IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルネサスエレクトロニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置 図1
  • 特開-半導体装置 図2
  • 特開-半導体装置 図3
  • 特開-半導体装置 図4
  • 特開-半導体装置 図5
  • 特開-半導体装置 図6
  • 特開-半導体装置 図7
  • 特開-半導体装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072439
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/01 20060101AFI20240521BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20240521BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01K7/01 S
H01L21/82 B
H01L27/04 M
H01L27/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183256
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 満彦
【テーマコード(参考)】
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
5F038AV06
5F038AZ08
5F038BH16
5F038CA08
5F038DF04
5F038DF07
5F064AA04
5F064BB33
5F064CC12
5F064DD05
5F064FF12
(57)【要約】
【課題】信頼性寿命の低下を抑制することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、トランジスタを備え、半導体チップにおいて、測定対象領域に近接して配置され、測定対象領域における温度に応じたリーク電流をセンサー信号SS1、SS2として出力するローカルセンサーLoSと、半導体チップに配置され、ローカルセンサーLoSからのセンサー信号SS1、SS2をデジタルカウント値に変換する変換回路LDC1、LDC2と、半導体チップにおいて、平面視で見たときに、ローカルセンサーLoSと変換回路LDC1、LDC2との間に配置された回路ブロックCB2_1~CB3_3とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタを備え、半導体チップにおいて、測定対象領域に近接して配置され、前記測定対象領域における温度に応じた、前記トランジスタのリーク電流をセンサー信号として出力するローカルセンサーと、
前記半導体チップに配置され、前記ローカルセンサーからの前記センサー信号をデジタルカウント値に変換する変換回路と、
前記半導体チップにおいて、平面視で見たときに、前記ローカルセンサーと前記変換回路との間に配置された回路ブロックと、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記測定対象領域には第1スタンダードセルが配置され、前記回路ブロックは、第2スタンダードセルによって構成された、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1スタンダードセルは、複数のセルを備え、前記ローカルセンサーは、平面視で見たとき、前記複数のセル間に埋め込まれている、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1スタンダードセルおよび前記第2スタンダードセルのそれぞれは、複数のトランジスタを備えている、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ローカルセンサーは、前記トランジスタとして、ダイオード接続されたトランジスタを備え、前記リーク電流は、前記ダイオード接続されたトランジスタを介して所定の電圧との間を流れるリーク電流である、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記ダイオード接続されたトランジスタは、Pチャンネル型またはNチャンネル型のトランジスタである、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体チップには、前記半導体チップにおける平均温度に応じたセンサー信号を出力するグローバルセンサーが配置され、前記グローバルセンサーによって測定された前記平均温度が、デジタル値として出力される、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記ローカルセンサーは、平面視で見たときに、前記半導体チップにおいて互いに異なる領域に配置された複数のローカルセンサーを備えている、半導体装置。
【請求項9】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1スタンダードセルは、境界が物理的に分離されていない2つのセルを備え、前記2つのセル間に、前記センサー信号を取り出すドレイン電極が配置されている、半導体装置。
【請求項10】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第2スタンダードセルは、複数のクロック信号に従って動作する複数の第2スタンダードセルを備え、
前記第1スタンダードセルは、前記複数のクロック信号を生成する複数の第1スタンダードセルを備え、前記複数の第1スタンダードセルのうちの一部に近接して、前記ローカルセンサーが配置されている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば3次元の半導体プロセスによって製造された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に対する動作速度、動作時間等の顧客要求は、近年、ますます高くなっており、半導体装置の信頼性を担保する設計が厳しくなっている。また、3次元の半導体プロセスを採用することで、半導体装置の微細化が進んでおり、信頼性を担保する設計がより厳しくなっている。
