IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ CKD株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図1
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図2
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図3
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図4
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図5
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図6
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図7
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図8
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図9
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図10
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図11
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図12
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図13
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図14
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図15
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図16
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図17
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図18
  • 特開-製造装置の状況確認システム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072365
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】製造装置の状況確認システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240521BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240521BHJP
   B65B 9/04 20060101ALI20240521BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01N21/892 A
G05B19/418 Z
B65B9/04
G01N21/88 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183111
(22)【出願日】2022-11-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】澤田 英明
【テーマコード(参考)】
2G051
3C100
3E050
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AB20
2G051AC04
2G051DA06
2G051DA13
3C100AA52
3C100AA56
3C100AA70
3C100BB15
3C100BB34
3E050AA02
3E050BA04
3E050HA00
3E050HB00
3E050HB09
(57)【要約】
【課題】不具合の発生原因などを把握するために必要な動画データをより確実にかつより容易に得ることができる製造装置の状況確認システムを提供する。
【解決手段】確認システム50は、時系列順で保存された複数の静止フレーム画像データからなる動画データを得るカメラR1~R6と、ワーク自体及びワークに対する処理のうちの少なくとも一方についての良否を判定する検査装置C1~C4と、検査装置C1~C4により不良判定されたことをトリガーとして、動画データの中から所定の対象データを抽出して保存する対象データ保存部67とを備える。対象データ保存部67は、動画データのうち、前記トリガーが発生したときの静止フレーム画像データを基準とし、ワークの搬送量に対応する遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある所定範囲のものを、対象データとして抽出して保存する。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に沿った順序を変えることなく搬送されるワークに対し、同一処理を繰り返し施す製造装置に用いられ、製造に係る不具合の発生状況を動画によって確認するための製造装置の状況確認システムであって、
前記ワークの搬送経路に沿って配置され、時系列順で保存された複数の静止フレーム画像データからなる、前記ワーク自体又は前記ワークに対する処理に係る動画データを得る動画撮影手段と、
前記ワーク自体及び前記ワークに対する処理のうちの少なくとも一方についての良否を判定する検査手段と、
前記検査手段により不良判定されたことをトリガーとして、前記動画データの中から所定の対象データを抽出して保存する対象データ保存手段とを備え、
前記対象データ保存手段は、前記動画データのうち、前記トリガーが発生したときの前記静止フレーム画像データを基準とし、前記検査手段による不良判定に関係する前記動画撮影手段から該検査手段に対する前記ワークの搬送量に対応する遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある所定範囲のものを、前記対象データとして抽出して保存するように構成されていることを特徴とする製造装置の状況確認システム。
【請求項2】
少なくとも前記ワークの搬送に係る基準となる回転数及び位相を生成可能なマスターエンコーダを備え、
前記動画撮影手段は、前記マスターエンコーダの起動に合わせて前記動画データの撮影を開始するとともに、前記マスターエンコーダの停止に合わせて前記動画データの撮影を終了するように構成されており、
前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相に基づき、前記遡及フレーム数を導出可能な遡及フレーム数導出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の製造装置の状況確認システム。
【請求項3】
前記動画撮影手段により得られた前記動画データは、前記静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの時刻を示す実時刻タイムコードを付した形式で所定のリングバッファに保存されており、
前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相と、前記実時刻タイムコードとの対応関係を示す変換テーブルを用いて、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、前記実時刻タイムコードに変換する変換手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記変換手段によって、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、前記実時刻タイムコードに変換するとともに、該実時刻タイムコードを利用して、前記リングバッファに保存された前記動画データの中から前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の製造装置の状況確認システム。
【請求項4】
前記動画撮影手段により得られた前記動画データは、前記静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を示す機械的タイムコードを付した形式で所定のリングバッファに保存されており、
前記対象データ保存手段は、前記機械的タイムコードを利用して、前記リングバッファに保存された前記動画データの中から前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の製造装置の状況確認システム。
【請求項5】
前記動画撮影手段は、前記ワークの搬送方向に沿って複数設けられており、
前記検査手段には、複数の検査項目についての良否判定を行うものが含まれており、
前記検査項目と、前記検査項目に関係する前記動画撮影手段との対応関係を示す特定テーブルを用いて、複数の前記動画撮影手段の中から、不良判定された検査項目に関係するものを特定する撮影手段特定手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記撮影手段特定手段により特定された前記動画撮影手段が得た前記動画データの中から、前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の製造装置の状況確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるワークに対し各種処理を施す製造装置において、製造に係る不具合が発生したときに、その不具合の発生状況を確認するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造装置としては、順序を変えることなく搬送されるワークに対し、各種処理を繰り返し施すことで、各種製品を製造するものがある。このような製造装置としては、例えば、ワークとしての容器フィルムを搬送しつつ、該容器フィルムに対し各種処理を繰り返し施すことで、製品としてのブリスタシートを順次製造するブリスタ包装機を挙げることができる。各種処理には、例えば、容器フィルムにポケット部を形成する処理や、ポケット部に錠剤などの内容物を収容する処理、容器フィルムに対しカバーフィルムを取着する処理などが含まれる。
【0003】
