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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072384
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】プロファイル研削盤用付加システム
(51)【国際特許分類】
   B24B 17/04 20060101AFI20240521BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B24B17/04 A
B24B49/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183149
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】596182025
【氏名又は名称】株式会社 ネオ
(74)【代理人】
【識別番号】100111084
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 義昭
(72)【発明者】
【氏名】平本 慶
【テーマコード(参考)】
3C034
3C049
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB71
3C034BB93
3C034CA13
3C034CA22
3C049AA03
3C049AA14
3C049AA16
3C049AB04
3C049AC02
3C049BA07
3C049BB02
3C049BC02
3C049BC03
3C049CB01
(57)【要約】
【課題】既存のプロファイル研削盤に付加することで、既存のプロファイル研削盤の機能を向上させることが可能なシステムを提供する。
【解決手段】研削部110と工作物保持部120と投影部130とを備えたプロファイル研削盤100に付加されて使用される付加システム200は、撮像部210と、撮像部固定部220と、付加照明部230と、制御部240と、表示部250とを備える。撮像部210は、工作物1付近の撮像を行うものであって、付加照明部230からの光の進行方向(進路)を変更する光路変更部211を備える。撮像部固定部220は、光路変更部211が、工作物1と投影レンズ132との間に配置されるように、撮像部220を固定するものであって、光路変更部211の位置を調節できるように構成されている。制御部240は、撮像部210から送られてきた画像データに基づいて、表示部250に表示される画像を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影機を備えたプロファイル研削盤に付加されるシステムであって、
工作物を撮像するための撮像部と、
前記撮像部を固定するための撮像部固定部と、
前記撮像部によって撮像された画像を表示するための表示部と、
前記表示部に表示される画像を制御する制御部と
を備えたことを特徴とするプロファイル研削盤用付加システム。
【請求項2】
前記撮像部は、光の方向を変えるための光路変更部と、前記光路変更部を介して、前記工作物の撮像を行う撮像カメラとを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のプロファイル研削盤用付加システム。
【請求項3】
前記撮像部固定部は、前記光路変更部が、前記投影機と前記工作物との間に配置されるように、前記撮像部を固定する
ことを特徴とする請求項2に記載のプロファイル研削盤用付加システム。
【請求項4】
前記撮像部固定部は、前記光路変更部の位置を変更可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のプロファイル研削盤用付加システム。
【請求項5】
前記光路変更部は、直角プリズムによって構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のプロファイル研削盤用付加システム。
【請求項6】
前記プロファイル研削盤は、前記工作物を固定するためのテーブル部を備えており、
前記撮像部固定部は、前記テーブル部に着脱可能に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載のプロファイル研削盤用付加システム。
【請求項7】
前記工作物の照明を行うための付加発光部を更に備える
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のプロファイル研削盤用付加システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記撮像部によって撮像された画像を、指定された角度だけ回転させる画像回転部を備える
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のプロファイル研削盤用付加システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記画像回転部によって処理された画像に対して、加工後の工作物の形状を示す図形を、指定された描画位置に描画する工作物図形描画部を更に備える
ことを特徴とする請求項8に記載のプロファイル研削盤用付加システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記工作物図形描画部によって処理された画像を、指定された倍率で拡大・縮小する画像拡大・縮小部を更に備える
ことを特徴とする請求項9に記載のプロファイル研削盤用付加システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のプロファイル研削盤の機能を向上させるための付加システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、研削盤の一種として、プロファイル研削盤(倣い研削盤)が知られている。プロファイル研削盤は、投影機を搭載しており、工作物(ワーク)の輪郭を投影スクリーンに拡大投影させることで、精密な研削加工を可能とするものである。プロファイル研削盤においては、例えば、完成品の輪郭形状を描画したチャート紙(半透明フィルム紙)を投影スクリーン上に貼り付けた上で、工作物の輪郭がチャート紙に描画された輪郭形状に倣うように、研削加工が行われる。
