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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072543
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20240521BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240521BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240521BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240521BHJP
   H10K 59/129 20230101ALI20240521BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611C
G09G3/20 612A
G09G3/20 622C
G09G3/20 612L
G09G3/20 621M
G09F9/30 365
H10K59/131
H10K59/129
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183416
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】523290528
【氏名又は名称】JDI Design and Development 合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】小川 耕平
(72)【発明者】
【氏名】中谷 敏邦
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC31
3K107DD39
3K107EE03
3K107EE57
3K107HH05
5C080AA06
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD05
5C080DD12
5C080FF03
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C094AA02
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C380AA01
5C380AB06
5C380AB34
5C380BA08
5C380BB02
5C380CB31
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC62
5C380CD012
5C380CE01
5C380CE19
5C380CF43
5C380CF45
(57)【要約】
【課題】画品位が低下することを抑制できる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、複数の画素回路10を備える表示パネル12と、複数の画素回路10に直流電圧を出力する電源17と、複数の画素回路10内の書き込みトランジスタTwsに書き込み信号WSを出力するコントローラ16と、を備える。複数の画素回路10のそれぞれは、駆動トランジスタTDを有する。コントローラ16は、書き込み信号WSの周期に同期した同期信号s1を電源17へ出力する。電源17は、同期信号s1に基づく直流電圧を複数の画素回路10へ出力する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素回路を備える表示パネルと、
前記複数の画素回路に直流電圧を出力する電源と、
前記複数の画素回路内の書き込みトランジスタに書き込み信号を出力するコントローラと、
を備え、
前記複数の画素回路のそれぞれは、駆動トランジスタを有し、
前記コントローラは、前記書き込み信号の周期に同期した同期信号を前記電源へ出力し、
前記電源は、前記同期信号に基づく前記直流電圧を前記複数の画素回路へ出力する
表示装置。
【請求項2】
前記コントローラと前記電源との間には、前記同期信号を送信するための同期信号線が設けられている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の画素回路には、電圧リプルを含む前記直流電圧が入力され、
前記電圧リプルの周期は、前記書き込み信号の周期と一致している
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記電源は、スイッチ制御IC、半導体スイッチおよびLCフィルタを含み
前記コントローラは、前記同期信号を前記スイッチ制御ICへ出力し、
前記スイッチ制御ICは、前記同期信号に基づいて、電圧を生成するためのスイッチング信号を前記半導体スイッチへ出力し、
前記半導体スイッチは、前記スイッチング信号に基づいて、パルス状の電圧を生成し、
