(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072494
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】点滴バッグ固定器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
A61M5/14 532
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183338
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】501346526
【氏名又は名称】林 漢川
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 漢川
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066EE01
4C066FF01
4C066FF04
(57)【要約】
【課題】 帽子に点滴バッグを直接結合固定し、点滴バッグの移動や落下を確実に防ぐ点滴バッグ固定器を提供する。
【解決手段】 点滴バッグ固定器20は、帽子21と少なくとも一つの締付け部40を含む。帽子21は、使用者の頭部に被せるもので、その外側面に付着部31を備える。締付け部40は、付着部31の上方に跨設する。このような構造設計により、点滴バッグ10一方の外側面を付着部31に付着させた後、締付け部40によって点滴バッグ10を押圧し、付着部31及び締付け部40の二重制限を受けることで、点滴バッグ10は帽子21上で移動や落下することがなく、使用者は帽子21を直接頭部に被るだけでよい。よって、患者は外出やトイレに行く際に非常に便利に、簡単に点滴バッグ10を携帯でき、並びに両手が使えるため、その他の動作を行うことができ、点滴バッグ10中の点滴液の残余量を容易に観察できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽子と少なくとも一つの締付け部とを備える点滴バッグ固定器であって、
前記帽子は、使用者の頭部に装着するものであって、その外側面には付着部を設け、その外側面は、前側面、後側面、左側面、右側面に区切られ、頭頂部まで延伸し、
前記締付け部は、前記付着部の上方に跨設し、バンドと穴を有するリングとを含み、
前記リングは帽子上、しかも前記付着部の一方に位置するように固定し、
前記バンドの一端は、前記付着部のもう一方に固定し、前記リングとは横向きに対応しており、前記バンドのもう一端は自由端であり、前記バンド上には第一結合部品と第二結合部品とを設け、前記バンドの自由端は、前記リングの穴に通した後、折り返して、前記第二結合部品を前記第一結合部品に結合して固定させており、
以上のように前記付着部と前記締付け部との二重制限によって、点滴バッグを前記帽子上に結合固定することを特徴とする点滴バッグ固定器。
【請求項2】
前記付着部は、マジックテープ、静電気吸着シ-ト、表面に接着質層を塗布したシ-トのうちいずれかひとつであり、前記帽子に結合固定して構成されることを特徴とする請求項1に記載の点滴バッグ固定器。
【請求項3】
前記付着部は、前記帽子の外側面に接着質層を塗布して構成されることを特徴とする請求項1に記載の点滴バッグ固定器。
【請求項4】
前記帽子の前記前側面は、前記帽子と結合して一つとなる持つ部分を含み、前記持つ部分には硬さを有することを特徴とする請求項1に記載の点滴バッグ固定器。
【請求項5】
前記調節部品は、帽子の後側面に切り口を設け、前記切り口の両端に跨設しした前記調節部品は、ベルトと調節具とを含み、
前記調節具は固定部と可動部とを有しており、
前記可動部の一端を固定部上に軸着することで、前記可動部は前記固定部上で片側が可動し、前記固定部の一端は、前記帽子上の前記切り口の一端に結合固定し、もう一端には上向きに突出した歯を形成し、
