(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072487
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】清掃用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
H01L21/304 651Z
H01L21/304 644Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183327
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】墨 周武
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB33
5F157AC03
5F157AC15
5F157BA07
5F157BA08
5F157BA41
5F157BA51
5F157CB26
5F157CB27
5F157CC11
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF60
5F157CF99
5F157DA21
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】開口が狭く奥行きの深い処理空間を有する超臨界処理チャンバの内部を効果的に清掃することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る清掃用アタッチメントは、基板を基板支持部材で支持し、チャンバ本体内に形成された処理空間に対し基板支持部材を進退させることで基板を処理空間に収容および排出する超臨界処理チャンバに適合するものである。清掃用アタッチメントは、基板支持部材に対し着脱自在に係合する係合部と、チャンバ本体のうち処理空間を取り囲む壁面に当接する清掃部と、係合部と清掃部とを接続する接続部とを備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を基板支持部材で支持し、チャンバ本体内に形成された処理空間に対し前記基板支持部材を進退させることで前記基板を前記処理空間に収容および排出する超臨界処理チャンバのための清掃用アタッチメントであって、
前記基板支持部材に対し着脱自在に係合する係合部と、
前記チャンバ本体のうち前記処理空間を取り囲む壁面に当接する清掃部と
前記係合部と前記清掃部とを接続する接続部と
を備える、清掃用アタッチメント。
【請求項2】
前記清掃部は、多孔質の弾性材料または布帛で形成され前記壁面に当接する払拭部材を有する、請求項1に記載の清掃用アタッチメント。
【請求項3】
前記払拭部材は前記壁面のうち天井面と底面とに対応して設けられる、請求項2に記載の清掃用アタッチメント。
【請求項4】
前記払拭部材は前記壁面のうち側壁面に対応して設けられる、請求項2に記載の清掃用アタッチメント。
【請求項5】
前記清掃部は、前記基板支持部材の進退方向に対して斜め方向に延びるアーム部と、多孔質の弾性材料または布帛で形成され前記進退方向における前記アーム部の先端に設けられた払拭部材とを有する、請求項1に記載の清掃用アタッチメント。
【請求項6】
前記係合部は、前記接続部と前記基板支持部材とを結合する結合部材を有する、請求項1ないし5のいずれかに記載の清掃用アタッチメント。
【請求項7】
前記接続部および前記結合部材の少なくとも一方が樹脂材料で形成されている、請求項6に記載の清掃用アタッチメント。
【請求項8】
前記接続部および前記結合部材の少なくとも一方が、金属部材の表面を樹脂材料で覆った構造を有する、請求項6に記載の清掃用アタッチメント。
【請求項9】
前記清掃部は、前記処理空間内の気体を吸引する吸引ノズルを有する、請求項1ないし5のいずれかに記載の清掃用アタッチメント。
【請求項10】
前記清掃部は、前記処理空間に対し流体を吐出する吐出ノズルを有する、請求項1ないし5のいずれかに記載の清掃用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部の処理空間に基板を収容して超臨界処理を行う超臨界処理チャンバの内部を清掃するための清掃用アタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、表示装置用ガラス基板等の各種基板の処理工程には、基板の表面を各種の処理流体によって処理するものが含まれる。処理流体として薬液やリンス液などの液体を用いる処理は従来から広く行われているが、近年では超臨界流体を用いた処理も実用化されている。特に、表面に微細パターンが形成された基板の処理においては、液体に比べて表面張力が低い超臨界流体はパターンの隙間の奥まで入り込むため効率よく処理を行うことが可能であり、また乾燥時において表面張力に起因するパターン倒壊の発生リスクを低減することができる。
【0003】
