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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072421
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】メカニカルシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/34 20060101AFI20240521BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240521BHJP
【FI】
F16J15/34 H
G01K1/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183216
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 優記
(72)【発明者】
【氏名】福井 宏起
【テーマコード(参考)】
2F056
3J041
【Fターム(参考)】
2F056CL12
3J041AA01
3J041BD01
3J041DA01
3J041DA05
3J041DA20
(57)【要約】
【課題】フラッシング流体の状態を検出する種々のセンサを低コストで取り付けることができるメカニカルシールを提供する。
【解決手段】メカニカルシール1は、シールケース31と、静止密封環33と、回転密封環18と、を備える。シールケース31の周方向の所定箇所に、静止密封環33と回転密封環18との摺動部分18a,33aを冷却するフラッシング流体を機内領域Aに供給するための第1流路31bが形成されている。メカニカルシール1は、機内領域Aにおいてシールケース31に着脱可能に設けられ第1流路31bからのフラッシング流体を摺動部分18a,33aの周方向の複数箇所に向けて供給するための第2流路51を有するアダプタリング50と、アダプタリング50に取り付けられ、第2流路51から機内領域Aに供給されたフラッシング流体の状態を検出するセンサ50と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機器の回転軸を包囲して前記回転機器のケーシングに固定され、前記回転機器の機内領域と機外領域とを区画するための筒状のシールケースと、
前記シールケースに固定された静止密封環と、
前記回転軸に一体回転可能に設けられ、前記静止密封環に対して摺動する回転密封環と、を備え、
前記シールケースの周方向の所定箇所に、前記静止密封環と前記回転密封環との摺動部分を冷却するフラッシング流体を前記機内領域に供給するための第1流路が形成された、メカニカルシールであって、
前記機内領域において前記シールケースに着脱可能に設けられ、前記第1流路からの前記フラッシング流体を前記摺動部分の周方向の複数箇所に向けて供給するための第2流路を有するアダプタリングと、
前記アダプタリングに取り付けられ、前記第2流路から前記機内領域に供給された前記フラッシング流体の状態を検出するセンサと、を備えるメカニカルシール。
【請求項2】
前記第2流路は、
前記アダプタリングの外周に形成され、前記第1流路からの前記フラッシング流体を周方向に流す環状流路と、
前記環状流路の周方向の複数箇所から前記アダプタリングを径方向に貫通して形成され、前記環状流路から前記機内領域に前記フラッシング流体を供給する複数の供給流路と、を有し、
前記センサは、前記摺動部分を冷却した後の前記フラッシング流体の温度を検出する温度センサであり、
前記供給流路の径方向内側の開口は、前記摺動部分よりも前記機外領域側に位置し、
前記温度センサは、前記摺動部分よりも前記機内領域側に位置している、請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項3】
前記アダプタリングには、前記環状流路から径方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔に挿入される第1導体と、
前記第1導体の径方向内端部から前記アダプタリングの内周に沿って前記機内領域側に延びる第2導体と、をさらに備え、
前記温度センサは、前記第2導体の前記機内領域側の端部に電気的に接続されるとともに、前記アダプタリングの内周に取り付けられている、請求項2に記載のメカニカルシール。
【請求項4】
前記貫通孔の径方向内側の開口は、前記摺動部分よりも前記機内領域側に位置し、
前記環状流路を流れる前記フラッシング流体が前記貫通孔から前記機内領域に流入するのを抑制するシール部材をさらに備える請求項3に記載のメカニカルシール。
【請求項5】
前記第2導体は、前記第1導体とは別体であり、前記第1導体の径方向内端部に接触して電気的に接続されている、請求項3又は請求項4に記載のメカニカルシール。
【請求項6】
前記シールケースには、前記環状流路を介して前記貫通孔に連通するとともに、前記第1導体が挿入される挿入孔が形成されている、請求項3又は請求項4に記載のメカニカルシール。
【請求項7】
前記シールケースには、前記第1流路として使用可能な孔が、周方向に複数形成されており、
複数の前記孔のうちの1つが、前記第1流路とされ、