前記ベルトの一端は前記切り口のもう一端の前記帽子に結合固定し、前記ベルトのもう一端は前記固定部と前記可動部の間に貫入し、前記ベルトの一面は前記歯と相対し、前記可動部を下向きに押圧すると、前記ベルトと前記歯が緊密に圧せられて接触するため、前記ベルトは移動できなくなり、
前記可動部を上向きに持ち上げると、前記ベルトと前記歯の緊密接触状態が解除され、前記ベルトは再び移動可能状態となるため、前記帽子のきつさを調節することができることを特徴とする請求項1に記載の点滴バッグ固定器。
【請求項6】
上下位置関係にあり、間隔をあけて配置した前記締付け部は、付着部の上方に跨設することを特徴とする請求項1に記載の点滴バッグ固定器。
【請求項7】
第一結合部品と第二結合部品とは相互に結合固定できるマジックテープであることを特徴とする請求項1に記載の点滴バッグ固定器。
【請求項8】
前記点滴バッグ固定器は、さらに点滴バッグを含み、
前記点滴バッグ一方の外側面には予め一つから複数のマジックテープを粘着してあり、前記付着部はマジックテープであり、さらに点滴バッグ上のマジックテープと帽子上のマジックテープを結合固定することを特徴とする請求項1に記載の点滴バッグ固定器。
【請求項9】
前記接着質層は、プラスチック、ゴム、シリコン、ラテックスのいずれか一つであることを特徴とする請求項2或いは請求項3に記載の点滴バッグ固定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点滴バッグ固定器に関し、特に帽子に点滴バッグを直接結合固定し、点滴バッグの位置移動や落下を確実に防ぐ固定器に関する。
【背景技術】
【0002】
病気で入院をした時に点滴が必要となることがよくある。
図7に示したように、点滴は医学上では静脈に液体を入れることと解釈される。人工的に静脈に入れた針により、人体に不足している水分、ブドウ糖、或いは電解質を補う。もう一つの作用は、静脈に薬を供給する通路をつくり、薬剤を直接血管内に注入する利便をはかる。よって、液体の注入が必要なのは、実際には次の二つの状況である。
1.病人が食が喉を通らず、特に水さえも飲むことができず、脱水症状が起きている場合。
2.病人の静脈に治療のための薬を注入する必要がある場合。
【0003】
一般によく使用される点滴バッグを吊り下げる点滴スタンドには、特許文献1の『点滴スタンド』(以下簡略して先行技術とする)の如きものがある。第一先行技術は、一本の縦に伸びた柱と、その柱に固定する底台を備え、底台にはさらに複数のキャスターを備え付けた足台を一体となるよう連結固定する。第一先行技術を使用する場合、歩行や階段の上り下り、トイレに入る時はいつもそれを押して一緒に移動する必要があり、柵を越える時はそれを高く持ち上げなければならず非常に不便であり、しかも押して移動する場合に発生する騒音が人に不快感を与えることもあり、改善が期待される。
【0004】
また、特許文献2の『バランス調節背負い式点滴スタンドの使用方法及びその装置』(以下、第二先行技術とする)によると、第二先行技術はほぼ上述第一先行技術の欠点を解決したかのようであるが、あらたに他の欠点を生み出している。構造の複雑性、装着の難しさ、装着のために他人の手が必要等の欠点があるほか、夜中にトイレへ行く場合、病室のトイレが近くにあったとしても多くの労力や時間をかけて装着し、やっとのことでトイレに行くことができ、排泄が終わった後もやはり多くの手間暇をかけて取りはずすことができ、非常に不便なので改善が期待されている。
【0005】
また、特許文献3の『点滴スタンド帽子器具』(以下、第三先行技術とする)を参照すると、第三先行技術は第一先行技術及び第二先行技術の欠点を解決し、シンプルで巧妙な構造を有し、便利に装着できる長所を有しているが、点滴バッグを帽子の上に立ててあり、点滴バッグの最高位置と帽子には若干距離がある(即ち、モーメントア-ムの形成)ため、使用者の頭部の揺れに合わせて点滴バッグ中の点滴液が絶え間なく揺れ動いてしまう。点滴液が揺れ動く際には押す力が生じて横揺れが続き、そのため使用者の頭部は意思とは関係なくこの揺れ動く力に引っ張られてしまい、その力に引っ張られないようにと、頭部には、点滴液の揺れに応じてしまう点滴バッグの動きを防いで、懸命に制御しようとする力が働くため、使用者の頭部と頸部には疲労感が起きやすくなる。