(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072335
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】サインコーン表示装置
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20240521BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20240521BHJP
E01F 9/669 20160101ALI20240521BHJP
【FI】
E01F13/02 A
G09F7/18 Z
E01F9/669
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183054
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000141864
【氏名又は名称】株式会社京都スペーサー
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】坂口 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】横田 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】星田 義明
(72)【発明者】
【氏名】大石 雅之
【テーマコード(参考)】
2D064
2D101
【Fターム(参考)】
2D064AA12
2D064BA03
2D064CA01
2D064DB14
2D101DA05
2D101EA05
2D101FA12
2D101GA24
(57)【要約】
【課題】風が吹く屋外であっても表示体がサインコーンと共に倒れることなく情報の表示を円滑に行うことができるサインコーン表示装置を提供する。
【解決手段】サインコーンAの標識部A2よりも高所で表示体4を用いて注意喚起の情報を表示するサインコーン表示装置本体10に、標識部A2に対し上方からそれぞれ挿通され、かつ当該標識部A2の上下2個所でそれぞれ止着される2つの止着片11,12と、各止着片11,12を連結する連結片15と、下側の止着片12に下端が固定された状態で上方へ延びるねじ棒2と、ねじ棒2の上端に設けられ、標識部A2よりも高所で表示体4を掲示する掲示部材3とを設ける。更に、掲示部材3に、表示体4の上端に開口する左右の開口孔43を挿通し、当該表示体4を、その下端を自由端にした状態で垂下させるように係止している。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座部の中央より上方へ突出する略円錐台形状の標識部を備えたサインコーンにおいて、前記標識部よりも高所で表示体を用いて情報を表示することを可能とするサインコーン表示装置本体を備えたサインコーン表示装置であって、
前記サインコーン表示装置本体は、
前記標識部に対し上方からそれぞれ挿通され、かつ当該標識部の上下方向の複数位置でそれぞれ止着されるように当該複数位置での外径と略一致する内径に設定された挿通孔を有する複数の止着片と、
前記各止着片を上下方向に連結する連結片と、
前記各止着片のうちの最下側の止着片に下端が固定された状態で上方へ延びる長尺体と、
前記長尺体の上端に設けられ、前記標識部よりも高所において前記表示体を掲示する掲示部材と、
を備えており、
前記掲示部材には、前記表示体の上端に開口する単数又は複数の開口孔が挿通され、当該表示体がその下端を自由端にした状態で垂下するように係止されていることを特徴とするサインコーン表示装置。
【請求項2】
前記各止着片が前記標識部に挿通された際に当該標識部の中心に前記サインコーン表示装置本体の重心を近付けるように変更する重心変更手段を備えており、
前記重心変更手段は、前記各止着片のうちの上側の止着片の挿通孔の中心を下側の止着片の挿通孔の中心よりも前記連結片寄りに位置させるように設定されていて、前記各止着片が前記標識部に挿通された際に前記長尺体を前記サインコーン側に傾斜させるようにしている請求項1に記載のサインコーン表示装置。
【請求項3】
前記サインコーンは複数用いられているとともに、前記サインコーン表示装置本体は、前記各サインコーン毎に備えられており、
前記掲示部材と、前記各止着片及び前記連結片のうちの少なくとも一方とには、前記各サインコーン表示装置本体同士を繋ぐように連結する連結部材の端部を係止するための係止具が設けられている請求項1又は請求項2に記載のサインコーン表示装置。
【請求項4】