複数の前記孔のうちの他の少なくとも1つが、前記挿入孔とされている、請求項6に記載のメカニカルシール。
【請求項8】
前記挿入孔から前記貫通孔にわたって、前記第1導体を被覆する第1被覆部材をさらに備える請求項6に記載のメカニカルシール。
【請求項9】
前記第2導体を、前記機内領域に露出しないように被覆する第2被覆部材をさらに備える請求項3又は請求項4に記載のメカニカルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカニカルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
回転機器の内部の被密封流体をシールするものとして、例えば特許文献1に示すメカニカルシールが知られている。特許文献1のメカニカルシールは、シールケース(フランジ)と、このシールケースに設けられた静止密封環と、回転機器の回転軸に設けられて静止密封環に対して摺動する回転密封環と、を備えている。シールケースには、機内領域にフラッシング液を供給する入口と、温度センサが挿入して取り付けられるセンサ孔とが形成されている。フラッシング液は、静止密封環と回転密封環との摺動部分を冷却するために、前記入口から機内領域に供給される。センサ孔に挿入された温度センサは、機内領域のフラッシング液の温度を検出する。この検出温度により、メカニカルシールの異常等を把握できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-129937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のメカニカルシールでは、シールケースのセンサ孔の出口付近にセンサが螺合して取り付けられる。このため、温度センサの種類や大きさによっては、センサ孔に温度センサを螺合させることができない場合がある。この場合、シールケース全体を、温度センサを螺合できるセンサ孔が形成されたシールケースに取り替える必要があり、コストが増大する。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、フラッシング流体の状態を検出する種々のセンサを低コストで取り付けることができるメカニカルシールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示は、回転機器の回転軸を包囲して前記回転機器のケーシングに固定され、前記回転機器の機内領域と機外領域とを区画するための筒状のシールケースと、前記シールケースに固定された静止密封環と、前記回転軸に一体回転可能に設けられ、前記静止密封環に対して摺動する回転密封環と、を備え、前記シールケースの周方向の所定箇所に、前記静止密封環と前記回転密封環との摺動部分を冷却するフラッシング流体を前記機内領域に供給するための第1流路が形成された、メカニカルシールであって、前記機内領域において前記シールケースに着脱可能に設けられ、前記第1流路からの前記フラッシング流体を前記摺動部分の周方向の複数箇所に向けて供給するための第2流路を有するアダプタリングと、前記アダプタリングに取り付けられ、前記第2流路から前記機内領域に供給された前記フラッシング流体の状態を検出するセンサと、を備えるメカニカルシールである。
【0007】
本開示のメカニカルシールによれば、機内領域のフラッシング流体の状態を検出するセンサは、シールケースに着脱可能に設けられたアダプタリングに取り付けられる。このため、種類や大きさが異なるセンサに対応したアダプタリングに取り替えることで、種々のセンサをアダプタリングを介してシールケースに取り付けることができる。これにより、シールケース全体を取り替えることなく、種々のセンサをシールケースに取り付けることができる。また、第1流路からのフラッシング流体を摺動部分の周方向の複数箇所に向けて供給するためのアダプタリングが、センサを取り付ける部材として用いられる。このため、センサを取り付ける専用の部材が不要となる。以上より、種々のセンサを低コストでシールケースに取り付けることができる。
【0008】
(2)前記(1)のメカニカルシールにおいて、前記第2流路は、前記アダプタリングの外周に形成され、前記第1流路からの前記フラッシング流体を周方向に流す環状流路と、前記環状流路の周方向の複数箇所から前記アダプタリングを径方向に貫通して形成され、前記環状流路から前記機内領域に前記フラッシング流体を供給する複数の供給流路と、を有し、前記センサは、前記摺動部分を冷却した後の前記フラッシング流体の温度を検出する温度センサであり、前記供給流路の径方向内側の開口は、前記摺動部分よりも前記機外領域側に位置し、前記温度センサは、前記摺動部分よりも前記機内領域側に位置しているのが好ましい。
この場合、フラッシング流体は、アダプタリングの供給流路の開口から、静止密封環と回転密封環との摺動部分よりも機外領域側に供給される。このため、機内領域では、前記摺動部分よりも機外領域側を冷却前のフラッシング流体が占め、前記摺動部分よりも機内領域側を冷却後のフラッシング流体が占める。したがって、摺動部分よりも機内領域側に位置する温度センサにより、冷却後のフラッシング流体の温度を正確に検出することができる。
【0009】