【0003】
3次元の半導体プロセスの一例として、FinFET(Field Effect Transistor)プロセスがある。FinFETは、所謂プレーナー型のFETと比べて、それが動作することで生じる自己発熱の発熱量が増大する。微細化にともなって、この自己発熱の発熱量が増大し、半導体装置の信頼性寿命が低下することが危惧されている。
【0004】
半導体装置の信頼性寿命として、摩耗故障を予測する技術が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-118414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、半導体装置の信頼性寿命が低下するのを防ぐために、FETの自己発熱を高精度に測定することを検討した。
【0007】
半導体装置を構成する半導体チップに、温度センサーを形成し、半導体チップの温度を測定することが知られている。この場合、温度センサーは、グローバルな温度センサーであり、半導体チップの平均温度を測定することになる。グローバルな温度センサーでは、半導体チップにおける局所的な領域の温度が、FinFETの自己発熱によって上昇しても、その温度上昇を高精度に測定することは困難であるという課題がある。
【0008】
半導体チップ内のトランジスタレベルの局所的な領域の温度を測定するためには、温度センサーを局所的な領域の近傍に配置することが必要となる。温度センサーの構成としては、FETのしきい値を測定するもの(Vt測定型)、P型半導体領域とN型半導体領域の間の接続領域(PNジャンクション)を流れる電流を測定するもの(PN_Junction型)、ケルビン抵抗を利用するもの、複数のバイポーラトランジスを利用するもの(PTAT電流型)等が存在する。
【0009】
Vt測定型およびPN_Junction型では、電流―電圧カーブを予め求め、測定した値を、電流―電圧カーブによって変換することが必要となる。そのため、これらを半導体チップに実装するのは現実的ではない。また、PTAT電流型は、複数のバイポーラトランジスタを必要とするため、温度センサーの占有面積が大きくなる。
【0010】
ケルビン抵抗を利用するものは、占有面積を小さくすることが可能であり、局所的な領域に近接して配置することが可能である。しかしながら、ケルビン抵抗の両端間の微小電位差を測定することが必要であるため、ノイズの影響を受け易い。
【0011】
すなわち、前記したような構成は、半導体チップ内のトランジスタレベルの局所的な領域の温度を測定するのに適していないという課題がある。
【0012】
自己発熱が大きい局所的な領域は、その平均電力密度が高いFinFETが配置されている領域に該当する。すなわち、そのオン/オフの繰り返しが早いまたは/および流れる電流が大きいFinFETが配置されている領域が、自己発熱の大きい領域に該当する。このような平均電力密度が高いFinFETを用いている回路ブロックは、高活性化率で負荷容量が大きなクロックバッファまたは/およびクロックインバータが該当するものと想定される。
【0013】
回路ブロックは、例えば複数のスタンダードセルを組み合わせて構成することができる。この場合、半導体装置の設計においては、通常、回路ブロックを配置するレイアウト設計の後で、回路ブロックへクロック信号を供給するクロック信号のレイアウト設計が行われる。そのため、高活性化率で負荷容量が大きなクロックバッファまたは/およびクロックインバータは、クロック信号のレイアウト設計が終了した後で判明することになる。判明した後で、占有面積の大きな温度センサーを、追加して配置することは困難であり、追加の温度センサーを配置するために、回路ブロックを配置するレイアウト設計から再度実施することが要求されることも考えられる。
【0014】
特許文献1には、自己発熱を高精度に測定することは示されていないし、局所的な領域の温度を測定することも示されていない。さらに、前記した課題も、特許文献1には記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される実施の形態のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0016】
すなわち、半導体装置は、トランジスタを備え、半導体チップにおいて、測定対象領域に近接して配置され、測定対象領域における温度に応じたリーク電流をセンサー信号として出力するローカルセンサーと、半導体チップに配置され、ローカルセンサーからのセンサー信号をデジタルカウント値に変換する変換回路と、半導体チップにおいて、平面視で見たときに、ローカルセンサーと変換回路との間に配置された回路ブロックとを備えている。
【0017】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0018】
一実施の形態によれば、信頼性寿命の低下を抑制することが可能な半導体装置を提供することが可能となる。また、一実施の形態によれば、FinFETの自己発熱を高精度に測定することが可能な半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
図2】(A)および(B)は、実施の形態1に係るローカルセンサーおよび変換回路を説明するための図である。
図3】実施の形態1に係るローカルセンサーと変換回路の分離配置を説明するための図である。
図4】実施の形態1の変形例に係るローカルセンサーおよび変換回路の構成を示す回路図である。
図5】(A)~(C)は、実施の形態2に係る半導体装置を説明するための図である。
図6】実施の形態3に係るスタンダードセルの構成を示す平面図である。
図7】実施の形態4に係るスタンダードセルの構成を示す平面図である。
図8】FinFETの構造を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。
