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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072383
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B41J11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183145
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】FCLコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 喬
【テーマコード(参考)】
2C058
【Fターム(参考)】
2C058AB04
2C058AB07
2C058AC06
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF51
2C058AF66
2C058LA03
2C058LA13
2C058LA26
2C058LA43
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB35
2C058LC02
2C058LC21
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で残留記録紙の回収を円滑に行うことができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、記録紙Pに印刷するヘッド41と、ヘッド41により印刷された記録紙Pを切断して記録紙片Sを生成する切断部10と、記録紙片Sを排出する排出口9と、排出口9から排出される記録紙片Sの下方に配置される回収箱6と、切断部19に記録紙Pの切断動作を行わせる制御部8とを備える。制御部8は、記録紙Pと記録紙片Sとが連結している連結部S1を残して記録紙Pを切断するパーシャルカットと、連結部S1を残すことなく記録紙Pから記録紙片Sを切り離すフルカットとを、切断部10に行わせるものであり、切断部10に、パーシャルカットを行わせた後に、制御指令に応じてフルカットを行わせる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に印刷する印刷部と、
前記印刷部により印刷された前記記録紙を切断して記録紙片を生成する切断部と、
前記記録紙片を排出する排出口と、
前記排出口から排出される前記記録紙片の下方に配置される回収箱と、
前記切断部に前記記録紙の切断動作を行わせる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記記録紙と前記記録紙片とが繋がる連結部を残して前記記録紙を切断するパーシャルカットと、前記連結部を残すことなく前記記録紙から前記記録紙片を切り離すフルカットとを、前記切断部に行わせるものであり、
前記切断部に、前記パーシャルカットを行わせた後に、制御指令に応じて前記フルカットを行わせる印刷装置。
【請求項2】
前記回収箱の投入口を開閉可能に設置される蓋と、
前記蓋を開閉させる駆動源と、
を備え、
前記制御部は、前記制御指令に応じて前記駆動源を制御して、前記投入口を開くように前記蓋を動作させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷装置の筐体に設けられ、前記蓋を収容する収容口と、
前記収容口と前記蓋との隙間に前記記録紙片が進入するのを防止する進入防止部を備える、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記進入防止部は、
前記蓋の上面に、前記蓋の移動方向に沿って設けられる溝と、
前記収容口から前記蓋の上面に向かって突出して前記溝に篏合するよう設けられた突起と、
を有する、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記蓋の上面から突出し、前記蓋の移動方向に沿って設けられる少なくとも1つの筋部を備える、
請求項3または4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記排出口から排出された前記記録紙片を検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部による判定結果に基づき、前記切断部に前記フルカットを行わせる、