【0003】
しかしながら、従来のプロファイル研削盤は、長期間使用していると、投影機が暗くなり、投影スクリーンに投影される輪郭等が見えづらくなることがあった。
【0004】
また、従来のプロファイル研削盤では、投影機の拡大倍率が相対的に低く(例えば、20~50倍)、高精度な加工を実現するためには、作業者の熟練が必要とされていた。
【0005】
また、従来のプロファイル研削盤では、投影スクリーンに貼り付けられたチャート紙に描画された図形(線図)にならって加工を行うので、チャート紙への図形の描画に使用されるプロッタの精度が、加工精度に影響することにもなっていた。
【0006】
なお、特開2009-214289号公報には、テーブル上に固定したワークを研削すべく回転して移動する円盤状の砥石と、この砥石と前記ワークの研削加工部分を撮像する撮像手段と、図形データに基づいてNC用図形データを作成すべく計算する第1演算装置と、前記NC用図形データとワーク画像と図形データに変換した砥石図形を、加工ラインとワーク画像と砥石図形として画面上に重ねて表示する表示装置とを備えた制御装置とで構成されていることを特徴とする倣い研削装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-214289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、既存のプロファイル研削盤に付加することで、既存のプロファイル研削盤の機能を向上させることが可能なシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプロファイル研削盤用付加システムは、投影機を備えたプロファイル研削盤に付加されるシステムであって、工作物を撮像するための撮像部と、前記撮像部を固定するための撮像部固定部と、前記撮像部によって撮像された画像を表示するための表示部と、前記表示部に表示される画像を制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記撮像部は、光の方向を変えるための光路変更部と、前記光路変更部を介して、前記工作物の撮像を行う撮像カメラとを備えるようにしてもよい。更に、この場合、前記撮像部固定部は、前記光路変更部が、前記投影機と前記工作物との間に配置されるように、前記撮像部を固定するようにしてもよい。また、前記撮像部固定部は、前記光路変更部の位置を変更可能に構成されているようにしてもよい。また、前記光路変更部は、直角プリズムによって構成されているようにしてもよい。
【0011】
また、以上の場合において、前記プロファイル研削盤は、前記工作物を固定するためのテーブル部を備えており、前記撮像部固定部は、前記テーブル部に着脱可能に固定されるようにしてもよい。
【0012】
また、以上の場合において、前記工作物の照明を行うための付加発光部を更に備えるようにしてもよい。
【0013】
また、以上の場合において、前記制御部は、前記撮像部によって撮像された画像を、指定された角度だけ回転させる画像回転部を備えるようにしてもよい。更に、この場合において、前記制御部は、前記画像回転部によって処理された画像に対して、加工後の工作物の形状を示す図形を、指定された描画位置に描画する工作物図形描画部を備えるようにしてもよい。更に、この場合において、前記制御部は、前記工作物図形描画部によって処理された画像を、指定された倍率で拡大・縮小する画像拡大・縮小部を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既存のプロファイル研削盤の機能を簡単に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による付加システムが適用されたプロファイル研削盤の構成を説明するための図である。
図2】撮像部固定部220の構成を説明するための図である。
図3】制御部240のハードウェア構成例を説明するための図である。
図4】制御部240の機能構成(ソフトウェア構成)を説明するための図である。
図5】制御部240における画像処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図6】制御部240における画像処理の途中経過を説明するための図(その1)である。
図7】制御部240における画像処理の途中経過を説明するための図(その2)である。
図8】制御部240における画像処理の途中経過を説明するための図(その3)である。
図9】制御部240における画像処理の途中経過を説明するための図(その4)である。
図10】付加システム用アプリケーションが表示部250に表示する画面例を示す図である。
図11】付加システム用アプリケーションが表示部250に工作物図形を表示した状態を示す図である。
図12】工作物図形と工作物画像との傾き合わせのやり方を説明するための図である。
図13】付加システム200が付加されたプロファイル研削盤100における研削加工のやり方を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
本発明による付加システムは、既存のプロファイル研削盤の機能を向上させるために、既存のプロファイル研削盤に付加されるものである。以下では、投影機を備えたプロファイル研削盤に、本発明による付加システムを適用した場合について説明する。
【0018】
図1は、本発明による付加システムが適用されたプロファイル研削盤の構成を説明するための図である。同図(a)は正面図を示し、同図(b)は平面図を示す。なお、同図(b)においては、簡単のため、一部の構成要素のみを示してある。
【0019】
