(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007249
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】サーバおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240111BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108623
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】川島 真一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】端末装置を所持する作業者の多くが、特定の記録可能領域まで赴くことなく、出勤時の打刻を行うことができるようにする。
【解決手段】サーバ(1)は、予め登録された端末装置(2)と通信する通信部(11)と、記録可能領域(R1)を設定する設定部(131)と、端末装置が記録可能領域に入ったことを検知した場合に、入った時刻、および端末装置を特定する情報を含む出場情報を記録する記録部(134)と、を備え、設定部は、記録可能領域が設定された後に所定の更新条件が成立した場合に、記録可能領域を更新する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録された複数の可搬型の端末装置とそれぞれ通信する通信部と、
記録可能領域を設定する設定部と、
前記通信部による通信により、前記端末装置が前記記録可能領域に入ったことを検知した場合に、前記端末装置が記録可能領域に入った時刻、および前記記録可能領域に入った前記端末装置を特定する情報を含む出場情報を記録する記録部と、
を備え、
前記設定部は、前記記録可能領域が設定された後に所定の更新条件が成立した場合に、前記記録可能領域を更新する、
サーバ。
【請求項2】
前記記録可能領域の範囲を示す領域情報を複数の前記端末装置へ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
前記端末装置から、当該端末装置が前記記録可能領域に入った旨の入域情報を受信するよう前記通信部を制御する受信制御部と、
を備え、
前記記録部は、前記通信部が前記入域情報を受信した場合に、前記出場情報を記録し、
前記送信制御部は、前記設定部が前記記録可能領域を更新した場合に、更新された前記記録可能領域の領域情報を複数の前記端末装置へ送信するよう前記通信部を制御する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
複数の前記端末装置から、各端末装置の位置を示す位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する受信制御部を備え、
前記記録部は、前記位置情報が示す位置が前記記録可能領域に入った場合に、前記出場情報を記録する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項4】
前記記録可能領域は、所定地点を中心とする所定半径の円形をなしており、
前記設定部は、前記記録可能領域の半径を大きくすることにより、前記記録可能領域を拡大させる、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項5】
前記設定部は、当初設定した記録可能領域とは別に、新たな記録可能領域を設定することにより、前記記録可能領域を更新する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項6】
前記設定部は、前記記録可能領域を当初設定した記録可能領域から新たな記録可能領域に変更することにより、前記記録可能領域を更新する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項7】
前記設定部は、前記記録部が記録した前記出場情報の数が所定数に達した場合に、前記記録可能領域を更新する、
請求項4または5に記載のサーバ。
【請求項8】
前記設定部は、前記記録部が最初の前記出場情報を記録してから所定時間が経過した場合に、前記記録可能領域を更新する、
請求項4または5に記載のサーバ。
【請求項9】
前記端末装置の所持者とは異なる複数の人のうち、所定領域に入った入場者の数を取得
する取得部を備え、
前記設定部は、前記取得部が取得した前記入場者の数が所定数に達した場合に、前記記録可能領域を更新する、
請求項4または5に記載のサーバ。
【請求項10】
前記設定部は、前記端末装置が前記記録可能領域に入ったことを検知した場合に、前記端末装置の位置を含む前記新たな記録可能領域を設定する、または前記新たな記録可能領域に変更する、
