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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072525
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/597 20210101AFI20240521BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240521BHJP
【FI】
H01M50/597
H01M50/264
H01M50/298
H01M50/103
H01M50/209
H01M50/55 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183383
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長内 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】堀内 敦司
(72)【発明者】
【氏名】密岡 重日
(72)【発明者】
【氏名】菊谷 一信
【テーマコード(参考)】
5H011
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011BB04
5H011BB05
5H040AA03
5H040AS06
5H040AS22
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC12
5H040DD02
5H040FF01
5H040JJ03
5H040JJ06
5H040NN03
5H043AA13
5H043AA15
5H043AA19
5H043AA20
5H043BA12
5H043CA04
5H043CA05
5H043CB02
5H043CB07
5H043DA07
5H043DA22
5H043FA02
5H043GA23
5H043HA06F
5H043LA25D
(57)【要約】
【課題】蓄電池の向きの誤りや接続ケーブルの接続先の誤りにより蓄電池を誤組付けしてしまうことを防止できる組電池を提供すること。
【解決手段】組電池1において、複数の蓄電池10は、複数の正極端子11A、11Bと、正極端子11A、11Bと同数の複数の負極端子21A、21Bと、正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとの間で正極端子11A、11Bおよび負極端子21A、21Bの高さ方向に突出し、正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとを仕切る方向に延伸する一対の突出部31A、31Bと、を有し、一対の突出部31A、31Bの間に、複数の蓄電池10を位置決めする固定具5が嵌め込まれている。一対の突出部31A、31Bの一方と他方とで厚みが異なっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電池が組み合わされて接続された組電池であって、
複数の前記蓄電池は、複数の正極端子と、前記正極端子と同数の複数の負極端子と、前記正極端子と前記負極端子との間で前記正極端子および前記負極端子の高さ方向に突出し、前記正極端子と前記負極端子とを仕切る方向に延伸する一対の突出部と、を有し、
一対の前記突出部の間に、複数の前記蓄電池を位置決めする固定具が嵌め込まれ、
一対の前記突出部の一方と他方とで厚みが異なっていることを特徴とする組電池。
【請求項2】
複数の蓄電池が組み合わされて接続された組電池であって、
複数の前記蓄電池は、複数の正極端子と、前記正極端子と同数の複数の負極端子と、前記正極端子と前記負極端子との間で前記正極端子および前記負極端子の高さ方向に突出し、前記正極端子と前記負極端子とを仕切る方向に延伸する一対の突出部と、を有し、
一対の前記突出部の間に、複数の前記蓄電池を位置決めする固定具が嵌め込まれ、
一対の前記突出部を横切って前記正極端子と前記負極端子とを仕切る方向において、一対の前記突出部の間の中心位置と、前記蓄電池の幅の中心位置とが異なっていることを特徴とする組電池。
【請求項3】
複数の前記正極端子または複数の前記負極端子の一方は第1方向に配列され、
複数の前記正極端子または複数の前記負極端子の他方は、前記第1方向とは異なる第2方向に配列されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組電池。
【請求項4】
複数の前記正極端子または複数の前記負極端子の一方は、一対の前記突出部の延伸方向に直交する方向に配列され、
複数の前記正極端子または複数の前記負極端子の他方は、一対の前記突出部の延伸方向と平行の方向に配列されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組電池。
