(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072339
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】検査管理システム、検査管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/40 20180101AFI20240521BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183061
(22)【出願日】2022-11-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 令和4年6月10日 ウェブサイトのアドレス https://www.toppan.co.jp/solution/service/passcode/self/
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】宮田 健一
(72)【発明者】
【氏名】沼田 徳樹
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 優
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】検査器具による検体の検査において検査結果の不正登録や誤登録を防止することが可能な検査管理システム、検査管理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】検体が第1の検査器具に対して供給された後に、第1の検査器具に付された読取用情報から読み取られる第1の検査器具の第1の個体識別情報を取得し、検体の検査が完了した後に、検体の検査結果と、検体の検査が完了した第2の検査器具に付された読取用情報から読み取られる第2の検査器具の第2の個体識別情報とを取得する取得部と、取得された第1の個体識別情報と第2の個体識別情報とに基づき、第1の検査器具と第2の検査器具とが同一であるか否かを判定する判定部と、第1の検査器具と第2の検査器具とが同一であると判定された場合に、第2の個体識別情報と共に取得された検体の検査結果を登録する登録制御部と、を備える検査管理システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体が第1の検査器具に対して供給された後に、前記第1の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第1の検査器具の個体を識別する第1の個体識別情報を取得し、前記検体の検査が完了した後に、前記検体の検査結果と、前記検体の検査が完了した第2の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第2の検査器具の個体を識別する第2の個体識別情報とを取得する取得部と、
取得された前記第1の個体識別情報と前記第2の個体識別情報とに基づき、前記検体が供給された前記第1の検査器具と、前記検体の検査が完了した前記第2の検査器具とが同一であるか否かを判定する判定部と、
前記第1の検査器具と前記第2の検査器具とが同一であると判定された場合に、前記第2の個体識別情報と共に取得された前記検体の検査結果を登録する登録制御部と、
を備える検査管理システム。
【請求項2】
前記第1の個体識別情報が読み取られた時刻から経過した時間に基づき、前記第2の個体識別情報の読み取りを制御する読取制御部、
をさらに備える請求項1に記載の検査管理システム。
【請求項3】
前記読取制御部は、前記第1の個体識別情報が読み取られた時刻から、前記検体の検査に必要な時間が経過した場合に、前記第2の個体識別情報を読み取り可能にする、
請求項2に記載の検査管理システム。
【請求項4】
前記検体の検査に使用された検査器具の個体識別情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記個体識別情報に基づき、取得された前記第1の個体識別情報が付与された前記第1の検査器具を使用することの受け付けを制御する受付制御部と、
をさらに備える請求項1に記載の検査管理システム。
【請求項5】
前記受付制御部は、取得された前記第1の個体識別情報と同一の個体識別情報が前記記憶部に記憶されている場合、取得された前記第1の個体識別情報が付与された前記第1の検査器具の使用を受け付けない、
請求項4に記載の検査管理システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記第2の個体識別情報の読み取り時に前記第2の検査器具が撮像された撮像画像と、前記第2の個体識別情報が読み取られた日時とをさらに取得し、
前記登録制御部は、取得された前記第2の個体識別情報と、前記検査の検査結果と、前記撮像画像と、前記日時とを対応付けて登録する、
請求項1に記載の検査管理システム。
【請求項7】
前記取得部は、前記第2の個体識別情報の読み取り時に、前記検体の検査結果が表示される領域が含まれるように前記第2の検査器具が撮像された撮像画像を取得し、
前記判定部は、前記撮像画像に基づき、前記検体の検査結果を判定する、
請求項1に記載の検査管理システム。
【請求項8】
取得部が、検体が第1の検査器具に対して供給された後に、前記第1の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第1の検査器具の個体を識別する第1の個体識別情報を取得し、前記検体の検査が完了した後に、前記検体の検査結果と、前記検体の検査が完了した第2の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第2の検査器具の個体を識別する第2の個体識別情報とを取得する取得過程と、
判定部が、取得された前記第1の個体識別情報と前記第2の個体識別情報とに基づき、前記検体が供給された前記第1の検査器具と、前記検体の検査が完了した前記第2の検査器具とが同一であるか否かを判定する判定過程と、
登録制御部が、前記第1の検査器具と前記第2の検査器具とが同一であると判定された場合に、前記第2の個体識別情報と共に取得された前記検体の検査結果を登録する登録制御過程と、
を含む検査管理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