請求項5または6に記載のサーバ。
【請求項11】
前記通信部は、前記端末装置とは異なる機器と通信し、
前記設定部は、前記通信部による通信により、前記機器が所定領域に入ったことを検知した場合に、前記機器の位置を含む前記新たな記録可能領域を設定する、または前記新たな記録可能領域に変更する、
請求項5または6に記載のサーバ。
【請求項12】
前記設定部は、複数の前記端末装置のうち、特定の端末装置が所定領域に入ったことを検知した場合に、前記特定の端末装置の位置を含む前記新たな記録可能領域を設定する、または前記新たな記録可能領域に変更する、
請求項5または6に記載のサーバ。
【請求項13】
前記設定部は、前記記録可能領域とは異なる位置に、第二記録可能領域を設定し、
前記記録部は、前記端末装置が前記記録可能領域または前記第二記録可能領域に入ったことを検知した場合に、前記出場情報を記録し、
前記設定部は、前記記録可能領域が設定された後に前記更新条件が成立した場合に、前記記録可能領域および前記第二記録可能領域の少なくとも一方を更新する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項14】
前記設定部は、複数の前記端末装置のうち、特定の端末装置から受信した領域変更指示に基づいて、前記記録可能領域を更新する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項15】
請求項1に記載のサーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、上記通信部、上記設定部、および上記記録部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ジオフェンスを利用して出退勤を管理する各種技術が従来提案されている。例えば下記特許文献1には、モバイル装置は、位置情報を取得する位置情報取得部と、今回取得された現在位置を今回現在位置として記憶するとともに現在位置が取得された日時を今回日時として記憶する記憶部と、今回日時にて示される日において、初めて、今回現在位置が予め登録されている出勤予定範囲内の位置となったか否かを判定するモバイル側判定部と、今回日時にて示される日において、初めて、今回現在位置が出勤予定範囲内の位置になったと判定された場合、今回日時を出勤日時と認定する認定部と、認定された出勤日時を送信するモバイル側通信部と、を備え、管理サーバは、モバイル側通信部により送信された出勤日時を受信する通信部と、受信された出勤日時にて示される日付に関連付けて出勤時刻を登録する登録部を備える出退勤管理システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなジオフェンスを利用した打刻システムは、様々な業界で用いられているが、業界の中には、作業場所が広く、複数の勤務者が複数の時間帯及び複数の地域に分散して作業を行うもの(例えば消防署員による消火活動、行方不明者の捜索活動、工場・建設現場での製造・建設作業、イベントの運営等)もある。こうした業界の勤務者が、出勤等の打刻のためだけに予め決められた特定の打刻範囲に赴くことは、作業の効率上好ましくない場合がある。特に、作業内容が、消火活動や行方不明者の捜索といった一刻を争うものである場合、打刻範囲の外にある作業場所へ向かうことが急務となることもある。また、作業の内容によっては作業の開始時刻が他の作業の開始時刻と異なる場合もある。したがって、特定の打刻範囲でしか打刻ができないこととすると、作業の効率上好ましくない場合がある。しかし、従来技術では、プログラムによって特定の打刻範囲が決められてしまっている。この範囲を変更する場合、管理者が手動で変更しなければならない。このような変更作業は、手間がかかる上、急いで打刻範囲の外にある作業場所へ向かうことが求められている場合に対応することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るサーバは、予め登録された複数の可搬型の端末装置とそれぞれ通信する通信部と、記録可能領域を設定する設定部と、前記通信部による通信により、前記端末装置が前記記録可能領域に入ったことを検知した場合に、前記端末装置が記録可能領域に入った時刻、および前記記録可能領域に入った前記端末装置を特定する情報を含む出場情報を記録する記録部と、を備え、前記設定部は、前記記録可能領域が設定された後に所定の更新条件が成立した場合に、前記記録可能領域を更新する。
【0006】
本発明の各態様は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることによりシステムをコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一態様の第一実施形態に係るサーバの機能的構成を示すブロック図である。
