(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072427
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】カッタ刃、造粒装置及びカッタ刃の製造方法
(51)【国際特許分類】
B26D 1/28 20060101AFI20240521BHJP
B26D 1/00 20060101ALI20240521BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20240521BHJP
B29B 9/00 20060101ALI20240521BHJP
B22D 19/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B26D1/28 B
B26D1/00
B26D1/28 L
B26D3/00 601A
B29B9/00
B22D19/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183230
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田屋 龍星
【テーマコード(参考)】
3C027
4F201
【Fターム(参考)】
3C027AA12
3C027AA17
4F201AJ02
4F201AJ09
4F201BA02
4F201BC02
4F201BD05
4F201BL38
4F201BL39
(57)【要約】
【課題】製造コストを低減させることができるカッタ刃、造粒装置及びカッタ刃の製造方法を提供する。
【解決手段】一実施の形態に係るカッタ刃1は、孔205が形成されたプレート面204を有するダイプレート201のプレート面204に沿って摺動することにより、孔205からプレート面204上に押し出された材料206を切断する刃先部20と、刃先部20の接合面25に接合された台金部10と、を備え、台金部10は、接合面15の近傍に、刃先部20に含まれる刃先材料の構成成分である刃先成分が検出された刃先成分検出部分10Aを有し、台金部10は、台金部10の内部に、刃先成分の濃度が検出限界以下となる刃先成分検出限界以下部分10Bを有し、刃先成分検出部分10Aは、刃先成分検出限界以下部分10Bに近づくにつれて刃先成分の濃度が減少する部分を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部と、
前記刃先部の接合面に接合された台金部と、
を備え、
前記台金部は、前記接合面の近傍に、前記刃先部に含まれる刃先材料の構成成分である刃先成分が検出された刃先成分検出部分を有し、
前記台金部は、前記台金部の内部に、前記刃先成分の濃度が検出限界以下となる刃先成分検出限界以下部分を有し、
前記刃先成分検出部分は、前記刃先成分検出限界以下部分に近づくにつれて前記刃先成分の前記濃度が減少する部分を有する、
カッタ刃。
【請求項2】
前記台金部は、メッキまたは溶射により前記刃先部に成膜可能な成膜材料の構成成分である成膜成分を含有した材料を台金材料として含み、
前記台金部は、前記接合面の近傍に、前記台金材料に含有された前記成膜成分の前記濃度よりも大きい前記濃度の前記成膜成分が検出された第1成膜成分検出部分を有し、
前記台金部は、前記台金部の内部に、前記台金材料に含有された前記成膜成分の濃度以下の第2成膜成分検出部分を有し、
前記第1成膜成分検出部分は、前記第2成膜成分検出部分に近づくにつれて前記成膜成分の前記濃度が減少する部分を有する、
請求項1に記載のカッタ刃。
【請求項3】
前記刃先部は、炭化チタンを刃先材料として含み、
前記刃先成分は、チタンを含み、
前記台金部は、ニッケルを含有したステンレスを台金材料として含み、
前記台金部は、前記接合面の近傍に、前記台金材料に含有された前記ニッケルの前記濃度よりも大きい前記濃度の前記ニッケルが検出された第1ニッケル検出部分を有し、
前記台金部は、前記台金部の内部に、前記台金材料に含有された前記ニッケルの濃度以下の第2ニッケル検出部分を有し、
前記第1ニッケル検出部分は、前記第2ニッケル検出部分に近づくにつれて前記ニッケルの前記濃度が減少する部分を有し、
前記台金部は、直接に前記刃先部に接合した、
請求項1に記載のカッタ刃。
【請求項4】
前記台金部は、前記接合面の近傍に、メッキまたは溶射により前記刃先部に成膜可能な成膜材料の構成成分である成膜成分が検出された成膜成分検出部分を有し、
前記台金部は、前記台金部の内部に、前記成膜成分の前記濃度が前記検出限界以下となる成膜成分検出限界以下部分を有し、
前記成膜成分検出部分は、前記成膜成分検出限界以下部分に近づくにつれて前記成膜成分の前記濃度が減少する部分を有する、
請求項1に記載のカッタ刃。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の前記カッタ刃と、
前記カッタ刃が接続されたカッタ刃ホルダ部と、