ところで、製品の製造中に、ワーク自体やワークに対する処理についての不具合が生じることがある。例えば、ブリスタ包装機では、処理前の容器フィルムに孔や汚れがあったり、ポケット部の成形不良が生じたり、ポケット部に対し内容物が適切な状態で収容されなかったり、容器フィルムに対するカバーフィルムの取着が不十分になったりすることがある。このような不具合が生じた場合には、同種の不具合が再度発生することを防止すべく、適切な対応をとる必要がある。
【0004】
そこで、ワーク等を撮像する撮像手段(カメラなど)と、該撮像手段により得られた画像データに基づき良否判定を行う判定手段とを備え、該判定手段によりワーク自体やワークに対する処理についての良否を判定するとともに、良否判定に用いた画像データと、良否判定結果とを関連付けて記憶する検査装置を設けることが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。この検査装置によれば、検査状況の把握が可能になるとともに、検査状況が適切でない場合に、適切な対応をとることが可能となる。
【0005】
また、ワーク自体やワークに対する処理の実行状況を撮影して動画データを得る撮影手段と、得られた動画データを保存するメモリと、ワークの搬送路に設置された検査装置(検出装置)から出力された信号をトリガー信号として入力するための外部入力手段とを備えた工程監視装置を設けることも提案されている(例えば、特許文献2等参照)。この装置では、検査装置によってワークに係る不具合が検出されて、トリガー信号が入力されると、メモリに保存された動画データのうち、トリガー信号が入力された時点から設定時間以上過去に遡った動画データが、上書き不可の動画データとして保存される。従って、ワーク自体やワークに対する処理についての不具合が発生した場合には、上書き不可の動画データを利用することで、適切な対応をとることが可能になると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-214814号公報
【特許文献2】特開2016-122319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の各装置では、不具合の発生防止のための適切な対応を十分にとることができなかったり、適切な対応をとることが難しくなったりするおそれがある。
【0008】
まず、上記特許文献1に記載の検査装置は、あくまで良否判定に用いた画像データを保存しているに過ぎない。そのため、不具合が発生したこと自体を確認することはできるが、その不具合の発生原因や発生時期を把握することができないことがある。例えば、製造装置がブリスタ包装機であり、ポケット部に内容物が収容されていないといった不具合が生じたとする。この場合、画像データからは、その不具合の発生自体を確認することはできるが、ポケット部に内容物が収容されていないという不具合がどの処理の時点で生じたのかが分からないことがある。そのため、不具合の発生原因や発生時期を把握することはできず、不具合の発生防止のための適切な対応を十分にとることができないおそれがある。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の装置において、上書き不可の動画データとして保存されるのは、トリガー信号が入力された時点から設定時間以上過去に遡った動画データとなる。そのため、上書き不可の動画データが、不具合の発生原因を把握するために必要な動画データの他に、不具合とは無関係の多くの動画データを含むものとなり得る。そのため、必要な動画データを探し出すことが非常に難しくなり、不具合の発生防止のための適切な対応をとることが難しくなるおそれがある。
【0010】
例えば、製造装置がブリスタ包装機であって、撮影手段から検査装置までの距離が比較的大きなものであり、また、ポケット部に対する内容物の充填速度が非常に高いもの(例えば6000個/分)であるとする。この場合、撮影手段から検査装置までの距離に対応して上書き不可の動画データを比較的長時間のものとする必要がある一方、充填速度が非常に高いから、上書き不可の動画データの全体に対し、必要な動画データはごく一部となる。そのため、必要な動画データを探し出すことが非常に難しい。
【0011】
さらに、上書き不可の動画データは、時間(設定時間)に基づき特定されるから、ワークの搬送速度に変動が生じたような場合には、上書き不可の動画データの中に、必要な動画データが含まれていないといった事態が生じ得る。このような事態が生じると、不具合の発生防止のための適切な対応をとることができなくなる。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不具合の発生原因などを把握するために必要な動画データをより確実にかつより容易に得ることができる製造装置の状況確認システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0014】
手段1.搬送方向に沿った順序を変えることなく搬送されるワークに対し、同一処理を繰り返し施す製造装置に用いられ、製造に係る不具合の発生状況を動画によって確認するための製造装置の状況確認システムであって、
前記ワークの搬送経路に沿って配置され、時系列順で保存された複数の静止フレーム画像データからなる、前記ワーク自体又は前記ワークに対する処理に係る動画データを得る動画撮影手段と、
前記ワーク自体及び前記ワークに対する処理のうちの少なくとも一方についての良否を判定する検査手段と、
前記検査手段により不良判定されたことをトリガーとして、前記動画データの中から所定の対象データを抽出して保存する対象データ保存手段とを備え、
前記対象データ保存手段は、前記動画データのうち、前記トリガーが発生したときの前記静止フレーム画像データを基準とし、前記検査手段による不良判定に関係する前記動画撮影手段から該検査手段に対する前記ワークの搬送量に対応する遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある所定範囲のものを、前記対象データとして抽出して保存するように構成されていることを特徴とする製造装置の状況確認システム。
【0015】
上記手段1によれば、対象データ保存手段は、動画撮影手段により得られた動画データの中から、所定の対象データを抽出して保存する。この対象データの抽出にあたっては、動画データのうち、トリガーが発生したとき(不良判定されたとき)の静止フレーム画像データを基準とし、検査手段による不良判定に関係する動画撮影手段から該検査手段に対するワークの搬送量に対応する遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある所定範囲のものが、対象データとして抽出される。
【0016】
すなわち、上記手段1によれば、時間ではなく、ワークの搬送量に基づき動画データの中から対象データが抽出される。従って、動画データの中から、対象データとして、不具合の発生原因や発生時期の把握に必要な動画データをピンポイントで抽出することができ、必要な動画データをより確実にかつより容易に得ることができる。また、ワークの搬送量に基づいて対象データを抽出するから、ワークの搬送速度に変動が生じたような場合であっても、不具合の発生原因などを把握するために必要な動画データをより確実に得ることができる。
【0017】
手段2.少なくとも前記ワークの搬送に係る基準となる回転数及び位相を生成可能なマスターエンコーダを備え、
前記動画撮影手段は、前記マスターエンコーダの起動に合わせて前記動画データの撮影を開始するとともに、前記マスターエンコーダの停止に合わせて前記動画データの撮影を終了するように構成されており、
前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相に基づき、前記遡及フレーム数を導出可能な遡及フレーム数導出手段を有することを特徴とする手段1に記載の製造装置の状況確認システム。
【0018】
上記手段2によれば、少なくともワークの搬送に係る基準となる回転数及び位相を生成可能なマスターエンコーダが設けられている。また、動画撮影手段は、マスターエンコーダの起動に合わせて動画データの撮影を開始し、マスターエンコーダの停止に合わせて動画データの撮影を終了する。従って、動画データを構成する複数の静止フレーム画像データは、マスターエンコーダの回転数及び位相に対応付けられた状態となる。
【0019】
そして、遡及フレーム数導出手段は、マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相に基づき、遡及フレーム数を導出する。従って、上記の通り、動画データにおいて、複数の静止フレーム画像データとマスターエンコーダの回転数及び位相とが対応付けられた状態となることに合わせて、この動画データに合う遡及フレーム数をより正確に導出することができる。その結果、対象データとして、不具合の発生原因などを把握するために必要な動画データを一層確実に得ることができる。
【0020】
手段3.前記動画撮影手段により得られた前記動画データは、前記静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの時刻を示す実時刻タイムコードを付した形式で所定のリングバッファに保存されており、
前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相と、前記実時刻タイムコードとの対応関係を示す変換テーブルを用いて、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、前記実時刻タイムコードに変換する変換手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記変換手段によって、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、前記実時刻タイムコードに変換するとともに、該実時刻タイムコードを利用して、前記リングバッファに保存された前記動画データの中から前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする手段2に記載の製造装置の状況確認システム。
【0021】
上記手段3によれば、動画データは、リングバッファに保存される。従って、動画データを保存するためのメモリ領域を節約することができる。また、動画データは、静止フレーム画像データが得られたときの時刻に関する情報を有するため、不具合がいつ発生したのか、不具合を生じさせた事象がどのようなスピードで生じたのかについて確認することができる。従って、不具合の発生防止のための対応をより適切にとることができる。
【0022】
