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特開2024-72518情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072518
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240521BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183374
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515332263
【氏名又は名称】株式会社インフォキューブLAFLA
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小野田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小倉 環
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 貴司
(72)【発明者】
【氏名】田中 健吾
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062BB05
5J062CC11
5J062DD24
(57)【要約】
【課題】適切に測位できる技術を提供すること。
【解決手段】情報処理装置が、他の無線機の電波に基づいて測位を行う方式で第1無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第1無線機から取得し、前記方式で第2無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第2無線機から取得する取得部と、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記第1無線機及び前記第2無線機のうち、測位に用いる無線機を決定する制御部と、前記制御部により決定された無線機の位置情報と、当該無線機との角度とに基づいて測位を行う測位部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の無線機の電波に基づいて測位を行う方式で第1無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第1無線機から取得し、
前記方式で第2無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第2無線機から取得する取得部と、
前記取得部により取得された情報に基づいて、前記第1無線機及び前記第2無線機のうち、測位に用いる無線機を決定する制御部と、
前記制御部により決定された無線機の位置情報と、当該無線機と測位対象との角度とに基づいて前記測位対象の測位を行う測位部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記方式で各無線機の位置情報が当該各無線機で測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数が少ないほど、測位に用いる無線機として決定する優先度を高くする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記方式は、複数の無線機からの電波に基づいて測位を行う方式であり、
前記取得部は、前記方式で第3無線機の位置情報が前記第3無線機で測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数を示す情報を前記第3無線機から取得し、
前記制御部は、前記取得部により取得した情報、及び測位用の電波に基づいて算出した2つの無線機と前記測位対象との成す角度に基づいて、前記第1無線機、前記第2無線機、及び前記第3無線機のうち、測位に用いる複数の無線機を決定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記角度が大きいほど、測位に用いる無線機として決定する優先度を高くする、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1無線機、前記第2無線機、及び前記第3無線機のそれぞれに対する前記方式での測位が行われた回数と、前記第1無線機、前記第2無線機、及び前記第3無線機のそれぞれに対する前記測位対象の角度との少なくとも一方に基づいて、前記測位対象を移動させる位置、及び前記測位対象を移動させる方向の少なくとも一方を決定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記測位部は、前記制御部により決定された複数の無線機のそれぞれから受信した各無線機の位置情報と測位用の電波とに基づいてそれぞれ測位を行い、前記方式で各無線機の位置情報が当該各無線機で測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に応じた重みを各測位結果に付加して、前記測位対象の位置を算出する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、決定した無線機から受信された測位用の電波の強度が閾値以下である場合、前記制御部により決定された無線機への方向へ前記測位対象を移動させる、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、決定した無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく報知を行う、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
他の無線機の電波に基づいて測位を行う方式で第1無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第1無線機から取得し、
前記方式で第2無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第2無線機から取得し、
取得した情報に基づいて、前記第1無線機及び前記第2無線機のうち、測位に用いる無線機を決定し、
決定した無線機の位置情報と、当該無線機と測位対象との角度とに基づいて前記測位対象の測位を行う、
情報処理方法。
【請求項10】
他の無線機の電波に基づいて測位を行う方式で第1無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第1無線機から取得し、