前記各止着片及び前記連結片は、前記各止着片が前記連結片に対し折曲された状態で一体的に成形されている請求項1に記載のサインコーン表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板状の台座部の中央より上方へ突出する略円錐台形状の標識部を備えたサインコーンにおいて、標識部に表示体を用いて情報を表示するようにしたサインコーン表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のサインコーン表示装置としては、サインコーンの標識部の上端に表示体を挿通させた状態で取り付けるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。表示体は、情報を表示する略鉛直面上の表示片と、この表示片の下端より略水平に折り曲げられ、中央部に標識部の上端を挿通させる挿通孔を有する折り曲げ片とを備えている。一方、サインコーンの上端には、突起状に膨らんだ複数のストッパが設けられている。
【0003】
そして、表示体は、挿通孔を介して標識部の上端を挿通させる際に折り曲げ片の各ストッパを個々に通過させる複数の凹部を有し、この各凹部により各ストッパの下側まで挿通孔を挿通させた状態で略水平に回転させることで、標識部の上端に固定されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記従来のものでは、表示体が標識部の上端に固定されているため、風が吹く屋外では、表示体に風が吹き付けられると、表示体がサインコーンと共に倒れてしまい、情報の表示を円滑に行えないおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、風が吹く屋外であっても表示体がサインコーンと共に倒れることなく情報の表示を円滑に行うことができるサインコーン表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明では、台座部の中央より上方へ突出する略円錐台形状の標識部を備えたサインコーンにおいて、前記標識部よりも高所で表示体を用いて情報を表示することを可能とするサインコーン表示装置本体を備えたサインコーン表示装置を前提とする。そして、前記サインコーン表示装置本体に、前記標識部に対し上方からそれぞれ挿通され、かつ当該標識部の上下方向の複数位置で止着されるように当該複数位置での外径と略一致する内径にそれぞれ設定された挿通孔を有する複数の止着片と、前記各止着片を上下方向に連結する連結片と、前記各止着片のうちの最下側の止着片に下端が固定された状態で上方へ延びる長尺体と、前記長尺体の上端に設けられ、前記標識部よりも高所において前記表示体を掲示する掲示部材と、を設ける。更に、前記掲示部材に、前記表示体の上端に開口する単数又は複数の開口孔を挿通し、当該表示体を、その下端を自由端にした状態で垂下させるように係止することを特徴としている。
【0008】
また、前記各止着片が前記標識部に挿通された際に当該標識部の中心に前記サインコーン表示装置本体の重心を近付けるように変更する重心変更手段を備える。そして、前記重心変更手段を、前記各止着片のうちの上側の止着片の挿通孔の中心を下側の止着片の挿通孔の中心よりも前記連結片寄りに位置させるように設定していて、前記各止着片が前記標識部に挿通された際に前記長尺体を前記サインコーン側に傾斜させるようにしていてもよい。
【0009】
また、前記サインコーンを複数用いるとともに、前記サインコーン表示装置本体を前記各サインコーン毎に備えている。そして、前記掲示部材と、前記各止着片及び前記連結片のうちの少なくとも1つとに、前記各サインコーン表示装置本体同士を繋ぐように連結する連結部材の端部を係止するための係止具を設けていてもよい。
【0010】
更に、前記各止着片及び前記連結片を、前記各止着片が前記連結片に対し折曲された状態で一体的に成形していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上、要するに、サインコーンの標識部の複数位置でそれぞれ止着された複数の止着片のうちの最下側の止着片より上方へ延びる長尺体の上端に設けた掲示部材によって、標識部よりも高所において表示体を掲示し、標識部よりも高所での表示体による情報の表示が行える。
【0012】
その場合、掲示部材に、表示体の上端に開口する単数又は複数の開口孔を挿通して、当該表示体の下端を自由端にした状態で垂下するように係止することで、風が吹く屋外において表示体に風が吹き付けられても、表示体が標識部の上端に固定されていないためにサインコーンと共に倒れることがない。このため、屋外において表示体に風が吹き付けられると、標識部よりも高所にて長尺体の上端の掲示部材に係止した表示体が風に吹かれて揺れ動き、表示体に対する風の吹き付け力が標識部にダイレクトに作用することがない。これにより、風が吹く屋外であっても表示体がサインコーンと共に倒れることなく、情報の表示を円滑に行うことができる。
