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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072431
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】超音波診断装置及びデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183240
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 章江
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601EE13
4C601EE14
4C601GA18
4C601GA25
4C601GB04
4C601GB06
4C601JB34
4C601KK25
4C601LL02
4C601LL14
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】超音波診断装置において、サーバーから取得したデータ群がローカル記憶部に長時間記憶されたままにならないようにする。
【解決手段】取得部44は、データ群をサーバーから取得し、当該データ群を記憶部(ローカル記憶部)48に格納する。表示制御部42は、複数画像表示モードの実行中において、超音波の送受信により生成されたリアルタイム超音波画像と、データ群の中から選択されたデータに基づいて生成された参照画像と、を並列表示する。削除部46は、複数画像表示モードの終了時に、データ群の内で削除条件を満たすデータを記憶部48から自動的に削除する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ群をサーバーから取得し、当該データ群をローカル記憶部に格納する取得部と、
複数画像表示モードの実行中において、超音波の送受信により生成されたリアルタイム超音波画像と、前記ローカル記憶部に格納されたデータ群の中から選択されたデータに基づいて生成された参照画像と、を表示する制御部と、
前記複数画像表示モードの終了時又はその後に、前記ローカル記憶部に格納されたデータ群の内で削除条件を満たすデータを前記ローカル記憶部から削除する削除部と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記データ群には、特定の被検者の体内から得られたボリュームデータが含まれ、
前記リアルタイム超音波画像は、前記特定の被検者の体内において形成されたビーム走査面上の組織を表すリアルタイム断層画像であり、
前記複数画像表示モードの実行時においては、前記選択されたデータとしてのボリュームデータから前記ビーム走査面に相当する断面データが抽出され、前記断面データに基づいて前記参照画像が生成及び表示される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記削除部は、
前記複数画像表示モードの終了時に、前記削除条件を満たすデータを前記ローカル記憶部から削除し、
前記複数画像表示モードを実行する工程を含む超音波検査の終了時に、前記ローカル記憶部に格納されたデータ群の内で残留しているデータを削除する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記削除部は、前記複数画像表示モードの実行中において前記サーバーから前記データ群が取得された場合に限り、前記複数画像表示モードの終了時又はその後に、前記削除条件を満たすデータを前記ローカル記憶部から削除する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記データ群を構成するデータごとに当該データに対する所定の操作の有無を示すフラグが登録される管理テーブルを含み、
前記削除部は、前記管理テーブルを参照して前記削除条件を満たすデータを特定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記削除部は、
前記複数画像表示モードの終了時に、前記削除条件を満たすデータを前記ローカル記憶部から削除する第1削除機能と、
前記複数画像表示モードの終了時に、前記データ群の全部を前記ローカル記憶部から削除する第2削除機能と、
を有し、
前記第1削除機能又は前記第2削除機能がユーザーにより選択される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