また、点滴バッグと帽子間には距離があるため、モーメント関係(即ち、このモーメントが比較的大きな遠心力を生む)が存在し、加えて点滴バッグ中の点滴液が重量と流動する特性を備えているため、使用者がうっかりと頭部を過大角度で下げたり左右に曲げた時に、遠心力によって牽引を受けた頭部が不快感を感じることがあるほか、点滴バッグが帽子から落下して、使用者の驚愕と困惑を引き起こしたり、使用過程においては、点滴バッグの落下を心配して不安になることもある。よって、第三先行技術にも同樣に改善の余地がある。
【0006】
さらに、特許文献4の『自らの体温で温度を上げる便利な携帯式輸液帽』(以下、第四先行技術という)によると、第四先行技術は、輸液バッグを帽子の頭頂部に取り付け、幅広で厚みのある固定ベルトを輸液バッグに覆うことで、輸液バッグの落下を防ぐ。これにより、患者は両手を使わないことが可能となる一方で、体温によって輸液バッグの温度を上げることができ、寒中での輸液に対する不快感を減らすことができる。以上のように、第四先行技術は、一部の問題点を解決したとはいえ、やはりその他の問題を引き起こしている。輸液バッグを帽子の頭頂部に配置するため、輸液バッグは直立した状態で帽子の頭頂部に配置するのでなく、必ず横になった状態で帽子の頭頂部に配置する必要がある。それ故に、輸液バッグ中の液体は完全に流出せずに、正常な輸液に影響を及ぼしてしまう。もう一つの問題は、輸液バッグを帽子頭頂部に配置し、さらに固定ベルトで覆っているため、患者や近くの人が直接、輸液バッグの残余量を確認できなく、患者は帽子を取ってはじめて輸液バッグの残余量を確認でき、非常に不便である。輸液バッグ中の液体を使い果たしていたり、流出できていなくても気づかないならば、患者の身体に悪影響を及ぼしてしまう。以上のように、第四先行技術にもまた改善すべき点が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】台湾実用新案第M622983号明細書
【特許文献2】台湾特許第I480075号明細書
【特許文献3】台湾実用新案第M415711号明細書
【特許文献4】中国実用新案第201120576078号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、第一先行技術から第四先行技術中の多くの欠点を改善するために、本発明者は研鑽を続け、サンプルを製作してのテストと改良を続けた結果、以下の目的を達成し本発明の誕生に至った。
【0009】
本発明の主な目的は、使用者が便利に、簡単に自分で装着及び取外しすることができ、使用時は両手を使わずにいられるため別の動作を行うことができ、しかも点滴バッグ中の点滴液の残余量を簡単に観察できる点滴バッグ固定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による点滴バッグ固定器は、帽子、少なくとも一つの締付け部を含む。
【0011】
帽子は、使用者の頭部に被せ、その外側面を前側面、後側面、左側面、右側面として頭頂部まで延長させ、その外側面には付着部を備える。
【0012】
締付け部は、付着部の上方に跨設し、バンド及び穴を有するリングを含む。リングは帽子上に固定し、並びに付着部の一方側に位置する。バンドの一端は、付着部のもう一方側に固定し、リングとは横向きに対応している。バンドのもう一端は自由端であり、バンド上には第一結合部品と第二結合部品を設け、バンドの自由端は、リングの穴に通した後、折り返して、第二結合部品を第一結合部品に結合させて固定する。
【0013】