【0013】
また、各止着片が標識部に挿通された際に当該標識部の中心にサインコーン表示装置本体の重心を近付けるように変更する重心変更手段を、各止着片のうちの上側の止着片の挿通孔の中心を下側の止着片の挿通孔の中心よりも連結片寄りに位置させるように設定することで長尺体をサインコーン側に傾斜させるようにしている。これにより、サインコーン表示装置本体の重心がサインコーンの中心に積極的に近付けられ、サインコーンの標識部に対し安定した状態でサインコーン表示装置本体を設置することができる。
【0014】
また、掲示部材と各止着片及び長尺体の一方とに設けたサインコーン表示装置本体の係止具に端部を係止する連結部材によって複数のサインコーン表示装置本体同士を繋ぐように連結しておけば、広範囲な表示区域での情報の表示が可能となる。
【0015】
その場合、標識部よりも高所となる長尺体の上端の掲示部材と、標識部の上端付近に位置する各止着片及び連結片のうちの少なくとも1つとに係止具をそれぞれ設けていることにより、複数のサインコーンの上端付近とそれよりも高所とを連結部材によってそれぞれ繋ぐように連結することができる。これにより、サインコーンの上端付近及びそれよりも高所において潜り難くかつ跨ぎ難い位置に連結部材を配置でき、広範囲な表示区域での誘導を効果的に行うことができる。
【0016】
また、各止着片を連結片に対し折曲した状態で一体的に成形することで、各止着片を連結片に対し取り付けるなどして組み付けなくとも折曲させるだけで組み立てることが可能となり、連結片に対する各止着片の組立性能を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るサインコーン表示装置をサインコーンに装着した状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1のサインコーン表示装置の斜視図である。
【
図3】
図2のサインコーン表示装置を正面から見た正面図である。
【
図4】
図2のサインコーン表示装置を背面から見た背面図である。
【
図5】
図2のサインコーン表示装置を右側方から見た右側面図である。
【
図6】
図2のサインコーン表示装置を左側方から見た左側面図である。
【
図7】
図2のサインコーン表示装置を上方から見た平面図である。
【
図8】
図2のサインコーン表示装置を下方から見た底面図である。
【
図9】
図2のサインコーン表示装置本体の各止着片及び連結片の展開図である。
【
図10】
図9の各止着片を連結片に対し折曲した状態で正面から見た正面図である。
【
図11】
図10の各止着片及び連結片を上方から見た平面図である。
【
図12】
図10の各止着片及び連結片を下方から見た底面図である。
【
図13】
図1のサインコーン表示装置本体の掲示部材に表示体を係止した状態を示す斜視図である。
【
図14】
図13のサインコーン表示装置本体を正面から見た正面図である。
【
図15】
図13のサインコーン表示装置本体を右側方から見た右側面図である。
【
図16】本発明の第2の実施の形態に係るサインコーン表示装置本体の各止着片及び連結片の展開図である。
【
図17】
図16の各止着片を連結片に対し折曲した状態で上方から見た平面図である。
【
図18】各実施の形態の変形例に係る3つのサインコーンにそれぞれサインコーン表示装置を装着し、かつ各サインコーンのサインコーン表示装置本体をそれぞれ連結部材によって連結した状態を示す斜視図である。
【
図19】
図18の各サインコーン表示装置本体を正面から見た正面図である。
【
図20】
図18の各サインコーン表示装置本体を右側方から見た右側面図である。
【
図21】各実施の形態のその他の変形例に係るサインコーンにサインコーン表示装置本体を装着した状態を示す斜視図である。
【
図22】
図21のサインコーンの上端に他の表示体を装着した状態を示す斜視図である。
【
図23】各実施の形態のその他の変形例に係るサインコーン表示装置本体に他の表示体を装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るサインコーン表示装置をサインコーンに装着した状態を示す斜視図を示している。
【0020】
図1に示すように、サインコーン表示装置1は、略正方形薄板状の台座部A1の中央より上方へ突出する標識部A2を備えたサインコーンAに装着されるサインコーン表示装置本体10を備えている。サインコーンAは、台座部A1及び標識部A2がポリエチレンなどの合成樹脂により一体成形されてなり、台座部A1の一辺の長さが380mmに、台座部A1の下端から標識部A2の先端(上端)までの高さが700mmにそれぞれ設定されている。なお、符号A4は、標識部A2の先端に脱着自在に装着されるキャップである。
【0021】