例えば本願出願人が先に開示した特許文献1には、超臨界流体を用いて基板の乾燥処理を行う基板処理装置が記載されている。この基板処理装置では、処理対象の基板は平板状のトレイに載置された状態で超臨界処理チャンバに収容される。複数の金属ブロックを組み合わせて構成される超臨界処理チャンバは、側面に水平方向に延びるスリット状の開口を有し、該開口に連通して内部にトレイを収容する処理空間が形成されている。処理流体の使用量を少なくするために、処理空間のサイズはトレイの外形サイズより僅かに大きい程度に抑えられている。つまり、開口から見た処理空間は、上下方向に狭い一方で水平方向に長く、かつ奥行きの深い空間となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処理を繰り返すにつれて処理チャンバ内に汚染物が付着することは不可避であり、したがって定期的に処理チャンバ内部を清掃する必要がある。ただし、上記のように従来技術における処理空間はスリット状の開口を有する奥行きの深い空間であり、オペレータの手作業による清掃は容易でない。上記従来技術の処理チャンバは複数のブロックから成っているため、分解して内部を清掃することは一応可能である。
【0006】
しかしながら、高圧に耐えるべく構成された各ブロックの重量は大きく、高い頻度で清掃を行うのに適しているとは言えない。このため、上記のように開口が狭く奥行きの深い処理空間を有する処理チャンバについても、高い頻度で効果的に清掃を行うことを可能とする技術が求められるが、そのような技術はこれまで確立されるに至っていない。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、開口が狭く奥行きの深い処理空間を有する超臨界処理チャンバの内部を効果的に清掃することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一の態様は、基板を基板支持部材で支持し、チャンバ本体内に形成された処理空間に対し前記基板支持部材を進退させることで前記基板を前記処理空間に収容および排出する超臨界処理チャンバのための清掃用アタッチメントである。この清掃用アタッチメントは、前記基板支持部材に対し着脱自在に係合する係合部と、前記チャンバ本体のうち前記処理空間を取り囲む壁面に当接する清掃部と、前記係合部と前記清掃部とを接続する接続部とを備えている。
【0009】
このように構成された発明では、チャンバ本体に対する基板支持部材の進退移動を利用して超臨界処理チャンバの内部を清掃することが可能である。すなわち、清掃用アタッチメントが取り付けられた状態で基板支持部材がチャンバ本体に対し進退する際に、清掃部が処理空間の壁面に当接しながら移動することで該壁面を払拭する。このように、本発明に係る清掃用アタッチメントは、基板支持部材の進退移動を利用して壁面を払拭することで、超臨界処理チャンバの内部を効果的に清掃することが可能である。
【発明の効果】
【0010】
上記のように、本発明によれば、基板保持部材に取り付けられた清掃用アタッチメントが、基板支持部材の進退移動を利用して壁面を払拭する。これにより、開口が狭く奥行きの深い処理空間を有する超臨界処理チャンバであってもその内部を効果的に清掃することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る清掃用アタッチメントを適用可能な基板処理装置の一例を示す図である。
【
図2】支持トレイおよび基板と処理空間との関係を示す図である。
【
図3】清掃用アタッチメントの第1ないし第3実施形態を示す図である。
【
図4】清掃用アタッチメントの取り付け部の構造を示す図である。
【
図5】清掃用アタッチメントの第4実施形態を示す図である。
【
図6】清掃用アタッチメントの第5実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る清掃用アタッチメントのいくつかの実施形態について説明する。最初に、それらの清掃用アタッチメントを用いた清掃処理の対象となる基板処理装置について説明する。なお、ここで説明する基板処理装置1は、上記した特許文献1に記載のものと基本的に同一の構成を有するものである。そのため、ここでは装置の概略構成を簡単に説明する。
【0013】
<基板処理装置の構成>
図1は、本発明に係る清掃用アタッチメントを適用可能な基板処理装置の一例の概略構成を示す図である。この基板処理装置1は、例えば半導体基板のような各種基板の表面を超臨界流体により処理するための装置である。以下の各図における方向を統一的に示すために、
図1に示すようにXYZ直交座標系を設定する。ここで、XY平面は水平面であり、Z方向は鉛直方向を表す。より具体的には、(-Z)方向が鉛直下向きを表す。
【0014】
ここで、本実施形態における「基板」としては、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として半導体ウエハの処理に用いられる基板処理装置を例に採って図面を参照して説明するが、上に例示した各種の基板の処理にも同様に適用可能である。
【0015】
基板処理装置1は、処理ユニット10、供給ユニット50および制御ユニット90を備えている。処理ユニット10は、超臨界乾燥処理の実行主体となるものであり、供給ユニット50は、処理に必要な化学物質および動力を処理ユニット10に供給する。
【0016】
制御ユニット90は、これら装置の各部を制御して所定の処理を実現する。この目的のために、制御ユニット90には、各種の制御プログラムを実行するCPU91、処理データを一時的に記憶するメモリ92、CPU91が実行する制御プログラムを記憶するストレージ93、およびユーザや外部装置と情報交換を行うためのインターフェース94などを備えている。後述する装置の動作は、CPU91が予めストレージ93に書き込まれた制御プログラムを実行し装置各部に所定の動作を行わせることにより実現される。
【0017】