同図に示すように、本発明による付加システムが適用されるプロファイル研削盤100は、研削部110と、工作物保持部120と、投影部130とを備える。また、本発明による付加システム200は、撮像部210と、撮像部固定部220と、付加照明部230と、制御部240と、表示部250とを備える。
【0020】
研削部110は、工作物保持部120に保持された工作物1の研削加工を行うものであって、砥石111と砥石台112とを備える。砥石111は、高速回転して、工作物1を研削加工するための研削砥石(砥石車)である。砥石台112は、砥石111を回転可能に支持するものであって、研削加工時に、砥石111を回転させると共に、垂直方向(Z方向)に昇降(上下動)させることができるように構成されている。更に、砥石台112は、砥石111を、工作物1に対して、相対運動させることができるように、水平方向(X方向及びY方向)に平行移動(左右動及び前後動)できるように構成されている。
【0021】
工作物保持部120は、研削部110(砥石111)によって研削加工が施される工作物1を着脱可能に保持するものである。工作物保持部120は、工作物1を着脱可能に保持する保持治具121と、保持治具121が載置・固定されるテーブル部122とを備える。
【0022】
投影部130は、照明部131と、投影レンズ132と、投影スクリーン133とを備え、照明部131によって、工作物1の下から光を当てることで、工作物1の影を、投影レンズ132を通して投影スクリーン133に投影するものである。
【0023】
撮像部210は、工作物1付近の撮像を行うものであって、本実施形態においては、光路変更部211と、撮像レンズ212と、撮像カメラ213とによって構成されている。
【0024】
光路変更部211は、工作物1と投影レンズ132との間に配置されて、付加照明部230からの光の進行方向(進路)を変更するものであって、本実施形態においては、付加照明部230からの光の向きを直角に(90°)変える直角プリズムによって構成されている。
【0025】
撮像レンズ212は、光路変更部(直角プリズム)211から入射した光を集光して、工作物1の光学像を、所定の倍率(本実施形態においては、40倍)で、撮像カメラ213の撮像素子上に結像させるものあって、本実施形態においては、工作物1の光学像を正確な倍率で結像できるよう、テレセントリックレンズで構成されている。
【0026】
撮像カメラ213は、光路変更部211及び撮像レンズ212を介して、工作物1付近の撮像を行うものである。撮像カメラ213は、撮像レンズ212によって結像された工作物1の光学像を電気信号に変換し、更に、アナログ・デジタル(A/D)変換をして、画像データとして出力するデジタルカメラ(本実施形態においては、CMOSカメラ)によって構成される。撮像カメラ213は、工作物1付近の撮像を定期的に(例えば、1秒当たり18.5回)行い、撮像カメラ213によって撮像された静止画像は、定期的に、制御部240に送られる。本実施形態においては、撮像カメラ213によって撮像されるフレーム画像データは、5472ピクセル×3648ピクセルの大きさで、各ピクセルは8ビット(256階調)の濃淡データ(濃度値)となっている。撮像カメラ213と制御部240とは、例えば、USB3.0インタフェースによって接続されており、撮像カメラ213によって撮像された画像データは、USB3.0インタフェースを介して、制御部240に送られる。
【0027】
撮像部固定部220は、撮像部210がテーブル部122から所定の高さに位置するように、撮像部210を支持・固定するものである。撮像部固定部220は、撮像部210の先端部分(光路変更部211)の位置を調節できるよう、撮像部210をX方向、Y方向及びZ方向それぞれに移動できるように構成されている。撮像部固定部220の更なる詳細については後述する。
【0028】
付加照明部230は、撮像部210(撮像カメラ213)での撮像に適した明るさで工作物1を照明するもの(付加発光部)であって、本実施形態においては、発光ダイオード(LED)によって構成されている。付加照明部230は、所定の固定具(不図示)を介して、投影部130が備える照明部131の上に載置・固定される。投影用の照明部131は、一般に、撮像部120での撮像用の照明としては明るすぎるので、付加システム200においては、照明部131の代わりに、付加照明部230を使用するようにしている。
【0029】
制御部240は、撮像部210(撮像カメラ213)から送られてきた画像データに基づいて、表示部250に表示される画像を制御するものであり、例えば、通常のパーソナルコンピュータその他のコンピュータによって構成される。制御部240の更なる詳細については後述する。
【0030】
表示部250は、制御部240と接続されて、撮像部210(撮像カメラ213)によって撮像された画像や加工後の工作物の形状を示す図形等の表示を行うものであり、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OELD)によって構成される。本実施形態においては、高解像度の画像が表示できるよう、表示部250は、高解像度ディスプレイ(より具体的には、4Kディスプレイ)によって構成されている。また、図1に示すように、本実施形態においては、表示部250は、投影スクリーン133を覆うように配置されて、所定の固定具(不図示)によって、投影スクリーン133に固定される。
【0031】
次に、撮像部固定部220の詳細について説明する。
【0032】
図2は、撮像部固定部220の構成を説明するための図である。同図(a)は左側面図を示し、同図(b)は正面図を示す。
【0033】
同図に示すように、撮像部固定部220は、第一ベース部221と、第一リニアガイド222と、第一可動部223と、第二ベース部224と、第二リニアガイド225と、第二可動部226と、第三ベース部227と、第三リニアガイド228と、第三可動部229とを備える。なお、簡単のため、同図(b)においては、第二ベース部224、第二可動部226、第三ベース部227及び第三可動部229の図示を省略している。
【0034】
