(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072377
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240521BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G06F3/041 595
G06F3/042 470
G06F3/041 580
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183132
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕
(57)【要約】
【課題】検出精度を向上させることができる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置1は、電磁波を出力する出力部2と、出力部2と対象となる対称位置11に電磁波を集波するように反射させる反射材3と、出力部2に隣接して配置され、検出対象8で反射した電磁波を、反射材3を介して受波する受波部4と、対称位置11に位置する検出対象8を反射して受波部4が受波した電磁波に基づいて予め定められた第1のしきい値Th
1を有し、受波した電磁波が第1のしきい値Th
1以上である場合、検出対象8の検出を判定する制御部5と、を備えて概略構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を出力する出力部と、
前記出力部と対象となる対称位置に前記電磁波を集波するように反射させる反射材と、
前記出力部に隣接して配置され、検出対象で反射した前記電磁波を、前記反射材を介して受波する受波部と、
前記対称位置に位置する前記検出対象を反射して前記受波部が受波した前記電磁波に基づいて予め定められた第1のしきい値を有し、受波した前記電磁波が前記第1のしきい値以上である場合、前記検出対象の検出を判定する判定部と、
を備えた検出装置。
【請求項2】
前記出力部と前記反射材との間に表示画像を表示する表示部を備え、
前記出力部の出力する前記電磁波は、可視光線であり、
前記反射材は、前記対称位置に前記表示画像に基づく空中像を表示させ、
前記判定部は、前記第1のしきい値に基づいて前記検出対象による前記空中像への操作の検出を判定する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記反射材と前記対称位置との間に配置され、表示画像を表示する表示部と、
前記出力部と前記反射材との間に配置され、前記表示画像に対する操作のガイドとなるガイド画像と、
を備え、
前記出力部の出力する前記電磁波は、可視光線であり、
前記反射材は、前記対称位置に前記ガイド画像に基づく空中像を表示させ、
前記判定部は、前記第1のしきい値に基づいて前記検出対象による前記空中像に対応する前記表示画像への操作の検出を判定する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記出力部は、複数の出力素子を有し、
前記受波部は、複数の受波素子を有し、
前記判定部は、前記第1のしきい値より小さい第2のしきい値を有し、隣接する複数の前記受波素子によって前記第2のしきい値以上の前記電磁波を連続して受波した場合、前記検出対象の移動を判定する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、操作空間に赤外線を出射する複数の発光素子と、操作空間に存在する操作体によって赤外線が反射され、この反射された反射光を受光する受光素子と、受光素子が受光した反射光をもとに、操作体のジェスチャ動作を検出する検出制御部と、を備えた操作入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この操作入力装置は、操作空間に存在する操作体のジェスチャ動作を精度良く検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の操作入力装置は、赤外線が発光素子から離れるにつれて広がるので、発光素子から離れた位置の検出精度が低下する問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、検出精度を向上させることができる検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、電磁波を出力する出力部と、出力部と対象となる対称位置に電磁波を集波するように反射させる反射材と、出力部に隣接して配置され、検出対象で反射した電磁波を、反射材を介して受波する受波部と、対称位置に位置する検出対象を反射して受波部が受波した電磁波に基づいて予め定められた第1のしきい値を有し、受波した電磁波が第1のしきい値以上である場合、検出対象の検出を判定する判定部と、を備えた検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、検出装置の一例を示す図であり、