【0021】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0022】
以下で説明する複数の実施の形態では、FinFETプロセスによって製造された半導体装置を例にして説明する。そのため、実施の形態を説明する前に、先ず、FinFETの構造を説明しておく。図8は、FinFETの構造を示す模式的な斜視図である。図8において、Subは半導体チップの基板を示している。基板Subは、例えばシリコン(Si)領域とシリコン領域の主面上に形成された酸化膜(図示せず)とを備えている。基板Subの主面上に、半導体領域(例えばシリコン)Siが立体的に配置され、この半導体領域Siの一部分を覆うように、FinFETのゲート電極Gが配置されている。ゲート電極Gの両側に突出している半導体領域(Fin)が、FinFETのドレイン領域およびソース領域として機能し、ドレイン電極Dおよびソース電極Sに接続される。
【0023】
半導体チップには、このようなFinFETと、その他の素子とによって構成された回路ブロックが、複数配置され、所定の機能を達成する半導体装置が構成されている。
【0024】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。図1において、1は半導体装置を示している。図1は、半導体装置1を構成する半導体チップを、その主面上方から見たときの平面図である。
【0025】
半導体チップには、多数の回路ブロックが配置されているが、図面が複雑になるのを避けるために、図1には、一部の回路ブロックCB1_1~CB3_3のみが示されている。なお、図1では省略されているが、回路ブロックCB1_1~CB3_3間は、信号の送受信が可能となるように、互いに信号配線によって接続されている。
【0026】
特に制限されないが、回路ブロックCB1_2、CB2_2、CB1_3およびCB2_3は、クロック信号に同期して動作する。すなわち、回路ブロックCB1_2は、クロック信号CK1_1、CK2_1に同期して動作し、回路ブロックCB2_2は、クロック信号CK1_2、CK2_2に同期して動作する。同様に、回路ブロックCB1_3は、クロック信号CK3_1、CK4_1に同期して動作し、回路ブロックCB2_3は、クロック信号CK3_2、CK4_2に同期して動作する。
【0027】
クロック信号CK1_1~CK4_1およびCK1_2~CK4_2は、クロック発生回路CKGおよびクロックインバータCKI1~CKI4によって形成される。すなわち、クロック発生回路CKGがマスタクロック信号CKmを発生する。マスタクロック信号CKmは、クロックインバータCKI1によって反転され、クロック信号CK1_1、CK1_2として回路ブロックCB1_2、CB2_2に供給される。また、クロックインバータCKI1からのクロック信号CK1は、クロックインバータCKI2に供給される。クロックインバータCKI2は、クロック信号CK1を反転し、クロック信号CK2_1、CK2_2として、回路ブロックCB1_2、CB2_2に供給する。
【0028】
同様に、クロックインバータCKI2からのクロック信号CK2は、クロックインバータCKI3に供給される。クロックインバータCKI3は、クロック信号CK2を反転し、クロック信号CK3_1、CK3_2として、回路ブロックCB1_3、CB2_3に供給する。さらに、クロックインバータCKI3からのクロック信号CK3は、クロックインバータCKI4に供給される。クロックインバータCKI4は、クロック信号CK3を反転し、クロック信号CK4_1、CK4_2として、回路ブロックCB1_3、CB2_3に供給する。
【0029】
図1では、マスタクロック信号CKmが、クロックインバータCKI1~CKI4の順に供給される例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、マスタクロック信号CKmが、クロックインバータCKI1~CKI4の全て、あるいは一部に、並列的に供給されるようにしてもよい。
【0030】
図1では、クロックインバータCKI1~CKI4が、インバータIV1~IV4を備えているものを例として示しているが、これに限定されるものではない。すなわち、クロックインバータCKI1~CKI4の全て、あるいは一部は、供給されたクロック信号をバッファして出力するクロックバッファであってもよい。インバータIV1~IV4は、複数のFinFETによって構成されている。例えば、インバータIV1は、電源電圧と接地電圧との間に直列接続されたPチャンネル型FinFET(以下、P型トランジスタとも称する)とNチャンネル型FinFET(以下、N型トランジスタとも称する)を備えている。クロックバッファは、例えば入出力が直列接続された2個のインバータを備えている。
【0031】
図1において、LoSは温度センサーを示している。温度センサーLoSは、クロックインバータCKI1、CKI3の近傍に配置されている。図1を参照して、より具体的に述べると、温度センサーLoSは、クロックインバータCKI1、CKI3に隣接して配置されている。温度センサーLoSは、隣接したクロックインバータCKI1、CKI3が配置されている局所的な領域の温度を測定し、測定した温度に応じたセンサー信号SS1、SS2を出力する。
【0032】
図1において、GSは、半導体チップの温度を測定する温度センサーである。温度センサーGSは、半導体チップの全体における平均温度に応じたデジタル値のセンサー信号GSLを出力する。温度センサーGSは、半導体チップ全体の平均温度に応じたセンサー信号GSLを出力するため、グローバル温度センサー(グローバルセンサー)とも見なすことができる。これに対して、温度センサーLoSは、隣接した局所的な領域の温度に応じたセンサー信号SS1、SS2を出力するため、ローカル温度センサー(ローカルセンサー)とも見なすことができる。以下では、温度センサーLoSをローカルセンサーと称し、温度センサーGSをグローバルセンサーとも称する。
【0033】