(3)前記(2)のメカニカルシールにおいて、前記アダプタリングには、前記環状流路から径方向に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔に挿入される第1導体と、前記第1導体の径方向内端部から前記アダプタリングの内周に沿って前記機内領域側に延びる第2導体と、をさらに備え、前記温度センサは、前記第2導体の前記機内領域側の端部に電気的に接続されるとともに、前記アダプタリングの内周に取り付けられているのが好ましい。
この場合、アダプタリングの貫通孔に挿入された第1導体の径方向内端部には、機内領域側に延びる第2導体を介して温度センサが電気的に接続される。このため、第2導体の機内領域側に延びる長さを調整することで、温度センサをアダプタリングの所望の位置に取り付けることができる。したがって、メカニカルシールの種類等によって静止密封環と回転密封環との摺動部分の位置が異なる場合であっても、温度センサを前記摺動部分よりも機内領域側に適切に配置することができる。
【0010】
(4)前記(3)のメカニカルシールにおいて、前記貫通孔の径方向内側の開口は、前記摺動部分よりも前記機内領域側に位置し、前記環状流路を流れる前記フラッシング流体が前記貫通孔から前記機内領域に流入するのを抑制するシール部材をさらに備えるのが好ましい。
この場合、アダプタリングの環状流路を流れる冷却前のフラッシング流体が、第1導体が挿入された貫通孔から機内領域に流入するのを、シール部材により抑制することができる。これにより、機内領域において冷却後のフラッシング流体に冷却前のフラッシング流体が混入するのを抑制することができる。その結果、温度センサにより冷却後のフラッシング流体の温度をさらに正確に検出することができる。
【0011】
(5)前記(3)又は(4)のメカニカルシールにおいて、前記第2導体は、前記第1導体とは別体であり、前記第1導体の径方向内端部に接触して電気的に接続されているのが好ましい。
この場合、第1導体から第2導体を分離することができるので、アダプタリングの取り替え作業を容易に行うことができる。
【0012】
(6)前記(3)から(5)のいずれかのメカニカルシールにおいて、前記シールケースには、前記環状流路を介して前記貫通孔に連通するとともに、前記第1導体が挿入される挿入孔が形成されているのが好ましい。
この場合、第1導体を、シールケースの挿入孔から、アダプタリングの環状流路を介して貫通孔に容易に挿入することができる。
【0013】
(7)前記(6)のメカニカルシールにおいて、前記シールケースには、前記第1流路として使用可能な孔が、周方向に複数形成されており、複数の前記孔のうちの1つが、前記第1流路とされ、複数の前記孔のうちの他の少なくとも1つが、前記挿入孔とされているのが好ましい。
この場合、シールケースにおいて、第1流路として使用可能な複数の孔のうち、第1流路として使用しない孔を、第1導体を挿入する挿入孔として使用することができる。これにより、シールケースに専用の挿入孔を形成する必要がないので、種々のセンサをさらに低コストでシールケースに取り付けることができる。
【0014】
(8)前記(6)又は(7)のメカニカルシールは、前記挿入孔から前記貫通孔にわたって、前記第1導体を被覆する第1被覆部材をさらに備えるのが好ましい。
シールケースにおいて第1導体が挿入される挿入孔は、アダプタリングの環状流路と連通しているので、環状流路を流れるフラッシング流体は挿入孔にも流れ込む。これに対して、挿入孔から貫通孔にわたって挿入される第1導体は、第1被覆部材により被覆されるので、第1導体がフラッシング流体に触れるのを抑制することができる。これにより、第1導体がフラッシング流体に触れて腐食するのを抑制することができる。
【0015】
(9)前記(3)から(8)のいずれかのメカニカルシールは、前記第2導体を、前記機内領域に露出しないように被覆する第2被覆部材をさらに備えるのが好ましい。
この場合、第2導体は、第2被覆部材により機内領域に露出しないように被覆されるので、第2導体が機内領域のフラッシング流体に触れるのを抑制することができる。これにより、第2導体がフラッシング流体に触れて腐食するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示のメカニカルシールによれば、フラッシング流体の状態を検出する種々のセンサを低コストで取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の第1実施形態に係るメカニカルシールの断面図である。
図2】アダプタリングとその周辺を示す拡大断面図である。
図3図2の要部拡大断面図である。
図4】本開示の第2実施形態に係るメカニカルシールを示す断面図である。
図5図4の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本開示の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本開示の第1実施形態に係るメカニカルシール1の断面図である。図1において、メカニカルシール1は、ポンプ等の回転機器70に用いられ、回転機器70の内部において被密封流体を密封するものである。メカニカルシール1は、回転機器70の回転軸71と、回転軸71を包囲しているケーシング72との間において、回転軸71の軸方向(以下、単に「軸方向」という)に沿って配置されている。