図1(b)は、ブロック図の一例である。
【
図2】
図2(a)は、検出装置が検出するタッチ操作の一例を説明するための図であり、
図2(b)は、タッチ操作を検出する際の検出値の一例を示すグラフである。
【
図3】
図3は、検出装置が検出するジェスチャ操作の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、受波部がジェスチャ操作を検出する際の検出値の一例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、タッチ操作及び長押し操作の検出動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ジェスチャ操作の検出動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)は、第2の実施の形態に係る検出装置の一例を示す図であり、
図7(b)は、ブロック図の一例である。
【
図8】
図8は、第3の実施の形態に係る検出装置の一例を示す図である。
【
図9】
図9(a)は、検出装置の配置の一例を示す車両内部の図であり、
図9(b)は、ユーザが視認する表示画像と空中像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る検出装置は、電磁波を出力する出力部と、出力部と対象となる対称位置に電磁波を集波するように反射させる反射材と、出力部に隣接して配置され、検出対象で反射した電磁波を、反射材を介して受波する受波部と、対称位置に位置する検出対象を反射して受波部が受波した電磁波に基づいて予め定められた第1のしきい値を有し、受波した電磁波が第1のしきい値以上である場合、検出対象の検出を判定する判定部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
この検出装置は、出力された電磁波が反射材によって集波する対称位置に位置する検出対象を検出するので、この構成を採用しない場合と比べて、集波する対称位置において反射した電磁波が受波部で強くなり、検出精度を向上させることができる。
【0012】
[第1の実施の形態]
(検出装置1の概要)
図1(a)は、第1の実施の形態に係る検出装置の一例を示す図であり、
図1(b)は、検出装置のブロック図の一例である。
図2(a)は、第1の実施の形態に係る検出装置が検出するタッチ操作の一例を説明するための図であり、
図2(b)は、タッチ操作を検出する際の検出値の一例を示すグラフである。
図3は、第1の実施の形態に係る検出装置が検出するジェスチャ操作の一例を説明するための図である。
図4は、第1の実施の形態に係る受波部がジェスチャ操作を検出する際の検出値の一例を示すグラフである。
図2(b)及び
図4は、縦軸が検出値I、横軸が時間tである。
【0013】
なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率や形状は、実際の比率や形状とは異なる場合がある。また
図1(b)及び
図7(b)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0014】
本実施の形態の検出装置1は、一例として、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、車両の電子機器90に配置されている。電子機器90は、一例として、車両全体の設定や自動運転機能の制御を行う車両制御装置、車室内の温度を調整する空調装置、現在地の地図や目的地までの誘導を行うナビゲーション装置、画像を表示する表示装置、シートの位置や傾きなどを制御するシート装置、音楽や映像を再生する音楽及び映像再生装置などである。なお検出装置1は、例えば、これらの電子機器90に有線又は無線によって接続された携帯端末などを操作することも可能である。また電子機器90は、車載に限定されない。
【0015】
検出装置1は、
図1(a)~
図2(a)に示すように、電磁波を出力する出力部2と、出力部2と対象となる対称位置11に電磁波を集波するように反射させる反射材3と、出力部2に隣接して配置され、検出対象8で反射した電磁波を、反射材3を介して受波する受波部4と、対称位置11に位置する検出対象8を反射して受波部4が受波した電磁波に基づいて予め定められた第1のしきい値Th
1を有し、受波した電磁波が第1のしきい値Th
1以上である場合、検出対象8の検出を判定する判定部としての制御部5と、を備えて概略構成されている。
【0016】
この出力部2は、複数の出力素子を有している。受波部4は、複数の受波素子を有している。そして制御部5は、
図1(b)に示すように、第1のしきい値Th
1より小さい第2のしきい値Th
2を有し、隣接する複数の受波素子によって第2のしきい値Th
2以上の電磁波を連続して受波した場合、検出対象8の移動を判定する。
【0017】
(出力部2の構成)