前記方式で第2無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第2無線機から取得し、
取得した情報に基づいて、前記第1無線機及び前記第2無線機のうち、測位に用いる無線機を決定し、
決定した無線機の位置情報と、当該無線機と測位対象との角度とに基づいて前記測位対象の測位を行う、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AoA(Angle of Arrival)、AoD(Angle of Departure)等を用いて、屋内等で測位(現在位置の測定)を行う各種の技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-092578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、施設等に予め設置されている測位用の装置から比較的遠い場所では、適切に測位を行えない場合があるという問題点がある。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、適切に測位できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る第1の態様では、情報処理装置が、他の無線機の電波に基づいて測位を行う方式で第1無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第1無線機から取得し、前記方式で第2無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第2無線機から取得する取得部と、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記第1無線機及び前記第2無線機のうち、測位に用いる無線機を決定する制御部と、前記制御部により決定された無線機の位置情報と、当該無線機と測位対象との角度とに基づいて前記測位対象の測位を行う測位部と、を有する。
【0007】
また、本開示に係る第2の態様では、他の無線機の電波に基づいて測位を行う方式で第1無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第1無線機から取得し、前記方式で第2無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第2無線機から取得し、取得した情報に基づいて、前記第1無線機及び前記第2無線機のうち、測位に用いる無線機を決定し、決定した無線機の位置情報と、当該無線機と測位対象との角度とに基づいて前記測位対象の測位を行う、情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示に係る第3の態様では、他の無線機の電波に基づいて測位を行う方式で第1無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第1無線機から取得し、前記方式で第2無線機の位置情報が測位されるまでに前記方式での測位が行われた回数に基づく情報を前記第2無線機から取得し、取得した情報に基づいて、前記第1無線機及び前記第2無線機のうち、測位に用いる無線機を決定し、決定した無線機の位置情報と、当該無線機と測位対象との角度とに基づいて前記測位対象の測位を行う、処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
一側面によれば、適切に測位できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る測位システム1の構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る固定用無線機20の構成例を示す図である。
図3】実施形態に係る移動用無線機10を、1以上のアンテナとコンピュータ100とにより実現する場合のコンピュータ100のハードウェア構成例を示す図である。
図4】実施形態に係る移動用無線機10の構成の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る測位システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。
図6A】実施形態に係る移動用無線機10の処理の一例を示す図である。
図6B】実施形態に係る移動用無線機10の表示画面の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る測位システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。
図8】実施形態に係る測位システム1の構成例を示す図である。
図9】実施形態に係るサーバ30の構成の一例を示す図である。
図10】実施形態に係る測位システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。これらの実施形態は、例示のみを目的として記載されており、本開示の範囲に関する制限を示唆することなく、当業者が本開示を理解および実施するのを助けることを理解されたい。本明細書で説明される開示は、以下で説明されるもの以外の様々な方法で実装される。
以下の説明および特許請求の範囲において、他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0012】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
(実施の形態1)
<システム構成>
図1を参照し、実施形態に係る測位システム1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る測位システム1の構成例を示す図である。図1の例では、測位システム1は、固定用無線機20A及び20B(以下で、区別する必要がない場合は、単に「固定用無線機20」とも称する。)を有する。また、測位システム1は、移動用無線機10A、10B、10C、及び10D(以下で、区別する必要がない場合は、単に「移動用無線機10」とも称する。)を有する。なお、固定用無線機20及び移動用無線機10の数は、図1の例に限定されない。なお、固定用無線機20、及び移動用無線機10は、「無線機」の一例である。また、移動用無線機10は、「情報処理装置」の一例である。また、移動用無線機10は、「測位対象」の一例である。
【0013】
