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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072367
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】管理装置及び管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240521BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G06Q10/06
B65G1/137 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183118
(22)【出願日】2022-11-16
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 龍太郎
【テーマコード(参考)】
3F522
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F522AA04
3F522BB33
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD36
3F522EE13
3F522EE18
3F522FF05
3F522FF12
3F522FF24
3F522GG05
3F522GG15
3F522GG44
3F522HH02
3F522HH12
3F522HH22
3F522HH30
3F522HH37
3F522KK05
3F522LL42
3F522LL43
3F522LL57
5L010AA06
5L049AA06
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】保管場所を定期的に巡回等することなく、その保管場所にて保管される移動体の保管数を管理可能な構成を提供する。
【解決手段】各ショッピングカートMに設置されるビーコン発信機Bからそれぞれ発信されるビーコン信号がカート置き場(S1~S4)に配置されるビーコン受信部15にて受信され、このビーコン受信部15の結果に応じてカート置き場に保管されているショッピングカートMの保管数が計数処理により順次計数され、この計数処理により計数されるショッピングカートMの保管数に応じて報知処理により所定の報知が行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち出し及び返却可能に保管場所にて保管される2以上の移動体を管理する管理装置であって、
前記移動体には、それぞれビーコン発信機が設置され、
前記保管場所に配置されて前記ビーコン発信機からそれぞれ発信されるビーコン信号を受信するビーコン受信部と、
前記ビーコン受信部の結果に応じて前記保管場所に保管されている前記移動体の保管数を順次計数する計数部と、
前記計数部により計数される前記移動体の保管数に応じて所定の報知を行う報知部と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記ビーコン信号には、前記ビーコン発信機を特定可能な固有のビーコンIDが含まれ、
前記計数部は、さらに、前記ビーコンIDを利用して前記保管場所に保管される2以上の前記移動体のうちの特定種類の移動体の保管数を順次計数し、
前記報知部は、前記計数部により計数される前記特定種類の移動体の保管数に応じて第2の報知を行うことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記移動体を前記保管場所に補充する作業を行う作業者が所持する携帯端末に対して、前記保管場所を明示するように前記所定の報知を行うことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
持ち出し及び返却可能に複数の保管場所にてそれぞれ保管される2以上の移動体を管理する管理システムであって、
前記保管場所ごとに設置される複数の管理装置と、
前記複数の管理装置からそれぞれ受信した保管情報に基づいて前記複数の保管場所ごとに保管されている前記移動体を管理する管理サーバと、
を備える管理システムであって、
前記移動体には、それぞれビーコン発信機が設置され、
前記管理装置は、
前記ビーコン発信機からそれぞれ発信されるビーコン信号を受信するビーコン受信部と、
前記ビーコン受信部の受信結果に関する情報を前記保管情報として前記管理サーバに送信する保管情報送信部と、
を備え、
前記管理サーバは、
前記複数の管理装置からそれぞれ受信した前記保管情報が順次記憶される記憶部と、
前記記憶部に記憶される前記保管情報を利用して前記移動体の保管数を保管されている前記保管場所ごとに順次計数する計数部と、
前記計数部により計数される前記移動体の保管数に応じて所定の報知を行う報知部と、
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項5】
前記ビーコン信号には、前記ビーコン発信機を特定可能な固有のビーコンIDが含まれ、
前記計数部は、さらに、前記ビーコンIDを利用して前記保管場所に保管される2以上の前記移動体のうちの特定種類の移動体の保管数を前記保管場所ごとに順次計数し、
前記報知部は、前記計数部により計数される前記特定種類の移動体の保管数に応じて第2の報知を行うことを特徴とする請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、前記複数の保管場所のうち前記計数部により計数される前記移動体の保管数が所定の下限閾値以下になったために前記移動体を補充すべき保管場所となる補充先保管場所が生じた場合に、前記補充先保管場所を特定するための補充先情報に加えて、前記計数部の計数結果に基づいて補充元となる他の保管場所を指定するための補充元情報を生成する補充情報生成部を備え、
前記報知部は、前記補充情報生成部により生成された前記補充先情報及び前記補充元情報を含めるように前記所定の報知を行うことを特徴とする請求項4に記載の管理システム。
【請求項7】
前記報知部は、さらに、前記補充先保管場所に対して補充する前記移動体の補充数を含めるように前記所定の報知を行い、
前記管理サーバは、
前記記憶部に順次記憶される前記保管情報を利用して、前記保管場所ごとに前記移動体の保管数に関する偏在傾向を示す偏在傾向情報を生成する偏在傾向情報生成部と、
前記偏在傾向情報生成部により生成される前記偏在傾向情報に応じて前記所定の下限閾値及び前記補充数を調整する調整部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の管理システム。
【請求項8】
前記報知部は、前記移動体を前記保管場所に補充する作業を行う作業者が所持する携帯端末に対して、前記補充先情報及び前記補充元情報を含めるように前記所定の報知を行うことを特徴とする請求項6に記載の管理システム。
【請求項9】
前記管理サーバは、前記複数の保管場所のうち前記計数部により計数される前記移動体の保管数が所定の上限閾値以上になったために前記移動体を移送して除くべき保管場所となる移送元保管場所が生じた場合に、前記移送元保管場所を特定するための移送元情報に加えて、前記計数部の計数結果に基づいて移送先となる他の保管場所を指定するための移送先情報を生成する移送情報生成部を備え、