また、上記手段3によれば、変換手段を用いることで、マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、実時刻タイムコードに変換することができる。そして、この実時刻タイムコードを利用して、動画データの中から対象データを抽出することができる。従って、対象データとして、不具合の発生原因などを把握するために必要な動画データを一層確実に得ることができる。
【0023】
手段4.前記動画撮影手段により得られた前記動画データは、前記静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を示す機械的タイムコードを付した形式で所定のリングバッファに保存されており、
前記対象データ保存手段は、前記機械的タイムコードを利用して、前記リングバッファに保存された前記動画データの中から前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする手段2に記載の製造装置の状況確認システム。
【0024】
上記手段4によれば、動画データは、リングバッファに保存されるため、動画データを保存するためのメモリ領域を節約することができる。
【0025】
また、上記手段4によれば、変換手段を用いることなく、動画データの中から対象データを抽出することができる。従って、対象データの抽出に係る処理負担の低減を図ることができる。
【0026】
手段5.前記動画撮影手段は、前記ワークの搬送方向に沿って複数設けられており、
前記検査手段には、複数の検査項目についての良否判定を行うものが含まれており、
前記検査項目と、前記検査項目に関係する前記動画撮影手段との対応関係を示す特定テーブルを用いて、複数の前記動画撮影手段の中から、不良判定された検査項目に関係するものを特定する撮影手段特定手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記撮影手段特定手段により特定された前記動画撮影手段が得た前記動画データの中から、前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の製造装置の状況確認システム。
【0027】
上記手段5によれば、撮影手段特定手段によって、ある検査項目について不良判定された場合に、その検査項目に関係する1又は複数の動画撮影手段を特定することができる。そして、対象データ保存手段によって、特定された1又は複数の動画撮影手段が得た1又は複数の動画データの中から、対象データが抽出して保存される。従って、対象データの抽出をより容易に行うことが可能となる。
【0028】
また、1の検査項目に対し、複数の動画撮影手段が関係する場合には、これら動画撮影手段により得られた複数の動画データから、複数の対象データを得ることができる。従って、不具合の発生原因などをより容易にかつより正確に把握することが可能となる。
【0029】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。例えば、上記手段2に係る技術事項に対し、上記手段3又は4に係る技術事項を組み合わせてもよい。また、例えば、上記手段3又は4に係る技術事項に対し、上記手段5に係る技術事項を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
図4】PTP包装機などの概略構成を示す模式図である。
図5】確認システムなどの概略構成を示すブロック図である。
図6】マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を基準として動作する各種装置を示すブロック図である。
図7】マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相と時間との関係を示すグラフである。
図8】マスターエンコーダにおける位相と、第一エンコーダにおける位相との関係を説明するための説明図である。
図9】マスターエンコーダにおける位相と、第二エンコーダにおける位相との関係を説明するための説明図である。
図10】マスターエンコーダにおける位相と、第三、第四エンコーダにおける位相との関係を説明するための説明図である。
図11】制御装置などの概略構成を示すブロック図である。
図12】保存された動画データを説明するための説明図である。
図13】特定テーブルを説明するための説明図である。
図14】変換テーブル等について説明するための説明図である。
図15】第二カメラから第一検査装置までの容器フィルムの搬送量について説明するための説明図である。
図16】第一検査装置及び第二カメラに係る遡及フレーム数導出式の一例を示すグラフである。
図17】第四カメラから第二検査装置までの容器フィルムの搬送量について説明するための説明図である。
図18】第二検査装置及び第四カメラに係る遡及フレーム数導出式の一例を示すグラフである。
図19】別の実施形態において、保存された動画データを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「製品」としてのPTPシートの構成について説明する。図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0032】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。勿論、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0033】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図3参照)が打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。
【0034】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。尚、錠剤5は、各種情報などが印刷されたものであってもよい。
【0035】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10の概略構成について説明する。本実施形態では、PTP包装機10が「製造装置」及び「ブリスタ包装機」に相当する。PTP包装機10は、搬送方向に沿った順序を変えることなく搬送される「ワーク」としての容器フィルム3に対し同一処理を繰り返し施す装置である。尚、本実施形態では、容器フィルム3を備えたPTPシート1も「ワーク」に相当する。
【0036】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0037】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、予熱装置15及びポケット部形成装置16が配設されている。そして、予熱装置15によって容器フィルム3が予熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0038】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0039】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、充填装置22が配設されている。
【0040】
充填装置22は、例えば所定間隔毎にシャッタを開いて錠剤5を自由落下させること等により各ポケット部2に錠剤5を充填する。
【0041】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0042】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、両フィルム3,4が両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。本実施形態において、PTPフィルム6は「ブリスタフィルム」に相当する。
【0043】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0044】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0045】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する。刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す。尚、図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0046】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能、つまりPTPフィルム6からPTPシート1を切離す機能を有する。
【0047】
シート打抜装置37によって得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、後述する検査装置C1,C2,C3,C4のうちの少なくとも1つによって不良判定がなされた場合、不良判定に係るPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0048】
また、前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置42が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部43は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置42に導かれる。裁断装置42は、不要フィルム部43を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部43(スクラップ)はスクラップ用ホッパ44に貯留された後、廃棄処理される。
【0049】
次いで、上述した間欠送りロール14、フィルム受けロール20、間欠送りロール28,32及びコンベア39を動作させるための第一モータM1、第二モータM2、第三モータM3、第四モータM4及び第五モータM5について説明する。尚、以下では、これらを「モータM1~M5」と表記することがある。
【0050】
第一モータM1は、間欠送りロール14を動作させることで、予熱装置15及びポケット部形成装置16による処理の対象となる容器フィルム3を間欠搬送するためのものである。本実施形態において、第一モータM1は、後述するマスターエンコーダEMによって生成される回転数が偶数(又は奇数)のときであって、マスターエンコーダEMによって生成される位相(回転角度)が所定値(角度α)となったタイミングで動作する。つまり、第一モータM1は、マスターエンコーダEMの回転数が2つ増加する度に1回だけ動作する。第一モータM1が1回動作することによって、容器フィルム3は所定長さ(本実施形態では、PTPシート1二枚分の長さ)だけ搬送される。
