(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007237
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
D05B 73/02 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
D05B73/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108584
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】522107854
【氏名又は名称】JUKIプロサーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安納 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】本水 紀恵
(72)【発明者】
【氏名】青山 玲理
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150CE23
3B150GA01
3B150HA10
(57)【要約】
【課題】必要時に針山等の裁縫用具をミシンに取り付けることができ、吸着用の磁性体又は磁石が外部に現れずに体裁が良く、磁性体又は磁石が外れる心配が無く、作業の邪魔にもならないミシンを提供すること。
【解決手段】合成樹脂製の外殻2の内側に磁石又は磁性体7が外部に露出しないよう設けられており、外殻2の外面に磁石又は磁性体より成る被取り付け材を吸着することが可能である。外殻2の正面の内側に磁石又は磁性体7を設けるとよい。外殻2の外面に、吸着可能位置であることを示す表示8を施すことがある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻の内側に磁石又は磁性体が外部に露出しないよう設けられており、前記外殻の外面に磁石又は磁性体より成る被取り付け材を吸着することが可能であるミシン。
【請求項2】
前記外殻の正面の内側に前記磁石又は磁性体が設けられている請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記外殻の外面において、内側に設けられた前記磁石又は磁性体と対応する位置に、吸着可能位置であることを示す表示がなされている請求項1又は請求項2に記載のミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外殻に係るミシンの発明に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンで縫製を行なう際には、縫い合わせる布を待ち針で固定したり、布を固定してあった待ち針を外す作業を頻繁に行う。
縫製中に使用する待ち針は針山に刺しておくのが一般的であるが、針山はミシンの使用者の手近な定まった位置にないと、作業が停滞して効率が悪い。
【0003】
従来、特許文献1には、裁縫用具を収容できる機能を持つ凹部又は容器を有し、凹部又は容器の一部に磁石を取り付けてある裁縫用具の収納場所を有するミシン上ぶたが開示されている。
このようなミシン上ぶたは、凹部又は容器に針、ホックなどの裁縫用具を収納し、磁石に吸着して散逸を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のようなミシン上ぶたは、裁縫用具を収容するための凹部又は容器が外部に露出しているので体裁が悪く、ミシン上ぶたには上糸設置部、複数の糸ガイド部等の様々な装置が設置されているため、凹部又は容器に裁縫用具を収容すると操作の邪魔に邪魔になりやすい。また、ミシン外面に設けられた容器は手で触れたりすると外れやすい。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ミシンの外殻が合成樹脂製であっても、必要時に針山等の裁縫用具を取り付けることができ、被取り付け材を吸着するための磁性体又は磁石が外部に現れずに体裁が良く、磁性体又は磁石が外れる心配が無く、縫製作業の邪魔にもならないミシンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に係る発明は、外殻の内側に磁石又は磁性体が外部に露出しないよう設けられており、前記外殻の外面に磁石又は磁性体より成る被取り付け材を吸着することが可能であるミシンである。
【0008】
本願請求項2に係る発明は、前記外殻の正面の内側に前記磁石又は磁性体が設けられている請求項1に記載のミシンである。
【0009】
本願請求項3に係る発明は、前記外殻の外面において、内側に設けられた前記磁石又は磁性体と対応する位置に、吸着可能位置であることを示す表示がなされている請求項1又は請求項2に記載のミシンである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外殻が合成樹脂製などであっても、外殻の外面に被取り付け材を吸着して針山等の裁縫用具を取り付けることが可能である。
被取り付け材を吸着する磁石又は磁性体は外殻の内側に設けられるので、外観を損なうことがなく、磁石又は磁性体に手で触れたり物がぶつかって外れる心配がなく、縫製作業の邪魔にもならない。
【0011】
加えて、外殻の正面の内側に磁石又は磁性体を設けると、被取り付け材を着脱しやすく、被取り付け材を設けた器具を使用しやすい。
【0012】
加えて、外殻の外面に吸着可能位置であることを示す表示を施すと、外殻の内側に磁石又は磁性体を設けてあっても、その位置を明瞭に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示すミシンの斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態を示すミシンの針山装着状態における要部断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態を示すミシンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。
なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0015】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を、
図1及び
図2を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、第1の実施形態を示すミシンの斜視図であり、
図2は、第1の実施形態を示すミシンの針山装着状態における要部断面図である。
【0017】
図1に示すように、ミシン1は、合成樹脂製の外殻2で被覆された本体部3を有する。
本体部3は、台座4と、台座4の上面一側部に立設した胴部5と、胴部5の上端から他側に向けて一体に張り出したアーム6とを備える。
【0018】
アーム6の正面の胴部5寄りには、
図2に示すように、外殻2の外面より内側であって磁性体である鉄片7が外部に露出しないように取り付けられる。
【0019】
本実施形態では、磁性体として鉄片を採用しているが、これに限られない。磁性体は、いわゆる強磁性体であって、鉄、ニッケルやコバルトなどやそれらを含有するもので、磁石の磁力によってその金属が磁石なるものであればよい。
【0020】
鉄片7は、本体部3の内部へ大きく張り出さないように薄板状であることが望ましく、接着、嵌合等の適宜手段で外殻2に設けられる。
【0021】
磁性体はいわゆる強磁性体であって、鉄、ニッケルやコバルトなどやそれらを含有するもので磁石の磁力によってその金属が磁石なるものであればよい。
【0022】
外殻2の外面において、内側に設けられた鉄片7と対応する位置には、図柄等で吸着可能位置であることを示す表示8がなされている(
図1)。
本実施形態では、表示8は、花柄が施されているがこれに限られない。
【0023】
ミシン1による縫製に使用する裁縫用具、例えば、待ち針を刺した針山9の背面に被取り付け材である磁石10が設けられる。
この磁石10を外殻2の表示8がなされた位置に近づけると、磁石10が鉄片7に吸着して、針山9を外殻2の外面に取り付けることができる。
【0024】
針山9はミシン1の正面に取り付けられるので、針山9自体の着脱が容易であり、待ち針も抜き差ししやすい。
【0025】
本実施形態では、被取り付け材を外殻2に取付ける際に磁性体7を設けるようにしているが、磁石を設けるようにしても良い。この場合には、磁性体を備えた被取り付け材を外殻に取り付けることができる。
また、外殻の内側に磁性体を設ける場合にはあまり配慮しなくて良いが、磁石を設ける場合には、外殻に内蔵された電子部品に影響を与えないような位置に設けるなど、対策を施すようにする。
【0026】
また、本実施形態の外殻2は合成樹脂製であるが、これには限られない。例えば、木材製、金属製等、本発明の効果を奏することのできる全ての材質であっても良い。
【0027】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を
図3を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0028】
第2の実施形態は、ミシン1のアーム6の正面において、さらに外側の外殻2の内側に磁石10を設けて、その吸着可能位置を示す表示81を施した点が第1の実施形態と異なる。
磁石10が設けられていることを示す表示81は、磁性体7が設けられていることを示す表示8と異なる表示が施されている。例えば、表示8が赤い花柄の場合表示81は青い花柄が、表示8が花柄の場合表示81は草木の柄が施されている。
【0029】
本実施形態では、一方の表示8がなされた位置に、例えば、針山の背面に取り付けられた磁石を備える被取り付け材を吸着し、他方の表示81が施された位置に、袋、籠等の容器に取り付けられた磁性体を備える被取り付け材を吸着することができ、どちらにも対応できる。
なお、上記の容器には例えばボタン、ボビン等の裁縫用具を収容できる。
【0030】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0031】
本実施形態では、外殻の内側に二か所まで磁性体又は他方に磁石を設けるようにしたが、これに限られず、三か所以上設けるようにしても良い。
【0032】
第2の実施形態では、一方の外殻の内側に磁性体、他方に磁石を設けるようにしたが、どちらも磁性体又は磁石を設けるようにしても良い。その場合には、表示はそれに応じた表示とする。
【0033】
本実施形態では、吸着可能位置を示す表示8、表示81で示しているが、吸着可能位置を表示しないようにしても良い。
【0034】
本実施形態では、吸着可能位置を図柄で表示しているが、文字や、円等の幾何図形で表示することもできる。
また、当該表示は、外殻の外面を凹ませて表示するようにしても良い。このようにすると、縫製者が縫製作業から目をそらすことなく、被取り付け物の取付け位置を探って認識することができる。
【0035】
本実施形態では、ミシンの外殻の正面(前面)に磁性体又は磁石を設けたが、上面や側面など他の箇所であっても良い。
【0036】
本実施形態では、ミシンのアームに磁性体又は磁石を設けたが、アーム以外の外殻に磁性体及び表示を設けるようにしても良い。
【0037】
変形例を含むいずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 ミシン
2 外殻
3 本体部
4 台座
5 胴部
6 アーム
7 鉄片(磁性体)
8 表示
9 針山
10 磁石