【請求項5】
複数の前記正極端子および複数の前記負極端子は、接続ケーブルと接続される端子固定台と、前記接続ケーブルを前記端子固定台に固定する複数の端子固定部とを有し、
前記端子固定台を囲むように壁部が設けられ、
前記壁部は、前記正極端子側と前記負極端子側とで、一対の前記突出部を横切って前記正極端子と前記負極端子とを仕切る方向の幅が異なっていることを特徴とする請求項4に記載の組電池。
【請求項6】
前記壁部は、複数の前記端子固定部の中心同士を通る中心線上と、前記中心線に直交し複数の前記端子固定部の中心を通る直交線上とに、前記接続ケーブルが通過するガイド溝を有することを特徴とする請求項5に記載の組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉛電池を複数個、直列に接続して用いる鉛蓄電池システムが記載されている。特許文献1に記載の鉛蓄電池システムは、対流による放熱を良好にするため、鉛蓄電池の側面に上下方向に延びるストライプ状のリブを多数形成している。また、特許文献1に記載の鉛蓄電池システムは、さらに放熱されやすくするため、リブによって形成される凹部と金属箔との隙間に放熱用の金属製パイプを設置している。これにより、特許文献1に記載の鉛蓄電池システムは、コンパクト化を図るために鉛蓄電池を互いに近接した状態で配列した場合であっても、鉛蓄電池の温度が過剰に上昇することを回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-19051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、組電池の中に極性が誤って配置された蓄電池が含まれている場合、極性が誤って配置された蓄電池を外観から容易に判別することができないため、作業者が複数の蓄電池の端子同士を接続ケーブルで接続する際に極性を誤って接続してしまい、蓄電池同士が短絡するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明では、蓄電池の向きの誤りや接続ケーブルの接続先の誤りにより蓄電池を誤組付けしてしまうことを防止できる組電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、複数の蓄電池が組み合わされて接続された組電池であって、複数の前記蓄電池は、複数の正極端子と、前記正極端子と同数の複数の負極端子と、前記正極端子と前記負極端子との間で前記正極端子および前記負極端子の高さ方向に突出し、前記正極端子と前記負極端子とを仕切る方向に延伸する一対の突出部と、を有し、一対の前記突出部の間に、複数の前記蓄電池を位置決めする固定具が嵌め込まれ、一対の前記突出部の一方と他方とで厚みが異なっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように、本発明によれば、蓄電池の向きの誤りや接続ケーブルの接続先の誤りにより蓄電池を誤組付けしてしまうことを防止できる組電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施例に係る組電池の斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る組電池を構成する蓄電池の平面図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る組電池を構成する蓄電池の側面図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る組電池の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る組電池は、複数の蓄電池が組み合わされて接続された組電池であって、複数の蓄電池は、複数の正極端子と、正極端子と同数の複数の負極端子と、正極端子と負極端子との間で正極端子および負極端子の高さ方向に突出し、正極端子と負極端子とを仕切る方向に延伸する一対の突出部と、を有し、一対の突出部の間に、複数の蓄電池を位置決めする固定具が嵌め込まれ、一対の突出部の一方と他方とで厚みが異なっていることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る組電池は、蓄電池の向きの誤りや接続ケーブルの接続先の誤りにより蓄電池を誤組付けしてしまうことを防止できる。
【実施例0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る組電池について詳細に説明する。各図において、X方向、Y方向、Z方向は、組電池および蓄電池の長さ方向、幅方向、高さ方向に相当し、互いに直交している。
【0011】