上述の構造設計により、本発明は、点滴バッグ一方の外側面を付着部上に密着させることができる。点滴バッグと付着部間には、静電吸着作用、摩擦抗力作用、或いはマジックテープ(登録商標、以下同じ)結合作用が存在するため、点滴バッグは付着部上での平面移動ができなくなり、さらにバンドをリングの穴に通した後に折り返してきつく引っ張ることで、バンドは点滴バッグを緊密に圧し、並びに第二結合部品を第一結合部品に結合固定することで、点滴バッグと帽子とが一緒に結合固定される。点滴バッグの前、後、左、右、上、下の各方向がすべて制限されて移動できないため、使用者が帽子を頭部に直接被った後も点滴バッグの移動や落下の心配はない。また、点滴バッグは使用者の頭の形に合わせて帽子の頭頂部に近い箇所から外側面に密着するため、点滴バッグの重量を分散でき、重量が一方に集中することがない。これにより、患者は外出やトイレの時も非常に便利に簡単に点滴バッグを携帯でき、しかも使用者の両手を使わないため他の動作を行うことができるため、構造が複雑で重いスタンドに点滴バッグを吊り下げる必要が完全になくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一実施形態に関する点滴バッグ固定器の側面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に関する点滴バッグ固定器に、点滴バッグを結合固定時の側面模式図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に関する点滴バッグ固定器を使用者の頭部に装着時の状態を示した模式図である。
【
図5】
図4のAA’線断面の動作を示した模式図である。
【
図6】
図4のAA’線断面の動作を示した模式図である。
【
図7】従来のスタンドに点滴バッグを吊り下げての使用を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の特徴と長所をさらに深くご理解いただくために、以下に図面を組み合わせた実施形態の説明を行う。
【0016】
図1から
図3に示すとおり、本発明の実施形態に関する点滴バッグ固定器20は、帽子21、締付け部40、調節部品80を含む。
【0017】
帽子21は、使用者の頭部60に装着し、その外側面は前側面24、後側面25、左側面23、右側面22に分けて頭頂部にまで延長する。前側面24には突出した持つ部分26を備え、持つ部分26は適度な硬さを有し、使用者が手で持つことができる。後側面25には切り口27を形成し、切り口27は帽子21の底縁にまで伸びる。帽子21は綿かプラスチック繊維の布により製作される。
【0018】
帽子21の外側面には付着部31を備える。付着部31に点滴バッグ10を付着すると、点滴バッグ10は付着部31上で移動できなくなる。本実施形態において、付着部31はマジックテープであるが、帽子31に結合固定する静電気吸着シ-ト、或いは表面に接着質層を塗布したシ-ル、或いは接着質層を帽子21に直接塗布して構成してもよい。付着部31がマジックテープ、静電気吸着シ-ト、或いは表面に接着質層を塗布したシ-トである時、それと帽子21の結合方式は、粘着剤による結合、或いはミシン縫いによる結合、或いはリベットでの結合、或いはボタンによる結合、或いはホックボタンを圧しての結合など、それと帽子21との結合方式には制限はなく、上述の接着質層は、プラスチック、ゴム、シリコン、ラテックスのうちの一つである。本実施形態において、付着部31は帽子の右側面22に設けてあるが、実際には、左側面23に設けてもよい。付着部31は幅広で高さがあり、帽子21の底縁から上へと、帽子21の頭頂部近くまで伸びている。
【0019】
締付け部40は、付着部31の上方に跨設し、二つの締付け部40間は間隔をあけて、上下位置に配置する。それぞれの締付け部40はバンド41と穴421のあるリング42を含み、それぞれのリング42を帽子21上に固定し、しかも付着部31の一方の同じ側に位置させる。それぞれのバンド41の一端は、付着部31のもう一方側に固定し、それぞれのリング42と横向きに対応させ、それぞれのバンド41のもう一端は自由端であり、それぞれのバンド41上には第一結合部品411と第二結合部品412とを設け、第二結合部品412は、バンド41の自由端の端に位置させ、第一結合部品411及び第二結合部品412はいずれもバンド41の外表面に位置させる。それぞれのバンド41の自由端を対応するリング42の穴421に通した後、折り返し、第二結合部品412を第一結合部品411に結合固定させる。本実施形態において、第一結合部品411と第二結合部品412とは相互に結合固定するマジックテープとしたが、第一結合部品411と第二結合部品412との結合固定方式は、ボタン結合、ホックボタン結合、引き掛け結合等の方式を採用してもよい。また、単一の締付け部40方式としてもよいが、単一の締付け部40方式では、バンド41とリング42の幅を拡大する必要がある。