出力部2は、一例として、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、複数の出力素子として第1の発光素子21~第4の発光素子24を有しているがこれに限定されない。第1の発光素子21~第4の発光素子24は、一例として、電磁波として赤外線である出力光20aを出力するLED(Light Emitting Diode)素子によって構成されている。
【0018】
第1の発光素子21~第4の発光素子24は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、基板10に等間隔で配置されている。なお変形例として出力部2は、2つの発光素子の間に後述する1つの受光素子を配置した少なくとも1つのユニットを備えるように構成されても良い。出力部2が複数のユニットを有する場合、発光素子の間隔が等間隔であるとは限らない。
【0019】
第1の発光素子21~第4の発光素子24は、制御部5と電気的に接続されている。そして第1の発光素子21~第4の発光素子24は、制御部5から出力される第1の出力信号S1~第4の出力信号S4によって出力光20aを出力するように構成されている。
【0020】
この出力光20aは、
図1(a)に点線で示すように、広がりながら反射材3に入力する。具体的には、出力光20aは、一例として、頂点側を発光素子側とし、底面側を反射材3側とする円錐状に広がって円錐領域201を形成する。さらに出力光20aは、その円錐領域201を、反射材3を基準とした面対象に折り返したような円錐領域202を形成し、またさらに当該円錐領域202の頂点を基準に折り返したような円錐領域203を形成する。
【0021】
この円錐領域201及び円錐領域202は、実質的に同形状となる。また円錐領域203は、出力光20aが集光されないので、円錐領域201及び円錐領域202とは異なり、底面側が広がり続ける円錐形状となる。なお出力光20aは、光軸200の直交方向の断面が真円である円錐形状に限定されない。また円錐領域201~円錐領域203は、重なる部分がさらに多くても良い。
【0022】
この対称位置11は、
図1(a)に示すように、円錐領域202の頂点と円錐領域203の頂点が向き合う位置であり、出力光20aが集光される位置である。従ってこの対称位置11の周辺の領域である周辺領域12は、出力部2から離れているのに、出力光20aの広がりが抑えられて光量が多い領域である。従って検出対象8が周辺領域12に位置すると、反射光20bの光量が他の位置より多くなり、かつ反射材3によって受波部4の方向に集光されるので、検出精度が向上する。
【0023】
対称位置11におけるタッチ操作を検出するための第1のしきい値Th1は、この周辺領域12に検出対象8が位置する際の検出値Iに応じて定められる。第2のしきい値Th2は、この周辺領域12の外に検出対象8が位置する際の検出値Iに応じて定められる。
【0024】
なお第1の発光素子21~第4の発光素子24は、一例として、出力光20aの一部が重なるように隣接して配置されているがこれに限定されない。
【0025】
(反射材3の構成)
反射材3は、例えば、入射した光を入射した方向と平行な方向に反射する再帰性反射材、及び入射した光を透過させて面対象の位置に集光させるリフレクタアレイなどを用いて板形状に形成されている。この再帰性反射材やリフレクタアレイは、内部にガラスビーズや2面コーナーリフレクタアレイなどを含んで構成されている。本実施の形態の反射材3は、一例として、
図1(a)に示すように、出力部2から出力された出力光20aを面対象の対称位置11に集光するリフレクタアレイを用いて構成されている。
【0026】
反射材3は、
図1(a)に示すように、第1の面31に入力した出力光20aを第2の面32から出射させる際、出力部2と面対象の対称位置11に出力光20aを集光するように屈折させる。そのため、対称位置11の近くの周辺領域12では、上述のように、他の位置よりも出力光20aの光量が大きくなる。
【0027】
また反射材3は、対称位置11の周辺に位置する検出対象8を反射した反射光20bが第2の面32から入力すると屈折させて検出対象8と面対象の位置に反射光20bを出射させる。この面対象の位置の近くには、出力部2と共に受波部4が配置されているので、他の領域で反射した場合よりも光量が多い反射光20bが受波部4に入力する。
【0028】
なお反射材3として再帰性反射材を用いる場合、検出装置1は、例えば、ビームスプリッタに対して面対象の位置を対称位置11とする構成とされても良い。
【0029】
(受波部4の構成)
受波部4は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、複数の受波素子として第1の受光素子41~第4の受光素子44を有しているがこれに限定されない。この第1の受光素子41~第4の受光素子44は、一例として、受光した反射光20bの光量に応じて電子が励起され、電流が流れるように構成されている。そして第1の受光素子41~第4の受光素子44は、この電流に基づく第1の受光信号S
5~第4の受光信号S
8を制御部5に出力するように構成されている。本実施の形態の検出値Iは、受光した光量に応じて流れる電流であるがこれに限定されず、電流に基づいた検出値であっても良い。
【0030】