検体が第1の検査器具に対して供給された後に、前記第1の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第1の検査器具の個体を識別する第1の個体識別情報を取得し、前記検体の検査が完了した後に、前記検体の検査結果と、前記検体の検査が完了した第2の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第2の検査器具の個体を識別する第2の個体識別情報とを取得する取得手段と、
取得された前記第1の個体識別情報と前記第2の個体識別情報とに基づき、前記検体が供給された前記第1の検査器具と、前記検体の検査が完了した前記第2の検査器具とが同一であるか否かを判定する判定手段と、
前記第1の検査器具と前記第2の検査器具とが同一であると判定された場合に、前記第2の個体識別情報と共に取得された前記検体の検査結果を登録する登録制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査管理システム、検査管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査器具(例えば抗原検査キット)を用いた検査の結果を管理するための技術が各種提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、検査器具による検査結果を証明するための技術が開示されている。当該技術では、検査器具の開封前の包装を撮影した画像と検査器具による検査の終了状態を撮影した画像と、各画像の撮影日時と、検査結果とが取得され、それぞれ対応付けて管理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、検査器具の個体を識別可能な情報が開封前の包装にしか印刷されておらず、検査前に撮影される画像に写る開封前の包装に入っている検査器具と、検査終了後に撮影される画像に写る検査器具とが同一であるか否かを判定することができない。このため、検査を行う者が検査後の検査器具を意図して別の検査器具に入れ替えた場合には不正登録ができてしまう。また、検査を行う者が意図せず検査器具を取り違えた場合には誤登録が発生する可能性がある。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、検査器具による検体の検査において検査結果の不正登録や誤登録を防止することが可能な検査管理システム、検査管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る検査管理システムは、検体が第1の検査器具に対して供給された後に、前記第1の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第1の検査器具の個体を識別する第1の個体識別情報を取得し、前記検体の検査が完了した後に、前記検体の検査結果と、前記検体の検査が完了した第2の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第2の検査器具の個体を識別する第2の個体識別情報とを取得する取得部と、取得された前記第1の個体識別情報と前記第2の個体識別情報とに基づき、前記検体が供給された前記第1の検査器具と、前記検体の検査が完了した前記第2の検査器具とが同一であるか否かを判定する判定部と、前記第1の検査器具と前記第2の検査器具とが同一であると判定された場合に、前記第2の個体識別情報と共に取得された前記検体の検査結果を登録する登録制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る検査管理方法は、取得部が、検体が第1の検査器具に対して供給された後に、前記第1の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第1の検査器具の個体を識別する第1の個体識別情報を取得し、前記検体の検査が完了した後に、前記検体の検査結果と、前記検体の検査が完了した第2の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第2の検査器具の個体を識別する第2の個体識別情報とを取得する取得過程と、判定部が、取得された前記第1の個体識別情報と前記第2の個体識別情報とに基づき、前記検体が供給された前記第1の検査器具と、前記検体の検査が完了した前記第2の検査器具とが同一であるか否かを判定する判定過程と、登録制御部が、前記第1の検査器具と前記第2の検査器具とが同一であると判定された場合に、前記第2の個体識別情報と共に取得された前記検体の検査結果を登録する登録制御過程と、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、検体が第1の検査器具に対して供給された後に、前記第1の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第1の検査器具の個体を識別する第1の個体識別情報を取得し、前記検体の検査が完了した後に、前記検体の検査結果と、前記検体の検査が完了した第2の検査器具に付された読取用情報から読み取られる前記第2の検査器具の個体を識別する第2の個体識別情報とを取得する取得手段と、取得された前記第1の個体識別情報と前記第2の個体識別情報とに基づき、前記検体が供給された前記第1の検査器具と、前記検体の検査が完了した前記第2の検査器具とが同一であるか否かを判定する判定手段と、前記第1の検査器具と前記第2の検査器具とが同一であると判定された場合に、前記第2の個体識別情報と共に取得された前記検体の検査結果を登録する登録制御手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検査器具による検体の検査において検査結果の不正登録や誤登録を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る検査管理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る検査器具の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る管理サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る1回目の読み取りを行う場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図6】本実施形態に係る2回目の読み取りを行う場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
