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  • 特開-情報処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072357
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/13 20190101AFI20240521BHJP
【FI】
G06F16/13 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183091
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝彦
(57)【要約】
【課題】外部記憶媒体にデータを保存する際に、妥当な処理時間で自動的に記憶容量をチェックし、正常な外部記憶媒体か、容量をカムフラージュしている外部記憶媒体かを検出することができる。
【解決手段】外部記憶媒体2の残容量うち所定割合以上の容量を埋める第1ファイルを作成する第1ファイル作成手段31と、第1ファイルより小容量であり、書込み照合に用いる第2ファイルを作成する第2ファイル作成手段32と、第2ファイルが外部記憶媒体2に記憶され外部記憶媒体2から読み出された第2ファイルと、第2ファイル作成手段32により作成された第2ファイルとの照合を行う照合手段33と、照合の結果が一致すれば正常であると判断し、照合の結果が不一致であれば容量カムフラージュメモリであると判断する判断手段34と、容量カムフラージュメモリであると判断された場合に、その旨を通知する通知手段35とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶媒体を用いる情報処理装置において、
前記外部記憶媒体の残容量うち所定割合以上の容量を埋める第1ファイルを作成する第1ファイル作成手段と、
前記第1ファイルより小容量であり、書込み照合に用いる第2ファイルを作成する第2ファイル作成手段と、
前記作成された第2ファイルが前記外部記憶媒体に記憶され前記外部記憶媒体から読み出された前記第2ファイルと、前記第2ファイル作成手段により作成された第2ファイルとの照合を行う照合手段と、
照合の結果が一致すれば前記外部記憶媒体は正常であると判断し、照合の結果が不一致であれば前記外部記憶媒体は容量カムフラージュメモリであると判断する判断手段と、
前記判断手段により前記容量カムフラージュメモリであると判断された場合に、前記外部記憶媒体が容量カムフラージュメモリである旨を通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正常な外部記憶媒体か、容量をカムフラージュしている外部記憶媒体かを検出する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ビデオカメラ、画像形成装置など、容量の大きいデータを記憶媒体に保存する際に、記憶媒体の残容量を算出することは一般的に行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-135414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、世の中には容量をカムフラージュしているメモリ(以下、「容量カムフラージュメモリ」という。)がある。容量カムフラージュメモリとは、表示上では256(GB)のように大きな容量が表示されるが、実際の保存容量は16(GB)程度のように小さな容量のものである。このような容量カムフラージュメモリを用いると、メモリに表示される容量と、実際に記憶に使用できる容量が著しく異なり、書き込んだはずのデータが記録されていないということが生じうる。
【0005】
また、容量カムフラージュメモリは実際には書き込みがされていないにもかかわらず、書き込み時にはあたかも成功したようなフィードバックを返すようにできている場合が多い。そのため、書き込み時にはエラーが出ず、ユーザは読み出し時にデータが書かれていなかったことに気付く場合が多かった。
【0006】
このような容量カムフラージュメモリは一般的な残容量を確認する手段や書き込みだけの処理に対しては正常なフィードバックを返すため、特許文献1に記載したような技術では検出することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、外部記憶媒体にデータを保存する際に、妥当な処理時間で自動的に記憶容量をチェックし、正常な外部記憶媒体か、容量をカムフラージュしている外部記憶媒体かを検出する情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置の第1の特徴は、
外部記憶媒体を用いる情報処理装置において、
前記外部記憶媒体の残容量うち所定割合以上の容量を埋める第1ファイルを作成する第1ファイル作成手段と、
前記第1ファイルより小容量であり、書込み照合に用いる第2ファイルを作成する第2ファイル作成手段と、
前記作成された第2ファイルが前記外部記憶媒体に記憶され前記外部記憶媒体から読み出された前記第2ファイルと、前記第2ファイル作成手段により作成された第2ファイルとの照合を行う照合手段と、
照合の結果が一致すれば前記外部記憶媒体は正常であると判断し、照合の結果が不一致であれば前記外部記憶媒体は容量カムフラージュメモリであると判断する判断手段と、
前記判断手段により前記容量カムフラージュメモリであると判断された場合に、前記外部記憶媒体が容量カムフラージュメモリである旨を通知する通知手段と、