請求項1に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レシートなどの記録紙をパーシャルカットして、記録紙片として排出口から排出するタイプの印刷装置が知られている。このような印刷装置では、利用者が排出されている記録紙片を引っ張ることで、パーシャルカットされた記録紙片と記録紙とを連結している連結部が切り離されて、記録紙片が利用者に引き取られる。
【0003】
このような印刷装置において、排出口から排出された記録紙片を利用者が取らない場合、記録紙片を回収するための機構が無い印刷装置では、次の利用者が装置を利用する際に、排出口に残ったままの記録紙片を回収する必要がある。
【0004】
排出口に残留している記録紙片を自動的に回収する、所謂プレゼンタ機能を有する印刷装置が提案されている。例えば、排出された記録紙片を利用者が取らないときに、記録紙を排出方向と逆方向に搬送させる(すなわちバックフィードさせる)ことによって、残存している記録紙片を装置内部に回収する構成が提案されている。同様に、残存する記録紙片を固定しつつ記録紙をバックフィードさせることによって、記録紙片を記録紙から切り離す構成も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-35208号公報
【特許文献2】特開2017-159521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プレゼンタ機能付きの印刷装置では、装置内に記録紙をバックフィードさせる構成のため、記録紙や記録紙片の紙詰まりが起こる場合がある。また、搬送機構やその駆動源の負荷が大きくなり、装置の寿命が短くなる状況も生じ得る。
【0007】
本開示は、搬送機構の負荷を抑制しつつ残留記録紙片の回収を円滑に行うことができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の一観点に係る印刷装置は、記録紙に印刷する印刷部と、前記印刷部により印刷された前記記録紙を切断して記録紙片を生成する切断部と、前記記録紙片を排出する排出口と、前記排出口から排出される前記記録紙片の下方に配置される回収箱と、前記切断部に前記記録紙の切断動作を行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記記録紙と前記記録紙片とが繋がる連結部を残して前記記録紙を切断するパーシャルカットと、前記連結部を残すことなく前記記録紙から前記記録紙片を切り離すフルカットとを、前記切断部に行わせるものであり、前記切断部に、前記パーシャルカットを行わせた後に、制御指令に応じて前記フルカットを行わせる印刷装置。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、搬送機構の負荷を抑制しつつ残留記録紙片の回収を円滑に行うことができる印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る印刷装置の斜視図
図2】印刷装置の内部構造の断面図
図3】ヘッドモジュールとプラテンモジュールを拡大視した図
図4】可動刃及び固定刃の平面図
図5】パーシャルカット実行時の可動刃と固定刃の位置関係を示す図
図6】パーシャルカット後の記録紙を示す図
図7】フルカット実行時の可動刃と固定刃の位置関係を示す図
図8】フルカット後の記録紙を示す図
図9】蓋に係る要素の上方斜視図
図10】蓋の下方斜視図
図11】蓋の下面側の平面図
図12】蓋が開放位置にあるときの印刷装置の斜視図
図13】点線Aで示す領域の拡大図
図14】制御部の機能ブロック図
図15】制御部のハードウェア構成図
図16】記録紙片回収制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。X方向は印刷装置1の前後方向である。Y方向は印刷装置1の左右方向(幅方向)であり、記録紙Pや記録紙片Sの幅方向である。以下では説明の便宜上、X正方向側を前側や前方、X負方向側を後側や後方、Z正方向側を上側や上方、Z負方向側を下側や下方、とも表現する。
【0013】