第一ベース部221は、撮像部固定部220のベースとなる平板状の部材であって、テーブル部122上に載置されて、着脱可能にテーブル部122に固定されるものである。
【0035】
第一リニアガイド222は、第一可動部223の動きを一軸方向(X軸方向)に規制する直動案内機構を構成するものであって、レールとスライダ(キャリッジ)とを備え、レールが第一ベース部221の上面に固定されると共に、スライダが第一可動部223の底面に固定される。
【0036】
第一可動部223は、第一リニアガイド222のスライダに固定される平板状の部材であって、第一リニアガイド222に案内されて、そのレールの長手方向(X軸方向)に前後動(同図(a)における左右動)するものである。なお、簡単のため、同図では省略してあるが、撮像部固定部220は、第一可動部223を駆動するための駆動部(本実施形態においては、送りねじ及び送りねじを回転させるためのハンドル)を備えており、当該駆動部(ハンドル)を適宜操作することで、第一可動部223の(X軸上での)位置を調節することができるように構成されている。
【0037】
第二ベース部224は、第一可動部223上に立設される平板状の部材であって、第一可動部223と一体となって移動するものである。
【0038】
第二リニアガイド225は、第二可動部226の動きを一軸方向(Z軸方向)に規制する直動案内機構を構成するものであって、レールとスライダ(キャリッジ)とを備え、レールが第二ベース部224の一方の面(同図(a)における右面)に固定されると共に、スライダが第二可動部226の一方の面(同図(a)における左面)に固定される。
【0039】
第二可動部226は、第二リニアガイド225のスライダに固定される平板状の部材であって、第二リニアガイド225に案内されて、そのレールの長手方向(Z軸方向)に前後動(同図における上下動)するものである。なお、簡単のため、同図では省略してあるが、撮像部固定部220は、第二可動部226を駆動するための駆動部(本実施形態においては、送りねじ及び送りねじを回転させるためのハンドル)を備えており、当該駆動部(ハンドル)を適宜操作することで、第二可動部226の(Z軸上での)位置を調節することができるように構成されている。
【0040】
第三ベース部227は、第二可動部226の上方に配置される平板状の部材であって、第二可動部226と一体となって移動するものである。
【0041】
第三リニアガイド228は、第三可動部229の動きを一軸方向(Y軸方向)に規制する直動案内機構を構成するものであって、レールとスライダ(キャリッジ)とを備え、レールが第三ベース部227の一方の面(同図(a)における右面)に固定されると共に、スライダが第三可動部229の一方に面(同図(a)における左面)に固定される。
【0042】
第三可動部229は、第三リニアガイド228のスライダに固定される平板状の部材であって、第三リニアガイド228に案内されて、そのレールの長手方向(Y軸方向)に前後動(同図(b)における左右動)するものである。なお、簡単のため、同図では省略してあるが、撮像部固定部220は、第三可動部229を駆動するための駆動部(本実施形態においては、送りねじ及び送りねじを回転させるためのハンドル)を備えており、当該駆動部(ハンドル)を適宜操作することで、第三可動部229の(Y軸上での)位置を調節することができるように構成されている。
【0043】
また、第三可動部229には、撮像部210が取り付けられており、撮像部210は、第三可動部229と一体となって移動することになる。
【0044】
撮像部固定部220は、以上のような構成を有しているので、第一可動部223、第二可動部226及び第三可動部229それぞれの位置を適宜調節することにより、工作物1に対する撮像部210(光路変更部211)の位置を調節することが可能となっている。
【0045】
次に、制御部240の詳細について説明する。
【0046】
図3は、制御部240のハードウェア構成例を説明するための図である。
【0047】
同図に示すように、制御部240は、CPU241と、ROM242と、RAM243と、ハードディスクインタフェース部244と、ハードディスク装置245と、USBインタフェース部246と、入力装置247と、表示制御部248とを備える。
【0048】
CPU241、ROM242、RAM243、ハードディスクインタフェース部244、USBインタフェース部246及び表示制御部248は、それぞれ、バス249に接続されている。また、ハードディスクインタフェース部244には、ハードディスク装置245が接続されている。また、USBインタフェース部246には、入力装置247が接続されると共に、撮像カメラ213が接続される。また、表示制御部248には、表示部250が接続される。
【0049】
CPU241は、ROM242やRAM243に格納されたプログラムを実行することで、制御部240が提供する各種機能を実現する中央処理装置である。
【0050】
ROM242は、CPU241が利用するプログラムやデータを記憶する読み出し専用の記憶装置(メモリ)である。RAM243は、CPU141が利用するプログラムやデータを一時的に記憶する読み書き可能な記憶装置(メモリ)である。
【0051】
ハードディスクインタフェース部244は、ハードディスク装置245とバス249との間のデータのやり取りを制御するものである。ハードディスク装置245は、CPU241が利用する各種プログラム(OS及びアプリケーション等)や各種データを格納する補助記録装置である。
【0052】
USBインタフェース部246は、USBインタフェース部246に接続された外部機器(本実施形態では、入力装置247及び撮像カメラ213)とバス249との間のデータのやり取りを制御するものである。
【0053】
入力装置247は、ユーザの指示等を入力するためのもので、例えば、キーボードと、マウスその他のポインティングデバイスとによって構成される。本実施形態においては、入力装置247は、キーボードと、ホイール付きのマウスとによって構成されている。
【0054】