データ群をサーバーから取得し、当該データ群をローカル記憶部に格納する工程と、
複数画像表示モードの実行中において、超音波の送受信により生成されたリアルタイム超音波画像と、前記ローカル記憶部に格納されたデータ群の中から選択されたデータに基づいて生成された参照画像と、を表示する工程と、
前記複数画像表示モードの終了時又はその後に、前記ローカル記憶部に格納されたデータ群の内で削除条件を満たすデータを前記ローカル記憶部から削除する工程と、
を含むことを特徴とするデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は超音波診断装置及びデータ処理方法に関し、特に、サーバーから取得したデータの処理に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の超音波検査においては超音波診断装置が利用される。超音波診断装置は、複数の画像を同時に表示するモードを備えている。以下においては、当該モードを複数画像表示モードと称し、当該機能により構成される表示態様を複数画像表示と称する。
【0003】
複数画像表示モードにおいて表示される複数の画像は、超音波画像及びそれと比較される参照画像である。通常、それらの画像は同じ組織を表す。超音波画像は、動画像として表示されるリアルタイム超音波画像であり、参照画像は、例えば、過去に取得された超音波画像(通常、静止画像)であり、又は、過去に取得された非超音波画像(通常、静止画像)である。
【0004】
非超音波画像として、CT装置で取得されたCT画像、MRI装置で取得されたMR画像、等が挙げられる。実際には、CT装置で得られたボリュームデータから切り出された断面データに基づいて参照画像としてのCT画像が生成され、また、MRI装置で得られたボリュームデータから切り出された断面データに基づいて参照画像としてのMR画像が生成される。なお、同じ又は他の超音波診断装置で取得されたボリュームデータから切り出された断面データに基づいて参照画像が生成されることもある。
【0005】
特許文献1には、医用装置及びサーバーを含むシステムが開示されている。医用装置からサーバーへの画像のアップロードの完了後に医用装置において当該画像が自動的に削除されている。特許文献2には、超音波診断装置が開示されている。その超音波診断装置においては、設定日時が到来した時点で、ユーザー指定に係るデータが自動的に削除されている。特許文献1,2には、超音波診断装置において、特定の機能の終了に際し、保存の必要性の低いデータを自動的に削除する技術は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-34811号公報
【特許文献2】特開2011-5039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
超音波診断装置において複数画像表示の円滑な開始のためには、使用する可能性のあるデータ群をサーバーから前もって又は早めに取得し、そのデータ群をローカル記憶部に格納しておくことが望まれる。しかし、データ群の記憶状態が長引くと、ローカル記憶部の有限な記憶領域を有効利用できなくなる。
【0008】
本開示の目的は、サーバーから取得されたデータ群がローカル記憶部に長時間記憶されたままにならないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る超音波診断装置は、データ群をサーバーから取得し、当該データ群をローカル記憶部に格納する取得部と、複数画像表示モードの実行中において、超音波の送受信により生成されたリアルタイム超音波画像と、前記ローカル記憶部に格納されたデータ群の中から選択されたデータに基づいて生成された参照画像と、を表示する制御部と、前記複数画像表示モードの終了時又はその後に、前記ローカル記憶部に格納されたデータ群の内で削除条件を満たすデータを前記ローカル記憶部から削除する削除部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本開示に係るデータ処理方法は、データ群をサーバーから取得し、当該データ群をローカル記憶部に格納する工程と、複数画像表示モードの実行中において、超音波の送受信により生成されたリアルタイム超音波画像と、前記ローカル記憶部に格納されたデータ群の中から選択されたデータに基づいて生成された参照画像と、を表示する工程と、前記複数画像表示モードの終了時又はその後に、前記ローカル記憶部に格納されたデータ群の内で削除条件を満たすデータを前記ローカル記憶部から削除する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、サーバーから取得されたデータ群がローカル記憶部に長時間記憶されたままにならないという利点を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図2】サーバーが有するデータベースを示す図である。