【0051】
第二モータM2は、フィルム受けロール20を動作させることで、前記両ロール20,25によってカバーフィルム4が取着される容器フィルム3を一定速度で連続搬送するためのものである。本実施形態では、マスターエンコーダEMの回転数が1増加し、第二モータM2が1回動作することによって、容器フィルム3が所定長さ(本実施形態では、PTPシート1一枚分)だけ搬送される。
【0052】
第三モータM3及び第四モータM4は、スリット形成装置33、刻印装置34及びシート打抜装置37による処理の対象となる容器フィルム3を間欠搬送するためのものである。本実施形態においては、マスターエンコーダEMの位相が所定値(角度α)となる度に、つまり、マスターエンコーダEMの回転数が1増加する度に、両モータM3,M4が1回動作することによって、容器フィルム3が所定長さ(本実施形態では、PTPシート1一枚分の長さ)だけ搬送される。
【0053】
第五モータM5は、コンベア39を動作させることで、PTPシート1を間欠搬送するためのものである。本実施形態においては、マスターエンコーダEMの位相が所定値(角度α)となる度に、つまり、マスターエンコーダEMの回転数が1増加する度に、第五モータM5が1回動作することによって、PTPシート1が所定距離だけ間欠搬送される。尚、第五モータM5は、PTPシート1を連続搬送可能なものであってもよい。
【0054】
さらに、PTP包装機10に対しては、図5に示すように、製造装置の状況確認システム50(以下、単に「確認システム50」という)が適用されている。確認システム50は、PTPシート1の製造に係る不具合の発生状況などを画像によって確認可能とするためのものである。確認システム50は、容器フィルム3自体や容器フィルム3に対する処理についての良否を判定する機能、容器フィルム3や処理の実行状況についての動画データを得る機能、動画データの中から必要なデータのみを抽出して保存する機能などを具備している。確認システム50は、マスターモータMM、マスターエンコーダEM及び制御装置60などを備えている。
【0055】
マスターモータMMは、一定速度で回転するサーボモータ等により構成されており、所定の回転駆動部(例えばモータ軸)を有している。マスターモータMMの起動及び停止は、制御装置60によって制御される。本実施形態において、マスターモータMM(回転駆動部)の動作速度は、PTP包装機10の動作開始時には徐々に増大していき、PTP包装機10の動作開始から一定時間経過後に一定となり、PTP包装機10の動作停止時には徐々に減少して、最終的に0となるようになっている。
【0056】
マスターエンコーダEMは、PTP包装機10における各装置の動作制御の基準となる回転数及び位相を生成する。本実施形態において、マスターエンコーダEMは、マスターモータMMの前記回転駆動部に係る回転数及び位相を読み取り、この読み取った回転数及び位相を生成する。生成された回転数及び位相は、モータM1~M5の動作タイミングに係る基準(つまり容器フィルム3の搬送タイミングに係る基準)、後述する検査装置C1,C2,C3,C4による検査の実行タイミングに係る基準、後述するカメラR1,R2,R3,R4,R5,R6による撮影の実行タイミングに係る基準として用いられる。つまり、マスターエンコーダEMは、モータM1~M5、検査装置C1,C2,C3,C4及びカメラR1,R2,R3,R4,R5,R6の動作制御の基準となる回転数及び位相を生成する(図6参照)。
【0057】
マスターエンコーダEMによって生成された回転数及び位相は、制御装置60へと入力される。本実施形態では、上記のようにマスターモータMMが動作することで、マスターエンコーダEMにより生成される位相及び回転数は、PTP包装機10の動作開始時には徐々に増大し、PTP包装機10の動作開始から一定時間経過後には一定速度で増大し、PTP包装機10の動作停止時には徐々に減少することとなる(図7参照)。
【0058】
次いで、制御装置60の説明に先立って、確認システム50が有するその他の装置について説明する。
【0059】
確認システム50は、容器フィルム3やPTPシート1の搬送経路に沿って、第一検査装置C1、第二検査装置C2、第三検査装置C3及び第四検査装置C4を備えている。以下では、これらを「検査装置C1~C4」と表記することがある。本実施形態において、検査装置C1~C4は、それぞれ「検査手段」に相当する。
【0060】
各検査装置C1~C4は、照射装置、撮像装置及び判定装置(それぞれ不図示)などを備えている。照射装置は、容器フィルム3や錠剤5、PTPシート1などに対し所定の光を照射する。撮像装置は、照射装置によって光の照射された容器フィルム3等を撮像する。判定装置は、撮像装置により得られた画像データに基づき、容器フィルム3自体及び容器フィルム3に対する処理のうちの少なくとも一方についての良否を判定する。
【0061】
第一検査装置C1は、ポケット部形成装置16の下流かつ充填装置22の上流であって、連続搬送される容器フィルム3に対応して設けられている(図4参照)。第一検査装置C1は、ポケット部2の形成後であって、ポケット部2に対する錠剤5の充填前に、容器フィルム3における傷(例えば、ピンホール等)や汚れの有無という検査項目と、ポケット部2における成形不良の有無という検査項目とについての検査を行う。傷や汚れの有無についての検査を行うことで、容器フィルム3自体の良否を判定することができる。また、ポケット部2における成形不良の有無についての検査を行うことで、結果的に、予熱装置15やポケット部形成装置16による容器フィルム3に対する処理が適切に行われた否かを判定することができる。
【0062】
第二検査装置C2は、充填装置22の下流かつフィルム受けロール20の上流に設けられている(図4参照)。第二検査装置C2は、「欠錠」の有無という検査項目や、「立錠」の有無という検査項目についての検査を行う。「欠錠」とは、ポケット部2に対し錠剤5が収容されていないことをいう。「立錠」とは、ポケット部2に充填された錠剤5が立った状態となっていることをいう。「欠錠」や「立錠」についての検査を行うことで、結果的に、充填装置22によるポケット部2に対する錠剤5の充填処理が適切に行われたか否かを判定することができる。
【0063】
第三検査装置C3は、フィルム受けロール20とテンションロール27との間に設けられている(図4参照)。第三検査装置C3は、「欠錠」の有無という検査項目や、「シール不良」の有無という検査項目についての検査を行う。「シール不良」とは、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着が不十分であることをいう。「シール不良」についての検査が行われることで、結果的に、両ロール20,25による、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着処理が適切であるか否かを判定することができる。
【0064】
第四検査装置C4は、コンベア39により搬送されるPTPシート1に対応して設けられている(図4参照)。第四検査装置C4は、「打抜き不良」の有無という検査項目についての検査を行う。「打抜き不良」とは、打抜かれたPTPシート1に不良箇所が生じていることをいう。「打抜き不良」についての検査が行われることで、シート打抜装置37によるPTPフィルム6の打抜処理が適切であるか否かを判定することができる。
【0065】
尚、検査装置C1~C4による良否判定結果は、制御装置60へと送られる。また、上記の通り、検査装置C1~C4による検査の実行タイミングは、マスターエンコーダEMにより生成された回転数及び位相によって制御される。
【0066】
加えて、確認システム50は、第一エンコーダE1、第二エンコーダE2、第三エンコーダE3、第四エンコーダE4及び第五エンコーダE5を備えている。以下では、これらを「エンコーダE1~E5」と表記することがある。
【0067】
第一エンコーダE1は、第一モータM1に係る回転数及び位相を取得するためのものである。本実施形態において、第一エンコーダE1は、マスターエンコーダEMの位相が720°進み(マスターエンコーダEMの回転数が2増加し)、第一モータM1が1回動作して容器フィルム3が所定長さ(PTPシート1二枚分の長さ)だけ間欠搬送される度に、取得される位相が360°進んで、回転数が1だけ増加するように設定されている(図8参照)。
【0068】
第二エンコーダE2は、第二モータM2に係る回転数及び位相を取得するためのものである。本実施形態において、第二エンコーダE2は、マスターエンコーダEMの位相が360°進み、第二モータM2が連続動作して容器フィルム3が所定長さ(PTPシート1一枚分の長さ)だけ搬送される度に、取得される位相が360°進んで、回転数が1だけ増加するように設定されている(図9参照)。従って、第二エンコーダE2により取得される回転数及び位相は、第二モータM2による容器フィルム3の搬送量と比例する。
【0069】
第三エンコーダE3は、第三モータM3に係る回転数及び位相を取得するためのものである。第四エンコーダE4は、第四モータM4に係る回転数及び位相を取得するためのものである。両エンコーダE3,E4は、マスターエンコーダEMの位相が360°進み、各モータM3,M4が1回動作して容器フィルム3が所定長さ(PTPシート1一枚分の長さ)だけ搬送される度に、取得される位相が360°進んで、回転数が1だけ増加するように設定されている(図10参照)。
【0070】
第五エンコーダE5は、第五モータM5に係る回転数及び位相を取得するためのものである。第五エンコーダE5は、第五モータM5が1回動作してPTPシート1が所定距離だけ搬送されると、取得される位相が360°進んで、回転数が1だけ増加するように設定されている。
【0071】
さらに、確認システム50は、容器フィルム3の搬送経路に沿って、第一カメラR1、第二カメラR2、第三カメラR3、第四カメラR4、第五カメラR5及び第六カメラR6を備えている。以下では、これらを「カメラR1~R6」と表記することがある。本実施形態において、カメラR1~R6は、検査装置C1~C4の前記撮像装置とは別に設けられており、それぞれ「動画撮影手段」に相当する。
【0072】
カメラR1~R6は、処理前の容器フィルム3、容器フィルム3に対する処理の実行状況、該処理の良否に伴い状態や姿勢に変動が生じ得る容器フィルム3や錠剤5などを撮影することで、動画データを得るためのものである。動画データは、容器フィルム3自体又は容器フィルム3に対する処理に係るものであって、時系列順で保存された複数の静止フレーム画像データによって構成されている。カメラR1~R6により得られた動画データは、制御装置60に入力される。本実施形態において、1秒分の動画データは、60枚の静止フレーム画像データによって構成されている。