固定用無線機20は、例えば、建物やトンネルの入り口付近の屋外等に設置され、移動用無線機10に対して測位用の電波、及び当該固定用無線機20の位置情報等を送信する。固定用無線機20は、例えば、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを利用して、当該固定用無線機20の位置情報を記録(設定、登録)する。また、固定用無線機20は、例えば、管理者(オペレータ)等から当該固定用無線機20の位置情報の入力を受け付け、入力された位置情報を記録してもよい。
【0014】
移動用無線機10は、例えば、作業員(保守員)が携帯し、作業員の現在位置を測定する端末である。移動用無線機10は、例えば、スマートフォン、タブレット、または専用端末等でもよい。
【0015】
移動用無線機10は、固定用無線機20及び他の移動用無線機10等の、他の無線機からの電波に基づいて測位を行う方式での測位を行う。この場合、移動用無線機10は、例えば、他の無線機から受信した測位用の電波と、当該無線機から受信した当該無線機の位置情報等に基づいて、測位を行う。
【0016】
他の無線機からの電波に基づいて測位を行う方式は、例えば、他の無線機と送信または受信する電波に基づく、受信角度(AoA、Angle of Arrival)、放射角度(AoD、Angle of Departure)、受信信号強度(RSSI、Received Signal Strength Indicator)、到来時間差TDOA(Time Difference of Arrival)、信号到着時間TOA(Time of Arrival)等の公知の指標を用いる方式でもよい。また、当該視標の2以上を用いて測位する方式でもよい。また、移動用無線機10が当該方式での測位に用いる無線は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、UWB(Ultra Wide Band)、無線LAN(Local Area Network)等の公知の各種の無線でもよい。
【0017】
なお、移動用無線機10は、例えば、当該移動用無線機10が有するジャイロセンサ等により当該移動用無線機10の姿勢を検出し、検出した姿勢の情報をさらに用いて測位の精度を向上させてもよい。
【0018】
例えば、固定用無線機20が建物やトンネルの入り口付近に設置され、複数の作業員がそれぞれ移動用無線機10を所持して建物の内部(奥部)に移動していく場合を例として説明する。この場合、固定用無線機20等からの電波が届かない比較的入口から遠い場所まで移動された移動用無線機10は、固定用無線機20等からの電波に基づいて測位した比較的入口に近い移動用無線機10を用いて測位を行うことができる。
【0019】
<固定用無線機20の構成>
図2を参照し、実施形態に係る固定用無線機20の構成について説明する。図2は、実施形態に係る固定用無線機20の構成例を示す図である。図2の例では、固定用無線機20は、位置情報取得部21、及び測位情報提供部22を有する。
【0020】
位置情報取得部21は、例えば、GPS等を利用して、固定用無線機20の位置情報を取得してもよい。また、位置情報取得部21は、例えば、管理者(オペレータ)等から当該固定用無線機20の位置情報を入力されてもよい。測位情報提供部22は、例えば、BLE、UWB、無線LAN等の電波により、移動用無線機10が測位を行うための情報(信号)を送信(提供)する。位置情報取得部21、及び測位情報提供部22は、1以上のアンテナと、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路により実現されてもよい。
【0021】
<移動用無線機10(情報処理装置)のコンピュータ100のハードウェア構成>
図3は、実施形態に係る移動用無線機10を、1以上のアンテナとコンピュータ100とにより実現する場合のコンピュータ100のハードウェア構成例を示す図である。図3の例では、コンピュータ100は、プロセッサ101、メモリ102、通信インターフェイス103を含む。これら各部は、バス等により接続されてもよい。メモリ102は、プログラム104の少なくとも一部を格納する。通信インターフェイス103は、他のネットワーク要素との通信に必要なインターフェイスを含む。
【0022】
プログラム104が、プロセッサ101及びメモリ102等の協働により実行されると、コンピュータ100により本開示の実施形態の少なくとも一部の処理が行われる。メモリ102は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよい。メモリ102は、非限定的な例として、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でもよい。また、メモリ102は、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定メモリおよびリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実装されてもよい。コンピュータ100には1つのメモリ102のみが示されているが、コンピュータ100にはいくつかの物理的に異なるメモリモジュールが存在してもよい。プロセッサ101は、任意のタイプのものであってよい。プロセッサ101は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、および非限定的な例としてマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含んでよい。コンピュータ100は、メインプロセッサを同期させるクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップなどの複数のプロセッサを有してもよい。
【0023】
本開示の実施形態は、ハードウェアまたは専用回路、ソフトウェア、ロジックまたはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。いくつかの態様はハードウェアで実装されてもよく、一方、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。
【0024】