図3】削除条件及び残留条件を示す図である。
図4】管理テーブルの構成例を示す図である。
図5】ローカル記憶部の記憶状態を示す図である。
図6】複数画像表示の一例を示す図である。
図7】取得部の動作を示すフローチャートである。
図8】削除部の基本動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(1)実施形態の概要
実施形態に係る超音波診断装置は、取得部、制御部、及び、削除部を有する。取得部は、データ群をサーバーから取得し、当該データ群をローカル記憶部に格納する。制御部は、複数画像表示モードの実行中において、超音波の送受信により生成されたリアルタイム超音波画像と、ローカル記憶部に格納されたデータ群の中から選択されたデータに基づいて生成された参照画像と、を表示する。削除部は、複数画像表示モードの終了時又はその後に、ローカル記憶部に格納されたデータ群の内で削除条件を満たすデータをローカル記憶部から削除する。
【0015】
上記構成によれば、複数画像表示モードの終了時又はその後に、削除条件を満たすデータが削除されるので、ローカル記憶部の有限な記憶領域の無駄な消費を防止できる。削除条件を満たすデータの削除は自動的に実行されるので、ユーザーにおいて削除操作の負担は生じない。上記の制御部は表示制御部又は表示処理部として機能するものである。
【0016】
複数画像表示モードの終了時にデータ群の全部を一律に削除することも考えられるが、その場合において、超音波検査中に、複数画像表示モードが再び実行されると、同じデータを再び取得しなければならなくなる。これを考慮して、複数画像表示モードの終了時又はその後に、削除条件を満たすデータ以外のデータ(つまり残留条件を満たすデータ)の格納状態が維持される。超音波検査の終了時に、データ群の一括削除を行うことも考えられるが、記憶領域の開放を早めるためには、複数画像表示モードの終了時に削除条件を満たすデータが削除された方がよい。
【0017】
実施形態において、データ群には、特定の被検者の体内から得られたボリュームデータが含まれる。リアルタイム超音波画像は、特定の被検者の体内において形成されたビーム走査面上の組織を表すものである。複数画像表示モードにおいては、選択されたデータとしてのボリュームデータからビーム走査面に相当する断面データが抽出され、断面データに基づいて参照画像が生成及び表示される。
【0018】
超音波プローブを動かすと、それに伴ってビーム走査面が運動する。ビーム走査面の運動に連動して参照画像の内容が更新される。複数画像表示モードによれば、リアルタイム超音波画像と参照画像(非超音波画像又は超音波画像)とを対比しながら、組織の診断又は評価を行える。参照画像は、CT画像、MR画像、PET画像等である。実施形態においては、超音波プローブの位置情報を得るために超音波診断装置に測位システムが組み込まれる。
【0019】
実施形態において、削除部は、複数画像表示モードの終了時に、削除条件を満たすデータをローカル記憶部から削除し、また、複数画像表示モードを実行する工程を含む超音波検査の終了時に、ローカル記憶部に格納されたデータ群の内で残留しているデータを削除する。この構成によれば、段階的にデータが削除されるので、記憶領域の開放とデータの円滑な利用とを両立させることができる。
【0020】
実施形態において、削除部は、複数画像表示モードの実行中においてサーバーからデータ群が取得された場合に限り、複数画像表示モードの終了時又はその後に、削除条件を満たすデータをローカル記憶部から削除する。複数画像表示とは無関係にサーバーからデータ群が取得された場合、他のアプリケーションプログラムによるデータ群の使用の可能性があるので、データ群の保全を優先させるものである。
【0021】
実施形態に係る超音波診断装置は、データ群を構成するデータごとに複数画像表示モードの実行中に当該データに対する所定の操作の有無を示すフラグが登録される管理テーブルを含む。削除部は、管理テーブルを参照して削除条件を満たすデータを特定する。この構成は、所定の操作の有無に従ってデータを残留させる必要性を判断するものである。