前記ダイプレートと、
を備えた造粒装置。
【請求項6】
孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部の少なくとも所定の接合面に、メッキまたは溶射により成膜材料の膜を成膜するステップと、
前記刃先部を金型のキャビティに配置させるステップと、
台金部に含まれる台金材料を溶融させた溶融材料を前記刃先部の前記接合面に接触させるように、前記溶融材料を前記キャビティに充填させるステップと、
前記溶融材料を固化させて前記刃先部の前記接合面に前記台金部を接合させるステップと、
を備え、
前記接合面に前記台金部を接合させるステップにおいて、
前記台金部は、前記接合面の近傍に、前記刃先部に含まれる刃先材料の構成成分である刃先成分が検出された刃先成分検出部分を有し、
前記台金部は、前記台金部の内部に、前記刃先成分の濃度が検出限界以下となる刃先成分検出限界以下部分を有し、
前記刃先成分検出部分は、前記刃先成分検出限界以下部分に近づくにつれて前記刃先成分の前記濃度が減少する部分を有するようにする、
カッタ刃の製造方法。
【請求項7】
前記溶融材料を前記キャビティに充填させるステップにおいて、
前記台金材料は、前記成膜材料の構成成分である成膜成分を含有するようにし、
前記接合面に前記台金部を接合させるステップにおいて、
前記台金部は、前記接合面の近傍に、前記台金材料に含有された前記成膜成分の濃度よりも大きい前記濃度の前記成膜成分が検出された第1成膜成分検出部分を有し、
前記台金部は、前記台金部の内部に、前記台金材料に含有された前記成膜成分の濃度以下の第2成膜成分検出部分を有し、
前記第1成膜成分検出部分は、前記第2成膜成分検出部分に近づくにつれて前記成膜成分の前記濃度が減少する部分を有するようにする、
請求項6に記載のカッタ刃の製造方法。
【請求項8】
前記成膜材料の膜を成膜するステップの前に、前記溶融材料を固化させた場合に、前記膜が消失し、前記台金部が直接に前記刃先部に接合する前記膜の厚さを取得するステップをさらに備え、
前記接合面に前記台金部を接合させるステップにおいて、
前記台金部は、直接に前記刃先部に接合するようにする、
請求項6に記載のカッタ刃の製造方法。
【請求項9】
前記膜の厚さを取得するステップにおいて、
前記接合面に成膜されたニッケルを含むニッケル膜に前記溶融材料を接触させ、前記溶融材料を固化させた場合に、前記ニッケル膜が消失し、前記台金部が直接に前記刃先部に接合する前記ニッケル膜の厚さを取得し、
前記成膜材料の膜を成膜するステップにおいて、
前記刃先部は、炭化チタンを刃先材料として含み、
前記刃先成分は、チタンを含むようにし、
前記メッキまたは前記溶射により前記接合面に前記ニッケル膜を成膜し、
前記溶融材料を前記キャビティに充填させるステップにおいて、
前記台金部は、ニッケルを含有させたステンレスを台金材料として含むようにし、
前記接合面に前記台金部を接合させるステップにおいて、
前記台金部は、前記接合面の近傍に、前記台金材料に含有された前記ニッケルの前記濃度よりも大きい前記濃度の前記ニッケルが検出された第1ニッケル検出部分を有し、
前記台金部は、前記台金部の内部に、前記台金材料に含有された前記ニッケルの濃度以下の第2ニッケル検出部分を有し、
前記第1ニッケル検出部分は、前記第2ニッケル検出部分に近づくにつれて前記ニッケルの前記濃度が減少する部分を有するようにする、
請求項8に記載のカッタ刃の製造方法。
【請求項10】
前記接合面に前記台金部を接合させるステップにおいて、
前記台金部は、前記接合面の近傍に、前記成膜材料の構成成分である成膜成分が検出された成膜成分検出部分を有し、
前記台金部は、前記台金部の内部に、前記成膜成分の前記濃度が検出限界以下となる成膜成分検出限界以下部分を有し、
前記成膜成分検出部分は、前記成膜成分検出限界以下部分に近づくにつれて前記成膜成分の前記濃度が減少する部分を有するようにする、
請求項6に記載のカッタ刃の製造方法。
【請求項11】
前記溶融材料を前記キャビティに充填させるステップ及び前記接合面に前記台金部を接合させるステップは、大気中において行われる、
請求項6~10のいずれか1項に記載のカッタ刃の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カッタ刃、造粒装置及びカッタ刃の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ダイプレートに形成された孔から押し出された樹脂材料を切断するカッタ刃が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ロウ付けにより刃先部を台金部に接合する方法は、刃先の仕上げ工程を必要とする。また、仕上げ工程によって、刃先部または台金部は、損傷を受ける場合があり、歩留まりが低下する。よって、ロウ付けにより刃先部を台金部に接合する方法は、製造コストを低減することが困難である。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態にかかるカッタ刃は、孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部と、前記刃先部の接合面に接合された台金部と、を備え、前記台金部は、前記接合面の近傍に、前記刃先部に含まれる刃先材料の構成成分である刃先成分が検出された刃先成分検出部分を有し、前記台金部は、前記台金部の内部に、前記刃先成分の濃度が検出限界以下となる刃先成分検出限界以下部分を有し、前記刃先成分検出部分は、前記刃先成分検出限界以下部分に近づくにつれて前記刃先成分の前記濃度が減少する部分を有する。
