(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072538
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】がい管、ケーブル終端接続部及び機器用ブッシング
(51)【国際特許分類】
H02G 15/064 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
H02G15/064
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183408
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今西 晋
(72)【発明者】
【氏名】福濱 大河
【テーマコード(参考)】
5G375
【Fターム(参考)】
5G375AA02
5G375BA23
5G375BB12
5G375BB19
5G375BB28
5G375BB31
5G375CB05
5G375CB10
5G375CB15
5G375CB27
5G375CB36
5G375DA32
5G375DA33
(57)【要約】
【課題】地絡等による絶縁性媒体の蒸発に伴う内圧の急激な上昇によりがい管本体が破損するのを防止できる安全性の高いがい管、ケーブル終端接続部及び機器用ブッシングを提供する。
【解決手段】がい管は、外周面に笠部が形成されているがい管本体と、がい管本体の先端側に配置されがい管本体を密閉する上部密閉部と、上部密閉部を覆う上部金具と、がい管本体内に配置される絶縁ユニットと、がい管本体と絶縁ユニットとの間に封入される絶縁性媒体と、を備える。上部密閉部は、フランジ開口を有し、がい管本体に液密に取り付けられる上部フランジと、がい管本体よりも破裂圧力が低く、フランジ開口を閉塞するように配置される破裂板と、リング開口を有し、破裂板を押さえて上部フランジに固定する押さえリングと、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に笠部が形成されているがい管本体と、
前記がい管本体の先端側に配置され前記がい管本体を密閉する上部密閉部と、
前記上部密閉部を覆う上部金具と、
前記がい管本体内に配置される絶縁ユニットと、
前記がい管本体と絶縁ユニットとの間に封入される絶縁性媒体と、を備え、
前記上部密閉部は、
フランジ開口を有し、前記がい管本体に液密に取り付けられる上部フランジと、
前記がい管本体よりも破裂圧力が低く、前記フランジ開口を閉塞するように配置される破裂板と、
リング開口を有し、前記破裂板を押さえて前記上部フランジに固定する押さえリングと、を有する、
がい管。
【請求項2】
前記破裂板の前記上部フランジと当接する周縁部の厚さは、前記開口を覆う中央部の厚さよりも大きい、
請求項1に記載のがい管。
【請求項3】
前記フランジ開口及び前記リング開口は、断面円形状を有し、
前記上部フランジは、前記フランジ開口と同心円状に形成されたシール収容溝を有し、
前記破裂板は、後端面に形成された断面円形状の凹部を有し、
前記上部フランジ、前記破裂板及び前記押さえリングは、前記フランジ開口、前記凹部及び前記リング開口が同心となるように配置されており、
前記凹部の外径をφA、前記フランジ開口の外径をφB、前記シール収容溝の中心の外径をφC、前記リング開口の外径をφDとしたとき、
φB≧φA、かつ、φA<φD<φCの関係を有する、
請求項2に記載のがい管。
【請求項4】
前記破裂板は、非貫通で放射状に延在する溝により形成される複数の第1スリットを先端面に有する、
請求項1に記載のがい管。
【請求項5】
前記破裂板は、隣り合う前記第1スリットの先端部の間に設けられ、非貫通の溝により前記第1スリットの溝と連通しないように形成される第2スリットを先端面に有する、
請求項4に記載のがい管。
【請求項6】
前記押さえリングは、前記破裂板との当接面に排水溝を有する、
請求項1に記載のがい管。
【請求項7】
請求項1に記載のがい管を備えるケーブル終端接続部であって、
前記絶縁ユニットは、少なくとも、内部導体と、前記内部導体の外周に一体的に設けられる絶縁筒とを有し、
前記絶縁ユニットの後端側には、前記がい管に接続するケーブルのケーブル端末部が接続され、
前記内部導体の後端側と前記ケーブルのケーブル導体とが電気的に接続される、
ケーブル終端接続部。
【請求項8】
請求項1に記載のがい管を備える機器用貫通ブッシングであって、
前記絶縁ユニットは、少なくとも、内部導体と、前記内部導体の外周に一体的に設けられる絶縁筒とを有し、
前記絶縁ユニットの後端側に、後端側に向かって縮径する形状を有する、機器内に配置されるヘッド部を有し、
前記内部導体は、前記ヘッド部から貫通して突出する構造を有する、