図1において、本発明の一実施例に係る組電池1は、複数の蓄電池10が組み合わされて電気的に接続されたものからなる。蓄電池10は、例えば、自動車等に搭載されていた使用済みの車載用バッテリを再生したものからなる。組電池1の用途は、例えば、街灯、保冷庫、フォークリフト、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)等の大容量の電力が必要な電源である。
【0012】
組電池1は、複数の蓄電池10と、複数の蓄電池10の底面を支持する底板2と、複数の蓄電池10のX方向の両側面を支持する一対の側板3と、複数の蓄電池10のY方向の両側面を支持する一対のホルダー4と、複数の蓄電池10の上面を支持する固定具5とを含んで構成される。複数の蓄電池10は、これらの底板2、側板3、ホルダー4および固定具5からなる支持具によって支持されることで一体化されている。組電池1は、実際に使用する前には蓄電池10単位で運搬可能であるため、可搬電源としても使用可能である。
【0013】
図2において、複数の蓄電池10は、複数の正極端子11A、11Bと、正極端子11A、11Bと同数の複数の負極端子21A、21Bとを有している。詳しくは、蓄電池10は、2つの正極端子11A、11Bと、2つの負極端子21A、21Bとを有している。正極端子11A、11Bおよび負極端子21A、21Bは、蓄電池10の上面に設けられている。
【0014】
複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの一方は第1方向に配列され、複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの他方は、第1方向とは異なる第2方向に配列されている。また、第1方向と第2方向とが互いに直交している。
【0015】
詳しくは、複数の正極端子11A、11Bは、第1方向としてのX方向に並べて配列され、複数の負極端子21A、21Bは第2方向としてのY方向に並べて配列されている。
【0016】
複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの一方の配列方向の延長線上には、複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの他方を構成する端子が配置されている。
【0017】
詳しくは、複数の負極端子21A、21Bの配列方向(Y方向)の延長線としての中心線25上には、正極端子11Bが配置されている。なお、図2とは逆に、複数の正極端子11A、11Bの配列方向をY方向とし、複数の負極端子21A、21Bの配列方向をX方向としてもよく、その場合、正極端子11A、11Bの配列方向の延長線上に負極端子21A、21Bの何れかが配置される。
【0018】
複数の正極端子11A、11Bは、接続ケーブル40と接続される端子固定台12と、接続ケーブル40を端子固定台12に固定する複数の端子固定部13A、13Bとを有している。また、複数の負極端子21A、21Bは、接続ケーブル40と接続される端子固定台22と、接続ケーブル40を端子固定台22に固定する複数の端子固定部23A、23Bとを有している。
【0019】
接続ケーブル40の端部には環状の圧着端子40Aが圧着により固定されている。端子固定台12、22には、接続ケーブル40の圧着端子40Aが接触し、電気的に接続されている。
【0020】
端子固定台12、22は、接続ケーブル40と電気的に接続される接点であり、端子固定台12、22における接続ケーブル40の接触部位は、正極端子11A、11Bまたは負極端子21A、21Bを構成している。端子固定部13A、13B、23A、23Bは、ボルトから構成されており、接続ケーブル40を端子固定台12、22に接触させた状態で端子固定台12、22に螺合されるようになっている。詳しくは、端子固定部13A、13B、23A、23Bは、圧着端子40Aに差し込まれた状態で端子固定台12、22に螺合される。2つの正極端子11A、11Bは、X方向に長辺を有する長方形の1つの端子固定台12を共有している。また、2つの負極端子21A、21Bは、Y方向に長辺を有する長方形の1つの端子固定台22を共有している。
【0021】
蓄電池10の上面には、端子固定台12、22を囲むように長方形の壁部14、24が設けられている。壁部14、24は高さ方向(Z方向)に突出している。壁部14、24は、組電池1の図示しないカバー等が端子固定台12、22や端子固定部13A、13B、23A、23Bに接触して短絡を引き起こすことを防止するための保護部材として機能する。
【0022】
正極端子11A、11Bを囲む壁部14は、接続ケーブル40が通過するガイド溝14A~14Dを有している。ガイド溝14A~14Dは、複数の端子固定部13A、13Bの中心同士を通る中心線15上と、この中心線15に直交し複数の端子固定部13A、13Bの中心を通る直交線16、17上とに形成されている。
【0023】