【0022】
実施形態において、削除部は、複数画像表示モードの終了時に、削除条件を満たすデータをローカル記憶部から削除する第1削除機能と、複数画像表示モードの終了時に、データ群の全部をローカル記憶部から削除する第2削除機能と、を有する。第1削除機能及び第2削除機能のいずれかがユーザーにより選択される。この構成によれば、データ保存の必要性やローカル記憶部の空き記憶領域の大きさ等に応じて、第1削除機能又は第2削除機能を選択的に実行させることが可能となる。
【0023】
実施形態に係るデータ処理方法は、取得工程、表示工程、及び、削除工程を有する。取得工程では、データ群がサーバーから取得され、当該データ群がローカル記憶部に格納される。表示工程では、複数画像表示モードの実行中において、超音波の送受信により生成されたリアルタイム超音波画像と、ローカル記憶部に格納されたデータ群の中から選択されたデータに基づいて生成された参照画像と、が表示される。削除工程では、複数画像表示モードの終了時又はその後に、ローカル記憶部に格納されたデータ群の内で削除条件を満たすデータがローカル記憶部から削除される。
【0024】
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る超音波診断システム10が示されている。超音波診断システム10は、例えば、病院等の医療機関内に設置される。図示の例において、超音波診断システム10は、超音波診断装置12、CT装置14、MRI装置16、サーバー18、等を有する。それらの装置は、ネットワーク20を介して相互に接続されている。ネットワーク20には、他の超音波診断装置22も接続されている。
【0025】
超音波診断装置12,22で取得されたデータがサーバー18にアップロードされる。同様に、CT装置14及びMRI装置16で取得されたデータがサーバー18にアップロードされる。実施形態においては、CT装置14からサーバー18へボリュームデータが送られており、また、MRI装置16からサーバー18へボリュームデータが送られている。他の超音波診断装置22からサーバーへボリュームデータが送られてもよい。ボリュームデータは、被検体内の三次元空間から取得された三次元データであり、それは通常、複数のスライスデータの集合体である。サーバー18は、アップロードされた複数のデータを格納する記憶部18Aを有している。記憶部18Aは、半導体メモリ、ハードディスク等により構成される。
【0026】
超音波診断装置12は、超音波プローブ24を有する。超音波プローブ24は、超音波の送信及び受信を行う振動素子アレイを有する。振動素子アレイは、一次元配列された複数の振動素子により構成される。振動素子アレイによって超音波ビームが形成され、超音波ビームは電子走査される。電子走査方式として、電子リニア走査方式、電子セクタ走査方式等が知られている。超音波プローブ24内には、必要に応じて、二次元振動素子アレイが設けられる。
【0027】
超音波プローブ24には磁気センサ26が設けられている。磁気センサ26は、磁場発生器34が生成した磁場を検出するものである。磁場発生器34には測位コントローラ36からの信号が供給されている。磁気センサ26、磁場発生器34及び測位コントローラ36によって測位システムが構成される。測位システムは、超音波プローブの位置及び姿勢を示す位置情報を生成するものである。
【0028】
送受信部28は、送信部及び受信部により構成される。具体的には、送信部は、送信ビームフォーマーとしての電子回路により構成され、送信時において振動素子アレイに対して複数の送信信号を並列的に供給する。これにより送信ビームが形成される。受信部は、受信ビームフォーマーとしての電子回路により構成され、受信時において振動素子アレイから並列的に出力された複数の受信信号に対して整相加算を適用する。これにより受信ビームデータが生成される。
【0029】
超音波ビームの電子走査により被検者の体内にビーム走査面が形成される。ビーム走査面は二次元データ取込領域である。超音波ビームの1回の電子走査当たり、電子走査方向に並ぶ複数の受信ビームデータが生成される。それらにより受信フレームデータが構成される。各受信ビームデータは深さ方向に並ぶ複数のエコーデータにより構成される。超音波ビームの電子走査の繰り返しにより、複数の受信フレームデータが生成され、それらが情報処理部30へ送られる。1つの受信フレームデータがビーム走査面から取得された1つの二次元データに相当する。