前記報知部は、前記移送情報生成部により生成された前記移送元情報及び前記移送先情報を含めるように前記所定の報知を行うことを特徴とする請求項4に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち出し可能に保管場所にて保管される移動体を管理する管理装置及び管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ショッピングモール等では、モール内に設置されている各カート置き場にてショッピングカートが不足しないように、警備員等が定期的に巡回等して各カート置き場でのショッピングカートの保管数を監視及び補充等の作業を行っている。そうすると、カート置き場の数が多くなるほど、その作業コスト等が増大してしまうという問題がある。このため、例えば、下記特許文献1に開示される情報処理システムを利用して、モール内を移動する各ショッピングカートをそれぞれ追跡することで、各カート置き場でのショッピングカートの保管数を警備員等が定期的に巡回するとなく監視することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-157216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように各ショッピングカートをそれぞれ追跡するようなシステムでは、店舗内に設置された天井カメラによる撮像画像を利用するため、監視作業コストを削減できてもシステム運用に関するコストが増大してしまうという問題がある。この問題は、ショッピングモール等で利用されるショッピングカートに限らず、例えば、空港内で利用されるカートや工場内で利用されるパレット等でも同様に生じる問題である。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、保管場所を定期的に巡回等することなく、その保管場所にて保管される移動体の保管数を管理可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
持ち出し及び返却可能に保管場所(S1~S4)にて保管される2以上の移動体(M)を管理する管理装置(10)であって、
前記移動体には、それぞれビーコン発信機(B)が設置され、
前記保管場所に配置されて前記ビーコン発信機からそれぞれ発信されるビーコン信号を受信するビーコン受信部(15)と、
前記ビーコン受信部の結果に応じて前記保管場所に保管されている前記移動体の保管数を順次計数する計数部(11)と、
前記計数部により計数される前記移動体の保管数に応じて所定の報知を行う報知部(11,16)と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項4に記載の発明は、
持ち出し及び返却可能に複数の保管場所(S1~S4)にてそれぞれ保管される2以上の移動体(M)を管理する管理システム(1)であって、
前記保管場所ごとに設置される複数の管理装置(10)と、
前記複数の管理装置からそれぞれ受信した保管情報に基づいて前記複数の保管場所ごとに保管されている前記移動体を管理する管理サーバ(20)と、
を備える管理システムであって、
前記移動体には、それぞれビーコン発信機(B)が設置され、
前記管理装置は、
前記ビーコン発信機からそれぞれ発信されるビーコン信号を受信するビーコン受信部(15)と、
前記ビーコン受信部の受信結果に関する情報を前記保管情報として前記管理サーバに送信する保管情報送信部(11,16)と、
を備え、
前記管理サーバは、
前記複数の管理装置からそれぞれ受信した前記保管情報が順次記憶される記憶部(22)と、
前記記憶部に記憶される前記保管情報を利用して前記移動体の保管数を保管されている前記保管場所ごとに順次計数する計数部(21)と、
前記計数部により計数される前記移動体の保管数に応じて所定の報知を行う報知部(21,25)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、各移動体に設置されるビーコン発信機からそれぞれ発信されるビーコン信号が保管場所に配置されるビーコン受信部にて受信され、このビーコン受信部の結果に応じて保管場所に保管されている移動体の保管数が計数部により順次計数され、この計数部により計数される移動体の保管数に応じて報知部により所定の報知が行われる。
【0009】
これにより、利用者等によって保管場所から持ち出される移動体が多くなるために計数部により計数される移動体の保管数が少なくなった場合には、その少なくなった保管数に応じてなされる所定の報知を受けた作業者等がその保管場所に必要な数の移動体を補充することで、当該保管場所での移動体の不足状態を解消することができる。また、利用者等によって保管場所に返却される移動体が多くなるために計数部により計数される移動体の保管数が過剰に多くなった場合には、その過剰に多くなった保管数に応じてなされる所定の報知を受けた作業者等がその保管場所から過剰分の移動体を除くことで、当該保管場所での移動体の過多状態を解消することができる。特に、作業者等は、報知部による所定の報知を待つだけでよいので、定期的に保管場所を巡回するように監視する監視作業を不要とすることができる。したがって、保管場所を定期的に巡回等することなく、その保管場所にて保管される移動体の保管数を管理することができる。
【0010】
請求項2の発明では、ビーコン信号には、ビーコン発信機を特定可能な固有のビーコンIDが含まれる。そして、計数部は、さらに、ビーコンIDを利用して保管場所に保管される2以上の移動体のうちの特定種類の移動体の保管数を順次計数し、報知部は、計数部により計数される特定種類の移動体の保管数に応じて第2の報知を行う。
【0011】
これにより、複数種類の移動体が混在するように保管される場合でも、その保管場所に保管されている全ての移動体の保管数に加えて特定種類の移動体の保管数をも管理することができる。このため、例えば、特定種類の移動体の過不足状態の解消を他の種類の移動体の過不足状態よりも優先的に実施することもできる。
【0012】
請求項3の発明では、報知部は、移動体を保管場所に補充する作業を行う作業者が所持する携帯端末に対して、保管場所を明示するように所定の報知を行う。これにより、作業者は、移動中であっても、携帯端末を利用して移動体を補充すべき保管場所を把握でき、補充作業を効率的に実施することができる。
【0013】
請求項4の発明では、保管場所ごとに設置される管理装置にて、各移動体に設置されるビーコン発信機からそれぞれ発信されるビーコン信号がビーコン受信部にて受信され、このビーコン受信部の結果に関する情報が保管情報として保管情報送信部により管理サーバに送信される。そして、管理サーバでは、複数の管理装置からそれぞれ受信した保管情報が記憶部にて順次記憶され、記憶部に記憶される保管情報を利用して移動体の保管数が保管されている保管場所ごとに計数部により順次計数され、計数部により計数される移動体の保管数に応じて報知部により所定の報知が行われる。
【0014】