また、標識部A2は、台座部A1の中央より略300mmの直径で突出する大径部A3を有し、この大径部A3より同心上の略230mmの直径で上端が略45mmの直径となる略円錐台形状に形成されている。そして、サインコーン表示装置本体10は、サインコーンAの標識部A2よりも高所で表示体4(後述する)を用いて注意喚起などの情報を表示するようにしている。なお、台座部A1には、当該台座部A1とほぼ同じ形状に形成されて中心部に標識部A2を挿通可能な挿通孔を有し、かつ全体を合成ゴム等で形成したコーンウェイト(図示せず)が重しとして上から載置可能とされている。
【0022】
図2は
図1のサインコーン表示装置1の斜視図、
図3は
図2のサインコーン表示装置1を正面から見た正面図、
図4は
図2のサインコーン表示装置1を背面から見た背面図をそれぞれ示している。また、
図5は
図2のサインコーン表示装置1を右側方から見た右側面図、
図6は
図2のサインコーン表示装置1を左側方から見た左側面図をそれぞれ示している。更に、
図7は
図2のサインコーン表示装置1を上方から見た平面図、
図8は
図2のサインコーン表示装置1を下方から見た底面図をそれぞれ示している。
【0023】
図2~
図8にも示すように、サインコーン表示装置本体10(サインコーン表示装置1)は、サインコーンAの標識部A2の上端部に対しその上下方向の2個所の位置でそれぞれ止着されるように上方からそれぞれ挿通される上下の止着片11,12を備えている。この上下の止着片11,12には、それぞれ略真円形状の挿通孔13,14が設けられている。そして、上側の止着片11の挿通孔13は、標識部A2の上端から150mm下側の位置での外径と略一致する内径(たとえば内径約90mm)に設定されている。一方、下側の止着片12の挿通孔14は、標識部A2の上端から250mm下側の位置での外径と略一致する内径(たとえば内径約117mm)に設定されている。
【0024】
図9は
図2のサインコーン表示装置本体10の各止着片11,12及び連結片の展開図を示している。また、
図10は
図9の各止着片11,12を連結片に対し折曲した状態で正面から見た正面図、
図11は
図10の各止着片11及び連結片を上方から見た平面図、
図12は
図10の各止着片11,12及び連結片を下方から見た底面図をそれぞれ示している。
【0025】
図9~
図12にも示すように、サインコーン表示装置本体10は、止着片11,12を上下方向に連結する連結片15を備えている。この連結片15は、上下の止着片11,12と共に一体に成形されている。連結片15及び各止着片11,12は、厚さ略3.5mmの鋼板より型抜きされて形成され、表面を亜鉛めっきにより処理している。
【0026】
各止着片11,12は、連結片15の上下方向略中間位置及び下端より略90°折曲され、互いに略100mm程度離間した状態で互いに上下方向で対峙している。そして、下側の止着片12が連結片15の下端より折曲されているのに対し、上側の止着片11は、連結片15の上下方向略中間位置の左右方向中央部分を残して左右両側部分のみが折曲されている。また、上側の止着片11の左右両側部分の間には、上側の止着片11の挿通孔14から連結片15側へ延びる略矩形状の切欠孔16が形成されている。この場合、連結片15の上下方向略中間位置より折曲された上側の止着片11の挿通孔13の中心Oと、連結片15の下端より折曲された下側の止着片12の挿通孔14の中心Pとは、同一鉛直線上に位置している。
【0027】
また、サインコーン表示装置本体10は、下側の止着片12の挿通孔14よりも連結片15側に下端が固定された長尺体としてのねじ棒2を備えている。このねじ棒2は、鋼材により形成され、表面が亜鉛めっきにより処理されている。また、ねじ棒2は、上下両端部にそれぞれ略30mmずつの上側及び下側ねじ部21,22を有し、両ねじ部21,22を含む全長が略610mmの長さに設定されている。そして、ねじ棒2は、下側ねじ部22が下側の止着片12のねじ孔17に上方から螺合された状態で止着片12よりも下方へ突出し、この下方へ突出する下側ねじ部22に対し止着片12を挟んでナット23により強固に止着され、下側の止着片12より上側の止着片11の切欠孔16を介し上方へ延びている。この場合、ねじ棒2は、連結片15よりもサインコーンA寄りに位置している。
【0028】
図13は
図1のサインコーン表示装置本体10の掲示部材に表示体を係止した状態を示す斜視図を示している。また、
図14は
図13のサインコーン表示装置本体10を正面から見た正面図、
図15は
図13のサインコーン表示装置本体10を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。
【0029】
図13~