本開示はまた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に有形に記憶された少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、プログラムモジュールに含まれる命令などのコンピュータ実行可能命令を含み、対象の実プロセッサまたは仮想プロセッサ上のデバイスで実行され、本開示のプロセスまたは方法を実行する。プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造などが含まれる。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で望まれるようにプログラムモジュール間で結合または分割されてもよい。プログラムモジュールのマシン実行可能命令は、ローカルまたは分散デバイス内で実行できる。分散デバイスでは、プログラムモジュールはローカルとリモートの両方のストレージメディアに配置できる。
【0025】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供される。プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行されると、フローチャートおよび/または実装するブロック図内の機能/動作が実行される。プログラムコードは、完全にマシン上で実行され、一部はマシン上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部はマシン上で、一部はリモートマシン上で、または完全にリモートマシンまたはサーバ上で実行される。
【0026】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光ディスク媒体、半導体メモリ等が含まれる。磁気記録媒体には、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ等が含まれる。光磁気記録媒体には、例えば、光磁気ディスク等が含まれる。光ディスク媒体には、例えば、ブルーレイディスク、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、CD-R(Recordable)、CD-RW(ReWritable)等が含まれる。半導体メモリには、例えば、ソリッドステートドライブ、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等が含まれる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0027】
<移動用無線機10(情報処理装置)の構成>
図4を参照し、実施形態に係る移動用無線機10の構成について説明する。図4は、実施形態に係る移動用無線機10の構成の一例を示す図である。移動用無線機10は、取得部11、制御部12、測位部13、及び測位情報提供部14を有する。これら各部は、移動用無線機10にインストールされた1以上のプログラムと、移動用無線機10のプロセッサ101、及びメモリ102等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。また、これら各部は、マイコン、FPGA、及びASIC等の専用回路により実現されてもよい。
【0028】
取得部11は、装置内部の記憶装置、及び外部装置から各種の情報を取得する。取得部11は、例えば、他の無線機の電波に基づいて測位を行う方式で無線機の位置情報が測位されるまでに当該方式での測位が行われた回数に基づく情報を当該無線機から取得する。制御部12は、取得部11により取得された情報に基づいて、複数の無線機のうち、測位に用いる無線機を決定する。
【0029】
測位部13は、制御部12に決定された無線機の位置情報と、当該無線機と移動用無線機10との角度とに基づいて移動用無線機10の測位を行う(現在位置を測定する)。
【0030】
測位情報提供部14は、測位部13により測位された移動用無線機10の位置情報を用いて、例えば、BLE、UWB、無線LAN等の電波により、他の移動用無線機10が測位を行うための情報(信号)を送信(提供)する。
【0031】
<処理>
次に、図5及び図6Aを参照し、実施形態に係る測位システム1の処理の一例について説明する。図5は、実施形態に係る測位システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。図6Aは、実施形態に係る移動用無線機10の処理の一例を示す図である。以下では、移動用無線機10Dが、固定用無線機20A及び20Bと、他の移動用無線機10A~Cとを含む複数の無線機から電波を受信し、受信した電波に基づいて移動用無線機10Dから見た各無線機への角度を算出する場合の例について説明する。なお、移動用無線機10Dは、以下の処理を、例えば、所定の周期(例えば、1秒毎)等で実行してもよい。
【0032】
ステップS101-1~5において、移動用無線機10Dの取得部11は、固定用無線機20A及び20Bと、他の移動用無線機10A~Cを含む複数の無線機のそれぞれから、測位用の電波を受信する。ここで、当該測位用の電波には、例えば、無線機の識別情報、無線機の2次元または3次元の位置情報、及び無線機の位置情報の引用度を示す情報が含まれてもよい。なお、移動用無線機10Dの取得部11は、受信した測位用の電波のうち、受信電波強度が閾値以下である電波は、以降の処理に用いないようにしてもよい。
【0033】
ここで、引用度は、他の無線機からの電波に基づいて測位を行う方式で、ある無線機の位置情報が当該無線機で測位されるまでに、当該方式での測位が行われた回数(固定用無線機20の位置情報を用いて芋づる式に測位した各移動用無線機10の数)に基づいて当該無線機により算出される指標である。なお、上述したように、他の無線機からの電波に基づいて測位を行う方式には、例えば、AoA、AoD、RSSI、TDOA、及びTOA等の少なくとも一つを用いる方式が含まれる。なお、固定用無線機20では、当該方式での測位が行われた回数は0回である。そのため、固定用無線機20は、引用度が0であることを示す情報を送信してもよい。各移動用無線機10での引用度の算出方法については、後述するステップS104にて説明する。
【0034】
続いて、移動用無線機10Dの制御部12は、取得部11により取得された情報等に基づいて、複数の無線機のうち、測位に用いる無線機を決定する(ステップS102)。ここで、移動用無線機10Dの制御部12は、例えば、各無線機の引用度、移動用無線機10Dと各無線機との成す角度、各無線機とのRSSI、及び移動用無線機10Dと各無線機との距離の少なくとも一つに基づいて、測位に用いる無線機を決定してもよい。
【0035】
この場合、移動用無線機10Dは、例えば、引用度が低い(経由した移動用無線機10が少ない)ほど、測位に用いる無線機として決定する優先度を高く決定してもよい。これにより、AoA等を算出することにより誤差が生じた回数がより低い無線機を優先して測位に用いることができる。そのため、測位の精度が向上される可能性を増加できる。