【0019】
本実施形態のメカニカルシール1は、回転軸71に一体回転可能に設けられた回転側ユニット2と、ケーシング72に設けられた静止側ユニット3と、を備えている。なお、本明細書では、便宜上、図1の右側を軸方向一方側といい、図1の左側を軸方向他方側という(図2図5についても同様)。
【0020】
<回転側ユニット>
回転側ユニット2は、スリーブ11、ストッパリング12、第1リテーナ13、ドライブピン14、ドライブカラー15、スプリング16、第2リテーナ17、及び回転密封環18を備えている。
【0021】
スリーブ11は、円筒状に形成され、回転軸71の外周に嵌合されている。スリーブ11の軸方向他方側の外周には、ストッパリング12が嵌合されている。ストッパリング12には、その周方向において複数のセットスクリュー19が径方向に締め込まれている。これにより、スリーブ11は、回転軸71に固定されている。スリーブ11の軸方向一方側の内周面と、回転軸71の外周面との間は、Oリング20によりシール(二次シール)されている。
【0022】
第1リテーナ13は、スプリングリテーナである。第1リテーナ13は、円環状に形成され、スリーブ11の軸方向一方側の外周に嵌合されている。第1リテーナ13には、その周方向において複数(図1では1つのみ図示)のセットスクリュー21が径方向に締め込まれている。これにより、第1リテーナ13は、スリーブ11に固定されている。第1リテーナ13には、周方向に間隔をあけて複数(図1では1つのみ図示)のドライブピン14が軸方向に貫通している。ドライブピン14は、第1リテーナ13に対して軸方向に移動可能に保持されている。
【0023】
ドライブカラー15は、第1リテーナ13の軸方向他方側に間隔をあけて配置されている。ドライブカラー15は、円環状に形成され、スリーブ11の外周面に対して軸方向に移動可能に嵌合されている。ドライブカラー15には、ドライブピン14の軸方向他方側の端部が固定(ねじ止め)されている。これにより、ドライブカラー15は、ドライブピン14を介して第1リテーナ13に対して軸方向に移動可能に保持され、かつ第1リテーナ13に対する相対回転が規制されている。
【0024】
ドライブカラー15と第1リテーナ13との間には、スプリング16が周方向に間隔をあけて複数(図1では1つのみ図示)設けられている。スプリング16は、第1リテーナ13に対してドライブカラー15を軸方向他方側へ付勢している。
【0025】
第2リテーナ17は、ドライブカラー15の軸方向他方側に隣接して配置されている。第2リテーナ17は、円環状に形成され、スリーブ11の外周面に対して軸方向に移動可能に嵌合されている。第2リテーナ17の軸方向一方側の端部は、ドライブカラー15に固定されている。これにより、第2リテーナ17は、ドライブカラー15と共にスリーブ11に対して軸方向に移動可能に保持されながら、ドライブカラー15に対する相対回転が規制されている。第2リテーナ17の内周面とスリーブ11の外周面との間は、Oリング22によりシール(二次シール)されている。
【0026】
回転密封環18は、円環状に形成され、第2リテーナ17の軸方向他端部に固定(焼き嵌め)されている。回転密封環18の軸方向他方側の端面には、シール面18aが形成されている(図2も参照)。回転密封環18は、スプリング16により、ドライブカラー15及び第2リテーナ17を介して軸方向他方側へ付勢されている。
【0027】
<静止側ユニット>
静止側ユニット3は、シールケース31、ブッシュ32、静止密封環33、及びアダプタリング50を備えている。シールケース31は、円筒状に形成されている。シールケース31は、回転機器70の機内領域Aと機外領域Bとを区画するために、回転軸71を包囲してケーシング72に固定されている。
【0028】
本実施形態では、シールケース31の径方向外側部は、ケーシング72の軸方向他方側の側面に当接した状態で、ボルト34によりケーシング72に固定されている。シールケース31の軸方向一方側の側面とケーシング72の軸方向他方側の側面との間は、Oリング35によりシール(二次シール)されている。
【0029】
シールケース31の軸方向他方側の内周には、ブッシュ32が取り付けられている。ブッシュ32は、円環状に形成され、スリーブ11の外周面との間にクリアランスシールを形成している。シールケース31の軸方向他方側の端面には、円環状の規制部材36が固定されている。
【0030】
規制部材36には、ブッシュ32の軸方向他方側の端面が当接している。これにより、シールケース31に対してブッシュ32が軸方向他方側に抜け出るのを規制している。規制部材36は、ブッシュ32に係合される係合ピン36aを有している。これにより、規制部材36は、スリーブ11と共にブッシュ32が回転するのを規制している。
【0031】
静止密封環33は、円環状に形成され、シールケース31の内周面に嵌合して固定されている。静止密封環33の外周面とシールケース31の内周面との間は、Oリング37によりシール(二次シール)されている。静止密封環33の軸方向一方側の端面にはシール面33aが形成されている(図2も参照)。