図1は、実施形態に係る印刷装置1の斜視図である。本実施形態では、印刷装置1の一例として、感熱式の印刷部を備えるサーマルプリンタを説明する。印刷装置1は、レシートなどの記録紙片Sを発行する装置であり、商店等のレジスタ、銀行等におけるATM(Automated Teller Machine)やCD(Cash Dispenser)等の用途に適用される。印刷装置1は、記録紙である感熱紙を搬送してサーマルヘッド(以下「ヘッド」)(図3参照)により印刷を行い、切断部10(図3など参照)で所定の長さに記録紙を切断して、レシートなどの記録紙片Sとして出力する。
【0014】
図2は、印刷装置1の筐体2内部の要素を模式的に示す、印刷装置1のXZ断面図である。図2に示す印刷装置1は、筐体2の内部に、記録紙を保持するホルダ3と、ヘッドモジュール4と、プラテンモジュール5と、回収箱6と、用紙を検出するセンサ7と、制御部8と、を備える。
【0015】
図1図2に示すように、筐体2は、上側から順に上部筐体2A、中部筐体2B、下部筐体2Cの3つの部分に区分される。上部筐体2A、中部筐体2B、下部筐体2Cのそれぞれの後端面は同一平面となるよう形成されている。一方、上部筐体2Aと下部筐体2Cは、中部筐体2Bに対して前方に突出するよう形成されている。上部筐体2A前方の突出部分の下面2A1には、記録紙を排出する排出口9が設けられる。
【0016】
ホルダ3には、記録紙Pがロール状に巻回されたロール紙Rが設置される。ヘッドモジュール4とプラテンモジュール5とは対向配置される。ホルダ3から引き出された記録紙Pは、ヘッドモジュール4とプラテンモジュール5との間を通過して印字され、その後に切断部10によって切断されて記録紙片Sとして排出口9から排出される。
【0017】
図3は、ヘッドモジュール4とプラテンモジュール5を拡大視した図である。図3に示すように、ヘッドモジュール4は、印刷部の一例であるヘッド41と、可動刃42とを有する。プラテンモジュール5は、プラテンローラ(以下「プラテン」)51と、固定刃52とを有する。
【0018】
ヘッド41は、印刷データに対応した通電により図示しない発熱部が選択的に発熱して、感熱紙である記録紙に印刷を行う。プラテン51は、例えばゴムなどの弾性体などで形成される円筒状の部材であり、図示しない駆動源により回転軸まわりに回転可能に構成される。
【0019】
ヘッド41の発熱部と、プラテン51の周面とは、対向かつ密着するよう設置されている。プラテン51の回転軸とヘッド41の長手方向とは、共にY方向に沿って互いに平行となるように設置されている。これにより、記録紙Pはプラテン51とヘッド41との間に挟まれた状態となり、ヘッド41により印刷が行われると共に、プラテン51の回転により搬送方向Dに送り出される。
【0020】
可動刃42と固定刃52とは、印刷された記録紙Pを切断する切断部10を構成する。切断部10はヘッド41及びプラテン51の搬送方向Dの下流側に配置される。可動刃42はヘッド41に対して搬送方向Dの下流側に配置され、固定刃52はプラテン51に対して搬送方向Dの下流側に配置される。
【0021】
図3に加えて図4図8を参照して、切断部10の構成について説明する。図4は、可動刃42及び固定刃52の平面図である。図4は、搬送方向Dの上流側から視た図である。
【0022】
図3図4に示すように、可動刃42は、記録紙Pの搬送方向D及び幅方向に共に直行する方向Eに沿って移動可能に設けられる。可動刃42は、方向Eに沿って固定刃52に向かって移動し、記録紙Pを可動刃42の刃先42Aと固定刃52の刃先52Aとの間で挟み切断する。
【0023】
図4に示すように、刃先42Aは、その幅方向中央から両端に亘って中央部が最も固定刃52から離れるように形成された一対の傾斜部42A1、42A2が設けられる。刃先42Aの中央部には、傾斜部42A1、42A2よりもさらに固定刃52から離れる方向に凹んで形成されるU字状の凹部42A3が設けられる。
【0024】
刃先52Aは、幅方向に沿って延在するよう形成される。傾斜部42A1、42A2は、刃先52Aに対して一様に斜めになるように形成される。
【0025】
切断部10は、固定刃52に対する可動刃42の接近量に応じて、一部を残して記録紙Pと記録紙片Sとを切断するパーシャルカットと、記録紙片Sを記録紙Pから切り離すフルカットの2種類の手法で記録紙Pを切断することができる。
【0026】
図5は、パーシャルカット実行時の可動刃42と固定刃52の位置関係を示す図である。図5の概略は図4と同様である。図6は、パーシャルカットされた記録紙Pを示す図である。図6の記録紙Pは、搬送方向Dに搬送される。
【0027】