第1の受光素子41~第4の受光素子44は、
図1(a)に示すように、出力部2の発光素子の間の基板10に、隣接して配置されている。なお受光素子の数や配置位置は、これに限定されない。また反射光20bは、反射材3を介して発光素子の近傍に集光するので、発光素子を囲むように複数の受光素子が配置されても良い。
【0031】
(制御部5の構成)
制御部5は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部5が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部5は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行うと共に、時間の測定を行う。
【0032】
制御部5は、一例として、第1のしきい値Th1と、第2のしきい値Th2と、時間しきい値Th3と、長押しきい値Th4と、を有している。
【0033】
第1のしきい値Th1は、タッチ操作を検出するためのしきい値である。制御部5は、受波部4から取得した第1の受光信号S5~第4の受光信号S8の検出値Iが第1のしきい値Th1以上となった場合、第1のしきい値Th1以上となった受光素子に対応する対称位置11においてタッチ操作がなされたと判定して操作情報S9を電子機器90に出力する。この操作情報S9は、タッチ操作を検出した受光素子に関する情報を少なくとも含んでいる。
【0034】
第2のしきい値Th2は、ジェスチャ操作を検出するためのしきい値である。このジェスチャ操作は、一例として、受光素子が並ぶ方向に沿って払うようなジェスチャ操作、つまりスワイプ操作であるがこれに限定されない。例えば、検出装置1は、複数の受光素子を行と列に並べ、二次元方向のジェスチャ操作の方向を検出するように構成されても良い。
【0035】
検出装置1は、一例として、接続された電子機器90に応じてタッチ操作及びジェスチャ装置の少なくとも一方を検出する。なお検出装置1は、電子機器90の機能の切り替えに応じてタッチ操作及びジェスチャ操作の検出を切り替えるように構成されても良い。
【0036】
制御部5は、受波部4から取得した第1の受光信号S5~第4の受光信号S8の検出値Iが第2のしきい値Th2以上であり、かつ第2のしきい値Th2以上となった受光素子に隣接する受光素子の検出値Iが第2のしきい値Th2以上となるまでの時間が時間しきい値Th3以下である場合、ジェスチャがなされたと判定して操作情報S9を電子機器90に出力する。この操作情報S9は、ジェスチャの種類とジェスチャの方向に関する情報を少なくとも含んでいる。
【0037】
また長押しきい値Th4は、長押し操作を検出するためのしきい値である。長押し操作とは、例えば、予め定められた時間以上、タッチ操作を継続する操作である。制御部5は、タッチ操作が長押しきい値Th4以上継続して検出された場合、長押し操作がなされたと判定する。ユーザは、一例として、タッチ操作で電子機器90の機能を選択し、長押し操作によってこの機能を実行することが可能となる。
【0038】
以下では、タッチ操作及び長押し操作とジェスチャ操作の検出動作の一例について
図5及び
図6のフローチャートに従って説明する。
【0039】
・タッチ操作及び長押し操作の検出について
検出装置1は、一例として、各発光素子の光軸200と交差する電子機器90の表面91にタッチ操作及び長押し操作の目安となる印刷などの意匠が設けられている場合、この意匠に対する離れた位置でのタッチ操作及び長押し操作、つまりホバー状態におけるタッチ操作及び長押し操作を検出することができる。以下では、一例として、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、ユーザが第1の発光素子21及び第2の発光素子22から出力される出力光20aが集光する対称位置11の近くでタッチ操作及び長押し操作を行う場合について説明する。
図2(b)は、一例として、第1の受光素子41が出力する第1の受光信号S
5の時間変化を示している。
【0040】
まず、検出装置1の制御部5は、第1の出力信号S1~第4の出力信号S4を出力部2に出力して第1の発光素子21~第4の発光素子24から出力光20aを出力させる(Step1)。
【0041】
制御部5は、受波部4から出力される第1の受光信号S5~第4の受光信号S8を取得し、検出値Iが第1のしきい値Th1以上となるか否かを監視する。
【0042】
図2(a)に示すように、ユーザが第1の発光素子21及び第2の発光素子22によって作られる対称位置11の近くでタッチ操作を行うと、出力光20aは、検出対象8によって反射される。出力光20aは、検出対象8で反射して反射光20bとして反射材3を介して検出対象8と面対象の位置に集光される。この反射光20bは、
図2(a)において実線で囲まれる領域内を進行するので、実線で囲まれた中に位置する第1の受光素子41が反射光20bを受光する。
【0043】
制御部5は、第1の受光信号S
5~第4の受光信号S
8に基づく検出値Iと第1のしきい値Th
1とを比較する。制御部5は、一例として、