前記LCフィルタは、前記パルス状の電圧に基づいて、電圧リプルを含む直流電圧を生成し、当該直流電圧を前記画素回路へ出力する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記電源は、正の直流電圧を生成するVCC電源を含み、
前記VCC電源は、前記同期信号に基づく前記正の直流電圧を前記駆動トランジスタへ出力する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記電源は、負の直流電圧を生成するVCATH電源を含み、
前記VCATH電源は、前記同期信号に基づく前記負の直流電圧を前記複数の画素回路内の発光素子へ出力する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記電源は、正の直流電圧を生成するVCC電源および負の直流電圧を生成するVCATH電源を含み、
前記VCC電源は、前記同期信号に基づく前記正の直流電圧を前記複数の画素回路内の駆動トランジスタへ出力し、
前記VCATH電源は、前記同期信号に基づく前記負の直流電圧を前記複数の画素回路内の発光素子へ出力する
請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の画素回路を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL(Electro-Luminescence)などの発光素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置が知られている。例えば、特許文献1には、発光素子を含む画素回路を備える表示装置が開示されている。この表示装置では、マトリクス状に配置された複数の画素回路の発光輝度を制御することで、画像を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-173909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の表示装置では、画素回路に供給する直流電圧に電圧リプルが生じ、表示装置の画品位が低下することがある。
【0005】
そこで、本開示は、画品位が低下することを抑制できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、開示される一態様に係る表示装置は、複数の画素回路を備える表示パネルと、前記複数の画素回路に直流電圧を出力する電源と、前記複数の画素回路内の書き込みトランジスタに書き込み信号を出力するコントローラと、を備え、前記複数の画素回路のそれぞれは、駆動トランジスタを有し、前記コントローラは、前記書き込み信号の周期に同期した同期信号を前記電源へ出力し、前記電源は、前記同期信号に基づく前記直流電圧を前記複数の画素回路へ出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る表示装置によれば、画品位が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】比較例の表示装置の一部の構成を示す図である。
図2】理想的な表示パネルの表示の一例、および、比較例における表示パネルの表示の一例を示す図である。
図3】実施の形態に係る表示装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態に係る表示装置に含まれる画素回路の回路図である。
図5】実施の形態に係る表示装置の一部の構成を示す図である。
図6】比較例の表示装置のVCC電圧およびゲート電圧等を示す図である。
図7】実施の形態に係る表示装置のVCC電圧およびゲート電圧等を示す図である。
図8】比較例の表示装置のVCATH電圧およびゲート電圧等を示す図である。
図9】実施の形態に係る表示装置のVCATH電圧およびゲート電圧等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至る経緯)
本開示に至る経緯について、図1および図2に示す比較例を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、比較例の表示装置101の一部の構成を示す図である。
【0011】
図1に示されるように、比較例の表示装置101は、画素回路10と、コントローラ16と、電源17と、を備える。画素回路10は、書き込みトランジスタTws、駆動トランジスタTD、保持容量CSおよび発光素子EL1を有している。
【0012】
電源17は、表示パネルに設けられた複数の画素回路10に直流電圧を出力する。電源17は、正の直流電圧を各画素回路10へ供給するVCC電源20と、負の直流電圧を各画素回路10へ供給するVCATH電源30と、を有する。
【0013】