処理ユニット10は、処理チャンバ100を備えている。処理チャンバ100は、それぞれ金属ブロックにより形成された第1部材11、第2部材12および第3部材13を備えている。第1部材11と第2部材12とが図示しない結合部材により上下方向に結合され、その(+Y)側側面に、図示しない結合部材により第3部材13が結合されて、内部が空洞110となった構造の処理チャンバ100が構成される。この空洞110の内部空間が、基板Sに対する処理が実行される処理空間SPとなっている。処理対象の基板Sは処理空間SP内に搬入されて処理を受ける。処理チャンバ100の(-Y)側側面には、X方向に細長く延びるスリット状の開口部101が形成されており、開口部101を介して処理空間SPと外部空間とが連通している。
【0018】
処理チャンバ100の(-Y)側側面には、開口部101を閉塞するように蓋部材14が設けられている。蓋部材14の(+Y)側側面には平板状の支持トレイ15が水平姿勢で取り付けられており、支持トレイ15の上面は基板Sを載置可能な支持面となっている。より具体的には、支持トレイ15は、略平坦な上面151に基板Sの平面サイズより少し大きく形成された凹部152が設けられた構造を有している。この凹部152に基板Sが収容されることで、基板Sは支持トレイ15上で所定位置に保持される。基板Sは、処理対象となる表面(以下、単に「基板表面」ということがある)Saを上向きにして保持される。このとき、支持トレイ15の上面151と基板表面Saとが同一または略同一の平面をなしていることが好ましい。
【0019】
蓋部材14は図示を省略する支持機構により、Y方向に水平移動自在に支持されている。また、蓋部材14は、供給ユニット50に設けられた進退機構53により、処理チャンバ100に対して進退移動可能となっている。具体的には、進退機構53は、例えばリニアモータ、直動ガイド、ボールねじ機構、ソレノイド、エアシリンダ等の直動機構を有しており、このような直動機構が蓋部材14をY方向に移動させる。進退機構53は制御ユニット90からの制御指令に応じて動作する。
【0020】
蓋部材14が(-Y)方向に移動することにより、支持トレイ15が処理空間SPから開口部101を介して外部へ引き出されると、外部から支持トレイ15へのアクセスが可能となる。すなわち、支持トレイ15への基板Sの載置、および支持トレイ15に載置されている基板Sの取り出しが可能となる。一方、蓋部材14が(+Y)方向に移動することにより、支持トレイ15は処理空間SP内へ収容される。支持トレイ15に基板Sが載置されている場合、基板Sは支持トレイ15とともに処理空間SPに搬入される。
【0021】
液体の表面張力に起因するパターン倒壊を防止しつつ基板を乾燥させることを主たる目的とする超臨界乾燥処理においては、基板Sは、その表面Saが露出してパターン倒壊が発生するのを防止するために、表面Saが液膜で覆われた状態で搬入される。液膜を構成する液体としては、例えばイソプロピルアルコール(IPA)、アセトン等の表面張力が比較的低い有機溶剤を好適に用いることができる。
【0022】
蓋部材14が(+Y)方向に移動し開口部101を塞ぐことにより、処理空間SPが密閉される。蓋部材14の(+Y)側側面と処理チャンバ100の(-Y)側側面との間にはシール部材16が設けられ、処理空間SPの気密状態が保持される。シール部材16としては、弾性樹脂材料、例えばゴムにより形成された環状のものを用いることができる。また、図示しないロック機構により、蓋部材14は処理チャンバ100に対して固定される。このようにして処理空間SPの気密状態が確保された状態で、処理空間SP内で基板Sに対する処理が実行される。
【0023】
この実施形態では、供給ユニット50に設けられた流体供給部57から、超臨界処理に利用可能な物質の流体、例えば二酸化炭素が、気体または液体の状態で処理ユニット10に供給される。二酸化炭素は比較的低温、低圧で超臨界状態となり、また基板処理に多用される有機溶剤をよく溶かす性質を有するという点で、超臨界乾燥処理に好適な化学物質である。
【0024】
より具体的には、流体供給部57は、基板Sを処理する処理流体として、超臨界状態の流体、または、ガス状もしくは液状で供給され所定の温度・圧力が与えられることで事後的に超臨界状態となる流体を出力する。例えば、ガス状もしくは液状の二酸化炭素が加圧状態で出力される。流体は配管571およびその途中に介挿されたバルブ572,573を介して、処理チャンバ100の(+Y)側側面に設けられた入力ポート102,103に圧送される。すなわち、制御ユニット90からの制御指令に応じてバルブ572,573が開成されることで、流体は流体供給部57から処理チャンバ100へ送られる。
【0025】
入力ポート102,103から処理空間SPに至る流体の流路17は、流体供給部57から供給される処理流体を処理空間SPに導入する導入流路として機能する。具体的には、入力ポート102には、流路171が接続されている。入力ポート102とは反対側の流路171の端部には、流路断面積が急激に拡大するように形成されたバッファ空間172が設けられている。
【0026】
バッファ空間172と処理空間SPとを接続するように、流路173がさらに設けられている。流路173は、上下方向(Z方向)に狭く、水平方向(X方向)に長い幅広の断面形状を有しており、その断面形状は、処理流体の流通方向において略一定である。バッファ空間172とは反対側の流路171の端部は、処理空間SPに臨んで開口する吐出口174となっており、この吐出口174から処理流体が処理空間SP内に導入される。
【0027】