【0013】
<1.検査管理システムの概略構成>
図1を参照して、本実施形態に係る検査管理システムの概略構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る検査管理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す検査管理システム1は、検査器具を用いた検査の結果を管理するためのシステムである。
図1に示すように、検査管理システム1は、ユーザ端末10と、管理サーバ20と、検査器具30とを備える。
【0014】
ユーザ端末10と管理サーバ20は、ネットワークNWを介して、通信可能に接続されている。ネットワークNWには、情報の授受を行うための構成として、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、地域IP(Internet Protocol)網、インターネット等が適用される。
【0015】
(1)ユーザ端末10
ユーザ端末10は、検査器具30を用いた検査を実施する者(ユーザ)が有する端末である。検査を実施する者は、例えば、検査対象者(患者)自身であってもよいし、検査対象者以外の者であってもよい。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末、又はPC(Personal Computer)などである。
【0016】
ユーザ端末10には、ユーザによる検体の検査から検査結果の登録までを支援するためのアプリケーション(以下、「検査支援アプリ」とも称される)によって、検査支援のための画面が表示される。ユーザは、検査支援アプリによってユーザ端末10に表示される画面に従って検体の検査から検査結果の登録までの作業を行う。
本実施形態では、検査支援アプリの機能は、Webシステム(即ちWebアプリ)によって提供される。このため、検査支援アプリはサーバ(例えば管理サーバ20)で管理されており、その機能はWebブラウザを介して提供される。
【0017】
(2)管理サーバ20
管理サーバ20は、ユーザ端末10によって取得される情報に基づく管理を行うサーバである。管理サーバ20は、1つ又は複数のサーバ(例えば、クラウドサーバ)で構成される。
【0018】
(3)検査器具30
検査器具30は、臨床検査薬の構成要素となる器具である。臨床検査薬は、疾患の有無を検査するために用いられる。検査方法には、例えば、ラテラルフローアッセイ(ラテラルフロー法)、ELISPOT法など、疾患の有無を診断するために検査対象物の存在の有無を検査する方法がある。免疫アッセイが適用されるラテラルフローアッセイのことを、特に、イムノクロマトグラフィーと呼ぶことがある。なお、臨床検査薬には、検体を採取するための検体採取治具、抽出液、検出用試薬等が含まれていてもよい。
【0019】
ここで、
図2を参照して、本実施形態に係る検査器具30について説明する。
図2は、本実施形態に係る検査器具30の一例を示す図である。
図2に示すように、検査器具30は、二次元コード310と、供給部320と、呈色部330とを備える。
【0020】
(3-1)二次元コード310
二次元コード310は、検査器具30の個体識別情報が埋め込まれた二次元のコード画像である。二次元コード310は、読取用情報の一例である。読取用情報は、検査器具30の筐体に付される。読取用情報は、検査器具30の筐体に対して直接印刷されてもよいし、検査器具30に貼付するシールなどに印刷されてもよい。
個体識別情報は、検査器具30を一意に識別する情報であって、例えば、検査器具30の製造メーカ名、ロット番号、及び製造番号、検査対象物、検査対象物に対応する疾患、その疾患の項目などを示す情報である。
なお、検査器具30においてその個体識別情報が何らかの方法で特定可能であればよく、例えば、個体識別情報が検査器具30にそのまま印刷されている場合には二次元コード310は省略されてもよい。
【0021】
(3-2)供給部320
供給部320は、検体が供給される領域である。供給部320は、例えば、検体供給窓321を備える。例えば、検体供給窓321に、検査対象者の検体が供給されることによって、供給部320に検体が供給される。検体は、検体採取治具によって、例えば検査対象者の鼻腔、口腔、咽頭などから採取される。採取された検体は、抽出液によって検体採取治具から抽出され、検体と抽出液からなる試料(検体液)として調製される。供給部320には、検体供給窓321に試料が滴下されることで、当該試料に含まれる検体が供給される。
【0022】
(3-3)呈色部330
呈色部330は、呈色反応の結果が表示される領域である。呈色反応は、検体に検査対象物が含まれていた場合に変色又は発色する化学反応である。呈色部330は、例えば、コントロールライン331と、テストライン332とを備える。コントロールライン331は、供給部320に供給された検体が、呈色部330まで正常に移動した場合に、線(ライン)が現れる領域である。テストライン332は、検体中に、標的とするウイルスや抗体等(検査対象物)が存在する場合に線が現れる領域である。なお、検査対象物が複数種類ある場合、それぞれの検査対象物に対応する複数のテストライン332が呈色部330に設けられてもよい。
【0023】
(検体について)
本実施形態における検体は、検査対象者から採取された検体である。検体は、例えば、綿棒などで喉をこすることによって採取された粘液等である。検体は、液体であることが望ましく、例えば、末梢血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液、痰、唾液、骨髄、滑液、眼房水、羊水、耳垢、母乳、気管支肺胞洗浄液、精液、前立腺液、カウパー液若しくは射精前液、汗、糞便、毛髪、涙、嚢胞液、胸水若しくは腹水、囲心腔液、リンパ液、糜粥、乳糜、胆汁、間質液、月経分泌物、膿、皮脂、嘔吐物、膣分泌物、粘膜からの分泌物、水便、膵液、鼻腔からの分泌液、咽頭からの分泌液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、鼻腔からの洗浄液、気管支肺吸引物、胚盤胞腔液、臍帯血等であり、疾患を診断する際の指標となる物質を含んだものである。
【0024】
(検査対象物について)