これにより、利用者等によってある1つの保管場所から持ち出される移動体が多くなるためにその保管場所について管理サーバの計数部により計数される移動体の保管数が少なくなった場合には、その少なくなった保管数に応じてなされる所定の報知を受けた作業者等がその保管場所に必要な数の移動体を補充することで、当該保管場所での移動体の不足状態を解消することができる。また、利用者等によってある1つの保管場所に返却される移動体が多くなるためにその保管場所について管理サーバの計数部により計数される移動体の保管数が過剰に多くなった場合には、その過剰に多くなった保管数に応じてなされる所定の報知を受けた作業者等がその保管場所から過剰分の移動体を除くことで、当該保管場所での移動体の過多状態を解消することができる。特に、作業者等は、報知部による所定の報知を待つだけでよいので、定期的に複数の保管場所を巡回するように監視する監視作業を不要とすることができる。したがって、保管場所を定期的に巡回等することなく、各保管場所にてそれぞれ保管される移動体の保管数を管理することができる。
【0015】
請求項5の発明では、ビーコン信号には、ビーコン発信機を特定可能な固有のビーコンIDが含まれる。そして、計数部は、さらに、ビーコンIDを利用して保管場所に保管される2以上の移動体のうちの特定種類の移動体の保管数を保管場所ごとに計数し、報知部は、計数部により計数される特定種類の移動体の保管数に応じて第2の報知を行う。
【0016】
これにより、複数種類の移動体が混在するように各保管場所にて保管される場合でも、保管場所ごとに保管されている全ての移動体の保管数に加えて特定種類の移動体の保管数をも管理することができる。このため、保管場所ごとに、例えば、特定種類の移動体の過不足状態の解消を他の種類の移動体の過不足状態よりも優先的に実施することもできる。
【0017】
請求項6の発明では、管理サーバにて、複数の保管場所のうち計数部により計数される移動体の保管数が所定の下限閾値以下になったために移動体を補充すべき保管場所となる補充先保管場所が生じた場合に、この補充先保管場所を特定するための補充先情報に加えて、計数部の計数結果に基づいて補充元となる他の保管場所を指定するための補充元情報が補充情報生成部により生成される。そして、補充情報生成部により生成された補充先情報及び補充元情報を含めるように報知部により所定の報知が行われる。
【0018】
これにより、補充先情報及び補充元情報を含める所定の報知を受けた作業者等は、移動体を補充すべき補充先保管場所だけでなく、その補充元となる他の保管場所をも容易に把握することができる。このため、作業者等は、移動体がより多く保管されている他の保管場所を探す必要も無く、補充作業を効率的に実施することができる。
【0019】
請求項7の発明では、報知部は、さらに、補充先保管場所に対して補充する移動体の補充数を含めるように所定の報知を行う。そして、管理サーバでは、記憶部に順次記憶される保管情報を利用して、保管場所ごとに移動体の保管数に関する偏在傾向を示す偏在傾向情報が偏在傾向情報生成部により生成され、偏在傾向情報生成部により生成される偏在傾向情報に応じて上記所定の下限閾値及び補充数が調整部により調整される。
【0020】
保管場所ごとの移動体の利用頻度が曜日や時間帯等によって変わる場合がある。このため、偏在傾向情報生成部により保管場所ごとに生成される偏在傾向情報を確認することで、いつどの保管場所にて移動体の利用頻度が高いかを容易に確認でき、その対策を図ることができる。特に、例えば、複数の保管場所の1つにおいて移動体の利用頻度が高く他の保管場所では移動体の利用頻度が低い曜日や時間帯等であっても、その保管場所に関して上記偏在傾向情報に応じて既に所定の下限閾値及び補充数を大きくするように調整していることで、当該保管場所での移動体の不足状態の発生を抑制することができる。
【0021】
請求項8の発明では、報知部は、移動体を保管場所に補充する作業を行う作業者が所持する携帯端末に対して、補充先情報及び補充元情報を含めるように所定の報知を行う。これにより、作業者は、移動中であっても、携帯端末を利用して補充先保管場所及びその補充元となる他の保管場所を把握でき、補充作業をより効率的に実施することができる。
【0022】
請求項9の発明では、管理サーバにて、複数の保管場所のうち計数部により計数される移動体の保管数が所定の上限閾値以上になったために移動体を移送して除くべき保管場所となる移送元保管場所が生じた場合に、この移送元保管場所を特定するための移送元情報に加えて、計数部の計数結果に基づいて移送先となる他の保管場所を指定するための移送先情報が移送情報生成部により生成される。そして、移送情報生成部により生成された移送元情報及び移送先情報を含めるように報知部により所定の報知が行われる。
【0023】
これにより、移送元情報及び移送先情報を含める所定の報知を受けた作業者等は、移動体を移送して除くべき移送元保管場所だけでなく、その移送先となる他の保管場所をも容易に把握することができる。このため、作業者等は、移動体がより少なく保管されている他の保管場所を探す必要も無く、移送作業を効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係る管理装置及び管理システムの概要を説明する説明図である。
図2】管理装置がそれぞれ設置されるカート置き場を説明する説明図である。
図3図1の管理装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図4】第1実施形態において不足状態が発生した場合に、作業端末にてカート置き場情報及び保管数が画面表示された状態を例示する説明図である。
図5】管理サーバの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図6】第2実施形態において管理サーバの制御部により実行される総合管理処理の流れを示すフローチャートである。
図7】第2実施形態において不足状態が発生した場合に、作業端末にて補充先カート置き場及び補充元カート置き場等が画面表示された状態を例示する説明図である。
図8】第3実施形態においてカート置き場S1について生成されるショッピングカートの偏在傾向情報を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る管理装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る管理装置10は、持ち出し及び返却可能に保管場所にて保管される2以上の移動体を管理するための管理装置である。そして、管理システム1は、各保管場所にてそれぞれ保管される2以上の移動体を管理するシステムであって、保管場所ごとに設置される複数の管理装置10と各管理装置10からそれぞれ受信した情報に基づいて保管場所ごとに保管されている移動体を管理するための管理サーバ20とを備えるように構成されている。本実施形態では、図1及び図2に示すように、管理対象となる店舗内(ショッピングモール内)において、管理すべき移動体として、ショッピングカートMが採用され、複数のショッピングカートMが持ち出し及び返却可能に保管される保管場所として、カート置き場が採用されている。なお、図1では、便宜上、1個所のカート置き場S1に1つのショッピングカートMが保管されている状態を図示しており、図2では、店舗内にて4個所のカート置き場S1~S4が設けられる場合を例に図示している。
【0026】
