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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072464
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】排気口部材
(51)【国際特許分類】
   F23L 17/14 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
F23L17/14 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183291
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】長濱 智弘
(57)【要約】
【課題】排気口部材の排気口から外部へのドレンの飛散を抑制する。
【解決手段】屋外に設置される燃焼装置1に設けられる排気口部材7であって、燃焼排ガスが流入する流入口95と、外装ケース10の外方に位置し、燃焼排ガスを外部に排出する排気口90と、流入口95から排気口90に向かって燃焼排ガスが流れる排気通路Pと、排気通路Pの下流端に位置する下流端排気通路Pzを流れる燃焼排ガスが衝突して、燃焼排ガスの流れ方向を偏向する偏向部8とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置される燃焼装置に設けられる排気口部材であって、
前記燃焼装置で生成される燃焼排ガスが流入する流入口と、前記燃焼装置の外装ケースの外方に位置し、前記燃焼排ガスを外部に排出する排気口と、前記流入口から前記排気口に向かって前記燃焼排ガスが流れる排気通路と、前記排気通路の下流端に位置する下流端排気通路を流れる前記燃焼排ガスの流れ方向を偏向する偏向部と、を有し、
前記偏向部は、前記燃焼排ガスが前記偏向部に衝突して、前記排気口の開口周縁に向かって流れるように、前記燃焼排ガスの前記流れ方向を偏向する排気口部材。
【請求項2】
請求項1に記載の排気口部材において、
前記排気通路は、前後方向に延び、前端に前記排気口を有しており、
前記偏向部は、前記下流端排気通路を画成する下壁部の前端から前記排気口の開口下縁部まで延びており、
前記偏向部は、前記下流端排気通路を前記下壁部に沿って流れる前記燃焼排ガスが前記偏向部に衝突して、前記排気口の開口上縁部に向かって流れるように、前記燃焼排ガスの前記流れ方向を偏向する排気口部材。
【請求項3】
請求項1に記載の排気口部材において、
前記下流端排気通路は、中央排気通路と、前記中央排気通路を画成する隔壁を介して隣接する隣接排気通路と、を有し、
前記中央排気通路は、前記中央排気通路の下流端開口部が前記排気口と先端隙間を介して対向するように設けられ、
前記偏向部は、前記隣接排気通路を流れる前記燃焼排ガスが前記偏向部に衝突し、前記下流端開口部と前記排気口との間の前記先端隙間を通って、前記排気口の前記開口周縁に向かって流れるように、前記燃焼排ガスの前記流れ方向を偏向する排気口部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置される燃焼装置の外装ケース内から燃焼排ガスを外部に排出する排気口部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス燃焼装置では、バーナの燃焼により燃焼排ガスが生成され、この燃焼排ガスによって熱交換器が加熱される。そして、熱交換された後の燃焼排ガスは、外装ケース内から排気口部材を通って外部に排出される。通常、屋外にある排気口部材から外部に排気される燃焼排ガスの温度は排気口部材の温度よりも高い。そのため、排気口部材内を流れる燃焼排ガスが排気口部材の内壁面(排気口部材内の排気通路を形成する面)に接触すると、燃焼排ガスが露点以下に冷却されて酸性のドレンが発生し、排気口部材の先端部である排気口から外部にドレンが飛散する。
【0003】