本実施形態における検査対象物は、臨床検査薬で検査する対象となる物質である。例えば、検査対象物は、細胞、菌、ウイルス、エクソソーム、核酸、ポリペプチド(抗原ならびに抗体を含む)、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、糖質、多糖、糖タンパク、低分子化合物、細胞もしくは菌からの代謝物、ならびに菌もしくはウイルス、エクソソームの断片等の単独の物質(物体)もしくはこれらの複合体の物質(物体)である。
【0025】
(疾患について)
本実施形態における疾患は、病気のことであり、代表的な分類として、がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症などがある。
【0026】
(疾患の項目について)
疾患の項目は、上記の疾患をより細分化したものであって、疾患の原因および代謝物、現象などがある。例えば、疾患の項目は、コロナウイルス、インフルエンザ、アデノウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIV、ヘルペスウイルス、ノロウイルス、ヒトメタニューモウイルス、A群ベータ溶連菌、ヘリコバクターピロリ、梅毒トレポネーマ、マイコプラズマ、クロストリジウムディフィシル、マイコバクテリウム、大腸菌O157、大腸菌ベロ毒素、肺炎球菌、レジオネラ、プロカルシトニン、クラミジア、淋菌、アレルギー性結膜炎、黄体形成ホルモン(LH)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)、BNP、NT-proBNP、CK-MB、ミオグロビン、トロポニン、Dダイマー、H-FABP、顆粒球エラスターゼ、癌胎児性抗原(CEA)、便潜血、インスリン様成長因子結合タンパク、fFN、アレルギー検査、CRP、抗CCP抗体などがある。
【0027】
<2.ユーザ端末の機能構成>
以上、本実施形態に係る検査管理システム1の概略構成について説明した。続いて、
図3を参照して、本実施形態に係るユーザ端末10の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係るユーザ端末10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、ユーザ端末10は、通信部110と、入力部120と、撮像部130と、記憶部140と、制御部150と、出力部160とを備える。
【0028】
(1)通信部110
通信部110は、各種情報を送受信する機能を有する。例えば、通信部110は、管理サーバ20と通信を行い、各種情報を送受信する。
【0029】
(2)入力部120
入力部120は、ユーザからの入力を受け付ける機能を有する。入力部120は、ユーザ端末10がハードウェアとして備える入力装置、例えばボタン、タッチパネル、マイクロフォン等によって構成される。
【0030】
(3)撮像部130
撮像部130は、撮像画像を撮像する機能を有する。撮像部130は、例えば、ユーザ端末10がハードウェアとして備えるカメラによって構成される。
【0031】
(4)記憶部140
記憶部140は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部140は、ユーザ端末10がハードウェアとして備える記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0032】
(5)制御部150
制御部150は、ユーザ端末10の動作全般を制御する機能を有する。制御部150は、例えば、ユーザ端末10がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
図3に示すように、制御部150は、操作受付部151と、読取部152と、日時取得部153と、撮像画像取得部154と、検査結果取得部155と、出力制御部156とを備える。
【0033】
(5-1)操作受付部151
操作受付部151は、入力部120に入力されたユーザの操作を受け付ける機能を有する。ユーザは、例えば、事前準備操作、読取操作、検査結果入力操作などを行う。
事前準備操作では、ユーザは、まず検査支援アプリを起動する。初回起動時の場合、ユーザは、個人情報や顔写真などの事前登録を行う。事前登録済みの場合、ユーザは、サインインを行う。サインイン後、ユーザは、検査の事前準備として、画面に表示される検査の流れを確認する。
【0034】
読取操作では、ユーザは、個体識別情報の読み取りを2回行う。1回目の読み取りは、検査器具30に対して検体が供給された後に行われる。なお、1回目の読み取りは、検査器具30に対して検体が供給されてから、検査器具30に設定された規定反応時間が経過する前(即ち呈色部330に反応が出始める前)までに行われればよいが、検査器具30に対して検体が供給された直後に行われることが好ましい。1回目の読み取りにより、第1の検査器具に付された読取用情報から第1の検査器具の個体を識別する第1の個体識別情報が読み取られ、同時に読取日時も記録される。
2回目の読み取り操作は、検体の検査が完了した後に行われる。2回目の読み取りにより、第2の検査器具に付された読取用情報から第2の検査器具の個体を識別する第2の個体識別情報が読み取られ、同時に読取日時も記録される。
【0035】
検査結果入力操作では、ユーザは、検査器具30の呈色部330の変化から読み取った検査結果を入力する。検査結果の入力時、ユーザ端末10には、例えば、「陰性」又は「陽性」を選択するだけで検査結果を入力可能な画面(以下、「検査結果入力画面」とも称される)が表示される。さらに、ユーザ端末10には、ユーザが検査結果を判定するためのガイドが表示されてもよい。ユーザは、当該ガイドを確認することで検査結果を容易かつより正確に判定することができる。
【0036】
(5-2)読取部152
読取部152は、個体識別情報を読み取る機能を有する。例えば、読取部152は、撮像部130の撮像範囲において二次元コード310が検知されると、当該二次元コード310から個体識別情報を読み取る。また、読取部152は、撮像部130によって撮像された撮像画像に写る二次元コード310から、個体識別情報を読み取ってもよい。
本実施形態では、読取部152は、1回目の読み取り時には二次元コード310が検知されたタイミングで二次元コード310から個体識別情報を読み取る。また、読取部152は、2回目の読み取り時には撮像画像に写る二次元コード310から個体識別情報を読み取る。
【0037】
(5-3)日時取得部153
