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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072385
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】防災機器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240521BHJP
   G08B 17/06 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G08B17/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183152
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】山下 泉
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085CA15
5C085CA25
5C085FA11
5G405AA01
5G405CA22
5G405CA35
5G405FA06
(57)【要約】
【課題】機器単体で使用期限あるいは交換時期を容易に認知させる機能を備えた防災機器を得る。
【解決手段】火災監視現場に設置された状態で視認可能な本体部分を有し、本体部分には、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報が塗装処理されており、例えば、本体部分は、ブラックライトが照射されることで発光する蛍光塗料により交換情報が塗装処理されており、外部環境の変化としてブラックライトが照射されることで、交換情報を視認可能とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物または部屋もしくは建物の周辺である火災監視現場に設置される防災機器であって、前記火災監視現場に設置された状態で視認可能な本体部分を有し、
前記本体部分には、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報が塗装処理されている
防災機器。
【請求項2】
前記本体部分は、
ブラックライトが照射されることで発光する蛍光塗料により前記交換情報が塗装処理されており、
前記外部環境の変化として前記ブラックライトが照射されることで、発光により前記交換情報を視認可能とする
請求項1に記載の防災機器。
【請求項3】
前記本体部分は、
一定値以下の照度となることで発光する蓄光塗料により前記交換情報が塗装処理されており、
前記外部環境の変化として前記一定値以下の照度となることで、発光により前記交換情報を視認可能とする
請求項1に記載の防災機器。
【請求項4】
前記本体部分は、
フラッシュ撮影されることで情報が浮かび上がる専用インキを用いたシルクスクリーン印刷により前記交換情報が塗装処理されており、
前記外部環境の変化としてフラッシュ撮影されることで、撮影画像により前記交換情報を視認可能とする
請求項1に記載の防災機器。
【請求項5】
前記本体部分は、
使用年数が経過することで塗装色が変化する塗料により前記交換情報が塗装処理されており、
前記外部環境の変化として前記使用年数が経過することで、前記塗装色の変化により前記交換情報を視認可能とする
請求項1に記載の防災機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を認知させる機能を備えた防災機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視エリアにおいて火災が発生したことを検知するために、火災監視現場には種々の防災機器が設置されている。防災機器は、火災発生時に正常に働くことが重要であり、定期的に動作試験を実施することが義務づけられている。
【0003】
また、種々の防災機器は、故障等のトラブルが生じなくても、使用期限あるいは交換時期が定められている。従って、設備管理者や機器の使用者は、それぞれの防災機器に関して使用期限あるいは交換時期を把握しておく必要がある。
【0004】
このような観点から、防災機器の交換時期の把握を容易にする従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された警報システムは、複数の感知器と、各感知器と通信可能な制御装置とを備えている。さらに、制御装置は、受信部と出力部とを有している。
【0005】
受信部は、防災機器に相当する複数の感知器のそれぞれから、当該感知器が製造された年月を示す製造年月の情報と、当該感知器が設置された年月を示す設置年月の情報とを受信する。
【0006】
出力部は、受信部において受信した製造年月と設置年月のうちの少なくとも1つが通知期限に到達した場合に、メンテナンス時期と交換時期の少なくとも1つに関する通知を出力する。
【0007】
このような構成を備える特許文献1に係る警報システムでは、通信機能を利用して、制御装置において複数の感知器のメンテナンス時期あるいは交換時期を集中して管理し、通知期限に到達した場合には報知出力することで、メンテナンス時期あるいは交換時期を知らせる機能を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-133065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。特許文献1は、通信機能を利用して制御装置において複数の感知器の集中管理を行っている。すなわち、特許文献1では、制御装置と複数の感知器のそれぞれとの間で通信機能による情報伝達が行われることが必須の構成となっている。
【0010】
しかしながら、感知器によっては、制御装置に対して情報伝達を行うための通信機能を有さず、火災を感知した際に接点信号を出力する構成を備えたタイプの感知器もある。また、種々の防災機器の中には、機器単独で設置され、制御装置と接続されないものもある。
【0011】
従って、制御装置と情報伝達を行うための通信機能を備えていない防災機器に関しても、使用期限あるいは交換時期を容易に把握することができる機能を備えることが強く望まれる。特に、保守員、設備管理者にとっては、機器単体で使用期限あるいは交換時期を容易に報知する機能を備えた防災機器を使用することで、防災機器の交換作業を確実に適切な時期に実行することができるメリットがある。
【0012】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、機器単体で使用期限あるいは交換時期を容易に報知する機能を備えた防災機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る防災機器は、建物または部屋もしくは建物の周辺である火災監視現場に設置される防災機器であって、火災監視現場に設置された状態で視認可能な本体部分を有し、本体部分には、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報が塗装処理されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、機器単体で使用期限あるいは交換時期を容易に報知する機能を備えた防災機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施の形態1に係る防災機器の第1の実施例を示した説明図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る防災機器の第2の実施例を示した説明図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る防災機器の第3の実施例を示した説明図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る防災機器の第4の実施例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の防災機器の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る防災機器は、例えば、火災感知器、住宅用火災警報器等であり、火災監視現場である建物または部屋もしくは建物の周辺に設置された状態で視認可能な本体部分に対して、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報が塗装処理されていることを技術的特徴としており、意匠性を損なうことなしに、機器の使用者、保守員、設備管理者等に、交換情報を容易に提供することができる顕著な効果を実現できる。
【0017】
実施の形態1.