【0036】
また、移動用無線機10Dは、2つの無線機のそれぞれとの角度(AoAまたはAoD)に基づいて測位を行う場合、移動用無線機10Dと2つの無線機との成す角度に基づいて、3以上の無線機のうち測位に用いる2つの無線機を決定(選択)してもよい。この場合、移動用無線機10Dは、例えば、移動用無線機10Dと2つの無線機との成す角度が大きいほど、測位に用いる無線機として決定する優先度を高く決定してもよい。これにより、例えば、測位の精度が向上される可能性を増加できると考えられる。
【0037】
また、移動用無線機10Dは、例えば、RSSIが大きいほど、測位に用いる無線機として決定する優先度を高く決定してもよい。これにより、例えば、移動用無線機10Dと無線機との間の距離がより近く、遮蔽物による影響がより低い無線機を優先して測位に用いることができる。
【0038】
また、移動用無線機10Dは、移動用無線機10Dと各無線機との距離が短い(小さい、近い)ほど、測位に用いる無線機として決定する優先度を高く決定してもよい。これにより、例えば、移動用無線機10Dと無線機との間の距離がより近い無線機を優先して測位に用いることができる。
【0039】
また、移動用無線機10Dは、ある無線機から送信された電波の強度と、当該無線機から受信した電波の強度(RSSI)と、移動用無線機10Dと当該無線機との距離とに基づいて、移動用無線機10Dと当該無線機との間の遮蔽度を算出してもよい。この場合、各無線機から送信される電波の強度は略同一であり、移動用無線機10Dに当該強度の値が予め設定(登録)されていてもよい。また、移動用無線機10Dの取得部11は、各無線機から送信される電波強度を示す情報を各無線機から受信してもよい。また、移動用無線機10Dは、各無線機から送信される電波に基づいて、移動用無線機10Dの大まかな位置を算出してもよい。この場合、例えば、移動用無線機10Dは、RSSIが大きい順に所定数(例えば、2つ)の無線機を選択し、選択した無線機からの電波に基づいて暫定的な測位を行ってもよい。そして、移動用無線機10Dは、暫定的に測位した移動用無線機10Dの位置と、各無線機から受信した各無線機の位置情報とに基づいて、移動用無線機10Dと各無線機との距離をそれぞれ算出してもよい。
【0040】
そして、移動用無線機10Dは、移動用無線機10Dと無線機との距離と、当該無線機から送信される電波強度とに基づいて、遮蔽物が無い場合の当該無線機とのRSSIの理論値を算出してもよい。そして、移動用無線機10Dは、算出したRSSIの理論値と、当該無線機から受信した電波の強度(実際のRSSI)とに基づいて、移動用無線機10Dと当該無線機との間の遮蔽度を算出してもよい。この場合、移動用無線機10Dは、算出したRSSIの理論値と、実際のRSSIとの比の値が大きいほど、遮蔽度の値を高く決定してもよい。そして、移動用無線機10Dは、移動用無線機10Dと無線機との間の遮蔽度が小さいほど、測位に用いる無線機として決定する優先度を高く決定してもよい。これにより、例えば、単純にRSSIが強い無線機を測位に利用する場合と比較して、より適切に測位を行うことができる。
【0041】
続いて、移動用無線機10Dの測位部13は、制御部12により決定された各無線機から受信した、当該各無線機の位置情報と測位用の電波とに基づいて測位を行う(ステップS103)。これにより、例えば、トンネル工事等で、測位する範囲が随時拡張される場合でも、移動用無線機10Dでの測位を適切に行うことができる。また、消防隊のように施設側(建物内)に事前にビーコン等を設置できない場合でも測位を適切に行うことができる。
【0042】
ここで、移動用無線機10Dは、例えば、2つの無線機からの各電波に基づいて、各無線機との角度(AoAまたはAoD)をそれぞれ算出してもよい。そして、移動用無線機10Dは、各無線機の2次元または3次元の位置情報と、算出した各角度とに基づいて、移動用無線機10Dの2次元または3次元の測位を行ってもよい。
【0043】
また、移動用無線機10Dは、例えば、3つの無線機からの電波に基づいて、RSSIまたはTOAに基づく各無線機からの距離をそれぞれ算出してもよい。そして、移動用無線機10Dは、各無線機の2次元または3次元の位置情報と、算出した各距離に基づいて、移動用無線機10Dの2次元または3次元の測位を行ってもよい。
【0044】
また、移動用無線機10Dは、例えば、1つの無線機からの電波に基づいて、当該無線機との角度(AoAまたはAoD)と、RSSIまたはTOAに基づく当該無線機からの距離をそれぞれ算出してもよい。そして、移動用無線機10Dは、各無線機の2次元の位置情報と、算出した角度及び距離に基づいて、移動用無線機10Dの2次元の測位を行ってもよい。
【0045】
また、移動用無線機10Dは、制御部12により決定された複数の無線機のそれぞれから受信した各無線機の位置情報と測位用の電波とに基づいてそれぞれ測位を複数回行ってもよい。そして、移動用無線機10Dは、各無線機の位置情報の引用度に応じた重みを各測位結果に付加して、移動用無線機10Dの位置を算出してもよい。この場合、移動用無線機10Dは、例えば、各無線機の位置情報の引用度が低いほど、重みの値を大きく決定してもよい。そして、移動用無線機10Dは、各無線機の位置情報の引用度に応じた重みの値を各測位結果に対して乗算した値の平均値を、移動用無線機10Dの位置情報として算出してもよい。
【0046】
続いて、移動用無線機10Dの制御部12は、移動用無線機10Dの位置情報の引用度を算出する(ステップS104)。ここで、移動用無線機10Dは、制御部12により決定された各無線機の引用度に基づいて、移動用無線機10Dの位置情報の引用度を算出する。
【0047】
(引用度の算出方法の例)
移動用無線機10Dは、一つのみの無線機からの電波に基づいて移動用無線機10Dの測位を行った場合、当該無線機から取得した引用度に1を加算した値を、移動用無線機10Dの位置情報の引用度として算出してもよい。なお、移動用無線機10Dは、例えば、移動用無線機10Dと当該無線機との角度と、移動用無線機10Dと当該無線機との距離と、に基づいて、一つのみの無線機からの電波に基づく2次元の位置情報を算出してもよい。
【0048】
また、移動用無線機10Dは、複数の無線機からの電波に基づいて移動用無線機10Dの測位を行った場合、当該複数の無線機から取得した各無線機の引用度に基づいて、移動用無線機10Dの位置情報の引用度を算出してもよい。この場合、移動用無線機10Dは、例えば、測位に利用した各無線機の引用度のうち、値が最大の引用度に1を加算した値を、移動用無線機10Dの位置情報の引用度として算出してもよい。また、移動用無線機10Dは、例えば、測位に利用した各無線機の引用度の平均値に1を加算した値を、移動用無線機10Dの位置情報の引用度として算出してもよい。
