5-C9系石油樹脂としては、例えば、日本ゼオン社製の商品名クイントンN180(軟化点:80℃)、クイントンU185(軟化点:86℃)、クイントンU190(軟化点:90℃)、クイントンS195(軟化点:94℃)、クイントンDX395(軟化点:94℃)、クイントンDX390N(軟化点:93℃)、クイントンD100(軟化点:99℃)、クイントンE200SN(軟化点:102℃)、クイントンD200(軟化点:102℃)、クイントンD295(軟化点:94℃)、クイントンG100B(軟化点100℃)、クイントンG115(軟化点:115℃)、東ソー社製の商品名ペトロタック60(軟化点:72℃)、ペトロタック70(軟化点:70℃)、ペトロタック90(軟化点:95℃)、ペトロタック90V(軟化点:87℃)、ペトロタック90HS(軟化点:87℃)、ペトロタック100V(軟化点:96℃)、等が挙げられる。
【0036】
スチレン系モノマー単独重合体としては、汎用のものを用いることができ、市販品の例としては、EASTMAN CHEMICAL社製の商品名Piccolastic A5(スチレン単独重合体、軟化点25℃)、Piccolastic A75(スチレン単独重合体、軟化点73℃)、ヤスハラケミカル社製の商品名YSレジンSX100(スチレン単独重合体、軟化点100℃)、三井化学社製の商品名FTR8100(スチレン系モノマー単独重合体、軟化点100℃)、FTR8120(スチレン系モノマー単独重合体、軟化点120℃)、FTR0100(スチレン系モノマー単独重合体、軟化点100℃)を挙げることができる。
【0037】
スチレン系モノマー/芳香族系モノマー共重合体としては、三井化学社製の商品名FMR0150(軟化点150℃)等を挙げることができる。
【0038】
スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体としては、スチレンモノマー/脂肪族系モノマー共重合体、α-メチルスチレン/脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー/α-メチルスチレン/脂肪族系モノマー共重合体を挙げることができ、市販品の例としては、三井化学社製の商品名FTR6080(軟化点80℃)、FTR6100(軟化点95℃)、FTR6110(軟化点110℃)、FTR6125(軟化点125℃)、FTR7100(軟化点100℃)、FTR7125(軟化点125℃)等を挙げることができる。
【0039】
これらの中でも、(メタ)アクリル系共重合体(A)に対して含んだ際に高凝集ドメインを形成しやすいため、スチレン系モノマー単独重合体、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体および、スチレン系モノマー/芳香族系モノマー共重合体が好ましく、粘着力を向上させる観点からスチレン系モノマー単独重合体が特に好ましい。
前記粘着付与樹脂(B)の軟化点は25℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。25℃以上であることにより、粘着剤層における凝集力を十分に得ることができ、動的屈曲性が向上する。軟化点の上限は150℃以下が好ましい。
【0040】
本発明における粘着剤層は、上記の粘着付与樹脂(B)以外の粘着付与樹脂(C2)をさらに含んでもよいが、粘着付与樹脂(B)のみで構成されることが好ましい。粘着付与樹脂(C2)としては、例えばフェノール系樹脂、ケトン系樹脂等が挙げられる。
【0041】
<イソシアネート硬化剤>
粘着剤層はイソシアネート硬化剤(C)を含む。イソシアネート硬化剤(C)は(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量%に対して、0.1~80質量%を含むことが好ましい。この範囲とすることにより、凝集力が高く強靭な粘着剤層を形成できるため、折り曲げ時における粘着剤層の浮きや剥がれが抑制され、動的屈曲性や静的屈曲性が向上する。より好ましい範囲は、0.1~30質量%であり、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0042】
イソシアネート硬化剤(C)は芳香族系化合物であることが好ましい。例えばトリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートおよびこれらのアロファネート体、ビウレット体、イソシアヌレート体、プレポリマー体およびアダクト体があげられる。
【0043】
本発明の粘着剤層には、任意成分として各種樹脂、オイル、シランカップリング剤、軟化剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤及び帯電防止剤等を含有できる。
【0044】
<ゲル分率>
粘着剤層のゲル分率は50~90質量%が好ましく、55~90質量%がより好ましく、60~80質量%がさらに好ましい。ゲル分率が50質量%以上であると、粘着剤層の凝集力が向上し、強靭な粘着剤層が得られ、耐久性が向上し、90質量%以下であると、粘着剤層の応力緩和性が向上し、柔軟な粘着剤層が得られ、カラーレスポリイミドフィルムに対する接着性が向上する。
一般に、ポリマーのゲル分率は架橋度に等しく、ポリマー中の架橋された部分が多いほど、ゲル分率が大きくなる。ゲル分率(架橋構造の導入量)は、架橋構造の導入方法や、硬化剤の種類および量等により所望の範囲に調整できる。
【0045】
<ヘーズ>
本発明の粘着剤層のJIS K 7136に準拠して測定されるヘーズは、光学部品の接着に適するものとする観点から、3%以下であって、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0046】
