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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007245
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】安全具
(51)【国際特許分類】
   E04D 15/02 20060101AFI20240111BHJP
   E04D 13/00 20060101ALI20240111BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20240111BHJP
   A62B 35/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
E04D15/02 V
E04D13/00 K
E04G21/32 D
A62B35/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108617
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】中村 稔
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA05
2E184KA04
2E184KA11
2E184LA03
(57)【要約】
【課題】板材の先端部の強度を高めつつ、容易に曲げ加工を行うことが可能な安全具を提供する。
【解決手段】安全具100は、屋根下地面において下側瓦の上方に固定される固定板部10と、固定板部10に連なり長尺状をなし下側瓦の上面に重なるように配される長尺板部20と、を有する。長尺板部20は長手方向中間位置で屈曲され、その屈曲位置31よりも先端側は屈曲端部30となっている。屈曲端部30には、支え対象となる部材が係止される係止孔32が設けられ、長尺板部20において係止孔32を囲む周囲部分の板厚が局所的に厚くなっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根瓦が上下複数段に並べて配置される傾斜屋根において上段側の前記屋根瓦である上側瓦と下段側の前記屋根瓦である下側瓦との間に通された状態で用いられる板状の安全具であって、
屋根下地面において前記下側瓦の上方に固定される固定板部と、
前記固定板部に連なり、長尺状をなし前記下側瓦の上面に重なるように配される長尺板部と、を有し、
前記長尺板部は長手方向中間位置で屈曲され、その屈曲位置よりも先端側は屈曲端部となっており、
前記屈曲端部には、支え対象となる部材が係止される係止孔が設けられ、前記長尺板部において前記係止孔を囲む周囲部分の板厚が局所的に厚くなっている、ことを特徴とする安全具。
【請求項2】
前記係止孔を囲む周囲部分の板厚は、板材が多重に重ね合わされることで局所的に厚くなっている、ことを特徴とする請求項1に記載の安全具。
【請求項3】
前記固定板部及び前記長尺板部を含む範囲で設けられこれら各部を形成する第1板材と、前記長尺板部のうち前記屈曲端部となる部位において前記第1板材に重ね合わされた第2板材とを有し、
前記第1板材において前記長尺板部の両側方には、前記屈曲位置を跨ぐようにリブが設けられ、それら各リブの間に前記第2板材が固定されている、ことを特徴とする請求項2に記載の安全具。
【請求項4】
前記長尺板部は、
前記固定板部に連なり、前記屋根下地面から起立する方向に延び前記下側瓦の上端面に対向する瓦上端対向部と、
前記瓦上端対向部から延び、前記下側瓦の上端部分に設けられた突起部を囲うように屈曲形成された突状部とを有し、
前記突状部は、前記下側瓦の上面に沿って延びる延長部を介して前記屈曲端部に連なっている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の安全具。
【請求項5】
前記長尺板部は、前記固定板部に連なり、前記屋根下地面から起立する方向に延び前記下側瓦の上端面に対向する瓦上端対向部を有し、
前記瓦上端対向部は、前記固定板部の側から前記下側瓦の上端面に向かって凸となるように湾曲する湾曲面となっており、
前記固定板部は、前記屋根下地面に回転可能に固定される、ことを特徴とする請求項1に記載の安全具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根瓦が設置される下地面に板状の金具(板材)を固定し、この金具を利用して屋根に設置物を固定したり、屋根での作業の安全を確保したりする発明が知られている(特許文献1~2)。特許文献1に記載された金具の先端部には係止孔が設けられており、太陽温水器やテレビアンテナ等の屋上設置物から引き出されたワイヤをこの係止孔に結びつけて屋上設置物が屋根に固定される。特許文献2に記載された金具の先端部にも係止孔が設けられており、この係止孔に安全索先端のカラビナを掛け止めすることにより作業者の安全が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57-198220号公報