日時取得部153は、日時を取得する機能を有する。例えば、日時取得部153は、読取部152によって個体識別情報が読み取られた日時(以下、「読取日時」とも称される)を取得する。また、日時取得部153は、操作受付部151が2回目の読取操作を受け付けた日時(以下、「操作受付日時」とも称される)を取得する。
【0038】
(5-4)撮像画像取得部154
撮像画像取得部154は、撮像画像を取得する機能を有する。例えば、撮像画像取得部154は、2回目の読み取り時に撮像部130によって、二次元コード310が写るように検査器具30(第2の検査器具)が撮像された撮像画像を取得する。
【0039】
(5-5)検査結果取得部155
検査結果取得部155は、検査結果を取得する機能を有する。例えば、検査結果取得部155は、ユーザによる検査結果入力操作にて入力される検査結果を取得する。
【0040】
(5-6)出力制御部156
出力制御部156は、各種画面や情報の出力を制御する機能を有する。例えば、出力制御部156は、検査支援アプリの画面を出力部160に表示させる。また、出力制御部156は、通信部110が管理サーバ20から受信する情報を出力部160に表示させる。通信部110が管理サーバ20から受信する情報は、例えば、読取結果やエラー情報などである。
【0041】
(6)出力部160
出力部160は、各種情報を出力する機能を有する。出力部160は、ユーザ端末10がハードウェアとして備える出力装置、例えばディスプレイ装置やタッチスクリーン(タッチパネル)などの表示装置やスピーカなどの音声出力装置によって構成される。
【0042】
<3.管理サーバの機能構成>
以上、本実施形態に係るユーザ端末10の機能構成について説明した。続いて、
図4を参照して、本実施形態に係る管理サーバ20の機能構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る管理サーバ20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、管理サーバ20は、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを備える。
【0043】
(1)通信部210
通信部210は、各種情報を送受信する機能を有する。例えば、通信部210は、ユーザ端末10と通信を行い、各種情報を送受信する。
【0044】
(2)記憶部220
記憶部220は、管理サーバ20がハードウェアとして備える記憶媒体、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROM、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
図4に示すように、記憶部220は、個体識別情報DB(Data Base)221を備える。
【0045】
(2-1)個体識別情報DB221
個体識別情報DB221は、検体の検査に使用された検査器具の個体識別情報を記憶するデータベース(DB)である。
【0046】
(3)制御部230
制御部230は、管理サーバ20の動作全般を制御する機能を有する。制御部230は、例えば、管理サーバ20がハードウェアとして備えるCPUにプログラムを実行させることによって実現される。
図4に示すように、制御部230は、取得部231と、判定部232と、受付制御部233と、読取制御部234と、登録制御部235とを備える。
【0047】
(3-1)取得部231
取得部231は、ユーザ端末10で取得された各種情報を取得する機能を有する。例えば、取得部231は、通信部210がユーザ端末10から受信する個体識別情報、読取日時、撮像画像、検査結果、操作受付日時などを取得する。
【0048】
具体的に、取得部231は、検体が第1の検査器具30に対して供給された後(1回目の読み取り時)に、第1の検査器具30に付された二次元コード310から読み取られる第1の個体識別情報を取得する。この時、取得部231は、第1の個体識別情報の読取日時も取得する。
また、取得部231は、検体の検査が完了した後にユーザ端末10が2回目の読取操作を受け付けた際に、操作受付日時を取得する。
また、取得部231は、検体の検査が完了した後にユーザ端末10は検査結果の入力を受け付けた際に、検体の検査が完了した第2の検査器具30に付された二次元コード310から読み取られる第2の個体識別情報を取得する。この時、取得部231は、第2の検査器具30の撮像画像、第2の個体識別情報の読取日時、入力された検査結果も取得する。
【0049】
(3-2)判定部232
判定部232は、各種の判定を行う機能を有する。例えば、判定部232は、使用済判定、時間経過判定、同一判定などを行う。
【0050】
使用済判定では、判定部232は、取得部231によって取得された第1の個体識別情報が付与されている検査器具30が検査に使用済みであるか否かを判定する。例えば、判定部232は、記憶部220に記憶された個体識別情報(個体識別情報DB221)に基づき、使用済判定を行う。
第1の個体識別情報が個体識別情報DB221に存在する場合、判定部232は、第1の個体識別情報が付与された検査器具30が使用済みであると判定する。一方、第1の個体識別情報が個体識別情報DB221に存在しない場合、判定部232は、第1の個体識別情報が付与された検査器具30が使用済みでないと判定する。
【0051】
また、時間経過判定では、判定部232は、第1の個体識別情報の読取日時が示す時刻から検体の検査に必要な時間(以下、「検査必要時間」とも称される)が経過したか否かを判定する。例えば、判定部232は、取得部231によって取得された操作受付日時に基づき、時間経過判定を行う。
第1の個体識別情報の読取日時が示す時刻と操作受付日時が示す時刻との差分が検査経過時間以上である場合、判定部232は、検査必要時間が経過したと判定する。一方、第1の個体識別情報の読取日時が示す時刻と操作受付日時が示す時刻との差分が検査経過時間未満である場合、判定部232は、検査必要時間が経過していないと判定する。
【0052】
また、同一判定では、判定部232は、検体が供給された第1の検査器具30と検体の検査が完了した第2の検査器具30とが同一であるか否かを判定する。例えば、判定部232は、取得部231によって取得された第1の個体識別情報と第2の個体識別情報とに基づき、同一判定を行う。