本開示に係る防災機器は、火災監視および報知設備の一部の機器として火災監視現場において使用されるものであり、使用期限あるいは交換時期が定められている機器を意味している。このような防災機器は、火災監視現場に設置された状態で視認可能な本体部分を有している。例えば、防災機器が天井に取り付けられた場合には、機器の側部あるいは底部が視認可能な本体部分に相当する。
【0018】
本開示に係る防災機器は、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報が本体部分に塗装処理されていることを特徴としている。そこで、この特徴を示す具体例について、図1図4を用いて詳細に説明する。なお、図1図4においては、防災機器の一例として、火災感知器を図示している。
【0019】
図1は、本開示の実施の形態1に係る防災機器の第1の実施例を示した説明図である。図1(A)は、防災機器1の本体部分10に対して、ブラックライトが照射されることで発光する蛍光塗料によって、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報が塗装処理された状態を示している。
【0020】
ブラックライトとは、紫外線を放射するライトのことであり、ブラックライトを照射することによって、紫外線に当たることで光る蛍光物質が塗布された場所を光らせることができる。
【0021】
具体的には、図1(A)では、使用期限あるいは交換時期を示す日付として「2030-10-01」という交換情報が、蛍光物質を含む蛍光塗料を用いて本体部分10に塗布された状態を、塗装処理時として例示している。なお、「2030-10-01」という交換情報は、ブラックライトが照射されていない状態では発光せずに目立たないが、図1(A)では、白抜き文字として表現している。
【0022】
一方、図1(B)は、設置された防災機器1に対してブラックライトが照射された結果、蛍光塗料によってあらかじめ塗装処理されていた「2030-10-01」という交換情報が報知可能な文字列として視認できる状態を、ブラックライト照射時として示している。
【0023】
すなわち、第1の実施例では、ブラックライトを照射するという行為が、外部環境の変化に相当し、その外部環境の変化に応じて本体部分10に塗装処理された交換情報が視認できる状態となる。
【0024】
従って、通常の設置状態では意匠性が損なわれず、必要に応じて、防災機器1の使用者などが本体部分10に向けてブラックライトを照射したときのみ、交換情報を報知可能とすることができる。
【0025】
次に、図2は、本開示の実施の形態1に係る防災機器1の第2の実施例を示した説明図である。図2(A)は、防災機器1の本体部分10に対して、一定値以下の照度となることで発光する蓄光塗料によって、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報が塗装処理された状態を示している。
【0026】
具体的には、図2(A)では、使用期限あるいは交換時期を示す日付として「2030-10-01」という交換情報が本体部分10に塗布された状態を、塗装処理時として例示している。なお、「2030-10-01」という交換情報は、照度が一定値以下に下がっていない状態では発光せずに目立たないが、図2(A)では、白抜き文字として表現している。
【0027】
一方、図2(B)は、設置された防災機器1の設置環境における照度が一定値以下となった結果、蓄光塗料によってあらかじめ塗装処理されていた「2030-10-01」という交換情報が報知可能な文字列として視認できる状態を、環境照度低下時として示している。
【0028】
すなわち、第2の実施例では、設置環境における照度が一定値以下になるという状態が、外部環境の変化に相当し、その外部環境の変化に応じて本体部分10に塗装処理された交換情報が視認できる状態となる。
【0029】
従って、通常の設置状態では意匠性が損なわれず、設置環境の照度が一定値以下となったときのみ、交換情報を報知可能とすることができる。
【0030】
次に、図3は、本開示の実施の形態1に係る防災機器1の第3の実施例を示した説明図である。図3(A)は、防災機器1の本体部分10に対して、フラッシュ撮影されることで情報が浮かび上がる専用インキを用いたシルクスクリーン印刷によって、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報が塗装処理された状態を示している。