望ましくは、流路173の高さは、支持トレイ15が処理空間SPに収容された状態で、処理空間SPの天井面110aと基板表面Saとの距離と等しい。そして、吐出口174は、処理空間SPの天井面110aと支持トレイ15の上面151との間のギャップに臨んで開口している。例えば、流路173の天井面と処理空間SPの天井面110aとが同一平面をなすようにすることができる。このように、吐出口174は、処理空間SPに臨んで水平方向に細長いスリット状に開口している。
【0028】
支持トレイ15の下方にも同様にして処理流体の流路が形成される。具体的には、入力ポート103には流路175が接続されている。入力ポート103とは反対側の流路175の端部には、流路断面積が急激に拡大するように形成されたバッファ空間176が設けられている。
【0029】
そして、バッファ空間176と処理空間SPとは流路177を介して連通している。流路177は、上下方向(Z方向)に狭く、水平方向(X方向)に長い幅広の断面形状を有しており、その断面形状は、処理流体の流通方向において略一定である。バッファ空間176とは反対側の流路177の端部は、処理空間SPに臨んで開口する吐出口178となっており、この吐出口178から処理流体が処理空間SP内に導入される。
【0030】
望ましくは、流路177の高さは、処理空間SPの底面110bと支持トレイ15の下面との距離と同等とされる。そして、吐出口178は、処理空間SPの底面110bと支持トレイ15の下面との間のギャップに臨んで開口している。例えば、流路177の底面110bと処理空間SPの底面とが同一平面をなすようにすることができる。つまり、吐出口178は、処理空間SPに臨んで水平方向に細長いスリット状に開口している。
【0031】
Z方向において、流路171の配設位置と流路173の配設位置とが異なっていることが望ましい。両者が同一高さにあるとき、流路171からバッファ空間172に流入した処理流体の一部がそのまま直進して流路173に流入することになる。そうすると、流通方向に直交する流路の幅方向、つまりX方向においては、流路171に対応する位置とそれ以外の位置とで、流路173に流れ込む処理流体の流量や流速に差が生じるおそれがある。このことは、流路173から処理空間SPに流れ込む処理流体の流れにX方向の不均一性を生じさせ、乱流の原因となる。
【0032】
流路171と流路173とをZ方向に異ならせて配置することにより、このような流路171から流路173への処理流体の直進は生じなくなり、幅方向において均一な層流として処理流体を処理空間SPに導入することが可能となる。
【0033】
このように構成された導入流路17から導入される処理流体は、処理空間SP内で支持トレイ15の上面および下面それぞれに沿って流れ、以下のように構成される排出流路18を介して処理容器外へ排出される。基板Sよりも(-Y)側において、処理空間SPの天井面と支持トレイ15の上面151とはいずれも水平な平面をなしており、両者は一定のギャップを保って平行に対向している。このギャップが、支持トレイ15の上面151および基板Sの表面Saに沿って流れた処理流体を流体排出部55に導く排出流路18の上流部181として機能する。この上流部181は上下方向(Z方向)に狭く、水平方向(X方向)に長い幅広の断面形状を有している。
【0034】
上流部181の処理空間SPとは反対側の端部はバッファ空間182に接続している。バッファ空間182は、処理チャンバ100と、蓋部材14と、シール部材16とで囲まれた空間である。X方向におけるバッファ空間182の幅は上流部181の幅と同等またはこれより大きく、Z方向におけるバッファ空間182の高さは上流部181の高さよりも大きい。したがって、バッファ空間182は上流部181より大きな流路断面積を有している。
【0035】
バッファ空間182の上部に上側排出流路の下流部183が接続されている。下流部183は処理チャンバ100を構成する上部ブロックである第1部材11を貫通して設けられた貫通孔である。その上端は処理チャンバ100の上面に開口する出力ポート104を構成し、下端はバッファ空間182に臨んで開口している。
【0036】
同様に、処理空間SPの底面と支持トレイ15の下面とはいずれも水平な平面をなしており、両者は一定のギャップを保って平行に対向している。このギャップが、支持トレイ15の下面に沿って流れる処理流体を流体排出部55に導く排出流路18の上流部185として機能する。また、支持トレイ15の下面側の上流部185は、支持トレイ15の上面側と同様に、バッファ空間186を介して下流部187と接続されている。
【0037】
処理空間SPにおいて支持トレイ15の上方を流れた処理流体は、排出流路18のうち上側排出流路を構成する上流部181、バッファ空間182および下流部183を介して出力ポート104へ送出される。出力ポート104は、配管551によって流体排出部55に接続されており、配管551の途中にはバルブ552が介挿されている。
【0038】
同様に、処理空間SPにおいて支持トレイ15の下方を流れた処理流体は、排出流路18のうち下側排出流路を構成する上流部185、バッファ空間186および下流部187を介して出力ポート105へ送出される。出力ポート105は、配管553によって流体排出部55に接続されており、配管553の途中にはバルブ554が介挿されている。
【0039】
バルブ552,554は制御ユニット90により制御されている。制御ユニット90からの制御指令に応じてバルブ552,554が開成すると、処理空間SP内の処理流体が配管551,553を介して流体排出部55に回収される。
【0040】
図2は支持トレイおよび基板と処理空間との関係を示す図である。より具体的には、