第1の個体識別情報と第2の個体識別情報が一致する場合、判定部232は、第1の検査器具30と第2の検査器具30とが同一であると判定する。一方、第1の個体識別情報と第2の個体識別情報が一致しない場合、判定部232は、第1の検査器具30と第2の検査器具30とが異なると判定する。
【0053】
(3-3)受付制御部233
受付制御部233は、第1の検査器具30を使用することの受け付けを制御する機能を有する。例えば、受付制御部233は、記憶部220に記憶された個体識別情報に基づき、取得部231によって取得された第1の個体識別情報が付与された第1の検査器具30を使用することの受け付けを制御する。即ち、受付制御部233は、判定部232による使用済判定の結果に応じて、第1の検査器具30を使用することの受け付けを制御する。
これにより、ユーザによる検査器具30の使い回しを防止することができる。検査器具30の使い回しは、例えば、ユーザが陰性証明を不正に受けるために、陰性判定された検査器具30を用いて行われる場合がある。
【0054】
具体的に、取得された第1の個体識別情報と同一の個体識別情報が記憶部220に記憶されていない場合、即ち、使用済判定にて使用済みでないと判定された場合、受付制御部233は、第1の検査器具30の使用を受け付けるよう制御する。
一方、取得された第1の個体識別情報と同一の個体識別情報が記憶部220に記憶されている場合、即ち、使用済判定にて使用済みであると判定された場合、受付制御部233は、第1の検査器具30の使用を受け付けないよう制御する。この場合、受付制御部233は、第1の検査器具30を使用できないことを示すエラーをユーザ端末10に表示させる。
【0055】
(3-4)読取制御部234
読取制御部234は、個体識別情報の読み取りを制御する機能を有する。例えば、読取制御部234は、第1の個体識別情報が読み取られた時刻から経過した時間に基づき、第2の個体識別情報の読み取りを制御する。即ち、読取制御部234は、判定部232による時間経過判定の結果に応じて、第2の個体識別情報の読み取りを制御する。
これにより、検体の供給から検査結果が出るまでユーザを待たせ、検査が確実に行われた検査器具30の個体識別情報をユーザに読み取らせることができる。
【0056】
具体的に、第1の個体識別情報が読み取られた時刻から検査必要時間が経過した場合、即ち、時間経過判定にて検査必要時間が経過したと判定された場合、読取制御部234は、第2の個体識別情報を読み取り可能にする。
一方、第1の個体識別情報が読み取られた時刻から検査必要時間が経過していない場合、即ち、時間経過判定にて検査必要時間が経過していないと判定された場合、読取制御部234は、第2の個体識別情報を読み取り不可にする。この場合、読取制御部234は、検査必要時間が経過していないことを示すエラーをユーザ端末10に表示させる。
【0057】
(3-5)登録制御部235
登録制御部235は、各種情報の登録を制御する機能を有する。例えば、登録制御部235は、第1の検査器具30と第2の検査器具30とが同一であるか否かに基づき、各種情報の登録を制御する。即ち、登録制御部235は、判定部232による同一判定の結果に応じて、各種情報の登録を制御する。
これにより、ユーザが検査後に意図して入れ替えた検査器具30の情報を登録することや、ユーザが意図せず取り違えた検査器具30の情報を登録することを防止することができる。
【0058】
具体的に、第1の検査器具と第2の検査器具とが同一である場合、即ち、同一判定にて第1の検査器具と第2の検査器具とが同一であると判定された場合、登録制御部235は、各種情報を登録する。
一方、第1の検査器具と第2の検査器具とが同一でない場合、即ち、同一判定にて第1の検査器具と第2の検査器具とが同一でないと判定された場合、登録制御部235は、各種情報を登録しない。この場合、登録制御部235は、第1の検査器具と第2の検査器具とが同一でないことを示すエラーをユーザ端末10に表示させる。
【0059】
なお、登録される各種情報は、例えば、個体識別情報と、撮像画像と、検査結果と、読取日時である。登録制御部235は、個体識別情報と、撮像画像と、検査結果と、読取日時とを対応付けて登録する。登録される個体識別情報は、第1の個体識別情報と第2の個体識別情報のどちらであってもよい。登録される撮像画像は、2回目の読み取り時に撮像された画像である。検査結果は、第2の個体識別情報と共に取得された検査結果である。読取日時は、少なくとも第2の個体識別情報の読取日時であり、第1の個体識別情報の読取日時が含まれてもよい。
【0060】
<4.処理の流れ>
以上、本実施形態に係る管理サーバ20の機能構成について説明した。続いて、
図5及び
図6を参照して、本実施形態に係る処理の流れについて説明する。
【0061】
(1)1回目の読み取りを行う場合の処理の流れ
まず、
図5を参照して、1回目の読み取りを行う場合の処理の流れについて説明する。
図5は、本実施形態に係る1回目の読み取りを行う場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0062】
図5に示すように、まず、ユーザは、事前準備操作を行う(ステップS101)。
次いで、ユーザは、検体準備を行う(ステップS102)。検体準備では、ユーザは、検査対象者から検体を採取し、当該検体を用いて試料調製を行う。
調製後、ユーザは、試料を検査器具30の検体供給窓321へ滴下することで、供給部320に検体を供給する(ステップS103)。
滴下直後、ユーザは、ユーザ端末10に対して、1回目の読取操作を行う(ステップS104)。
【0063】
ユーザ端末10の出力制御部156は、操作受付部151がユーザから読取操作を受け付けると、出力部160に読取画面を表示させる(ステップS105)。読取画面には、例えば、二次元コード310を読み取るよう指示する文言や、撮像する二次元コード310を収める位置を示すガイド(枠)などが表示される。
ユーザ端末10の読取部152は、ユーザの読取操作によって撮像部130の撮像範囲にて二次元コード310を検知すると、当該二次元コード310から第1の個体識別情報を読み取る(ステップS106)。この時、ユーザ端末10の日時取得部153は、読取部152によって第1の個体識別情報が読み取られた読取日時を取得しておく。
次いで、ユーザ端末10の通信部110は、第1の個体識別情報とその読取日時を管理サーバ20へ送信する(ステップS107)。
【0064】
管理サーバ20の判定部232は、取得部231が取得する第1の個体識別情報が付与された第1の検査器具30に対する使用済判定を行う(ステップS108)。