図5に点線Fで示すように、可動刃42を、傾斜部42A1、42A2が刃先52Aを超え、凹部42A3が刃先52Aより手前となる位置まで移動させる。これにより、記録紙Pがパーシャルカットされて、図6に点線Gで示すように、記録紙Pの凹部42A3の位置に対応する連結部S1を残して記録紙片Sと記録紙Pとが切断される。図6では、連結部S1で記録紙片Sと記録紙Pとがつながった状態となっている。
【0028】
図7は、フルカット実行時の可動刃42と固定刃52の位置関係を示す図である。図8は、フルカット後の記録紙P及び記録紙片Sを示す図である。図7図8の概略はそれぞれ図5図6と同様である。
【0029】
図7に矢印Hで示すように、図5の状態から可動刃42をさらに固定刃52側へ移動させ、図7に点線Iで示すように、凹部42A3も傾斜部42A1、42A2と共に刃先52Aを超える位置まで移動させる。これにより、図8に点線Jで示すように連結部S1が凹部42A3により切断されて、記録紙片Sが記録紙Pから切り離されるフルカットを行うことができる。このとき、切り離された記録紙片Sは、図8に矢印Cで示す方向に落下する。
【0030】
可動刃42は、図示しない駆動源によって方向Eに沿って任意の位置に移動可能である。切断部10は、このような可動刃42の動作によってパーシャルカットとフルカットを実行できる。可動刃42の動作、すなわちパーシャルカットやフルカットは、制御部8により駆動源を制御することによって実行される。
【0031】
図2において、排出口9は、下面2A1に、切断部10によりパーシャルカットされた記録紙片Sを下方に排出するよう設置される。排出口9から排出された記録紙片Sは、筐体2の内部の記録紙Pに繋がれた状態のままで、上部筐体2Aの下方、かつ、中部筐体2Bの前方に位置する。図2の状態から切断部10により記録紙片Sがフルカットされると、記録紙Pから切り離された記録紙片Sは落下する。
【0032】
回収箱6は、下部筐体2Cの内部に設けられ、切り離された記録紙片Sを内部に収容して回収する。なお、図2の例では回収箱6は下部筐体2Cの全体に配置されるが、下部筐体2Cの一部に収容可能なサイズでもよい。
【0033】
図1図2に示すように、回収箱6の上面には投入口61が設けられ、切り離された記録紙片Sを投入口61から回収箱6の内部に入れることができる。投入口61は、記録紙Pから切り離されて落下する記録紙片Sが通過可能な位置に設けられ、例えば排出口9の真下を含む領域に設けられる。記録紙Pから切り離された記録紙片Sは、投入口61を通過し、図2に矢印Cで示すように回収箱6に進入して回収箱6に蓄積される。
【0034】
図1図2に示すように、投入口61には蓋62が設置されている。蓋62は、閉鎖位置と開放位置との間で移動する。蓋62は、図1図2に示す閉鎖位置にあるときに投入口61を塞いで閉じ、回収箱6への記録紙片Sの進入を止めることができる。一方、蓋62が図12の開放位置にあるときに投入口61が開き、回収箱6への記録紙片Sの進入を可能とする。
【0035】
本実施形態では、蓋62は、図2に示すように、印刷装置1の前後方向に沿った移動方向Bに水平移動することで閉鎖位置と開放位置とに遷移する。
【0036】
図9は、蓋62に係る要素の上方斜視図である。図10は、蓋62に係る要素の下方斜視図である。図11は、蓋62の下面62B側の平面図である。
【0037】
図2図9図10に示すように、蓋62は、駆動源63によって駆動されて移動することができる。駆動源63は、モータ63Aと、ギア群63Bと、ラック63Cとを有する。ギア群63Bは複数の歯車により構成される。図9図10では図示が省略されているが、最もモータ63A側に配置される歯車がモータ63Aの駆動軸に設置されるか、または、駆動軸に取り付けられる歯車と噛み合う。一方、ギア群63Bのうち最もラック63C側に配置される歯車がラック63Cと噛み合う。
【0038】
ギア群63Bは、モータ63Aから出力される動力をラック63Cに伝達する。図11に示すように、ラック63Cは、蓋62の下面62Bに設けられる溝62Cの底面に設けられている。溝62Cは移動方向Bに沿って延在するよう形成され、これによりラック63Cも移動方向Bに沿って延在する。モータ63Aの動作は制御部8により制御される。
【0039】
駆動源63は、モータ63Aが出力した動力を、ギア群63Bを介してラック63Cに伝達する。ラック63Cは、伝達された動力を移動方向Bへの駆動力に変換して蓋62に伝達する。これにより、蓋62は、駆動源63から出力される動力の方向に応じて、移動方向Bに沿って両方向へ移動できる。
【0040】