【0007】
一実施の形態に係る造粒装置は、上記カッタ刃と、前記カッタ刃が接続されたカッタ刃ホルダ部と、前記ダイプレートと、を備える。
【0008】
一実施の形態にかかるカッタ刃の製造方法は、孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部の少なくとも所定の接合面に、メッキまたは溶射により成膜材料の膜を成膜するステップと、前記刃先部を金型のキャビティに配置させるステップと、台金部に含まれる台金材料を溶融させた溶融材料を前記刃先部の前記接合面に接触させるように、前記溶融材料を前記キャビティに充填させるステップと、前記溶融材料を固化させて前記刃先部の前記接合面に前記台金部を接合させるステップと、を備え、前記接合面に前記台金部を接合させるステップにおいて、前記台金部は、前記接合面の近傍に、前記刃先部に含まれる刃先材料の構成成分である刃先成分が検出された刃先成分検出部分を有し、前記台金部は、前記台金部の内部に、前記刃先成分の濃度が検出限界以下となる刃先成分検出限界以下部分を有し、前記刃先成分検出部分は、前記刃先成分検出限界以下部分に近づくにつれて前記刃先成分の前記濃度が減少する部分を有するようにする。
【発明の効果】
【0009】
前記一実施の形態によれば、製造コストを低減させることができるカッタ刃、造粒装置及びカッタ刃の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係るカッタ刃を用いる造粒装置を例示した構成図である。
【
図2】実施形態1に係るカッタ刃を用いる造粒装置において、ダイプレートを例示した斜視図である。
【
図3】実施形態1に係るカッタ刃を例示した斜視図である。
【
図4】実施形態1に係る台金部と刃先部との接合面を含む接合部分を例示した断面図であり、
図3のIV線の断面を示す。
【
図5】実施形態1に係る台金部と刃先部との接合面を含む接合部分において、刃先成分の濃度を模式的に例示したグラフであり、横軸は、台金部における接合面からの距離を示し、縦軸は、刃先成分の濃度を示す。
【
図6】実施形態1に係る台金部と刃先部との接合面を含む接合部分を例示した断面図であり、
図3のIV線の断面を示す。
【
図7】実施形態1に係る台金部と刃先部との接合面を含む接合部分において、成膜成分の濃度を模式的に例示したグラフであり、横軸は、台金部における接合面からの距離を示し、縦軸は、成膜成分の濃度を示す。
【
図8】実施形態1に係る台金部と刃先部との接合面を含む接合部分を例示した断面図であり、
図3のIV線の断面を示す。
【
図9】実施形態1に係る台金部と刃先部との接合面を含む接合部分において、ニッケルの濃度を模式的に例示したグラフであり、横軸は、台金部における接合面からの距離を示し、縦軸は、ニッケルの濃度を示す。
【
図10】実施形態1の変形例に係る台金部と刃先部との接合面を含む接合部分を例示した断面図であり、
図3のIV線の断面を示す。
【
図11】実施形態1の変形例に係る台金部と刃先部との接合面を含む接合部分において、成膜成分の濃度を模式的に例示したグラフであり、横軸は、台金部における接合面からの距離を示し、縦軸は、成膜成分の濃度を示す。
【
図12】実施形態1に係るカッタ刃の製造方法を例示したフローチャート図である。
【
図13】実施形態1に係るカッタ刃の製造方法において、刃先部及び刃先部の接合面に成膜された膜を例示した断面図である。
【
図14】実施形態1に係るカッタ刃の製造方法において、金型のキャビティに配置された刃先部を例示した断面図である。
【
図15】実施形態1に係るカッタ刃の製造方法において、金型のキャビティに充填された溶融材料を例示した断面図である。
【
図16】実施形態2に係るカッタ刃の製造方法を例示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
(実施形態1)
実施形態1に係るカッタ刃及びカッタ刃の製造方法を説明する。まず、カッタ刃を用いる装置の例として、造粒装置を説明する。その後、カッタ刃及びカッタ刃の製造方法を説明する。
【0013】
<水中造粒装置>
図1は、実施形態1に係るカッタ刃を用いる造粒装置を例示した構成図である。
図2は、実施形態1に係るカッタ刃を用いる造粒装置において、ダイプレートを例示した斜視図である。
図1では、枠内に、造粒装置の一部の分解図を示している。