【
図2】同サーバが記憶する更新ルール票の一例を示す図である。
【
図3】同サーバが記憶する事案管理帳票の一例を示す図である。
【
図4】同サーバが行う記録可能領域の更新の一例を示す図である。
【
図5】同サーバが行う記録可能領域の更新の他の例を示す図である。
【
図6】同サーバが行う記録可能領域の更新の他の例を示す図である。
【
図7】同サーバと通信する端末装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の一態様の第二実施形態に係るサーバの機能的構成を示すブロック図である。
【
図9】第一、第二実施形態の変形例に係るサーバの機能的構成を示すブロック図である。
【
図10】同サーバが行う記録可能領域の更新の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第一実施形態>
まず、本発明の一態様の第一実施形態に係るサーバ1について説明する。
【0009】
[構成]
サーバ1は、
図1に示したように、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。
【0010】
〔通信部〕
通信部11は、予め登録された複数の可搬型の端末装置2とそれぞれ通信する。本実施形態に係る通信部11は、無線通信モジュールで構成されている。すなわち、本実施形態に係る通信部11は、端末装置2と無線通信する。
【0011】
〔記憶部〕
本実施形態に係る記憶部12は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等で構成されている。また、本実施形態に係る記憶部12は、更新ルール票と、データベース121と、を記憶している。
【0012】
更新ルール票は、
図2に示したように、当初(デフォルト)の記録可能範囲の情報、および更新条件と更新後の記録可能領域との対応関係が示されている。この更新条件と記録可能領域の詳細については後述する。
【0013】
データベース121には、複数(事案毎)の事案管理帳票が蓄積できるようになっている。事案管理帳票には、
図3に示したように、事案番号、事案の場所、事案の参加予定者、事案の予定日時、事案の種別および出場済み人数が示されている。事案の場所は、作業場所の中心、作業場所の出入口、特定の機材(消防車等)の配置予定位置、作業の責任者の待機予定位置等を含む。なお、事案の場所は、住所で示されていてもよいし、緯度・経度で示されていてもよい。
【0014】
〔制御部〕
制御部13は、サーバ1の各部を制御する。本実施形態に係る制御部13は、設定部131と、送信制御部132と、受信制御部133と、記録部134と、を備える。
【0015】
(設定部)
設定部131は、記録可能領域R1を設定する。本実施形態に係る設定部131は、事案管理帳票に記載されている事案の場所に従って記録可能領域R1を設定する。本実施形態に係る設定部131が設定する記録可能領域R1は、所定地点を中心とする所定半径の円形をなしている。本実施形態に係る所定地点は、事案管理帳票に記載されている「事案の場所」である。なお、記録可能領域R1は、水平方向に広がるものであってもよいし、鉛直方向に広がるものであってもよい。また、記録可能領域R1は、所定地点を含む球形、円柱形等の空間であってもよい。また、設定部131は、記録可能領域R1が設定された後に所定の更新条件が成立した場合に、記録可能領域R1を更新する。この記録可能領域R1の更新の詳細については後述する。
【0016】
(送信制御部)
送信制御部132は、領域情報を複数の端末装置2へ送信するよう通信部11を制御する。領域情報は、設定部131が設定した記録可能領域R1の範囲を示す情報である。本実施形態に係る送信制御部132は、領域情報の送信制御を、少なくとも事案管理帳票に載っている事案の参加予定者が所持する(身に着けている場合も含む)端末装置2を対象に行う。なお、送信制御部132は、領域情報の送信制御を、登録されている全ての端末装置2を対象に行うよう構成されていてもよい。本実施形態に係る送信制御部132は、設定部131が記録可能領域R1を更新した場合に、更新された記録可能領域R1の領域情報を複数の端末装置2へ送信するよう通信部11を制御する。
【0017】
(受信制御部)
受信制御部133は、端末装置2から、入域情報を受信するよう通信部11を制御する。入域情報は、端末装置2が記録可能領域R1に入った旨の情報である。これにより、通信部11は、各端末装置2が記録可能領域R1に入る度に入域情報を受信することになる。
【0018】
(記録部)