上記のような排気口部材内でのドレンの発生を防止するため、排気口部材を外筒と内筒とからなる二重構造の排気筒から形成し、外筒と内筒との間に断熱層である空気層を設けることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、外気と触れる排気口の開口周縁では、空気層による断熱効果が小さい。そのため、燃焼運転初期において燃焼排ガスが排気口の開口周縁に接触するとドレンが発生し、排気口から外部にドレンが飛散しやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-248012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、燃焼運転初期における排気口からのドレンの飛散を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の態様によれば、
屋外に設置される燃焼装置に設けられる排気口部材であって、
前記燃焼装置で生成される燃焼排ガスが流入する流入口と、前記燃焼装置の外装ケースの外方に位置し、前記燃焼排ガスを外部に排出する排気口と、前記流入口から前記排気口に向かって前記燃焼排ガスが流れる排気通路と、前記排気通路の下流端に位置する下流端排気通路を流れる前記燃焼排ガスの流れ方向を偏向する偏向部と、を有し、
前記偏向部は、前記燃焼排ガスが前記偏向部に衝突して、前記排気口の開口周縁に向かって流れるように、前記燃焼排ガスの前記流れ方向を偏向する排気口部材が提供される。
【0008】
上記第1の態様によれば、下流端排気通路を流れる燃焼排ガスが偏向部に衝突して流れ方向が偏向され、排気口の開口周縁に向かって流れるから、外気によって最も冷却される排気口の開口周縁を積極的に加熱することができる。このため、排気口の開口周縁が冷却されているときでも、排気口の開口周縁の温度を短時間で上昇させることができる。これにより、燃焼運転初期における排気口の開口周縁でのドレンの発生を低減することができ、排気口からのドレンの飛散を抑制することができる。
【0009】
本技術の第2の態様によれば、上記第1の態様の排気口部材において、
前記排気通路は、前後方向に延び、前端に前記排気口を有しており、
前記偏向部は、前記下流端排気通路を画成する下壁部の前端から前記排気口の開口下縁部まで延びており、
前記偏向部は、前記下流端排気通路を前記下壁部に沿って流れる前記燃焼排ガスが前記偏向部に衝突して、前記排気口の開口上縁部に向かって流れるように、前記燃焼排ガスの前記流れ方向を偏向する。
【0010】
上記第2の態様の排気口部材によれば、下流端排気通路を下壁部に沿って流れる燃焼排ガスが偏向部に衝突して流れ方向が偏向され、排気口の開口上縁部に向かって流れるから、ドレンが成長しやすい排気口の開口上縁部を積極的に加熱することができる。このため、排気口の開口上縁部の温度を短時間で上昇させることができる。これにより、燃焼運転初期における排気口の開口上縁部でのドレンの発生を低減することができ、排気口からのドレンの飛散を抑制することができる。
【0011】
本技術の第3の態様によれば、上記第1の態様の排気口部材において、
前記下流端排気通路は、中央排気通路と、前記中央排気通路を画成する隔壁を介して隣接する隣接排気通路と、を有し、
前記中央排気通路は、前記中央排気通路の下流端開口部が前記排気口と先端隙間を介して対向するように設けられ、
前記偏向部は、前記隣接排気通路を流れる前記燃焼排ガスが前記偏向部に衝突し、前記下流端開口部と前記排気口との間の前記先端隙間を通って、前記排気口の前記開口周縁に向かって流れるように、前記燃焼排ガスの前記流れ方向を偏向する。
【0012】
上記第3の態様の排気口部材によれば、中央排気通路の下流端開口部が排気口よりも内方に位置するから、中央排気通路の下流端開口部を形成する隔壁の先端が外気と触れ難く、隔壁の先端の温度の低下を抑制することができる。また、中央排気通路に隣接する隣接排気通路を流れる燃焼排ガスによって、中央排気通路を画成する隔壁を加熱することができる。このため、隔壁の内壁面の温度を短時間で上昇させることができる。これにより、燃焼運転初期において中央排気通路内でのドレンの発生を低減することができ、排気口からのドレンの飛散を抑制することができる。また、隣接排気通路を流れる燃焼排ガスが偏向部に衝突して流れ方向が偏向され、下流端開口部と排気口との間の先端隙間を通って排気口の開口周縁に向かって流れるから、隔壁の先端や外気によって最も冷却される排気口の開口周縁を積極的に加熱することができる。