<カラーレスポリイミドフィルムに対する粘着力>
本発明の粘着剤層のカラーレスポリイミドフィルムに対する粘着力は、15~50N/25mmであることが好ましく、15~45N/25mmがより好ましい。上記範囲とすることで折り曲げ時における、カラーレスポリイミドフィルムと粘着剤層界面の浮きや剥がれが抑制される。
粘着力を上記範囲内とするためカラーレスポリイミドフィルム表面にコロナ処理又はプラズマ処理を施してもよい。
【0047】
<カラーレスポリイミドフィルム>
本発明のフレキシブルディスプレイ用粘着シートはカラーレスポリイミドフィルムと貼り合わせることが好ましい。カラーレスポリイミドフィルムとは400nm~700nmにおける透過率が80%以上であって、ガラス転移温度が250℃以上のポリイミドフィルムである。厚みは好ましくは10~200μmが好ましく、20~100μmがより好ましい。
【0048】
<フレキシブルディスプレイ用粘着シート>
本発明のフレキシブルディスプレイ用粘着シート(以下、粘着シートとも省略する)は粘着剤層からなり、セパレータを積層する形態が好ましい。粘着剤層の一方面にセパレータが積層された形態、並びに粘着剤層の両面をセパレータで挟みこむ形態のいずれも好ましく、中でも両面を挟み込む形態が好ましい。尚、粘着剤層は単層であることが好ましいが、間に芯材を設ける形態も好ましい。芯材としては、ポリエステル、ポリイミド、カラーレスポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、ガラスおよびトリアセチルセルロース等を好適に用いることができる。
【0049】
粘着シートの作製は、(メタ)アクリル系共重合体(A)、(メタ)アクリル系共重合体(D)、粘着付与樹脂(B)、イソシアネート硬化剤(C)、溶剤等を含む粘着剤をセパレータに塗布し、溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を形成する方法が挙げられる。
【0050】
セパレータは紙、プラスチックフィルム、合成紙等の基材に、剥離剤を塗工して形成した剥離層を有する。剥離剤は、例えばシリコーン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。なお、セパレータの厚さは特に制限はないが10~200μm程度である。
【0051】
上述の溶剤の乾燥温度は、好ましくは40~200℃であり、さらに好ましくは、50~180℃であり、特に好ましくは70~170℃である。乾燥温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤層を得ることができる。
【0052】
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒~20分、さらに好ましくは5秒~10分、特に好ましくは、10秒~5分である。
【0053】
前記粘着剤の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
【0054】
本発明の粘着剤層の厚みは、好ましくは5~150μmであり、より好ましくは15~100μmである。粘着剤層は、単一層であってもよく、組成の異なる粘着剤層を積層してもよい。前記範囲内であれば、屈曲を阻害することなく、また、密着性の点でも、好ましい態様となる。150μmを超える場合、繰り返し屈曲時に、粘着剤層中のポリマー鎖が動きやすくなり、劣化が激しくなるため、剥がれが発生する恐れがあり、5μm未満の場合、屈曲時の応力を緩和できず、破断が発生する恐れがある。
【0055】
フレキシブルディスプレイ用粘着シートをフレキシブルディスプレイに用いる場合の一例として、まず一方の面のセパレータを剥がし、露出した粘着剤層にカラーレスポリイミドフィルムを貼り合わせる。次いで対向するもう一方のセパレータを剥がし露出した粘着剤層と偏光板や透明導電膜を貼り合わせることによりフレキシブルディスプレイ用積層体を形成する。
尚、粘着剤層とカラーレスポリイミドフィルムの積層面にハードコート層や、易接着用コーティング層が積層されていても良い。
【0056】
<フレキシブルディスプレイ>
フレキシブルディスプレイは、屈曲機能を有することが大きな特徴の1つであり、上記のフレキシブルディスプレイ用積層体と、折り曲げ可能に構成された有機EL表示パネルとを含み、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブルディスプレイ用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。また、有機EL表示パネルに代えて、マイクロLED、液晶パネル、または電子ペーパーモジュールであってもよく、更に、フレキシブルディスプレイ用積層体に対して視認側にウインドウが配置されていてもよい。
【0057】
本発明のフレキシブルディスプレイとしては、フレキシブルの液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等のディスプレイとして好適に用いることができる。また、抵抗膜方式や静電容量方式といったタッチパネル等の方式に関係なく使用することができる。
【実施例0058】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお例中、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」に基づく値である。
【0059】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)の測定は、島津製作所社製GPC「LC-GPCシステム」を用いた。重量平均分子量(Mw)の決定は、分子量既知のポリスチレンを標準物質とした換算で行った。