【0032】
静止密封環33のシール面33aには、回転密封環18のシール面18aが摺動するようになっている。静止密封環33は、シールケース31の内周に固定された規制ピン38により、回転密封環18に対する相対回転が規制されている。
【0033】
アダプタリング50は、機内領域Aにおいて、回転密封環18と静止密封環33との摺動部分(シール面18a,33a)の径方向外方に配置されている。以下、回転密封環18と静止密封環33との摺動部分は、摺動部分18a,33aともいう。アダプタリング50は、円筒状に形成され、シールケース31に着脱可能に設けられている。
【0034】
図2は、アダプタリング50とその周辺を示す拡大断面図である。図1及び図2において、アダプタリング50の外周面50aの軸方向一方側は、シールケース31の内周面に嵌合されている。アダプタリング50の軸方向他方側の端面50bは、シールケース31の内周において径方向に延びる段差面31eに当接している。
【0035】
アダプタリング50の軸方向一方側の端面50cは、シールケース31に取り付けらえたスナップリング39に当接している。これにより、アダプタリング50は、段差面31eとスナップリング39との間に保持されることで、シールケース31から外れないように保持されている。
【0036】
スナップリング39は、シールケース31の内周に形成された円環状の凹溝31fに着脱可能に嵌め込まれている。したがって、スナップリング39を凹溝31fから取り外すことで、アダプタリング50をシールケース31から取り外すことができる。
【0037】
<フラッシング流体の流路>
静止側ユニット3には、機外領域Bから機内領域Aにフラッシング流体を供給する流路が形成されている。フラッシング流体は、回転密封環18と静止密封環33との摺動部分(シール面18a,33a)を冷却及び潤滑するものである。本実施形態では、フラッシング流体として被密封流体が用いられる。以下、フラッシング流体の流路について説明する。
【0038】
図1において、シールケース31の軸方向一方側には、その周方向に間隔をあけて複数(図1では2つ)の孔31aが形成されている。各孔31aは、シールケース31を径方向に貫通して形成されている。シールケース31の内周には、各孔31aと連通する円環状の環状溝31d(図2も参照)が形成されている。各孔31aは、フラッシング流体を機外領域Bから機内領域Aに供給するための第1流路31bとして使用可能である。
【0039】
第1流路31bとして使用可能な孔31aをシールケース31の周方向に複数形成しているのは、フラッシング流体が流れる配管をシールケース31に接続する周方向の位置が、回転機器70の種類等によって異なるからである。本実施形態では、図1の下側に形成された孔31aが、第1流路31bとして使用される。したがって、シールケース31の周方向の所定箇所(図1の下側)には、フラッシング流体を機外領域Bから機内領域Aに供給するための第1流路31bが形成されている。
【0040】
第1流路31bとして使用されない他の孔31aは、以下、予備孔31cともいう。予備孔31cの径方向外側の開口は、閉塞部材40によって閉塞されている。閉塞部材40は、例えば、予備孔31cに締め込まれる第1ねじ部41と、第1ねじ部41の頭部に締め込まれる第2ねじ部42と、を有している。閉塞部材40は、環状溝31dから予備孔31c内に流入したフラッシング流体が外部に漏洩するのを抑制している。
【0041】
図2において、アダプタリング50は、シールケース31の複数の孔31a(第1流路31b及び予備孔31c)と連通する第2流路51を有する。第2流路51は、第1流路31bからのフラッシング流体を摺動部分18a,33aの周方向の複数箇所に向けて供給するための流路である。第2流路51は、環状流路52と、複数の供給流路53と、を有している。
【0042】
環状流路52は、アダプタリング50の外周において、シールケース31の環状溝31dと対向する位置に形成されている。本実施形態の環状流路52は、アダプタリング50の外周に形成された円環状の切欠溝からなる。環状流路52の軸方向の幅は、シールケース31の環状溝31dの溝幅と同一である。以上により、第1流路31bからのフラッシング流体は、環状溝31dと環状流路52とからなる流路内において周方向に流れる。
【0043】
図1及び図2において、複数の供給流路53は、環状流路52から機内領域Aにフラッシング流体を供給する流路である。供給流路53は、環状流路52の底面における周方向の複数箇所からアダプタリング50を径方向に貫通して形成されている。これにより、複数の供給流路53から機内領域Aにフラッシング流体が供給されるので、摺動部分18a,33aを周方向全体にわたって万遍なく冷却及び潤滑することができる。
【0044】
以下、摺動部分18a,33aを冷却する前のフラッシング流体を「冷却前のフラッシング流体」という。また、摺動部分18a,33aを冷却した後のフラッシング流体を「冷却後のフラッシング流体」という。
【0045】
