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  • 特開-制御装置、及び制御方法 図1
  • 特開-制御装置、及び制御方法 図2A
  • 特開-制御装置、及び制御方法 図2B
  • 特開-制御装置、及び制御方法 図3
  • 特開-制御装置、及び制御方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072512
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】制御装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 23/00 20160101AFI20240521BHJP
【FI】
H02P23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183366
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100207192
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 大輔
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505BB09
5H505GG02
5H505GG04
5H505JJ28
5H505LL01
(57)【要約】
【課題】電動機の速度追従性を高めることができる制御装置、及び制御方法を提供する。
【解決手段】制御装置は、電動機に電力を供給する。制御装置は制御部を備える。電動機の駆動電流の電流制限が、前記電動機の速度に依存する大きさに設定されている。制御部は、前記電動機の駆動電流を前記電動機の速度に対応する前記電流制限値までに制限するように電力変換器を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機に電力を供給する制御装置であって、
電動機の駆動電流の電流制限値が、前記電動機の速度に依存する大きさに設定されていて、前記電動機の駆動電流を前記電動機の速度に対応する前記電流制限値までに制限するように電力変換器を制御する制御部
を備える制御装置。
【請求項2】
前記電動機の定格出力時の前記電流制限値は、前記電動機の定格出力時に許容される電流値に基づいた大きさに設定され、
前記電動機の定格出力時以外の前記電流制限値は、前記電動機の定格出力時に許容される電流値よりも大きな値に設定されている、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記電動機に許容される速度範囲の上限速度である第1設定速度の時の前記電流制限値は、前記電動機に許容される速度範囲内で設定される前記電流制限値の中で比較的低い値に設定されている、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1設定速度の時の前記電流制限値は、前記電動機に許容される速度範囲内で設定される前記電流制限値の中で最も低い値に設定されている、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記電動機に許容される速度範囲の上限速度である第1設定速度よりも低い第2設定速度が設定されていて、
前記電動機に許容される速度範囲の中で前記第2設定速度よりも遅い速度時の前記電流制限値は、前記第2設定速度から前記第1設定速度までの範囲の速度時の前記電流制限値よりも大きな値に設定される
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記電動機に許容される速度範囲の中で前記第2設定速度よりも遅い速度時の前記電流制限値は、固定値である、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記電動機に許容される速度範囲の中で前記第2設定速度から前記第1設定速度までの間の速度時の前記電流制限値は、速度依存性を有する
請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記電動機に許容される速度範囲の速度を、前記第1設定速度を基準にして規格化した規格化速度と前記第1設定速度の時の前記電流制限値とに基づいて、前記電流制限値を決定する
請求項5に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1設定速度の時の前記電流制限値を前記規格化速度で除算した結果の商の値を、前記電流制限値にする
請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第2設定速度は、前記電動機を前記第2設定速度よりも遅い速度時の前記電流制限値で駆動した際に、前記電動機の定格出力になる速度に設定される、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記電動機に流す電流を指定する電流基準と前記電動機に流した電流の検出値との偏差をなくすように制御する電流制御を実施して、前記電流制御の値を前記電流制限値までに制限することで、前記電動機に流す駆動電流を電流制限値までに制限する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項12】
電動機に電力を供給する電力変換器、