機器用ブッシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がい管本体内に絶縁性媒体が封入されるがい管、ケーブル終端接続部及び機器用ブッシングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力ケーブルの終端に設けられるケーブル終端接続部として、がい管により気中絶縁を行う気中終端接続部が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1に開示のケーブル終端接続部では、がい管内において、がい管の先端側に露出する導体引出棒が電力ケーブルのケーブル導体の端部に圧縮接続されている、また、段剥ぎして露出されたケーブル絶縁体上には、予め工場で製造された電界緩和用のストレスコーン(プレモールド絶縁体とも呼ばれる)が、施工現場で電力ケーブルに装着されることにより、ケーブル外部半導電層の端部近傍における電界緩和が実現されている。ストレスコーンは、がい管内の下方に挿入固定されたエポキシ座に対して圧縮装置により押圧固定されている。このような構造の気中終端接続部は、プレハブ形と呼ばれる。プレハブ形の気中終端接続部では、一般に、がい管内に絶縁油(例えばシリコーンオイル)等の絶縁性媒体が封入される。
【0004】
特許文献2、3に開示のケーブル終端接続部では、がい管内において、がい管の先端側に露出する導体引出棒が電力ケーブルのケーブル導体の端部に圧縮接続されている。また、段剥ぎして露出されたケーブル絶縁体上には、予め工場で製造された常温収縮型のゴムブロックが、施工現場で電力ケーブルに装着されることにより、ケーブル外部半導電層の端部近傍における電界緩和が実現されている。このタイプの気中終端接続部は、上記プレハブ形の気中終端接続部のようなエポキシ座及びストレスコーンを押圧するための圧縮装置をがい管内に設けず、常温収縮型のゴムブロックをがい管内の特定の位置に配置した状態で電界を緩和する構造であることから、ゴムブロック形と呼ばれる。ゴムブロック形の気中終端接続部に使用されるがい管は、磁器がい管(特許文献3参照)、ポリマーがい管(複合がい管とも呼ばれる、特許文献2参照)のいずれでもよく、一般に、がい管内には絶縁油(例えば、シリコーンオイル)等の絶縁性媒体が封入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-261948号公報
【特許文献2】特許第5804948号公報
【特許文献3】特許第4685908号公報
【特許文献4】特許第5606252号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】昭和電線レビュー「66/77kVダイレクトモールド貫通ブッシングの開発・実用化」Vol.56、No.1(2006)15~19頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
がい管内に絶縁性媒体が封入されるケーブル終端接続部においては、地絡時に絶縁性媒体が蒸発して内圧が急激に上昇し、場合によってはがい管本体が破損して絶縁性媒体が漏洩する虞がある。特に、超高圧の電力ケーブル(例えば、275kV級)のケーブル終端接続部においては、低圧の電力ケーブルのケーブル終端接続部に比較して地絡の危険性が高まるため、内圧の急激な上昇に伴うがい管本体の破損を防止するための対策を講じる必要がある。
【0008】
本発明の目的は、地絡等による絶縁性媒体の蒸発に伴うがい管の内圧の急激な上昇によりがい管本体が破損するのを防止できる安全性の高いがい管、ケーブル終端接続部及び機器用ブッシングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るがい管は、
外周面に笠部が形成されているがい管本体と、
前記がい管本体の先端側に配置され前記がい管本体を密閉する上部密閉部と、
前記上部密閉部を覆う上部金具と、
前記がい管本体内に配置される絶縁ユニットと、
前記がい管本体と絶縁ユニットとの間に封入される絶縁性媒体と、を備え、
前記上部密閉部は、
フランジ開口を有し、前記がい管本体に液密に取り付けられる上部フランジと、
前記がい管本体よりも破裂圧力が低く、前記フランジ開口を閉塞するように配置される破裂板と、
リング開口を有し、前記破裂板を押さえて前記上部フランジに固定する押さえリングと、を有する。
【0010】
本発明に係るケーブル終端接続部は、
上記のがい管を備えるケーブル終端接続部であって、
前記絶縁ユニットは、少なくとも、内部導体と、前記内部導体の外周に一体的に設けられる絶縁筒とを有し、
前記絶縁ユニットの後端側には、前記がい管に接続するケーブルのケーブル端末部が接続され、
前記内部導体の後端側と前記ケーブルのケーブル導体とが電気的に接続される。
【0011】
本発明に係る機器用ブッシングは、
上記のがい管を備える機器用貫通ブッシングであって、
前記絶縁ユニットは、少なくとも、内部導体と、前記内部導体の外周に一体的に設けられる絶縁筒とを有し、
前記絶縁ユニットの後端側に、後端側に向かって縮径する形状を有する、機器内に配置されるヘッド部を有し、