ローカルセンサーLoSから出力されたセンサー信号SS1、SS2は、クロックインバータCKI1、CKI3およびローカルセンサーLoSから離れて配置された変換回路LDC1、LDC2に供給される。図1を例にして述べると、平面視で見たときに、クロックインバータCKI1、CKI3およびローカルセンサーLoSと、変換回路LDC1、LDC2との間には、2つの回路ブロック(例えば、CB2_1とCB3_1、CB2_2とCB3_2)が配置されており、これらの間は、平面視で見たときに離間されている。勿論、これらに間に配置される回路ブロックの数は、2個に限定されず、1個あるいは3個以上であってもよい。
【0034】
変換回路LDC1およびLDC2は、センサー信号SS1、SS2をデジタルカウント信号Cnt1、Cnt2に変換し、処理回路PBに供給する。グローバル温度センサーGSから出力されているセンサー信号GSLも、処理回路PBに供給される。処理回路PBは、特に制限されないが、デジタルカウント信号Cnt1または/およびCnt2を処理して、ローカル温度情報LoTを生成し、半導体装置1の外部に出力する。同様に、処理回路PBは、特に制限されないが、センサー信号GSLを処理して、グローバル温度情報GTを生成し、半導体装置1の外部に出力する。
【0035】
半導体装置1の外部では、グローバル温度情報GTおよびローカル温度情報LoTを用いて、半導体装置1が設置されている環境の温度を制御する。これにより、半導体装置の信頼性寿命の低下を抑制することが可能となる。
【0036】
クロックインバータ(あるいはクロックバッファ)を構成するFinFETは、供給されるクロック信号に従って動作するため、高活性化率である。また、回路ブロック等を駆動するため、クロックインバータ(クロックバッファ)を構成するFinFETの負荷容量は大きい。そのため、半導体チップにおいて、クロックインバータ(クロックバッファ)が配置されている領域が、自己発熱が大きい局所的な領域に該当することになる。
【0037】
実施の形態1に係る半導体装置1においては、クロックインバータ(クロックバッファ)が配置された領域に近接した領域にローカルセンサーLoSが配置される。すなわち、図1では、クロックインバータCKI1およびCKI3に隣接して、ローカルセンサーLoSが配置されている。その結果、自己発熱の大きな局所的な領域の温度を、ローカル温度情報LoTとして出力することが可能である。
【0038】
また、変換回路LDC1、LDC2は、ローカルセンサーLoSから離れた領域に配置されている。すなわち、平面視で見たときに占有面積が大きくなる変換回路LDC1、LDC2は、ローカルセンサーLoSから物理的に分離され、半導体チップにおいて、平面視で見たときに余裕のある領域に配置することが可能である。
【0039】
グローバル温度情報GTによって、半導体チップの平均温度を把握することは可能であるが、FinFETの自己発熱による局所的な領域の温度の変化は、グローバル温度情報GTでは把握することが困難である。実施の形態1によれば、ローカルセンサーLoSによって、局所的な領域の温度の変化が高精度に測定され、ローカル温度情報LoTとして出力される。このローカル温度情報LoTを用いることにより、自己発熱による局所的な領域の温度の変化に応じて、半導体装置1の例えば外部環境の温度を制御することにより、半導体装置の信頼性寿命の低下を抑制することが可能となる。また、ローカルセンサーLoSのみが、局所的な領域の近傍に配置されるため、ローカルの温度を測定する回路の専有面積が大きくなるのを抑制することが可能である。
【0040】
<ローカルセンサーおよび変換回路>
次に、実施の形態1に係るローカルセンサーおよび変換回路の構成例を説明する。図2は、実施の形態1に係るローカルセンサーおよび変換回路を説明するための図である。ここで、図2(A)は、ローカルセンサーおよび変換回路の構成を示す回路図である。ローカルセンサーおよび変換回路は、図1に示したように、半導体チップにおいて分離して配置されているが、図2(A)では、その構成を示すために一体で、描かれている。また、図2(B)は、ローカルセンサーおよび変換回路の動作を説明するための特性図である。図1に示した変換回路LDC1とLDC2は、同じ構成であるため、ここでは変換回路LDC1を例にして説明する。
【0041】
図2(A)において、MP1~MPnは、P型トランジスタを示し、MN1およびMN2は、N型トランジスタを示している。特に制限されないが、P型トランジスタMP1~MPnおよびN型トランジスタMN1、MN2は、図8に示したようなFinFETによって構成されている。
【0042】
P型トランジスタMP1~MPnのそれぞれは、ゲート電極とソース領域が、電源電圧Vdに接続され、ドレイン領域が、ノードn0に接続されている。すなわち、n個(1~n)のP型トランジスタMPのそれぞれが、ダイオード接続され、電源電圧Vdとノードn0との間で並列接続されている。N型トランジスタMN1およびMN2のソース領域は、接地電圧Vsに接続され、ドレイン領域は、ノードn0に接続されている。すなわち、N型トランジスタMN1およびMN2のソース・ドレイン経路が、ノードn0と接地電圧Vsとの間で並列接続されている。
【0043】
ノードn0は、比較回路CPの正入力端子(+)に接続されている。比較回路CPの負入力端子(-)には、所定の基準電圧Vrfが供給されている。比較回路CPは、ノードn0の電圧と基準電圧Vrfとを比較し、比較の結果に従った電圧をノードn1に出力する。ノードn1からノードnnの間には、図2(A)に示すように、複数のインバータIVL1~IVLnが直列接続されている。なお、特に制限されないが、インバータIVL2の入出力間には、フィードバック用の小型のインバータIVfが接続されている。ノードnnから、変換回路LDC1の出力信号であるデジタルカウント信号Cnt1が出力される。また、ノードnnは、N型トランジスタMN2のゲート電極に接続されている。
【0044】
N型トランジスタMN1のゲート電極には、リセット信号RSTが供給される。このリセット信号RSTは、特に制限されないが、図1に示した処理回路PBが、ローカル温度を測定する前にハイレベルに変化させ、ローカル温度を測定する際には、ロウレベルに変化させる。
【0045】