表示制御部248は、CPU241の指示に従って、ユーザの指示等を入力するための各種メニュー画像や、撮像カメラ213によって撮像された画像等を、表示部250に表示させるものである。表示制御部248は、例えば、表示部250に表示される表示データが格納されるビデオ・メモリと、ビデオ・メモリに対して図形の描画等を行う描画用LSI等によって構成される。
【0055】
図4は、制御部240の機能構成(ソフトウェア構成)を説明するための図である。
【0056】
同図に示すように、制御部240は、撮像データ受信部410と、画像回転部420と、工作物図形描画部430と、画像拡大・縮小部440と、表示処理部450とを備える。各部410~450は、基本的に、CPU241が、RAM243上にロードされたプログラムを実行することによって実現される。
【0057】
撮像データ受信部410は、撮像カメラ213から定期的に送られてくる撮像データを受信するためのものである。
【0058】
画像回転部420は、ユーザからの指示に応じて、撮像データ受信部410によって受信された撮像データを、指定された角度だけ回転させるものである。
【0059】
工作物図形描画部430は、ユーザからの指示に応じて、画像回転部420によって必要な処理がされた撮像データに対して、加工後の工作物(製品)の形状を示す図形(工作物図形)を、指定された描画位置に描画するものである。描画される図形の形状データ(例えば、加工後の工作物の形状(輪郭)を構成する要素(円弧又は線分)それぞれについての情報)については、例えば、CADソフトウェア等を利用して別途作成されるDXF形式のファイル(DXFファイル)に基づいて作成される。DXFファイルは、例えば、USBインタフェース部246に接続されたUSBメモリを介して、ハードディスク装置245に予め格納されており、ユーザが工作物図形の表示を指示した際に、ハードディスク装置245から読み出されて使用される。
【0060】
画像拡大・縮小部440は、ユーザから指示に応じて、工作物図形描画部430によって必要な処理がされた撮像データを、指定された倍率で拡大・縮小するものである。なお、本実施形態においては、画像拡大・縮小部440は、拡大・縮小する際に、表示部250における撮像画像を表示するための領域(画像表示領域)に対応するサイズ(本実施形態においては、3472ピクセル×2064ピクセル)への変換も併せて行う。すなわち、画像拡大・縮小部440は、画像表示領域に対応するサイズの画像データ(表示用画像データ)を表示処理部450に対して出力する。また、本実施形態においては、拡大する場合、拡大対象部分の指定は、拡大対象領域の中心(拡大中心)をユーザが指定することでことで行われる。
【0061】
表示処理部450は、画像拡大・縮小部440によって必要な処理がされた撮像データを、表示部250に表示させるものである。表示処理部450は、画像拡大・縮小部440から表示用画像データを受け取ると、当該表示用画像データを、表示制御部248が備えるビデオ・メモリの所定領域(画像表示領域に対応する領域)に書き込み、表示部250の画像表示領域に表示させる。
【0062】
図5は、制御部240における画像処理の流れを説明するためのフローチャートである。また、図6図8は、制御部240における画像処理の途中経過を説明するための図である。
【0063】
制御部240の機能を実現するアプリケーション(付加システム用アプリケーション)が起動されると、制御部240は、まず、撮像カメラ213に対して、撮像開始を指示する(S1)。制御部240から撮像開始が指示されると、撮像カメラ213は、撮像を開始し、撮像された画像データ(撮像データ)を定期的に、制御部240に対して送信する。
【0064】
撮像カメラ213から撮像データが送信されてくると、撮像データ受信部410が受信し(S2)、受信した撮像データを処理対象画像データとする。
【0065】
図6(a)は、撮像データの例を示している。同図(a)に示すように、本実施形態における撮像データ610のサイズは、5472ピクセル×3648ピクセルとなっており、同図(a)に示した例では、撮像データ610の中央に、矩形状の工作物の画像601が、撮像データ610の縦方向及び横方向に対して傾いた状態で写っている。
【0066】
次に、撮像画像の回転を行うか否かを判別する(S3)。すなわち、ユーザによって撮像画像の回転角度が指定されているか否かを判別する。判別の結果、撮像画像の回転角度が指定されている場合は(S3:Yes)、画像回転部420が、処理対象画像データを、指定された角度だけ回転させる(S4)。一方、撮像画像の回転角度が指定されていない場合は(S3:No)、処理対象画像データを回転させることなく、そのまま次の処理に移行する。
【0067】
図6(b)は、同図(a)に示した撮像データ(処理対象画像データ)610を所定角度(ユーザによって指定された回転角度)だけ回転させた場合の例を示している。撮像データ(処理対象画像データ)610を所定角度だけ回転させた結果、同図(b)に示すように、矩形状の工作物画像601は、各辺が、処理対象画像データ620の縦方向及び横方向に対して平行になった状態で表示されるようになっている。
【0068】
次に、工作物図形の表示を行うか否かを判別する(S5)。すなわち、ユーザによって、工作物図形の表示が指示済か否かを判別する。判別の結果、ユーザによって、工作物図形の表示が既に指示済であった場合は(S5:Yes)、工作物図形描画部430が、処理対象画像データに対して、指定された描画位置に、工作物図形の描画を行う(S6)。一方、ユーザによって、工作物図形の表示が未だ指示されていない場合は(S5:No)、処理対象画像データに対して、工作物図形の描画を行うことなく、そのまま次の処理に移行する。
【0069】