電源17は、画素回路10の発光素子EL1を発光させるために、画素回路10に電圧を供給する。画素回路10へ供給する電圧としては高い電圧であることが要求されるため、表示装置101では、高効率な電源であるスイッチング方式の電源が用いられる。このスイッチング方式の電源17は、スイッチ制御IC、半導体スイッチおよびLCフィルタ等によって構成される。
【0014】
スイッチ制御ICは、電圧を生成するためのスイッチング信号s0を半導体スイッチへ出力する。半導体スイッチは、スイッチ制御ICから出力されたスイッチング信号s0に基づいて、パルス状の電圧を生成し、当該パルス状の電圧をLCフィルタへ出力する。LCフィルタは、ローパスフィルタであり、半導体スイッチから出力されたパルス状の電圧に基づいて直流電圧を生成し、当該直流電圧を画素回路10へ出力する。この電源17では、スイッチング方式という特性上、直流電圧に電圧リプルが重畳される。
【0015】
図2は、理想的な表示パネルの表示の一例、および、比較例における表示パネルの表示の一例を示す図である。
【0016】
表示装置101では、表示パネル上の水平ラインhLの1ラインごとにデータ信号(ソース)を出力する。データ信号は、数mVオーダーのレベルで発光素子EL1の発光を調整する駆動トランジスタTDのゲート電圧を制御する。
【0017】
ここで仮に、各水平ラインhLの駆動トランジスタTDのゲート電圧が一定であるとすると、図2の(a)に示すように、各水平ラインhLにて輝度の違いは生じにくい。
【0018】
しかし、実際は、直流電圧に重畳した電圧リプルが駆動トランジスタTDのゲートに干渉し、駆動トランジスタTDのゲート電圧が揺れる。そのため、例えば表示パネルを単色一様で表示するために、同じデータ信号を出力すると、図2の(b)に示すように、各水平ラインhLにて輝度の違いが生じる。これにより、表示装置101の画品位が低下することがある。
【0019】
それに対し本開示の表示装置は、画品位が低下することを抑制するために、以下に示す構成を有している。
【0020】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0021】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0022】
(実施の形態)
[表示装置の構成]
実施の形態1に係る表示装置1について説明する。
【0023】
図3は、実施の形態に係る表示装置1の機能的な構成を示すブロック図である。以下の説明では、簡潔のため、信号と信号を伝達する配線とを同一の符号で参照し、電圧と電圧を供給する配線とを同一の符号で参照することがある。また、回路と回路が形成される領域とを同一の符号で参照することがある。
【0024】
図3に示されるように、実施の形態1に係る表示装置1は、複数の画素回路10を有する表示パネル12と、ゲートドライバ13と、データドライバ15と、コントローラ16と、電源17と、を備える。
【0025】
電源17は、表示パネル12、ゲートドライバ13、データドライバ15、およびコントローラ16へ電圧を供給する。電源17は、表示パネル12の複数の画素回路10に直流電圧を出力する。電源17は、正の直流電圧を生成するVCC電源20と、負の直流電圧を生成するVCATH電源30と、を含む。VCC電源20は、正の直流電圧を各画素回路10へ供給し、VCATH電源30は、負の直流電圧を各画素回路10へ供給する。以下、正の直流電圧をVCC電圧と呼び、負の直流電圧をVCATH電圧と呼ぶ場合がある。
【0026】
コントローラ16は、VCC電源20およびVCATH電源30などの電源17のオンオフを制御する。コントローラ16と電源17との間には、オンオフ信号線18が設けられ、コントローラ16は、このオンオフ信号線18を介して電源17のオンオフを制御する。また、コントローラ16と電源17との間には、同期信号線21および31が設けられている。同期信号線21、31については後述する。
【0027】
また、コントローラ16は、外部から映像信号を受信し、当該映像信号の各フレームの画像を表示パネル12で表示するための制御信号を、ゲートドライバ13およびデータドライバ15へ出力する。ゲートドライバ13およびデータドライバ15のそれぞれは、コントローラ16から出力された制御信号に基づいて、書き込み信号およびデータ信号などを複数の画素回路10へ出力する。
【0028】
表示パネル12は、マトリクス状に配置された複数の画素回路10を有している。複数の画素回路10は、第1方向d1、および、第1方向d1に交差する第2方向d2に沿って配置されている。第1方向d1および第2方向d2は、互いに直交している。本実施の形態における第1方向d1は、水平ラインhLに沿う画面水平方向であり、第2方向d2は、画面垂直方向である。
【0029】
各画素回路10は、R、G、Bの発光色にそれぞれ対応する3つのサブ画素回路11R、11G、11Bを有している。各サブ画素回路11R、11G、11Bは、有機ELなどの発光素子EL1および、発光素子EL1を発光させるために駆動する複数のトランジスタを有している。サブ画素回路11R、11G、11Bは、画素回路10内において第1方向d1に沿って配列されている。