図2(a)は基板Sが載置された支持トレイ15が処理空間SPから引き出された状態を示す図であり、
図2(b)は支持トレイ15が処理空間SPに収容された状態を示す図である。
【0041】
図2(a)に示すように、平板状の支持トレイ15の上面151には、基板Sの平面サイズより少し大きく形成された凹部152が設けられた構造を有し、この凹部152に基板Sが収容される。処理チャンバ100の(-Y)側端面には、処理空間SPと連通する開口101が設けられている。その高さ(Z方向サイズ)Hoおよび幅Wo(X方向サイズ)は、支持トレイ15の高さおよび幅よりも少し大きく形成されている。また、処理空間SPのXZ平面における断面形状は、Y方向位置によらず開口100の形状と同じとなっており、その奥行き(Y方向サイズ)Dsは、支持トレイ15のY方向サイズより少し大きく形成されている。
【0042】
このため、
図2(b)に示すように、支持トレイ15が処理空間SPに収容された状態では、支持トレイ15と処理空間SPの壁面との間には小さな隙間が残るのみとなる。そのため、この状態における処理空間SPの容積は極めて小さい。これにより、超臨界処理においては少量の処理流体で処理空間SPを満たすことが可能であり、処理効率を高めるだけでなく省資源にも寄与する。
【0043】
処理空間SPの寸法の一例は次の通りである。例えば基板Sが直径300ミリメートルまでの半導体ウエハである場合、開口高さHoは20ないし30ミリメートル、開口幅Woは300ミリメートルより少し大きな値、処理空間SPの奥行きDsは400ミリメートル程度とすることができる。
【0044】
処理空間SPについては、処理を繰り返すことにより内部に汚れが蓄積してくるため、定期的な清掃が必要である。このように開口の幅が広く高さが小さく、かつ奥行きの深い処理空間SPを清掃するために、本発明を適用した清掃用アタッチメントを用いることができる。以下、清掃用アタッチメントのいくつかの実施形態につき、図面を参照しながら分説する。
【0045】
なお、本発明の清掃用アタッチメントの適用対象となる処理チャンバの構造は上記したものに限定されない。すなわち、開口から奥部まで断面形状が一定である処理空間を内部に有する各種の構造の処理チャンバに対し、その断面形状に応じて形状を適宜変更することで、本発明に係る清掃用アタッチメントを適用することが可能である。
【0046】
<第1実施形態ないし第3実施形態>
図3は本発明に係る清掃用アタッチメントの第1ないし第3実施形態を示す図である。より具体的には、
図3(a)は本発明の第1実施形態に係る清掃用アタッチメント21の構造を示す図であり、
図3(b)はその作用を説明する図である。また、
図3(c)および
図3(d)は、本発明の第2実施形態に係る清掃用アタッチメント22および第3実施形態に係る清掃用アタッチメント23の構造をそれぞれ示す図である。
【0047】
図3(a)に示すように、第1実施形態の清掃用アタッチメント21は、支持トレイ15の(+Y)側端面から(+Y)方向に延びるロッド部211の先端に清掃部材212が設けられた構造を有している。清掃部材212はX方向を長手方向とする棒状部材である。ここではその断面形状が概略H型であるが、断面形状はこれに限定されず任意である。
【0048】
清掃部材212のX方向における長さは処理空間SPの開口幅Woより少し小さい。また清掃部材212の高さ、つまりZ方向における長さは処理空間SPの開口高さHoより少し小さい。清掃部材212の上端および下端は平坦面に仕上げられており、その上面および下面には払拭材213,214がそれぞれ取り付けられている。払拭材213,214は、例えばシート状で多孔質の弾性樹脂材料または布帛により形成することができる。清掃部材212の上面および下面に払拭材213,214が取り付けられた状態では、これら全体の高さは処理空間SPの開口高さHoよりも大きくなる。言い換えれば、そのような関係となるように、払拭材213,214の厚さが設定されている。
【0049】
支持トレイ15が(+Y)方向に移動し処理空間SPに向けて進行するとき、支持トレイ15の先端に取り付けられた清掃用アタッチメント21は処理空間SPの内部へ挿入される。そうすると、清掃部材212の上面に取り付けられた払拭材213は処理空間SPの天井面に、清掃部材212の下面に取り付けられた払拭材214は処理空間SPの底面に、それぞれ当接することになる。
図3(b)に示すように、払拭材213,214がそれぞれ処理空間SPの天井面および底面に当接した状態で支持トレイ15が進退移動することで、払拭材213,214が処理空間SPの天井面および底面を摺擦して払拭し、これにより処理空間SP内の清掃を行うことができる。清掃効果を高めるために、払拭材213,214には適宜の洗浄液が予め含浸されていてもよい。
【0050】
またこのとき、処理空間SPに対して、(-Y)方向、つまり処理空間SPの奥側から開口101側に向かう方向の気流が形成されることがより好ましい。こうすることで、払拭材213,214の摺擦により処理空間SPの壁面から離脱した汚染物が、処理空間SPの内部に滞留するのを防止することができる。例えば流路173,177(
図1)を介して適宜の気体(窒素ガス、乾燥空気、二酸化炭素ガス等)を処理空間SPに供給することで、このような気流を生成することができる。
【0051】
一方、
