(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072547
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】メカニカルシール
(51)【国際特許分類】
F16J 15/34 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
F16J15/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183421
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】穴沢 貴光
【テーマコード(参考)】
3J041
【Fターム(参考)】
3J041AA02
3J041AA07
3J041BA04
3J041BA06
3J041BA08
3J041BA09
3J041BC02
3J041DA10
3J041DA12
(57)【要約】
【課題】摺動面間における被密封流体の漏れを安定して防ぐことができるメカニカルシールを提供する。
【解決手段】ハウジング3とハウジング3に対して相対回転する回転軸2との間に配置され、ハウジング3側に配置された静止側被取付部材10に取付けられる静止密封環11と、回転軸2側に配置された回転側被取付部材20に取付けられる回転密封環21と、が摺動するメカニカルシール1であって、静止密封環11および静止側被取付部材10に当接する静止側二次シール13と、回転密封環21および回転側被取付部材20に当接する回転側二次シール23と、を備え、静止密封環11と静止側被取付部材10との間に設けられ静止密封環11を回転密封環21側に付勢する静止側スプリング12と、回転密封環21と回転側被取付部材20との間に設けられ回転密封環21を静止密封環11側に付勢する回転側スプリング22と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと前記ハウジングに対して相対回転する回転軸との間に配置され、前記ハウジング側に配置された静止側被取付部材に取付けられる静止密封環と、前記回転軸側に配置された回転側被取付部材に取付けられる回転密封環と、が摺動するメカニカルシールであって、
前記静止密封環および前記静止側被取付部材に当接する静止側二次シールと、前記回転密封環および前記回転側被取付部材に当接する回転側二次シールと、を備え、
前記静止密封環と前記静止側被取付部材との間に設けられ前記静止密封環を前記回転密封環側に付勢する静止側スプリングと、前記回転密封環と前記回転側被取付部材との間に設けられ前記回転密封環を前記静止密封環側に付勢する回転側スプリングと、を備えているメカニカルシール。
【請求項2】
前記静止側スプリングと前記回転側スプリングがそれぞれ自然長よりも短い状態で前記静止密封環と前記回転密封環を圧接させている請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項3】
前記静止密封環に対する前記静止側スプリングの作用径と、前記回転密封環に対する前記回転側スプリングの作用径が同一である請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項4】
前記静止側二次シールは、前記静止密封環における前記静止密封環の摺動面と延伸方向において直交する周面に径方向に当接し、前記回転側二次シールは、前記回転密封環における前記回転密封環の摺動面と延伸方向において直交する周面に径方向に当接している請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項5】
前記静止側被取付部材には、前記静止密封環の倒れを規制する静止側移動規制部が形成されており、前記回転側被取付部材には、前記回転密封環の倒れを規制する回転側移動規制部が形成されている請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項6】
前記静止側スプリングと前記回転側スプリングは、同じバネ定数のスプリングである請求項1乃至5のいずれかに記載のメカニカルシール。
【請求項7】
一方の密封環が該密封環が取付けられる被取付部材に軸方向に当接している請求項1または2に記載のメカニカルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸を軸封するメカニカルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
メカニカルシールは、流体機器のハウジングと該ハウジングを貫通するように配置される回転軸との間に装着して使用されるものである。詳しくは、メカニカルシールは、ハウジング側に取付けられる静止密封環の摺動面と、回転軸側に取付けられ回転する回転密封環の摺動面とを周方向に摺接させて、被密封流体の漏れを防ぐ機能を有している。
【0003】
一般的なメカニカルシールは、例えば特許文献1に示されるように、静止密封環がシールカバーに対して軸方向に移動可能に配置されており、スプリングにより回転密封環に向けて付勢されている。回転密封環は、回転軸に固定されたスリーブに対して軸方向に移動しないように取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-60079号公報(第4頁~第6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のメカニカルシールにあっては、スプリングにより静止密封環が回転密封環側に付勢されることにより、摺動面間における摺接状態が維持され被密封流体の漏れが防止されている。しかしながら、特許文献1においては、外乱や振動によって回転軸に軸方向の力が作用し軸移動が生じることにより、摺動面間における摺接状態が維持されず面開きが生じ被密封流体の漏れが発生してしまう虞や、摺動面間における荷重が大きくなって過大面圧が生じることで摺動面が損傷し被密封流体の漏れが発生してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、摺動面間における被密封流体の漏れを安定して防ぐことができるメカニカルシールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のメカニカルシールは、