【0014】
図1及び
図2に示すように、造粒装置は、例えば、水中造粒装置200である。水中造粒装置200は、押出装置100の下流側に接続されている。押出装置100は、駆動部101、減速機102、シリンダ103、スクリュ104を備えている。モータ等の駆動部101は、減速機102によって調整された回転をスクリュ104に伝達させる。よって、スクリュ104は、シリンダ103の内部で、調整された駆動部101の動力源によって回転する。
【0015】
シリンダ103の所定の位置からシリンダ103の内部に投入された材料206は、回転するスクリュ104によって、水中造粒装置200側に押し出される。投入された材料206は、例えば、樹脂材料である。押出装置100は、例えば、樹脂材料を、シリンダ103内における加熱及びスクリュ104の回転により、可塑化及び混錬させ、溶融樹脂として水中造粒装置200側に押し出す。
【0016】
水中造粒装置200は、ダイプレート201、カッタ刃ホルダ部202、駆動部203及びカッタ刃1を備えている。ダイプレート201、カッタ刃ホルダ部202及びカッタ刃1は、水中に配置されている。ダイプレート201は、プレート面204を有している。プレート面204には、複数の孔205が形成されている。回転するスクリュ104によって押し出された材料206は、プレート面204に形成された孔205からプレート面204上に押し出される。プレート面204上に押し出された材料206は、例えば、溶融樹脂である。
図2では、図が煩雑にならないように、いくつかの孔205及び材料206のみに符号を付している。
【0017】
ダイプレート201及びプレート面204は中心軸Cを有している。カッタ刃ホルダ部202は、ダイプレート201に対向して設けられている。カッタ刃ホルダ部202は、駆動部203の動力源によって、中心軸Cを回転軸にして回転する。カッタ刃ホルダ部202は、複数のカッタ刃1を保持している。
図1では、図が煩雑にならないように、いくつかのカッタ刃1のみに符号を付している。
【0018】
例えば、円形状のカッタ刃ホルダ部202の周縁に等間隔でカッタ刃1は保持されている。そして、カッタ刃ホルダ部202の回転に伴って、各カッタ刃1は、プレート面204上を回転する。各カッタ刃1は、プレート面204に沿って摺動することにより、孔205からプレート面204上に押し出された材料206を切断する。例えば、孔205からプレート面204上に押し出された溶融樹脂は、カッタ刃1によって切断される。切断された溶融樹脂は、水中において固化し、樹脂ペレットとなる。
【0019】
<カッタ刃>
次に、カッタ刃1を説明する。
図3は、実施形態1に係るカッタ刃1を例示した斜視図である。
図3に示すように、カッタ刃1は、台金部10と、刃先部20と、を備えている。台金部10の接合面15は、刃先部20の接合面25に接合されている。
【0020】
ここで、カッタ刃1を説明するために、XYZ直交座標軸系を導入する。カッタ刃1をプレート面204上に配置した場合に、プレート面204に直交する方向をZ軸方向とする。刃先が延びる方向をY方向とする。Y軸方向及びZ軸方向に直交する方向をX軸方向とする。
【0021】
<台金部>
台金部10は、取付部11と、峰部12と、を有している。取付部11及び峰部12は、Y軸方向に隣り合って接続されている。台金部10は、材料として、例えば、ステンレスを含んでいる。よって、台金部10は、鉄、ニッケル、クロム等を含有したステンレスを台金材料として含んでいる。なお、台金材料は、鉄、ニッケル、クロム等を含有したステンレスに限らず、さらに他の金属を含むステンレスでもよいし、ステンレス以外の材料でもよい。場合によっては、台金材料は、樹脂材料を含む材料等でもよい。
【0022】
取付部11は、プレート面204に沿って摺動するための動力を伝達するカッタ刃ホルダ部202に接続される。取付部11は、例えば、台金部10の+Y軸方向側の部分に形成されている。取付部11は、例えば、四角柱状であり、底面11a、上面11b、前面11c及び背面11dを有している。底面11aは、-Z軸方向側の面であり、上面11bは、+Z軸方向側の面である。前面11cは、-X軸方向側の面であり、背面11dは、+X軸方向側の面である。
【0023】
取付部11には、カッタ刃ホルダ部202に接続するための孔13が形成されている。孔13は、1個でもよいし、複数個でもよい。孔13は、上面11bから底面11aまで貫通している。例えば、取付部11の孔13と、カッタ刃ホルダ部202の孔とにボルトを挿入することにより、カッタ刃1をカッタ刃ホルダ部202に固定する。なお、取付部11には、カッタ刃ホルダ部202に接続させるためのものならば、孔13以外の溝等が形成されてもよい。
【0024】