図3(c)に示す第2実施形態の清掃用アタッチメント22では、支持トレイ15の(+Y)側端面から(+Y)方向に延びるロッド部221の先端に設けられた清掃部材222のX方向における両端部に、払拭部材223,224が取り付けられた構造を有している。清掃部材222のX方向における長さは開口幅Woより少し小さいが、払拭部材223,224を含む長さは開口幅Woよりも大きい。したがって、支持トレイ15が(+Y)方向および(-Y)方向に移動することで、処理空間SP内に進出した払拭部材223,224が処理空間SPの側壁面を摺擦してこれを清掃することができる。
【0052】
また、
図3(d)に示す第3実施形態の清掃用アタッチメント23では、支持トレイ15の(+Y)側端面から(+Y)方向に延びるロッド部231の先端に、X方向に延びる清掃部材232が取り付けられている。清掃部材232のX方向における長さは開口幅Woより少し小さく、その高さは開口高さHoより少し小さい。そして、清掃部材232の外周面、すなわち上面、側面および下面を取り囲むように、払拭部材233が取り付けられている。清掃部材232と払拭部材233とを合わせた幅は開口幅Woより大きく、高さは開口高さHoより大きい。
【0053】
このような構成を有する清掃用アタッチメント23が、処理チャンバ100に対する支持トレイ15の進退移動によりY方向に移動することで、処理空間SPを構成する天井面、底面および側壁面が同時に払拭される。なお、この構造では清掃用アタッチメント23が処理空間SPを閉塞するように作用することから、ガス抜きのために、清掃部材232をY方向に貫通するように貫通孔234が設けられてもよい。
【0054】
以上のように、第1ないし第3実施形態の清掃用アタッチメント21~23では、当該アタッチメントが支持トレイ15の進退移動に伴ってY方向に移動することで、処理空間SPを構成する天井面、底面および側壁面の少なくとも1つが払拭され、これにより処理チャンバ100内の清掃が実現される。なお、清掃部材212等が直接処理空間SPの壁面に接触し、払拭部材が設けられない構成であってもよい。このことは、後述する他の実施形態においても同様である。
【0055】
<アタッチメント取り付け部の構造>
図4は支持トレイに対する清掃用アタッチメントの取り付け部の構造を示す図である。ここでは第1実施形態の清掃用アタッチメント21を例として説明するが、取り付け部の構造については各実施形態で共通の構造を採用することが可能である。
【0056】
図4(a)および
図4(b)に示すように、支持トレイ15の(+Y)側端面には、2つのねじ穴15a,15bが設けられている。これらのねじ穴15a,15bのそれぞれに対し、雄ねじ部201a,212aをそれぞれ有する連結部材201,202が螺合される。
【0057】
連結部材201,202のうち雄ねじ部201a,212aとは反対側の端部201b,201bには貫通孔201c,202cが設けられている。これらの貫通孔201c,202cにねじ部材203,204が挿通される。ねじ部材203,204は、清掃用アタッチメント21のロッド部211に設けられたねじ穴211a,211bにそれぞれ螺合される。このようにして、清掃用アタッチメント21が支持トレイ15に結合される。
【0058】
支持トレイ15に清掃用アタッチメントが取り付けられない場合、ねじ穴15a,15bは適宜の栓部材により閉塞される。例えば
図4(c)に示すように、止めねじ(虫ねじとも称される)156,157を栓部材として用いることができる。このようにねじ穴15a,15bを栓部材で塞いでおくことにより、超臨界処理の実行時にねじ穴15a,15bによって処理流体の流れが乱れるのを防止することができる。
【0059】
払拭部材213等が布帛により構成される場合を除き、清掃用アタッチメント21~23およびその取り付け部を構成する各部材は、いずれも樹脂材料により構成される。例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)樹脂等のフッ素樹脂のように、化学的に安定で適度な弾性を有し清浄な樹脂材料を好適に適用可能である。
【0060】
これらの部材が例えば金属材料で形成されている場合、支持トレイ15への取り付け時や取り外し時に金属同士の摺擦により生じた微粉が処理空間SP内に残留して汚染源となるおそれがある。樹脂材料で形成された部材を用いることで、このような問題を回避することができる。なお、全ての部材が樹脂材料で形成される必要はなく、金属同士の摺擦が生じない限りにおいて、金属部品と樹脂部品とが適宜組み合わされてもよい。また、部品の表面が樹脂材料で形成され、内部に金属部品が埋め込まれたものであってもよい。
【0061】
<第4実施形態>
図5は本発明に係る清掃用アタッチメントの第4実施形態を示す図である。
図5(a)に示すように、第4実施形態の清掃用アタッチメント24では、支持トレイ15の(+Y)側端面から(+Y)方向に延びるロッド部241の先端にベース部242が設けられている。ベース部242の(+Y)側端面からは、2本のアーム部243,244がそれぞれ斜め方向に延びている。すなわち、これらのうち(+X)側に設けられたアーム部243は(+X)方向成分と(+Y)方向成分とを有する方向に延びる一方、(-X)側に設けられたアーム部244は(-X)方向成分と(+Y)方向成分とを有する方向に延びている。アーム部243,244は弾性を有する樹脂材料により形成される。これらは例えばベース部242と一体的に形成されてもよい。
【0062】