【0049】
続いて、移動用無線機10Dの測位情報提供部14は、測位部13により測位された移動用無線機10Dの位置情報と、制御部12により算出された引用度を示す情報とを含む、他の移動用無線機10が測位を行うための電波(信号)を送信(提供)する(ステップS105)。これにより、移動用無線機10Dからの電波に基づいて、他の移動用無線機10での測位ができる。
【0050】
図6Aの例では、移動用無線機10A及び10Bは、固定用無線機20A及び20Bからの電波に基づいて測位しており、移動用無線機10Cは、固定用無線機20A及び移動用無線機10Aからの電波に基づいて測位している。そして、移動用無線機10Dは、移動用無線機10A、10B、及び10Cのみから、閾値以上の電波強度で測位用の電波を受信しているものとする。この場合において、移動用無線機10は、例えば、測位に利用した各無線機の引用度のうち、値が最大の引用度に1を加算した値を、当該移動用無線機10の位置情報の引用度として算出する場合の具体例について説明する。
【0051】
この場合、固定用無線機20A及び20Bは、それぞれ、固定用無線機20A及び20Bの引用度を0と通知してもよい。そして、移動用無線機10A及び10Bは、それぞれ、移動用無線機10A及び10Bの引用度を1と通知してもよい。また、移動用無線機10Cは、測位に用いた固定用無線機20Aの引用度0と移動用無線機10Aの引用度1とのうち最大の引用度である1に1を加算した値である2を移動用無線機10Cの引用度として通知してもよい。そして、移動用無線機10Dは、引用度がそれぞれ、1、1、2である移動用無線機10A、10B、10Cのうち、引用度が低い順に2つの移動用無線機10A、及び10Bを測位に用いてもよい。そして、移動用無線機10Dは、測位に用いた移動用無線機10Aの引用度1と移動用無線機10Aの引用度1とのうち最大の引用度である1に1を加算した値である2を移動用無線機10Dの引用度として通知してもよい。
【0052】
(移動用無線機10を移動させる、測位の精度が向上する位置、または現在位置からの方向を決定する例)
移動用無線機10は、ユーザへの表示、または移動を制御するコマンド等により、移動用無線機10を、測位の精度が向上する位置(地点)、または現在位置から当該位置の方向へ移動させるようにしてもよい。この場合、移動用無線機10の制御部12は、各無線機の引用度と、各無線機に対する移動用無線機10の角度との少なくとも一方に基づいて、測位の精度が向上する位置、または現在位置から測位の精度が向上する位置への方向を決定してもよい。この場合、移動用無線機10の制御部12は、例えば、移動用無線機10から所定範囲(例えば、半径10m以内)の各位置に対して、測位の適性度を算出してもよい。ここで、移動用無線機10の制御部12は、例えば、各位置に対して、引用度が低い無線機に近いほど、また、測位に用いる2つの無線機と移動用無線機10との成す角度が大きくなるほど、測位の適性度の値を高く決定してもよい。そして、移動用無線機10の制御部12は、例えば、各位置のうち、最も測位の適性度が高い位置を、最適な位置として決定してもよい。
【0053】
そして、移動用無線機10の制御部12は、移動用無線機10から、決定した最適な位置への方向及び距離を示す情報を、スピーカまたはディスプレイにより報知させてもよい。これにより、例えば、移動用無線機10のユーザは、報知された位置に移動することにより、移動用無線機10の測位の精度を向上させることができる。図6Bは、実施形態に係る移動用無線機10での表示画面の一例を示す図である。図6Bの例では、移動用無線機10は、表示画面651において、移動用無線機10から見た最適な位置への方向を示す図形(矢印)661と、移動用無線機10から最適な位置への距離662と、ユーザに移動を促すメッセージ663を表示させている。
【0054】
また、移動用無線機10は、各位置での測位用の電波の受信履歴に基づいて、移動用無線機10を、測位の精度が向上する位置(地点)へ移動させるようにしてもよい。この場合、制御部12は、各時点で測位した移動用無線機10の各位置に対応付けて、各無線機からの測位用の電波の受信強度と、各無線機の引用度と、各無線機に対する移動用無線機10の角度とを、各位置での受信電波の履歴として記録しておいてもよい。そして、制御部12は、各位置での受信電波の履歴を参照し、測位用の電波の受信強度が閾値以上である各無線機の引用度と、測位用の電波の受信強度が閾値以上である各無線機に対する移動用無線機10の角度との少なくとも一方に基づいて、当該各位置のうち測位の精度が向上する位置を決定してもよい。
【0055】
また、移動用無線機10は、測位用の電波を十分な強度で受信できない場合、移動用無線機10を、測位の精度が向上する位置(地点)へ移動させるようにしてもよい。この場合、制御部12は、各時点で測位した移動用無線機10の各位置に対応付けて、各無線機からの測位用の電波の受信強度と、各無線機の引用度と、各無線機に対する移動用無線機10の角度とを、各位置での受信電波の履歴として記録しておいてもよい。そして、制御部12は、例えば、移動用無線機10にて受信した測位用の電波の強度が閾値以上となる無線機の数が特定数(例えば、2)未満であるか否かを判定してもよい。そして、制御部12は、当該無線機の数が特定数未満である場合、各位置での受信電波の履歴を参照し、測位用の電波の受信強度が閾値以上である各無線機の引用度と、測位用の電波の受信強度が閾値以上である各無線機に対する移動用無線機10の角度との少なくとも一方に基づいて、当該各位置のうち測位の精度が向上する位置を決定してもよい。
【0056】
また、移動用無線機10は、車輪または脚により地上を移動する自律走行ロボット、または、飛行により移動するドローン(無人航空機)または気球等の移動体に移動用無線機10を搭載させ、測位の精度が向上する位置、または現在位置から当該位置の方向へ、移動体を自律的に移動させるようにしてもよい。この場合、移動用無線機10の制御部12は、上述したように、各無線機の引用度、及び各無線機と移動用無線機10との角度等に基づいて、測位の精度が向上する位置を決定してもよい。そして、移動用無線機10の制御部12は、決定した位置へ移動させるコマンドを、移動体へ送信してもよい。
【0057】