記録部134は、通信部11による通信により、端末装置2が記録可能領域R1に入ったことを検知した場合に、出場情報を記録する。出場情報は、端末装置2が記録可能領域R1に入った時刻、および記録可能領域R1に入った端末装置2を特定する情報を含む情報である。本実施形態に係る記録部134は、通信部11が入域情報を受信した場合に、出場情報を記録する。また、本実施形態に係る記録部134は、出場情報を、記憶部12のデータベース121に記録する。また、本実施形態に係る記録部134は、出場情報を記録する度に、事案管理帳票に記載されている出場済み人数の情報を更新(+1)する。
【0019】
(記録可能領域設定後の設定部)
上述したように、設定部131は、記録可能領域R1が設定された後に更新条件が成立した場合に、記録可能領域R1を更新する。本実施形態に係る設定部131は、記憶部12に記憶されている更新ルール票に従って、事案管理帳票に記載されている事案の場所の情報を更新する。上述したように、設定部131は、事案管理帳票に記載されている事案の場所に従って記録可能領域R1を設定する。このため、事案の場所が更新されることで、記録可能領域R1も更新される。
【0020】
記録可能領域R1の「更新」には、「半径拡大」、「新領域設定」、「領域変更」の少なくともいずれかが含まれる。なお、「更新」には、「縮小」が含まれていてもよい。
【0021】
「半径拡大」を更新とする場合、設定部131は、
図4に例示したように、記録可能領域R
1の半径を大きくすることにより、記録可能領域R
1を拡大させる。これにより、設定部131は、記録可能領域R
1の設定および拡大の制御を容易に行うことができる。
【0022】
「新領域設定」を更新とする場合、設定部131は、
図5に例示したように、当初設定した記録可能領域R
1とは別に、新たな記録可能領域R
aを設定することにより、記録可能領域R
1を更新する。新たな記録可能領域R
aは、当初設定した記録可能領域R
1と繋がっていてもよいし、離れていてもよい(
図5は繋がっている場合を例示)。これにより、記録可能領域R
1を、単純に拡大させるだけの場合と異なり、地形、建物・道路の配置、複数の端末装置2の移動傾向等に応じた形に広げていくことができる。本実施形態に係る設定部131は、端末装置2が記録可能領域R
1に入ったことを検知した場合に、端末装置2の位置を含む新たな記録可能領域R
aを設定する。これにより、当初の記録可能領域R
1の、作業者が入ってきた側に新たな記録可能領域R
aが増えることになる。このため、複数の作業者が皆、同じ方向から記録可能領域R
1に向かってくるような場合、新たな記録可能領域R
aは、作業者が流れてくる方向に向かって延びていく、または流れてくる方向に向かって移動していくことになる。すると、複数の作業者は、より少ない移動で、出勤時の打刻を行うことができる。
【0023】
「領域変更」を更新とする場合、設定部131は、
図6に示したように、記録可能領域R
1を当初設定した記録可能領域R
1から新たな記録可能領域R
2に変更することにより、記録可能領域R
1を更新する。新たな記録可能領域R
2の位置は、上記「新領域設定」の場合と同様、例えば位置情報が示す位置が記録可能領域R
1に入った場合に、位置情報が示す位置を含む位置としてもよいし、予め決定しておいた位置であってもよい。
【0024】
「更新条件」には、「人数条件」、および「時間条件」の少なくともいずれかが含まれる。
【0025】
人数条件を更新条件とする場合、設定部131は、記録部134が記録した出場情報の数が所定数(例えば1)に達した場合に、記録可能領域R
1を更新する。これにより、所定数の作業者が出勤時の打刻を済ませると、記録可能領域R
1が拡大する、または変更される。このため、後から出勤する作業者は、当初の記録可能領域R
1まで赴くことなく、出勤時の打刻(出場情報の記録)を行うことができる。また、人数条件を更新条件とする場合の設定部131は、人数条件が成立し記録可能領域R
1を更新した後、第2、第3・・第n人数条件が成立する(記録部134が記録した出場情報の数が所定数より多い第2、第3・・第n所定数に達する:
図2参照)度に、記録可能領域R
1を更に更新する。
【0026】
時間条件を更新条件とする場合、設定部131は、記録部134が最初の出場情報を記録してから所定時間が経過した場合に、記録可能領域R1を更新する。これにより、最初に出勤してきた作業者が打刻を済ませてから所定時間が経過すると、記録可能領域R1が拡大する。このため、後から出勤する作業者は、当初の記録可能領域R1まで赴くことなく、出勤時の打刻を行うことができる。また、時間条件を更新条件とする場合の設定部131は、時間条件が成立し記録可能領域R1を更新した後、第2、第3・・第n時間条件が成立する(記録部134が最初の出場情報を記録してから所定時間より長い第2、第3・・第n時間が経過する)度に、記録可能領域R1を更に更新する。