前記内部導体は、前記ヘッド部から貫通して突出する構造を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地絡等による絶縁性媒体の蒸発に伴う内圧の急激な上昇によりがい管本体が破損するのを防止でき、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るケーブル接続部を示す断面図である。
【
図2】
図2A、
図2Bは、ケーブル終端接続部における上部密閉部の周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るケーブル終端接続部1を示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、ケーブル終端接続部1は、がい管10、固定金具41、端末取付金具42、導体引出棒44、及びケーブル端末部50等を備える。以下において、導体引出棒44が引き出される側を「先端側」、ケーブル端末部50が装着される側を「後端側」として説明する。
【0017】
がい管10は、外周面に笠部11a(
図2A参照)が形成されているがい管本体11と、がい管本体11の先端側に配置される上部金具12と、絶縁ユニット20と、電界緩和部30と、絶縁性媒体43と、を有する。
【0018】
がい管本体11は、例えば、磁器がい管であってもよいし、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)からなる筒体の外側に、シリコーンゴム等の高分子絶縁材料からなるポリマー被覆体を一体的に形成したポリマーがい管(複合がい管とも呼ばれる)であってもよい。ケーブル終端接続部1に要求される雷インパルス耐電圧を満たすように、がい管本体11の長さ、すなわち、絶縁有効長が設定される。
【0019】
さらに、本実施の形態では、がい管本体11の先端側に、上部密閉部60(
図2A参照)が設けられている。上部密閉部60は、上部金具12によって覆われている。上部密閉部60の構造については、後述する。
【0020】
絶縁ユニット20は、軸方向に延在する内部導体21と、内部導体21の外周面に配置される絶縁筒22と、絶縁筒22の外周面に形成される遮へい部23と、を有し、ケーブル終端接続部1の補強絶縁部として機能する。内部導体21及び絶縁筒22は、モールド成型により一体的に形成される。遮へい部23は、例えば、絶縁筒22の外周面に、導電性塗料を塗布することにより形成される。
【0021】
絶縁ユニット20は、先端側の直胴状に形成された小径部20Aと、小径部20Aから後端側に向けて拡径する傾斜部20Bと、傾斜部20Bの後端側に連設され直胴状に形成された大径部20Cに区画される。大径部20Cは、小径部20Aよりも外径が大きい。
【0022】
絶縁ユニット20は、小径部20Aががい管本体11の内部、大径部20Cががい管本体11の外部となるように配置される。本実施の形態では、絶縁ユニット20は、がい管本体11の後端部に傾斜部20Bの後端側が位置するように配置されている。また、本実施の形態では、小径部20Aの先端側は、先端側に向かって縮径する形状を有している。これにより、後述する円筒状の弾性体にて形成される電界緩和部30を、絶縁ユニット20に挿入しやすくなる。
【0023】
内部導体21は、例えば銅、アルミニウム、銅合金又はアルミニウム合金等からなる通電に適した導電性材料で形成される。絶縁ユニット20の大径部20Cに配置される内部導体21の後端側の内周面は、絶縁筒22から露出しており、ケーブル導体511を電気的に接続するための導体挿入部21aが設けられている。内部導体21の先端側の端部は、絶縁筒22を貫通して、導体引出棒44に接続されている。
【0024】
絶縁筒22は、機械的強度の高い硬質プラスチック樹脂材料(例えば、エポキシ樹脂やFRP)で形成される。絶縁ユニット20の大径部20Cに配置される絶縁筒22の後端側には、ケーブル端末部50を受け入れるコーン状の端末挿入部22aが設けられている。端末挿入部22aは、内部導体21の導体挿入部21aに連通する。導体挿入部21a及び端末挿入部22aにより、ケーブル端末部50が装着されるケーブル受容部24が形成される。
【0025】
本実施の形態では、絶縁ユニット20の大径部20Cの外径(遮へい部23の厚さは1mm未満であるため、実質、大径部20Cに位置する絶縁筒22の後端側の外径)は、がい管本体11の内径とほぼ同じに設定されているが、がい管本体11の内径より大きくてもよい。ケーブル受容部24が形成される絶縁ユニット20の大径部20Cは、電界設計上、外径が大きい方が有利である。絶縁ユニット20の大径部20Cは、がい管本体11の外部に配置されるので、がい管本体11の内径に制限されることなく、電界設計上適切な外径に設計することができる。
【0026】