詳しくは、ガイド溝14Aは中心線15のX方向の一方側に設けられ、ガイド溝14Dは中心線15のX方向の一方側に設けられている。また、ガイド溝14Bは、直交線16のY方向の一方側に設けられ、ガイド溝14Cは、直交線17のY方向の一方側に設けられている。
【0024】
負極端子21A、21Bを囲む壁部24は、接続ケーブル40が通過するガイド溝24A~24Eを有している。ガイド溝24A~24Eは、複数の端子固定部23A、23Bの中心同士を通る中心線25上と、この中心線25に直交し複数の端子固定部23A、23Bの中心を通る直交線26、27上とに形成されている。
【0025】
詳しくは、ガイド溝24Eは中心線25のY方向の他方側に設けられている。また、ガイド溝24Aは直交線26のX方向の一方側に設けられ、ガイド溝24Dは直交線26のX方向の他方側に設けられている。また、ガイド溝24Bは直交線27のX方向の一方側に設けられ、ガイド溝24Cは直交線27のX方向の他方側に設けられている。
【0026】
接続ケーブル40が通過するガイド溝14A~14D、24A~24Eが壁部14、24に設けられていることにより、各蓄電池10の上面において、端子固定台22の表面と同じ高さに接続ケーブル40を配索することができる。また、接続ケーブル40の長さを、接続対象の2つの端子の間の最短距離にすることができる。
【0027】
図2図3において、蓄電池10は、一対の突出部31A、31Bを有している。突出部31A、31Bは、蓄電池10の上面において、正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとの間で正極端子11A、11Bおよび負極端子21A、21Bの高さ方向(Z方向)に突出している。また、突出部31A、31Bは、正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとを仕切る方向(X方向)に延伸している。
【0028】
一対の突出部31A、31Bの間には、複数の蓄電池10を位置決めする固定具5(図1参照)が嵌め合わされる。一対の突出部31A、31Bの間の幅L3は、固定具5の幅と概ね等しくなっている。一対の突出部31A、31Bは、固定具5との嵌め合わせによる位置決め用の部材としてだけでなく、組電池1の図示しないカバー等が端子固定台12、22や端子固定部13A、13B、23A、23Bに接触して短絡を引き起こすことを防止するための保護部材としても機能する。
【0029】
図2において、一対の突出部31A、31Bの一方と他方とで厚みが異なっている。詳しくは、突出部31Aの厚みL1は、突出部31Bの厚みL2よりも大きくなっている。
【0030】
また、一対の突出部31A、31Bを横切って正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとを仕切る方向(Y方向)において、一対の突出部31A、31Bの間の中心位置C2と、蓄電池10の幅の中心位置C1とが異なっている。ここで、突出部31A、31Bの間の中心位置C2とは、Y方向における突出部31A、31Bの間の溝部31Cの中心の位置をいう。また、蓄電池10の幅とは、蓄電池10のY方向の寸法をいう。詳しくは、突出部31Aの厚みL1は突出部31Bの厚みL2よりも大きくなっている。これにより、中心位置C2が、中心位置C1に対してY方向に偏倚(オフセット)し、Y方向において一対の突出部31A、31Bの位置が非対称となる。
【0031】
複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの一方は、一対の突出部31A、31Bの延伸方向に直交する方向に配列されている。また、複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの他方は、一対の突出部31A、31Bの延伸方向と平行の方向に配列されている。
【0032】
詳しくは、複数の負極端子21A、21Bは、一対の突出部31A、31Bの延伸方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に配列されている。また、複数の正極端子11A、11Bは、一対の突出部31A、31Bの延伸方向と平行の方向(X方向)に配列されている。
【0033】
壁部14、24は、正極端子11A、11B側と負極端子21A、21B側とで、一対の突出部31A、31Bを横切って正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとを仕切る方向(Y方向)の幅が異なっている。
【0034】
詳しくは、正極端子11A、11B側の壁部14はX方向に長辺を有する長方形に形成され、負極端子21A、21B側の壁部24はY方向に長辺を有する長方形に形成されている。このため、一対の突出部31A、31Bを横切って正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとを仕切る方向(Y方向)において、壁部14の幅は、壁部24の幅よりも小さくなっている。