を備える請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
制御装置による電動機の制御方法であって、
前記電動機の駆動電流の電流制限値が、前記電動機の速度に依存する大きさに設定されていて、前記電動機の駆動電流を前記電動機の速度に対応する前記電流制限値までに制限するように電力変換器を制御すること
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機に電力を供給する制御装置には、電動機に流す駆動電流を所定の電流制限値までに制限するものがある。この所定の電流制限値は、電動機の定格出力(負荷率100%)時の電流値(定格電流)を基準に設定されていることがある。制御装置が電動機を起動して所定の回転速度まで加速するときなどに、制御装置が電動機に流す電流の大きさが上記の電流制限値に制限されてしまい、所要の加速トルクが得られず、所望の速度追従性が得られないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-19279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電動機の速度追従性を高めることができる制御装置、及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の制御装置は、電動機に電力を供給する。制御装置は制御部を備える。電動機の駆動電流の電流制限が、前記電動機の速度に依存する大きさに設定されている。制御部は、前記電動機の駆動電流を前記電動機の速度に対応する前記電流制限値までに制限するように電力変換器を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係るドライブシステムの構成図。
図2A】実施形態の制限値調整部4の構成図。
図2B】比較例の電流制限値の設定例を説明するための図である。
図3】実施形態の制限値調整部4の動作を説明するための図。
図4】実施形態のドライブシステム1の制御装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の制御装置、及び制御方法を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それらの構成の重複する説明は省略する場合がある。なお、電気的に接続されることを、単に「接続される」ということがある。以下の説明に示す「大きさが等しい」場合には、略等しい場合も含む。
なお、以下の説明における電動機の定格出力とは、その負荷率が100%の時に連続出力が許容される電力のことである。電動機の定格出力時の電流値を定格電流と呼ぶ。
【0008】
図1は、実施形態の制御装置10を含むドライブシステム1の構成図である。
【0009】
ドライブシステム1は、例えば、電動機2と、負荷3と、制御装置10とを含む。
制御装置10は、例えば制限値調整部4と、速度調整部5と、減算器6と、速度制御器7と、電流指令制限器8と、電流制御器9(制御部)とを備える。
【0010】
電動機2の軸には負荷3の軸が接続されている。電流制御器9は、電動機2に供給される電流Iwを制御する。電流制御器9は、例えば図示しない電力変換器を含む。電流制御器9は、図示しない交流電源などから交流電力を受け、電流制御器9内の電力変換器を通してその交流電力を変換して、変換後の電力を電動機2に供給する。
【0011】
電動機2の軸には、速度検出器2SSが設けられている。速度検出器2SSは、電動機2の速度(電動機速度ωrという。)を検出する。
【0012】
速度検出器2SSと、速度調整部5と、減算器6と、速度制御器7と、電流指令制限器8とを含めて速度制御系を形成する。
例えば、速度調整部5には、速度の指令値の変化の影響を軽減するための速度指令変化率制限値Δωr*が設定されている。速度指令ωr*が速度調整部5に供給されると、速度調整部5は、速度指令ωr*の変化率が制限された速度指令ωr**を生成して出力する。速度調整部5には、例えば、速度指令変化率制限値Δωr*が設定されている。
【0013】
減算器6は、変化率が制限された速度指令ωr**と速度検出器2SSの出力である電動機速度ωrとの速度偏差を算出する。この速度偏差が速度制御器7に供給される。
【0014】
速度制御器7は、例えばPI制御器を形成し、速度偏差が0になるような電流指令値I*を出力する。速度制御器7は、電流指令値I*を電流指令制限器8に供給する。
【0015】
電流指令制限器8は、制限値調整部4によって生成される電流制限値が設定される。電流指令制限器8は、その電流制限値を超える電流指令値I*を、その電流制限値までに制限した電流指令値I**を生成する。
【0016】
電流制御器9は、電流指令値I**に基づいて電動機2の電流Iwを制御する。
【0017】
制限値調整部4には、電動機2の速度ωに基づいて電流制限値を決定するための変換規則が設定されている。電動機2の速度ωが制限値調整部4に供給されると、制限値調整部4は、電動機2の速度ωに応じた大きさまでの電流に制限するための電流制限値を生成して出力する。より具体的には、上記の変換規則に対応する変換テーブルの参照、又は変換式を用いた演算によって、電動機2の速度ωの大きさに対応する電流制限値が決定される。これを電流制限値ILimitという。電流制限値の詳細については後述する。
【0018】
図2A図3とを参照して、実施形態の制限値調整部4について説明する。