図7(a)は、図6(b)に示した処理対象画像データ620に対して、工作物図形を描画した場合の例を示している。図7(a)に示すように、処理対象画像データ710においては、工作物画像601の左斜め上に工作物図形701が表示されている。なお、本例においては、わかりやすいように、工作物画像601と工作物図形701とが重ならないように(初期描画位置を設定)しているが、初期描画位置を他の位置(例えば、処理対象画像データの中央)に設定するようにしてもよい。なお、本実施形態においては、工作物図形の表示が指示された後の工作物図形の描画位置については、ユーザが(初期描画位置から)変更することができるように構成されている。描画位置の変更方法については後述する。
【0070】
次に、処理対象画像データの拡大・縮小処理を行う(S7)。すなわち、画像拡大・縮小部440が、ユーザによって指定された倍率で処理対象画像データの拡大・縮小処理を行う。当該拡大・縮小処理においては、処理後の画像データ(表示用画像データ)のサイズが、表示部250における画像表示領域と同じサイズとなるように、拡大・縮小処理が行われる。本実施形態においては、拡大する場合は、1倍(等倍)、2倍、4倍、8倍及び16倍のいずれかの倍率で拡大できるように構成されている。また、縮小する場合は、撮像データのほぼ全域が画像表示領域に表示されるような倍率(撮像データに対する画像表示領域の横幅比)で縮小できるように構成されている。なお、撮像データは、撮像レンズ212の倍率(本実施形態においては、40倍)で拡大されているので、実際の倍率は、上記倍率(1~16倍等)に、撮像レンズ212の倍率をかけた値(本実施形態においては、40~640倍等)となる。
【0071】
図7(b)は、同図(a)に示した処理対象画像データ710を、表示部250の画像表示領域のサイズに合わせて縮小した場合の例を示している。この場合、撮像データのほぼ全体が画像表示領域に表示されるように、撮像データに対する画像表示領域の横幅比(本実施形態においては、3472/5472)倍の倍率で縮小されて、同図(b)に示すように、画像表示領域と同じサイズを有する表示用画像データ720とされる。なお、本実施形態においては、撮像データと画像表示領域とではアスペクト比が異なっているので、縮小時は、撮像データの上辺部及び下辺部に対応する部分については、画像表示領域からはみ出ることとなり、表示されないことになる。
【0072】
図8は、図7(a)に示した処理対象画像データ710を、1倍に拡大(等倍表示)する場合の例を示している。この場合、図8(a)に示すように、処理対象画像データ710の中心を基準(中心)として、画像表示領域と同じサイズ(本実施形態においては、3472ピクセル×2064ピクセル)を有する領域811内の画像データが切り出されて、同図(b)に示すように、画像表示領域と同じサイズを有する表示用画像データ820とされる。
【0073】
図9は、図7(a)に示した処理対象画像データ710を、2倍に拡大する場合の例を示している。この場合、図9(a)に示すように、ユーザが指定した位置(拡大中心)901を中心として、画像表示領域の1/2のサイズ(本実施形態においては、1736ピクセル×1032ピクセル)を有する領域911内の画像データが切り出され、切り出された画像データが2倍に拡大されて、同図(b)に示すように、画像表示領域と同じサイズを有する表示用画像データ920とされる。本実施形態においては、拡大中心の位置は、拡大指示時(倍率選択時)のマウスカーソルの位置によって指定される。
【0074】
なお、4、8、16倍に拡大する場合も同様に、ユーザが指定した位置(拡大中心)を中心として、画像表示領域の1/4、1/8、1/16のサイズを有する領域内の画像データが切り出されて、それぞれ4倍、8倍、16倍に拡大されて、表示用画像データとされることになる。
【0075】
以上のようにして、拡大・縮小処理が終了すると、次に、表示用画像データの表示処理が行われる(S8)。すなわち、表示処理部450が、表示用画像データを、表示制御部248が備えるビデオ・メモリの所定領域(画像表示領域に対応する領域)に書き込み、表示部250の画像表示領域に表示させる。
【0076】
表示用画像データの表示処理が終了したら、再度、撮像カメラ213から送信されてきた撮像データを撮像データ受信部410が受信し(S2)、受信した撮像データを新たな処理対象画像データとした上で、上述した処理S3~S8が繰り返される。
【0077】
以上のような処理を行うことにより、ユーザの指示に応じて、表示部250の画面上において、回転された工作物画像の表示や工作物図形の表示や表示画像の拡大・縮小等が行われることになる。
【0078】
次に、付加システム200が付加されたプロファイル研削盤100の使用方法について説明する。
【0079】
まず、加工対象となる工作物1を保持治具121に装着した上で、制御部240を起動する。すなわち、制御部240を構成するコンピュータにおいて、制御部240の機能を実現する付加システム用アプリケーションを起動する。付加システム用アプリケーションが起動されると、撮像カメラ213に対して撮像開始が指示され、表示部250の画像表示領域には、撮像カメラ213によって撮像された画像が表示されるようになる。
【0080】
図10は、付加システム用アプリケーションが表示部250に表示する画面例を示す図である。同図(a)は、付加システム用アプリケーション起動直後の状態例を示している。
【0081】
同図(a)に示すように、本実施形態においては、表示部250の表示可能領域1010のサイズ(ディプレイ・サイズ)は、3840ピクセル×2160ピクセル(4Kサイズ)となっており、付加システム用アプリケーションは、表示可能領域1010の中央左よりに、撮像画像表示用の領域(画像表示領域)1011を設けて、当該画像表示領域1011に、撮像カメラ213によって撮像された画像(表示用画像データ)を表示させる。また、画像表示領域1011の右側には、アプリケーションを利用する際に必要となる各種メニューや各種情報を表示するための領域(メニュー表示領域)1012が設けられている。
【0082】
同図(a)に示すように、本例では、画像表示領域1011の左上の領域に工作物1の画像1001が表示されている。なお、同図に示した例は、撮像データのほぼ全体が画像表示領域1011に表示されるように、撮像データに対する画像表示領域の横幅比(3472/5472)倍の倍率で撮像データを縮小した場合を示している。