【0030】
表示パネル12には、画素回路10に接続される書き込み信号線WSが設けられる。書き込み信号線WSは、ゲートドライバ13から供給される書き込み信号WSを、各画素回路10へ伝達する。また、表示パネル12には、各画素回路10に接続されるデータ信号線Vdat、Vdat、Vdatが設けられる。データ信号線Vdat、Vdat、Vdatは、データドライバ15から供給されるR、G、Bの発光輝度に関連するデータ信号Vdat、Vdat、Vdatを、画素回路10へ伝達する。
【0031】
図4は、表示装置1に含まれる画素回路10の回路図である。
【0032】
図4に示されるように、画素回路10を構成するサブ画素回路11R、11G、11Bは、互いに同一の構成を有している。以下、画素回路10の構成について、サブ画素回路11Rに着目して説明する。
【0033】
サブ画素回路11Rは、書き込みトランジスタTws、駆動トランジスタTD、保持容量CS、発光素子EL1を有している。
【0034】
書き込みトランジスタTwsは、書き込み信号WSに従ってオン状態となり、データ信号Vdatの電圧を保持容量CSに保持する。駆動トランジスタTDは、保持容量CSに保持された電圧に応じて、発光素子EL1に電流を供給する。これにより、発光素子EL1は、データ信号Vdatの電圧に応じた輝度で発光する。
【0035】
サブ画素回路11G、11Bも、サブ画素回路11Rと同様に構成される。そのため、サブ画素回路11G、11Bにおいても、書き込み信号WSに従ってデータ信号Vdat、Vdatが保持され、保持されたデータ信号の電圧に応じた輝度で発光素子EL1が発光する。
【0036】
図5は、表示装置1の一部の構成を示す図である。
【0037】
図5には、表示装置1の構成要素のうち、コントローラ16、VCC電源20、VCATH電源30および画素回路10が抜き出されて示されている。
【0038】
コントローラ16は、画素回路10内の書き込みトランジスタTwsに書き込み信号WSを出力する。この書き込み信号WSは、コントローラ16のクロック周波数に基づいて設定される周期性を有する信号である。
【0039】
コントローラ16は、書き込み信号WSの周期に同期した同期信号s1をVCC電源20およびVCATH電源30のそれぞれへ出力する。VCC電源20は、同期信号s1に基づくVCC電圧を画素回路10へ出力する。VCATH電源30は、同期信号s1に基づくVCATH電圧を画素回路10へ出力する。なお、同期信号s1に基づくVCC電圧とは、同期信号s1に同期した交流成分を含む直流電圧であり、同期信号s1に基づくVCATH電圧とは、同期信号s1に同期した交流成分を含む直流電圧である。
【0040】
まず、コントローラ16、VCC電源20および画素回路10の構成について説明する。
【0041】
コントローラ16とVCC電源20との間には、同期信号s1を送信するための同期信号線21が設けられている。コントローラ16は、この同期信号線21を介して、同期信号s1をVCC電源20へ出力する。
【0042】
VCC電源20は、スイッチング方式の電源であり、スイッチ制御IC25、半導体スイッチ26およびLCフィルタ27等によって構成されている。
【0043】
スイッチ制御IC25は、コントローラ16から出力された同期信号s1に基づいて、電圧を生成するためのスイッチング信号s2を半導体スイッチ26へ出力する。半導体スイッチ26は、スイッチ制御IC25から出力されたスイッチング信号s2に基づいて、パルス状の電圧を生成し、当該パルス状の電圧をLCフィルタ27へ出力する。LCフィルタ27は、ローパスフィルタであり、半導体スイッチ26から出力されたパルス状の電圧に基づいてVCC電圧を生成し、当該VCC電圧を画素回路10へ出力する。VCC電圧には前述した電圧リプルが重畳されるが、VCC電圧は書き込み信号WSの周期に同期した同期信号s1に基づいて生成されるため、VCC電圧に発生する電圧リプルの周期は、同期信号s1の周期と同じである。なお、ここでいう電圧リプルの周期とは、VCC電圧に発生する振れの1往復に要する時間である。
【0044】
VCC電源20は、VCC電圧を複数の画素回路10内の駆動トランジスタTDのドレインへ出力するが、このVCC電圧には、前述したように電圧リプルが重畳される。
【0045】
従来の表示装置101では、駆動トランジスタTDのドレインとゲートとの間で生じる浮遊容量により、駆動トランジスタTDのゲート電圧に揺れが発生する。そのため、各水平ラインhLの駆動トランジスタTDのゲート電圧の違いにより、各水平ラインhLにて輝度の違いが生じてしまう。
【0046】
それに対し、本実施の形態では、VCC電圧に含まれる電圧リプルの周期と、書き込み信号WSの周期とが一致しているため、駆動トランジスタTDのゲート電圧に揺れが発生しにくい。そのため、各水平ラインhLの駆動トランジスタTDのゲート電圧がほぼ同じ値となり、各水平ラインhLにて輝度の違いが生じにくくなる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0047】