リセット信号RSTがロウレベルとされることにより、N型トランジスタMN2がオフのとき、並列接続されたP型トランジスタMP1~MPnを介して、電源電圧Vdからリーク電流が流れる。図2(A)では、P型トランジスタMP1を流れるリーク電流が、符号ldで示されている。リーク電流ldが流れることにより、ノードn0に付随する寄生容量が充電(または放電)され、ノードn0の電圧が基準電圧Vrfに到達するまでの時間が、リーク電流の値に従って変化することになる。その結果、比較回路CPの出力電圧が変化するタイミングが変化することになる。
【0046】
N型トランジスタMN2、P型トランジスタMP1~MPnによって実質的にインバータが構成されている。このインバータには、インバータIVLnの出力がフィードバックされているため、このインバータとインバータIVL1~IVLnとによって、リングオシレータが構成されていることになる。比較回路CPの出力電圧の変化するタイミングが変わることにより、リングオシレータの発振周波数が変化することになる。
【0047】
並列接続されたP型トランジスタMP1~MPnを流れるリーク電流ldは、P型トランジスタMP1~MPnが配置されている領域の温度に依存して変化する。したがって、P型トランジスタMP1~MPnが配置されている領域の温度に依存して、デジタルカウント信号Cnt1の周波数(カウント値)が変化することになる。
【0048】
図2(B)には、リーク電流と、デジタルカウント信号Cnt1の周波数と、P型トランジスタMP1~MPnが配置されている領域の温度との関係が示されている。すなわち、図2(B)において、横軸はリーク電流を示し、縦軸は周波数を示している。P型トランジスタMP1~MPnが配置されている領域の温度が、25度(C)、85度、125度と変化すると、図2(B)に示すように、リーク電流が増加し、周波数も高くなる。すなわち、温度の上昇に伴って、直線的に周波数が高くなる。
【0049】
図2(A)に示した構成においては、並列接続されたP型トランジスタMP1~MPnによって、ローカルセンサーLoSが構成され、N型トランジスタMN1、MN2、比較回路CPおよびインバータIVL1~IVLn、IVfによって、変換回路LDC1が構成され、半導体チップにおいて分離して、配置される。なお、並列接続されたP型トランジスタMP1~MPnは、温度を測定するセンサートランジスタと見なすことができる。
【0050】
<<ローカルセンサーおよび変換回路の分離配置>>
次に、ローカルセンサーと変換回路の半導体チップにおける分離配置を説明する。図3は、実施の形態1に係るローカルセンサーと変換回路の分離配置を説明するための図である。
【0051】
クロックインバータCKI1が配置されている領域、すなわちFinFETの自己発熱によって局所的に温度が変化する測定対象領域に近接して、ローカルセンサーLoSを構成するP型トランジスタMP1、MP2が配置されている。測定対象領域およびローカルセンサーLoSが配置された領域から離れた領域に、変換回路LDC1が配置されている。変換回路LDC1を構成するN型トランジスタMN1、MN2のドレイン領域と、P型トランジスタMP1、MP2のドレイン領域との間を電気的に接続する信号配線SS1_Lが、平面視で見たときに、回路ブロック間、例えば図1では、回路ブロックCB2_1、CB3_1とCB2_2、CB3_2間に配置されている。ここでは、信号配線SS1_Lが、平面視で見たときに、回路ブロック間に配置されている例を述べたが、これに限定されるものではない。例えば信号配線SS1_Lは、平面視で見たときに、回路ブロックと重なっていてもよい。
【0052】
この信号配線SS1_Lによって、センサー信号SS1が、ローカルセンサーLoSから変換回路LDC1に伝達する。より具体的に述べると、信号配線SS1_Lを、温度に依存したリーク電流が流れることになる。変換回路LDC1は、リーク電流によってノードn0の電圧が基準電圧Vrfに到達するまでの時間をデジタルカウント信号Cnt1の周波数に変換している。すなわち、変換回路LDC1は、リーク電流の積分値をデジタルカウント信号Cnt1の周波数に変換している。
【0053】
信号配線SS1_Lの近くには回路ブロックが配置されているため、回路ブロックから信号配線SS1_Lへのクロストーク等によって、ノイズnzが信号配線SS1_Lに伝わることが考えられる。この場合でも、リーク電流による寄生容量の充電時間に比べて、ノイズnzの時間が短いため、ノイズnzによる悪影響は軽微である。また、ノイズnzの電圧が上下に変化する場合、この変化に合わせてリーク電流も上下に変化するが、積分値としては、リーク電流の上下の変化はキャンセルされることになり、悪影響は軽微である。
【0054】
図1では、4個のクロックインバータのうち、2個のクロックインバータCKI1、CKI3についてのみ、隣接してローカルセンサーLoSを配置する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、4個のクロックインバータCKI1~CKI4のそれぞれにおける自己発熱が大きいと考えられる場合には、クロックインバータCKI1~CKI4のそれぞれに隣接して、ローカルセンサーLoSを配置するようにしてもよい。
【0055】
また、図1では、ローカルセンサーLoSと変換回路とを一対一で配置する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、変換回路LDC1に選択回路を設け、この選択回路によってセンサー信号SS1とSS2のうちの1つを選択し、選択されたセンサー信号をデジタルカウント信号に変換するようにしてもよい。
【0056】
<変形例>
図4は、実施の形態1の変形例に係るローカルセンサーおよび変換回路の構成を示す回路図である。図4は、図3に類似している。主な相違点は、ローカルセンサーLoSを構成するトランジスタと変換回路とが変更されていることである。
【0057】
すなわち、ローカルセンサーLoSを構成するトランジスタは、P型トランジスタからN型トランジスタMN3、MN4に変更されている。N型トランジスタMN3、MN4は、ダイオード接続となるように、ゲート電極とソース領域とが接続されている。また、N型トランジスタMN3、MN4のソース領域は接地電圧Vsに接続され、それぞれのドレイン領域は信号配線SS1_Lを介して変換回路LDCL_Mに接続されている。