各ショッピングカートMには、それぞれビーコン発信機Bが設置されている。ビーコン発信機Bは、BLE(Bluetooth Low Energy)通信規格に準拠するビーコン信号(ビーコン発信機Bを特定可能な固有のビーコンIDが付与された信号)を発信可能であって、図略のビーコン発信用のスイッチをON状態に操作することで、ビーコン信号を定期的に発信するように構成されている。なお、ビーコンIDとそのビーコン発信機Bが設置されるショッピングカートMの種類に関する情報等とが関連付けられて、管理サーバ20にてデータベース化されている。
【0027】
図2に示すように、管理装置10は、管理対象となるカート置き場S1~S4ごとに設置されて、当該カート置き場でのショッピングカートMの保管数を、各ビーコン発信機Bからそれぞれ発信されるビーコン信号(ビーコン情報)を利用して管理するように機能する。
【0028】
管理装置10は、携帯可能な情報処理端末であって、図3に示すように、主に、全体制御を司る制御部11及び半導体メモリ等からなる記憶部12に加えて、制御部11によって表示内容が制御されるタッチパネル式の表示部13、タッチパネルに対するタッチ操作やキー操作に応じた信号を制御部11に出力する操作部14、受信したビーコン信号に応じた信号を制御部21に出力するビーコン受信部15、管理サーバ20等の外部機器と無線通信又は有線通信するための通信部16などを備えるように構成されている。
【0029】
このように構成される管理装置10では、制御部11にてなされる管理処理において、ビーコン受信部15にてビーコン信号が受信されるビーコン発信機Bの数をそのカート置き場に保管されているショッピングカートMの保管数として順次計数する計数処理を行う。より具体的には、利用者が利用しているショッピングカートMが管理装置10の近傍を一時的に通過するような場合にそのショッピングカートMを保管数の計数から除外するため、一定時間継続して受信されるビーコンIDの数をショッピングカートMの保管数として計数する。このため、カート置き場S1に設置される管理装置10は、カート置き場S1に保管されているショッピングカートMの保管数を順次計数するように機能する。また、カート置き場S2~S4に設置される管理装置10は、カート置き場S2~S4に保管されているショッピングカートMの保管数をそれぞれ順次計数するように機能する。なお、上記計数処理を行う制御部11は、「計数部」の一例に相当し得る。
【0030】
そして、上記管理処理では、計数される保管数が所定の下限閾値以下になると、ショッピングカートMが不足している不足状態であることを示す不足情報が所定の報知として通信部16を介して管理サーバ20に送信される報知処理がなされる。上記不足情報には、当該管理装置10が設置されるカート置き場を特定するカート置き場情報や計数された保管数を含めることができる。
【0031】
また、上記管理処理では、計数される保管数が所定の上限閾値以上になると、ショッピングカートMが過剰に保管されている過多状態であることを示す過多情報が所定の報知として通信部16を介して管理サーバ20に送信される報知処理がなされる。上記過多情報には、当該管理装置10が設置されるカート置き場を特定するカート置き場情報や計数された保管数を含めることができる。なお、上記報知処理を行う制御部11及び通信部16は、「報知部」の一例に相当し得る。
【0032】
管理装置10から所定の報知として上記不足情報を受けた管理サーバ20では、その不足情報等が、補充等の作業を行う作業者が利用している作業端末30(図1及び図4参照)に対して送信される。このように送信される不足情報等を受信した作業端末30では、ショッピングカートMが不足しているカート置き場を特定するカート置き場情報や保管数が所定のタイミングで画面表示等される。
【0033】
例えば、カート置き場S1でのショッピングカートMでの保管数が上記所定の下限閾値以下となる10台になった場合には、図4に示すように、不足情報等を受信した作業端末30にて、不足しているカート置き場として「補充先:カート置き場S1」と「保管数:10台」が画面表示される。これにより、その表示内容を見た作業者は、不足状態が生じているカート置き場の場所だけでなく、ショッピングカートMがどの程度不足しているかを容易に認識することができる。
【0034】
一方、管理装置10から所定の報知として上記過多情報を受けた管理サーバ20では、その過多情報等が、上述した作業端末30に対して送信される。このように送信される過多情報等を受信した作業端末30では、ショッピングカートMが過剰に保管されているカート置き場を特定するカート置き場情報や保管数が所定のタイミングで画面表示等される。これにより、その表示内容を見た作業者は、過多状態が生じているカート置き場の場所だけでなく、ショッピングカートMがどの程度過剰に保管されているかを容易に認識することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る管理装置10では、各ショッピングカートMに設置されるビーコン発信機Bからそれぞれ発信されるビーコン信号がカート置き場(S1~S4)に配置されるビーコン受信部15にて受信され、このビーコン受信部15の結果に応じてカート置き場に保管されているショッピングカートMの保管数が計数処理により順次計数され、この計数処理により計数されるショッピングカートMの保管数に応じて報知処理により所定の報知が行われる。
【0036】
これにより、利用者等によってカート置き場から持ち出されるショッピングカートMが多くなるために計数されるショッピングカートMの保管数が少なくなった場合には、その少なくなった保管数に応じてなされる所定の報知を受けた作業者等がそのカート置き場に必要な数のショッピングカートMを補充することで、当該カート置き場でのショッピングカートMの不足状態を解消することができる。また、利用者等によってカート置き場に返却されるショッピングカートMが多くなるために計数されるショッピングカートMの保管数が過剰に多くなった場合には、その過剰に多くなった保管数に応じてなされる所定の報知を受けた作業者等がそのカート置き場から過剰分のショッピングカートMを除くことで、当該カート置き場でのショッピングカートMの過多状態を解消することができる。特に、作業者等は、報知処理による所定の報知に応じた作業端末30での画面表示等を待つだけでよいので、定期的にカート置き場を巡回するように監視する監視作業を不要とすることができる。したがって、カート置き場を定期的に巡回等することなく、そのカート置き場にて保管されるショッピングカートMの保管数を管理することができる。
【0037】
なお、本実施形態の第1変形例として、ビーコン信号にビーコンIDが含まれるため、計数処理にて、さらに、ビーコンIDを利用してカート置き場に保管される複数種類のショッピングカートのうちの特定種類のショッピングカートの保管数を順次計数し、第2の報知処理にて、その特定種類のショッピングカートの保管数に応じて第2の報知を行ってもよい。
【0038】
具体的には、例えば、キャラクタデザイン等が施された特定ショッピングカートに対応するビーコンIDと通常のショッピングカートに対応するビーコンIDとを区別できるように各ビーコンIDが設定されていることを前提に、そのカート置き場に保管される全てのショッピングカートの保管数と特定ショッピングカートとの保管数をそれぞれ順次計数する。そして、全ショッピングカートの保管数が上記所定の下限閾値以下とならない場合であっても、特定ショッピングカートの保管数が第2の下限閾値以下となる場合に、そのカート置き場情報及び保管数を含めた不足情報を第2の報知として通信部16を介して管理サーバ20に送信するように上記第2の報知処理がなされる。