ハウジングと前記ハウジングに対して相対回転する回転軸との間に配置され、前記ハウジング側に配置された静止側被取付部材に取付けられる静止密封環と、前記回転軸側に配置された回転側被取付部材に取付けられる回転密封環と、が摺動するメカニカルシールであって、
前記静止密封環および前記静止側被取付部材に当接する静止側二次シールと、前記回転密封環および前記回転側被取付部材に当接する回転側二次シールと、を備え、
前記静止密封環と前記静止側被取付部材との間に設けられ前記静止密封環を前記回転密封環側に付勢する静止側スプリングと、前記回転密封環と前記回転側被取付部材との間に設けられ前記回転密封環を前記静止密封環側に付勢する回転側スプリングと、を備えている。
これによれば、静止密封環と回転密封環がそれぞれ静止側スプリングと回転側スプリングにより互いに近接する方向に付勢されることにより、静止密封環と回転密封環に両側から作用する軸方向の力を均一化させやすくなり、摺動面位置を軸方向に変化させにくくすることができるとともに、外乱や振動によって回転軸が軸方向に移動しても摺動面間における摺接状態を維持しつつ、摺動面間における荷重変化を小さくすることができる。このようにして、摺動面間における被密封流体の漏れを安定して防ぐことができる。
【0008】
前記静止側スプリングと前記回転側スプリングがそれぞれ自然長よりも短い状態で前記静止密封環と前記回転密封環を圧接させていてもよい。
これによれば、摺動面間における荷重変化を抑制しつつ、静止密封環および回転密封環を軸方向に移動させることができる。
【0009】
前記静止密封環に対する前記静止側スプリングの作用径と、前記回転密封環に対する前記回転側スプリングの作用径が同一であってもよい。
これによれば、静止密封環と回転密封環に両側から作用する軸方向の力をより均一化させやすくなり、摺動面位置を軸方向に変化させにくくすることができる。
【0010】
前記静止側二次シールは、前記静止密封環における前記静止密封環の摺動面と延伸方向において直交する周面に径方向に当接し、前記回転側二次シールは、前記回転密封環における前記回転密封環の摺動面と延伸方向において直交する周面に径方向に当接していてもよい。
これによれば、静止側二次シールと回転側二次シールが静止密封環と回転密封環にそれぞれ軸方向の力を作用させることが無くなり、静止側スプリングと回転側スプリングの付勢力により静止密封環と回転密封環の摺動面間における荷重を精度よく設定することができる。
【0011】
前記静止側被取付部材には、前記静止密封環の倒れを規制する静止側移動規制部が形成されており、前記回転側被取付部材には、前記回転密封環の倒れを規制する回転側移動規制部が形成されていてもよい。
これによれば、静止密封環および回転密封環の倒れを防ぎ、静止密封環と回転密封環の摺動面間における当接状態が不適切になることを抑制できる。
【0012】
前記静止側スプリングと前記回転側スプリングは、同じバネ定数のスプリングであってもよい。
これによれば、静止密封環および回転密封環の軸方向の動きを制御しやすくなり、摺動面間における荷重変化を小さくしやすい。
【0013】
一方の密封環が該密封環が取付けられる被取付部材に軸方向に当接していてもよい。
これによれば、静止密封環と回転密封環の初期位置が維持されやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る実施例1のメカニカルシールを示す断面図である。
【
図2】実施例1のメカニカルシールにおいて、静止密封環および回転密封環の初期位置を示す拡大断面図である。
【
図3】実施例1のメカニカルシールにおいて、初期位置から回転軸が右側に軸移動した状態を示す拡大断面図である。
【
図4】実施例1のメカニカルシールにおいて、初期位置から回転軸が左側に軸移動した状態を示す拡大断面図である。
【
図5】実施例1のメカニカルシールの変形例1において、静止密封環および回転密封環の初期位置を示す拡大断面図である。
【
図6】実施例1のメカニカルシールの変形例2において、静止密封環および回転密封環の初期位置を示す拡大断面図である。
【
図7】本発明に係る実施例2のメカニカルシールにおいて、静止密封環および回転密封環の初期位置を示す拡大断面図である。
【
図8】本発明に係る実施例3のメカニカルシールにおいて、初期位置から回転軸が右側に軸移動した状態を示す拡大断面図である。
【
図9】実施例3のメカニカルシールにおいて、初期位置から回転軸が左側に軸移動した状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るメカニカルシールを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0016】
実施例1に係るメカニカルシールにつき、
図1から
図4を参照して説明する。以下、
図1の紙面左側を左側、紙面右側を右側として説明する。
【0017】