これにより、燃焼運転初期における排気口の開口周縁でのドレンの発生を低減することができ、排気口からのドレンの飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置を示す概略分解斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置を示す概略断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る排気口部材を示す要部概略拡大断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る排気口部材の変形例を示す要部概略拡大断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る排気口部材の他の変形例を示す要部概略拡大断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る排気口部材のさらに他の変形例を示す要部概略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る排気口部材を説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の排気口部材7が適用される給湯器である燃焼装置1は、屋外に設置される。燃焼装置1は、外装ケース10と、外装ケース10内に収容された燃焼装置本体100とを有する。
【0015】
外装ケース10は、ケース本体2と、ケース本体2の前面開口部20を塞ぐ前カバー3とを備えている。なお、本明細書では、前カバー3が設けられている側を正面側とし、正面側から見たときに、外装ケース10の奥行方向を前後方向、外装ケース10の幅方向を左右方向、外装ケース10の高さ方向を上下方向という。ケース本体2及び前カバー3はそれぞれ、板金を成形して形成される。燃焼装置本体100は、ファン12と、バーナ111を有する燃焼ユニット11と、熱交換器131を有する熱交換ユニット13と、排気ダクト14とが、この順序で上方に接続された構成である。前カバー3の左右中央上部には、左右方向に扁平な排気口部材挿通口30が開設されている。この排気口部材挿通口30には、排気口部材7が挿通される。
【0016】
ファン12は、ファンモータ121を具備している。ファン12の上端は、その上方の燃焼ユニット11の下端に接続されている。ファン12を作動させることによって、燃焼ユニット11内に燃焼用空気が強制供給される。燃焼ユニット11の角筒状の燃焼箱110内にはガスバーナ111が収容されており、ガスバーナ111のガス入口には図示しないガスノズルから燃料ガスが供給されている。燃料ガスと空気との混合気を燃焼させることにより、燃焼箱110内で燃焼排ガスが生成される。
【0017】
熱交換器131は、燃焼ユニット11からの燃焼排ガスで加熱される複数の吸熱フィン132と、吸熱フィン132を貫通する吸熱管133とを備える。熱交換ユニット13の矩形枠体130の下端は、燃焼ユニット11の燃焼箱110の上端に接続されている。吸熱管133の上流端は図示しない給水配管に接続されており、吸熱管133の下流端は図示しない給湯端末に接続されている。
【0018】
排気ダクト14は下端及び前端が開放した箱体である。排気ダクト14の下端は、熱交換ユニット13の矩形枠体130の上端に接続されている。排気ダクト14の前端は、排気口部材7の後端と接続されている。具体的には、排気ダクト14の前端開口部140の周縁から外方に張り出す外周フランジに、排気口部材7の後端開口部95の周縁から外方に張り出す外周フランジがビスで重ね合わせ状態に結合されている。
【0019】
排気口部材7は、前端の排気口90が外装ケース10の外方(前方)に位置するように、外装ケース10内から前方に突出している。排気口部材7は、樹脂製である。排気口部材7は、左右方向に扁平な円筒形状を有する。
【0020】
排気口部材7は、上下方向に対向する平板状の上壁部71及び下壁部72と、左右方向に扁平な前壁部73と、上壁部71及び下壁部72の左端を接続する半円筒状の左壁部74と、上壁部71及び下壁部72の右端を接続する半円筒状の右壁部75とを有し、前後に開放している。排気口部材7の後端開口部は、排気ダクト14から排気口部材7内に燃焼排ガスが流入する流入口95を形成する。また、前壁部73には、流入口95よりも小径の左右方向に扁平な排気口90が形成されている。従って、燃焼運転でファン12を作動させると、排気ダクト14から流入口95を通って排気口部材7内に流入する燃焼排ガスが排気口90に向かって流れる排気通路Pが形成される。また、排気口90近傍の上下左右壁部71,72,74,75によって、排気通路Pの下流端に位置する下流端排気通路Pzが画成される。なお、図中、破線矢印Gは、燃焼排ガスの流れ方向を示す。
