(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072328
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】車両用フューエルリッド支持構造
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20240521BHJP
B62D 25/12 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B60K15/05 B
B62D25/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183043
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】安田 貴裕
【テーマコード(参考)】
3D004
3D038
【Fターム(参考)】
3D004AA12
3D004BA01
3D004CA02
3D004CA13
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC16
3D038CD03
(57)【要約】
【課題】簡便な構造によって、キャラクタラインが形成されたフューエルリッドの平常時の開閉機能を維持し、側突時にフューエルリッドの開閉機能に及ぼす悪影響も低減する。
【解決手段】車両用フューエルリッド支持構造100は、キャラクタライン108の一部を構成している凹部110と、側面視において凹部110と交差するように延びていてフューエルリッド104の内側に固定されているピン120とをさらに備え、ピン120は、軸支されることにより回転軸として機能する2つの回転軸部120C、120Dと、2つの回転軸部120C、120Dの間で車内側に陥没している陥没部120Eとを有し、凹部110のうち最も車内側に窪んでいる谷部128は、陥没部120Eの上下範囲R1内に位置し、ピン120は、凹部110と干渉していない。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側面の一部を構成するフューエルリッドを備え、該フューエルリッドを開閉可能に支持する車両用フューエルリッド支持構造において、
前記フューエルリッドに車両前後方向にわたって車内側に窪むように形成され車両のキャラクタラインの一部を構成している凹部と、
側面視において前記凹部と交差するように上下方向にわたって延びていて両端がそれぞれ前記フューエルリッドの内側に固定されているピンとをさらに備え、
前記ピンは、
前記フューエルリッドに接触していず軸支されることにより該フューエルリッドの開閉時に回転軸として機能する2つの回転軸部と、
前記2つの回転軸部の間で車内側に陥没している陥没部とを有し、
前記凹部のうち最も車内側に窪んでいる谷部は、前記陥没部の上下範囲内に位置し、
前記ピンは、前記凹部と干渉していないことを特徴とする車両用フューエルリッド支持構造。
【請求項2】
前記フューエルリッドは、車両側面の一部を構成するアウタパネルと、該アウタパネルの車内側に固定されたインナパネルとを有し、
前記凹部は、前記アウタパネルに形成されていて、
前記ピンの両端は、前記インナパネルの内側に固定されていて、
前記フューエルリッドはさらに、前記ピンの両端の間で前記インナパネルに形成された2つの開口を有し、
前記ピンの2つの回転軸部は、前記2つの開口に囲まれることによって前記フューエルリッドに接触していず、
前記インナパネルのうち前記2つの開口の間の架設部は、前記凹部の上下範囲内に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用フューエルリッド支持構造。
【請求項3】
車両用フューエルリッド支持構造はさらに、前記ピンの2つの回転軸部を軸支していて前記フューエルリッドに覆われたフューエルリッドボックスに固定された軸受部を備え、
前記軸受部は、前記2つの回転軸部から前記フューエルリッドの中央に近付くほど車内側へ延びて前記フューエルリッドボックスに固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用フューエルリッド支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フューエルリッド支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両側面には、車両の美観を向上させる目的で、前後方向にわたって車内側に窪むキャラクタラインが形成されることがある。給油口の蓋であるフューエルリッド上をキャラクタラインが通る場合、フューエルリッドも、キャラクタラインの一部を構成するように前後方向にわたって車内側に窪ませる必要がある。
【0003】
例えば特許文献1には、フューエルリッドを上下に分割した第1・第2の蓋部の境界によってフューエルリッド上にキャラクタラインを形成している。これにより、深さの大きなキャラクタラインを形成する場合にも、フューエルリッドを最適な大きさで配置することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1のような技術によってキャラクタラインをフューエルリッド上に形成すれば、分割した第1・第2の蓋部それぞれに開閉用のヒンジを設ける必要があるなど、フューエルリッドの構造が複雑化してしまう。
【0006】