図15に示すように、サインコーン表示装置本体10は、ねじ棒2の上端に取り付けられた掲示部材3を備えている。この掲示部材3は、略水平な平板状の水平部31を有し、この水平部31の中央に設けられたねじ孔(図示せず)にねじ棒2の上側ねじ部21が下方から螺合された状態で水平部31よりも上方へ突出し、この上方へ突出する上側ねじ部21に対し水平部31を挟んで袋ナット24により強固に止着されている。この場合、掲示部材3も、厚さ略3.5mmの鋼板より型抜きされて形成され、表面を亜鉛めっきにより処理されている。
【0030】
掲示部材3の水平部31には、標識部A2よりも高所において表示体4を掲示する左右一対の掲示片33,33が設けられている。表示体4は、透明なラミネートチューブよりなる2枚の合わせパネル材41,41よりなり、両合わせパネル材41,41の間に注意喚起の情報、具体的には「立入禁止(KEEP OUT)」などの情報を記載したシート42を挟んで表示するようにしている。この場合、表示体4は、その下端がサインコーンAの上端よりも高所に位置し、表示体4に表示した情報がサインコーンAに遮られることなく円滑に表示されるようにしている。
【0031】
また、各掲示片33は、掲示部材3の水平部31におけるサインコーンA側(
図15では左側)の左右両端より下方へ延びたのちに反サインコーンA側(
図15では右側)へ開口するように略コの字状に屈曲している。また、各掲示片33は、表示体4の各合わせパネル材41の上端に開口する左右一対の開口孔43,43に挿通される。そして、各掲示片33は、表示体4の上端の左右の開口孔43,43に挿通されると、当該表示体4の下端を自由端にした状態で垂下させるように係止される。このとき、各掲示片33の先端は、水平部31の左右両端より下方へ延びる延設部分に対し表示体4の厚み程度の隙間を有し、各開口孔43の挿通を可能にしている。
【0032】
更に、掲示部材3の水平部31には、その反サインコーンA側の左右両位置より上方へそれぞれ20mm程度突出したのちに互いに向き合う方向へ略水平に延びる左右一対の上端係止具34,34が設けられている。また、下側の止着片11の反サインコーンA側端にも、左右一対の下側係止具35,35が設けられている。更に、連結片15の上端にも、左右一対の上側係止具36,36が設けられている。
【0033】
各下側係止具35は、下側の止着片11の反サインコーンA側端左右両位置よりそれぞれ上方へ延出されている。この各下側係止具35の延出端(上端)は、連結片15との間隔を狭めるように当該連結片15側に折れ曲がっている。この場合、各下側係止具35には、図示しないペグに一端が取り付けられたガイロープの他端が止着されている。
【0034】
一方、各上側係止具36は、連結片15の上端左右両位置よりそれぞれ上方へ延出されたのちに互いに向き合う方向(内方)へ突出している。この各上側係止具36の突出端(内方端)は、連結片15の上端との間隔を狭めるように当該連結片15の上端側(斜め下方)に折れ曲がっている。
【0035】
したがって、本実施の形態では、サインコーンAの標識部A2の上端部に対しその上下方向の2個所の位置でそれぞれ止着された2つの止着片11,12のうちの下側の止着片12より上方へ延びるねじ棒2の上端に設けた掲示部材3の各掲示片33によって、標識部A2よりも高所において表示体4を掲示し、標識部A2よりも高所での表示体4による「立入禁止(KEEP OUT)」などの注意喚起の情報の表示が行える。
【0036】
その場合、各掲示片33に、表示体4の上端に開口する左右の開口孔43,43を挿通すると、当該表示体4が下端を自由端にした状態で垂下させるように係止されるので、風が吹く屋外において表示体4に風が吹き付けられても、表示体4が標識部A2の上端に固定されていないためにサインコーンAと共に倒れることがない。このため、屋外において表示体4に風が吹き付けられると、標識部A2よりも高所にてねじ棒2の上端の各掲示片33に係止した表示体4が風に吹かれて揺れ動き、表示体4に対する風の吹き付け力が標識部A2にダイレクトに作用することがない。これにより、風が吹く屋外であっても表示体4がサインコーンAと共に倒れることなく、注意喚起の情報の表示を円滑に行うことができる。
【0037】
また、連結片15が上下の止着片11,12と共に鋼板より型抜きされて一体に成形され、各止着片11,12が連結片15の上下方向略中間位置及び下端より略90°折曲した状態で一体的に成形されている。これにより、各止着片11,12を連結片15に対し取り付けるなどして組み付けなくとも折曲させるだけで組み立てることが可能となり、連結片15に対する各止着片11,12の組立性能を図ることができる。
【0038】
また、ねじ棒2が連結片15よりもサインコーンA寄りに位置しているので、各止着片11,12をサインコーンAの標識部A2に挿通した際に当該標識部A2の中心にサインコーン表示装置本体10の重心が近付けられることになる。これにより、サインコーンAの標識部A2に対し安定した状態でサインコーン表示装置本体10を設置することができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0040】