図2は、実施形態の制限値調整部4の構成図である。図3は、実施形態の制限値調整部4の動作を説明するための図である。なお、図2Bは、比較例の電流制限値の設定例を説明するための図である。
【0019】
実施形態の制限値調整部4は、供給される電動機2の速度ωに対応付けて決定される所定の大きさの電流制限値を生成する。
【0020】
例えば、制限値調整部4は、除算器41と、制限値決定部42とを含む。
除算器41は、電動機2の定格運転時において制限する電流の大きさ(ILMT100という。)を、電動機2の速度ωrの値で除算して、その商に対応する大きさの電流制限値を生成して、制限値決定部42に供給する。除算器41が生成する電流制限値は、電動機2の速度ωrの値により変化する。
【0021】
制限値決定部42は、除算器41から供給される電流制限値と、予め定められた第1負荷トルク制限値と、予め定められた第2負荷トルク制限値と、のうちの何れかを出力する。例えば、制限値決定部42は、電動機2の速度ωrに基づいて、上記の除算器41から供給される電流制限値と、第1負荷トルク制限値(LMT_TRQ_H)と、第2負荷トルク制限値(LMT_TRQ_L)とを切り替える。
【0022】
制限値決定部42が識別する速度範囲は、電動機2の速度ωrが低い方から順に、第1負荷トルク制限値を出力する第1設定速度範囲Z1と、上記の除算器41から供給される電流制限値を出力する第2設定速度範囲Z2と、第2負荷トルク制限値を出力する第3設定速度範囲Z3とが設けられている。この第1設定速度範囲Z1と第2設定速度範囲Z2は、第2設定速度によって区分される。第2設定速度範囲Z2と第3設定速度範囲Z3は、第1設定速度ωSET1によって区分される。
【0023】
なお、第1設定速度ωSET1が電動機2の許容上限速度に一致又はその近傍に決定されている場合には、上記の第3設定速度範囲Z3を除いて、第1設定速度範囲Z1と第2設定速度範囲Z2に2分するように構成してもよい。
【0024】
除算器41が生成する電流制限値を電流制限値ILimitとして出力させる電動機2の速度ωrの範囲に制限はなく適宜定めることができる。なお、電動機2の速度ωrとして許容される範囲全域に渡って同一の値を設定することを制限しないが、その範囲全域の内の一部に、電流制限値が電動機2の速度ωrの値により変化する範囲が含まれるとよい。
【0025】
より具体的には、制限値調整部4は、上記の変換規則に対応する変換テーブルの参照によって、又は変換式を用いた演算によって、電動機2の速度ωrの大きさに対応する電流制限値を得る。電流制限値の詳細については後述する。
【0026】
次に、図4を参照して、実施形態のドライブシステム1の制御装置の動作を説明する。図4は、実施形態のドライブシステム1の制御装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
速度指令ωr*の振幅が、図4(a)のように、時刻t1において、ステップ状に変化した場合、速度調整部5は、その速度指令ωr*に基づいて、図4(b)のような速度指令ωr**を出力する。例えば、速度指令ωr**は時刻t1~t3間で単調に増加して、時刻t3でAに達する。時刻t3以降は、速度指令ωr*と速度指令ωr**はともにAになり、Aの速度の等速度運転を指令した状態になっている。
【0027】
上記の速度指令ωr**に基づいた制御によって、電動機2の速度ωrは、図4(c)に示すように概ね速度指令ωr**に追従する。ただし、加速状態にあるため、速度指令ωr**の変化に対して、電動機2の速度ωrは、幾らか遅れた傾向を示してこれに追従し、図4(c)に示されるように0からAに変化する。
【0028】
この間に、制限値調整部4は、図4(d)に示すように、電動機2の速度ωrに応じて、電流指令制限器8の電流制限値ILimitを調整する。例えば、電動機2の速度ωrが比較的速度が低い段階にある時刻t1~t2の間の電流制限値ILimitは、速度指令ωrの大きさによらずに固定値の第1負荷トルク制限値(LMT_TRQ_H)による電流値にする。電動機2の速度ωrが徐々に高まって所定の第2設定速度ωSET2を超えた時刻t2~t3の間の電流制限値ILimitは、電動機2の速度ωrの増加に伴い低下するように設定される。
【0029】
なお、時刻t3に達した段階で速度ωrが第1設定速度ωSET1に達した場合には、電流制限値ILimitは、速度指令ωrの大きさによらずに固定値の第2負荷トルク制限値(LMT_TRQ_L)による電流値にするとよい。
この図4(d)に示す場合は、上記とは異なり、時刻t3以降の電流制限値ILimitは、第2負荷トルク制限値(LMT_TRQ_L)よりも大きな値になっている。
【0030】
これにともない、図4(e)に示す電流指令I*が、電流指令制限器8によって制限されることにより、図4(f)に示す電流指令I**になる。図に示すように、例えば、時刻t1~t3間は、速度指令ωr**が単調に増加している加速運転になっている。このように、電流指令I*が速度ωrにより定まる制限値を超える場合には、電流指令I**の振幅が図4(f)に示すように電流制限値ILimitになる。
【0031】
ただし、前述の図2Aに示したように、この電流制限値ILimitは、電動機2の定格電流ILMT100よりも大きな値に設定されている。その結果、図2Bに示す比較例に比べても、大きな電流を電動機2に流すことができる。
【0032】