【0035】
図4に示すように、組電池1は、16個の蓄電池10を4行×4列のマトリックス状に配置した構成とすることができる。詳しくは、組電池1は、4つの蓄電池10を並列接続することで蓄電容量を増加させ、かつ、蓄電池10を並列接続したものを4つ直列接続することで電圧を増加させる構成とすることができる。
【0036】
図4において、破線または実線で表す接続ケーブル40は、行方向で隣り合う蓄電池10の同極端子同士を接続するケーブルである。一点鎖線で表す接続ケーブル40は、列方向で隣り合う蓄電池10の異極端子同士を接続するケーブルである。一点鎖線で表すこの接続ケーブル40は、いわゆる渡り配線であり、例えば、1行目のA列の蓄電池10の負極端子21Aと1行目のB列の蓄電池10の正極端子11Aとを接続している。二点鎖線で表す接続ケーブル40は、組電池1と図示しない電力利用機器とで電力を入出力するケーブルである。
【0037】
図4に示すように、A列において、1行目から4行目の4つの蓄電池10は並列接続されている。詳しくは、A列において、一方(例えば、1行目)の蓄電池10の正極端子11Bと、これに隣り合う他方(例えば、2行目)の蓄電池10の正極端子11Aとは最短距離で対向している。また、A列において、一方(例えば、1行目)の蓄電池10の負極端子21Bと、これに隣り合う他方(例えば、2行目)の蓄電池10の負極端子21Bとは最短距離で対向している。
【0038】
このため、最短距離で対向する同極端子同士を接続ケーブル40で接続することにより、接続ケーブル40の長さを最短の長さにすることができる。また、1つの正極端子11A、11Bまたは負極端子21A、21Bにそれぞれ1つの接続ケーブル40の圧着端子40A(図2参照)を接続しているので、2つの圧着端子40Aを重ねた状態で1つの正極端子11A、11Bまたは負極端子21A、21Bに接続することを不要にできる。
【0039】
また、A列の1行目の蓄電池10の外側の負極端子21Aは、B列の1行目の蓄電池10の上側の正極端子11Aと接続され、B列の1行目の蓄電池10の外側の負極端子21Aは、C列の1行目の蓄電池10の上側の正極端子11Aと接続され、C列の1行目の蓄電池10の外側の負極端子21Aは、D列の1行目の蓄電池10の上側の正極端子11Aと接続されている。
【0040】
以上説明したように、本実施例では、複数の蓄電池10は、複数の正極端子11A、11Bと、正極端子11A、11Bと同数の複数の負極端子21A、21Bと、正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとの間で正極端子11A、11Bおよび負極端子21A、21Bの高さ方向に突出し、正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとを仕切る方向に延伸する一対の突出部31A、31Bと、を有し、一対の突出部31A、31Bの間に、複数の蓄電池10を位置決めする固定具5が嵌め込まれている。また、一対の突出部31A、31Bの一方と他方とで厚みが異なっている。
【0041】
これにより、一対の突出部31A、31Bの厚みが異なることによる外観上の相違に基づいて作業者が蓄電池10の極性を判断できるので、極性を誤った向きで蓄電池10を配置することを防止できる。
【0042】
また、突出部31A、31Bの厚みが異なることにより、Y方向において一対の突出部31A、31Bの位置が非対称となり、蓄電池10の極性が逆の場合は一対の突出部31A、31Bの間に固定具5を嵌め込むことができなくなるので、蓄電池10の配置の誤りを容易に発見でき、蓄電池10の誤組付けを防止できる。
【0043】
また、複数の蓄電池10を極性が正しくなる向きで配置できることにより、蓄電池10同士を接続ケーブル40で接続する際に接続先を誤ることを防止できる。
【0044】
この結果、蓄電池10の向きの誤りや接続ケーブル40の接続先の誤りにより蓄電池10を誤組付けしてしまうことを防止できる。
【0045】
また、本実施例では、複数の蓄電池10は、複数の正極端子11A、11Bと、正極端子11A、11Bと同数の複数の負極端子21A、21Bと、正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとの間で正極端子11A、11Bおよび負極端子21A、21Bの高さ方向に突出し、正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとを仕切る方向に延伸する一対の突出部31A、31Bと、を有している。また、一対の突出部31A、31Bの間に、複数の蓄電池10を位置決めする固定具5が嵌め込まれ、一対の突出部31A、31Bを横切って正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとを仕切る方向において、一対の突出部31A、31Bの間の中心位置C2と、蓄電池10の幅の中心位置C1とが異なっている。