【特許文献2】特許第3842789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金具の先端部に設けられた係止孔には上述したワイヤやカラビナ等が掛け止められるため、応力が大きくなる。そこで強度を高めるために金具全体の板厚を厚くすることが考えられるが、金具全体の板厚を厚くすると曲げ加工が困難になる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、板材の先端部の強度を高めつつ、容易に曲げ加工を行うことが可能な安全具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、第1の発明の安全具は、屋根瓦が上下複数段に並べて配置される傾斜屋根において上段側の前記屋根瓦である上側瓦と下段側の前記屋根瓦である下側瓦との間に通された状態で用いられる板状の安全具であって、屋根下地面において前記下側瓦の上方に固定される固定板部と、前記固定板部に連なり長尺状をなし前記下側瓦の上面に重なるように配される長尺板部と、を有し、前記長尺板部は長手方向中間位置で屈曲され、その屈曲位置よりも先端側は屈曲端部となっており、前記屈曲端部には、支え対象となる部材が係止される係止孔が設けられ、前記長尺板部において前記係止孔を囲む周囲部分の板厚が局所的に厚くなっていることを特徴とする。
【0007】
安全具において係止孔にはワイヤやカラビナ等が掛け止められるため、応力が大きくなる。そこで強度を高めるために金属板全体の板厚を厚くすることが考えられるが、金属板全体の板厚を厚くすると曲げ加工が困難になる。本発明では、長尺板部において係止孔を囲む周囲部分の板厚を局所的に厚くした。これにより、係止孔を囲む周囲部分の強度を高めることができ、屋根作業における安全面に寄与する。係止孔を囲む周囲部分以外の部位の板厚は、係止孔を囲む周囲部分の板厚と比較して薄いため、係止孔を囲む周囲部分以外の部位の曲げ加工を容易に行うことができる。
【0008】
第2の発明の安全具は、第1の発明において、前記係止孔を囲む周囲部分の板厚は、板材が多重に重ね合わされることで局所的に厚くなっていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、板材を多重に重ね合わせることにより、係止孔を囲む周囲部分の板厚を局所的に厚くした。これにより、係止孔を囲む周囲部分の強度を高めることができ、屋根作業における安全面に寄与する。
【0010】
第3の発明の安全具は、第2の発明において、前記固定板部及び前記長尺板部を含む範囲で設けられこれら各部を形成する第1板材と、前記長尺板部のうち前記屈曲端部となる部位において前記第1板材に重ね合わされた第2板材とを有し、前記第1板材において前記長尺板部の両側方には、前記屈曲位置を跨ぐようにリブが設けられ、それら各リブの間に前記第2板材が固定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、第1板材において長尺板部の両側方に設けられたリブにより、屈曲部分が薄肉であってもその屈曲部分の強度を高めることができる。また、各リブの間に第2板材が固定されていることで、各リブにより第2板材の位置決めが可能となり、各板材に設けられた係止孔の位置ずれを抑制することができる。
【0012】
第4の発明の安全具は、第1~第3のいずれかの発明において、前記長尺板部は、前記固定板部に連なり、前記屋根下地面から起立する方向に延び前記下側瓦の上端面に対向する瓦上端対向部と、前記瓦上端対向部から延び、前記下側瓦の上端部分に設けられた突起部を囲うように屈曲形成された突状部とを有し、前記突状部は、前記下側瓦の上面に沿って延びる延長部を介して前記屈曲端部に連なっていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、長尺板部に突状部を設けたことで、雨水等の侵入を防止するための突起部を有する下側瓦に対して好適に安全具を取り付けることができる。また、長尺板部の棟側(固定板部側)に、下側瓦の突起部を囲うように屈曲形成された突状部を有する構成によれば、屋根装着状態で安全具に例えば作業者の荷重がかかる場合において、突状部の屈曲点で荷重の分散が可能となる。そのため、突状部を有していない安全具と比較して、屋根作業における安全性が向上しうる。
【0014】
第5の発明の安全具は、第1の発明において、前記長尺板部は、前記固定板部に連なり、前記屋根下地面から起立する方向に延び前記下側瓦の上端面に対向する瓦上端対向部を有し、前記瓦上端対向部は、前記固定板部の側から軒側に向かって凸となるように湾曲する湾曲面となっており、前記固定板部は、前記屋根下地面に回転可能に固定されることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、作業者の移動に対し安全具が追従可能になり、作業者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る安全具の斜視図。
図2】本実施形態に係る安全具の側面図。
図3】本実施形態に係る安全具の上面図。
図4】補強部材を説明する図。
図5】本実施形態に係る安全具の取り付け方法及び使用態様について説明する図。
図6】その他の実施形態に係る安全具の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0018】