次に、コントローラ16、VCATH電源30および画素回路10の構成について説明する。
【0048】
コントローラ16とVCATH電源30との間には、同期信号s1を送信するための同期信号線31が設けられている。コントローラ16は、この同期信号線31を介して、同期信号s1をVCATH電源30へ出力する。
【0049】
VCATH電源30は、スイッチング方式の電源であり、スイッチ制御IC35、半導体スイッチ36およびLCフィルタ37等によって構成されている。
【0050】
スイッチ制御IC35は、コントローラ16から出力された同期信号s1に基づいて、電圧を生成するためのスイッチング信号s3を半導体スイッチ36へ出力する。半導体スイッチ36は、スイッチ制御IC35から出力されたスイッチング信号s3に基づいて、パルス状の電圧を生成し、当該パルス状の電圧をLCフィルタ37へ出力する。LCフィルタ37は、ローパスフィルタであり、半導体スイッチ36から出力されたパルス状の電圧に基づいてVCATH電圧を生成し、当該VCATH電圧を画素回路10へ出力する。VCATH電圧には前述した電圧リプルが重畳されるが、VCATH電圧は書き込み信号WSの周期に同期した同期信号s1に基づいて生成されるため、VCATH電圧に発生する電圧リプルの周期は、同期信号s1の周期と同じである。なお、ここでいう電圧リプルの周期とは、VCATH電圧に発生する振れの1往復に要する時間である。
【0051】
VCATH電源30は、VCATH電圧を複数の画素回路10内の発光素子EL1の負極(カソード)側へ出力するが、このVCATH電圧には、前述したように電圧リプルが重畳される。
【0052】
従来の表示装置101では、駆動トランジスタTDのソース側に電圧の揺れが発生し、その揺れを起因としてゲート電圧に揺れが発生する。そのため、各水平ラインhLの駆動トランジスタTDのゲート電圧の違いにより、各水平ラインhLにて輝度の違いが生じてしまう。なお、上記のゲート電圧の揺れは、発光素子EL1に内在する内部容量を起因として発生するとも考えられる。
【0053】
それに対し、本実施の形態では、VCATH電圧に含まれる電圧リプルの周期が、書き込み信号WSの周期と一致しているため、駆動トランジスタTDのゲート電圧に揺れが発生しにくい。そのため、各水平ラインhLの駆動トランジスタTDのゲート電圧がほぼ同じ値となり、各水平ラインhLにて輝度の違いが生じにくくなる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0054】
[効果等]
比較例および実施の形態の表示装置の効果について、図6図9を参照しながら説明する。以下では、理解を容易にするため、直流電圧に発生する電圧リプルを、VCC電圧およびVCATH電圧の2つのケースに分けて説明する。
【0055】
まず、VCC電圧に発生する電圧リプルと駆動トランジスタTDのゲート電圧との関係について説明する。
【0056】
図6は、比較例の表示装置101のVCC電圧およびゲート電圧等を示す図である。図7は、実施の形態に係る表示装置1のVCC電圧およびゲート電圧等を示す図である。
【0057】
これらの図には、書き込み信号の電圧、データ信号の電圧も示されている。これらの図の横軸は時間であり、縦軸は電圧値である。なお、縦軸の電圧値のスケールは、それぞれ異なっている。
【0058】
比較例および実施の形態の表示装置では、駆動トランジスタTDのドレインとゲートとの間で発生する浮遊容量により、ドレイン-ゲート間が容量結合し、駆動トランジスタTDのゲートにVCC電圧の電圧リプルが干渉する。
【0059】
図6に示す比較例では、書き込み信号WSの周期とVCC電圧の電圧リプルの周期とが一致していない。そのため、駆動トランジスタTDのゲート電圧が電圧リプルによる影響を受け、書き込み信号WSがハイ(Hi)となるタイミングにおいてゲート電圧が異なる値となる。
【0060】
それに対し図7に示す実施の形態では、書き込み信号WSの周期とVCC電圧の電圧リプルの周期とが一致している。そのため、駆動トランジスタTDのゲートに電圧リプルが干渉しても、書き込み信号WSがハイとなるタイミングにおいてゲート電圧はほぼ同じである。つまり、データが書き込まれる書き込みタイミングにおいて、駆動トランジスタTDのゲート電圧が一定に保たれる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0061】
次に、VCATH電圧に発生する電圧リプルと駆動トランジスタTDのゲート電圧との関係について説明する。
【0062】
図8は、比較例の表示装置101のVCATH電圧およびゲート電圧等を示す図である。図9は、実施の形態に係る表示装置1のVCATH電圧およびゲート電圧等を示す図である。
【0063】