図2(b)に示すように、ステップ2の「Yes」が成立する、つまり第1の受光信号S
5の検出値Iが第1のしきい値Th
1以上となった場合、第1の受光素子41が時間t
1においてタッチ操作を検出したと判定する(Step2:Yes)。
【0044】
また制御部5は、時間t2において検出値Iが第1のしきい値Th1より小さくなると、タッチ操作を検出した時間t1から時間t2までの時間間隔と長押しきい値Th4とを比較する。制御部5は、時間間隔が長押しきい値Th4以上である場合(Step3:Yes)、検出された長押し操作に応じた操作情報S9、つまり第1の受光素子41が長押し操作を検出したことを示す操作情報S9を接続された電子機器90に出力し(Step4)、ステップ2に処理を進める。
【0045】
ここでステップ3において制御部5は、長押しきい値Th4より早くタッチ操作が終了、つまり長押し操作がなされていない場合(Step3:No)、検出されたタッチ操作に応じた操作情報S9、つまり第1の受光素子41がタッチ操作を検出したことを示す操作情報S9を生成して接続された電子機器90に出力し(Step5)、ステップ2に処理を進める。
【0046】
・ジェスチャ操作の検出について
以下では、一例として、
図3及び
図4に示すように、ユーザが第1の発光素子21側から第4の発光素子24側に向かってジェスチャ操作としてスワイプ操作を行う場合について説明する。
【0047】
まず、検出装置1の制御部5は、第1の出力信号S1~第4の出力信号S4を出力部2に出力して第1の発光素子21~第4の発光素子24から出力光20aを出力させる(Step10)。
【0048】
制御部5は、受波部4から出力される第1の受光信号S5~第4の受光信号S8を取得し、検出値Iが第2のしきい値Th2以上となるか否かを監視する。
【0049】
図3及び
図4に示すように、ユーザが第1の発光素子21から第4の発光素子24の方向にジェスチャ操作を行うと、まず第1の発光素子21の出力光20aが検出対象8によって反射される。出力光20aは、検出対象8で反射して反射光20bとして反射材3を介して検出対象8と面対象の位置に集光される。
図3におけるジェスチャ操作は、一例として、対称位置11から離れた位置で行われるとしているがこれに限定されず、近い位置、つまり検出された検出値Iが第1のしきい値Th
1以上である位置で行われても良い。
【0050】
制御部5は、第1の受光信号S
5~第4の受光信号S
8に基づく検出値Iと第2のしきい値Th
2とを比較する。制御部5は、一例として、
図4に示すように、ステップ11の「Yes」が成立する、つまり第1の受光信号S
5の検出値Iが第2のしきい値Th
2以上となった場合(Step11:Yes)、時間の計測を開始する(Step12)。
【0051】
制御部5は、他の受光素子が検出対象8を検出するか監視する。制御部5は、他の受光素子の検出値Iが時間しきい値Th3内に第2のしきい値Th2以上となる、つまり他の受光素子が検出対象8を検出した場合(Step13:Yes)、ジェスチャ操作が行われたと判定し、ジェスチャ操作に応じた操作情報S9を生成して接続された電子機器90に出力する(Step14)。続いて制御部5は、測定した時間をリセットし(Step15)、ステップ11に処理を進める。
【0052】
一例として、
図4に示すように、制御部5は、時間t
10において第1の受光素子41が検出対象8を検出した場合、時間の計測を開始する。そして制御部5は、時間t
11において第2の受光素子42が検出対象8を検出した場合、計測した時間、つまり時間t
10から時間t
11までの時間T
1と時間しきい値Th
3とを比較する。制御部5は、時間T
1が時間しきい値Th
3以下である場合、第1の受光素子41から第2の受光素子42の方向にジェスチャ操作が行われたと判定する。
【0053】
ここで変形例として制御部5は、さらに時間しきい値Th
3以下であって移動方向に隣接する受光素子の検出対象8の検出に基づいてジェスチャ操作を判定しても良い。具体的には、制御部5は、一例として、
図4に示すように、ジェスチャ操作の方向であって第2の受光素子42に隣接する第3の受光素子43が時間t
12において検出対象8を検出した場合、時間t
11から時間t
12までの時間T
2と時間しきい値Th
3とを比較する。制御部5は、時間T
2が時間しきい値Th
3以下である場合、第1の受光素子41から第3の受光素子43の方向にジェスチャ操作が行われたと判定する。検出装置1は、この構成を採用することによって隣接する受光素子で検出されたり、検出されなかったりするタッチ操作をジェスチャ操作とする誤判定を抑制することができる。
【0054】
またさらに変形例として、制御部5は、操作方向に並ぶ2つ以上受光素子の合計の時間が時間しきい値Th
3以下である場合、ジェスチャ操作であると判定するように構成されても良い。制御部5は、一例として、
図4に示すように、隣接する第1の受光素子41~第3の受光素子43が順番に検出対象8を検出した場合、合計の時間、つまり時間t
10から時間t
12までの時間(T
1+T
2)が時間しきい値Th