峰部12は、プレート面204に刃先部20を挟んで対向している。峰部12には、刃先部20が接合されている。峰部12は、例えば、台金部10の-Y軸方向側の部分に形成されている。峰部12は、例えば、Y軸方向に延びている。峰部12は、底面12a、上面12b、前面12c及び背面12dを有している。底面12aは、-Z軸方向側の面であり、上面12bは、+Z軸方向側の面である。前面12cは、-X軸方向側の面であり、背面12dは、+X軸方向側の面である。例えば、前面12cは、傾斜面14を有している。前面12cの傾斜面14に刃先部20の接合面25が接合されている。よって、台金部10における峰部12の傾斜面14は、接合面15となっている。なお、刃先部20は、台金部10における峰部12の前面12cに限らず、他の部分に接合してもよい。台金部10は、直接に刃先部20に接合してもよい。具体的には、台金部10は、ニッケル膜等の成膜材料の膜を介さず、直接に刃先部20に接合してもよい。なお、場合によっては、台金部10は、ニッケル膜等の成膜材料の膜を介して、刃先部20に接合してもよい。
【0025】
<刃先部>
刃先部20は、プレート面204上を摺動する部分である。刃先部20は、孔205が形成されたプレート面204を有するダイプレート201のプレート面204に沿って摺動することにより、孔205からプレート面204上に押し出された材料206を切断する。刃先部20は、例えば、炭化チタン(TiC)を刃先材料として含んでいる。例えば、刃先部20は、炭化チタンの焼結体を含んでいる。なお、刃先部20は、刃先材料として、炭化チタンを含む材料に限らず、炭化タングステン(WC)等の他の金属を含む材料でもよい。刃先材料は、刃先成分を構成成分として含む。例えば、刃先材料が炭化チタンを含む場合には、刃先成分は、チタン(Ti)を含む。
【0026】
刃先部20は、例えば、刃先がY軸方向に延びた板状である。刃先部20は、底面20a及び上面20bを有している。底面12aは、-Z軸方向側の面であり、上面12bは、+Z軸方向側の面である。刃先部20の底面20aは、台金部10の接合面15と接合する接合面25を有している。なお、刃先部20の形状は、台金部10と接合する接合面25を有していれば、板状に限らず、角柱状でもよい。また、刃先部20は、底面20a以外の他の部分に接合面25を有してもよい。
【0027】
図4は、実施形態1に係る台金部10と刃先部20との接合面15及び25を含む接合部分を例示した断面図であり、
図3のIV線の断面を示す。
図4に示すように、台金部10の接合面15は、刃先部20の接合面25に接合されている。台金部10は、接合面15の近傍に、刃先成分検出部分10Aを有している。刃先成分検出部分10Aは、刃先部20に含まれる刃先材料の構成成分である刃先成分が検出された部分である。刃先部20が炭化チタンを刃先材料として含む場合には、刃先成分は、チタンを含む。また、台金部10は、台金部10の内部に、刃先成分検出限界以下部分10Bを有している。刃先成分検出限界以下部分10Bは、刃先成分の濃度が検出限界以下となる部分である。刃先成分の濃度が検出限界以下とは、質量分析器等の濃度検出器により刃先成分の濃度が検出限界以下であることを意味する。
【0028】
図5は、実施形態1に係る台金部10と刃先部20との接合面15及び25を含む接合部分において、刃先成分の濃度を模式的に例示したグラフであり、横軸は、台金部10における接合面15からの距離を示し、縦軸は、刃先成分の濃度を示す。
図5に示すように、刃先成分検出部分10Aは、刃先成分検出限界以下部分10Bに近づくにつれて刃先成分の濃度が減少する部分を有している。
【0029】
図5では、刃先成分検出部分10Aにおいて、刃先成分の濃度は、単調に減少している。しかしながら、刃先成分検出限界以下部分10Bに近づくにつれて刃先成分の濃度が減少する部分を有するとは、刃先成分検出部分10Aにおいて、刃先成分の濃度が単調に減少することに限らない。例えば、刃先成分検出限界以下部分10Bに近づくにつれて刃先成分の濃度が減少する部分を有するとは、刃先成分検出部分10Aにおいて、刃先成分の濃度が一旦増加してピークを形成した後、刃先成分検出限界以下部分10Bに近づくにつれて刃先成分の濃度が減少してもよい。また、刃先成分検出部分10Aにおいて、刃先成分が一定の濃度を示した後、刃先成分検出限界以下部分10Bに近づくにつれて急激に減少してもよい。明細書の以降の説明においても、濃度が減少する部分を有するとは、同様の意味で用いられる。
【0030】
図6は、実施形態1に係る台金部10と刃先部20との接合面15及び25を含む接合部分を例示した断面図であり、
図3のIV線の断面を示す。
図6に示すように、台金部10は、接合面15の近傍に、第1成膜成分検出部分10Cを有している。第1成膜成分検出部分10Cは、台金材料に含有された成膜成分の濃度よりも大きい濃度の成膜成分が検出された部分である。
【0031】
ここで、台金部10は、メッキまたは溶射により刃先部20に成膜可能な成膜材料の構成成分である成膜成分を含有した材料を台金材料として含んでもよい。具体的には、メッキまたは溶射により刃先部20に成膜可能な成膜材料は、例えば、ニッケルである。成膜成分は、ニッケルである。よって、台金部10は、ニッケルを含有したステンレスを台金材料として含んでもよい。その場合には、台金部10は、接合面15の近傍に、もともと台金材料に含有されたニッケルの濃度よりも大きい濃度のニッケルが検出された部分(第1ニッケル検出部分、