また、移動用無線機10の制御部12は、測位に用いると決定した無線機から受信した測位用の電波の強度が閾値以下である場合、移動用無線機10から当該無線機への方向へ移動用無線機10を移動させてもよい。これにより、例えば、移動用無線機10の測位の精度を向上させることができる。また、移動用無線機10からの電波を用いて測位を行う他の無線機での測位の精度を向上させることができる。
【0058】
この場合、移動用無線機10の測位部13は、例えば、まず、測位に用いると決定した各無線機から受信した測位用の電波の強度が閾値以下であるか否かを判定してもよい。そして、閾値以下である無線機が存在する場合、移動用無線機10の測位部13は、当該無線機からの測位用の電波に基づいて、移動用無線機10と当該無線機との角度(AoAまたはAoD)を算出してもよい。そして、移動用無線機10の制御部12は、算出した角度に基づき、移動用無線機10から当該無線機への方向へ移動するコマンドを、移動用無線機10を搭載した自律走行ロボットに送信してもよい。そして、移動用無線機10の制御部12は、当該無線機から受信した測位用の電波の強度が当該閾値を超えた際に、移動を停止するコマンドを、移動用無線機10を搭載した自律走行ロボットに送信してもよい。
【0059】
(測位の精度を表示する例)
移動用無線機10は、測位の精度をユーザに報知してもよい。これにより、例えば、ユーザは、移動用無線機10の位置情報の精度を把握することができる。この場合、移動用無線機10の制御部12は、ステップS104で算出した移動用無線機10の位置情報の引用度に応じた報知を行ってもよい。この場合、移動用無線機10の制御部12は、移動用無線機10の位置情報の引用度が低いほど、緑から赤までの各色のうち緑に近い色で発光装置を発光させてもよい。これは、移動用無線機10の引用度が低いほど、ステップS102の処理で決定された各無線機の引用度が低いため、移動用無線機10の測位の精度が高いと考えられるためである。また、移動用無線機10の制御部12は、移動用無線機10の位置情報の引用度が高いほど、緑から赤までの各色のうち赤に近い色で発光装置を発光させてもよい。
【0060】
(他の無線機にて角度を算出する例)
図5の例では、移動用無線機10Dが、他の無線機から送信された電波に基づいて、移動用無線機10Dと各無線機との角度を算出する例について説明した。以下では、図7を参照し、他の無線機が、移動用無線機10Dから送信された電波に基づいて、当該無線機と移動用無線機10Dとの角度を算出し、算出した角度を示す情報を移動用無線機10Dに通知する例について説明する
【0061】
図7は、実施形態に係る測位システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。以下では、移動用無線機10Dが、複数の無線機へ電波を送信し、当該電波に基づいて各無線機で算出された、各無線機から見た移動用無線機10Dへの角度を示す情報を取得する例について説明する。なお、移動用無線機10Dは、以下の処理を、例えば、所定の周期(例えば、1秒毎)等で実行してもよい。
【0062】
ステップS201-1~5において、移動用無線機10Dの取得部11は、固定用無線機20A及び20Bと、他の移動用無線機10A~Cを含む複数の無線機のそれぞれへ、測位用の電波を送信する。ここで、当該測位用の電波には、例えば、移動用無線機10Dの識別情報が含まれてもよい。
【0063】
続いて、各無線機(固定用無線機20A及び20Bと、他の移動用無線機10A~C)は、当該測位用の電波に基づいて、自無線機から移動用無線機10Dへの方向等を算出(推定、測定)する(ステップS202-1~5)。ここで、各無線機は、例えば、AoAまたはAoD等により、自無線機から移動用無線機10Dへの角度(方向、方角)をそれぞれ算出してもよい。また、各無線機は、例えば、当該測位用の電波に基づいて、RSSIまたはTOAに基づく移動用無線機10Dから自無線機までの距離をそれぞれ算出してもよい。なお、各無線機は、受信した測位用の電波の受信電波強度が閾値以下である電波は、ステップS202以降の処理に用いないようにしてもよい。
【0064】
続いて、各無線機(固定用無線機20A及び20Bと、他の移動用無線機10A~C)は、算出した方向等の通知を移動用無線機10Dへ送信する(ステップS203-1~5)。これにより、移動用無線機10Dの取得部11は、複数の無線機のそれぞれから、当該通知を受信する。ここで、当該通知には、例えば、移動用無線機10Dの識別情報、無線機の識別情報、無線機の2次元または3次元の位置情報、無線機から移動用無線機10Dへの方向等を示す情報、及び無線機の位置情報の引用度を示す情報が含まれてもよい。なお、移動用無線機10Dの取得部11は、受信した通知のうち、受信電波強度が閾値以下である通知は、以降の処理に用いないようにしてもよい。
【0065】
続いて、移動用無線機10Dの制御部12は、取得部11により取得された、各無線機の位置情報の引用度を示す情報等に基づいて、複数の無線機のうち、測位に用いる複数の無線機を決定する(ステップS204)。なお、ステップS204の処理は、図5のステップS102の処理と同様でもよい。
【0066】
続いて、移動用無線機10Dの測位部13は、制御部12により決定された各無線機から受信した、当該各無線機の位置情報と、当該各無線機から移動用無線機10Dへの方向とに基づいて測位を行う(ステップS205)。続いて、移動用無線機10Dの制御部12は、移動用無線機10Dの位置情報の引用度を算出する(ステップS206)。なお、ステップS206の処理は、図5のステップS104の処理と同様でもよい。
【0067】
続いて、移動用無線機10Dの測位情報提供部14は、測位部13により測位された移動用無線機10Dの位置情報と、制御部12により算出された引用度を示す情報とを含む、他の移動用無線機10が測位を行うための電波(信号)を送信(提供)する(ステップS207)。ここで、移動用無線機10Dは、他の移動用無線機10から測位用の電波を受信すると、ステップS202の処理と同様に、移動用無線機10Dから当該他の移動用無線機10への方向等を算出してもよい。そして、移動用無線機10Dは、ステップS203の処理と同様に、移動用無線機10Dの位置情報、及び算出した方向等を示す情報を含む通知を当該他の移動用無線機10Dへ送信してもよい。
【0068】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、移動用無線機10が自装置の位置を測位する例について説明した。以下では、外部装置が無線タグの位置を測位する例について説明する。以下では、上述した実施の形態1とは異なる点について、主に説明する。
<システム構成>