【0030】
超音波プローブ24の運動に伴って、生体内においてビーム走査面が運動する。ビーム走査面の位置及び姿勢を特定するために、上記の測位システムが設けられている。
【0031】
情報処理部30は、1又は複数のプロセッサにより構成される。例えば、情報処理部30は、プログラムを実行するCPUにより構成される。図1においては、情報処理部30が発揮する複数の機能が複数のブロックにより表現されている。
【0032】
情報処理部30は、超音波画像形成部38、参照画像形成部40、取得部44、及び、削除部46として機能する。表示制御部42は、複数画像表示モードにおいて複数画像表示を実現するものである。表示制御部42は、超音波画像形成部38及び参照画像形成部40を含んでいる。情報処理部30により、超音波診断装置12内の各構成要素の動作が制御される。
【0033】
超音波画像形成部38は、入力される複数の受信フレームデータに基づいて複数の超音波画像データを形成するものである。実施形態においては、複数の超音波画像により、動画像としてのリアルタイム断層画像が構成される。
【0034】
参照画像形成部40は、実施形態において、リアルタイム断層画像と同じ組織を表す参照画像を形成するものである。後に詳述するように、選択された特定のボリュームデータからビーム走査面に相当する断面データが抽出され、抽出された断面データに基づいて断層画像としての参照画像が形成される。参照画像は、リアルタイム断層画像と比較される過去画像である。参照画像形成部40は、測位システムから得られる位置情報に基づいて、三次元空間内におけるビーム走査面の位置を特定する。すなわち、参照画像形成部40は、位置情報に基づいて、ボリュームデータから抽出する断面データの位置を特定する。
【0035】
取得部44は、超音波検査における所定タイミングで、サーバー18からデータ群を取得し、そのデータ群を記憶部48に格納する。データ群は、現在の超音波検査の対象(特定の被検者)から得られた複数のボリュームデータにより構成される。具体的には、取得部44は、特定の被検者の識別情報をサーバーへ送信することにより、サーバーから特定の被検者のデータ群を取得する。
【0036】
超音波検査は、通常、時系列順で並ぶ複数の工程により構成される。実施形態において、複数の工程には、複数画像表示モードを実行する工程(複数画像表示工程)が含まれる。複数画像表示モードでは、他のモダリティで取得されたボリュームデータに基づいて形成された参照画像が表示される。参照画像として、過去の超音波画像(例えば断層画像)が表示されてもよい。いずれにしても、同じ組織を表す2つの画像(リアルタイム断層画像及び参照画像)を観察することにより、当該組織の診断及び評価を的確に行える。
【0037】
削除部46は、サーバーから取得したデータ群を自動的に削除する処理を実行するものである。削除部46は、複数画像表示モードの終了時にデータ群の内で削除条件を満たす1又は複数のデータを削除する第1削除機能、及び、超音波検査の終了時にデータ群の内で残留している1又は複数のデータを削除する第2削除機能、を有する。削除部46のデータ削除により、後述する記憶部48に、長期間にわたって使用可能性の低い複数のデータが残留してしまうことを回避できる。あるいは、個別的にデータを削除する際のユーザー負担の発生を回避できる。
【0038】
なお、実施形態においては、削除部46が、上記のように選択的にデータを削除する機能の他、複数画像表示モードの終了時に一括してデータ群の全部を削除する機能も有している。複数画像表示モードの終了時ではなく終了後にデータが自動的に削除されてもよい。例えば、複数画像表示モードの終了時から所定時間が経過した時点でデータが自動的に削除されてもよい。
【0039】
情報処理部30には、ローカル記憶部としての記憶部48が接続されている。記憶部48は、半導体メモリ、ハードディスク等により構成される。記憶部48には、管理テーブル50、データ群52、超音波画像データ群54、等が格納される。
【0040】
データ群52は、例えば、サーバーからダウンロードした複数のボリュームデータにより構成される。被検者の超音波検査の開始時に、当該被検者についてのデータ群52として、参照可能性がある全部のボリュームデータが先行取得され、当該データ群52が記憶部48に格納される。所得するボリュームデータの個数上限がユーザーにより指定されてもよい。個々のボリュームデータは例えば百枚以上のスライスデータにより構成され、その記憶容量は非常に大きい。このため、個々のボリュームデータの今後の使用可能性に応じて個々のボリュームデータが適時に削除される。