【0083】
次に、工作物1と撮像部210との位置合わせを行う。すなわち、表示部250に表示される工作物1の画像1001を見ながら、撮像部固定部220の各駆動部を操作することで、光路変更部211の位置を調整し、画像表示領域1011内の所定の位置(例えば、画像表示領域1011の中心)に工作物画像1001が表示されるようにする。同様に、表示部250に表示される工作物画像1001を見ながら、撮像部固定部220の駆動部を操作することで、光路変更部211の位置を調整し、ピントがあった状態で工作物画像1001が表示されるようにする。
【0084】
図10(b)は、工作物1と撮像部210との位置合わせを行った後の状態例を示している。同図(b)に示すように、本例では、工作物1と撮像部210との位置合わせを行った結果、画像表示領域1011の中心に工作物画像1001が表示されるようになっている。
【0085】
次に、加工後の工作物の形状データが記録されたDXFファイルの読み込みが行われる。例えば、ハードディスク装置245に予め格納されているDXFファイルの読み込みがユーザによって指示されると、付加システム用アプリケーションは、ハードディスク装置245から当該DXFファイルを読み込み、読み込んだDXFファイルに記録されてる形状データに基づいて、加工後の工作物の形状を示す図形(工作物図形)を生成し、表示部250に表示させる。工作物図形の表示位置については、初期状態(DXFファイルの読み込み直後の状態)においては、予め決められた位置(例えば、画像表示領域の中央)となる。また、工作物図形は、工作物の画像と寸法が一致するように、撮像レンズ212の倍率(本実施形態においては、40倍)に応じたサイズに拡大されたものが表示される。
【0086】
図11は、付加システム用アプリケーションが表示部250に工作物図形を表示した状態例を示す図である。同図(a)は、DXFファイルを読み込んだ直後の状態例を示しており、本例においては、図7(a)と同様に、工作物画像1101の左斜め上に工作物図形1102が表示されている。なお、同図は、ユーザの指示により、撮像データを1倍に拡大した場合(等倍表示を選択した場合)の例を示している。本実施形態においては、付加システム用アプリケーションは、表示倍率を変更するためのモード(表示倍率選択モード)を有しており、当該モードに設定した上で、入力装置247を構成するマウスのホイールを操作すると、ホイールの操作方向及び操作量に応じて、表示倍率を変更(縮小(全体)表示、等倍表示、2倍表示、4倍表示、8倍表示、16倍表示のいずれかを選択)できるように構成されているので、ユーザはマウスのホイールを適宜操作することで、各作業に適した表示倍率への切替を適宜行って作業を進める。なお、2倍~16倍表示を選択した際は、選択時点でのマウスカーソルの位置が、拡大対象領域の中心(拡大中心)とされる。
【0087】
付加システム200が付加されたプロファイル研削盤100においては、表示部250において、工作物1の画像の上に加工後の工作物(製品)の形状を示す工作物図形を重ねて表示した上で、表示部250に表示された工作物図形に倣うように、研削加工が行われる。精密な研削加工を実現するためには、工作物の画像と工作物図形とが所望の位置関係で重なるようにする必要がある。
【0088】
そこで、次に、表示された工作物図形と工作物の画像との位置合わせ及び傾き合わせを行う。
【0089】
本実施形態においては、付加システム用アプリケーションは、工作物図形を移動させるためのモード(図形移動モード)を有しており、当該モードに設定した上で、入力装置247を構成するキーボードの矢印キーを操作すると、矢印キーの操作量に応じて、工作物図形の表示位置(描画位置)を左右方向(X軸方向)及び上下方向(Y軸方向)それぞれに移動させることができるように構成されているので、ユーザはキーボードの矢印キーを適宜操作することで、図11(b)に示すように、工作物画像1101と工作物図形1102とが重なるようにすることできる。但し、本例においては、工作物画像1101は、少し傾いた状態で表示されているので、同図(b)に示すように、工作物画像1101と工作物図形1102とは対応する部分(例えば、上辺)が平行になっていない状態で表示されることになる。
【0090】
前述したように、付加システム200が付加されたプロファイル研削盤100においては、表示部250に、工作物画像と工作物図形とを重ねて表示した上で研削加工を行うことになるが、精密な研削加工を実現するためには、工作物画像1101と工作物図形1102との対応する部分(例えば、上辺)を高い精度(例えば、1μm以下の精度)で平行にする必要がある。そのため、撮像部210を設置する際、表示部250の表示画像を確認しながら、撮像部210の設置位置(傾き)等を調節することになるが、高い精度(例えば、1μm以下の精度)の平行度の実現は極めて困難である。また、一旦、所望の精度での平行度が実現できた場合であっても、環境温度の日内変化等によって、数μm程度のずれが発生する可能性がある。そのため、付加システム200においては、撮像カメラ213によって撮像された画像を微小単位(例えば、0.00001度単位)で回転させることができるようになっており、ユーザが、工作物画像と工作物図形との平行出しを容易に行えるようになっている。
【0091】
本実施形態においては、付加システム用アプリケーションは、撮像画像を回転させるためのモード(画像回転モード)を有しており、当該モードに設定した上で、入力装置247を構成するキーボードの矢印キー(例えば、「↑キー」と「↓キー」)を操作すると、矢印キーの操作量に応じて、工作物画像を正逆方向に回転させることができるように構成されているので、ユーザはキーボードの矢印キーを適宜操作することで、工作物の画像と工作物図形の傾きを高精度で一致させることができる。
【0092】