図1~3を参照して、本実施形態に係る安全具100について説明する。安全具100は、所定の勾配を有する傾斜屋根に取り付けられ、屋根で作業する作業者の安全確保のために用いられたり、屋根設置物の固定に用いられたりする。図1は、安全具100の斜視図である。図2は、安全具100の側面図である。図3は、安全具100の上面図である。
【0019】
安全具100は、金属板をプレス加工することにより一体に成形され、全体として長板形状である。金属板の板厚は、特に限定されないが、一例として1.2mmである。図1に示すように、安全具100は、固定板部10と、固定板部10に連なる長尺板部20とを有する。長尺板部20は、長手方向中間位置を示す屈曲位置31で屈曲され、その屈曲位置31よりも先端側は屈曲端部30となっている。この屈曲端部30には、補強部材40が取り付けられる。金属板の素材は特に限定されないが、例えばステンレス、アルミ、鉄等が使用される。なお、金属板の代わりにプラスチック板が使用されてもよい。
【0020】
固定板部10は、屋根下地面に固定される部位である。固定板部10には、複数の固定孔11が設けられ、この固定孔11にネジ、ボルト、ビス等の固定具が挿入され、屋根下地面に固定される。
【0021】
長尺板部20は、固定板部10に連なり長尺状をなす。このような長尺状の長尺板部20は、瓦上端対向部21と、突状部22と、延長部23とを有する。瓦上端対向部21は、固定板部10から所定の角度(例えば90度)で立ち上がるように延びる。瓦上端対向部21の一方の端部は、固定板部10に連なり、瓦上端対向部21の他方の端部は突状部22に連なる。
【0022】
突状部22は、瓦上端対向部21から延び、屈曲形成され、延長部23に連なる。図2に示すように、瓦上端対向部21と突状部22との連なりにより、安全具100の側面視において、凹形状24が形成される。延長部23は、直線状に延びる部位であり、その一方の端部は突状部22に連なり、他方の端部は屈曲端部30に連なる。
【0023】
屈曲端部30は、屈曲位置31よりも先端側に位置し、その一端は延長部23に連なり、延長部23から所定の角度(例えば135度)で立ち上がるように形成される。図1,3に示すように、屈曲端部30には、支え対象となる部材(例えばワイヤやカラビナ)が係止される係止孔32が設けられる。また、屈曲端部30には、屈曲端部30と重なるように板状の補強部材40が取り付けられる。補強部材40が取り付けられることにより、係止孔32を囲む周囲部分の板厚が局所的に厚くなる。「係止孔32を囲む周囲部分」とは、屈曲位置31よりも先端側の部分を意味する。すなわち、係止孔32を囲む周囲部分の板厚は、固定板部10、瓦上端対向部21、突状部22、及び延長部23の板厚と比較して厚くなる。補強部材40にも、屈曲端部30と同様に支え対象となる部材が係止される係止孔42が設けられる。図1,3に示すように、係止孔32及び係止孔42の大きさは同じであり、補強部材40が屈曲端部30に取り付けられたとき、係止孔32の位置と係止孔42は一致する。なお、係止孔32及び係止孔42の大きさは同じである必要はなく、これらの孔の大きさは異なっていてもよい。
【0024】
図1~3に示すように、長尺板部20の両側方には補強用のリブ50が設けられる。より詳しくは、リブ50は、屈曲位置31を跨ぐように延長部23の側方から屈曲端部30の側方にかけて、曲線に沿って設けられる。曲線に沿ってリブ50を設けることにより、屈曲部分の強度を高めることができる。
【0025】
次に、図4を参照して補強部材40の詳細について説明する。補強部材40は、係止孔32を囲む周囲部分の強度を高めるために屈曲端部30に取り付けられる。補強部材40も固定板部10及び長尺板部20と同様に金属板で形成されているが、プラスチック板が使用されてもよい。
【0026】
図4に示すように、補強部材40には、上述した係止孔42と、リベットを差し込むためのリベット孔41が設けられる。本実施形態ではリベットを用いることにより補強部材40を屈曲端部30に取り付ける。ただし、補強部材40を屈曲端部30に取り付ける方法はリベットに限定されず、他の方法が用いられてもよい。補強部材40の板厚は、特に限定されないが、一例として3mmである。
【0027】
安全具100は、2枚の金属板(板材)を用いて構成されている。すなわち、図2に示すように、安全具100は、固定板部10及び長尺板部20を含む範囲で設けられこれら各部10,20を形成する第1板材P1と、長尺板部20のうち屈曲端部30となる部位において第1板材P1に重ね合わされた第2板材P2とを有している。そして、第1板材P1において長尺板部20の両側方に、屈曲位置31を跨ぐようにリブ50が設けられ、それら各リブ50の間に第2板材P2が固定されている。
【0028】
次に、図5を参照して、安全具100の取り付け方法及び使用態様について説明する。
【0029】
図5に示すように、安全具100は、屋根瓦が上下複数段に並べて配置される傾斜屋根において上段側の屋根瓦である上側瓦64と下段側の屋根瓦である下側瓦63との間に通された状態で用いられる。下側瓦63は、屋根の傾斜面と直交する方向に延びるように形成される桟木62により屋根下地面(屋根下地材60の上面)に固定される。安全具100は、下側瓦63の形状に沿うように下側瓦63に取り付けられる。