【0039】
これにより、複数種類のショッピングカートが混在するように保管される場合でも、そのカート置き場に保管されている全てのショッピングカートの保管数に加えて特定種類のショッピングカートの保管数をも管理することができる。このため、例えば、特定種類のショッピングカートの過不足状態の解消を他の種類のショッピングカートの過不足状態よりも優先的に実施することもできる。なお、特定ショッピングカートの保管数が第2の上限閾値以上となる場合に、そのカート置き場情報及び保管数を含めた過多情報を第2の報知として通信部25を介して作業端末30に送信するように上記第2の報知処理がなされてもよい。
【0040】
また、本実施形態の第2変形例として、上記報知処理では、管理サーバ20を介すことなく、作業端末30に対して直接不足情報を送信してもよい。また、上記報知処理では、ショッピングカートMをカート置き場に補充する作業を行う作業者が所持する携帯端末を上述した作業端末30として、この携帯端末に対して、直接不足情報を送信してカート置き場を明示するような所定の報知を行ってもよい。これにより、作業者は、移動中であっても、携帯端末を利用してショッピングカートMを補充すべきカート置き場を把握でき、補充作業を効率的に実施することができる。
【0041】
同様に、上記報知処理では、管理サーバ20を介すことなく、作業端末30に対して直接過多情報を送信してもよい。また、上記報知処理では、作業者が所持する携帯端末を上述した作業端末30として、この携帯端末に対して、直接過多情報を送信してカート置き場を明示するような所定の報知を行ってもよい。これにより、作業者は、移動中であっても、携帯端末を利用してショッピングカートMを移送して除くべきカート置き場を把握でき、移送作業を効率的に実施することができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、各管理装置にて受信したビーコン信号を利用して管理サーバにて複数の保管場所ごとに保管されている移動体を管理する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
本実施形態に係る管理システム1では、上記第1実施形態と異なり、管理装置10は、ショッピングカートMの保管数を順次計数することなく、制御部11にてなされる保管情報送信処理にて、ビーコン受信部15の受信結果等を保管情報として所定のタイミングで通信部16を介して管理サーバ20に送信するように機能する。そして、管理サーバ20は、複数の管理装置10からそれぞれ受信した保管情報に基づいて、カート置き場ごとに保管されているショッピングカートMを管理するための総合管理処理を行う。なお、上記保管情報には、ビーコン受信部15の受信結果等として、カート置き場情報やビーコンID、そのビーコンIDを受信した受信時刻等が含まれる。なお、上記保管情報送信処理を行う制御部11及び通信部16は、「保管情報送信部」の一例に相当し得る。
【0044】
図5に示すように、本実施形態に係る管理サーバ20は、主に、全体制御を司る制御部21及び半導体メモリ等からなる記憶部22に加えて、制御部21によって表示内容が制御される液晶モニタ等の表示部23、マウスやキーボード等によって構成される操作部24、各管理装置10や作業端末30等の外部機器と通信するための通信部25などを備えるように構成されている。記憶部22では、上述したように、ビーコンIDとそのビーコン発信機Bが設置されるショッピングカートMの種類に関する情報等とが関連付けられてデータベース化されている。
【0045】
このように構成される管理サーバ20では、制御部21にてなされる総合管理処理において、通信部25を介して各管理装置10からそれぞれ受信した保管情報を利用して、ショッピングカートMの保管数を保管されているカート置き場ごとに順次計数する計数処理が行われ、このように計数される保管数に応じてカート置き場単位で所定の報知がなされる報知処理が行われる。
【0046】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる総合管理処理について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
制御部21にて総合管理処理が開始されると、ステップS101に示す保管情報受信処理がなされ、通信部25を介して各管理装置10から送信される保管情報をそれぞれ受信可能な状態になる。続いて、ステップS103に示す保管情報記憶処理がなされ、上記保管情報受信処理にて受信された保管情報がカート置き場単位で記憶部22に記憶される。
【0047】
続いて、ステップS105に示す保管数計数処理がなされ、記憶部22に記憶される保管情報を利用してショッピングカートMの保管数をカート置き場ごとに計数するための処理がなされる。この処理では、カート置き場ごとに、所定期間内にて継続して受信されているビーコンIDの数が保管数として計数される。この処理により、具体的には、例えば、あるタイミング(例えば、1分ごと)において、カート置き場S1の保管数が22台、カート置き場S2の保管数が30台、カート置き場S3の保管数が37台、カート置き場S4の保管数が29台として計数される。なお、上記保管数計数処理を行う制御部11は、「計数部」の一例に相当し得る。
【0048】
そして、ステップS107に示す判定処理にて、上述のように計数された保管数が所定の下限閾値以下になったためにショッピングカートMを補充すべきカート置き場となる補充先カート置き場が生じているか否かについて判定される。ここで、全てのカート置き場についてそれぞれ計数されたショッピングカートMの保管数がいずれも所定の下限閾値を超えている場合には、補充先カート置き場が生じていないと判定される(S107でNo)。なお、補充先カート置き場は、「補充先保管場所」の一例に相当し得る。
【0049】
続いて、ステップS109に示す判定処理にて、上述のように計数された保管数が所定の上限閾値以上になったためにショッピングカートMを移送して除くべきカート置き場となる移送元カート置き場が生じているか否かについて判定される。ここで、全てのカート置き場についてそれぞれ計数されたショッピングカートMの保管数がいずれも所定の上限閾値未満である場合には、移送元カート置き場が生じていないと判定され(S109でNo)、本総合管理処理の終了指示等がなされていない場合には(S119でNo)、上記ステップS101からの処理が繰り返される。なお、本実施形態では、上述した所定の下限閾値及び所定の上限閾値は、各カート置き場にて一律で同じ値となるように設定されている。また、移送元カート置き場は、「移送元保管場所」の一例に相当し得る。
【0050】
上述のような繰り返し処理中に、1つのカート置き場について計数されたショッピングカートMの保管数が所定の下限閾値以下になったために補充先カート置き場が生じていると判定されると(S107でYes)、ステップS111に示す補充情報生成処理がなされる。この処理では、補充情報として、補充先カート置き場を特定するための補充先情報に加えて、上述のように計数されるカート置き場ごとの保管数に基づいて、補充元となる他のカート置き場である補充元カート置き場を指定するための補充元情報が生成される。具体的には、現時点において最も多い保管数のカート置き場が補充元カート置き場となるように補充元情報が生成される。なお、補充元カート置き場は、保管数だけでなく、補充先カート置き場からの距離等をも考慮して指定されてもよい。また、上記補充情報生成処理を行う制御部21は、「補充情報生成部」の一例に相当し得る。