【0027】
[作用効果]
以上説明してきたサーバ1によれば、所定の更新条件の成立(出場情報数の所定数到達、最初の出場情報記録から所定時間経過)に応じて記録可能領域R1が自動的に(管理者に負担をかけることなく)更新される(拡大する、または変更される)。これにより、更新条件の成立後、端末装置2を所持する作業者の多くが、当初の記録可能領域R1まで赴くことなく、出勤時の打刻(出場情報の記録)を行うことができるようになる。
【0028】
<端末装置>
次に、上記サーバ1と通信する端末装置2について説明する。
【0029】
[構成]
端末装置2は、可搬型のものである。端末装置2は、専用の装置であってもよいし、作業者がそれぞれ所持する携帯電話機、タブレット端末等であってもよい。本実施形態に係る端末装置2は、
図7に示したように、端末通信部21と、端末記憶部22と、端末制御部23と、を備える。
【0030】
〔端末通信部〕
端末通信部21は、サーバ1と通信する。本実施形態に係る端末通信部21は、無線通信モジュールで構成されている。すなわち、本実施形態に係る端末通信部21は、サーバ1と無線通信する。本実施形態に係る端末通信部21は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星とも通信する。
【0031】
〔記憶部〕
端末記憶部22は、専用のアプリケーションプログラムを記憶している。本実施形態に係る端末記憶部22は、領域情報を記憶できるよう構成されている。本実施形態に係る端末記憶部22は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等で構成されている。なお、端末記憶部22は、アプリケーションプログラムを記憶するものと、領域情報を記憶するものとに分けられていてもよい。
【0032】
〔端末制御部〕
端末制御部23は、端末装置2の各部を制御する。本実施形態に係る端末制御部23は、プロセッサで構成されている。そして、端末制御部23は、端末記憶部22に記憶されたアプリケーションプログラムに従って各種処理を実行する。本実施形態に係る端末制御部23は、端末受信制御部231と、位置情報生成部232と、端末判断部233と、端末送信制御部234と、を備える。
【0033】
(受信制御部)
端末受信制御部231は、サーバ1から、領域情報を受信するよう端末通信部21を制御する。本実施形態に係る端末受信制御部231は、領域情報の受信制御を、定期的に、またはサーバ1が記録可能領域R1を更新する度に行う。本実施形態に係る端末受信制御部231は、端末通信部21が受信した領域情報を端末記憶部22へ記憶させる。
【0034】
(位置情報生成部)
位置情報生成部232は、端末装置2(自身)の位置を示す位置情報を生成する。本実施形態に係る位置情報生成部232は、GPS衛星から端末通信部21が受信した信号に基づいて位置情報を生成する。本実施形態に係る位置情報は、端末装置2の緯度・経度を示す情報である。なお、位置情報は、端末装置2の高さを示す情報を含んでいてもよい。このようにすれば、記録可能領域R1が鉛直方向に広がるものや空間である場合にも対応することができる。また、位置情報生成部232は、位置情報を定期的に生成する。上述したように、端末装置2は可搬型のものであり、移動することがある。このため、位置情報の内容は、生成の度に変化することがある。
【0035】
(端末判断部)
端末判断部233は、端末装置2が、記録可能領域R1に入ったか否かを判断する。具体的には、端末判断部233は、位置情報生成部232が生成した直近の位置情報が示す位置が、端末通信部21が受信した領域情報が示す記録可能領域R1の範囲内にあるか否かを判断する。本実施形態に係る端末判断部233は、記録可能領域R1に入ったか否かの判断を、定期的に、端末通信部21が領域情報を受信する度に、または位置情報生成部232が位置情報を生成する度に行う。
【0036】
(端末送信制御部)
端末送信制御部234は、端末装置2が記録可能領域R1に入ったと端末判断部233が判断した場合に、入域情報をサーバ1へ送信するよう端末通信部21を制御する。
【0037】
[動作]
以上説明してきた端末装置2は、自身が記録可能領域R1に入ると、その旨をサーバ1に通知する。
【0038】
<第二実施形態>
次に、本発明の一態様の第二実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記第一実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0039】
[構成の相違点]
本実施形態に係るサーバ1Aは、