【0046】
これにより、一対の突出部31A、31Bの間の中心位置C2と、蓄電池10の幅の中心位置C1とが異なることによる外観上の相違に基づいて作業者が蓄電池10の極性を判断できるので、極性を誤った向きで蓄電池10を配置することを防止できる。
【0047】
また、一対の突出部31A、31Bの間の中心位置C2と、蓄電池10の幅の中心位置C1とが異なることによって、蓄電池10の極性が逆の場合は一対の突出部31A、31Bの間に固定具5を嵌め込むことができなくなるので、蓄電池10の配置の誤りを容易に発見でき、蓄電池10の誤組付けを防止できる。
【0048】
また、本実施例では、複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの一方は第1方向に配列され、複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの他方は、第1方向とは異なる第2方向に配列されている。
【0049】
これにより、蓄電池10同士の組付け時に組付け向きを判別することができ、蓄電池10同士を誤って組付けることを防止できる。
【0050】
また、本実施例では、複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの一方は、一対の突出部31A、31Bの延伸方向に直交する方向に配列され、複数の正極端子11A、11Bまたは複数の負極端子21A、21Bの他方は、一対の突出部31A、31Bの延伸方向と平行の方向に配列されている。
【0051】
これにより、正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとで配列方向が異なることで、蓄電池10の外観から蓄電池10の正しい向きを判別することができ、蓄電池10同士を誤って組付けることを防止できる。
【0052】
また、端子並びの向きが異なることで、端子間にハーネスを結線する際に、誤組みであることを判別することができる。端子間距離が異なると、端子同士を結ぶハーネス長が異なり、誤って組付けることを防止できる。
【0053】
また、本実施例では、複数の正極端子11A、11Bおよび複数の負極端子21A、21Bは、接続ケーブル40と接続される端子固定台12、22と、接続ケーブル40を端子固定台12、22に固定する複数の端子固定部13A、13B、23A、23Bとを有し、端子固定台12、22を囲むように壁部14、24が設けられている。そして、壁部14、24は、正極端子11A、11B側と負極端子21A、21B側とで、一対の突出部31A、31Bを横切って正極端子11A、11Bと負極端子21A、21Bとを仕切る方向の幅が異なっている。
【0054】
これにより、端子の向きおよび壁部14、24の幅が異なることによる外観上の差違に基づいて、端子の極性を判別できるので、誤組付けを防止できる。
【0055】
また、本実施例では、壁部14、24は、複数の端子固定部13A、13B、23A、23Bの中心同士を通る中心線上と、中心線に直交し複数の端子固定部13A、13B、23A、23Bの中心を通る直交線上とに、接続ケーブル40が通過するガイド溝14A~14D、24A~24Eを有する。
【0056】
これにより、壁部14、24のガイド溝14A~14D、24A~24Eを通るように接続ケーブル40を配置することで、隣り合う蓄電池10の同極端子同士を接続する接続ケーブル40の長さを最短にすることができる。
【0057】
また、隣り合う蓄電池10の異極端子同士を接続する接続ケーブル40は最短の長さにはならないことから、接続ケーブル40の接続先を誤ってしまうことを防止できる。これに加え、ガイド溝14A~14D、24A~24Eによって接続ケーブル40の向きが保持されるので、正極端子11A、11Bおよび負極端子21A、21Bへの接続ケーブル40の締結作業時および締結作業後に、ボルトからなる端子固定部13A、13B、23A、23Bを回り止めすることができる。さらに、蓄電池10同士を接続ケーブル40で接続して組電池1を制作する際の作業性を向上させることができる。
【0058】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0059】
1...組電池、5...固定具、10...蓄電池、11A,11B...正極端子、12...端子固定台、13A,13B...端子固定部、14...壁部、14A,14B,14C,14D...ガイド溝、15...中心線、16,17...直交線、21A,21B...負極端子、22...端子固定台、23A...端子固定部、24...壁部、24A,24B,24C,24D,24E...ガイド溝、25...中心線(延長線)、26,27...直交線、31A,31B...突出部、40...接続ケーブル
図1
図2
図3
図4