装置名:島津製作所社製、LC-GPCシステム「Prominence」
カラム:東ソー社製GMHXL4本、東ソー社製HXL-1本を連結した。
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
【0060】
<アクリル系共重合体(A)の製造例>
(アクリル系共重合体(A-1))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に、アクリル酸2-エチルヘキシル(EHA)68部、アクリル酸ドデシル(DOA)30部、アクリル酸(AA)1部、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(HBA)1部、開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(以下、単に「AIBN」と記述する。)0.2部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、50℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を50℃で4時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈して不揮発分30%、粘度5000mPa・sの共重合体(A-1)溶液を得た。得られた共重合体(A-1)の重量平均分子量は140万であった。
【0061】
(アクリル系共重合体(A-2))
表1記載の組成および配合量(質量部)に変更した以外は、アクリル系共重合体(A-1)の製造と同様の方法で共重合体(A-2)を合成した。
【0062】
<アクリル系共重合体(D)の製造例>
(アクリル系共重合体(D-1))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に、アクリル酸ドデシル(DOA)5部、イソボルニルアクリレート(IBXA)94部、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)1部、AIBN2部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、50℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を50℃で4時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈して不揮発分35%、粘度100mPa・sの共重合体(D-1)溶液を得た。得られた共重合体(D-1)の重量平均分子量は2.5万であった。
【0063】
(アクリル系共重合体(D-2~D-4))
表1記載の組成および配合量(質量部)に変更した以外は、アクリル系共重合体(D-1)の製造と同様の方法で共重合体(D-2~D-4)を合成した。
【0064】
得られた共重合体(A―1~A―2)および(D-1~D―4)の重量平均分子量(Mw)を表1に示す。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。
【0065】
【0066】
表中の略称は以下の通りである。
EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
DOA:アクリル酸ドデシル
HBA:アクリル酸4-ヒドロキシブチル
MA:アクリル酸メチル
BA:アクリル酸ブチル
AA:アクリル酸
IBXA:アクリル酸イソボルニル(脂環式)
DM:メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル
【0067】
実施例及び比較例で使用した材料の詳細を下記に示す。
B-1 スチレン系モノマー単独重合体(軟化点:120℃、非天然物由来、三井化学社製、FTR8120)
B-2 スチレン系モノマー単独重合体(軟化点:25℃、非天然物由来、EASTMAN CHEMICAL社製、ピコラスチックA5)
B-3 スチレン系モノマー単独重合体(軟化点:100℃、非天然物由来、三井化学社製、FTR0100)
B-4 スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体(軟化点:125℃、非天然物由来、三井化学社製、FTR6125)
B-5 スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体(軟化点:100℃、非天然物由来、三井化学社製、FTR6100)
B-6 スチレン系モノマー/芳香族系モノマー共重合体(軟化点:150℃、非天然物由来、三井化学社製、FMR0150)
B-7 C5-C9系石油樹脂(軟化点:96℃、非天然物由来、東ソー社製、ペトロタック100V)
B-8 スチレン系モノマー単独重合体(軟化点:100℃、非天然物由来、ヤスハラケミカル社製、YSレジンSX100)
B-9 脂環式C9石油樹脂(シクロヘキサン環含有水素化石油樹脂)(軟化点:125℃、非天然物由来、荒川化学工業社製、アルコンP125)
B-10 水添ロジンエステル樹脂(軟化点:94~104℃、天然物由来、水酸基価42mgKOH/g、荒川化学工業社製、パインクリスタルKE-359)
B-11 テルペンフェノール樹脂(軟化点:130℃、天然物由来、ヤスハラケミカル社製、YSポリスターTH130)
B-12 キシレン樹脂(液状物質:非天然物由来、フドー社製、水酸基価29mgKOH/g、ニカノールH-80)
C-1 トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