図8に示したように、上記第一実施形態に係るサーバ1と同様の通信部11および記憶部12の他に、制御部13Aを備える。
【0040】
制御部13Aは、上記第一実施形態に係る制御部13と同様の設定部131の他に、受信制御部133Aと、記録部134Aと、判断部135と、を備える。
【0041】
(受信制御部)
受信制御部133Aは、複数の端末装置2から、各端末装置2の位置を示す位置情報を繰り返し受信するよう通信部11を制御する。
【0042】
(判断部)
判断部135は、端末装置2が、記録可能領域R1に入ったか否かを判断する。本実施形態に係る判断部135は、受信制御部133Aが受信した直近の位置情報が示す位置が、設定部131が設定した領域情報が示す記録可能領域R1の範囲内にあるか否かを判断する。本実施形態に係る判断部135は、記録可能領域R1に入ったか否かの判断を、定期的に、設定部131が記録可能領域R1を設定・更新する度に、または通信部11が位置情報を受信する度に行う。
【0043】
(記録部)
本実施形態に係る記録部134Aは、位置情報が示す位置が記録可能領域R1に入った場合に、出場情報を記録する。また、本実施形態に係る記録部134Aは、上記第一実施形態に係る記録部134と同様に、出場情報を、記憶部12のデータベース121に記録する。
【0044】
[作用効果]
以上説明してきたサーバ1Aによれば、上記第一実施形態に係るサーバ1と同様に、所定の更新条件の成立に応じて記録可能領域R1が自動的に更新される。これにより、更新条件の成立後、端末装置2を所持する作業者の多くが、当初の記録可能領域R1まで赴くことなく、出勤時の打刻を行うことができるようになる。
【0045】
<第一、第二実施形態変形例>
なお、制御部13、13Aは、
図9に示したように、取得部136を備えていてもよい。取得部136は、端末装置2の所持者とは異なる複数の人のうち、所定領域に入った入場者の数を取得する。この場合、設定部131は、取得部136が取得した入場者の数が所定数に達した場合に、記録可能領域R
1を更新するよう構成されていてもよい。入場者
の数は、例えば、所定領域に設けられた計数装置(入場ゲート等)から受信してもよいし、入場者が所持する携帯電話機から受信した位置情報に基づいて算出してもよい。例えば、所定領域がイベントの会場であり、端末装置2の所持者がイベントのスタッフである場合、入場者であるイベント参加者が増えるほど、スタッフは会場の各所に分散して作業に当たることになる。このため、上記のようにすれば、後から出勤する作業者は、当初の記録可能領域R
1まで赴くことなく、出勤時の打刻を行うことができる。その結果、記録可能領域R
1まで赴く場合よりも早く、持ち場での作業を開始することができる。
【0046】
また、通信部11は、端末装置2とは異なる機器と通信するよう構成されていてもよい。機器には、例えば作業者が作業に用いる機器(例えば、消火作業に用いる消防車等)が含まれる。この場合、設定部131は、機器が所定領域に入ったことを検知した場合に、機器の位置を含む新たな記録可能領域Raを設定する、または新たな記録可能領域R2に変更するよう構成されていてもよい。「所定領域」は、記録可能領域R1であってもよいし、それ以外の領域(実際の作業場所等)であってもよい。作業者は作業に用いる機器の近くに集まることが多い。このため、上記のようにすれば、機器が所定領域に到着後、多くの作業者が当初の記録可能領域R1まで赴くことなく、出勤時の打刻を行うことができる。
【0047】
また、設定部131は、複数の端末装置2のうち、特定の端末装置2が所定領域に入ったことを検知した場合に、特定の端末装置2の位置を含む新たな記録可能領域Raを設定する、または新たな記録可能領域R2に変更するよう構成されていてもよい。「所定領域」は、記録可能領域R1であってもよいし、それ以外の領域であってもよい。作業者は作業の主体となる責任者の近くに集まることが多い。このため、上記のようにすれば、特定の端末装置2を責任者に所持させておくことにより、特定の端末装置2が所定領域に到着後、多くの作業者が当初の記録可能領域R1まで赴くことなく、出勤時の打刻を行うことができる。
【0048】
また、設定部131は、記録可能領域R
1を設定する際、
図10に示したように、当該記録可能領域R
1とは異なる位置に、第二記録可能領域R
3を設定する(複数の記録可能領域R
1を一度に設定する)よう構成されていてもよい。その場合、記録部134は、端末装置2が記録可能領域R
1または第二記録可能領域R
3に入ったことを検知した場合に、出場情報を記録するよう構成されていてもよい。また、その場合、設定部131は、記録可能領域R
1が設定された後に更新条件が成立した場合に、記録可能領域R
1および第二記録可能領域R