これらの図には、書き込み信号の電圧、データ信号の電圧も示されている。これらの図の横軸は時間であり、縦軸は電圧値である。なお、縦軸の電圧値のスケールは、それぞれ異なっている。
【0064】
比較例および実施の形態の表示装置では、表示パネルの基準電位であるVCATHにVCATH電圧の電圧リプルが重畳すると、駆動トランジスタTDのゲートにVCATH電圧の電圧リプルが干渉する。
【0065】
図8に示す比較例では、書き込み信号WSの周期とVCATH電圧の電圧リプルの周期とが一致していない。そのため、駆動トランジスタTDのゲートが電圧リプルによる影響を受け、書き込み信号WSがハイ(Hi)となる書き込みタイミングにおいてゲート電圧が異なる値となる。
【0066】
それに対し図9に示す実施の形態では、書き込み信号WSの周期とVCATH電圧の電圧リプルの周期とが一致している。そのため、駆動トランジスタTDのゲートに電圧リプルが干渉しても、書き込み信号WSがハイとなるタイミングにおいて、ゲート電圧はほぼ同じである。つまり、データが書き込まれる書き込みタイミングにおいて、駆動トランジスタTDのゲート電圧が一定に保たれる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0067】
(まとめ)
本実施の形態に係る表示装置1は、複数の画素回路10を備える表示パネル12と、複数の画素回路10に直流電圧を出力する電源17と、複数の画素回路10内の書き込みトランジスタTwsに書き込み信号WSを出力するコントローラ16と、を備える。複数の画素回路10のそれぞれは、駆動トランジスタTDを有する。コントローラ16は、書き込み信号WSの周期に同期した同期信号s1を電源17へ出力する。電源17は、同期信号s1に基づく直流電圧を複数の画素回路10へ出力する。
【0068】
この構成によれば、電圧リプルを含む直流電圧が画素回路10に供給される場合であっても、上記の同期信号s1に基づく直流電圧を画素回路10へ出力することで、データが書き込まれるタイミングにおいて、駆動トランジスタTDのゲート電圧に揺れが発生することを抑制できる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0069】
また、コントローラ16と電源17との間には、同期信号s1を送信するための同期信号線21(または31)が設けられていてもよい。
【0070】
これによれば、同期信号線21(または31)を用いて同期信号s1を電源17に確実に送信することができる。そのため、電圧リプルを含む直流電圧が画素回路10に供給される場合であっても、上記の同期信号s1に基づく直流電圧を画素回路10へ出力することで、データが書き込まれるタイミングにおいて、駆動トランジスタTDのゲート電圧に揺れが発生することを抑制できる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0071】
また、複数の画素回路10には、電圧リプルを含む直流電圧が入力され、電圧リプルの周期は、書き込み信号WSの周期と一致していてもよい。
【0072】
これによれば、書き込み信号WSと周期が一致した電圧リプルを含む直流電圧を複数の画素回路10へ出力することができる。そのため、電圧リプルを含む直流電圧が供給される場合であっても、データが書き込まれるタイミングにおいて、駆動トランジスタTDのゲート電圧に揺れが発生することを抑制できる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0073】
また、電源17は、スイッチ制御IC、半導体スイッチおよびLCフィルタを含む。コントローラ16は、同期信号s1をスイッチ制御ICへ出力する。スイッチ制御ICは、同期信号s1に基づいて、電圧を生成するためのスイッチング信号を半導体スイッチへ出力する。半導体スイッチは、スイッチング信号に基づいて、パルス状の電圧を生成する。LCフィルタは、パルス状の電圧に基づいて、電圧リプルを含む直流電圧を生成し、当該直流電圧を画素回路10へ出力してもよい。
【0074】
この表示装置1によれば、電圧リプルを含む直流電圧が生成され、当該直流電圧が画素回路10へ供給される場合であっても、データが書き込まれるタイミングにおいて、駆動トランジスタTDのゲート電圧に揺れが発生することを抑制できる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0075】
また、電源17は、正の直流電圧を生成するVCC電源20を含む。VCC電源20は、同期信号s1に基づく正の直流電圧を駆動トランジスタTDへ出力してもよい。
【0076】
この表示装置1によれば、VCC電源20から電圧リプルを含む直流電圧が供給される場合であっても、データが書き込まれるタイミングにおいて、駆動トランジスタTDのゲート電圧に違いが生じることを抑制できる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0077】