【0073】
また、カメラR1~R6は、マスターエンコーダEMの起動に合わせて動画データの撮影を開始するとともに、マスターエンコーダEMの停止に合わせて動画データの撮影を終了する。これにより、動画データを構成する複数の静止フレーム画像データは、マスターエンコーダEMの回転数及び位相に対応付けられた状態となる。
【0074】
第一カメラR1は、予熱装置15の上流に設けられている(図4参照)。第一カメラR1は、原反から繰り出された容器フィルム3自体を撮影する。第一カメラR1により得られた動画データは、容器フィルム3に対する処理以前に、容器フィルム3に傷や汚れなどがあったか否かを確認するために利用される。
【0075】
第二カメラR2は、予熱装置15及びポケット部形成装置16間に設けられている(図4参照)。第二カメラR2は、サーモカメラによって構成されており、予熱装置15によって予熱処理が施された容器フィルム3を撮影する。第二カメラR2によって得られた動画データは、容器フィルム3における温度分布を示すものであり、容器フィルム3に対する予熱処理が適切であったか否かを確認するために利用される。
【0076】
第三カメラR3は、ポケット部形成装置16の直下流に設けられている(図4参照)。第三カメラR3は、ポケット部形成装置16によってポケット部2の形成処理が施された容器フィルム3を撮影する。第三カメラR3によって得られた動画データは、容器フィルム3に対するポケット部2の形成処理が適切であったか否かを確認するために利用される。
【0077】
第四カメラR4は、充填装置22による錠剤5の充填ポジションに対応して設けられている(図4参照)。第四カメラR4は、ポケット部2へと錠剤5を充填する場面や、充填された錠剤5などを撮影する。第四カメラR4によって得られた動画データは、ポケット部2に対する錠剤5の充填処理が適切であったか否かを確認するために利用される。
【0078】
第五カメラR5は、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着ポジションに対応して設けられている(図4参照)。第五カメラR5は、容器フィルム3に対しカバーフィルム4を取着する場面を撮影する。第五カメラR5によって得られた動画データは、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着処理が適切であったか否かを確認するために利用される。
【0079】
第六カメラR6は、シート打抜装置37によるPTPフィルム6の打抜ポジションに対応して設けられている(図4参照)。第六カメラR6は、PTPフィルム6からPTPシート1を打抜く場面を撮影する。第六カメラR6によって得られた動画データは、PTPフィルム6に対する打抜処理が適切であったか否かを確認するために利用される。
【0080】
次いで、制御装置60について説明する。制御装置60は、PTP包装機10や確認システム50における各装置の動作制御などを担うものである。制御装置60は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAM、各種データを長期記憶する記憶媒体、情報の入力を行うための入力装置(例えばキーボード等)、各種情報を表示するための表示装置(例えば液晶ディスプレイ等)などを備えている。
【0081】
制御装置60は、図5に示すように、モータ制御部61、カメラ制御部62及び検査装置制御部63を備えている。
【0082】
モータ制御部61は、マスターエンコーダEMにより生成される回転数及び位相に基づき、各モータM1~M5の動作を制御する。これにより、各モータM1~M5は、それぞれ上述の態様で動作する。
【0083】
カメラ制御部62は、マスターエンコーダEMにより生成される回転数及び位相に基づき、各カメラR1~R6の動作を制御する。これにより、各カメラR1~R6は、上記の通り、マスターエンコーダEMの起動に合わせて動画データの撮影を開始するとともに、マスターエンコーダEMの停止に合わせて動画データの撮影を終了する。
【0084】
検査装置制御部63は、マスターエンコーダEMにより生成される回転数及び位相に基づき、各検査装置C1~C4による検査の実行タイミングを制御する。本実施形態では、マスターエンコーダEMにより生成される位相が所定値となる度に、各検査装置C1~C4による検査が実行されるようになっている。
【0085】
さらに、制御装置60は、図11に示すように、リングバッファ64、動画保存部65、カメラ特定部66、対象データ保存部67、変換部68及び遡及フレーム数導出部69を備えている。本実施形態では、カメラ特定部66が「撮影手段特定手段」を構成し、同様に、対象データ保存部67が「対象データ保存手段」を、変換部68が「変換手段」を、遡及フレーム数導出部69が「遡及フレーム数導出手段」を、それぞれ構成する。
【0086】
リングバッファ64は、前記記憶媒体によって構成されており、この記憶媒体における一定の情報格納領域を輪のように扱うものである。リングバッファ64は、全ての情報格納領域にデータが格納された後に、先頭の情報格納領域に戻ってデータの上書きが行われるように構成されている。
【0087】
動画保存部65は、カメラR1~R6により得られた動画データを保存する。より詳しくは、動画保存部65は、カメラR1~R6により得られた動画データを、静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの時刻を示す実時刻タイムコードを付した形式で、リングバッファ64に保存する(図12参照)。本実施形態において、実時刻タイムコードは、時刻及びフレーム番号によって構成されている。図12では、静止フレーム画像データとして、時刻とフレーム番号とからなるデータ名を記載している。本実施形態におけるフレーム番号は、0~59の数値であり、1秒分の動画データを構成する60枚の静止フレーム画像データの取得順序を示している。時刻は、制御装置60の有する時計機能を利用して取得される。
【0088】
カメラ特定部66は、複数のカメラR1~R6の中から、検査装置C1~C4によって不良判定された検査項目に関係するものを特定する。この特定にあたって、カメラ特定部66は、予め取得された、検査項目と該検査項目に関係するカメラR1~R6との対応関係を示す特定テーブル(図13参照)を用いる。
【0089】
例えば、第一検査装置C1によって、ポケット部2における成形不良の有無という検査項目で不良判定がなされる原因としては、容器フィルム3に対する予熱処理や、ポケット部2の形成処理において何らかの不具合が発生したことが考えられる。従って、成形不良の有無という検査項目には、予熱された容器フィルム3を撮影する第二カメラR2と、ポケット部2が形成された後の容器フィルム3を撮影する第三カメラR3とが関係する。そのため、特定テーブルでは、ポケット部2における成形不良の有無という検査項目に対し、第二カメラR2及び第三カメラR3が対応している点が示される。
【0090】
また、例えば、第二検査装置C2によって、「欠錠」や「立錠」の有無という検査項目で不良判定がなされる原因としては、充填装置22による錠剤5の充填時、又は、充填装置22よりも下流位置での容器フィルム3の搬送時に何らかの不具合が発生したことが考えられる。そのため、「欠錠」や「立錠」の有無という検査項目には、ポケット部2に対し錠剤5を充填する場面を撮影する第四カメラR4が関係する。そのため、特定テーブルでは、「欠錠」や「立錠」の有無という検査項目に対し、第四カメラR4が対応している点が示される。第四カメラR4により得られた動画データを確認することで、充填装置22による錠剤5の充填時、及び、充填装置22よりも下流位置での容器フィルム3の搬送時のいずれかのタイミングで不具合が発生したことを把握できる。
【0091】
対象データ保存部67は、検査装置C1~C4により不良判定されたことをトリガーとして、リングバッファ64に記憶された動画データの中から所定の対象データを抽出して保存する。対象データは、不具合の発生原因や発生時期を特定するために必要になると考えられるデータである。尚、本実施形態において、対象データは、複数の静止フレーム画像データからなる動画データとされているが、1の静止フレーム画像データからなる静止画データであってもよい。
【0092】
対象データの抽出・保存に当たって、対象データ保存部67は、動画データのうち、前記トリガーが発生したときの静止フレーム画像データを基準とし、遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある“所定範囲”のものを、対象データとして抽出して保存する。
【0093】
ここで、遡及フレーム数とは、検査装置C1~C4にて不良判定がなされた場合において、その不良判定に関係するカメラR1~R6により得られた動画データの中から、その不良判定に関係するデータ(対象データ)を抽出するために、現時点の動画データからどの程度のフレーム数を遡るべきであるのかを示すものである。遡及フレーム数は、検査装置C1~C4による不良判定に関係するカメラR1~R6から、不良判定を行った検査装置C1~C1に対する容器フィルム3(PTPシート1を含む)の搬送量に対応する。遡及フレーム数は、遡及フレーム数導出部69によって導出される。遡及フレーム数の導出手法については、後述する。
【0094】
また、“所定範囲”は、対象データの時間長に対応するものであって、適宜変更することができる。本実施形態において、所定範囲は、遡及フレーム数の分だけ遡った位置と、該位置からPTPシート1一枚分(つまり、マスターエンコーダEM一回転分)だけ遡った位置との間の範囲に設定されている(図14参照)。
【0095】
加えて、対象データ保存部67は、カメラ特定部66により特定されたカメラR1~R6が得た1又は複数の動画データの中から、1又は複数の対象データを抽出して保存する。従って、ポケット部2における成形不良の有無という検査項目で不良判定がなされた場合、第二カメラR2が得た動画データの中から1つの対象データが抽出されて保存されるとともに、第三カメラR3が得た動画データの中からもう1つの対象データが抽出されて保存される。
【0096】
さらに、対象データ保存部67は、リングバッファ64に保存された動画データから対象データを抽出するにあたり、変換部68によって、前記所定範囲に対応するマスターエンコーダEMの回転数及び位相を、実時刻タイムコードに変換する。
【0097】