本実施の形態では、上側の止着片11の挿通孔13の中心Oと下側の止着片12の挿通孔14の中心Pとを同一鉛直線上から離間させている。なお、サインコーン及びサインコーン表示装置本体の構成は、前記実施の形態と同じであるので、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0041】
図16は本発明の第2の実施の形態に係るサインコーン表示装置本体10の各止着片11,12及び連結片15の展開図をしめしている。また、
図17は
図16の各止着片11,12を連結片15に対し折曲した状態で上方から見た平面図を示している。
【0042】
すなわち、本実施の形態では、
図16及び
図17に示すように、サインコーン表示装置本体10は、各止着片11,12が標識部A2に挿通された際に当該標識部A2の中心にサインコーン表示装置本体10の重心を積極的に近付けるように変更する重心変更手段Xを備えている。この重心変更手段Xは、上側の止着片11の挿通孔13の中心Oが下側の止着片12の挿通孔14の中心Pよりも若干量(たとえば数ミリ程度)だけ連結片15寄りに位置するように設定されていて、各止着片11,12が標識部A2に挿通された際にねじ棒2をサインコーンA側に微量(例えば1~2°程度)だけ傾斜させるようにしている。
【0043】
したがって、本実施の形態では、各止着片11,12がサインコーンAの標識部A2に挿通された際に重心変更手段Xによって、上側の止着片11の挿通孔13の中心Oを下側の止着片12の挿通孔14の中心Pよりも連結片15寄りに位置させるように設定することでねじ棒2がサインコーンA側に傾斜し、標識部A2の中心にサインコーン表示装置本体10の重心を積極的に近付けるように変更している。これにより、サインコーンAの標識部A2に対しより安定した状態でサインコーン表示装置本体10を設置することができる。
【0044】
次に、各実施の形態の変形例を図面に基づいて説明する。
【0045】
本変形例では、3つのサインコーンA,A,Aにそれぞれサインコーン表示装置本体10を装着した状態を示している。なお、サインコーンA及びサインコーン表示装置本体1の構成は、前記実施の形態と同じであるので、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0046】
図18は各実施の形態の変形例に係る3つのサインコーンA,A,Aにそれぞれサインコーン表示装置10を装着し、かつ各サインコーンAのサインコーン表示装置本体10をそれぞれ連結部材によって連結した状態を示す斜視図を示している。また、
図19は
図18の各サインコーン表示装置本体10を正面から見た正面図、
図20は
図18の各サインコーン表示装置本体10を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。
【0047】
図18~
図20に示すように、掲示部材3の水平部31の左右の上端係止具34,34、並びに下側の止着片11の反サインコーンA側端の左右の下側係止具35,35、及び連結片15の上端の左右の上側係止具36,36には、注意喚起の情報を広範囲な表示区域で表示するに当たってサインコーンAが3つ並べて用いられる際に、当該各サインコーン表示装置本体10,10同士を繋ぐように連結する連結部材としてのプラスチックチェーン5の端部が係止されている。この場合、各プラスチックチェーン5の長さは、1800~3000mmに設定されている。
【0048】
各プラスチックチェーン5の端部は、各サインコーンAのサインコーン表示装置本体10の上端係止具34及び上側係止具36にそれぞれ係止されている。このとき、上側の左右のプラスチックチェーン5,5の高さが1000mm~1200mmに、側の左右のプラスチックチェーン5,5の高さが600mm~800mmにそれぞれ設定されている。また、各サインコーンAのうち、中央のサインコーンAのみに表示体4が設けられ、左右両側のサインコーンA,Aには表示体4が設けられてはいない。
【0049】
したがって、この変形例では、各サインコーン表示装置本体10の上端係止具34及び上側係止具36にそれぞれ端部を係止するプラスチックチェーン5,5,…によって3つのサインコーンA,A,A同士を繋ぐように連結しておけば、広範囲な表示区域での注意喚起の情報の表示が可能となる。
【0050】