3以下であるとジェスチャ操作がなされたと判定する。
【0055】
ここでステップ13において制御部5は、他の受光素子の検出値Iが時間しきい値Th3以下で第2のしきい値Th2以上とならなかった場合(Step13:No)、タッチ操作に応じた操作情報S9を生成して接続された電子機器90に出力し(Step16)、ステップ15に処理を進める。なお検出装置1がジェスチャ操作のみを検出する場合、ステップ13において「No」となるとステップ15に進み、ジェスチャ操作がなされなかったとして時間の測定がリセットされる。
【0056】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る検出装置1は、検出精度を向上させることができる。具体的には、検出装置1は、出力部2から出力された出力光20aを反射材3によって集光するので、出力部から離れるにつれて出力光が広がる場合と比べて、集光した対称位置11の近くの局所的な周辺領域12の出力光20aの割合を増やす、つまり光量を増やすことができる。そして検出装置1は、周辺領域12に位置する検出対象8を反射した反射光20bもまた反射材3によって受波部4の周辺に集光するので、広がった出力光を反射した反射光もまた広がる場合と比べて、受光する反射光20bの割合が多く、つまり光量が多くなり検出精度を向上させることができる。従って検出装置1は、局所的な位置での検出対象8の検出を可能とし、また対称位置11の出力光20a、及び受波部4での反射光20bの光量を増やすことができるので、低電力であり、かつ外乱光による検出精度の低下を抑制することができる。
【0057】
検出装置1は、反射材3を介して反射光20bを受光することで、検出対象8を検出することができるので、検出対象を検出するためにカメラで撮像したり、静電容量方式のタッチセンサの感度を上げてホバー状態の操作を検出させたりする場合と比べて、製造コストを抑制することができる。
【0058】
検出装置1は、反射材3によって複数の発光素子から出力された出力光20aを面対象の位置に集光するので、レンズを用いて発光素子ごとに集光する場合と比べて、高い位置決めの精度が必要なく、また部品点数が少なくなって製造コストを抑制することができる。また検出装置1は、誤作動を抑制するために値の離れたしきい値を設定して高い検出精度でタッチ操作とジェスチャ操作を検出することができる。
【0059】
検出装置1は、タッチ操作を検出可能な周辺領域12に近い外側の領域であっても一度集光してから広がっているので、集光しない場合と比べて、光量が多く、周辺領域12の外側で行われたジェスチャ操作などの検出精度を向上させることができる。
【0060】
検出装置1は、タッチ操作の検出精度が高いので、タッチ操作を継続して行う長押し操作の検出精度を高くすることができる。
【0061】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、対称位置に空中像が表示される点で他の実施の形態と異なっている。
【0062】
図7(a)は、第2の実施の形態に係る検出装置の一例を示す図であり、
図7(b)は、検出装置のブロック図の一例である。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0063】
本実施の形態の検出装置1は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、出力部2と反射材3との間に表示画像を表示する表示部6を備えている。この出力部2の出力する電磁波は、可視光線である。また反射材3は、対称位置11に表示画像に基づく空中像を表示させる。そして制御部5は、第1のしきい値Th
1に基づいて検出対象8による空中像への操作の検出を判定する。
【0064】
表示部6は、表示画像として第1の表示画像61~第4の表示画像64を表示するように構成されている。第1の発光素子21は、第1の表示画像61に基づく第1の空中像61aを対称位置11に投影する。第2の発光素子22は、
図7(a)に示すように、第2の表示画像62に基づく第2の空中像62aを対称位置11に投影する。第3の発光素子23は、第3の表示画像63に基づく第3の空中像63aを対称位置11に投影する。第4の発光素子24は、第4の表示画像64に基づく第4の空中像64aを対称位置11に投影する。
【0065】
表示部6は、例えば、出力光20aを透過させる有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどである。表示部6は、制御部5と電気的に接続されている。そして表示部6は、制御部5から出力される表示制御信号S10に基づいて第1の表示画像61~第4の表示画像64を表示するように構成されている。この出力光20aは、一例として、白色の可視光線であるがこれに限定されない。
【0066】
なお変形例として予め定められた表示画像の空中像を投影する場合、検出装置1は、表示画像を切り替えるディスプレイなどではなく、出力光20aを透過する領域と遮光する領域によって形成された板状の表示画像を備える構成であっても良い。