また、絶縁筒22は、絶縁ユニット20の傾斜部20Bにおいて、大径部20Cから小径部20Aに向かって緩やかに細くなるように、R形状に形成されている。すなわち、絶縁筒22の外形形状は、電界集中を誘発する電気的突起のない形状となっている。これにより、絶縁ユニット20の傾斜部20Bにおいて、絶縁筒22の外周面に遮へい部23を形成した場合でも、内部導体21と遮へい部23との間で電界が集中することなく、絶縁筒22の内部電界を均一にすることができる。
【0027】
遮へい部23は、絶縁筒22の外周面に、絶縁ユニット20の大径部20Cの後端から小径部20Aの中間位置にわたって形成される。中間位置は、小径部20Aの長手方向の途中の位置であればよく、特に限定されない。遮へい部23を設けることにより、内部導体21と遮へい部23との間で電界が集中することなく、絶縁筒22の内部電界が均一化され、電気特性の安定化が図られる。
【0028】
電界緩和部30は、先端側の絶縁部31と、後端側の導電部32と、を有する円筒状の弾性体にて形成される。絶縁部31は、後端側が導電部32と同心状に連設され、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)等の絶縁性ゴム材料で円筒状に形成される。導電部32は、先端側の端部に、先端側端部近傍の内周部から先端側に向かって緩やかに拡径するベルマウス状に湾曲した形状を有する。また、導電部32は、例えば、半導電性のEPゴム等の半導電性ゴム材料で円筒状に形成されており、内周部の先端側の部分と、外周部の先端側から後端側近傍にかけての部分とで絶縁部31と連設されている。導電部32の内周部は、絶縁部31と一体化した先端側の部分以外は電界緩和部30の内周面として露出し、絶縁部31の内周面と連通している。絶縁部31と導電部32は、モールド成型により一体的に形成される。
図1の実施の形態では、電界緩和部30の外形は、導電部32の後端側が露出した円筒形状であるが、外形形状は特に限定されない。
【0029】
電界緩和部30は、絶縁ユニット20の小径部20Aの外周面に配置される。具体的には、電界緩和部30は、導電部32の内周面と遮へい部23が導通するように重なり、かつ、遮へい部23の先端が導電部32の内周面からはみでないように配置される。電界緩和部30は、遮へい部23の先端における電界集中を抑制し、絶縁筒22にかかる電気的なストレスを緩和する。
【0030】
固定金具41は、絶縁ユニット20の大径部20Cと同等の開口を有するフランジ状の部材である。固定金具41は、がい管本体11の後端側に配置され、例えば、ボルト止めにより、がい管本体11の後端部に一体的に設けられた下部金具13と締結される。また、固定金具41の後端側には、支持がいし45が配置され、例えば、ボルト止めにより締結される。
【0031】
端末取付金具42は、絶縁ユニット20の大径部20Cと同等の内径を有する有底円筒状の部材である。端末取付金具42の底部42aには、ケーブル端末部50を挿入するための開口42bが設けられている。端末取付金具42は、固定金具41の後端側に配置され、例えば、ボルト止めにより、固定金具41及び絶縁ユニット20と締結される。
【0032】
固定金具41及び端末取付金具42の内径は、絶縁ユニット20の大径部20Cの外径と略同径に形成され、固定金具41と絶縁ユニット20との間には、Oリング等のシール部材46が配置されている。シール部材46は、軸方向において所定間隔で複数設けられるのが好ましい。これにより、がい管本体11の内部を気密又は液密に保持して絶縁性媒体43が漏出するのを防止できるとともに、がい管本体11に発生する曲げ応力を緩和することができる。
【0033】
絶縁性媒体43は、がい管本体11と絶縁ユニット20との間の空間に封入され、ケーブル終端接続部1の主絶縁部として機能する。絶縁性媒体43は、シリコーンオイル等の絶縁油で形成される。なお、絶縁性媒体43は、がい管10の内部(がい管本体11の内部)への注入時に流動性を有していればよく、シリコーンゲル又はシリコーンゴム等、注入後に硬化する絶縁材料でもよいが、絶縁性媒体43が絶縁油である場合に、蒸発に伴う内圧の急激な上昇の課題が顕著となる。
【0034】
絶縁性媒体43は、例えば、固定金具41に設けられた流路(図示略)を介して、がい管10の内部(がい管本体11の内部)に注入される。絶縁性媒体43は、地絡等による周囲温度の上昇に伴い、蒸発する。がい管10において、上部フランジ61を貫通する導体引出棒44と上部フランジ61との間はOリング等のシール部材により密閉され、さらに、がい管本体11は上部密閉部60によって密閉されているので、絶縁性媒体43の蒸発によって内圧が急激に上昇する。上部密閉部60には、内圧上昇によるがい管本体11の破損を防止するための対策が講じられている。
【0035】