さらに、この電流制限値ILimitは、速度ωrで回転する電動機2に流すことができる電流の上限値よりも低く、かつ電力変換器が流すことができる電流の上限値よりも低い。つまり、電力変換器と電動機2の組み合わせから定まる電流の許容上限値よりも低く設定した電流制限値ILimitを満たす範囲の電流を流すことができるようになる。
【0033】
制御装置10は、このように制限された電流指令I**に相当する電流を電動機2に供給することになる。これにより、電動機2の速度ωrは、図4(c)の時刻t1~t3に示されるように速度指令ωr**に追従する。このように、本実施例の制御装置10は、電動機2の速度ωrにより決定される電流制限値の範囲内で電動機2の能力を最大限に引き出し、電動機の速度追従性を高めることを可能にする。
【0034】
電動機2の起動時の加速制御の一例について説明した。
なお、ここで設定される電流制限値ILimitは、減速制御時に利用してもよい。この場合、加速制御時と同じ値に、電流制限値ILimitを設定してもよい。これによれば、加速時だけではなく減速時にも、許容される範囲内で十分な電流を流すことが可能になることから、電動機の速度追従性を高めることを可能にする。
【0035】
上記の実施形態によれば、制御装置10は、電動機2に電力を供給する。制御装置10は電流制御器(制御部)9を備える。電流制御器9は、電動機2の駆動電流の電流制限値を電動機2の速度ωrに応じた大きさに決定する。これにより、制御装置10は、電動機2の速度追従性を高めることができる。
【0036】
例えば、電流制限値ILimitは、下記のように決定される。
電動機2の定格出力時の電流制限値ILimitは、電動機2の定格出力時に許容される電流値に基づいた大きさに設定されている。電動機2の定格出力時以外の電流制限値ILimitは、電動機2の定格出力時に許容される電流値よりも大きな値に設定されている。
【0037】
電動機2に許容される速度範囲の上限速度である第1設定速度ωSET1の時の電流制限値ILimitは、電動機2に許容される速度範囲内で設定される電流制限値ILimitの中で比較的低い値に設定されている。
【0038】
第1設定速度ωSET1の時の電流制限値ILimitは、電動機2に許容される速度範囲内で設定される電流制限値ILimitの中で最も低い値に設定されている。
【0039】
電動機2に許容される速度範囲の上限速度である第1設定速度ωSET1よりも低い第2設定速度ωSET2が設定されている。
【0040】
この場合に、電動機2に許容される速度範囲の中で第2設定速度ωSET2よりも遅い速度時の電流制限値ILimitは、第2設定速度ωSET2から第1設定速度ωSET1までの範囲の速度時の電流制限値ILimitよりも大きな値に設定される。電動機2に許容される速度範囲の中で第2設定速度ωSET2よりも遅い速度時の電流制限値ILimitは、固定値である。
【0041】
電動機2に許容される速度範囲の中で第2設定速度ωSET2から第1設定速度ωSET1までの間の速度時の電流制限値ILimitは、速度依存性を有するものになる。
【0042】
第2設定速度ωSET2は、電動機2を第2設定速度ωSET2よりも遅い速度時の電流制限値ILimitで駆動した際に、電動機2の定格出力になる速度に設定される。
【0043】
電動機2に許容される速度範囲の速度を、第1設定速度ωSET1を基準にして規格化した規格化速度を規定する。電流制御器9は、その規格化速度と第1設定速度ωSET1の時の電流制限値ILimitとに基づいて、電流制限値を決定する。
【0044】
電流制御器9は、第1設定速度ωSET1の時の電流制限値を、その規格化速度で除算した結果の商の値を、電流制限値にするとよい。
【0045】
電流制御器9は、電動機2に流す電流を指定する電流基準と電動機2に流した電流の検出値との偏差をなくすように制御する電流制御を実施して、その電流制御の結果の電流指令値**を所定の電流制限値までに制限するとよい。これにより、電動機2に流す駆動電流を所望の電流制限値までに制限できる。
【0046】
なお、上記の実施形態の制御装置10は、その少なくとも一部を、CPUなどのプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部で実現してもよく、全てをLSI等のハードウェア機能部で実現してもよい。
【0047】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、制御装置は電動機に電力を供給する。制御装置は、制御部を備える。制御部は、電動機の駆動電流の電流制限値が、前記電動機の速度に依存する大きさに設定されていて、前記電動機の駆動電流を前記電動機の速度に対応する前記電流制限値までに制限するように電力変換器を制御する。これにより、電動機の速度追従性を高めることが可能になる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0049】
例えば、電力変換器の構成は、2レベル型、3レベル型などの種別に制限はない。電流制御器9は、出力電圧値が所望の範囲にあることを制御中の条件に加えてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…ドライブシステム、
2…電動機、
3…負荷、
4…制限値調整部、
5…速度調整部、
6…減算器、
7…速度制御器、
8…電流指令制限器、
9…電流制御器(制御部)、
10…制御装置、
41…除算器、
42…制限値決定部。
図1
図2A
図2B
図3
図4