【0021】
前壁部73は、下流端排気通路Pzが排気口90以外で閉塞するように、排気口90の開口周縁91から上下左右に延びる閉塞部8(以下、「偏向部8」という)を有する。具体的には、偏向部8は、排気口90の開口上縁部92から上壁部71の前端まで延びる上偏向部81と、排気口90の開口下縁部93から下壁部72の前端まで延びる下偏向部82と、排気口90の開口左縁部から左壁部74の前端まで延びる左偏向部(図示せず)と、排気口90の開口右縁部から右壁部75の前端まで延びる右偏向部(図示せず)とから構成されている。このため、排気通路Pは、排気口90の周縁で狭くなっている。従って、下流端排気通路Pzを上壁部71に沿って前方に流れる燃焼排ガスは、上偏向部81に衝突して、下方向に流れ方向が偏向され、排気口90から外部に排出される。また、下流端排気通路Pzを下壁部72に沿って前方に流れる燃焼排ガスは、下偏向部82に衝突して、上方向に流れ方向が偏向され、排気口90から外部に排出される。また、下流端排気通路Pzを左壁部74に沿って前方に流れる燃焼排ガスは、左偏向部に衝突して、右方向に流れ方向が偏向され、排気口90から外部に排出される。また、下流端排気通路Pzを右壁部75に沿って前方に流れる燃焼排ガスは、右偏向部に衝突して、左方向に流れ方向が偏向され、排気口90から外部に排出される。このとき、流れ方向が下方向に偏向された燃焼排ガスは排気口90の開口下縁部93に接触しながら外部に排出され、流れ方向が上方向に偏向された燃焼排ガスは排気口90の開口上縁部92に接触しながら外部に排出される。また、流れ方向が右方向に偏向された燃焼排ガスは排気口90の開口右縁部に接触しながら外部に排出され、流れ方向が左方向に偏向された燃焼排ガスは排気口90の開口左縁部に接触しながら外部に排出される。このため、偏向された燃焼排ガスによって、外気で最も冷却される排気口90の開口周縁91が積極的に加熱される。
【0022】
本実施の形態によれば、下流端排気通路Pzを流れる燃焼排ガスが偏向部8に衝突して流れ方向が偏向され、排気口90の開口周縁91に向かって流れるから、外気によって最も冷却される排気口90の開口周縁91を積極的に加熱することができる。このため、排気口90の開口周縁91が冷却されているときでも、排気口90の開口周縁91の温度を短時間で上昇させることができる。これにより、燃焼運転初期における排気口90の開口周縁91でのドレンの発生を低減することができ、排気口90からのドレンの飛散を抑制することができる。特に、本実施の形態によれば、下流端排気通路Pzを下壁部72に沿って流れる燃焼排ガスが下偏向部82に衝突して排気口90の開口上縁部92に向かって流れるから、ドレンが成長しやすい排気口90の開口上縁部92を積極的に加熱することができる。このため、排気口90の開口上縁部92の温度を短時間で上昇させることができる。これにより、燃焼運転初期における排気口90の開口上縁部92でのドレンの発生を低減することができ、排気口90からのドレンの飛散を抑制することができる。
【0023】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことができる。例えば、以下の変形例やこれらを組み合わせた構成は、本発明に含まれる。
【0024】
図4に示すように、排気口部材7aは、偏向部8aとして排気口90aの開口下縁部93aから下壁部72aの前端まで延びる下偏向部82aのみを有してもよい。このような排気口部材7aによれば、下流端排気通路Pzを下壁部72aに沿って流れる燃焼排ガスが下偏向部82aに衝突して流れ方向が偏向され、排気口90aの開口上縁部92aに向かって流れるから、ドレンが成長しやすい排気口90aの開口上縁部92aを積極的に加熱することができる。
【0025】
また、図5に示すように、排気口部材7bは、下流端排気通路Pzを上下に分離する隔壁101,102を有してもよい。具体的には、下流端排気通路Pzは、上下中央部に位置する中央排気通路Paと、中央排気通路Paに対して中央排気通路Paを画成する上隔壁101を介して上方に隣接する上隣接排気通路Pbと、中央排気通路Paに対して中央排気通路Paを画成する下隔壁102を介して下方に隣接する下隣接排気通路Pcとから構成されてもよい。このような下流端排気通路Pzを形成すれば、上下隣接排気通路Pb,Pcを流れる燃焼排ガスによって上下隔壁101,102を加熱することができる。このため、排気口部材7bの内部が冷却されているときでも、上下隔壁101,102の内壁面の温度を短時間で上昇させることができる。これにより、燃焼運転初期における中央排気通路Pa内でのドレンの発生を低減することができ、排気口90bからのドレンの飛散を抑制することができる。なお、隣接排気通路は、上隣接排気通路Pbまたは下隣接排気通路Pcのいずれか一方のみを設けてもよい。