各供給流路53は、その径方向内側の開口53aが摺動部分18a,33aよりも軸方向他方側(機外領域B側)に位置するように形成されている。これにより、機内領域Aでは、冷却前のフラッシング流体と冷却後のフラッシング流体は、概ね、摺動部分18a,33aの延長仮想線Kを境界として軸方向両側に分かれる。具体的には、機内領域Aにおいて、延長仮想線Kよりも軸方向他方側の領域を冷却前のフラッシング流体が占め、延長仮想線Kよりも軸方向一方側の領域を冷却後のフラッシング流体が占める。
【0046】
<センサ>
図3は、図2の要部拡大断面図である。図2及び図3において、静止側ユニット3は、センサ60と、第1導体61と、第2導体62と、をさらに備えている。センサ60は、アダプタリング50の第2流路51から機内領域Aに供給されたフラッシング流体の状態を検出するセンサである。
【0047】
本実施形態のセンサ60は、冷却後のフラッシング流体の温度を検出する温度センサである。温度センサ60は、摺動部分18a,33aよりも軸方向一方側(機内領域A側)に位置し、アダプタリング50の内周に取り付けられている。本実施形態の温度センサ60は、アダプタリング50の内周において軸方向一方側に形成された第1取付溝50dに嵌め込まれて固定されている。
【0048】
機内領域Aへのフラッシング流体の供給量が不足している場合、摺動部分18a,33aの冷却及び潤滑が十分に行われないため、冷却後のフラッシング流体の温度が上昇する。本実施形態では、温度センサ60が冷却後のフラッシング流体の温度を検出するので、温度センサ60の検出温度が上昇したときに、その上昇度合に応じてフラッシング流体の供給量を調整することができる。
【0049】
第1導体61及び第2導体62は、温度センサ60と、メカニカルシール1の外部に設けられた制御装置(図示省略)とを電気的に接続するための導体である。第1導体61は、制御装置から延びて第2導体62と電気的に接続されている。第2導体62には、温度センサ60が電気的に接続されている。これにより、温度センサ60の検出信号は、第2導体62及び第1導体61を介して制御装置に入力される。
【0050】
第1導体61は、例えば導線からなる。第1導体61は、シールケース31に形成された挿入孔に挿入されている。本実施形態では、シールケース31の予備孔31cが、前記挿入孔として使用されている。挿入孔(予備孔)31cに挿入された第1導体61は、アダプタリング50に形成された貫通孔54にまで挿入されている。
【0051】
貫通孔54は、挿入孔31cの径方向内方において、環状流路52の底面からアダプタリング50を径方向に貫通して形成されている。これにより、挿入孔31cと貫通孔54は、環状流路52を介して連通している。貫通孔54は、大孔部54aと、中孔部54bと、小孔部54cと、を有している。
【0052】
大孔部54aは、挿入孔31cよりも小径であり、かつ中孔部54bよりも大径である。小孔部54cは、中孔部54bよりも小径である。大孔部54aと中孔部54bとの間には、軸方向に平坦な円環状の第1段差面54dが形成されている。中孔部54bと小孔部54cとの間には、軸方向に平坦な円環状の第2段差面54eが形成されている。貫通孔54は、小孔部54cの径方向内側の開口54c1が摺動部分18a,33aよりも軸方向一方側(機内領域A側)に位置するように形成されている。
【0053】
第1導体61は、挿入孔31cから貫通孔54にわたって、第1被覆部材63により被覆されている。第1被覆部材63は、例えば配管等の筒状の部材からなり、その内部空間に第1導体61が挿入されている。これにより、第1被覆部材63は、第1導体61の外周面を全周にわたって被覆している。
【0054】
第1被覆部材63は、大被覆部64と、小被覆部65と、を有している。大被覆部63aは、挿入孔31cから環状流路52にわたって第1導体61を被覆している。大被覆部64の外径は、貫通孔54の大孔部54aの孔径よりも小さく、中孔部54bの孔径よりも大きい。大被覆部64の長手方向一方側(環状流路52側)の端面64aは、大孔部54aに嵌め込まれたシール部材66に当接している。
【0055】
シール部材66は、例えばガスケットからなり、円環状に形成されている。シール部材66の一側面(図3の下面)は、貫通孔54の第1段差面54dに密着している。シール部材66の他側面(図3の上面)は、大被覆部63aの端面64aに密着している。これにより、シール部材66は、環状流路52を流れるフラッシング流体が貫通孔54から機内領域Aに流入するのを抑制している。
【0056】
小被覆部65は、大被覆部64の端面64aに固定されている。小被覆部65の外径は、貫通孔54の中孔部54bの孔径よりも小さく、小孔部54cの孔径よりも大きい。これにより、小被覆部65は、貫通孔54の大孔部54a及び中孔部54bに挿入されている。小被覆部65の長手方向一方側(中孔部54b側)の端面65aは、貫通孔54の第2段差面54eに当接する。これにより、貫通孔54に対する小被覆部65の挿入位置が位置決めされる。以上より、小被覆部65は、貫通孔54の大孔部54aから中孔部54bにわたって第1導体61を被覆している。
【0057】
第1導体61は、小被覆部65から径方向内方に露出する露出部61aを有している。露出部61aは、貫通孔54の小孔部54cに挿入されている。露出部61aの先端面61bは、第2導体62に接触している。
【0058】