導体引出棒44の後端側の端部は、絶縁ユニット20の内部導体21に接続され、先端側の端部は、がい管10の上部金具12を貫通して外部に引き出されている。言い換えれば、上部金具12を貫通してがい管10の内部から外部へ突出する導体引出棒44に内部導体21が電気的に接続されている。導体引出棒44は、例えば、適切な導体接続部材を介して、絶縁ユニット20の内部導体21と連結される。また、導体引出棒44のがい管本体11内に配置される部分は、ケーブルの様な可とう性を有した導体でも良い。この場合、ケーブルの先端側が、上部金具12を貫通して外部に引き出される導体棒の後端側に接続され、がい管本体11内に配置されるケーブルと導体棒を含む複数の部材で導体引出棒44が形成される。導体引出棒44のがい管本体11内に配置される部分をケーブルで構成することにより、がい管本体11に発生する曲げ応力を可とう性のあるケーブルが吸収し、内部の絶縁ユニット20に過剰な応力を生じさせないようにすることができる。また、絶縁被覆を被ったケーブルを適用することで、導体引出棒44の表面に生じる電界を抑制することができる。
【0036】
ここで、「上部金具を貫通してがい管の内部から外部へ突出する導体引出棒に内部導体が電気的に接続されている」とは、導体引出棒44と内部導体21が、本実施の形態のような別部材で形成される場合だけでなく、内部導体を長尺化することで導体引出棒を同一部材で形成する場合を含む。すなわち、内部導体21を長尺に形成して、内部導体21が上部金具12から引き出されるように構成されてもよい。この場合、内部導体21と導体引出棒44とが同一部材で形成されることとなり、内部導体21とは別部材としての導体引出棒44は不要となるが、内部導体が導体引出棒としても機能する。
【0037】
ケーブル端末部50は、電力ケーブル51の先端部に、導体接続端子52、ストレスコーン53、及び圧縮装置54等の接続材料が取り付けられて構成される。
【0038】
電力ケーブル51は、例えば、ゴム又はプラスチックで絶縁された275kV級の超高圧の電力ケーブルである。電力ケーブル51は、中心から順に、ケーブル導体511、ケーブル絶縁体512、ケーブル外部半導電層513、ケーブル遮へい層514及びケーブルシース515等を有する。ケーブル端末部50においては、電力ケーブル51の先端部から所定長で段剥ぎすることにより各層が露出される。
【0039】
ケーブル導体511の先端部には、圧縮により導体接続端子52が接続される。導体接続端子52は、例えば、銅、アルミニウム、銅合金又はアルミニウム合金等からなる通電に適した導電性材料で形成される。ケーブル絶縁体512からケーブル外部半導電層513の先端部にわたる外周面にはストレスコーン53が装着される。
【0040】
ストレスコーン53は、紡錘状に形成され、電界緩和部30と同様に、先端側の絶縁部(符号略)と、後端側の導電部(符号略)と、を有する。絶縁部は、例えば、EPゴム等の絶縁性ゴム材料で筒状に形成され、導電部は、例えば、半導電性のEPゴム等の半導電性ゴム材料で筒状に形成される。絶縁部と導電部は、モールド成型により一体的に形成される。
【0041】
ストレスコーン53の後端部(半導電部)は、電力ケーブル51のケーブル外部半導電層513に接続される。「電力ケーブル51のケーブル外部半導電層513に接続される」とは、ケーブル終端接続部として所定の性能を有する限り、ケーブル外部半導電層513に直接接続される場合、ケーブル外部半導電層513の端部にモールドや導電塗料で再生した外部半導電層の端部を介して接続される場合、いずれの場合も意味する。ストレスコーン53の先端部(絶縁部)は、絶縁ユニット20のケーブル受容部24に対応する形状を有する。ストレスコーン53の後端側には、圧縮装置54及び保護金具55が装着される。
【0042】
圧縮装置54は、ストレスコーン53に当接する押し金具(符号略)と、ストレスコーン53に向けて押し金具を付勢するコイルスプリング(符号略)と、押し金具及びコイルスプリングを支持する押し金具フランジ(符号略)と、を有する。
【0043】
電力ケーブル51の先端部を段剥ぎした後、保護金具55、圧縮装置54、ストレスコーン53が電力ケーブル51に挿通され、ケーブル導体511に導体接続端子52が取り付けられる。そして、ケーブル端末部50の先端部を絶縁ユニット20のケーブル受容部24に挿入し、圧縮装置54のコイルスプリングを圧縮させながら、押し金具フランジを端末取付金具42の底部42aにボルト止めし、保護金具55を押し金具フランジにボルト止めすることにより、ケーブル受容部24にケーブル端末部50が装着される。
【0044】
ストレスコーン53の先端部は絶縁筒22の内面に押し付けられ、導体接続端子52は内部導体21の導体挿入部21aと電気的に接続される。また、保護金具55の後端部には、防水のための防食層(符号略)が配置される。このように、ケーブル終端接続部1は、プラグイン接続により、比較的簡単な作業で組み立てることができる。
【0045】
図2A、
図2Bは、ケーブル終端接続部1における上部密閉部60の周辺の拡大図である。
図3は、上部密閉部60の分解斜視図である。
図4は、
図2Aの破線で囲まれた部分の拡大断面図である。
図2Aは、
図2BのA-A線に沿う上部密閉部60の断面図である。
図2Bは、上部金具12が無い状態で上部密閉部60を先端側から見た平面図であり、細部構造を適宜省略して模式的に示されている。
【0046】