図12は、蓋62が開放位置にあるときの印刷装置1の斜視図である。図12の概略は図1に対応する。図1図2では、蓋62は閉鎖位置にあり、投入口61を塞いでいる。図1図2図12に示すように、投入口61の後端の筐体2の面には、蓋62を収容する収容口2Dが形成される。蓋62の後端は、収容口2Dから筐体2の内部に常時収容されており、収容口2D側の蓋62の上面と投入口61との隙間が生じないように構成されている。また、図2に示すように、投入口61の前端の筐体2の面にはX正方向側に窪む形状の篏合溝2Eが形成される。蓋62が閉鎖位置にあるときに、蓋62の前端は篏合溝2Eに挿入されており、蓋62と投入口61との隙間が生じないように構成されている。
【0041】
駆動源63が駆動して、蓋62が閉鎖位置から図12に矢印B1で示す方向に装置後方に移動すると、蓋62が図12に示す開放位置に遷移し、投入口61が開く。このとき、蓋62は収容口2Dから筐体2の内部に収容される。投入口61が開くことで、図12に矢印Cで示すように、フルカットされて記録紙Pから切り離された記録紙片Sが投入口61から回収箱6の内部に投入される。
【0042】
図13は、図1の点線Aで示す領域の、蓋62の収容口2D近傍の拡大図である。図9図13に示すように、上面62Aには、移動方向Bに沿って延在する溝11が設けられている。一方、収容口2D上部端面の溝11と対向する位置には、下方に突出する突起12が設けられている。突起12のY方向やZ方向の寸法は、溝11に篏合可能な大きさである。突起12は、例えば図13に示すように、収容口2Dの長手方向(Y方向)の略中央に設けられ、溝11も上面62Aの幅方向の略中央に設けられている。
【0043】
蓋62は、溝11に突起12が篏合した状態で、移動方向Bに沿って移動可能である。溝11と突起12とを設けることにより、上面62Aと収容口2Dとの間に隙間があっても、落下してくる記録紙片Sが突起12に引っ掛かって隙間に入り込むことを防止できるので、蓋62が移動する際に記録紙片Sを巻き込むことを防止できる。すなわち、溝11と突起12とは、記録紙片Sが隙間に進入することを防止する「進入防止部」として機能する。また、溝11と突起12はさらに、蓋62のB方向への移動のガイドとしても機能し、蓋62の移動をスムーズにできる。
【0044】
上面62Aには、溝11と同様に移動方向Bに沿って延在する筋部13が設けられている。筋部13は、上面62Aから上方に突出して形成されている。図13などでは、溝11の幅方向両側に2本ずつ、合計4本の筋部13を設ける構成が例示されているが、筋部13は少なくとも1つあればよい。ただし、蓋62の幅方向の中心を基準として対称となる位置に設けられるのが好ましい。筋部13のZ方向の寸法は、突起12と溝11との篏合状態を維持できる程度に上面62Aと収容口2Dとの間に隙間を作れる長さである。上面62Aに筋部13を設けることによって、上面62Aと収容口2Dとが面接触することや、蓋62が収容口2Dの長手方向に対して傾斜することなどを防止でき、収容口2Dとの間に余計な摩擦力を発生させることなく蓋62をスムーズに移動方向Bに沿って移動させることが可能となる。
【0045】
図2に戻り、センサ7は検知部の一例であり、パーシャルカットされた記録紙片Sが排出口9から吊り下げられている状態であるか否かを検出する。センサ7は、例えば図2に示すように排出口9に設置され、排出口9の短手方向(X方向)に沿って遮蔽物の有無を検知できるセンサを適用できる。センサ7は、検知結果を制御部8に出力する。
【0046】
制御部8は、印刷装置1の各要素の動作を制御する。本実施形態では、制御部8は、制御指令に応じて記録紙Pのパーシャルカットとフルカットとを行うよう切断部10を制御する。記録紙Pをフルカットすることで、記録紙Pから切り離された記録紙片Sを回収箱6に回収できる。
【0047】
図14は、制御部8の機能ブロック図である。図14に示すように、制御部8は、上記制御に関する機能として、印刷制御部81と、切断制御部82と、残留検知部83と、蓋制御部84と、を有する。
【0048】
印刷制御部81は、ヘッド41やプラテン51の動作を制御して、記録紙Pへの印刷や搬送を行わせる。
【0049】
切断制御部82は、可動刃42の動作を制御して、記録紙Pのパーシャルカットやフルカットを実施させる。
【0050】
残留検知部83は、排出口9にパーシャルカットされた記録紙片Sが残留しているか否かを検知する。残留検知部83は、例えばセンサ7から入力される情報に基づき記録紙片Sの残留有無を判定する。