【0041】
管理テーブル50は、サーバーから取得されたデータ群52を管理するためのテーブルである。管理テーブル50は、個々のボリュームデータごとに所定のユーザー操作の有無を管理するためのフラグを有する。これについては後に詳述する。超音波画像データ群54は、超音波診断装置12で取得された複数の超音波画像データにより構成される。
【0042】
情報処理部30には、操作パネル56、表示器58、通信部60等が接続されている。操作パネル56は、入力デバイスであり、それは複数のスイッチ、トラックボール、キーボード等を有する。表示器58は、液晶表示器、有機EL表示器等により構成される。
【0043】
表示器58には、複数画像表示モードの実行中において、例えば、リアルタイム超音波画像であるリアルタイム断層画像と、断層画像に相当するCT画像、MR画像等の参照画像と、が並列表示される。リアルタイム断層画像と共に複数の参照画像が表示されてもよい。情報処理部30は通信部を介してネットワーク20に接続されている。ネットワーク20は例えばLANである。ネットワーク20にインターネットが含まれてもよい。
【0044】
図2には、サーバー18が有する管理テーブル62の一例が示されている。管理テーブル62を用いてサーバー18にアップロードされた個々のデータが管理される。管理テーブル62は、複数のレコード64を有する。各レコード64は、複数の情報により構成される。図示の例では、複数の情報には、データID66、被検者ID68、被検者氏名70、検査日72、モダリティ種別74、データタイプ76、等が含まれる。モダリティ種別74は、データが取得された医療装置の種別を示す情報である。データタイプ76として、二次元データ、三次元データ等が管理される。
【0045】
サーバーにおいて超音波診断装置へ転送するデータ群のフィルタリングが実施されてもよいし、超音波診断装置においてサーバーから取得したデータ群のフィルタリングが実施されてもよい。
【0046】
図3には、超音波診断装置において、データ群に適用される削除条件及び残留条件の一例が示されている。例えば、符号120は、前提条件を示している。複数画像表示モードの実行中に、あるデータが表示対象として選択された場合、前提条件が満たされる。符号122で示すように、選択されたデータに対してユーザーが所定の操作を行ったか否かが判断される。所定の操作として、例えば、画像のストア操作、画像に基づく計測、複数画面表示の実行状態を保存する操作、等が挙げられる。所定の操作がユーザーにより定義されてもよい。
【0047】
前提条件を満たすデータにつき、所定の操作があったと判断された場合、符号126で示すように、残留条件の充足が判定される。一方、前提条件を満たすデータにつき、所定の操作がなかったと判断された場合、符号124で示すように、削除条件の充足が判定される。その場合、複数画像表示モードの終了時に当該データが記憶部から自動的に削除される。残留条件が充足された場合、当該データは超音波検査終了時に削除される。
【0048】
もっとも、その削除を禁止して、当該データの残留状態が維持されてもよい。その場合、例えば、検査終了時から一定期間経過後に当該データが自動的に削除されてもよい。削除されてもサーバーには同じデータが存在しているので、当該データの再取得は可能である。
【0049】
図4には、超音波診断装置が有する管理テーブル50の例が示されている。管理テーブル50は、データ群を構成する複数のデータに対応する複数のレコード78を有する。各レコード78は複数の情報を有している。図示の例では、複数の情報には、被検者ID80、被検者氏名82、検査日84、モダリティ種別86、データタイプ88、が含まれ、更に、操作フラグ90が含まれる。
【0050】
操作フラグ90としての「1」は、上記前提条件が満たされた上で、上記の所定の操作があったことを示している。操作フラグ90としての「0」は、上記前提条件が満たされないか、上記前提条件が満たされたものの、所定の操作がなかったことを示している。複数画像表示モードの終了時に、削除部により、サーバーより取得されたデータごとに、操作フラグ90が参照され、これにより削除条件を満たすデータ及び残留条件を満たすデータが特定される。
【0051】