3の少なくとも一方を更新(
図10は記録可能領域R
1のみ更新した場合を例示)するよう構成されていてもよい。このようにすれば、作業場所が二か所以上に分かれている場合であっても、更新条件の成立後、端末装置2を所持する作業者の多くが、当初の記録可能領域R
1まで赴くことなく、出勤時の打刻を行うことができる。
【0049】
また、設定部131は、複数の端末装置2のうち、特定の端末装置2から受信した領域変更指示に基づいて(特定の端末装置2の所持者による手動で)、記録可能領域R1を更新するよう構成されていてもよい。このようにすれば、特定の端末装置2を責任者に所持させておくことにより、責任者の判断に応じて記録可能領域R1を臨機応変に変更することができる。
【0050】
また、上記サーバ1の機能は、当該サーバ1としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該サーバ1の各制御ブロック(特に制御部13に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。この場合、上記サーバ1は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行する
ことにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0051】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0052】
また、以上説明してきた本発明の各態様が奏する作用効果は、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」等の達成に貢献するものである。
【0053】
また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1、1A サーバ
11 通信部
12 記憶部
121 データベース
13、13A 制御部
131 設定部
132 送信制御部
133、133A 受信制御部
134、134A 記録部
135 判断部
136 取得部
2 端末装置
21 端末通信部
22 端末記憶部
23 端末制御部
231 端末受信制御部
232 位置情報生成部
233 端末判断部
234 端末送信制御部
R1 (更新前の)記録可能領域
R2 (更新後の)記録可能領域
Ra 新たな記録可能領域
R3 第二記録可能領域
【手続補正書】
【提出日】2023-12-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録された複数の可搬型の端末装置とそれぞれ通信する通信部と、
記録可能領域を設定する設定部と、
前記記録可能領域の範囲を示す領域情報を複数の前記端末装置へ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
前記端末装置から、当該端末装置が前記記録可能領域に入った旨の入域情報を受信するよう前記通信部を制御する受信制御部と、
前記通信部が前記入域情報を受信した場合に、前記端末装置が記録可能領域に入った時刻、および前記記録可能領域に入った前記端末装置を特定する情報を含む出場情報を記録する記録部と、
を備え、
前記設定部は、前記記録可能領域が設定された後に所定の更新条件が成立した場合に、前記記録可能領域を更新し、
前記送信制御部は、前記設定部が前記記録可能領域を更新した場合に、更新された前記記録可能領域の領域情報を複数の前記端末装置へ送信するよう前記通信部を制御する、
サーバ。
【請求項2】
複数の前記端末装置から、各端末装置の位置を示す位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する受信制御部を備え、
前記記録部は、前記位置情報が示す位置が前記記録可能領域に入った場合に、前記出場情報を記録する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記記録可能領域は、所定地点を中心とする所定半径の円形をなしており、
前記設定部は、前記記録可能領域の半径を大きくすることにより、前記記録可能領域を拡大させる、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項4】
予め登録された複数の可搬型の端末装置とそれぞれ通信する通信部と、
記録可能領域を設定する設定部と、
前記通信部による通信により、前記端末装置が前記記録可能領域に入ったことを検知した場合に、前記端末装置が記録可能領域に入った時刻、および前記記録可能領域に入った前記端末装置を特定する情報を含む出場情報を記録する記録部と、
を備え、