【0051】
なお、印刷装置1は、利用者が操作指令を入力する操作部14を備える構成でもよい。この場合、利用者は操作部14を用いて記録紙片Sを回収する旨の指令を入力することができ、残留検知部83は操作部14から入力される指令に基づき記録紙片Sの残留有無を判定する。
【0052】
蓋制御部84は、蓋62の開閉動作を制御する。蓋制御部84は、モータ63Aに回転方向などの制御指令を出力してモータ63Aを動作させて、蓋62の移動を制御する。
【0053】
図15は、制御部8のハードウェア構成図である。図15に示すように、制御部8は、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102およびROM(Read Only Memory)103を備え、各種センサや操作部14の一例であるキースイッチ等が接続される入力ポート104、LED等が接続される出力ポート105、ネットワークカード等の通信モジュール106、モータ63Aなどの各種モータを駆動するモータドライバ107、サーマルヘッド41を駆動するサーマルヘッドドライバ108で構成される。図14に示す制御部8の各機能は、RAM102等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール106、モータドライバ107、サーマルヘッドドライバ108等を動作させるとともに、RAM102におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0054】
図16は、記録紙片Sの回収制御のフローチャートである。図16では、印刷装置1がレジスタに適用され、レシートを出力する事例を説明する。以下、図16の各ステップS1~S7に沿って説明する。
【0055】
S1では、レジスタによる会計処理が実行された後、印刷制御部81により会計処理の結果の情報が記録紙Pに印刷されて、レシートとして発行される。
【0056】
S2では、切断制御部82の制御により、S1で記録紙Pの印刷された部分の搬送方向D上流側を、連結部を残して切断部10により切断して、パーシャルカットを行う。これにより、記録紙Pの先端のレシートとなる記録紙片Sが排出口9から出力される。
【0057】
S3では、残留検知部83により、パーシャルカットされたレシートが排出口9に残留しているか否かが判定される。残留検知部83は、センサ7から入力される情報を用いてレシートが残留している時間を計測し、計測時間が所定の閾値を超えたときにレシートが残留していると判定する。一方、残留検知部83は、操作部14から入力される指令があった場合にレシートが残留していると判定することもできる。さらに残留検知部83は、レジスタで別の会計処理が始まるときに、レシート残留を検知する構成でもよい。上記のいずれかの手法によってレシートの残留が検知された場合(S3のYES)には、残留検知部83は制御指令を切断制御部82や蓋制御部84に出力して、S4に移行する。一方、レシートが残留していない場合(S3のNO)には、制御部8は発行されたレシートは利用者に既に受け取られており以後の回収制御は不要と判断して、本制御フローを終了する。
【0058】
S3でレシートの残留が判定された場合、S4からのレシートの回収作業に移行する。まずS4で、蓋制御部84の制御により蓋62を開放位置に移動させ、投入口61を開く。
【0059】
S5では、切断制御部82の制御により切断部10が記録紙Pをフルカットし、レシートが記録紙Pから切り離される。切り離されたレシートは投入口61から回収箱6に回収される。
【0060】
S6では、残留検知部83によりレシートが回収されたか否かが判定される。残留検知部83は、センサ7が排出口9に残留するレシートを検知しない場合にレシートの回収が完了したと判定し(S6のYES)、処理をS7に移行する。一方、排出口9に残留するレシートをセンサ7が検知した場合、残留検知部83はレシートが回収されていないと判断し(S6のNO)、レシート回収が検知されるまで待機する。
【0061】
S7では、蓋制御部84の制御により蓋62を閉鎖位置に移動させて、投入口61を閉じる。S7の処理が完了すると本制御フローを終了する。
【0062】
次に本実施形態に係る印刷装置1の効果について説明する。
【0063】