判定部232による使用済判定にて第1の検査器具30が使用済であると判定された場合(ステップS108/YES)、処理はステップS109へ進む。
一方、判定部232による使用済判定にて第1の検査器具30が使用済でないと判定された場合(ステップS108/NO)、処理はステップS110へ進む。
【0065】
処理がステップS109へ進んだ場合、受付制御部233は、第1の検査器具30を使用できないことを示すエラーをユーザ端末10に表示させる(ステップS109)。この場合、ユーザは、検査器具30を新しく用意し、ステップS102から処理を繰り返す。
【0066】
処理がステップS110へ進んだ場合、登録制御部235は、第1の個体識別情報とその読取日時を登録(例えば記憶部220に記憶)する(ステップS110)。
次いで、受付制御部233は、読取結果をユーザ端末10に表示させる(ステップS111)。読取結果は、例えば、第1の検査器具30から読み取られた第1の個体識別情報や、当該第1の識別情報が正常に登録されたことなどを示す情報である。
【0067】
(2)2回目の読み取りを行う場合の処理の流れ
次に、
図6を参照して、2回目の読み取りを行う場合の処理の流れについて説明する。
図6は、本実施形態に係る2回目の読み取りを行う場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0068】
図6に示すように、まず、ユーザは、ユーザ端末10に対して、2回目の読取操作を行う(ステップS201)。
【0069】
ユーザ端末10の日時取得部153は、操作受付部151がユーザから2回目の読取操作を受け付けると、操作受付日時を取得して管理サーバ20へ送信する(ステップS202)。
【0070】
管理サーバ20の判定部232は、取得部231が取得する操作受付日時に基づき時間経過判定を行う(ステップS203)。
判定部232による時間経過判定にて検査必要時間が経過していないと判定された場合(ステップS203/NO)、処理はステップS204へ進む。
一方、判定部232による時間経過判定にて検査必要時間が経過したと判定された場合(ステップS203/YES)、処理はステップS205へ進む。
【0071】
処理がステップS204へ進んだ場合、読取制御部234は、検査必要時間が経過していないことを示すエラーをユーザ端末10に表示させる(ステップS204)。この場合、ユーザは、検査必要時間の経過を待った後、ステップS201から処理を繰り返す。
【0072】
処理がステップS205へ進んだ場合、読取制御部234は、ユーザ端末10の出力部160に撮像画面を表示させる(ステップS205)。撮像画面には、例えば、第2の検査器具30を撮影するよう指示する文言や、撮影する第2の検査器具30を収める位置を示すガイド(枠)などが表示される。
【0073】
ユーザ端末10の撮像部130は、ユーザの撮像操作によって第2の検査器具30を撮像する(ステップS206)。
撮像後、読取部152は、撮像画像に写る二次元コード310から第2の個体識別情報を読み取る(ステップS207)。この時、日時取得部153は、読取部152によって第2の個体識別情報が読み取られた読取日時を取得しておく。また、撮像画像取得部154は、撮像部130によって撮像された撮像画像を取得しておく。
読取後、出力制御部156は、検査結果入力画面を出力部160に表示させる(ステップS208)。
ユーザは、ユーザ端末10に検査結果入力画面が表示されたら、検査結果入力操作を行う(ステップS209)。
ユーザによる検査結果の入力後、ユーザ端末10の通信部110は、第2の個体識別情報とその読取日時と、撮像画像と、検査結果とを管理サーバ20へ送信する(ステップS210)。
【0074】
管理サーバ20の判定部232は、取得部231が取得する第2の個体識別情報が付与された第1の検査器具30に対する同一判定を行う(ステップS211)。
判定部232による同一判定にて第2の検査器具30が第1の検査器具30と同一でないと判定された場合(ステップS211/NO)、処理はステップS212へ進む。
一方、判定部232による同一判定にて第2の検査器具30が第1の検査器具30と同一であると判定された場合(ステップS211/YES)、処理はステップS213へ進む。
【0075】
処理がステップS212へ進んだ場合、登録制御部235は、第1の検査器具と第2の検査器具とが同一でないことを示すエラーをユーザ端末10に表示させる(ステップS212)。この場合、ユーザは、正しい第2の検査器具30を手元に用意し、ステップS201から処理を繰り返す。
【0076】
処理がステップS213へ進んだ場合、登録制御部235は、第2の個体識別情報とその読取日時と、撮像画像と、検査結果とを対応付けて登録(例えば記憶部220に記憶)する(ステップS213)。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る検査管理システム1は、検体が第1の検査器具30に対して供給された後に、第1の検査器具30に付された二次元コード310(読取用情報)から読み取られる第1の検査器具30の個体を識別する第1の個体識別情報を取得し、検体の検査が完了した後に、検体の検査結果と、検体の検査が完了した第2の検査器具30に付された二次元コード310(読取用情報)から読み取られる第2の検査器具30の個体を識別する第2の個体識別情報とを取得する取得部231と、取得された第1の個体識別情報と第2の個体識別情報とに基づき、検体が供給された第1の検査器具30と、検体の検査が完了した第2の検査器具30とが同一であるか否かを判定する判定部232と、第1の検査器具30と第2の検査器具30とが同一であると判定された場合に、第2の個体識別情報と共に取得された検体の検査結果を登録する登録制御部235と、を備える。
【0078】
かかる構成により、検査結果の登録前に、検体が供給された検査器具30と検査が完了した検査器具30とが同一であるか否かが判定され、同一でない場合は検査結果が登録されない。これにより、悪意を持ったユーザが検査後の検査器具30を意図して別の検査器具30に入れ替えたとしても、入れ替え後の検査器具30が示す検査結果を登録することはできない。また、体外用診断薬を用いた検査作業に慣れていない一般人が、自分自身で検査器具30を用いて検査を行う場合に、検査後の検査器具30を意図せず取り違えたとしても、取り違えた検査器具30が示す検査結果を登録することはできない。