【0058】
変換回路LDCL_Mの構成は、センサートランジスタとしてN型トランジスタが用いられているため、図3に示した構成から変更されている。例えば、図3に示したN型トランジスタMN1、MN2の代わりにP型トランジスタが用いられ、当該P型トランジスタのソース・ドレイン経路は、ノードn0(図3)と電源電圧Vdとの間に接続されている。これにより、測定対象領域の温度に従って、センサートランジスタMN3、MN4を流れるリーク電流に応じた周波数のデジタルカウント信号Cnt1が、変換回路LDCL_Mから出力される。
【0059】
図3および図4では、センサートランジスタとして2個のトランジスタを用いた例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、センサートランジスタは、1個または3個以上であってもよい。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態2では、半導体チップに配置される回路ブロック等を、1個または複数のスタンダードセルを組み合わせ構成する場合を説明する。なお、後の図面で示すが、スタンダードセルは、複数のP型トランジスタおよびN型トランジスタを備えている。
【0061】
実施の形態2においても、半導体装置は図1に示した構成を備えているものとして説明する。この場合、特に制限されないが、図1に示した回路ブロックCB1_1~CB3_3、クロック発生回路CKGおよびクロックインバータCKI1~CKI4は、スタンダードセルまたは複数のスタンダードセルを組み合わせることで構成されている。勿論、変換回路LDC1、LDC2、処理回路PBおよびグローバルセンサーGSも、複数のスタンダードセルによって構成してもよい。
【0062】
図5は、実施の形態2に係る半導体装置を説明するための図である。図5には、図1に示したクロックインバータCKI1とローカルセンサーLoSに相当する部分(CKI1+LoS)が示されている。ここで、図5(A)および(B)は、2個のスタンダードセルによって構成されたクロックインバータCKI1の構成を示し、図5(C)は、半導体チップの主面上から見たときの平面図である。
【0063】
クロックインバータCKI1は、図5(A)に示されているように、平面視で見たときに互いに近接して配置された2個のスタンダードセルSds_l、Sds_rを組み合わせることで構成されている。スタンダードセルSds_l、Sds_rにおいては、それぞれに配置されているP型トランジスタおよびN型トランジスタによってインバータIV1_l、IV1_rが構成されている。この2つのインバータIV1_l、IV1_rによって、図1に示したインバータIV1が構成されている。
【0064】
ローカルセンサーLoSは、スタンダードセルSds_lおよびSds_rと隣接して配置されるように、平面視で見たときに、スタンダードセルSds_lとSds_rとの間に埋め込まれている。すなわち、ローカルセンサーLoSを構成するセンサートランジスタMP1、MP2が、スタンダードセルSds_1とSds_rとの間に配置されている。センサートランジスタMP1、MP2のドレイン領域が、図5(A)に示されているように、信号配線SS1_Lを介して変換回路LDC1に接続されている。
【0065】
特に制限されないが、図5(B)に示されているように、インバータIV1_lとIV1_rは並列接続されている。すなわち、2つのインバータIV1_lとIV1_rの入力が共通に接続され、出力も共通にノードn0に接続されている。
【0066】
図5(C)において、符号IV1_lの領域は、インバータIV1_lを構成するP型トランジスタ(MP)およびN型トランジスタ(MN)が配置されている領域を示し、符号IV1_rの領域は、インバータIV1_rを構成するP型トランジスタ(MP)およびN型トランジスタ(MN)が配置されている領域を示している。また、図5(C)において、Gは、P型トランジスタおよびN型トランジスタのゲート電極を示している。図8で説明したように、ゲート電極は、半導体領域Si_n、Si_pの一部分を覆うように配置されている。図5(C)では図示していないが、ゲート電極Gから突出したFin領域に、ソース領域およびドレイン領域を取り出すためのソース電極およびドレイン電極が配置されている。なお、半導体領域Si_n、Si_pは、図5(C)では横方向に延在して配置されている。
【0067】
実施の形態2においては、図5(C)に示すように、平面視で見たときに、センサートランジスタMP1、MP2のゲート電極MP1_G、MP2_Gが、インバータIV1_lおよびIV1_rを構成するトランジスタの間に配置されている。このゲート電極MP1_G、MP2_Gも、半導体領域Si_n、Si_pの一部分を覆うように配置されている。また、ゲート電極MP1_G、MP2_GとインバータIV1_lおよびIV1_rを構成するトランジスタのうち、ゲート電極MP1_G、MP2_Gに隣接したトランジスタのゲート電極Gとの間であって、半導体領域Si_n上には、ソース電極Sが配置され、半導体領域Si_nに接続されている。さらに、ゲート電極MP1_GとMP2_2との間であって、半導体領域Si_n上には、ドレイン電極Dが配置され、半導体領域Si_nに接続されている。
【0068】
図5(C)に示すように、センサートランジスタのゲート電極MP1_G、MP2_Gは、それぞれ対応するソース電極Sに接続され、センサートランジスタのドレイン電極Dは、図5(A)および(B)に示した信号配線SS1_Lに接続されている。
【0069】
これにより、インバータIV1_l、IV1_rを構成するP型トランジスタおよびN型トランジスタの自己発熱により変化する温度が、センサートランジスタのリーク電流によって測定される。
【0070】