【0051】
上述のように補充先情報及び補充元情報が生成されると、ステップS113に示す補充情報等報知処理がなされる。この処理では、ショッピングカートMが不足しているカート置き場(補充先カート置き場)があることを示す情報とともに上述のように生成された補充先情報及び補充元情報や補充先カート置き場の保管数等が所定の報知として通信部25を介して作業端末30に送信される。なお、上記補充情報等報知処理を行う制御部21及び通信部25は、「報知部」の一例に相当し得る。
【0052】
管理サーバ20から所定の報知として上記補充先情報及び補充元情報等を受けた作業端末30では、ショッピングカートMが不足しているカート置き場を特定する補充先カート置き場及び保管数や補充元となる補充元カート置き場に関する情報等が所定のタイミングで画面表示等される。
【0053】
例えば、カート置き場S1でのショッピングカートMでの保管数が上記所定の下限閾値以下となる10台になり、カート置き場S2,S3,S4でのショッピングカートMでの保管数がそれぞれ、28台,32台,45台と計数される場合、現時点において最も多い保管数のカート置き場S4が補充元カート置き場に指定されることで、不足情報等を受信した作業端末30では、図7に示すような画面表示状態となる。すなわち、不足情報等を受信した作業端末30では、不足しているカート置き場として「補充先:カート置き場S1」と「保管数:10台」が画面表示されるとともに、補充元とするカート置き場として「補充元:カート置き場S4」が画面表示される。これにより、その表示内容を見た作業者は、不足状態が生じているカート置き場の場所やその不足状態の程度だけでなく、その補充元となるカート置き場の場所をも容易に把握することができる。
【0054】
また、上述のような繰り返し処理中に、1つのカート置き場について計数されたショッピングカートMの保管数が所定の上限閾値以上になったために移送元カート置き場が生じていると判定されると(S109でYes)、ステップS115に示す移送情報生成処理がなされる。この処理では、移送情報として、移送元カート置き場を特定するための移送元情報に加えて、上述のように計数されるカート置き場ごとの保管数に基づいて、移送先となる他のカート置き場である移送先カート置き場を指定するための移送先情報が生成される。具体的には、現時点において最も少ない保管数のカート置き場が移送先カート置き場となるように移送先情報が生成される。なお、移送先カート置き場は、保管数だけでなく、移送元カート置き場からの距離等をも考慮して指定されてもよい。また、上記移送情報生成処理を行う制御部21は、「移送情報生成部」の一例に相当し得る。
【0055】
上述のように移送元情報及び移送先情報が生成されると、ステップS117に示す移送情報等報知処理がなされる。この処理では、ショッピングカートMを移送して除くべきカート置き場(移送元カート置き場)があることを示す情報とともに上述のように生成された移送元情報及び移送先情報や移送元カート置き場の保管数等が所定の報知として通信部25を介して作業端末30に送信される。なお、上記移送情報等報知処理を行う制御部21及び通信部25は、「報知部」の一例に相当し得る。
【0056】
管理サーバ20から所定の報知として上記移送元情報及び移送先情報等を受けた作業端末30では、ショッピングカートMが過多状態になっているカート置き場を特定する移送元カート置き場及び保管数や移送先となる移送先カート置き場に関する情報等が所定のタイミングで画面表示等される。これにより、その表示内容を見た作業者は、過多状態が生じているカート置き場の場所やその過多状態の程度だけでなく、その移送先となるカート置き場の場所をも容易に把握することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム1では、カート置き場S1~S4ごとに設置される管理装置10にて、各ショッピングカートMに設置されるビーコン発信機Bからそれぞれ発信されるビーコン信号がビーコン受信部15にて受信され、このビーコン受信部15の結果に関する情報が保管情報として保管情報送信処理により管理サーバ20に送信される。そして、管理サーバ20では、複数の管理装置10からそれぞれ受信した保管情報が記憶部22にて順次記憶され、記憶部22に記憶される保管情報を利用してショッピングカートMの保管数が保管されているカート置き場ごとに保管数計数処理により順次計数され、保管数計数処理により計数されるショッピングカートMの保管数に応じて報知処理により所定の報知が行われる。
【0058】
これにより、利用者等によってある1つのカート置き場から持ち出されるショッピングカートMが多くなるためにそのカート置き場について管理サーバ20により計数されるショッピングカートMの保管数が少なくなった場合には、その少なくなった保管数に応じてなされる所定の報知を受けた作業者等がそのカート置き場に必要な数のショッピングカートMを補充することで、当該カート置き場でのショッピングカートMの不足状態を解消することができる。また、利用者等によってある1つのカート置き場に返却されるショッピングカートMが多くなるためにそのカート置き場について管理サーバ20により計数されるショッピングカートMの保管数が過剰に多くなった場合には、その過剰に多くなった保管数に応じてなされる所定の報知を受けた作業者等がそのカート置き場から過剰分のショッピングカートMを除くことで、当該カート置き場でのショッピングカートMの過多状態を解消することができる。特に、作業者等は、報知処理による所定の報知に応じた作業端末30での画面表示等を待つだけでよいので、定期的に複数のカート置き場を巡回するように監視する監視作業を不要とすることができる。したがって、カート置き場を定期的に巡回等することなく、各カート置き場にてそれぞれ保管されるショッピングカートMの保管数を管理することができる。
【0059】
特に、管理サーバ20にて、複数のカート置き場のうち計数されるショッピングカートMの保管数が所定の下限閾値以下になったためにショッピングカートMを補充すべきカート置き場となる補充先カート置き場が生じた場合に(S107でYes)、この補充先カート置き場を特定するための補充先情報に加えて、保管数計数処理の計数結果に基づいて補充元となる他のカート置き場(補充元カート置き場)を指定するための補充元情報が補充情報生成処理により生成される(S111)。そして、補充情報生成処理により生成された補充先情報及び補充元情報を含めるように補充情報等報知処理により所定の報知が行われる(S113)。
【0060】
これにより、補充先情報及び補充元情報を含める所定の報知を受けた作業者等は、ショッピングカートMを補充すべき補充先カート置き場だけでなく、その補充元となる他のカート置き場(補充元カート置き場)をも容易に把握することができる。このため、作業者等は、ショッピングカートMがより多く保管されている他のカート置き場を探す必要も無く、補充作業を効率的に実施することができる。
【0061】