【0020】
調節部品50は、帽子21の切り口27両端に跨設し、ベルト51と調節具52とを含む。調節具52は固定部521と可動部523とを有しており、可動部523の一端を固定部521上に軸着することで、可動部523は固定部521上で片側が可動し、固定部521の一端は、リベット524で帽子21上の切り口27の一端に結合固定し、もう一端には上向きに突出した歯522を形成する。ベルト51の一端は切り口27のもう一端の帽子21に結合固定し、ベルト51のもう一端は固定部521と可動部523の間に貫入し、ベルト51の一面は歯522と相対し、可動部523を下向きに圧合すると、ベルト51と歯522が緊密に圧せられて接触するため、ベルト51は移動できなくなる。また、可動部523を上向きに持ち上げると、ベルト51と歯522の緊密接触状態が解除され、ベルト51はまた移動できるようになる。ベルト51を右側方向に移動させると、切り口27が縮小するため、この時、帽子21は、きつく調節された状態で被ることができる。また、ベルト51を左側方向に移動させると、切り口27が拡大するため、この時、帽子21はゆるく調節された状態で被ることができる。
【0021】
以上は、本発明の実施形態に関する点滴バッグ固定器20の各構成要素及びその組み合わせ方式についての説明であった。次に、使用における特徴を説明する。
【0022】
図1から
図3に示すとおり、病気で入院して点滴を打つ必要がある時、病院が提供する点滴バッグ10の一方の外側面に、まず一つから複数のマジックテープ13、14を粘着する。本実施形態の付着部31もまたマジックテープとしてもよく、点滴バッグ10上のマジックテープ13、14を付着部31上に付着結合することで、点滴バッグ10の前、後、左、右方向はいずれも制限されて移動不可能となる。続いて、二つのバンド41を対応するそれぞれのリング42の穴421に通してから折り返してきつく引っ張ると、各バンド41が緊密に点滴バッグ10上を押圧し、並びに、第二結合部品412は第一結合部品411に結合固定される。続いて、使用者は手で、持つ部分26を持ち、点滴バッグ10を結合した帽子21を頭部60に被り、持つ部分26には適度な硬さがあるため、握る力と支持力を十分維持でき、帽子21と点滴バッグ10を一緒に移動させることもできる。帽子21を頭部60に装着した後は、調節部品50を調節して帽子21と頭部60を適度なきつさにすることができる。点滴バッグ10の上、下、左、右、前、後等各方向は、付着部31と二つの締付け部40の二重制限によって動けなくなり、点滴バッグ10は帽子21から落下する憂慮もない。
【0023】
説明を加えるべき点であるが、付着部31は静電気吸着シ-ト、或いは表面に接着質層を塗布したシ-トを帽子21に結合固定して構成される時、或いは付着部31は接着質層を直接帽子の外側面に塗布して構成される時、点滴バッグ10の外側面にはマジックテープ13、14を貼り付けなくてもよい。点滴バッグ10の材質がPVC或いはPPに拘わらず、点滴バッグ10と静電気吸着シ-トを一緒に貼りつけた時、両者間の静電吸着作用によって、点滴バッグは平面移動ができなくなる。また、点滴バッグ10と表面に接着質層を塗布したシ-ト或いは帽子21上の接着質層と一緒に貼合した際、二者間の摩擦抗力作用によって、点滴バッグ10は同様に平面移動ができなくなり、二つの締付け部40はさらに点滴バッグ10上を押圧した際、点滴バッグ10はしっかりと帽子上に固定され移動や落下が起こらない。
【0024】