図8を参照し、実施形態に係る測位システム1の構成について説明する。図8は、実施形態に係る測位システム1の構成例を示す図である。図8の例では、測位システム1は、サーバ30と、無線タグ40A、40B、40C、及び40D(以下で、区別する必要がない場合は、単に「無線タグ40」とも称する。)を有する点が、図1の例と異なっている。なお、サーバ30、無線タグ40の数は、図8の例に限定されない。なお、サーバ30は、「情報処理装置」の一例である。また、無線タグ40は、「測位対象」の一例である。
図8の例では、サーバ30、移動用無線機10、及び固定用無線機20は、ネットワークNを介して通信できるように接続されている。ネットワークNの例には、例えば、インターネット、移動通信システム、無線LAN(Local Area Network)、LAN、及びBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信等が含まれる。移動通信システムの例には、例えば、第5世代移動通信システム(5G)、ローカル5G、Beyond 5G(6G)、第4世代移動通信システム(4G)、LTE(Long Term Evolution)、第3世代移動通信システム(3G)等が含まれる。
サーバ30は、無線タグ40の位置を管理するサーバである。サーバ30は、例えば、固定用無線機20が設置される現場等と同じ施設等に設置されてもよいし、管理センター等に設置されていてもよいし、クラウド上のサーバ等でもよい。
無線タグ40は、例えば、物品等に貼付されてもよい。また、無線タグ40は、例えば、工場や作業現場等において、自律的に移動する、ロボット、車両、またはドローン等に設けられていてもよい。無線タグ40は、測位用の電波を、固定用無線機20及び移動用無線機10に送信する。
【0069】
<サーバ30の構成>
図9を参照し、実施形態に係るサーバ30の構成について説明する。図9は、実施形態に係るサーバ30の構成の一例を示す図である。サーバ30は、取得部11、制御部12、及び測位部13を有する。これら各部は、サーバ30にインストールされた1以上のプログラムと、サーバ30のプロセッサ101、及びメモリ102等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。また、これら各部は、マイコン、FPGA、及びASIC等の専用回路により実現されてもよい。
【0070】
図9の取得部11、制御部12、及び測位部13は、図4の取得部11、制御部12、及び測位部13と同様でもよい。サーバ30の測位部13は、制御部12に決定された無線機の位置情報と、当該無線機と無線タグ40との角度とに基づいて無線タグ40の測位を行う(現在位置を測定する)。
【0071】
<処理>
図10を参照し、実施形態に係る測位システム1の処理の一例について説明する。図10は、実施形態に係る測位システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。以下では、無線タグ40が、固定用無線機20及び他の移動用無線機10を含む複数の無線機へ電波を送信し、サーバ30が、複数の無線機から取得した情報に基づいて無線タグ40の測位を行う例について説明する。なお、サーバ30は、以下の処理を、例えば、所定の周期(例えば、1秒毎)等で実行してもよい。
【0072】
ステップS301-1~6において、無線タグ40は、固定用無線機20A及び20Bと、他の移動用無線機10A~Dを含む複数の無線機のそれぞれへ、測位用の電波を送信する。ここで、当該測位用の電波には、例えば、無線タグ40の識別情報が含まれてもよい。
【0073】
続いて、各無線機(固定用無線機20A及び20Bと、他の移動用無線機10A~D)は、当該測位用の電波に基づいて、自無線機から無線タグ40への方向等を算出(推定、測定)する(ステップS302-1~6)。ここで、各無線機は、図7のステップS202と同様の処理により、無線タグ40への方向等を算出してもよい。
【0074】
続いて、各無線機(固定用無線機20A及び20Bと、他の移動用無線機10A~D)は、算出した方向等の通知をサーバ30へ送信する(ステップS303-1~6)。これにより、サーバ30の取得部11は、複数の無線機のそれぞれから、当該通知を受信する。ここで、当該通知には、例えば、無線タグ40の識別情報、無線機の識別情報、無線機の2次元または3次元の位置情報、無線機から無線タグ40への方向等を示す情報、無線機の位置情報の引用度、及び測位用の電波の受信電波強度を示す情報が含まれてもよい。なお、サーバ30の取得部11は、受信した通知のうち、通知に含まれる測位用の電波の受信電波強度が閾値以下である通知は、以降の処理に用いないようにしてもよい。
【0075】
続いて、サーバ30の制御部12は、取得部11により取得された、各無線機の位置情報の引用度を示す情報等に基づいて、複数の無線機のうち、測位に用いる複数の無線機を決定する(ステップS304)。なお、ステップS304の処理は、図5のステップS102の処理と同様でもよい。
【0076】
続いて、サーバ30の測位部13は、制御部12により決定された各無線機から受信した、当該各無線機の位置情報と、当該各無線機から無線タグ40への方向とに基づいて無線タグ40の位置の測位を行う(ステップS305)。続いて、サーバ30の制御部12は、無線タグ40の位置情報を出力する(ステップS306)。ここで、サーバ30は、例えば、ステップS305で測位した無線タグ40の位置情報を表示装置に表示させてもよい。これにより、例えば、監視センター等で、無線タグが貼付された物品等の位置を保守員等が監視できる。
【0077】
<変形例>
移動用無線機10は、一つの筐体に含まれる装置でもよいが、本開示の移動用無線機10はこれに限定されない。移動用無線機10の各部(例えば、制御部12)は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。この場合、移動用無線機10は、例えば、無線LAN、または5G等の移動体通信ネットワークにより、外部のサーバと通信してもよい。これらのような移動用無線機10についても、本開示の「情報処理装置」の一例に含まれる。
【0078】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 測位システム
10 移動用無線機
11 取得部
12 制御部
13 測位部
14 測位情報提供部
20 固定用無線機
21 位置情報取得部
22 測位情報提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10