図8及び
図9参照。)を有している。なお、成膜材料は、メッキまたは溶射により刃先部20に成膜可能な材料であれば、ニッケルに限らず、例えば、ステンレス等の台金材料に含有されるクロム等でもよいし、ステンレス等の台金材料に含有されない金属等でもよい。
【0032】
台金部10は、台金部10の内部に、第2成膜成分検出部分10Dを有している。第2成膜成分検出部分10Dは、台金材料に含有された成膜成分の濃度以下の部分である。具体的には、例えば、台金部10がニッケルを含有したステンレスを台金材料として含む場合には、台金部10は、台金部10の内部に、もともと台金材料に含有されたニッケルの濃度以下の部分(第2ニッケル検出部分、
図8及び
図9参照。)を有している。
【0033】
図7は、実施形態1に係る台金部10と刃先部20との接合面15及び25を含む接合部分において、成膜成分の濃度を模式的に例示したグラフであり、横軸は、台金部10における接合面15からの距離を示し、縦軸は、成膜成分の濃度を示す。
図7に示すように、第1成膜成分検出部分10Cは、第2成膜成分検出部分10Dに近づくにつれて成膜成分の濃度が減少する部分を有している。
【0034】
例えば、台金部10がニッケルを含有したステンレスを台金材料として含む場合を説明する。
図8は、実施形態1に係る台金部10と刃先部20との接合面15及び25を含む接合部分を例示した断面図であり、
図3のIV線の断面を示す。
図9は、実施形態1に係る台金部10と刃先部20との接合面15及び25を含む接合部分において、ニッケルの濃度を模式的に例示したグラフであり、横軸は、台金部10における接合面15からの距離を示し、縦軸は、ニッケルの濃度を示す。
【0035】
図8及び
図9に示すように、台金部10は、接合面15の近傍に、もともと台金材料に含有されたニッケルの濃度よりも大きい濃度のニッケルが検出された第1ニッケル検出部分10Eを有する。第1ニッケル検出部分10Eは、前述の第1成膜成分検出部分10Cをニッケルで限定した場合である。台金部10は、台金部10の内部に、台金材料に含まれるニッケルの濃度以下の第2ニッケル検出部分10Fを有する。第2ニッケル検出部分10Fは、前述の第2成膜成分検出部分10Dをニッケルで限定した場合である。第1ニッケル検出部分10Eは、第2ニッケル検出部分に近づくにつれてニッケルの濃度が減少する部分を有する。
【0036】
(変形例)
変形例として、メッキまたは溶射により刃先部20に成膜可能な成膜材料が台金材料にもともと含有されていない場合を説明する。
図10は、実施形態1の変形例に係る台金部10と刃先部20との接合面15及び25を含む接合部分を例示した断面図であり、
図3のIV線の断面を示す。
図11は、実施形態1の変形例に係る台金部10と刃先部20との接合面15及び25を含む接合部分において、成膜成分の濃度を模式的に例示したグラフであり、横軸は、台金部10における接合面15からの距離を示し、縦軸は、成膜成分の濃度を示す。
【0037】
図10及び
図11の変形例に示すように、成膜材料が台金材料に含有されていない場合には、台金部10は、接合面15の近傍に、メッキまたは溶射により刃先部20に成膜可能な成膜材料の構成成分である成膜成分が検出された成膜成分検出部分10Gを有する。台金部10は、台金部10の内部に、成膜成分の濃度が検出限界以下となる成膜成分検出限界以下部分10Hを有する。成膜成分検出部分10Gは、成膜成分検出限界以下部分10Hに近づくにつれて成膜成分の濃度が減少する部分を有する。
【0038】
<カッタ刃の製造方法>
次に、本実施形態のカッタ刃の製造方法を説明する。
図12は、実施形態1に係るカッタ刃1の製造方法を例示したフローチャート図である。
図13は、実施形態1に係るカッタ刃1の製造方法において、刃先部20及び刃先部20の接合面25に成膜された膜30を例示した断面図である。
図14は、実施形態1に係るカッタ刃1の製造方法において、金型31のキャビティ32に配置された刃先部20を例示した断面図である。
図15は、実施形態1に係るカッタ刃1の製造方法において、金型31のキャビティ32に充填された溶融材料33を例示した断面図である。
【0039】
図12のステップS11及び
図13に示すように、刃先部20の少なくとも接合面25に、メッキまたは溶射により成膜材料の膜30を成膜する。例えば、メッキまたは溶射により、少なくとも接合面25にニッケル膜を成膜する。なお、成膜材料の膜30を成膜する際には、刃先部20の全体に成膜材料の膜30を成膜してもよい。刃先部20は、炭化チタンを刃先材料として含み、刃先成分は、チタンを含むようにしてもよい。
【0040】
次に、
図12のステップS12及び
図14に示すように、刃先部20を金型31のキャビティ32に配置させる。