図3に示すとおり、点滴バッグ10と中の点滴液は柔らかく変形可能な特性を有する。帽子21を使用者の頭部60に被せると、点滴バッグ10の上端は自然に湾曲し、帽子21の頭頂部近くにぴったりとくっつく。点滴バッグ10と帽子21間にはほぼモーメントアームが形成されないため、使用者の頭部が動いた時にも過大な遠心力効果が発生せず、しかも点滴バッグ10中の点滴液は二つのバンド41の押圧を受けて三つの区域に分割される。点滴バッグ10中の点滴液の流動性が制限される故に、点滴バッグ10が揺れても点滴液は過大な揺動力を起こすことはない。また、点滴液の重力は分散されて、使用者の頭部60右側に集中することもない。常用されている点滴バッグには500mlと1000mlの二種類の規格があり、500mlの点滴バッグは最も常用されているものである。500mlの点滴バッグの重量は約0.5kgであり、点滴バッグ10は三つの区域に分割されると、実際には帽子21右側の垂直力が大幅に降下する。使用者は、頭部60右側に若干の重力を感じるが、これは一般人が受け入れられる重力である。また、帽子21が傾斜してしまうことはなく、点滴液の消耗にしたがって、点滴バッグ10も徐々に軽くなる。特に説明すべき点は、点滴バッグ10は水平状態で帽子21上に配置されているのではなく、やはり縦方向に傾斜する角度をもって帽子21上に接触して配置されて、点滴バッグ10の液送チュ-ブ15が下方にあることである。したがって、点滴液が下方に流動しないという問題が起こらず、点滴バッグ10中の点滴液の残余量を容易に観察できる。
【0025】
以上の説明から理解いただけるように、本発明の点滴バッグ固定器20は、普段わたしたちが帽子を被るように、迅速に着脱できるものである。病気入院する場合には、一日24時間、短時間の外出や長時間の外出、或いは病室でトイレに行くことがあるが、いずれの時も便利に帽子21を着脱できる。点滴バッグ10を帽子21上に結合固定するというただ一回の組立操作をするだけでよい。使用者がベッドで休む時も点滴バッグ10と帽子21を分離させる必要はなく、点滴バッグ10を帽子21と一緒に病院既存の点滴スタンドに引き掛けて、トイレに行く時や外出時には、直接その帽子21を被ればよく、極めて便利な使用ができ、使用者の両手が使えるので、その他の動作を行うことができる。
【0026】
また、本発明の構造はシンプルで、製造コストが低く、着脱を便利に迅速に行える帽子21に、縦方向に設置した付着部31と横方向に設置した締付け部40とを組み合わせ、点滴バッグ10をしっかりと帽子21に結合固定する。また、締付け部40を使って点滴バッグ10を押圧して複数区域に分けることで、点滴バッグ10中の点滴液の流動性が制限を受け、過大な揺動力が生じて使用者の頭部60や身体を牽引することがなく、また、柔らかい点滴バッグ10を用いていることと点滴液が帽子21上にぴったり接触することで、頭部60の受ける力が分散され、並びに、点滴バッグ10の側面方向の垂直力が大幅に減少し、帽子21が一方に傾かない状態が維持され、本発明の構造はシンプルで平凡であるが、患者に極めて大きな利便性と庶民的価格をもたらし、地球上のすべての患者を幸せに導くものである。よって、本発明の構造がシンプルかつ平凡で分かりやすい故に軽視されてしまうのではなく、あらゆる患者に対して使用上における利便性の枠を大きく突破したことを重視していただきたい。
【0027】
以上に述べた実施形態は、ただ本発明によって提供された実施形態であり、本発明の実施範囲を限定するものではない。よって、本技術範囲内の関連技術者が本発明に基づいてなされた同等変化はすべて、本発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0028】
「従来製品」
10 点滴バッグ
11 輸液管部
12 固定支持部
13 マジックテープ
14 マジックテープ
15 液送チュ-ブ
「本発明」
20 点滴バッグ固定器
21 帽子本体
22 右側面
23 左側面
24 前側面
25 後側面
26 持つ部分
27 切り口
31 付着部
40 締付け部
41 バンド
411 第一結合部品
412 第二結合部品
42 リング
421 穴
50 調節部品
51 ベルト
52 調節具
521 固定部
522 歯
523 可動部
524 リベット
60 頭部