なお、図5(C)では、特に制限されないが、ゲート電極MP1_G、MP2_Gとゲート電極MP1_G、MP2_Gに隣接したトランジスタのゲート電極Gとの間であって、半導体領域Si_p上には、ソース電極Sは配置されていない。また、ゲート電極MP1_GとMP2_Gとの間であって、半導体領域Si_p上には、ドレイン電極Dも配置されていない。しかしながら、半導体領域Si_p上にもソース電極Sおよびドレイン電極Dを配置して、半導体領域Si_pに接続するようにしてもよい。実施の形態1の変形例で述べたように、N型トランジスタをセンサートランジスタとして用いる場合には、半導体領域Si_p上に配置されたソース電極Sを対応するゲート電極に接続し、ドレイン電極Dを信号配線SS1_Lに接続すればよい。
【0071】
図5(C)に示したように、センサートランジスタとして用いるP型トランジスタMP1、MP2は、ドレイン領域が共有される。そのため、センサートランジスタとしては、少なくとも2個のトランジスタを用いることになる。
【0072】
なお、スタンダードセルSds_lおよびSds_rをセルと見なしたき、セルSds_lとSds_rとを備えた第1スタンダードセルが、測定対象領域に配置され、セル間にローカルセンサーが埋め込まれていると見なすことができる。このように見なした場合、回路ブロックCB1_1~CB3_3は、第2スタンダードセルによって構成されていると見なすことができる。
【0073】
(実施の形態3)
実施の形態2では、測定対象領域に配置されたスタンダードセル間にローカルセンサーを配置する例を示したが、実施の形態3では、スタンダードセルにローカルセンサーを埋め込む例を説明する。すなわち、ローカルセンサーを1つのスタンダードセルが備えていることになる。
【0074】
図6は、実施の形態3に係るスタンダードセルの構成を示す平面図である。図6において、Sdsは、スタンダードセルを示している。また、図6において、Gは、P型トランジスタ(MP)およびN型トランジスタのゲート電極を示し、Sは、P型トランジスタ(MP)およびN型トランジスタのソース電極を示し、Dは、P型トランジスタ(MP)およびN型トランジスタのドレイン電極を示している。Si_n、Si_pは、半導体領域を示し、図6では、横方向に延在している。図8で説明したように、ゲート電極は、半導体領域Si_p、Si_nの一部分を覆うように配置され、ゲート電極Gの両側に配置されたソース電極Sおよびドレイン電極Dは、半導体領域Si_p、Si_n上に配置され、接続されている。ゲート電極G、ソース電極Sおよびドレイン電極Dを備えた複数のP型トランジスタおよびN型トランジスタによって、所定の回路、例えば図1等で説明したクロックインバータCKI1が構成される。
【0075】
図6では、センサートランジスタを構成するP型トランジスタMP1、MP2またはN型トランジスタMN3、MN4が、スタンダードセルSdsに埋め込まれている。図6には、センサートランジスタとして用いることができるP型トランジスタとN型トランジスタの両方が示されているが、ここでは、P型トランジスタMP1、MP2をセンサートランジスタとして用いる場合を例にして説明する。
【0076】
P型トランジスタMP1、MP2のゲート電極MP1_G、MP2_Gは、図6に示すように、半導体領域Si_n上であって、P型トランジスタのソース電極S間に配置されている。また、P型トランジスタMP1、MP2の共通のドレイン電極Dが、ゲート電極MP1_G、MP2_G間に配置されている。この共通ドレイン電極Dは、コンタクトCNTによって配線CNT_LDに接続され、配線CNT_LDが、例えば図1に示した信号配線SS1_Lを介して、変換回路LDC1に接続されている。この場合、配線CNT_LD、コンタクトCNTまたは共通ドレイン電極Dを、ローカルセンサーLoSの端子と見なすことができる。
【0077】
ゲート電極MP1_G、MP2_Gは、配線CNT_LSおよびコンタクトCNTによって隣接したソース電極Sに接続されている。このソース電極Sには、例えば電源電圧Vdが供給される。これにより、スタンダードセルSdsにおける温度に従ったリーク電流がローカルセンサーLoSの端子を流れ、変換回路LDC1からスタンダードセルLdsの温度に従ったデジタルカウント信号が出力される。
【0078】
実施の形態1の変形例で説明したように、N型トランジスタMN3、MN4をセンサートランジスタとして用いる場合には、図6に示すように、半導体領域Si_p上に配置されたN型トランジスタMN3、MN4のゲート電極MN3_G、MN4_Gを隣接するソース電極Sに接続する。また、N型トランジスタMN3、MN4の共通ドレイン電極Dを配線CNT_LDに接続し、配線CNT_LDをローカルセンサーLoSの端子として変換回路LDC1に接続する。
【0079】
なお、センサートランジスタのソース電極Sは、隣接するトランジスタのソース電極と兼用である。
【0080】
例えば、図1に示した半導体装置1を設計する場合、回路ブロックCB1_1~CB3_3を初期配置し、その後、クロックインバータCKI1~CKI4等を配置し、さらにその後、クロックインバータCKI1~CKI4から出力されるクロック信号を対応する回路ブロックに供給するように、自動配置配線で信号配線を配置・接続する。スタンダードセルを用いてクロックインバータCKI1~CKI4を構成する場合、これらのクロックインバータのうち、自己発熱を注視したい領域に配置するクロックインバータは、ローカルセンサーLoSを備えたスタンダードセルによって構成し、他のクロックインバータは、ローカルセンサーを備えていないスタンダードセルによって構成する。この場合、スタンダードセルにおけるローカルセンサーLoSの端子が、変換回路LDC1に接続されるように、自動配置配線によって信号配線の配置・接続を行う。
【0081】
変換回路と分離したローカルセンサーLoSを備えたスタンダードセルを用いることで、クロックインバータの占有面積が大きくなるのを抑制することが可能である。また、自動配置配線等の技術によって、分離されている変換回路とローカルセンサーLoSとを接続することが可能であるため、半導体装置の設計が、ローカルセンサーLoSを備えたスタンダードセルを用いることにより煩雑になるのを防ぐことが可能である。
【0082】
(実施の形態4)
実施の形態4では、平面視で見たときに、物理的に隣接して配置されるスタンダードセル間にローカルセンサーLoSを構成するスタンダードセルを配置する例を説明する。ここでは、隣接して配置されるスタンダードセル(セル)間が、物理的には分離されず、電気的に分離された例を説明する。