図5には、画像92が示されている。画像92は、サーバーからダウンロードしたデータ群の記憶状態を示すものである。画像92には、検索条件を入力する欄94、及び、検索結果を示す欄95が含まれる。欄95には、項目列96が含まれる。項目列96は、複数の項目98により構成される。各項目98には、ダウンロードしたデータを特定する情報100及びダウンロードしたデータを表すサムネイル画像102が含まれる。図示の例では、4つのボリュームデータがダウンロードされており、それらを表す4つのサムネイル画像が表示されている。各サムネイル画像がボリュームデータを代表する断面データに基づいて作成される。
【0052】
複数画像表示モードの終了時に削除処理が自動実行される。画像92Aは、削除後の状態を示すものである。欄95には1つの項目98Aのみが表示されている。他の3つの項目は非表示となっている。これは、ダウンロードされた3つのボリュームデータが既に削除されたことを示している。
【0053】
図6には、複数画像表示モードにおいて表示される画像の一例が示されている。画像102には、リアルタイム断層画像104と参照画像106とが含まれる。リアルタイム断層画像104は、超音波の送信及び受信によって生成された現在の超音波画像である。参照画像106は、例えば、CTボリュームデータにおいて、ビーム走査面に対応する断面データから生成された断層画像である。その断層画像は、リアルタイム断層画像104に現れている組織と同一の組織を表すものである。
【0054】
画像102には、三次元ボディマーク107が含まれる。三次元ボディマーク107は、ガイダンス像であり、それには、組織を模式的に表す像108と、ビーム走査面又はそれを含む断面を模式的に表す像110と、が含まれる。
【0055】
図7には、実施形態における取得部の動作が示されている。例えば、複数画像表示モードの実行開始時に、S10において、サーバーが検索され、これによりサーバーから取得するデータ群が特定される。例えば、データ群は、現在、超音波検査を行っている特定の被検者から取得された複数のデータにより構成される。実施形態においては、各データは、他のモダリティで取得されたボリュームデータである。S12では、サーバーからデータ群が取得(ダウンロード)され、そのデータ群が記憶部(ローカル記憶部)に格納される。
【0056】
S14では、ダウンロード種別が判定される。複数画像表示モードの実行過程においてデータ群が取得された場合、ダウンロード種別として特定ダウンロードが判定され、一方、複数画像表示モードとは無関係にデータ群が取得された場合、一般ダウンロードが判定される。特定ダウンロードが行われた場合に、S16では、複数画像表示モードの実行中において、使用されたデータごとに所定の操作の有無が管理される。具体的には、管理テーブル上においてフラグ内容が管理される。一方、一般ダウンロードが行われた場合にはS16に示す管理は実施されず、その場合には、自動削除は実施されない。他のアプリケーションや他のモードにおいてデータ群を使用する可能性があるからである。もちろん、その場合において、超音波検査の終了時に取得したデータ群が一括削除されてもよい。S16の工程の実行有無が事前にユーザーにより選択されてもよい。
【0057】
図8には、実施形態における削除部の動作が示されている。S20において、複数画像表示モードの終了が判定された場合、S22において選択的削除機能及び全部削除機能の内でユーザーが事前に選択した機能が識別される。選択的削除機能が選択されている場合、S24において、記憶部から、削除条件を満たすデータのみが削除される。すなわち、今後使用する可能性の小さいデータが削除される。
【0058】
一方、全部削除機能が選択されている場合、S28では、記憶部から、データ群の全部が削除される。S28では、削除情報がログとして記録される。
【0059】
S24が実施された場合、超音波検査の終了時に、残留したデータが記憶部から削除される(S30)。但し、そのような削除がユーザーにより制限された場合、残留したデータの記憶状態が維持される。
【0060】
上記の実施形態によれば、サーバーから取得されたボリュームデータ群がローカル記憶部に長時間記憶されたままにならないようにできる。
【符号の説明】
【0061】
10 医用システム、12 超音波診断装置、18 サーバー、20 ネットワーク、24 超音波プローブ、30 情報処理部、38 超音波画像形成部、40 参照画像形成部、42 処理部、44 取得部、46 削除部、48 記憶部、50 管理テーブル。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8