一方、フューエルリッドの前端または後端に1つのヒンジを備えた簡便な横開きのフューエルリッドに深さの大きなキャラクタラインを形成すると、キャラクタラインがヒンジなどの開閉機構に到達してフューエルリッドの開閉動作を妨げてしまうおそれがある。
【0007】
またフューエルリッドにキャラクタラインを形成できたとしても、側面衝突(以下「側突」と略称する)を受けた場合にキャラクタラインはフューエルリッドの変形の起点となり得る。したがって側突を受けるとフューエルリッドが変形してそのヒンジにも損傷を及ぼし、フューエルリッドが開閉しなくなるおそれがある。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑み、フューエルリッドにキャラクタラインが形成されても、簡便な構造によって、フューエルリッドの平常時の開閉機能を維持し、側突時にフューエルリッドの開閉機能に及ぼす悪影響も低減することが可能な車両用フューエルリッド支持構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、車両側面の一部を構成するフューエルリッドを備え、フューエルリッドを開閉可能に支持する車両用フューエルリッド支持構造において、フューエルリッドに車両前後方向にわたって車内側に窪むように形成され車両のキャラクタラインの一部を構成している凹部と、側面視において凹部と交差するように上下方向にわたって延びていて両端がそれぞれフューエルリッドの内側に固定されているピンとをさらに備え、ピンは、フューエルリッドに接触していず軸支されることにより該フューエルリッドの開閉時に回転軸として機能する2つの回転軸部と、2つの回転軸部の間で車内側に陥没している陥没部とを有し、凹部のうち最も車内側に窪んでいる谷部は、陥没部の上下範囲内に位置し、ピンは、凹部と干渉していないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フューエルリッドにキャラクタラインが形成されても、簡便な構造によって、フューエルリッドの平常時の開閉機能を維持し、側突時にフューエルリッドの開閉機能に及ぼす悪影響も低減することが可能な車両用フューエルリッド支持構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による車両用フューエルリッド支持構造の実施例を示す車両側面図である。
【
図2】
図1のフューエルリッドが開いている状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2のフューエルリッドを別の方向から見た斜視図である。
【
図4】
図3のフューエルリッドが閉じている状態を同図のアウタパネルを図示省略して別の方向から見た斜視図である。
【
図5】
図4のピンを同図のインナパネルを図示省略して別の角度から見た斜視図である。
【
図6】
図1の車両用フューエルリッド支持構造のA-A断面図である。
【
図7】
図1の車両用フューエルリッド支持構造のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態は、車両側面の一部を構成するフューエルリッドを備え、フューエルリッドを開閉可能に支持する車両用フューエルリッド支持構造において、フューエルリッドに車両前後方向にわたって車内側に窪むように形成され車両のキャラクタラインの一部を構成している凹部と、側面視において凹部と交差するように上下方向にわたって延びていて両端がそれぞれフューエルリッドの内側に固定されているピンとをさらに備え、ピンは、フューエルリッドに接触していず軸支されることによりフューエルリッドの開閉時に回転軸として機能する2つの回転軸部と、2つの回転軸部の間で車内側に陥没している陥没部とを有し、凹部のうち最も車内側に窪んでいる谷部は、陥没部の上下範囲内に位置し、ピンは、凹部と干渉していないことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、キャラクタラインがフューエルリッド上を通るように設定されていても、ピンは、その陥没部によって、フューエルリッドに形成されたキャラクタラインの一部である凹部との干渉を回避することができる。したがってフューエルリッドの構造を複雑化させることなくその平常時の開閉機能を維持することができる。
【0014】
また本発明によれば、フューエルリッドは、側突を受けた時に凹部を起点として車内側へ折れ曲がっても、ピンの陥没部の分だけ余分に変形代(しろ)を有するため、側突のエネルギをより多く吸収できる。そのため、フューエルリッドが変形しても、ピンへの干渉の度合いを低減することができ、軽度の側突であれば、フューエルリッドは依然として開閉可能な状態を保つことができる。
【0015】
また本発明によれば、ピンの一部である陥没部だけが車内側に陥没している。したがって、ピン全体を車内側に移動させて凹部との干渉を避ける方法に比較して、車室空間を圧迫するといった問題も少ない。
【0016】
上記フューエルリッドは、車両側面の一部を構成するアウタパネルと、アウタパネルの車内側に固定されたインナパネルとを有し、凹部は、アウタパネルに形成されていて、ピンの両端は、インナパネルの内側に固定されていて、フューエルリッドはさらに、ピンの両端の間でインナパネルに形成された2つの開口を有し、ピンの2つの回転軸部は、2つの開口に囲まれることによってフューエルリッドに接触していず、インナパネルのうち2つの開口の間の架設部は、凹部の上下範囲内に位置するとよい。
【0017】