【0041】
次に、
図12のステップS13及び
図15に示すように、溶融材料33をキャビティ32に充填させる。具体的には、台金部10に含まれる台金材料を溶融させた溶融材料33を刃先部20の接合面25に接触させるように、溶融材料33をキャビティ32に充填させる。溶融材料33をキャビティ32に充填させる際には、台金材料は、成膜材料の構成成分である成膜成分を含有するようにしてもよい。例えば、台金部10は、ニッケルを含有させたステンレスを台金材料として含むようにしてもよい。溶融材料33をキャビティ32に充填させる工程は、大気中において行われてもよい。
【0042】
次に、
図12のステップS14に示すように、溶融材料33を固化させて刃先部20の接合面25に台金部10を接合させる。そして、台金部10は、接合面15の近傍に、刃先部20に含まれる刃先材料の構成成分である刃先成分が検出された刃先成分検出部分10Aを有するようにする。また、台金部10は、台金部10の内部に、刃先成分の濃度が検出限界以下となる刃先成分検出限界以下部分10Bを有するようにする。さらに、刃先成分検出部分10Aは、刃先成分検出限界以下部分10Bに近づくにつれて刃先成分の濃度が減少する部分を有するようにする。
【0043】
溶融材料33を固化させて刃先部20の接合面25に台金部10を接合させる際には、台金部10は、接合面15の近傍に、台金材料に含有された成膜成分の濃度よりも大きい濃度の成膜成分が検出された第1成膜成分検出部分10Cを有するようにしてもよい。台金部10は、台金部10の内部に、台金材料に含有された成膜成分の濃度以下の第2成膜成分検出部分10Dを有するようにしてもよい。そして、第1成膜成分検出部分10Cは、第2成膜成分検出部分10Dに近づくにつれて成膜成分の前記濃度が減少する部分を有するようにしてもよい。
【0044】
例えば、溶融材料33を固化させて刃先部20の接合面25に台金部10を接合させる際には、台金部10は、接合面15の近傍に、台金材料に含有されたニッケルの濃度よりも大きい濃度のニッケルが検出された第1ニッケル検出部分10Eを有するようにしてもよい。また、台金部10は、台金部10の内部に、台金材料に含有されたニッケルの濃度以下の第2ニッケル検出部分10Fを有するようにしてもよい。そして、第1ニッケル検出部分10Eは、第2ニッケル検出部分10Fに近づくにつれてニッケルの濃度が減少する部分を有するようにしてもよい。溶融材料33を固化させて刃先部20の接合面25に台金部10を接合させる工程は、大気中において行われてもよい。
【0045】
なお、上述した変形例のように、成膜材料が台金材料に含まれない材料の場合には、溶融材料33を固化させて刃先部20の接合面25に台金部10を接合させる際に、台金部10は、接合面15の近傍に、成膜材料の構成成分である成膜成分が検出された成膜成分検出部分10Gを有するようにする。また、台金部10は、台金部10の内部に、成膜成分の濃度が検出限界以下となる成膜成分検出限界以下部分10Hを有するようにする。そして、成膜成分検出部分10Gは、成膜成分検出限界以下部分10Hに近づくにつれて成膜成分の濃度が減少する部分を有するようにする。
【0046】
(比較例)
次に、本実施形態の効果を説明する前に、比較例を説明する。比較例のカッタ刃の製造方法は、接合面25に成膜材料の膜30を成膜せず、刃先部20の接合面25に直接に台金部10の溶融材料33を接触させて固化させる方法である。具体的には、比較例のカッタ刃の製造方法は、例えば、ステンレスを溶融させ、炭化チタンを含む刃先部20に直接に溶融したステンレスを接触させる方法である。
【0047】
比較例のカッタ刃の製造方法は、溶融材料33を直接に刃先部20の接合面25に接触させる際に、接合面25において形成される酸化膜が原因で接合が困難となる。例えば、溶融材料33をキャビティ32に充填させる工程及び溶融材料33を固化させて刃先部20の接合面25に台金部10を接合させる工程は、大気中において行われる。製造装置の都合上、このような工程の雰囲気制御は行えない場合があり、大気中での接合に限られるからである。したがって、大気中において、溶融材料33により高温状態になった接合面25には、酸化膜が形成されてしまう。
【0048】
(本実施形態の効果)
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態は、刃先部20の接合面25にメッキまたは溶射により成膜材料の膜30を形成した後、溶融材料33を接合面25に接触させる。したがって、溶融材料33をキャビティ32に充填させる工程及び溶融材料33を固化させて刃先部20の接合面25に台金部10を接合させる工程を大気中において行ったとしても、接合面25に成膜された膜30により、酸化膜の形成を抑制することができる。よって、台金部10と刃先部20とを、溶融接合あるいは拡散接合させることができる。これにより、台金部10と刃先部20との接合を強固にすることができる。
【0049】