【0031】
具体的には、図3(A)では、使用期限あるいは交換時期を示す日付として「2030-10-01」という交換情報が本体部分10にシルクスクリーン印刷により塗布された状態を、塗装処理時として例示している。なお、「2030-10-01」という交換情報は、フラッシュが当たらない状態では浮かび上がらずに目立たないが、図3(A)では、白抜き文字として表現している。
【0032】
一方、図3(B)は、設置された防災機器1の設置環境においてフラッシュ撮影が行われた結果、シルクスクリーン印刷によってあらかじめ塗装処理されていた「2030-10-01」という交換情報が報知可能な文字列として撮影画像において視認できる状態を、フラッシュ撮影画像として示している。
【0033】
すなわち、第3の実施例では、フラッシュを照射して撮影するという行為が、外部環境の変化に相当し、その外部環境の変化に応じて本体部分10に塗装処理された交換情報が、撮影画像において視認できる状態となる。
【0034】
従って、通常の設置状態では意匠性が損なわれず、防災機器1の使用者などが本体部分10を写すようにフラッシュ撮影を行ったときのみ、撮影画像において交換情報を報知可能とすることができる。
【0035】
特に、防災機器1の使用者、保守員あるいは設備管理者は、所持しているスマートフォンに装備されているカメラ機能を利用してフラッシュ撮影を行うことができ、撮影画像において交換情報を容易に認識することができる。
【0036】
次に、図4は、本開示の実施の形態1に係る防災機器1の第4の実施例を示した説明図である。図4(A)は、防災機器1の本体部分10に対して、使用年数が経過することで塗装色が変化する塗料によって本体部分10の全体が塗装処理された状態を示している。具体的には、図4(A)では、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報が、塗装色として表現されることとなる。
【0037】
なお、図4(A)では、本体部分10の全体を使用年数が経過することで塗装色が変化する塗料による塗装処理が施された状態を、塗装処理時として示しているが、先の図1図3と同様に、使用期限あるいは交換時期を示す日付として「2030-10-01」という交換情報を本体部分10に塗布し、使用年数の経過に応じて交換情報を浮き上がらせることも可能である。このような塗装により、使用年数が浅い状態では色が変わらずに目立たない状態となっている。
【0038】
また、図4(A)では、本体部分10の全体を使用年数が経過することで塗装色が変化する塗料による塗装処理が施された状態を示しているが、色の変化により意匠性が劣化することを抑制するためには、本体部分10の全体ではなく、特定の一部分のみを塗装処理することによっても、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報の役目を果たすことができる。
【0039】
一方、図4(B)は、防災機器1を設置してから5年が経過した結果、本体部分10の色が変化してきたことを視認できる状態を、5年経過時として示している。さらに、図4(C)は、防災機器1を設置してから10年が経過した結果、本体部分10の色がさらに変化してきたことを視認できる状態を、10年経過時として示している。
【0040】
すなわち、第4の実施例では、使用年数が経過していくという状態が、外部環境の変化に相当し、その外部環境の変化に応じて本体部分10に塗装処理された交換情報が、色の変化として視認できる状態となる。
【0041】
従って、通常の設置状態では意匠性が損なわれず、使用年数の経過に伴って交換情報を報知可能とすることができる。
【0042】
実施の形態1によれば、第1の実施例から第4の実施例として具体的に説明したように、外部環境の変化に応じて使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報を塗装処理する製造方法を採用することで、本実施の形態1に係る防災機器1を製造することができる。
【0043】
そして、このような製造方法を採用することにより、火災監視現場に設置された防災機器1に対して外部環境の変化が生じることで、使用期限あるいは交換時期を報知するための交換情報を、視認により容易に判断することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 防災機器、10 本体部分。
図1
図2
図3
図4