また、電源17は、負の直流電圧を生成するVCATH電源30を含む。VCATH電源30は、同期信号s1に基づく負の直流電圧を複数の画素回路10内の発光素子EL1へ出力してもよい。
【0078】
この表示装置1によれば、VCATH電源30から電圧リプルを含む直流電圧が供給される場合であっても、データが書き込まれるタイミングにおいて、発光素子EL1の負極側の電位を安定化させることができる。そのため、駆動トランジスタTDのゲート電圧に違いが生じることを抑制できる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0079】
また、電源17は、正の直流電圧を生成するVCC電源20および負の直流電圧を生成するVCATH電源30を含む。VCC電源20は、同期信号s1に基づく正の直流電圧を複数の画素回路10内の駆動トランジスタTDへ出力する。VCATH電源30は、同期信号s1に基づく負の直流電圧を複数の画素回路10内の発光素子EL1へ出力してもよい。
【0080】
この表示装置1によれば、VCC電源20およびVCATH電源30のそれぞれから電圧リプルを含む直流電圧が供給される場合であっても、データが書き込まれるタイミングにおいて、駆動トランジスタTDのゲート電圧に違いが生じることを抑制できる。これにより、表示パネル12にて輝度の違いが生じ表示装置1の画品位が低下することを抑制できる。
【0081】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の各実施の形態に係る表示装置について説明したが、本開示は、個々の実施の形態には限定されない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0082】
上記では、画素回路10は、発光素子を発光させる表示装置として、駆動トランジスタと、書き込みトランジスタと、保持容量とを有する、いわゆる2Tr1Cの構成について説明した。しかし、画素回路10の構成はこれに限られず、例えば、駆動トランジスタと、初期化トランジスタと、電圧補償トランジスタと、書き込みトランジスタと、保持容量とを有する、いわゆる4Tr1Cの構成であってもよい。この場合、電源17は、初期化電圧および参照電圧を画素回路10に供給してもよい。なお、画素回路10の構成は、いわゆる5Tr1Cの構成であってもよい。
【0083】
また、各トランジスタは、例えばN型チャネルのTFT素子であるが、それに限られず、P型チャネルのTFT素子であってもよい。また、複数のトランジスタのうちの一部のトランジスタがN型チャネルのTFT素子であって、他のトランジスタがP型チャネルのTFT素子であってもよい。
【0084】
例えば、ゲートドライバ13は、図3では、表示パネル12の片側に配置されているが、両側に配置されていてもよい。ゲートドライバ13は、フリップフロップ回路を多段に接続したシフトレジスタで構成されてもよい。また、ゲートドライバ13は、CMOSトランジスタ、N型チャネルトランジスタ、およびP型チャネルトランジスタのいずれのトランジスタで構成されてもよい。
【0085】
また、データドライバ15は、表示パネル12にCOG(Chip on Glass)で実装されてもよく、COF(Chip On Film)で実装されてもよい。
【0086】
上記の実施の形態では、同期信号s1に基づく直流電圧を複数の画素回路10へ出力することで、画素回路10内の電圧を安定化させる例について説明したが、それに限られずこの実施の形態に、画素回路10内の電圧を安定化させる他の手段が併用されてもよい。例えば、他の手段として、スイッチング周波数を上げる、または、LCフィルタを強化するなどの手段が、併用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示は、表示装置として、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン受信機などの様々な映像表示装置に広く利用できる。
【符号の説明】
【0088】
1 表示装置
10 画素回路
11R、11G、11B サブ画素回路
12 表示パネル
13 ゲートドライバ
15 データドライバ
16 コントローラ 制御回路
17 電源
18 オンオフ信号線
20 VCC電源
21 同期信号線
25 スイッチ制御IC
26 半導体スイッチ
27 LCフィルタ
30 VCATH電源
31 同期信号線
35 スイッチ制御IC
36 半導体スイッチ
37 LCフィルタ
CS 保持容量
d1 第1方向
d2 第2方向
EL1 発光素子
hL 水平ライン
s1 同期信号
s2、s3 スイッチング信号
TD 駆動トランジスタ
Tws 書き込みトランジスタ
VCATH 負電源電圧線(負の直流電圧)
VCC 正電源電圧線(正の直流電圧)
Vdat、Vdat、Vdat データ信号線(データ信号)
WS 書き込み信号線(書き込み信号)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9