ここで、変換部68は、マスターエンコーダEMにより生成される回転数及び位相と実時刻タイムコードとの対応関係を示す変換テーブル(図14参照)を用いて、前記所定範囲に対応するマスターエンコーダEMの回転数及び位相を、実時刻タイムコードへと変換する。尚、変換テーブルは、例えば、PTP包装機10の動作中に、マスターエンコーダEMによって生成される回転数及び位相と実時刻タイムコードとの対応関係を取得することによって得ることができる。
【0098】
そして、対象データ保存部67は、変換処理により得られた実時刻タイムコードを利用して、リングバッファ64に保存された動画データの中から対象データを抽出する。より詳しくは、対象データ保存部67は、動画データの中から、変換処理により得られた実時刻タイムコードと一致する実時刻タイムコードの付された複数の静止フレーム画像データを、対象データとして抽出する。
【0099】
さらに、対象データ保存部67は、抽出した対象データを、対象データの抽出のトリガーとなった検査装置C1~C4による検査結果と関連付けて保存する。例えば、第一検査装置C1によって、ポケット部2における成形不良の有無という検査項目で不良判定がなされた場合、その検査結果と対象データとが関連付けて保存される。尚、良否判定で用いた画像データ(検査用の画像データ)を、対象データと関連付けて保存してもよい。
【0100】
また、対象データは、前記記憶媒体におけるリングバッファ64を構成する領域とは別の領域に保存される。従って、対象データは、リングバッファ64に保存されたデータとは異なり、一定期間の経過に伴い消去されることはない。
【0101】
遡及フレーム数導出部69は、マスターエンコーダEMにより生成される回転数及び位相と、予め取得された遡及フレーム数導出式とに基づき、遡及フレーム数を導出する。遡及フレーム数導出式としては、一定の値を示すものや、マスターエンコーダEMの回転数や位相により変動するものがある。遡及フレーム数導出式は、前記特定テーブル(図13参照)にて対応付けられた検査装置C1~C4及びカメラR1~R6の組合せごとに設けられている。従って、遡及フレーム数導出式としては、第一検査装置C1及び第一カメラR1に係るもの、第一検査装置C1及び第二カメラR2に係るものなどがある。
【0102】
例えば、第一検査装置C1及び第二カメラR2に係る遡及フレーム数導出式は、次のようにして取得することができる。すなわち、第一検査装置C1により検査される容器フィルム3はマスターエンコーダEMが1回転する度に所定量(PTPシート1一枚分)搬送される一方、第二カメラR2により撮影される容器フィルム3はマスターエンコーダEMの位相が所定値となったタイミングでPTPシート1二枚分だけ間欠搬送される。そのため、第二カメラR2から第一検査装置C1までの容器フィルム3の搬送量L1は、マスターエンコーダEMの回転数や位相に応じて変動するものとなる(図15参照)。
【0103】
従って、マスターエンコーダEMの回転数や位相に応じて変動する、搬送量L1を示す式を求めることができる。その上で、該式(搬送量L1)を、マスターエンコーダEMが1回転する度に搬送される容器フィルム3の搬送量(PTPシート1一枚分)で除算する。これにより、マスターエンコーダEMの回転数や位相により変動する、第一検査装置C1及び第二カメラR2に係る遡及フレーム数導出式(図16参照)を取得することができる。
【0104】
また、例えば、第二検査装置C2及び第四カメラR4に係る遡及フレーム数導出式は、次のようにして取得することができる。すなわち、第二検査装置C2により検査される容器フィルム3と、第四カメラR4により撮影される容器フィルム3とは、それぞれ一定速度で連続搬送される。そのため、第四カメラR4から第二検査装置C2までの容器フィルム3の搬送量L2は、一定の値を示すものとなる(図17参照)。
【0105】
そのため、搬送量L2を、マスターエンコーダEMが1回転する度に搬送される容器フィルム3の搬送量(PTPシート1一枚分)で除算することにより、第二検査装置C2及び第四カメラR4に係る遡及フレーム数導出式(図18参照。この場合は一定値)を取得することができる。
【0106】
そして、遡及フレーム数導出部69は、不良判定がなされたタイミングにおけるマスターエンコーダEMの回転数及び位相を用いて、遡及フレーム数導出式から遡及フレーム数を導出する。例えば、第一検査装置C1及び第二カメラR2に係る遡及フレーム数を導出する場合、第一検査装置C1及び第二カメラR2に係る遡及フレーム数導出式に対し、不良判定がなされたときのマスターエンコーダEMの回転数や位相を代入することによって、第一検査装置C1及び第二カメラR2に係る遡及フレーム数を取得することができる。
【0107】
尚、遡及フレーム数導出部69は、予め取得した導出テーブルを利用して、遡及フレーム数を導出するものであってもよい。導出テーブルは、前記特定テーブルにて対応付けられた検査装置C1~C4及びカメラR1~R6間の搬送量に対応する遡及フレーム数と、マスターエンコーダEMの回転数や位相との対応関係を示すものである。遡及フレーム数導出部69は、この導出テーブルと、不良判定がなされたときのマスターエンコーダEMの回転数や位相とに基づき、遡及フレーム数を導出することができる。
【0108】
上記のように構成された確認システム50は、次のようにして動作する。すなわち、検査装置C1~C4によって不良判定がなされると、カメラ特定部66によって、不良判定された検査項目に関係するカメラR1~R6が特定される。例えば、第一検査装置C1によって傷や汚れの有無という検査項目で不良判定がなされると、カメラ特定部66によって、カメラR1,R2,R3が特定される。
【0109】
また、遡及フレーム数導出部69によって、遡及フレーム数が導出される。これにより、動画データにおける前記所定範囲が定まる〔図14における(1)〕。例えば、カメラ特定部66によってカメラR1,R2,R3が特定されている場合、これらカメラR1,R2,R3ごとに、それぞれ異なる遡及フレーム数が導出される。そして、遡及フレーム数が導出されることで、カメラR1,R2,R3により得られた動画データごとに前記所定範囲が定まる。
【0110】
さらに、変換部68によって、前記所定範囲に対応するマスターエンコーダEMの回転数及び位相が、実時刻タイムコードへと変換される〔図14における(2)〕。例えば、カメラ特定部66によってカメラR1,R2,R3が特定されている場合、3種類の前記所定範囲に対応して、3種類の実時刻タイムコードが導出される。
【0111】
その上で、対象データ保存部67によって、リングバッファ64に保存された動画データの中から、変換部68による変換処理により得られた実時刻タイムコードと一致する実時刻タイムコードの付された複数の静止フレーム画像データが、対象データとして抽出される〔図14における(3)〕。例えば、カメラ特定部66によってカメラR1,R2,R3が特定されている場合、第一カメラR1,R2,R3により得られた計3つの動画データの中から計3つの対象データが抽出される。
【0112】
そして最終的に、対象データ保存部67によって、抽出された対象データが検査結果等と関連付けて保存される。保存された対象データなどを確認することで、オペレータ等は、不具合の発生原因や発生時期を知ることができ、また、不具合の再発防止のために、より適切な対応をとることができる。
【0113】
以上詳述したように、本実施形態によれば、動画データのうち、トリガーが発生したとき(不良判定されたとき)の静止フレーム画像データを基準とし、検査装置C1~C4による不良判定に関係するカメラR1~R6から該検査装置C1~C4に対する容器フィルム3(PTPシート1を含む)の搬送量に対応する遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある所定範囲のものが、対象データとして抽出される。
【0114】
すなわち、時間ではなく、容器フィルム3の搬送量に基づき動画データの中から対象データが抽出される。従って、動画データの中から、対象データとして、不具合の発生原因や発生時期の把握に必要な動画データをピンポイントで抽出することができ、必要な動画データをより確実にかつより容易に得ることができる。また、容器フィルム3の搬送量に基づいて対象データを抽出するから、容器フィルム3の搬送速度に変動が生じたような場合であっても、不具合の発生原因などを把握するために必要な動画データをより確実に得ることができる。
【0115】
また、遡及フレーム数導出部69は、マスターエンコーダEMにより生成される回転数及び位相に基づき、遡及フレーム数を導出する。従って、動画データにおいて、複数の静止フレーム画像データとマスターエンコーダの回転数及び位相とが対応付けられた状態となることに合わせて、この動画データに合う遡及フレーム数をより正確に導出することができる。その結果、対象データとして、不具合の発生原因などを把握するために必要な動画データを一層確実に得ることができる。
【0116】
さらに、動画データは、リングバッファ64に保存される。従って、動画データを保存するためのメモリ領域を節約することができる。加えて、動画データは、静止フレーム画像データが得られたときの時刻に関する情報を有するため、不具合がいつ発生したのか、不具合を生じさせる事象がどのようなスピードで生じたのかについて確認することができる。従って、不具合の発生防止のための対応をより適切にとることができる。
【0117】
また、変換部68を用いることで、マスターエンコーダEMにより生成される回転数及び位相を、実時刻タイムコードに変換することができる。そして、この実時刻タイムコードを利用して、動画データの中から対象データを抽出することができる。従って、対象データとして、不具合の発生原因などを把握するために必要な動画データを一層確実に得ることができる。
【0118】
加えて、カメラ特定部66によって、ある検査項目について不良判定された場合に、その検査項目に関係する1又は複数のカメラR1~R6を特定することができる。そして、対象データ保存部67によって、特定された1又は複数のカメラR1~R6が得た1又は複数の動画データの中から、対象データが抽出して保存される。従って、対象データの抽出をより容易に行うことが可能となる。
【0119】
また、1の検査項目に対し、複数のカメラR1~R6が関係する場合には、これらカメラR1~R6により得られた複数の動画データから、複数の対象データを得ることができる。従って、不具合の発生原因などをより容易にかつより正確に把握することが可能となる。
【0120】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0121】