さらに、管理サーバ20にて、複数のカート置き場のうち計数されるショッピングカートMの保管数が所定の上限閾値以上になったためにショッピングカートMを移送して除くべきカート置き場となる移送元カート置き場が生じた場合に(S109でYes)、この移送元カート置き場を特定するための移送元情報に加えて、保管数計数処理の計数結果に基づいて移送先となる他のカート置き場(移送先カート置き場)を指定するための移送先情報が移送情報生成処理により生成される(S115)。そして、移送情報生成処理により生成された移送元情報及び移送先情報を含めるように移送情報等報知処理により所定の報知が行われる(S117)。
【0062】
これにより、移送元情報及び移送先情報を含める所定の報知を受けた作業者等は、ショッピングカートMを移送して除くべき移送元カート置き場だけでなく、その移送先となる他のカート置き場(移送先カート置き場)をも容易に把握することができる。このため、作業者等は、ショッピングカートMがより少なく保管されている他のカート置き場を探す必要も無く、移送作業を効率的に実施することができる。
【0063】
なお、本実施形態の第1変形例として、上述した第1実施形態における第1変形例と同様に、保管数計数処理にて、さらに、ビーコンIDを利用してカート置き場に保管される2以上のショッピングカートのうちの特定種類のショッピングカートの保管数をカート置き場ごとに計数し、制御部21により制御される通信部25を介した第2の報知処理にて、特定種類のショッピングカートの保管数に応じて第2の報知を行ってもよい。
【0064】
具体的には、例えば、上述した第1実施形態における第1変形例と同様に、キャラクタデザイン等が施された特定ショッピングカートに対応するビーコンIDと通常のショッピングカートに対応するビーコンIDとを区別できるように各ビーコンIDが設定されていることを前提に、カート置き場に保管される全てのショッピングカートの保管数と特定ショッピングカートとの保管数をカート置き場ごとにそれぞれ順次計数する。そして、全ショッピングカートの保管数が上記所定の下限閾値以下とならない場合であっても、特定ショッピングカートの保管数が第2の下限閾値以下となる場合に、そのカート置き場情報及び保管数を含めた不足情報を第2の報知として通信部25を介して作業端末30に送信するように上記第2の報知処理がなされる。
【0065】
これにより、複数種類のショッピングカートが混在するように各カート置き場にて保管される場合でも、カート置き場ごとに保管されている全てのショッピングカートの保管数に加えて特定種類のショッピングカートの保管数をも管理することができる。このため、カート置き場ごとに、例えば、特定種類のショッピングカートの過不足状態の解消を他の種類のショッピングカートの過不足状態よりも優先的に実施することもできる。なお、特定ショッピングカートの保管数が第2の上限閾値以上となる場合に、そのカート置き場情報及び保管数を含めた過多情報を第2の報知として通信部25を介して作業端末30に送信するように上記第2の報知処理がなされてもよい。
【0066】
また、本実施形態の第2変形例として、上述した第1実施形態における第2変形例と同様に、上記補充情報等報知処理(S113)では、ショッピングカートMをカート置き場に補充する作業を行う作業者が所持する携帯端末に対して、補充先情報及び補充元情報を含めるように所定の報知を行ってもよい。これにより、作業者は、移動中であっても、携帯端末を利用して補充先カート置き場及びその補充元となる他のカート置き場を把握でき、補充作業をより効率的に実施することができる。
【0067】
同様に、上記移送情報等報知処理(S117)では、作業者が所持する携帯端末に対して、移送元情報及び移送先情報を含めるように所定の報知を行ってもよい。これにより、作業者は、移動中であっても、携帯端末を利用して移送元カート置き場及びその移送先となる他のカート置き場を把握でき、移送作業をより効率的に実施することができる。
【0068】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、カート置き場(保管場所)ごとにショッピングカート(移動体)の保管数に関する偏在傾向情報を生成する点が、上記第2実施形態と主に異なる。したがって、第2実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
カート置き場ごとのショッピングカートMの利用頻度が曜日や時間帯等によって大きくい変わる場合がある。すなわち、上述のように各カート置き場で一律の下限閾値及び上限閾値を設定することで各カート置き場でのショッピングカートMの保管数をならす作業(補充作業又は移送作業)を行っても、ある曜日のある時間帯で利用客が増加等したために、一部のカート置き場にてショッピングカートMが一時的に不足状態又は過多状態になってしまう場合がある。
【0070】
このため、本実施形態に係る管理システム1では、管理サーバ20の制御部21にて、記憶部22に順次記憶される保管情報を利用して、カート置き場ごとにショッピングカートMの保管数に関する偏在傾向を示す偏在傾向情報を生成するための偏在傾向情報生成処理を所定のタイミングで行う。なお、上記偏在傾向情報生成処理を行う制御部21は、「偏在傾向情報生成部」の一例に相当し得る。
【0071】
具体的には、例えば、図8に例示するように、カート置き場S1について記憶部22に順次記憶される保管情報を利用することで、カート置き場S1での曜日単位の各時間帯での推定保管数を推定するようにしてショッピングカートMの偏在傾向情報を定期的に生成することができる。なお、図8に示す偏在傾向情報は、曜日ごとの各時間帯にて実際に計数された保管数の平均値を元に算出した値であり、例えば、10/3(月)の9:00~10:00での保管数の平均値が「30」、10/10(月)の9:00~10:00での保管数の平均値が「33」、10/17(月)の9:00~10:00での保管数の平均値が「27」、10/24(月)の9:00~10:00での保管数の平均値が「23」である場合には、1月分での月曜日の9:00~10:00での推定保管数が「28(=(30+33+27+23)/4)」として算出される。同様にして、各カート置き場S2~S4でのショッピングカートMの偏在傾向情報も定期的に生成することができる。
【0072】
このように、偏在傾向情報生成処理によりカート置き場ごとに定期的に生成される偏在傾向情報を確認することで、いつどのカート置き場にてショッピングカートMの利用頻度が高いかを容易に確認でき、その対策を図ることができる。例えば、図8の例では、火曜日は午前中からショッピングカートMの保管数について不足状態になりやすい傾向であるが、逆に水曜日は過多状態になりやすい傾向であることがわかる。そして、火曜日の12:00~13:00の時間帯でショッピングカートMがより少なくなる偏在傾向となっているため、上記報知処理の有無にかかわらず、当該時間帯又はその時間帯よりも所定時間前にそのカート置き場に対してショッピングカートMを補充するような対策を実施することができる。また、水曜日の20:00~21:00及び21:00~22:00の時間帯でショッピングカートMがより多くなる偏在傾向となっているため、上記報知処理の有無にかかわらず、当該時間帯又はその時間帯よりも所定時間前にそのカート置き場からショッピングカートMを移動させるような対策を実施することができる。