これらのアーム部243,244の先端には、清掃部材245,246が、X方向に互いに近接して設けられている。清掃部材245,246の高さ、つまりZ方向の長さは、処理空間SPの開口高さHoより少し小さい。一方、X方向においては、清掃部材245,246の長さの合計は開口幅Woに対して有意に小さい。清掃部材245,246の(+Y)側端面は平坦面に仕上げられ、払拭部材247,248がそれぞれ取り付けられている。
【0063】
支持トレイ15が(+Y)方向に移動すると、清掃用アタッチメント24は処理空間SP内に進入し、
図5(b)に示すように、清掃部材245,246の先端に設けられた払拭部材247,248が処理空間SPの(+Y)側側壁面に当接する。この状態から支持トレイ15がさらに(+Y)方向に移動すると、アーム部243,244がそれぞれX方向の外向きに弾性変形することで、清掃部材245,246もそれぞれX方向外向きに変位する。
【0064】
つまり、
図5(c)に点線矢印で示すように、払拭部材247,248が処理空間SPの(+Y)側側壁面に当接した状態で支持トレイ15が(+Y)方向および(-Y)方向に進退移動すると、清掃部材245,246に取り付けられた払拭部材247,248がX方向に往復移動し、これにより処理空間SPの(+Y)側側壁面が払拭される。このようにして、処理空間SPの(+Y)側側壁面を清掃することができる。
【0065】
<第5実施形態>
図6は本発明に係る清掃用アタッチメントの第5実施形態を示す図である。
図6(a)に示すように、第5実施形態の清掃用アタッチメント25では、支持トレイ15の(+Y)側端面から(+Y)方向に延びるロッド部251の先端にベース部252が設けられている。ベース部252はX方向に延びる棒状部材であり、そのX方向長さは処理空間SPの開口幅Woより少し小さく、Z方向には開口高さHoより十分に小さい。
【0066】
ベース部252の上端には多孔ノズル253が設けられ、さらにその上面に払拭部材254が取り付けられている。多孔ノズル253の上面には複数の吐出口2531が設けられている。一方、ベース部252の下端には多孔ノズル255が設けられ、さらにその下面に払拭部材256が取り付けられている。多孔ノズル255の上面には複数の吐出口2551が設けられている。ベース部252と多孔ノズル253,255とを合わせた高さは開口高さHoより少し小さいが、これらにさらに払拭部材254,256を合わせたときの高さは開口高さHoより大きい。したがって、この清掃用アタッチメント25が処理空間SP内に進入したとき、払拭部材254は処理空間SPの天井面に、払拭部材256は処理空間SPの底面にそれぞれ接触する。
【0067】
図6(b)は清掃用アタッチメント25の内部構造を示すXZ平面断面図である。同図に示すように、多孔ノズル253の各吐出口2531と、多孔ノズル255の各吐出口2551とは、それぞれベース部252の内部に設けられた流路2521に連通している。流路2521はいずれも図示しない吸引機構または噴射機構に接続されている。
【0068】
流路2521に吸引機構が接続されている場合には、多孔ノズル253,255は負圧が与えられることで周囲雰囲気を引き込むように作用する。清掃用アタッチメント25が処理空間SP内にあるとき、
図6(c)に示すように、支持トレイ15のY方向への移動により払拭部材254,256が処理空間SPの天井面および底面を摺擦するとともに、破線矢印で示すように、多孔ノズル253,255が周囲雰囲気を吸い込む。したがって、払拭部材254,256により処理空間SPの天井面および底面から除去された汚染物は多孔ノズル253,255により吸引されて処理空間SPから排出される。これにより処理空間SPが清掃される。
【0069】
一方、流路2521に噴射機構が接続されている場合には、多孔ノズル253,255に向けて適宜の流体が供給され、吐出口2531,2551から処理空間SPに噴射される。この場合の流体としては、窒素ガス、乾燥空気のような気体、または洗浄液のような液体を用いることができる。
図6(d)に破線矢印で示すように、流路2521を介して多孔ノズル253,255に流体が供給され、流体を噴射しつつ清掃用アタッチメント25が処理空間SP内でY方向に移動することにより、処理空間SP内を清掃することができる。
【0070】
この場合には、処理空間SPの壁面に付着している汚染物は流体により押し流されて除去されることになる。このように除去された汚染物を回収するために、ごみ受け257,258が設けられてもよい。このうちごみ受け257は、ベース部252の上部に取り付けられ、多孔ノズル253からの流体噴射によって処理空間SPの天井面から離脱した汚染物を受け止める。一方、ごみ受け258は、処理チャンバ100の開口101の下方に配置され、多孔ノズル255からの流体噴射によって処理空間SPの底面から離脱し清掃用アタッチメント25の(-Y)方向への移動により掻き出されてくる汚染物を受け止める。
【0071】
多孔ノズル253,255から吐出される流体が流路173,177(
図1)へ流入するのを防止するために、この実施形態においても、流路173,177には適宜の気体が外部から供給されることが望ましい。
【0072】
<その他>
上記のように構成された各清掃用アタッチメント21~25は、基板処理装置1が超臨界乾燥処理を実行する際には取り外されており、例えば定期メンテナンス時のような所定のタイミングで、オペレータの作業により、基板Sを支持していない支持トレイ15にいずれか1つが取り付けられる。必要に応じて、払拭部材には予め洗浄液が含浸される。
【0073】
そして、制御ユニット90からの制御指令に応じて進退機構53が蓋部材14をY方向に往復移動させる。蓋部材14と一体化された支持トレイ15のY方向への移動に伴って、清掃用アタッチメントが処理空間SP内で進退移動し、これにより処理空間SPの壁面が清掃される。