前記設定部は、前記記録可能領域が設定された後に所定の更新条件が成立した場合に、当初設定した記録可能領域とは別に、新たな記録可能領域を設定することにより、前記記録可能領域を更新する、
サーバ。
【請求項5】
前記設定部は、前記記録可能領域を当初設定した記録可能領域から新たな記録可能領域に変更することにより、前記記録可能領域を更新する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項6】
前記設定部は、前記記録部が記録した前記出場情報の数が所定数に達した場合に、前記記録可能領域を更新する、
請求項3または4に記載のサーバ。
【請求項7】
前記設定部は、前記記録部が最初の前記出場情報を記録してから所定時間が経過した場合に、前記記録可能領域を更新する、
請求項3または4に記載のサーバ。
【請求項8】
前記端末装置の所持者とは異なる複数の人のうち、所定領域に入った入場者の数を取得する取得部を備え、
前記設定部は、前記取得部が取得した前記入場者の数が所定数に達した場合に、前記記録可能領域を更新する、
請求項3または4に記載のサーバ。
【請求項9】
前記設定部は、前記端末装置が前記記録可能領域に入ったことを検知した場合に、前記端末装置の位置を含む前記新たな記録可能領域を設定する、または前記新たな記録可能領域に変更する、
請求項4または5に記載のサーバ。
【請求項10】
前記通信部は、前記端末装置とは異なる機器と通信し、
前記設定部は、前記通信部による通信により、前記機器が所定領域に入ったことを検知した場合に、前記機器の位置を含む前記新たな記録可能領域を設定する、または前記新たな記録可能領域に変更する、
請求項4または5に記載のサーバ。
【請求項11】
前記設定部は、複数の前記端末装置のうち、特定の端末装置が所定領域に入ったことを検知した場合に、前記特定の端末装置の位置を含む前記新たな記録可能領域を設定する、
または前記新たな記録可能領域に変更する、
請求項4または5に記載のサーバ。
【請求項12】
予め登録された複数の可搬型の端末装置とそれぞれ通信する通信部と、
記録可能領域を設定する設定部と、
前記通信部による通信により、前記端末装置が前記記録可能領域に入ったことを検知した場合に、前記端末装置が記録可能領域に入った時刻、および前記記録可能領域に入った前記端末装置を特定する情報を含む出場情報を記録する記録部と、
を備え、
前記設定部は、前記記録可能領域とは異なる位置に、第二記録可能領域を設定し、
前記記録部は、前記端末装置が前記記録可能領域または前記第二記録可能領域に入ったことを検知した場合に、前記出場情報を記録し、
前記設定部は、前記記録可能領域が設定された後に所定の更新条件が成立した場合に、前記記録可能領域および前記第二記録可能領域の少なくとも一方を更新する、
サーバ。
【請求項13】
予め登録された複数の可搬型の端末装置とそれぞれ通信する通信部と、
記録可能領域を設定する設定部と、
前記通信部による通信により、前記端末装置が前記記録可能領域に入ったことを検知した場合に、前記端末装置が記録可能領域に入った時刻、および前記記録可能領域に入った前記端末装置を特定する情報を含む出場情報を記録する記録部と、
を備え、
前記設定部は、前記記録可能領域が設定された後に所定の更新条件が成立した場合に、複数の前記端末装置のうち、特定の端末装置から受信した領域変更指示に基づいて、前記記録可能領域を更新する、
サーバ。
【請求項14】
請求項1に記載のサーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
上記通信部、上記設定部、上記記録部、上記送信制御部、および上記受信制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項1に記載のサーバと通信する通信部を備える端末装置であって、
前記サーバが設定した記録可能領域の範囲を示す領域情報を受信するよう前記通信部を制御する受信制御部と、
前記端末装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記端末装置が、前記記録可能領域に入ったか否かを判断する判断部と、
前記端末装置が前記記録可能領域に入ったと前記判断部が判断した場合に、当該端末装置が前記記録可能領域に入った旨の入域情報を前記サーバへ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
を備える端末装置。
【請求項16】
請求項15に記載の端末装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
上記通信部、上記受信制御部、上記位置情報生成部、上記判断部、および上記送信制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。