図2A等に示すように、上部密閉部60は、上部フランジ61、破裂板62及び押さえリング63を有する。上部フランジ61、破裂板62及び押さえリング63は、上部フランジ61のフランジ開口611、破裂板62の凹部623及び押さえリング63のリング開口631が同心となるように配置される。
【0047】
上部フランジ61は、がい管本体11の先端側に、Oリング等のシール部材64を介して、液密に取り付けられる。上部フランジ61は、中央に、導体引出棒44が挿通される引出口612を有する。上部フランジ61には、引出口612を取り囲むように、複数の断面円形のフランジ開口611が形成されている(
図4参照)。例えば、フランジ開口611は、
図2Bに示すように、導体引出棒44が貫通する引出口612の周囲に、上部フランジ61の中心(引出口612の中心でもある)を軸とした90°回転対称な位置に4つ設けられる。フランジ開口611の数は特に限定されないが、上部フランジ61の中心(引出口612の中心でもある)を軸とした回転対称な位置に均等に設けられるのが好ましい。なお、4つのフランジ開口611にそれぞれ取り付けられた後の破裂板62の先端面に形成される後述する第1スリット621及び第2スリット623の向きまで、上部フランジ61の中心を軸とした回転対称の位置である必要はない。
【0048】
破裂板62は、通常運転時の圧力(例えば、0.3MPa)では破壊しない程度の強度を有する板部材である。破裂板62は、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム又はこれらの合金材料で形成される。破裂板62は、耐食性の観点から、ステンレス材料で形成されることが好ましい。
【0049】
破裂板62は、Oリング等のシール部材65を介して、上部フランジ61のフランジ開口611を閉塞するように第1の段部613に配置される。実施の形態では、第1の段部613は、上部フランジ61の先端面に設けられた凹部により形成されている。第1の段部613により形成される凹部の外径は、後述するシール収容溝651の外径よりも大きく、破裂板62の外径よりも大きい。また、後述する押さえリング63で押さえつけた際に、破裂板62の位置がずれないよう、第1の段部613の外径と破裂板62の外径との差は3mm以下が好ましい。
【0050】
シール部材65は、上部フランジ61の先端面、具体的に本実施の形態では、第1の段部613の凹部の後端面(底面)に設けられたリング状のシール収容溝615に収容される。シール収容溝615は、フランジ開口611と同心円状に形成されており、その中心の外径φCは、フランジ開口611の外径φBよりも大きい。
【0051】
また、破裂板62は、がい管本体11よりも破裂圧力が低くなるように形成されている。破裂板62は、がい管本体11の内圧が上昇したときに、がい管本体11よりも先に破裂することとなるので、蒸発した絶縁性媒体43を外部に放出して、がい管本体11の破壊を未然に防ぐことができる。
【0052】
具体的には、破裂板62は、中央部62aに、放射状に延在する複数の第1スリット621を有する。本実施の形態では、破裂板62の先端面に、破裂板62の中心点から四方に延在するように、4本の第1スリット621が形成されている。第1スリット621は、破裂板62を貫通しない溝である。例えば、第1スリット621の溝は、断面V字状に形成される(図示省略)。がい管本体11の内圧が上昇して破裂板62の破裂圧力を超えると、第1スリット621が破断して破裂板62の中央部62aが先端側に捲れ上がり、蒸発した絶縁性媒体43の放出口が捲れ上がった箇所に形成される。第1スリット621の数、スリット幅及びスリット深さにより、破裂板62の破裂圧力を調整することができる。
【0053】
第1スリット621は、放射状に延在して形成されており、中心点とは反対側の先端部は互いに離間しているため、内圧の上昇を受けて第1スリット621が破断して中央部62aが捲れ上がっても、容易には周縁部62bから分離されない。仮に、中央部62aが捲れ上がって周縁部62bから分離したとしても、上部金具12で覆われているため、分離片が外部に飛散することはなく、安全性が確保される。
【0054】
また、破裂板62において、隣り合う第1スリット621の先端部の間には、非貫通の溝からなる第2スリット622が設けられている。例えば、第2スリット622の溝は断面V字状に形成される(図示省略)。第2スリット622は、第1スリット621が破断したときに、折り目となっての破裂板62の変形を補助する構造であり、例えば、隣り合う第1スリット621の先端部の近傍部分を接続するように、かつ、第1スリット621の溝と連通しないように形成される。第2スリット622を設けることで、第1スリット621が破断した後の中央部62aの変形(捲れ上がり)が促進され、絶縁性媒体43の放出口が容易に形成される。
【0055】