【0074】
以上のように、上記各実施形態においては、支持トレイ15が本発明の「基板支持部材」に相当している。また、処理チャンバ100が本発明の「チャンバ本体」に相当し、これと蓋部材14とが一体として本発明の「超臨界処理チャンバ」を構成している。
【0075】
また、上記各実施形態では、連結部材201,202が本発明の「係合部」、「結合部材」として機能している。また、ロッド部211,221,231,241,251が、それぞれ本発明の「接続部」として機能している。また、第1ないし第4実施形態では、清掃部材212,222,232,243,245,246が、それぞれ払拭部材213,214,223,224,233,247,248と組み合わされて、一体として本発明の「清掃部」を構成している。
【0076】
また、第5実施形態ではベース部252と払拭部材255,256とが一体として「清掃部」を構成している。さらに、多孔ノズル253,255は、吸引機構と接続されるとき本発明の「吸引ノズル」として機能する一方、噴射機構と接続されるときには本発明の「吐出ノズル」として機能することとなる。
【0077】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態の清掃用アタッチメント21~25は、処理空間SPのうちそれぞれ特定の部位を清掃する目的に特化された清掃部を有するものであり、支持トレイ15に対してはそれらが選択的に装着可能である。
【0078】
しかしながら、上記各実施形態を組み合わせて、1つの清掃用アタッチメントに用途の異なる複数の清掃部が設けられてもよい。また同様の理由から、メンテナンス時においては、複数種の清掃用アタッチメントが順次付け替えられて清掃が行われるようにしてもよい。
【0079】
また、上記各実施形態では清掃用アタッチメントを構成する各部材を樹脂製または樹脂で覆われた金属製としているが、取り付け、清掃、取り外しの一連の過程において処理チャンバ100や支持トレイ15と接触することのない部材については、金属部分が露出したものであってもよい。
【0080】
また、上記した基板処理装置1の処理チャンバ100はその側面に水平方向を長手方向とするスリット状開口を有するものである。しかしながら、本発明の清掃用アタッチメントが清掃すべきチャンバの構造や開口形状はこれに限定されず、種々のものを適用可能である。
【0081】
また、上記実施形態の処理で使用される各種の化学物質は一部の例を示したものであり、上記した本発明の技術思想に合致するものであれば、これに代えて種々のものを使用することが可能である。
【0082】
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明に係る清掃用アタッチメントにおいて、例えば清掃部は、多孔質の弾性材料または布帛で形成され壁面に当接する払拭部材を有していてもよい。これにより、清掃効果を高めることが可能である。この場合において、払拭部材は壁面のうち天井面と底面とに対応して設けられてもよく、側壁面に対応して設けられてもよい。さらには、それらの両方に対応して設けられてもよい。
【0083】
また例えば、清掃部は、基板支持部材の進退方向に対して斜め方向に延びるアーム部と、多孔質の弾性材料または布帛で形成され進退方向におけるアーム部の先端に設けられた払拭部材とを有していてもよい。このような構成によれば、基板支持部材の進退に応じてアーム部が弾性的に変形することで、壁面に対する摺擦作用を促進し、清掃効果の向上を図ることができる。
【0084】
また例えば、係合部は、接続部と基板支持部材とを結合する結合部材を有していてもよく、この場合、接続部および結合部材の少なくとも一方が樹脂材料で形成されている、あるいは、金属部材の表面を樹脂材料で覆った構造を有していることが好ましい。このような構成によれば、基板支持部材に対し清掃用アタッチメントを取り付けまたは取り外す際に金属同士の擦過による微粉が発生し処理空間を汚染するのを未然に防止することができる。
【0085】
また例えば、清掃部は、処理空間内の気体を吸引する吸引ノズル、および、処理空間に対し流体を吐出する吐出ノズルの少なくとも一方を備えていてもよい。このような構成によれば、清掃部の当接により壁面から離脱した汚染物を効果的に除去することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
この発明は、超臨界処理チャンバ内で基板を処理する基板処理技術全般に適用することができる。特に、半導体基板等の基板を超臨界流体によって乾燥させる基板乾燥処理を実行するための超臨界処理チャンバを清掃する目的に、好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 基板処理装置
14 蓋部材(超臨界処理チャンバ)
15 支持トレイ(基板支持部材)
21~25 清掃用アタッチメント
100 処理チャンバ(チャンバ本体、超臨界処理チャンバ)
201,202 連結部材(係合部、結合部材)
211,221,231,241,251 ロッド部(接続部)
212,222,232,243,245,246 清掃部材(清掃部)
213,214,223,224,233,247,248,255,256 払拭部材(払拭部材、清掃部)
233,234 アーム部
252 ベース部(清掃部)
253,255 多孔ノズル(吸引ノズル、吐出ノズル)
S 基板
SP 処理空間