(a)上記実施形態において、カメラR1~R6により得られた動画データは、静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの時刻を示す実時刻タイムコードを付した形式でリングバッファ64に保存されている。これに対し、図19に示すように、カメラR1~R6により得られた動画データを、静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの、マスターエンコーダEMにより生成される回転数及び位相を示す機械的タイムコードを付した形式でリングバッファ64に保存するようにしてもよい。そして、対象データ保存部67は、機械的タイムコードを利用して、リングバッファ64に保存された動画データの中から対象データを抽出して保存するものであってもよい。
【0122】
この場合、動画データは、リングバッファ64に保存されるため、動画データを保存するためのメモリ領域を節約することができる。
【0123】
また、変換部68を用いることなく、動画データの中から対象データを抽出することができるため、対象データの抽出に係る処理負担の低減を図ることができる。
【0124】
尚、機械的タイムコードは、フレーム番号を具備するものであってもよい。
【0125】
(b)上記実施形態において、マスターエンコーダEMは、マスターモータMMに係る回転数及び位相を読み取り、この読み取った回転数及び位相を生成するものとされている。これに対し、マスターエンコーダEMは、例えば、フィルム受けロール20を駆動させる第二モータに係る回転数及び位相を読み取り、この読み取った回転数及び位相を生成するものであってもよい。従って、第二エンコーダE2が、マスターエンコーダEMを兼ねるように構成してもよい。
【0126】
また、マスターエンコーダEMを、ソフトウェア上で仮想的に実現してもよい。
【0127】
(c)上記実施形態における容器フィルム3の搬送態様は一例であって、この搬送態様を適宜変更してもよい。従って、例えば、両モータM3,M4が1回動作することによって、容器フィルム3がPTPシート1複数枚分の長さだけ搬送されるように構成してもよい。
【0128】
また、マスターエンコーダEMにより生成される回転数及び位相を用いることなく、容器フィルム3が予め定められた態様で搬送されるように構成してもよい。
【0129】
(d)上記実施形態において、確認システム50は、4つの検査装置C1~C4を備えているが、検査装置の数を適宜変更してもよい。
【0130】
また、検査項目についても適宜変更してもよい。例えば、第二検査装置C2は、錠剤5における破損の有無という検査項目についての検査を行うものであってもよい。
【0131】
(e)上記実施形態では、「内容物」として錠剤5を挙げているが、内容物は錠剤に限定されるものではない。
【0132】
また、錠剤の種別や形状等については、上記実施形態に限定されるものではない。例えば錠剤には、医薬のみならず、飲食用に用いられる錠剤なども含まれる。また、錠剤には、素錠、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠及びゼラチン被包錠などが含まれるのは勿論のこと、硬カプセルや軟カプセルなどの各種カプセル錠なども含まれる。
【0133】
さらに、錠剤の形状に関しては、平面視円形状のみならず、例えば、平面視多角形状、平面視楕円形状、平面視長円形状等であってもよい。
【0134】
(f)製造されるPTPシートの構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えばPTPシート1単位のポケット部2の配列や個数は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0135】
また、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。勿論、PTPフィルム6の構成に合わせて、予熱装置15及びポケット部形成装置16の構成を変更してもよい。また、予熱装置15等の構成に合わせて、予熱装置15等による処理の対象となる容器フィルム3の搬送量を適宜変更してもよい。
【0136】
さらに、上記実施形態では、ブリスタシートとしてPTPシート1を挙げているが、PTPシート1以外のブリスタシートに対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【0137】
(g)上記実施形態では、PTP包装機10に対し確認システム50が適用されているが、確認システム50を適用可能な製造装置は、搬送方向に沿った順序を変えることなく搬送されるワークに対し、同一処理を繰り返し施すものであればよく、PTP包装機10に限定されるものではない。
【0138】
従って、例えば、「ワーク」としての容器(トレイ)に対し、内容物を収容する処理、蓋フィルムを取着する処理などを繰り返し施す密封パックの製造装置(例えば、特開2021-181330号公報に記載の装置)に対し、確認システム50を適用してもよい。また、例えば、「ワーク」としてのベース基板に対し、半田を塗布する処理、電子部品を実装する処理及び半田を加熱溶融させる処理(リフロー処理)などを繰り返し施す基板製造装置(例えば、特開2017-15717号公報に記載の基板製造システム)に対し、確認システム50を適用してもよい。
【符号の説明】
【0139】
1…PTPシート(ワーク)、3…容器フィルム(ワーク)、10…PTP包装機(製造装置)、50…製造装置の状況確認システム、64…リングバッファ、66…カメラ特定部(撮影手段特定手段)、67…対象データ保存部(対象データ保存手段)、68…変換部(変換手段)、69…遡及フレーム数導出部(遡及フレーム数導出手段)、C1~C4…検査装置(検査手段)、EM…マスターエンコーダ、R1~R6…カメラ(動画撮影手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に沿った順序を変えることなく搬送されるワークに対し、同一処理を繰り返し施す製造装置に用いられ、製造に係る不具合の発生状況を動画によって確認するための製造装置の状況確認システムであって、
前記ワークの搬送経路に沿って配置され、時系列順で保存された複数の静止フレーム画像データからなる、前記ワーク自体又は前記ワークに対する処理に係る動画データを得る動画撮影手段と、
前記ワーク自体及び前記ワークに対する処理のうちの少なくとも一方についての良否を判定する検査手段と、
前記検査手段により不良判定されたことをトリガーとして、前記動画データの中から所定の対象データを抽出して保存する対象データ保存手段とを備え、
前記対象データ保存手段は、前記動画データのうち、前記トリガーが発生したときの前記静止フレーム画像データを基準とし、前記検査手段による不良判定に関係する前記動画撮影手段から該検査手段に対する前記ワークの搬送量に対応する遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある所定範囲のものを、前記対象データとして抽出して保存するように構成され
少なくとも前記ワークの搬送に係る基準となる回転数及び位相を生成可能なマスターエンコーダを備え、
前記動画撮影手段は、前記マスターエンコーダの起動に合わせて前記動画データの撮影を開始するとともに、前記マスターエンコーダの停止に合わせて前記動画データの撮影を終了するように構成されており、
前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相に基づき、前記遡及フレーム数を導出可能な遡及フレーム数導出手段を有することを特徴とする製造装置の状況確認システム。
【請求項2】
前記動画撮影手段により得られた前記動画データは、前記静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの時刻を示す実時刻タイムコードを付した形式で所定のリングバッファに保存されており、
前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相と、前記実時刻タイムコードとの対応関係を示す変換テーブルを用いて、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、前記実時刻タイムコードに変換する変換手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記変換手段によって、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、前記実時刻タイムコードに変換するとともに、該実時刻タイムコードを利用して、前記リングバッファに保存された前記動画データの中から前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の製造装置の状況確認システム。
【請求項3】
前記動画撮影手段により得られた前記動画データは、前記静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を示す機械的タイムコードを付した形式で所定のリングバッファに保存されており、
前記対象データ保存手段は、前記機械的タイムコードを利用して、前記リングバッファに保存された前記動画データの中から前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の製造装置の状況確認システム。
【請求項4】
前記動画撮影手段は、前記ワークの搬送方向に沿って複数設けられており、
前記検査手段には、複数の検査項目についての良否判定を行うものが含まれており、
前記検査項目と、前記検査項目に関係する前記動画撮影手段との対応関係を示す特定テーブルを用いて、複数の前記動画撮影手段の中から、不良判定された検査項目に関係するものを特定する撮影手段特定手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記撮影手段特定手段により特定された前記動画撮影手段が得た前記動画データの中から、前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造装置の状況確認システム。
【請求項5】
搬送方向に沿った順序を変えることなく搬送されるワークに対し、同一処理を繰り返し施す製造装置に用いられ、製造に係る不具合の発生状況を動画によって確認するための製造装置の状況確認システムであって、
前記ワークの搬送経路に沿って配置され、時系列順で保存された複数の静止フレーム画像データからなる、前記ワーク自体又は前記ワークに対する処理に係る動画データを得る動画撮影手段と、
前記ワーク自体及び前記ワークに対する処理のうちの少なくとも一方についての良否を判定する検査手段と、