よって、本実施形態に係る検査管理システム1は、検査器具による検体の検査において検査結果の不正登録や誤登録を防止することを可能とする。
【0079】
また、本実施形態に係る検査管理システム1は、第1の個体識別情報が読み取られた時刻から経過した時間に基づき、第2の個体識別情報の読み取りを制御する読取制御部234をさらに備える。読取制御部234は、第1の個体識別情報が読み取られた時刻から、検体の検査に必要な時間が経過した場合に、第2の個体識別情報を読み取り可能にする。
かかる構成により、検査管理システム1によって検体の検査時間が管理され、ユーザは検査時間を正確に把握することができる。これにより、体外用診断薬を用いた検査作業に慣れていない一般人が、自分自身で検査器具30を用いて検査を行う場合であっても、正確な検査結果を得ることができる。
【0080】
また、本実施形態に係る検査管理システム1は、検体の検査に使用された検査器具30の個体識別情報を記憶する記憶部220と、記憶部220に記憶された個体識別情報に基づき、取得された第1の個体識別情報が付与された第1の検査器具30を使用することの受け付けを制御する受付制御部233と、をさらに備える。受付制御部233は、取得された第1の個体識別情報と同一の個体識別情報が記憶部220に記憶されている場合、取得された第1の個体識別情報が付与された第1の検査器具30の使用を受け付けない。
かかる構成により、ユーザは、1度登録された検査器具30を第1の検査器具30として再度登録することはできない。これにより、ユーザが検査器具30を使い回して不正に登録することを防止することができる。
【0081】
<5.変形例>
以上、実施形態について説明した。続いて、上述した実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0082】
上述した実施形態のユーザ端末10と管理サーバ20が有する機能は、かかる例に限定されない。例えば、ユーザ端末10が有する機能の一部を管理サーバ20が有してもよいし、管理サーバ20が有する機能の一部をユーザ端末10が有してもよい。
【0083】
また、上述した実施形態では、検査支援アプリの機能がWebアプリによって提供される例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、検査支援アプリの機能は、ユーザ端末10に検査支援アプリをインストールすること(即ちネイティブアプリ)で提供されてもよい。
この場合、Webアプリの場合にユーザ端末10にて行われていた処理が管理サーバ20で行われてもよいし、管理サーバ20で行われていた処理がユーザ端末10にて行われてもよい。例えば、ユーザ端末10で取得された情報は、一時的にユーザ端末10に保存されてから所定のタイミングにて管理サーバ20へ保存されてもよいし、ユーザ端末10には保存せずに管理サーバ20へ直接保存されてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、ユーザによって検査結果が入力される例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、検査結果は、呈色部330が撮像された撮像画像に基づき判定されてもよい。
この場合、ユーザは、例えば2回目の読取操作時に、検査器具30に付された二次元コード310だけでなく呈色部330も含まれるように、撮像部130による検査器具30の撮像を行う。撮像部130によって撮像された撮像画像は、撮像画像取得部154によって取得され、通信部110から管理サーバ20へ送信される。管理サーバ20の通信部210は、ユーザ端末10から撮像画像を受信する。取得部231は、通信部210がユーザ端末10から受信した撮像画像を取得し、判定部232へ出力する。判定部232は、取得部231によって取得された撮像画像に基づき、検体の検査結果を判定する。判定部232は、撮像画像に写る呈色部330のコントロールライン331又はテストライン332に現れた線(ライン)に基づき、検査結果を判定する。判定部232は、例えば、コントロールライン331又はテストライン332に現れた線の濃淡と、陽性又は陰性との関係性を学習した学習済みモデルを用いて、検査結果を判定する。登録制御部235は、第2の個体識別情報とその読取日時と、撮像画像と、判定部232によって判定された検査結果とを対応付けて登録する。
これにより、ユーザが目視で検査結果を判定する場合と比較し、より判定精度が高い検査結果を得ることができる。
【0085】
また、上述の実施形態では、
図6に示したステップS207にて取得された第2の個体識別情報と読取日時が、ステップS210にて管理サーバ20へ送信される例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、第2の個体識別情報と読取日時は、ステップS207にて取得されたタイミングで管理サーバ20へ送信され、記録されてもよい。
また、ステップS207では第2の個体識別情報のみを取得し、取得されたタイミングで第2の個体識別情報のみを管理サーバ20へ送信するようにしてもよい。この場合、管理サーバ20は、第2の個体識別情報を受信した日時あるいは第2の個体識別情報を記録する日時を読取日時として、第2の個体識別情報と読取日時を記録してもよい。
【0086】
以上、実施形態の変形例について説明した。なお、上述した実施形態における検査管理システム1、ユーザ端末10、及び管理サーバ20の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0087】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…検査管理システム、10…ユーザ端末、20…管理サーバ、30…検査器具(第1の検査器具,第2の検査器具)、110…通信部、120…入力部、130…撮像部、140…記憶部、150…制御部、151…操作受付部、152…読取部、153…日時取得部、154…撮像画像取得部、155…検査結果取得部、156…出力制御部、160…出力部、210…通信部、220…記憶部、221…個体識別情報DB、230…制御部、231…取得部、232…判定部、233…受付制御部、234…読取制御部、235…登録制御部、310…二次元コード、320…供給部、321…検体供給窓、330…呈色部、331…コントロールライン、332…テストライン、NW…ネットワーク