【0083】
図7は、実施の形態4に係るスタンダードセルの構成を示す平面図である。図7図6に類似しているので、主に相違点を説明する。図6には、ローカルセンサーLoSを備えた1個のスタンダードセルが示されていたが、図7には、2個のスタンダードセルSds_l、Sds_rと、ローカルセンサーLoSを構成する1個のカスタムのスタンダードセルSds_Sが示されている。スタンダードセルSds_Sは、ローカル温度を測定するセルであるため、センサーセルと見なすことができる。
【0084】
<カスタムのスタンダードセルSds_Sが配置されていない状態>
説明を容易にするために、スタンダードセルSds_lおよびSds_rによって、図5(B)に示したインバータIV1_lおよびIV1_rが構成されているものとする。ローカルセンサーLoSを配置しない場合、スタンダードセルSds_Sは形成されない。スタンダードセルSds_Sが形成されていない状態では、ゲート電極MP1_GとMP2_G間に配置されているドレイン電極Dおよびゲート電極MN3_GとMN4_G間に配置されているドレイン電極Dは、形成されない。また、コンタクトCNTおよび配線CNT_LS、CNT_LDも形成されない。この場合、ゲート電極MP1_G、MP2_G、MN3_GおよびMN4_Gは、ダミートランジスタのゲート電極として機能する。これらのダミートランジスタのゲート電極に、ダミートランジスタがオフ状態となるような電圧を印加する。これにより、半導体領域Si_n、Si_pは、スタンダードセルSds_lとSds_rとの間で共用されていても、スタンダードセルSds_lとSds_rとの間は電気的に分離されることになる。
【0085】
<スタンダードセルSds_Sの形成>
実施の形態4においては、図7に示すように、ゲート電極MP1_GとMP2_Gとの間に、ドレイン電極Dが形成され、半導体領域Si_nに接続されている。また、コンタクトCNTによって、ゲート電極MP1_G、MP2_Gと、対応するソース電極Sとの間が配線CNT_LSによって接続され、ゲート電極MP1_GとMP2_G間に配置されているドレイン電極Dが、コンタクトCNTによって、配線CNT_LDに接続される。これにより、ゲート電極MP1_G、MP2_Gを備えたP型トランジスタMP1、MP2を有するスタンダードセルSds_Sが形成される。
【0086】
配線CNT_LDは、ローカルセンサーLoSの端子として、例えば図3に示したように、信号配線SS1_Lによって変換回路LDC1に接続される。変換回路LDC1からは、スタンダードセルSds_l、Sds_rに形成されているP型トランジスタおよびN型トランジスタの自己発熱による温度に応じたデジタルカウント信号Cnt1が出力されることになる。
【0087】
図7では、ゲート電極MN3_GとMN4_G間との間にも、ドレイン電極Dが、配置され、半導体領域Si_pに接続されている。また、ゲート電極MN3_G、MN4_Gおよびドレイン電極Dは、対応する配線CNT_LSおよびCNT_LDに接続されている。実施の形態1の変形例で示したように、N型トランジスタをセンサートランジスタとして用いる場合には、ゲート電極MN3_GとMN4_Gとの間に配置されたドレイン電極Dに接続された配線CTN_LDを、ローカルセンサーLoSの端子として用いればよい。
【0088】
図7では、P型トランジスタとN型トランジスタのそれぞれを、センサートランジスタとして用いることが可能なスタンダードセルSds_Sを示したが、これに限定されるものではない。例えば、P型トランジスタのみをセンサートランジスタとして用いる場合には、ゲート電極MN3_GとMN4_Gとの間に、ドレイン電極Dを形成しなくてもよいし、配線CNT_LS、CNT_LDを形成しなくてもよい。この場合には、ゲート電極MN3_GおよびMN4_Gを、ゲート電極とするダミートランジスタが、オフ状態となるようにすればよい。
【0089】
図7では、物理的に分離されていないスタンダードセルにローカルセンサーを設ける(埋め込む)例を示したが、これに限定されるものではない。1つのスタンダードセルとして、ローカルセンサーを埋め込んだスタンダードセルを用意することで、スタンダードセルを用いた半導体装置の設計において、配線の容易性を向上させることが可能であるとともに、局所的な領域での温度の変化を高精度に測定することが可能である。
【0090】
スタンダードセルを用いて、クロックインバータCKI1等を構成する場合、平面視で見たときのクロックインバータCKI1の占有面積は、スタンダードセルの最小サイズの3~25倍となる。これに対して、2個のセンサートランジスタによって構成されたローカルセンサーLoSの占有面積は、スタンダードセルの最小サイズの1~2倍で済む。したがって、ローカルセンサーLoSを配置するようにしても、それによる占有面積の増加を抑制することが可能である。なお、変換回路の占有面積は、スタンダードセルの最小サイズの440倍程度となるが、変換回路は、ローカルセンサーLoSとは分離して、任意の領域に配置することが可能である。すなわち、変換回路は、余裕のある領域に配置することが可能である。
【0091】
図1において、クロックインバータCKI1~CKI4のそれぞれを、第1スタンダードセルで構成し、回路ブロックCB1_1~CB3_3を第2スタンダードセルによって構成した場合、図1は、複数の第1スタンダードセルのうちの一部の第1スタンダードセルに近接してローカルセンサーが配置されているものを示していると見なすことができる。
【0092】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0093】
1 半導体装置
CB1_1~CB3_3 回路ブロック
CKG クロック発生回路
CKI1~CKI4 クロックインバータ
GS グローバルセンサー
IV1~IV4 インバータ
LDC1、LDC2 変換回路
LoS ローカルセンサー
SS1、SS2 センサー信号
PB 処理回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8