破裂板62において、上部フランジ61と当接する周縁部62bの厚さは、上部フランジ61のフランジ開口611を覆う中央部62aの厚さよりも大きい。本実施の形態では、中央部62aの後端側の面に外径φAの断面円形の凹部623を設けることにより、周縁部62bよりも中央部62a(凹部623に対応するφAの部分)が薄く形成されている。例えば、中央部62aの厚さは、1~1.5mmであるのに対して、周縁部62bの厚さは、3~5mmである。
【0056】
また、破裂板62の周縁部62bの内周縁は、上部フランジ61のフランジ開口611の周縁よりも内側に突出している。すなわち、
図4の例では、破裂板62の凹部623の外径φAよりも上部フランジ61のフランジ開口611の外径φBの方が大きく形成されている。φAとφBを同一の寸法で形成してもよい。周縁部62bが肉厚に形成され、さらに、周縁部62bの内周縁が上部フランジ61のフランジ開口611の周縁よりも内側に突出していることで、通常運転時の圧力を受けても破裂板62は容易には変形せず、上部フランジ61から浮き上がることもない。
【0057】
押さえリング63は、破裂板62の中央部に対応する断面円形のリング開口631を有する。
図4の例では、押さえリング63のリング開口631の外径φDは、上部フランジ61のフランジ開口611の外径φBよりも大きく、シール収容溝615の中心の外径φCよりも小さく形成される。
【0058】
押さえリング63は、破裂板62の先端側に配置され、上部フランジ61に例えばボルトVにより締結されることにより、破裂板62の周縁部62bを押さえて固定する。押さえリング63は、例えば、真鍮等の金属材料で形成される。
【0059】
押さえリング63の外径は、破裂板62の外径よりも大きく、第1の段部613の外径よりも大きい。また、実施の形態では、上部フランジ61において、ボルトVを螺合するネジ穴の位置は、第1の段部613よりも外側に配置される。なお、押さえリング63の後端面に対向する上部フランジ61の先端側の位置には第2の段部614が設けられる。
【0060】
実施の形態では、第2の段部614は、上部フランジ61先端面に設けられた凹部により形成されている。第2の段部614により形成される凹部の中心側にさらに第1の凹部613が形成される。言い換えれば、上部フランジ61において、第1の段部613により形成される凹部の後端面(底面)と、上部フランジ61の後端面との間の厚さよりも、第2の段部614により形成される凹部の後端面(底面)と、上部フランジ61の後端面との間の厚さの方が大きい。
【0061】
また、第2の段部614の外径は、押さえリング63の外径よりも大きい。これにより、押さえリング63によって、確実に破裂板62を気密又は液密に上部フランジ61に固定することができる。
【0062】
押さえリング63は、破裂板62との当接面に、リング開口631から外周部に通じる排水溝632を有する。
図3の例では破裂板62の中心から放射状に延在するように円周上に3箇所排水溝が設けられている。上部金具12の内部に浸入した水は、排水溝632を通って排出されることとなり、破裂板62と押さえリング63との接触面に滞留しない。
【0063】
上部フランジ61のフランジ開口611の外径φBは、破裂板62の凹部623の外径φA以上の寸法で形成され、押さえリング63のリング開口631の外径(押さえリング63の内径)φDは、破裂板62の凹部623の外径φAよりも大きく、上部フランジ65におけるシール収容溝615の中心の外径φCよりも小さく形成される。すなわち、φB≧φA、かつ、φA<φD<φCの関係を有する。これにより、がい管10の上部密閉部60における通常運転時の気密又は液密性能を安定して保つことができる。
【0064】
上述したように、本実施の形態に係るケーブル終端接続部1に適用したがい管10は、以下の特徴事項を単独で、又は、適宜組み合わせて備えている。
【0065】
すなわち、がい管10は、外周面に笠部11aが形成されているがい管本体11と、がい管本体11の先端側に配置されがい管本体11を密閉する上部密閉部60と、上部密閉部60を覆う上部金具12と、がい管本体11内に配置される絶縁ユニット20と、がい管本体11と絶縁ユニット20との間に封入される絶縁性媒体43と、を備える。上部密閉部60は、フランジ開口611を有し、がい管本体11に液密に取り付けられる上部フランジ61と、がい管本体11よりも破裂圧力が低く、フランジ開口611を閉塞するように配置される破裂板62と、リング開口631を有し、破裂板62を押さえて上部フランジ61に固定する押さえリング63と、を有する。
【0066】
がい管10によれば、地絡等によって絶縁性媒体43が蒸発して内圧が急激に上昇した場合に、がい管本体11よりも先に破裂板62が破裂して蒸発した絶縁性媒体43の放出口が形成される。したがって、地絡等による絶縁性媒体43の蒸発に伴う内圧の急激な上昇によりがい管10(がい管本体11)が破損するのを未然に防止でき、がい管10を適用したケーブル終端接続部1の安全性が向上する。
【0067】