を備えたことにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る情報処理装置の特徴によれば、外部記憶媒体にデータを保存する際に、妥当な処理時間で自動的に記憶容量をチェックし、正常な外部記憶媒体か、容量をカムフラージュしている外部記憶媒体かを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷物検査装置の機能構成を示した機能構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおいて、表示部に表示したワーニングの例を示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおける処理内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0012】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
<情報処理システムの機能構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10の機能構成を示した機能構成図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、情報処理装置1と、外部記憶媒体2と、画像読み取り装置4とを備えている。
【0015】
外部記憶媒体2は、情報処理装置1に対して着脱可能で、ユーザが携帯可能な記憶媒体である。
【0016】
画像読み取り装置4は、光源、原稿台、原稿台カバー、電荷結合型撮像素子列であるCCD、CCDを走査させる駆動モータ、CCDの出力信号をデジタル信号に変換するADコンバータ等を備えている。光源から原稿台に載置された原稿に光を照射し、その露光面の反射光をCCDで読み取ることにより、原稿露光面の画像データを取得する。
【0017】
情報処理装置1は、装着部20と、制御部30と、外部インタフェース部40と、表示部50とを有している。
【0018】
装着部20は、情報処理装置1に対して外部記憶媒体2を装着させる端子を有し、外部記憶媒体2が装着されている場合に、外部記憶媒体2内のデータを読み込み情報処理装置1側へと転送したり、情報処理装置1内のデータを外部記憶媒体2に書き込んだりする。
【0019】
外部インタフェース部40は、画像読み取り装置4との接続インタフェースであり、画像読み取り装置4により読み取られた画像データを制御部30へ供給する。
【0020】
表示部50は、有機EL(electroluminescence)ディスプレイや、液晶ディスプレイ等の画像出力装置を備え、制御部30から供給された出力信号に基づいて、画像を表示する。
【0021】
制御部30は、情報処理装置1の中枢的な制御を行う。また、制御部30は、第1ファイル作成手段31と、第2ファイル作成手段32と、照合手段33と、判断手段34と、通知手段35とを有している。
【0022】
第1ファイル作成手段31は、外部記憶媒体2の残容量うち所定割合以上の容量を埋める第1ファイルを作成する。ここで、所定割合は残容量のうち例えば、99(%)以上などであり、残容量のほとんどを占める程度の大きさの第1ファイルを作成することが好ましい。第1ファイル作成手段31は、実際のデータ書き込みをせず、容量を使用済状態にする高速な書き込み手段である。例えば、オペレーティング・システム(OS)が、マイクロソフト社のWindows(登録商標)である場合、fsutilコマンドを使うことで、数百GBや数TBといったサイズの巨大なファイルを非常に簡単に、素早く作成できる。
【0023】
第2ファイル作成手段32は、第1ファイルより小容量であり、書込み照合に用いる第2ファイルを作成する。ここで、第1ファイルが書き込まれた場合における残容量以下の小サイズの第2ファイルを作成する。第2ファイル作成手段32は、第1ファイル作成手段と異なり、実際のデータの書き込みを行うが、ファイル容量が小サイズであるため、処理が高速である。
【0024】
照合手段33は、第2ファイル作成手段32により作成された第2ファイルを外部記憶媒体2に記憶させる。その後、照合手段33は、外部記憶媒体2から記憶した第2ファイルを読み出す。そして、照合手段33は、読み出された第2ファイルと、第2ファイル作成手段32により作成された第2ファイルとの照合を行う。
【0025】
照合手段33は、第2ファイルを外部記憶媒体2に記憶し、記憶した第2ファイルを読み出して照合しているので、外部記憶媒体2が正常であれば、この2つの第2ファイルは一致するはずである。
【0026】
そこで、判断手段34は、照合の結果が一致すれば外部記憶媒体2は正常であると判断し、照合の結果が不一致であれば外部記憶媒体2は容量カムフラージュメモリであると判断する。
【0027】
通知手段35は、判断手段34により外部記憶媒体2は正常であると判断された場合、
チェック済であることを示す情報を外部記憶媒体2に書き込む。その結果、次回以降のチェック処理を省くことができる。
【0028】
通知手段35は、判断手段34により容量カムフラージュメモリであると判断された場合に、外部記憶媒体2が容量カムフラージュメモリである旨を通知する。具体的には、表示部50に容量カムフラージュメモリの可能性があることを示すワーニングを表示させる。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10において、表示部50に表示したワーニングの例を示した図である。(a)はワーニングの表示画面例であり、いずれの表示画面を用いてもよい。
【0030】