第2導体62は、第1導体61の露出部61a(径方向内端部)からアダプタリング50の内周に沿って軸方向一方側(機内領域A側)に延びている。本実施形態の第2導体62は、第1導体61とは別体であり、例えば導線又は導電基板からなる。
【0059】
第2導体62は、アダプタリング50の内周に取り付けられている。本実施形態の第2導体62は、アダプタリング50の内周に形成された第2取付溝50eに嵌め込まれて固定されている。第2取付溝50eは、アダプタリング50の内周において、貫通孔54の小孔部54cに対応する位置から第1取付溝50dにかけて形成されている。
【0060】
第2導体62の軸方向一方側の端部は、温度センサ60に電気的に接続されている。第2導体62の軸方向他方側の端部には、第1導体61の露出部61aの先端面61bが径方向外側から接触している。これにより、第2導体62の軸方向他方側の端部は、第1導体61に電気的に接続されている。
【0061】
第2導体62は、機内領域Aに露出しないように第2被覆部材67により被覆されている。第2被覆部材67は、例えばフッ素樹脂等の樹脂フィルムからなる。第2被覆部材67は、第2導体62の第2取付溝50eから露出している部分を径方向内側から被覆した状態で、アダプタリング50の内周面に固定されている。これにより、第2被覆部材67は、機内領域Aのフラッシング流体が第2導体62に触れるのを抑制している。
【0062】
<作用効果>
本実施形態のメカニカルシール1によれば、温度センサ60は、シールケース31に着脱可能に設けられたアダプタリング50に取り付けられる。このため、種類や大きさが異なる温度センサ60に対応したアダプタリング50に取り替えることで、種々の温度センサ60をアダプタリング50を介してシールケース31に取り付けることができる。これにより、シールケース31全体を取り替えることなく、種々の温度センサ60をシールケース31に取り付けることができる。また、シールケース31の第1流路31bからのフラッシング流体を摺動部分18a,33aの周方向の複数箇所に向けて供給するためのアダプタリング50が、温度センサ60を取り付ける部材として用いられる。このため、温度センサ60を取り付ける専用の部材が不要となる。以上より、種々の温度センサ60を低コストでシールケース31に取り付けることができる。
【0063】
アダプタリング50の供給流路53の開口53aは、摺動部分18a,33aよりも機外領域B側に位置し、供給流路53の開口53aから機内領域Aにフラッシング流体が供給される。このため、機内領域Aでは、摺動部分18a,33aよりも機外領域B側を冷却前のフラッシング流体が占め、摺動部分18a,33aよりも機内領域A側を冷却後のフラッシング流体が占める。したがって、摺動部分18a,33aよりも機内領域A側に位置する温度センサ60により、冷却後のフラッシング流体の温度を正確に検出することができる。
【0064】
アダプタリング50の貫通孔54に挿入された第1導体61の径方向内端部には、機内領域A側に延びる第2導体62を介して温度センサ60が電気的に接続されている。このため、第2導体62の機内領域A側に延びる長さを調整することで、温度センサ60をアダプタリング50の所望の位置に取り付けることができる。したがって、メカニカルシール1の種類等によって摺動部分18a,33aの位置が異なる場合であっても、温度センサ60を摺動部分18a,33aよりも機内領域A側に適切に配置することができる。
【0065】
アダプタリング50の環状流路52を流れる冷却前のフラッシング流体が貫通孔54から機内領域Aに流入するのをシール部材66により抑制されている。これにより、機内領域Aにおいて冷却後のフラッシング流体に冷却前のフラッシング流体が混入するのを抑制することができる。その結果、温度センサ60により冷却後のフラッシング流体の温度をさらに正確に検出することができる。
【0066】
第1導体61の径方向内端部に、第1導体61とは別体の第2導体62が接触して電気的に接続されている。これにより、主にシールケース31に配置された第1導体61に対して、アダプタリング50に配置された第2導体62を分離することができる。したがって、シールケース31に対するアダプタリング50の取り替え作業を容易に行うことができる。
【0067】
シールケース31には、第1導体61が挿入される挿入孔31cが形成されている。これにより、第1導体61を、シールケース31の挿入孔31cから、アダプタリング50の環状流路52を介して貫通孔54に容易に挿入することができる。
【0068】
シールケース31において、フラッシング流体の第1流路31bとして使用可能な複数の孔31aのうち、第1流路31bとして使用されない孔31a(予備孔31c)が、第1導体61を挿入する挿入孔として使用されている。これにより、シールケース31に専用の挿入孔を形成する必要がないので、種々の温度センサ60をさらに低コストでシールケース31に取り付けることができる。
【0069】
シールケース31の挿入孔31cからアダプタリング50の貫通孔54にわたって挿入される第1導体61は、第1被覆部材63により被覆されている。これにより、第1導体61がフラッシング流体に触れるのを抑制できるので、第1導体61がフラッシング流体に触れて腐食するのを抑制することができる。
【0070】