また、上部密閉部60は、極めて簡易な構造である上、ラプチャーディスク、安全弁、又はエクスプロージョンベントのような、過剰圧力が生じたときに解放する一般的な安全装置に比較して小型・低背であるので、上部金具12の内部空間を大きくすることなく上部密閉部60を取り付けることができる。
【0068】
また、がい管10において、破裂板62の上部フランジ61と当接する周縁部62bの厚さは、フランジ開口611を覆う中央部62aの厚さよりも大きい。これにより、通常運転時の圧力を受けて破裂板62が浮き上がり、がい管10の密閉状態が損なわれるのを防止することができる。
【0069】
また、がい管10において、フランジ開口611及びリング開口631は、断面円形状を有し、上部フランジ61は、フランジ開口611と同心円状に形成されたシール収容溝615を有し、破裂板62は、後端面に形成された断面円形状の凹部623を有し、上部フランジ61、破裂板62及び押さえリング63は、フランジ開口611、凹部623及びリング開口631が同心となるように配置されている。凹部623の外径をφA、フランジ開口611の外径をφB、シール収容溝615の中心の外径をφC、リング開口631の外径をφDとしたとき、φB≧φA、かつ、φA<φD<φCの関係を有する。これにより、がい管10の上部密閉部60における通常運転時の気密又は液密性能を安定して保つことができる。
【0070】
また、がい管10において、破裂板62は、非貫通で放射状に延在する複数の第1スリット621を先端面に有する。これにより、破裂板62を意図した形態で破裂させ、蒸発した絶縁性媒体43の放出口を容易に形成することができる。
【0071】
また、がい管10において、破裂板62は、隣り合う第1スリット621の先端部の間に設けられ、非貫通の溝により第1スリット621と連通しないように形成される第2スリット622を先端面に有する。これにより、破裂板62の中央部62aの変形が促進され、絶縁性媒体43の放出口を容易に形成することができる。
【0072】
また、がい管10において、押さえリング63は、破裂板62との当接面に排水溝632を有する。上部金具12の内部に浸入した水は、排水溝632を通って排出されるので、破裂板62の腐食を抑制することができる。
【0073】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0074】
例えば、本実施の形態では、ケーブル端末部をストレスコーン及び圧縮装置等を有するインナーコーンタイプでプラグイン接続する場合について説明したが、ケーブル端末部と絶縁ユニットをゴムブロックで接続するアウターコーンタイプで接続してもよい。この場合、絶縁ユニット20の固定金具41に対応する位置には、本実施の形態と同様、大径部20Cが形成されるが、絶縁筒の後端側にはゴムブロックが接続される。そのため、絶縁筒の後端部は、インナーコーンタイプのようなケーブル受容口ではなく、絶縁筒が突出する形状となり内部導体が絶縁筒後端部から突出する構造となる。
【0075】
また例えば、破裂板62は、がい管本体11よりも破裂圧力が低ければよく、これを実現するための構成は、実施の形態で説明した第1スリット621等に限定されない。
【0076】
また、前述の実施の形態では、本発明に係るがい管をケーブル終端接続部に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、機器用ブッシング(「機器用貫通ブッシング」とも呼ばれる)などの気中部分等に適用してもよい。機器用ブッシングの機器側は油絶縁及び又はガス絶縁に対応可能な既知の形状を有し、変圧器用又はGIS(ガス絶縁開閉装置)用として使用することができる。
【0077】
機器用ブッシングに適用する場合は、がい管本体11内に配置される絶縁ユニットの絶縁筒の後端側が、受容部24のようなケーブル受容口の構造ではなく、機器内の油絶縁及び又はガス絶縁に耐え得るヘッド部を有する。ヘッド部は、先端側から後端側に向かって縮径する(言い換えれば、取り付ける機器の内部方向に向かって縮径する)部分を含む既知の形状で形成される(例えば、非特許文献1の
図1の貫通ブッシングの機器側形状や、特許文献4の
図1のフランジ部より下側の構造参照)。
【0078】
すなわち、本発明のがい管を機器用ブッシングに適用した場合、内部導体の後端側にはケーブル導体を接続するための導体挿入部を有さず、棒状の内部導体が絶縁筒の後端側のヘッド部から貫通して突出する構造となる。突出した内部導体の後端部は、棒状のままでもよいし、部分放電対策のためのシールド形状を有していてもよい。また、ヘッド部を電界緩和するための遮へい金具は適宜設けてもよい。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
1 ケーブル終端接続部
10 がい管
11 がい管本体
12 上部金具
20 絶縁ユニット
43 絶縁性媒体
60 上部密閉部
61 上部フランジ
62 破裂板
63 押さえリング
611 フランジ開口
621 第1スリット
622 第2スリット
623 凹部
631 リング開口