上記構成によれば、フューエルリッドのアウタパネルに形成された凹部は、側突時に車内側へ折れ曲がった際に、ピンの陥没部よりも先にインナパネルの架設部に当たることとなる。この架設部によって側突のエネルギをより多く吸収できるため、側突時にフューエルリッドのピンへの干渉の度合いをさらに低減することができ、フューエルリッドが依然として開閉可能な状態を保つ可能性が高まる。
【0018】
また架設部は、2つの開口を設けたことで低下したフューエルリッドの剛性を多少なりとも回復させるのに役立つ。
【0019】
車両用フューエルリッド支持構造はさらに、ピンの2つの回転軸部を軸支していてフューエルリッドに覆われたフューエルリッドボックスに固定された軸受部を備え、軸受部は、2つの回転軸部からフューエルリッドの中央に近付くほど車内側へ延びてフューエルリッドボックスに固定されているとよい。
【0020】
上記構成によれば、フューエルリッドが開くときの回転動作によって車内側に進入するフューエルリッドの一部は、軸受部にただちには干渉せず、十分にフューエルリッドが開いた段階で軸受部に干渉させることができる。したがって給油時にフューエルリッドを十分に開くことが可能である。
【0021】
また上記構成によれば、軸受部は、前方で回転軸部を軸支しながら、フューエルリッドとただちに干渉しない形状を有するため、フューエルリッドの開閉時の回転軸部を、前方に設定することが可能となる。車室内側に回転軸部があると、車室内空間が狭くなるため、その分ピンを車両後方に設定するか、サイドボディとの隙を広くとる必要があるところ、本発明によれば、そのような必要がない。
【0022】
また上記構成によれば、側突時にフューエルリッドと軸受部とで側突のエネルギを吸収し、フューエルリッドボックスへの側突の影響を低減することができる。
【実施例0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
図1は、本発明による車両用フューエルリッド支持構造の実施例を示す車両側面図である。
図1その他のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で示す。
【0025】
車両用フューエルリッド支持構造100は、車両の左側面すなわち左側のサイドボディアウタ102の一部を構成するフューエルリッド104を備えている。サイドボディアウタ102には車両前後方向にわたって2本のキャラクタライン106、108が形成されている。フューエルリッド104には、車両前後方向にわたって車内側(右側)に窪むように凹部110が形成されていて、これは、キャラクタライン108の一部を構成している。
【0026】
(フューエルリッド)
図2は
図1のフューエルリッド104が開いている状態を示す斜視図である。フューエルリッド104は、サイドボディアウタ102の一部を構成するアウタパネル112と、アウタパネル112の車内側に固定されたインナパネル114とを有する。凹部110は、
図1に示したように、アウタパネル112に形成されている。
【0027】
図2に示すように、フューエルリッド104は、車内側に窪んで形成されたフューエルリッドボックス116を覆っている。フューエルリッドボックス116には給油口118が設けられていて、ここから給油が行われる。
【0028】
(ピン)
図3は
図2のフューエルリッド104を別の方向から見た斜視図である。
図3では上側のキャラクタライン106は図示省略している。車両用フューエルリッド支持構造100は、側面視において凹部110(
図1)と交差するように上下方向にわたって延びているピン120をさらに備える。ピン120の両端120A、120Bは、それぞれフューエルリッド104の内側、すなわちインナパネル114の内側に固定されている。
【0029】
図4は
図3のフューエルリッド104が閉じている状態を別の方向から見た斜視図である。
図4では
図3のアウタパネル112を図示の便宜上省略している。そのため、インナパネル114が露出している。ピン120は2つの回転軸部120C、120Dを有し、これらはフューエルリッド104すなわちインナパネル114には接触していない。回転軸部120C、120Dがインナパネル114に接触していないのは、インナパネル114に、ピン120の両端120A、120Bの間で、2つの開口122、124が形成されているためである。これら開口122、124にそれぞれ囲まれることによって、ピン120の2つの回転軸部120C、120Dは、インナパネル114に接触していない。これら回転軸部120C、120Dは、後述のヒンジ134に軸支されることによりフューエルリッド104の開閉時に回転軸として機能する。
【0030】
(陥没部)
図5は
図4のピン120を
図4のインナパネル114をも図示省略して別の角度から見た斜視図である。すなわち
図5ではフューエルリッド104全体を図示省略している。ピン120は、2つの回転軸部120C、120Dの間で車内側に陥没している陥没部120Eを有する。
【0031】
図6は
図1の車両用フューエルリッド支持構造100のA-A断面図である。すなわち
図6は断面を車両正面から見ている。
図6(b)は
図6(a)の一部126を拡大した拡大図である。
図6(b)に示すように、アウタパネル112に形成された凹部110のうち、最も車内側(右側)に窪んでいる谷部128は、陥没部120Eの上下範囲R1内に位置する。そして谷部128は、2つの回転軸部120C、120Dを結ぶ直線130に重なっている。ピン120は、凹部110と干渉していない。
【0032】