【0030】
固定板部10にビス等の固定具61が挿入され、固定板部10は屋根下地面において下側瓦63の上方に固定される。「下側瓦63の上方」とは、屋根の棟側上方を意味する。瓦上端対向部21は、固定板部10に連なり、屋根下地面から起立する方向に延び、下側瓦63の上端面に対向して下側瓦63に固定される。屈曲形成された突状部22は、下側瓦63の上端部分に設けられた突起部を囲うように配される。下側瓦63の突起部は、雨水等の侵入を防止するために設けられるものであり、安全具100はこの機能を妨げないように下側瓦63に取り付けられる。
【0031】
突状部22は、下側瓦63の上面に沿って延びる延長部23を介して屈曲端部30に連なっている。安全具100が屋根下地面及び下側瓦63に取り付けられた後、上側瓦64が安全具100の一部を覆うように葺かれ、延長部23の一部及び屈曲端部30が屋根上に露出する。
【0032】
以上、詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0033】
安全具100において係止孔32にはワイヤやカラビナ等が掛け止められるため、応力が大きくなる。そこで強度を高めるために金属板全体の板厚を厚くすることが考えられるが、金属板全体の板厚を厚くすると曲げ加工が困難になる。そこで、本実施形態では、係止孔32を囲む周囲部分の板厚を局所的に厚くした。これにより、係止孔32を囲む周囲部分の強度を高めることができ、屋根作業における安全面に寄与する。係止孔32を囲む周囲部分以外の部位の板厚は、係止孔32を囲む周囲部分の板厚と比較して薄いため、係止孔32を囲む周囲部分以外の部位の曲げ加工を容易に行うことができる。
【0034】
本実施形態では、屈曲端部30に補強部材40を取り付けることにより、すなわち、板材を多重に重ね合わせることにより、係止孔32を囲む周囲部分の板厚を局所的に厚くした。これにより、係止孔32を囲む周囲部分の強度を高めることができ、屋根作業における安全面に寄与する。
【0035】
本実施形態によれば、第1板材P1において長尺板部20の両側方に設けられたリブ50により、長尺板部20の屈曲部分が薄肉であってもその屈曲部分の強度を高めることができる。また、各リブ50の間に第2板材P2が固定されていることで、各リブ50により第2板材P2の位置決めが可能となり、各板材P1,P2に設けられた係止孔32,42の位置ずれを抑制することができる。
【0036】
本実施形態によれば、長尺板部20に突状部22を設けたことで、突起部を有する下側瓦63に対して好適に安全具100を取り付けることができる。また、長尺板部20の棟側(固定板部10側)に、下側瓦63の突起部を囲うように屈曲形成された突状部22を有する構成によれば、屋根装着状態で安全具100に例えば作業者の荷重がかかる場合において、突状部22の屈曲点で荷重の分散が可能となる。そのため、突状部22を有していない安全具と比較して、屋根作業における安全性が向上しうる。
【0037】
また、作業者の動作によっては安全具100が上方に引っ張られることがある。この場合、引っ張りによって生じる応力は、突状部22の屈曲点のうち、最も軒側の屈曲点にかかる。突状部22を有することにより、突状部22を有していない場合と比較して、力点(屈曲端部30)から支点(最も軒側の屈曲点)までの距離が短くなり、力のモーメントが小さくなる。これにより、安全具100が上方に引っ張られたとしても上側瓦64の瓦浮きが抑制されうる。
【0038】
<変形例>
上記実施形態の構成の一部を変形してもよい。以下、変形例について説明する。
【0039】
図6に示すように、固定板部10には、複数の固定孔11の代わりに1つの固定孔12が設けられ、固定板部10は屋根下地面に回転可能に固定される。瓦上端対向部21は、固定板部10の側から下側瓦63の上端面に向かって凸となるように湾曲する湾曲面となっている。この構成によれば、湾曲面が回転面となるため、図6の矢印に示すように、作業者の移動に対し安全具100が追従可能になり、作業者の利便性が向上する。
【0040】
・安全具100を傾斜屋根に複数取り付けてもよい。屋根面を移動するたびに、作業位置近傍の安全具100にワイヤやカラビナを付け替えるだけで足りるため、作業者の利便性が向上する。
【0041】
・上記実施形態では、屈曲端部30に補強部材40を取り付ける、すなわち、板材を2枚重ねて安全具100の先端部分の板厚を厚くする、と説明したが、これに限定されない。板材を3枚以上重ねて先端部分の板厚を厚くしてもよい。
【0042】
・安全具100の先端部分の板厚を厚くする方法は、板材を多重に重ねる方法に限定されない。例えば、先端部分は板厚の厚い板材を、先端部分以外は板厚の薄い板材を用い、屈曲位置31よりも先端側の板厚を厚くし、その先端部分にワイヤやカラビナ等を掛け止めるため係止孔を設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100…安全具、10…固定板部、20…長尺板部、21…瓦上端対向部、22…突状部、23…延長部、30…屈曲端部、31…屈曲位置、32…係止孔、40…補強部材、42…係止孔、50…リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6