その場合、標識部A2よりも高所となるねじ棒2の上端の掲示部材3の水平部31の上端係止具34と、標識部A2の上端付近に位置する連結片15の上端の上側係止具36とにそれぞれ端部が係止されたプラスチックチェーン5,5,…により、各サインコーンA の上端付近とそれよりも高所とをそれぞれ繋ぐように連結することができる。これにより、サインコーンAの上端付近及びそれよりも高所において潜り難くかつ跨ぎ難い位置にプラスチックチェーン5を配置でき、広範囲な表示区域への立ち入りを効果的に規制することができる。
【0051】
なお、本発明は、前記実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、
図21及び
図22に示すように、サインコーンAの標識部A2の先端よりキャップA4を取り外し、この取り外したキャップA4により露呈する凹部A5に表示体としての反射板6が装着されていてもよい。
【0052】
また、
図23に示すように、サインコーン表示装置本体10のねじ棒2の上側ねじ部21より袋ナット24を取り外し、この取り外した袋ナット24の代わりに表示体としての発光器7が装着されていてもよい。
【0053】
また、前記各実施の形態及び各変形例では、上下2つの止着片11,12を連結片15により連結したが、3つ以上の止着片が連結片によって連結されていてもよい。
【0054】
また、前記各実施の形態及び各変形例では、連結片15の上端に左右一対の上側係止具36,36を設けたが、各上側係止具に対応するねじ棒の下部位置に、鋼材により形成された左右一対の上側係止具が溶接などによって取り付けられていてもよい。この場合には、連結部材が上下の止着片を連結するだけの短いもので済む上、上下の止着片が連結部材の上下両端において略90°折曲すればよく、連結片及び各止着片の成形作業及び組立性能の向上を図ることが可能となる。
【0055】
また、前記各実施の形態及び各変形例では、連結部材としてプラスチックチェーン5を適用したが、両端部に係止具に対し係止可能な環状部を有するプラスチック製の棒状体が連結部材として適用されていてもよい。
【0056】
また、前記第2の実施の形態では、重心変更手段Xによりねじ棒2をサインコーンA側に微量(例えば1~2°程度)だけ傾斜させたが、下側の止着片の挿通孔の中心に対する上側の止着片の挿通孔の中心の位置の設定量を変更して、各止着片を標識部に挿通した際にねじ棒のサインコーンA側への傾斜量が変更されるようにしてもよい。
【0057】
また、前記各実施の形態及び各変形例では、長尺体としてねじ棒2を適用したが、板材やパイプ材などが長尺体として用いられていてもよい。
【0058】
また、前記各実施の形態及び各変形例では、表示体4の各合わせパネル材41の上端に左右一対の開口孔43,43を設けたが、開口孔は単数又は3つ以上であってもよい。その場合には、掲示片の個数も開口孔に応じて変更する必要がある。
【0059】
また、前記各実施の形態及び各変形例では、各止着片11,12及び連結片15を鋼板より型抜きして一体的に成形し、各止着片11,12を連結片15の上下方向略中間位置及び下端より略90°折曲させたが、上下の止着片及び連結片がそれぞれ別体に成形された状態で組付けられていてもよい。
【0060】
更に、前記各実施の形態及び各変形例では、サインコーンAの寸法やサインコーン表示装置本体10の止着片11,12、連結片15、ねじ棒2などの構成要件の寸法をそれぞれ明記したが、サインコーンの寸法やサインコーン表示装置の各構成要件の寸法はこれに限定されるものではなく、サインコーンの寸法に応じて変更可能であるのはいうまでもない。
【0061】
また、前記各実施の形態及び各変形例では、表示体4によって注意喚起の情報を表示したが、誘導案内の情報や喫煙所などの案内場所の目印となる情報等が表示されるようにしてもよい。
【0062】
また、前記変形例では、掲示部材3の水平部31の上端係止具34と、連結片15の上端の上側係止具36とにプラスチックチェーン5,5,…の端部を係止したが、掲示部材の水平部の上端係止具と、連結片の上端の上側係止具及び下側の止着片の反サインコーン側端の下側係止具のうちの少なくとも一方とに、プラスチックチェーンの端部が係止されていてもよい。
【0063】
また、前記各実施の形態及び各変形例では、止着片11,12、連結片15、ねじ棒2及び掲示部材3を表面が亜鉛めっきにより処理した鋼板及び鋼材により形成したが、硬質な合成樹脂などによって形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 サインコーン表示装置
10 サインコーン表示装置本体
11 上側の止着片
12 下側の止着片
13 上側の止着片の挿通孔
14 下側の止着片の挿通孔
15 連結片
2 ねじ棒(長尺体)
3 掲示部材
34 上端係止具(係止具)
35 下側係止具(係止具)
36 上側係止具(係止具)
4 表示体
43 開口孔
5 プラスチックチェーン(連結部材)
A サインコーン
A1 台座部
A2 標識部
X 重心変更手段