第2導体62は、第2被覆部材67により機内領域Aに露出しないように被覆されている。これにより、第2導体62が機内領域Aのフラッシング流体に触れるのを抑制できるので、第2導体62がフラッシング流体に触れて腐食するのを抑制することができる。
【0071】
[第2実施形態]
図4は、本開示の第2実施形態に係るメカニカルシール1を示す断面図である。図5は、図4の要部拡大断面図である。図4及び図5において、本実施形態のメカニカルシール1は、温度センサ60とその周辺の構成が第1実施形態と異なる。本実施形態の温度センサ60は、シース熱電対からなる。
【0072】
温度センサ60は、シース60aと、熱電対素線60bと、を有している。熱電対素線60bは、その先端(図4の下端)に測温接点60cを有している。シース60aは、例えば金属製の細長い管部材からなり、熱電対素線60bを被覆している。シース60aは、シールケース31の挿入孔31cに挿入されている。挿入孔31cに挿入されたシース60aは、アダプタリング50に形成された取付孔55にまで挿入されている。
【0073】
取付孔55は、挿入孔31cの径方向内方において、環状流路52の底面からアダプタリング50を径方向に貫通して形成されている。これにより、挿入孔31cと取付孔55は、環状流路52を介して連通している。
【0074】
温度センサ60のシース60aの先端部(図4の下端部)は、シール部材68を介してアダプタリング50の取付孔55に挿入して取り付けられている。この状態で、シース60aの先端部は、取付孔55を貫通しており、機内領域Aにおいて摺動部分18a,33aよりも軸方向一方側(機内領域A側)に位置している。
【0075】
シール部材68は、例えば円筒状のゴム栓からなる。シール部材68には、シース60aの先端部が挿入され、当該先端部の外周面とシール部材68の内周面とが密着している。シール部材68の外周面は、アダプタリング50の径方向外側から径方向内側に向かうにつれて徐々に縮径するようにテーパ状に形成されている。シール部材68の外周面は、アダプタリング50の取付孔55における径方向外側(図5の上側)の端縁に密着している。
【0076】
以上の構成により、シール部材68は、環状流路52を流れるフラッシング流体が取付孔55から機内領域Aに流入するのを抑制している。本実施形態の他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
本実施形態のメカニカルシール1においても、温度センサ60は、シールケース31に着脱可能に設けられたアダプタリング50に取り付けられる。このため、種類や大きさが異なる温度センサ60に対応したアダプタリング50に取り替えることで、種々の温度センサ60をアダプタリング50を介してシールケース31に取り付けることができる。これにより、シールケース31全体を取り替えることなく、種々の温度センサ60をシールケース31に取り付けることができる。また、シールケース31の第1流路31bからのフラッシング流体を摺動部分18a,33aの周方向の複数箇所に向けて供給するためのアダプタリング50が、温度センサ60を取り付ける部材として用いられる。このため、温度センサ60を取り付ける専用の部材が不要となる。以上より、種々の温度センサ60を低コストでシールケース31に取り付けることができる。
【0078】
温度センサ60のシース60aの先端部は、摺動部分18a,33aよりも機内領域A側に位置している。これにより、冷却後のフラッシング流体の温度を温度センサ60で正確に検出することができる。
【0079】
[その他]
上記実施形態では、温度センサ60は、摺動部分18a,33aよりも機内領域A側に位置しているが、冷却後のフラッシング流体の温度を計測できれば、摺動部分18a,33aよりも機外領域B側に位置していてもよい。
機内領域Aに供給されたフラッシング流体の状態を検出するセンサ60は、温度センサ以外のセンサでもよい。例えば、フラッシング流体の圧力を検出する圧力センサでもよいし、光の透過度や電気抵抗によりフラッシング流体の汚染度を検出するセンサでもよい。アダプタリング50には、複数のセンサ60を取り付けてもよい。
【0080】
上記実施形態では、シールケース31の予備孔31cを、第1導体61が挿入される挿入孔としているが、予備孔31c以外に専用の挿入孔をシールケース31に形成してもよい。第2導体62は、第1導体61と別体であるが、第1導体61と一体であってもよい。センサ60は、第1導体61及び第2導体62が不要なワイヤレスのセンサであってもよい。
【0081】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 メカニカルシール
18 回転密封環
18a,33a 摺動部分
31 シールケース
31a 孔
31b 第1流路
31c 予備孔(挿入孔)
33 静止密封環
50 アダプタリング
51 第2流路
52 環状流路
53 供給流路
53a 開口
54 貫通孔
54c1 開口
60 温度センサ(センサ)
61 第1導体
62 第2導体
63 第1被覆部材
66 シール部材
67 第2被覆部材
70 回転機器
71 回転軸
72 ケーシング
A 機内領域
B 機外領域
図1
図2
図3
図4
図5