このように本実施例によれば、キャラクタライン108がフューエルリッド104上を通るように設定されていても、ピン120は、その陥没部120Eによって、フューエルリッド104に形成されたキャラクタライン108の一部である凹部110との干渉を回避することができる。したがってフューエルリッド104の構造を複雑化させることなくその平常時の開閉機能を維持することができる。言い換えれば、何ら対策を講じなければ凹部110がピン120と干渉するほどの深さにまで到達しまうところ、ピン120は、その陥没部120Eによって凹部110との干渉を避けている。
【0033】
また本実施例によれば、フューエルリッド104は、側突を受けた時に凹部110を起点として車内側へ折れ曲がっても、ピン120の陥没部120Eの分だけ余分に変形代(しろ)を有するため、側突のエネルギをより多く吸収できる。そのため、フューエルリッド104が変形しても、ピン120への干渉の度合いを低減することができ、軽度の側突であれば、フューエルリッド104は依然として開閉可能な状態を保つことができる。
【0034】
また本実施例によれば、ピン120の一部である陥没部120Eだけが車内側に陥没している。したがって、ピン120全体を車内側に移動させて凹部110との干渉を避ける方法に比較して、車室空間を圧迫するといった問題も少ない。
【0035】
(架設部)
図4に示すように、インナパネル114のうち2つの開口122、124の間には、架設部132が設けられている。この架設部132は、
図6(b)に示すように、凹部110の上下範囲R2内に位置している。
【0036】
かかる構成によれば、
図6(b)のフューエルリッド104のアウタパネル112に形成された凹部110は、側突時に車内側へ折れ曲がった際に、ピン120の陥没部120Eよりも先にインナパネル114の架設部132に当たることとなる。この架設部132によって側突のエネルギをより多く吸収できるため、側突時にフューエルリッド104のピン120への干渉の度合いをさらに低減することができ、フューエルリッド104が依然として開閉可能な状態を保つ可能性が高まる。
【0037】
また架設部132は、2つの開口122、124を設けたことで低下したフューエルリッド104の剛性を多少なりとも回復させるのに役立つ。
【0038】
(ヒンジ)
図7は
図1の車両用フューエルリッド支持構造100のB-B断面図である。
図7(a)はB-B断面を斜めから見た図であり、
図7(a)(b)はいずれも、ピン120の回転軸部120C、120Dのうち下の回転軸部120Dの途中でフューエルリッド104を切断した断面図となっている。
図7(b)は断面を上から見ていて、
図7(a)ではピン120を図示省略している。
【0039】
車両用フューエルリッド支持構造100は、ピン120の2つの回転軸部120C、120Dを軸支する軸受の役割を果たすヒンジ134を備えている。ヒンジ134はブラケット状の部材であり、回転軸部120C、120Dをそれぞれ上下対称な形状で軸支する。このヒンジ134がピン120を回転可能に軸支していることによって、車両用フューエルリッド支持構造100は、フューエルリッド104を開閉可能に支持している。
【0040】
ヒンジ134は、
図7(b)に示すように、2つの回転軸部120C、120Dからフューエルリッド104の中央(本実施例では車両後方)に近付くほど車内側(右側)へ延びている。そしてヒンジ134はフューエルリッドボックス116にボルト136・ナット138によって固定されている。
【0041】
図7(b)に示すフューエルリッド104の一部すなわちピン120からL字に屈曲した前縁までの部分は、フューエルリッド104が開くときの回転動作によって車内側に進入する。しかしながらヒンジ134が上述のような形状を有するため、フューエルリッド104はヒンジ134にただちには干渉せず、
図7(b)に破線で示すように、十分にフューエルリッド104が開いた段階でそのインナパネル114のL字のフランジ形状がヒンジ134に干渉する。したがって給油時にフューエルリッド104を十分に開くことが可能である。
【0042】
また、ヒンジ134は、前方で回転軸部120C、120Dを軸支しながら、フューエルリッド104とただちに干渉しない形状を有するため、フューエルリッド104の開閉時の回転軸部120C、120Dを、前方に設定することが可能となる。車室内側に回転軸部120C、120Dがあると、車室空間が狭くなるため、その分ピン120を後方に設定するか、サイドボディアウタ102との隙を広くとる必要があるところ、本実施例によれば、そのような必要がない。
【0043】
またヒンジ134の上記形状によれば、側突時にフューエルリッド104とヒンジ134とで側突のエネルギを吸収し、フューエルリッドボックス116への側突の影響を低減することができる。
【0044】
(スライドレール固定部)
車両用フューエルリッド支持構造100はさらに、
図6(a)に示すように、正面視においてフューエルリッドボックス116の下方に位置しサイドドア(図示省略)のスライドレール(図示省略)を固定するスライドレール固定部140を備えている。このスライドレール固定部140は、直線130で示すように、キャラクタライン108(凹部110)よりも車内側へ窪んでいる。
【0045】
かかるスライドレール固定部140によれば、側突時に車両側面すなわちサイドボディアウタ102が折れ始める起点を、キャラクタライン108(凹部110)よりも窪んでいるスライドレール固定部140とすることができる。これにより、給油口を覆っているフューエルリッド104の損傷をさらに低減することができる。
【0046】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。