本実施形態の印刷装置1は、記録紙Pに印刷するヘッド41と、ヘッド41により印刷された記録紙Pを切断して記録紙片Sを生成する切断部10と、記録紙片Sを排出する排出口9と、排出口9から排出される記録紙片Sの下方に配置される回収箱6と、切断部19に記録紙Pの切断動作を行わせる制御部8とを備える。制御部8は、記録紙Pと記録紙片Sとが連結している連結部S1を残して記録紙Pを切断するパーシャルカットと、連結部S1を残すことなく記録紙Pから記録紙片Sを切り離すフルカットとを、切断部10に行わせるものであり、切断部10に、パーシャルカットを行わせた後に、制御指令に応じてフルカットを行わせる。
【0064】
この構成により、記録紙片Sを利用者が取らないなど、記録紙片Sが排出口9に残留しているときに、制御指令に応じてパーシャルカットされている記録紙Pをフルカットして記録紙片Sを記録紙Pから切り離す。これにより、排出口9から排出された記録紙片Sの下方に配置される回収箱6に記録紙片Sが自然に落下して、記録紙片Sが回収箱6に容易に回収される。本実施形態では、記録紙片Sを回収するために記録紙Pをバックフィードさせることなく、記録紙片Sをフルカットするだけで記録紙片Sをスムーズに回収できる。また、記録紙Pをバックフィードさせる必要がないので、プラテンローラ51やその駆動源などの搬送機構は記録紙Pを一方向のみへ搬送するだけで済む。この結果、印刷装置1は、搬送機構の負荷を抑制しつつ残留記録紙片の回収を円滑に行うことができる。
【0065】
本実施形態の排出口9は、記録紙片Sを下方に排出するよう設置される。この構成により排出口9と投入口61とを対向配置できるので、記録紙片Sの排出方向と落下方向とを搬送方向Dと一致させることができる。これにより、記録紙Pから切り離された記録紙片Sをより確実に回収箱6に落下させることが可能となり、記録紙片の回収をより円滑に行うことができる。
【0066】
本実施形態の印刷装置1は、投入口61を開閉可能に設置される蓋62と、蓋62を開閉させる駆動源63と、を備える。制御部8は、切断部10にフルカットを行わせる制御指令に応じて駆動源63を制御して、投入口61を開くように蓋62を動作させる。これにより、切り離された記録紙片Sを投入口61から回収箱6に回収できる。
【0067】
パーシャルカットに失敗して誤ってフルカットされたり、記録紙片Sと記録紙Pとの接合部分が自然にちぎれるなど、意図せずに記録紙片Sが切り離されて落下する場合が生じ得る。本実施形態では、上記構成により、記録紙片Sを回収するときのみ投入口61を開くため、不用意に切り離された記録紙片Sが誤って回収箱6に回収されるのを防止できる。
【0068】
本実施形態の印刷装置1は、筐体2に設けられ蓋62を収容する収容口2Dと、収容口2Dと蓋62との隙間に記録紙片Sが進入するのを防止する進入防止部を備える。具体的には、進入防止部は、蓋62の上面に、蓋62の移動方向Bに沿って設けられる溝11と、収容口2Dから蓋62の上面62Aに向かって突出して溝11に篏合するよう設けられる突起12と、を有する。
【0069】
記録紙Pから切り離された記録紙片Sが落下するときに、例えば風などの外的要因によって落下方向が変化して、蓋62の上面62Aと収容口2Dとの隙間に記録紙片Sが向かうような場合が生じ得る。本実施形態では、上記構成により、落下した記録紙片Sが溝11に篏合している突起12に突き当たって、それ以上記録紙片Sが収容口2Dと蓋62との隙間に進入するのを防止できる。記録紙片Sが収容口2Dと蓋62との隙間に巻き込まれる事態を回避できるので、隙間に入り込んだ記録紙片を取り除く作業などの手間を低減でき、記録紙片Sの回収を効率良く行うことができる。また、溝11と突起12は、移動方向Bに沿った蓋62の移動のガイドとしても機能し、蓋62の移動をスムーズにできる。
【0070】
本実施形態の印刷装置1は、蓋62の上面62Aから収容口2Dの方向に突出し、蓋62の移動方向Bに沿って設けられる少なくとも1つの筋部13を備える。
【0071】
筋部13により蓋62と収容口2Dとの距離を一定に保つことができるので、例えば蓋62の上面62Aが収容口2Dの周面に接近しすぎて面接触してしまい蓋62の移動時に余計な摩擦力が発生する事態を回避できる。同様に、蓋62が収容口2Dの周面のY方向に対して傾斜することも防止できるので、収容口2Dとの間に余計な摩擦力を発生させることなく、蓋62をスムーズに移動方向Bに沿って移動させることが可能となる。これにより、蓋62の開閉動作をスムーズにできる。
【0072】