【0073】
また、ユーザは、定期的に生成される偏在傾向情報を順次確認することで、カート置き場単位で不足状態になりやすい曜日・時間帯を把握できるため、その曜日・時間帯での対象のカート置き場の所定の下限閾値を増加させる設定操作を行うことで、不足状態を未然に防ぐことができる。同様に、ユーザは、カート置き場単位で過多状態になりやすい曜日・時間帯を把握して、その曜日・時間帯での対象のカート置き場の所定の上限閾値を減少させる設定操作を行うことで、過多状態を未然に防ぐことができる。
【0074】
なお、推定保管数は、図8に例示するように1時間単位で算出されることに限らず、より長い時間単位、例えば、2時間単位で算出されてもよいし、より短い時間単位、例えば、10分単位で算出されてもよい。
【0075】
なお、本実施形態の第1変形例として、制御部21にて別途なされる調整処理により、上述のように生成された偏在傾向情報に応じて、その生成後になされる総合管理処理での上記所定の下限閾値が自動的に調整されてもよい。なお、上記調整処理を行う制御部21は、「調整部」の一例に相当し得る。
【0076】
具体的には、例えば、図8の例では、火曜日の12:00~13:00の時間帯にて推定保管数「8」が所定の下限閾値「10」未満となることから、その時間帯において所定の下限閾値が所定の閾値増加分(例えば、推定保管数と調整前の所定の下限閾値との差分(上述の例では「2」))だけ増加するように調整される。
【0077】
これにより、例えば、複数のカート置き場の1つにおいてショッピングカートMの利用頻度が高く他のカート置き場ではショッピングカートMの利用頻度が低い曜日や時間帯等であっても、そのカート置き場に関して上記偏在傾向情報に応じて既に所定の下限閾値を大きくするように調整していることで、早めに不足情報等の報知が行われやすくなるため、当該カート置き場でのショッピングカートMの不足状態の発生を抑制することができる。なお、推定保管数が所定の下限閾値以下となった時間帯での所定の下限閾値が調整されることに限らず、例えば、その時間帯よりも1又は2以上前の時間帯での所定の下限閾値が上記所定の閾値増加分に応じて調整されてもよい。
【0078】
同様に、制御部21にて別途なされる調整処理により、上述のように生成された偏在傾向情報に応じて、その生成後になされる総合管理処理での上記所定の上限閾値が自動的に調整されてもよい。例えば、図8の例では、水曜日の20:00~21:00の時間帯にて推定保管数「59」が所定の上限閾値「55」を超えることから、その時間帯において所定の上限閾値が所定の閾値減少分(例えば、推定保管数と調整前の所定の上限閾値との差分(上述の例では「4」))だけ減少するように調整される。このようにしても、早めに過多情報等の報知が行われやすくなるため、当該カート置き場でのショッピングカートMの過多状態の発生を抑制することができる。なお、推定保管数が所定の上限閾値以上となった時間帯での所定の上限閾値が調整されることに限らず、例えば、その時間帯よりも1又は2以上前の時間帯での所定の上限閾値が上記所定の閾値減少分に応じて調整されてもよい。
【0079】
また、本実施形態の第2変形例として、制御部21にてなされる調整処理では、上記補充情報等報知処理(S113)にて補充作業時に推奨されるショッピングカートMの補充数がさらに報知されることを前提に、上述のように生成された偏在傾向情報に応じて、上記所定の下限閾値とともに補充数が調整されてもよい。すなわち、所定の下限閾値が調整されないような場合には一定値の補充数が推奨され、所定の下限閾値が調整されるような場合に上述のように調整された補充数が推奨される。
【0080】
具体的には、例えば、上述した一定値の補充数が、所定の上限閾値と所定の下限閾値との差の1/2と予め設定されている場合に、推奨する補充数が、上記一定値の補充数に対して所定の補充増加分(例えば、所定の下限閾値の調整分と同じ数の増加分)だけ増加するように調整される。例えば、一定値の補充数が「33」であり、所定の下限閾値の調整分(すなわち、所定の閾値増加分)が「2」である場合には、推奨する補充数が「35」に増加するように調整される。
【0081】
これにより、例えば、推定保管数が所定の下限閾値以下となった時間帯又はそれよりも前の時間帯での所定の下限閾値が調整されるとともに上記補充数が調整されることで、その後の時間帯でのショッピングカートMの不足状態を未然に防ぐことができる。
【0082】
同様に、制御部21にてなされる調整処理では、上記移送情報等報知処理(S117)にて移送作業時に推奨されるショッピングカートMの移送数がさらに報知されることを前提に、上述のように生成された偏在傾向情報に応じて、上記所定の上限閾値とともに移送数が調整されてもよい。すなわち、所定の上限閾値が調整されないような場合には一定値の移送数が推奨され、所定の上限閾値が調整されるような場合に上述のように調整された移送数が推奨される。
【0083】
具体的には、例えば、上述した一定値の移送数が、所定の上限閾値と所定の下限閾値との差の1/2と予め設定されている場合に、推奨する移送数が、上記一定値の移送数に対して所定の移送増加分(例えば、所定の上限閾値の調整分と同じ数の増加分)だけ増加するように調整される。例えば、一定値の移送数が「33」であり、所定の上限閾値の調整分(すなわち、所定の閾値減少分)が「4」である場合には、推奨する移送数が「37」に増加するように調整される。
【0084】
これにより、例えば、推定保管数が所定の上限閾値以上となった時間帯又はそれよりも前の時間帯での所定の上限閾値が調整されるとともに上記移送数が調整されることで、その後の時間帯でのショッピングカートMの過多状態を未然に防ぐことができる。
【0085】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明では、管理すべき移動体及びその移動体が持ち出し及び返却可能に保管される保管場所として、ショッピングカート及びカート置き場が採用されることに限らず、例えば、空港内で利用されるカート及びそのカートの置き場が採用されてもよいし、工場内で利用されるパレット及びそのパレットの置き場が採用されてもよい。また、カート置き場などの保管場所は、上述したように4個所設けられることに限らず、1~3個所でもよいし、5個所以上設けられてもよい。
【0086】
(2)各カート置き場にそれぞれ設置される管理装置10は、携帯可能な情報処理端末として構成されることに限らず、据え置き型の情報処理端末として構成されてもよい。
【0087】
(3)ショッピングカートMなどのの移動体に設置されるビーコン発信機Bとして、電池交換等のためのメンテナンスを不要にするため、例えば、ソーラー発電式のソーラービーコン発信機が採用されてもよい。
【0088】
1…管理システム
10…管理装置
11…制御部(計数部,報知部,保管情報送信部)
15…ビーコン受信部
16…通信部(報知部,保管情報送信部)
20…管理サーバ
21…制御部(計数部,報知部,補充情報生成部,移送情報生成部,偏在傾向情報生成部,調整部)
22…記憶部
25…通信部(報知部)
30…作業端末
B…ビーコン発信機
M…ショッピングカート(移動体)
S1~S4…カート置き場(保管場所)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8