【0067】
さらに変形例として検出装置1は、電子機器90からの指示により、表示画像を切り替えて表示するように構成されても良い。
【0068】
検出装置1は、第1の表示画像61~第4の表示画像64に応じた第1の空中像61a~第4の空中像64aを表示させ、この第1の空中像61a~第4の空中像64aに対するタッチ操作や長押し操作を検出することができる。また検出装置1は、第1の空中像61a~第4の空中像64aをなぞるようなジェスチャ操作などを検出することができる。
【0069】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態の検出装置1は、表示部6が表示する表示画像を空中像として結像させ、空中像に対するタッチ操作やジェスチャ操作などを高い精度で検出することができるので、この構成を採用しない場合と比べて、操作性が高い。
【0070】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、表示部の位置が第2の実施の形態と異なっている。
【0071】
図8は、第3の実施の形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図9(a)は、第3の実施の形態に係る検出装置の配置の一例を示す車両内部の図であり、
図9(b)は、ユーザが視認する表示画像と空中像の一例を示す図である。
【0072】
本実施の形態の検出装置1は、
図8に示すように、反射材3と対称位置11との間に配置され、表示画像を表示する表示部6と、出力部2と反射材3との間に配置され、表示画像に対する操作のガイドとなるガイド画像と、を備えている。この出力部2の出力する電磁波は、可視光線である。また反射材3は、対称位置11にガイド画像に基づく空中像を表示させる。そして制御部5は、第1のしきい値Th
1に基づいて検出対象8による空中像に対応する表示画像への操作の検出を判定する。
【0073】
検出装置1は、一例として、
図9(a)に示すように、車両9の電子機器90に配置されている。この電子機器90は、一例として、空調装置であるがこれに限定されない。
【0074】
本実施の形態の表示部6は、
図8に示すように、反射材3の第2の面32側に配置されている。表示部6は、出力部2の第1の発光素子21~第4の発光素子24に応じて第1の表示画像61~第4の表示画像64を有している。この表示部6は、一例として、
図8(a)に示すように、電子機器90の表面91に露出するように配置されている。従ってユーザは、この第1の表示画像61~第4の表示画像64を直接視認することができる。なお第1の表示画像61~第4の表示画像64は、出力光20a及び反射光20bを透過するように構成されるが透過しない構成とすることも可能である。
【0075】
また検出装置1は、
図8及び
図9(a)に示すように、出力部2の第1の発光素子21~第4の発光素子24に応じたガイド画像として第1のガイド画像65~第4のガイド画像68を有している。この第1のガイド画像65~第4のガイド画像68は、反射材3を介して対称位置11に第1の空中像65a~第4の空中像68aとして投影される。
【0076】
第1の表示画像61~第4の表示画像64は、出力部2と反射材3の間に配置されないので、空中像を結像しない。しかし第1のガイド画像65~第4のガイド画像68は、出力部2と反射材3の間に配置されているので、第1の空中像65a~第4の空中像68aとして結像される。
【0077】
そこで検出装置1は、ガイド画像と表示画像の位置を合わせることにより、ユーザに直接視認される表示画像とガイド画像の空中像とを重ね合わせてユーザに呈示することができる。
【0078】
検出装置1は、一例として、
図9(b)に示すように、「ON」を表示する第1の表示画像61の周囲に第1のガイド画像65の空中像である第1の空中像65aを結像する。ユーザは、
図8(b)に示すように、第1の表示画像61に対してタッチ操作を行うと、実際に第1の表示画像61に触っていない、つまり第1の空中像65aにガイドされてホバー状態でタッチ操作を行うことができる。
【0079】
(第3の実施の形態の効果)
本実施の形態の検出装置1は、ガイド画像を空中像として結像することにより、表示画像に直接接触しなくてもホバー状態でタッチ操作などを行うことができ、表示画像の視認性が高く、操作性が良い。
【0080】
以上述べた少なくとも1つの実施の形態の検出装置1は、タッチ操作やジェスチャ操作などの検出精度を向上させることができる。
【0081】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1…検出装置、2…出力部、3…反射材、4…受波部、5…制御部、6…表示部、8…検出対象、9…車両、11…対称位置、20a…出力光、20b…反射光、21~24…第1の発光素子~第4の発光素子、41~44…第1の受光素子~第4の受光素子、61~64…第1の表示画像~第4の表示画像、61a~64a…第1の空中像~第4の空中像、65~68…第1のガイド画像~第4のガイド画像、65a~68a…第1の空中像~第4の空中像