本実施形態の印刷装置1は、排出口9から排出された記録紙片Sを検知するセンサ7を備え、制御部8は、センサ7により記録紙片Sの検出結果に応じて切断部10に記録紙片Sをフルカットする動作を行わせる。具体的には、制御部8は、センサ7により残留する記録紙片Sが検知されてから所定時間経過後に、または、センサ7が残留する記録紙片Sを検知している状態で次の印刷動作が始まるときに、切断部10にフルカットを行わせる。
【0073】
この構成により、記録紙片Sの回収制御開始のトリガとなる制御指令を自動的に生成できるので、記録紙片Sの回収制御の実施タイミングを精度良く判定できる。
【0074】
本実施形態の印刷装置1は、利用者の操作入力を受け付ける操作部14を備え、制御部8は、操作部14から記録紙片Sを回収する操作指令が入力されたときに、切断部10に記録紙片Sをフルカットする動作を行わせるようにしてもよい。
【0075】
この構成により。残留する記録紙片Sの回収制御の開始のトリガとなる制御指令を操作指令入力により生成できるので、印刷装置1の利用者の意図に合わせて記録紙片Sの回収制御を任意のタイミングで決定でき、ユーザビリティを向上できる。
【0076】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0077】
上記実施形態では、印刷装置1の一例としてサーマルプリンタを挙げて説明したが、例えばレーザプリンタなどの感熱式以外の印刷方式のプリンタでもよい。この場合、記録紙Pは、感熱紙以外の普通紙やその他のシート状媒体を適用できる。また、印刷部も、感熱式以外の記録ヘッドを適用できる。
【0078】
上記実施形態では、記録紙としてロール紙Rを用いているが、ロール状以外の記録紙を用いてもよい。例えば、所定長ごとにつづら折り状に折り畳まれた記録紙を用いる構成でもよい。
【0079】
上記実施形態では、記録紙片Sを下方に排出するよう設置された排出口9を例示したが、排出口9の位置はこれに限られない。少なくとも、排出口9から排出された記録紙片Sをフルカットした際に記録紙片Sの落下方向に投入口61があればよく、例えば排出口9が装置前方に配置され、排出口9よりも前方側に投入口61を設ける構成でもよい。
【0080】
上記実施形態では、投入口61に蓋62を設置する構成を例示したが、蓋62を設けずに投入口61が常時開口する構成でもよい。
【0081】
上記実施形態では、蓋62が装置の前後方向に水平移動する構成を例示したが、投入口61を開閉できる構成であればよく、蓋62の移動方向は他の方向、例えば装置の幅方向でもよい。また、蓋62の一辺に沿って設けた回転軸まわりに蓋62を回動させて投入口61の開閉を行う構成でもよい。
【0082】
上記実施形態では、進入防止部として、収容口2D設けられた突起12と蓋62に設けられた溝11を篏合させる構成を例示したが、進入防止部は他の構成でもよい。例えば、収容口2Dと蓋62との隙間を収容口2Dの延在方向(Y方向)に沿って覆うカバーを設ける構成でもよい。また、溝11と突起12の凹凸関係を逆にする構成でもよい。
【0083】
上記実施形態では、センサ7を排出口9に設ける構成を例示したが、センサ7の設置位置はこれに限られない。センサは、排出口9から排出された記録紙Pと連結したままの記録紙片Sを検出できればよく、例えば中部筐体2Bの前面など排出口9より下方に設置する構成でもよい。
【0084】
上記実施形態では、検知部の一例としてセンサ7を備える構成を例示したが、記録紙片Sを検知できる要素であれば、例えばスイッチなどセンサ以外の要素を適用してもよい。
【0085】
上記実施形態では、単一の切断部10で記録紙Pのパーシャルカットとフルカットとを行う構成を例示したが、パーシャルカットを行う切断部と、フルカットを行う切断部とを個別に設ける構成でもよい。少なくともフルカットを行う切断部を排出口9の近傍に配置すれば、図16などで説明した本実施形態の記録紙片Sの回収制御を実施できる。また、ヘッドモジュール4やプラテンモジュール5、パーシャルカットを行う切断部を排出口9から離して配置することが可能となるので、これらの要素の装置内での配置の自由度を向上でき、装置の設計容易性も向上できる。
【符号の説明】
【0086】
1 印刷装置、2 筐体、2D 収容口、41 サーマルヘッド、6 回収箱、
61 投入口、62 蓋、62A 上面、63 駆動源、7 センサ、8 制御部、
9 排出口、10 切断部、11 溝、12 突起、13 筋部、14 操作部、
P 記録紙、S 記録紙片、S1 連結部、B 蓋の移動方向、D 搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16