図2(a)~(c)に示すように、いずれのワーニングの表示画面にも、ユーザに対して、「装着したメモリは容量カムフラージュメモリの可能性があります。ご確認ください。」と表示されている。
【0031】
また、通知手段35は、判断手段34により容量カムフラージュメモリであると判断された場合に、メモリの情報(デバイスID、型番など)を収集する収集手段を備えるようにしてもよい。
【0032】
例えば、図2(b)~(c)の表示画面では、「当社は容量カムフラージュメモリの情報を収集しています。容量カムフラージュメモリの情報を当社へ送信して頂けますか?」というように、情報提供を促すメッセージが表示されている。容量カムフラージュメモリを使うユーザーが必ずしも検知機能を持つ情報処理装置を使っているとは限らない。そのため、図2(b)~(c)のように情報処理装置のメーカーが情報提供を受け、情報を公表することにより、容量カムフラージュメモリの購入を防き、容量カムフラージュメモリの撲滅に役立つという効果がある。
【0033】
さらに、図2(c)の表示画面では、情報収集するための際とのURLが埋め込まれたQRコード(登録商標)が表示されている。図2(c)の場合、画像形成装置がオフライン環境の場合に、携帯電話等で情報提供できる。
【0034】
<情報処理システムの作用>
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10における処理内容を示したフローチャートである。
【0035】
図3に示すように、ステップS101において、制御部30は、外部記憶媒体2に照合済であることを示すファイルがあるか判定する。
【0036】
外部記憶媒体2に照合済であることを示すファイルがある場合(ステップS101;YES)、ステップS119において、画像読み取り装置4は、スキャンを実行する。
【0037】
ステップS121において、装着部20は、スキャンした画像データを外部記憶媒体2に書き込む。
【0038】
一方、外部記憶媒体2に照合済であることを示すファイルがない場合(ステップS101;NO)、外部記憶媒体2が容量カムフラージュメモリでる可能性がある。
【0039】
そこで、ステップS103において、ユーザーが情報処理装置1に外部記憶媒体2を装着し、スキャン指示をする。
【0040】
ステップS105において、制御部30は、外部記憶媒体2の残容量を問い合わせる。
【0041】
ステップS107において、第1ファイル作成手段31は、残容量の大部分を埋める一時ファイルA(第1ファイル)を外部記憶媒体2に作成する。
【0042】
ステップS109において、第2ファイル作成手段32は、照合用の一時ファイルB(第2ファイル)を外部記憶媒体2に作成する。
【0043】
ステップS111において、照合手段33は、外部記憶媒体2から一時ファイルB(第2ファイル)を読込み、第2ファイル作成手段32が作成した第2ファイルと読み込んだ第2ファイルとを照合する。
【0044】
ステップS113において、照合手段33は、一時ファイルA(第1ファイル)、一時ファイルB(第2ファイル)を削除する。
【0045】
照合の結果が一致すれば(ステップS115;YES)、ステップS117において、判断手段34は、外部記憶媒体2は正常であると判断し、照合済であることを示すファイルを外部記憶媒体2に書き込む。
【0046】
一方、照合の結果が不一致の場合(ステップS115;NO)、ステップS123において、判断手段34は、異常、すなわち、外部記憶媒体2は容量カムフラージュメモリであると判断する。
【0047】
ステップS125において、通知手段35は、表示部50に容量カムフラージュメモリの可能性があることを示すワーニングを表示させる。
【0048】
スキャンした画像は外部記憶媒体に保存され、その場で正常に書き込まれたかを確認しない場合に、後日気付くなどという問題が起こり得るが、この時点でワーニングを表示することで、早期に問題に気付くことができる。
【0049】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0050】
(付記1)
外部記憶媒体を用いる情報処理装置において、
前記外部記憶媒体の残容量うち所定割合以上の容量を埋める第1ファイルを作成する第1ファイル作成手段と、
前記第1ファイルより小容量であり、書込み照合に用いる第2ファイルを作成する第2ファイル作成手段と、
前記作成された第2ファイルが前記外部記憶媒体に記憶され前記外部記憶媒体から読み出された前記第2ファイルと、前記第2ファイル作成手段により作成された第2ファイルとの照合を行う照合手段と、
照合の結果が一致すれば前記外部記憶媒体は正常であると判断し、照合の結果が不一致であれば前記外部記憶媒体は容量カムフラージュメモリであると判断する判断手段と、
前記判断手段により前記容量カムフラージュメモリであると判断された場合に、前記外部記憶媒体が容量カムフラージュメモリである旨を通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【0051】
これにより、外部記憶装置にデータを保存する際に、妥当な処理時間で自動的に記憶容量をチェックし、正常な外部記憶装置か、容量をカムフラージュしている外部記憶装置かを検出することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 情報処理装置
2 外部記憶媒体
4 画像読み取り装置
10 情報処理システム
20 装着部
30 制御部
31 第1ファイル作成手段
32 第2ファイル作成手段
33 照合手段
34 判断手段
35 通知手段
40 外部インタフェース部
50 表示部
図1
図2
図3