前記検査手段により不良判定されたことをトリガーとして、前記動画データの中から所定の対象データを抽出して保存する対象データ保存手段とを備え、
前記対象データ保存手段は、前記動画データのうち、前記トリガーが発生したときの前記静止フレーム画像データを基準とし、前記検査手段による不良判定に関係する前記動画撮影手段から該検査手段に対する前記ワークの搬送量に対応する遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある所定範囲のものを、前記対象データとして抽出して保存するように構成され、
前記動画撮影手段は、前記ワークの搬送方向に沿って複数設けられており、
前記検査手段には、複数の検査項目についての良否判定を行うものが含まれており、
前記検査項目と、前記検査項目に関係する前記動画撮影手段との対応関係を示す特定テーブルを用いて、複数の前記動画撮影手段の中から、不良判定された検査項目に関係するものを特定する撮影手段特定手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記撮影手段特定手段により特定された前記動画撮影手段が得た前記動画データの中から、前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする製造装置の状況確認システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
手段1.搬送方向に沿った順序を変えることなく搬送されるワークに対し、同一処理を繰り返し施す製造装置に用いられ、製造に係る不具合の発生状況を動画によって確認するための製造装置の状況確認システムであって、
前記ワークの搬送経路に沿って配置され、時系列順で保存された複数の静止フレーム画像データからなる、前記ワーク自体又は前記ワークに対する処理に係る動画データを得る動画撮影手段と、
前記ワーク自体及び前記ワークに対する処理のうちの少なくとも一方についての良否を判定する検査手段と、
前記検査手段により不良判定されたことをトリガーとして、前記動画データの中から所定の対象データを抽出して保存する対象データ保存手段とを備え、
前記対象データ保存手段は、前記動画データのうち、前記トリガーが発生したときの前記静止フレーム画像データを基準とし、前記検査手段による不良判定に関係する前記動画撮影手段から該検査手段に対する前記ワークの搬送量に対応する遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある所定範囲のものを、前記対象データとして抽出して保存するように構成され
少なくとも前記ワークの搬送に係る基準となる回転数及び位相を生成可能なマスターエンコーダを備え、
前記動画撮影手段は、前記マスターエンコーダの起動に合わせて前記動画データの撮影を開始するとともに、前記マスターエンコーダの停止に合わせて前記動画データの撮影を終了するように構成されており、
前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相に基づき、前記遡及フレーム数を導出可能な遡及フレーム数導出手段を有することを特徴とする製造装置の状況確認システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、上記手段によれば、少なくともワークの搬送に係る基準となる回転数及び位相を生成可能なマスターエンコーダが設けられている。また、動画撮影手段は、マスターエンコーダの起動に合わせて動画データの撮影を開始し、マスターエンコーダの停止に合わせて動画データの撮影を終了する。従って、動画データを構成する複数の静止フレーム画像データは、マスターエンコーダの回転数及び位相に対応付けられた状態となる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】

手段.前記動画撮影手段により得られた前記動画データは、前記静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの時刻を示す実時刻タイムコードを付した形式で所定のリングバッファに保存されており、
前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相と、前記実時刻タイムコードとの対応関係を示す変換テーブルを用いて、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、前記実時刻タイムコードに変換する変換手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記変換手段によって、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、前記実時刻タイムコードに変換するとともに、該実時刻タイムコードを利用して、前記リングバッファに保存された前記動画データの中から前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする手段に記載の製造装置の状況確認システム。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
上記手段によれば、動画データは、リングバッファに保存される。従って、動画データを保存するためのメモリ領域を節約することができる。また、動画データは、静止フレーム画像データが得られたときの時刻に関する情報を有するため、不具合がいつ発生したのか、不具合を生じさせた事象がどのようなスピードで生じたのかについて確認することができる。従って、不具合の発生防止のための対応をより適切にとることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
また、上記手段によれば、変換手段を用いることで、マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を、実時刻タイムコードに変換することができる。そして、この実時刻タイムコードを利用して、動画データの中から対象データを抽出することができる。従って、対象データとして、不具合の発生原因などを把握するために必要な動画データを一層確実に得ることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
手段.前記動画撮影手段により得られた前記動画データは、前記静止フレーム画像データごとに、該静止フレーム画像データが得られたときの、前記マスターエンコーダにより生成される回転数及び位相を示す機械的タイムコードを付した形式で所定のリングバッファに保存されており、
前記対象データ保存手段は、前記機械的タイムコードを利用して、前記リングバッファに保存された前記動画データの中から前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする手段に記載の製造装置の状況確認システム。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
上記手段によれば、動画データは、リングバッファに保存されるため、動画データを保存するためのメモリ領域を節約することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
また、上記手段によれば、変換手段を用いることなく、動画データの中から対象データを抽出することができる。従って、対象データの抽出に係る処理負担の低減を図ることができる。
手段4.前記動画撮影手段は、前記ワークの搬送方向に沿って複数設けられており、
前記検査手段には、複数の検査項目についての良否判定を行うものが含まれており、
前記検査項目と、前記検査項目に関係する前記動画撮影手段との対応関係を示す特定テーブルを用いて、複数の前記動画撮影手段の中から、不良判定された検査項目に関係するものを特定する撮影手段特定手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記撮影手段特定手段により特定された前記動画撮影手段が得た前記動画データの中から、前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれか1項に記載の製造装置の状況確認システム。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
手段5.搬送方向に沿った順序を変えることなく搬送されるワークに対し、同一処理を繰り返し施す製造装置に用いられ、製造に係る不具合の発生状況を動画によって確認するための製造装置の状況確認システムであって、
前記ワークの搬送経路に沿って配置され、時系列順で保存された複数の静止フレーム画像データからなる、前記ワーク自体又は前記ワークに対する処理に係る動画データを得る動画撮影手段と、
前記ワーク自体及び前記ワークに対する処理のうちの少なくとも一方についての良否を判定する検査手段と、
前記検査手段により不良判定されたことをトリガーとして、前記動画データの中から所定の対象データを抽出して保存する対象データ保存手段とを備え、
前記対象データ保存手段は、前記動画データのうち、前記トリガーが発生したときの前記静止フレーム画像データを基準とし、前記検査手段による不良判定に関係する前記動画撮影手段から該検査手段に対する前記ワークの搬送量に対応する遡及フレーム数の分だけ遡った位置にある所定範囲のものを、前記対象データとして抽出して保存するように構成され、
前記動画撮影手段は、前記ワークの搬送方向に沿って複数設けられており、
前記検査手段には、複数の検査項目についての良否判定を行うものが含まれており、
前記検査項目と、前記検査項目に関係する前記動画撮影手段との対応関係を示す特定テーブルを用いて、複数の前記動画撮影手段の中から、不良判定された検査項目に関係するものを特定する撮影手段特定手段を有し、
前記対象データ保存手段は、前記撮影手段特定手段により特定された前記動画撮影手段が得た前記動画データの中から、前記対象データを抽出して保存するように構成されていることを特徴とする製造装置の状況確認システム。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
上記手段4、5によれば、撮影手段特定手段によって、ある検査項目について不良判定された場合に、その検査項目に関係する1又は複数の動画撮影手段を特定することができる。そして、対象データ保存手段によって、特定された1又は複数の動画撮影手段が得た1又は複数の動画データの中から、対象データが抽出して保存される。従って、対象データの抽出をより容易に行うことが可能となる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】削除
【補正の内容】