また、本実施形態のカッタ刃1は、台金部10の接合面15の近傍に、刃先成分が検出された刃先成分検出部分10Aを有している。例えば、台金部10の断面を分析した場合に、台金部10における溶融・凝固したステンレスの領域にもチタンが検出される。これによって、台金部10と刃先部20とは、溶融接合あるいは拡散接合していると考えられる。したがって、台金部10と刃先部20との接合を強固にすることができる。よって、カッタ刃1の歩留まりを向上させ、製造コストを低減することができる。
【0050】
さらに、台金部10の接合面15の近傍に、成膜成分が検出された第1成膜成分検出部分10Cを有している。具体的には、接合面15の近傍に、第1ニッケル検出部分10Eを有している。よって、台金部10と刃先部20との接合を強固にすることができる。
【0051】
また、本実施形態のカッタ刃1の製造方法は、ロウ付けを省略することができる。よって、ロウ付けに必要な時間及びコストを低減することができる。また、仕上げ工程を不要とすることができ、刃先部20または台金部10に発生する損傷を抑制することができる。
【0052】
(実施形態2)
次に、実施形態2を説明する。本実施形態は、カッタ刃1の製造方法において、溶融材料を固化させた場合に、膜30が消失する厚さを取得する。
図16は、実施形態2に係るカッタ刃1の製造方法を例示したフローチャート図である。
【0053】
図16のステップS10に示すように、本実施形態のカッタ刃1の製造方法は、刃先部20の接合面25にメッキまたは溶射により成膜材料の膜30を成膜するステップS11の前に、台金部10が直接に刃先部20に接合する膜の厚さを取得するステップS10を有している。具体的には、刃先部20の接合面25に成膜された成膜材料の膜30に溶融材料33を接触させ、溶融材料33を固化させた場合に、膜30が消失し、台金部10が直接に刃先部20に接合する膜30の厚さを取得する。例えば、接合面25に成膜されたニッケル膜に溶融材料33を接触させ、溶融材料33を固化させた場合に、ニッケル膜が消失し、台金部10が直接に刃先部20に接合するニッケル膜の厚さを取得する。
【0054】
成膜材料の膜30に溶融材料33を接触させ、溶融材料33を固化させた場合に、膜30が消失し、台金部10が直接に刃先部20に接合する膜30の厚さは、台金材料及び刃先材料によって異なってもよいし、台金部10及び刃先部20の形状によって異なってもよい。消失する膜30の厚さは、例えば、数百μm以下であり、数十μm以下、場合によっては、数μm以下である。例えば、消失する膜30の厚さは、1~10μmでもよいし、10μm~100μmでもよいし、100μm~900μmでもよい。また、1nm~10nmでもよいし、10~100nmでもよいし、100~900nmでもよい。
【0055】
このようにして取得した厚さの膜30を接合面25に成膜することにより、ステップS14の溶融材料33を固化させて接合面25に台金部10を接合させるステップS14において、台金部10は、直接に刃先部20に接合するようにすることができる。
図16におけるステップS11~S14は、それぞれ
図12におけるステップS11~S14と同様である。
【0056】
本実施形態によれば、溶融材料33を固化させて接合面25に台金部10を接合させた場合に、成膜材料の膜30を消失させることができる。よって、台金部10と刃先部20とを、溶融接合あるいは拡散接合させることができ、台金部10と刃先部20との接合を強固にすることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1及び変形例の記載に含まれている。
【0057】
以上、本開示を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、実施形態1~2及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、実施形態1~2及び変形例の各構成を組み合わせたものも本開示の技術思想の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 カッタ刃
10 台金部
10A 刃先成分検出部分
10B 刃先成分検出限界以下部分
10C 第1成膜成分検出部分
10D 第2成膜成分検出部分
10E 第1ニッケル検出部分
10F 第2ニッケル検出部分
10G 成膜成分検出部分
10H 成膜成分検出限界以下部分
11 取付部
11a 底面
11b 上面
11c 前面
11d 背面
12 峰部
12a 底面
12b 上面
12c 前面
12d 背面
13 孔
14 傾斜面
15 接合面
20 刃先部
20a 底面
20b 上面
25 接合面
30 膜
31 金型
32 キャビティ
33 溶融材料
100 押出装置
101 駆動部
102 減速機
103 シリンダ
104 スクリュ
200 水中造粒装置
201 ダイプレート
202 カッタ刃ホルダ部
203 駆動部
204 プレート面
205 孔
206 材料