図12は、工作物図形と工作物画像との傾き合わせのやり方を説明するための図である。同図(a)は、傾き合わせ前の状態に示し、同図(b)は、傾き合わせ後の状態を示している。なお、同図は、ユーザの指示により、撮像データを2倍に拡大した場合(2倍表示を選択した場合)の例を示している。このように工作物図形及び工作物画像を適当な大きさに拡大して表示することにより、両者の傾き合わせを精度よく行うことが可能となる。
【0093】
同図(a)に示した状態において、ユーザは、付加システム用アプリケーションの動作モードを画像回転モードに設定し、工作物画像1201と工作物図形1202を参照しながら、キーボードの矢印キーを適宜操作することで、同図(b)に示すように、工作物画像1201と工作物図形1202の傾きを高精度で一致させることができる。
【0094】
なお、位置合わせ及び傾き合わせについては、必要に応じて、工作物の画像と工作物図形とが所望の位置関係で重なり合うようになるまで、交互に行われる。また、位置合わせ及び傾き合わせの際には、必要に応じて、作業に適した表示倍率への変更が適宜行われる。
【0095】
以上のようにして、工作物の画像と工作物図形との位置合わせ及び傾き合わせが完了すると、研削加工の準備が整ったことになるので、次に、研削加工が行われる。
【0096】
例えば、プロファイル研削盤100がNC研削盤であった場合は、ユーザは、表示部250に表示された工作物図形を参照しながら、入力装置247を構成するマウスを使って、加工箇所(例えば、加工開始要素及び加工終了要素)を指定する。なお、この場合、制御部240(付加システム用アプリケーション)は、上述した機能以外に、NCデータ作成機能を備えているものとする。加工箇所の指定が完了すると、指定された加工箇所を加工するために必要な工具(砥石)の経路が作成され、更に、作成された工具経路に沿って、砥石を移動させるためのNCデータ(NCプログラム)が生成される。この際、ユーザが傾き合わせ時に指定した撮像データの回転角度を考慮して、NCデータの生成が行われることになる。生成されたNCデータは、NC研削盤のNC制御装置に適宜入力されて、研削加工が行われることになる。
【0097】
一方、手動で研削加工を行う場合は、ユーザは、表示部250に表示された工作物図形及び工作物画像を参照しながら、工作物の形状が工作物図形に倣うように研削加工を行うことになる。
【0098】
図13は、付加システム200が付加されたプロファイル研削盤100における研削加工のやり方を説明するための図である。同図(a)は研削加工前の状態を示し、同図(b)は研削加工後の状態を示す。
【0099】
同図(a)に示した状態において、工作物図形の輪郭からはみ出ている部分(ハッチングを付した部分)1301を研削加工により除去することで、同図(b)に示すように、工作物図形と同一形状を有する工作物(製品)が得られることになる。
【0100】
以上のようにして、工作物の画像と工作物図形とを所望の位置関係で精度よく重ねた状態で研削加工をすることで、精度の高い研削加工を行うことが可能となる。
【0101】
以上、詳細に説明したように、上述した付加システム200によれば、既存のプロファイル研削盤の機能を簡単に向上させることができる。
【0102】
また、付加システム200を構成する各構成要素については、着脱可能に構成されているので、元のプロファイル研削盤の状態に簡単に戻すことができる。例えば、元のプロファイル研削盤のメインテナンス時については、付加システム200を取り外すことで、元のプロファイル研削盤のメーカーによる保守作業を問題なく受けることができる。
【0103】
なお、当然のことながら、本発明の実施形態については、上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態においては、表示部250を、既存の投影スクリーン133に固定するようにしていたが、表示部250を制御部240の近くに適宜配置して使用するようにしてもよい。
【0104】
また、上述した実施形態においては、付加照明部230を、下部照明として、照明部131の上に載置・固定して、工作物1の下から光を当てるようにしていたが、上部照明としての付加照明部を、例えば、光路変更部211の両側面(図1(a)における正面側及び背面側)に搭載し、工作物1の上から光を当てるようにしてもよい。また、下部照明としての付加照明部と、上部照明としての付加照明部の両者を備えるようにしておいて、工作物の種類等に応じて、ユーザがいずれか一方を選択して使用できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 工作物
100 プロファイル研削盤
110 研削部
111 砥石
112 砥石台
120 工作物保持部
121 保持治具
122 テーブル部
130 投影部
131 照明部
132 投影レンズ
133 投影スクリーン
200 付加システム
210 撮像部
211 光路変更部
212 撮像レンズ
213 撮像カメラ
220 撮像部固定部
221 第一ベース部
222 第一リニアガイド
223 第一可動部
224 第二ベース部
225 第二リニアガイド
226 第二可動部
227 第三ベース部
228 第三リニアガイド
229 第三可動部
230 付加照明部
240 制御部
241 CPU
242 ROM
243 RAM
244 ハードディスクインタフェース部
245 ハードディスク装置
246 USBインタフェース部
247 入力装置
248 表示制御部
249 バス
250 表示部
410 撮像データ受信部
420 画像回転部
430 工作物図形描画部
440 画像拡大・縮小部
450 表示処理部
601 工作物画像
610 撮像データ
620 処理対象画像データ
701 工作物図形
710 処理対象画像データ
720,820,920 表示用画像データ
811,911 領域
901 拡大中心
1001,1101,1201 工作物画像
1010 表示可能領域
1011 画像表示領域
1012 メニュー表示領域
1102,1202 工作物図形
1301 研削加工部分(除去部分)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13