【0068】
(実施例1)
<粘着剤の調整>
アクリル系共重合体(A-1)不揮発分100質量部に対して、粘着付与剤(B-1)を3質量部、イソシアネート硬化剤(C-1)を0.1質量部配合し、更にトルエンを加えて不揮発分を20%に調整した粘着剤を得た。
【0069】
<フレキシブルディスプレイ用粘着シートの製造>
前記粘着剤を、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート製セパレータに、乾燥後の厚さが50μmになるように塗工し、100℃で3分間熱風乾燥することで粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製セパレータを貼り合せ、「セパレータ/粘着剤層/セパレータ」の積層体を作製した。得られた積層体を温度40℃の条件で1週間熟成させて、フレキシブルディスプレイ用粘着シートを得た。
【0070】
(実施例2~19、比較例1~7)
表2に示す通り、(メタ)アクリル系共重合体(A)、(メタ)アクリル系共重合体(D)、粘着付与樹脂(B)および、イソシアネート硬化剤(C)の種類と配合量(質量部)を変更した以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
【0071】
≪粘着シートの物性測定および評価≫
得られた粘着シートを用いてゲル分率、カラーレスポリイミドフィルムに対する粘着力、動的屈曲性、静的屈曲性、およびヘーズを評価した。
【0072】
<ゲル分率の測定>
粘着シートを30mm×100mmの大きさに裁断し、一方面のセパレータを剥離し露出した粘着剤層を、秤量した300メッシュのステンレス製金網(重量W0)に貼り付け、もう一方のセパレータを剥離して試料とした。前記試料を秤量した重量をW1とし、試料を酢酸エチル中で24時間静置後、100℃で1時間乾燥させ秤量した重量をW2とし、下記式で算出した。
ゲル分率(%)={(W2-W0)/(W1-W0)}×100
【0073】
<粘着力>
粘着シートの一方面のセパレータを剥がして50μmのPETフィルムにラミネータを用いて粘着剤層を貼り付けた。続いて、もう一方のセパレータを剥がし、一方の面に出力300Wでコロナ処理を施した厚さ50μmのカラーレスポリイミドフィルム(KOLON社製)のコロナ処理面にラミネータにより露出した粘着剤層と貼り付けた。その後50℃、5気圧のオートクレーブ内に20分保持させて各部材を密着させることで測定試料を得た。前記測定試料を、23℃で1日放置した後に、23℃、相対湿度50%の環境下で、引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着力を測定した。評価基準は下記のとおりである。
+++:粘着力が20N/25mm以上。優秀。
++:粘着力が15N/25mm以上、20N/25mm未満。良好。
+:粘着力が10N/25mm以上、15N/25mm未満。実用可。
NG:粘着力が10N/25mm未満。実用不可。
【0074】
<動的屈曲性試験>
厚さ188μmのPETフィルム(商品名:A4300、東洋紡株式会社製)上に、粘着シートの一方面のセパレータを剥がしてハンドラミネータを用いて粘着剤層を貼り付けた。続いて、もう一方のセパレータを剥がし露出した粘着剤層を、厚さ50μmのカラーレスポリイミドフィルム(KOLON社製)のコロナ処理面に重ね、ハンドラミネータを用いて貼り付けた。その後50℃、5気圧のオートクレーブ内に20分保持させて各部材を密着させることで測定試料を得た。これにより、「PETフィルム/粘着剤層/カラーレスポリイミドフィルム」のフレキシブルディスプレイ用積層体を得た。得られたフレキシブルディスプレイ用積層体を、25℃、相対湿度50%雰囲気にて折り曲げ試験機(ユアサシステム機器社製)を用いて、PETフィルム面を内側にして折り曲げた時の内径(直径)を4mm条件に設定し、折り曲げと180°開放とを1サイクルとして20万サイクル繰り返し行った。積層体の外観について、粘着剤層と、PETフィルムまたはカラーレスポリイミドフィルムとの間ではがれ、浮き、しわ等が生じているかを目視で確認した。
【0075】
<静的屈曲性試験>
動的屈曲性試験に使用した「PETフィルム/粘着剤層/カラーレスポリイミドフィルム」の積層体と全く同様の手順で作製した積層体を、PETフィルム面を内側にして折り曲げた時の内径(直径)が4mmになるようスペーサを用いて空隙を調整した2枚のガラスプレートで挟み、60℃相対湿度90%雰囲気にて10日間静置後の積層体の外観を、動的屈曲性試験と同様の評価方法にて判定した。動的屈曲性試験、静的屈曲性試験ともに評価基準は下記のとおりである。
+++:剥がれ、浮き、しわ等がなかった。良好。
++:剥がれは無かったが粘着剤層にしわが発生した。実用可。
NG:剥がれがあった。実用不可。
【0076】
<粘着剤層のヘーズ測定>
粘着シートの片面のセパレータを剥がし、露出した粘着面をカバーグラス(松浪硝子社製)に貼り付けた。その後、前記粘着シートからもう一方のセパレータを剥がし、露出した粘着面に、もう一枚のカバーグラスを貼り合わせ、「カバーグラス/粘着剤層/カバーグラス」の積層体を作製した。この状態で50℃、5気圧のオートクレーブ内に20分間保持させてガラス板に密着させることにより測定試料を得た。前記測定試料について、JIS K 7136に準拠し、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業社製、NDH-8000)を用いてヘーズを測定した。
【0077】
上記の測定結果を表2~表5に示す。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】