【0026】
また、図5に示すように、中央排気通路Paは、中央排気通路Paの下流端開口部105と排気口90bとが所定の大きさの先端隙間103を介して対向するように配置してもよい。このような中央排気通路Paを形成すれば、中央排気通路Paの下流端開口部105を形成する上下隔壁101,102の先端が外気に触れ難くなるから、上下隔壁101,102の先端の温度の低下を抑制することができる。これにより、燃焼運転初期における排気口部材7b内でのドレンの発生を低減することができ、排気口90bからのドレンの飛散を抑制することができる。また、前壁部73bには、排気口90bの開口上縁部92bから上壁部71bの前端まで延びる上偏向部81bと、排気口90bの開口下縁部93bから下壁部72bの前端まで延びる下偏向部82bとが形成されている。このため、上隣接排気通路Pbを画成する上壁部71bに沿って前方に流れる燃焼排ガスは、上偏向部81bに衝突して、下方向に流れ方向が偏向され、偏向された燃焼排ガスは先端隙間103を通って、排気口90bから外部に排出される。また、下隣接排気通路Pcを画成する下壁部72bに沿って前方に流れる燃焼排ガスは、下偏向部82bに衝突して、上方向に流れ方向が偏向され、偏向された燃焼排ガスは先端隙間103を通って、排気口90bから外部に排出される。このため、上下隔壁101,102の先端や外気によって最も冷却される排気口90bの開口上下周縁部92b,93bを積極的に加熱することができる。これにより、燃焼運転初期における排気口90aの開口周縁91bでのドレンの発生を低減することができ、排気口90bからのドレンの飛散を抑制することができる。
【0027】
また、図6に示すように、下端に流入口95cを有し、上下方向に延びる第1排気通路P1と、前端に排気口90cを有し、前後方向に延びる第2排気通路P2とが連結された排気通路を有する排気口部材7cを外装ケース10cの上方に設けてもよい。この排気口部材7cでは、第1排気通路P1の下端がケース本体2cの上板から突出し、排気ダクト14cと連通する接続部50に接続される。図示しないが、排気ダクト14cは、下方に延びている。このような排気口部材7cによれば、排気口部材7c内で屈曲した排気通路P1,P2が形成されるから、燃焼排ガスと内壁面との接触時間が長くなり、排気口90cよりも上流側の排気通路P1,P2でドレンを発生させることができ、発生させたドレンを下方に流下させることができる。また、下流端排気通路Pzを上壁部71cに沿って前方に流れる燃焼排ガスは上偏向部81cに衝突することによって、下方向に流れ方向が偏向され、排気口90cから外部に排出される。また、下流端排気通路Pzを下壁部72cに沿って前方に流れる燃焼排ガスは下偏向部82cに衝突することによって、上方向に流れ方向が偏向され、排気口90cから外部に排出される。このため、上記と同様に、偏向された燃焼排ガスによって、排気口90cの開口上下周縁部92c,93cを積極的に加熱することができる。しかも、上記のように排気口90cよりも上流側の排気通路P1,P2でドレンを発生させることによって、下流端排気通路Pzを流れる燃焼排ガス中の水分は減少しているから、燃焼排ガスが低温の排気口90cの開口周縁91cに接触しても、ドレンの発生が少ない。これにより、燃焼運転初期における排気口90cの開口周縁91cでのドレンの発生を低減することができ、排気口90cからのドレンの飛散を抑制することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 燃焼装置
10 外装ケース
100 燃焼装置本体
7 排気口部材
72 下壁部
8 偏向部
90 排気口
91 開口周縁
92 開口上縁部
95 流入口
103 先端隙間
105 下流端開口部
P 排気通路
Pa 中央排気通路
Pb 上隣接排気通路
Pc 下隣接排気通路
Pz 下流端排気通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6