図1に示されるように、メカニカルシール1は、外径側から内径側に向けて漏れようとする被密封流体Fを密封するインサイド型のメカニカルシールである。尚、静止密封環11と回転密封環21の内径側の空間を大気A側、静止密封環11と回転密封環21の外径側の空間を被密封流体F側として説明する。
【0018】
本実施例のメカニカルシール1は、静止密封環11と、回転軸2と共に回転する回転密封環21と、静止密封環11が取付けられる静止側被取付部材としてのシールカバー10と、静止密封環11をシールカバー10に対して支持し回転密封環21側に付勢する静止側スプリング12と、回転密封環21が取付けられる回転側被取付部材としてのスリーブ20と、回転密封環21をスリーブ20に対して支持し静止密封環11側に付勢する回転側スプリング22と、から主に構成されている。
【0019】
また、本実施例のメカニカルシール1においては、シールカバー10と静止密封環11との間に静止側二次シールとしての静止側Oリング13が配置され、スリーブ20と回転密封環21との間に回転側二次シールとしての回転側Oリング23が配置されている。尚、静止側Oリング13と回転側Oリング23は、合成ゴム等の弾性材料により形成されており、シールカバー10と静止密封環11との間、スリーブ20と回転密封環21との間における被密封流体Fの漏れを防止するための二次シールである。
【0020】
図2に示されるように、静止密封環11は、環状の基部11aと、基部11aの左面すなわち正面側から軸方向に突出する環状の凸部11bと、基部11aの背面側かつ外径側から軸方向に突出する環状の凸部11cと、を主に備えている。尚、本実施例において、静止密封環11は、セラミックスまたはカーボンから形成されている。
【0021】
また、静止密封環11は、凸部11bにおける回転密封環21との対向面が摺動面11dとなっている。
【0022】
凸部11cの内周には、凸部11cの背面から軸方向に凹む環状の凹部11eが形成されている。
【0023】
シールカバー10は、流体機器のハウジング3に固定され、左側に向けて開口する断面横向き略U字状の環状部材である。シールカバー10は、ハウジング3の右面に当接する環状の基部10aと、基部10aの右側端部から内径方向に延びる環状のフランジ部10bと、フランジ部10bの内径側端部から左側に突出する環状の凸部10cと、を主に備えている。
【0024】
凸部10cの左面には、左側に開口する挿入穴10dが形成されている。挿入穴10dは、凸部10cの周方向に複数等配されている。
【0025】
複数の挿入穴10d内には、静止側スプリング12がそれぞれ配置されている。静止側スプリング12は、金属製の圧縮バネであり、静止側スプリング12の左側端部は、静止密封環11における基部11aの背面11gを押圧し、静止側スプリング12の右側端部は、挿入穴10dの底部を押圧している。尚、静止密封環11における基部11aの背面11gは、静止密封環11の摺動面11dと並行な面である。詳しくは、本実施例においては、静止密封環11の摺動面11dと背面11gは平行な面である。
【0026】
また、
図1に示されるように、凸部10cの左面には、上述した挿入穴10dとは周方向に位相を異ならせた位置にノックピン14が固定されている。ノックピン14は、静止密封環11における基部11aの内周に形成される挿入溝11fに挿入されている。これにより、シールカバー10に対する静止密封環11の回転を規制しつつ、軸方向の移動を許容することができる。尚、シールカバー10に対する静止密封環11の回転を規制しつつ、軸方向の移動を許容する構成は、ノックピン14と挿入溝11fによるものに限らず、シールカバー10から静止密封環11に向かって延びる延出部位が静止密封環11の切り欠きに周方向で係合可能なクラッチ機構であってもよい。
【0027】
また、凸部10cの外周には、凸部10cの左面から軸方向に凹む環状の凹部10eが形成されている。凹部10eには、静止側Oリング13が外嵌されている。詳しくは、静止側Oリング13は、凹部10eに外嵌され、当該凹部10eと静止密封環11における凸部11cの内周に形成される凹部11eとにより画成される空間に配置されている。尚、凹部10eと凹部11eとにより画成される空間の軸方向の寸法は、静止側Oリング13の断面の径よりも大きく形成されており、後述するように、右側に向けて回転軸2が移動した場合(
図3参照)であっても、静止密封環11がシールカバー10に当接することで静止側Oリング13が軸方向に押し潰されないようになっている。
【0028】
また、静止側Oリング13は、凹部10eにおいて軸方向に延びる外周面と凹部11eにおいて軸方向に延びる内周面にそれぞれ線接触した状態で保持されている。すなわち、静止側Oリング13は、静止密封環11の摺動面11dと延伸方向において直交する周面である凹部11eの内周面に径方向に当接している。
【0029】
また、シールカバー10には、静止側Oリング13の軸方向両側において、静止密封環11に当接可能であり、静止密封環11に過剰な力が加わったときに、静止密封環11の倒れを規制する静止側移動規制部10f,10gが形成されている。
【0030】
図2に示されるように、回転密封環21は、環状の基部21aと、基部21aの左面すなわち背面側かつ外径側から軸方向に突出する環状の凸部21bと、を主に備えている。尚、本実施例において、回転密封環21は、セラミックスまたはカーボンから形成されている。
【0031】
また、回転密封環21は、基部21aにおける静止密封環11の摺動面11dとの対向面が摺動面21dとなっている。
【0032】
凸部21bの内周には、凸部21bの背面から軸方向に凹む環状の凹部21eが形成されている。
【0033】
スリーブ20は、回転軸2に固定される断面略L字状の筒状部材である。スリーブ20は、回転軸2の外周面を被覆し軸方向に延びる基部20aと、基部20aの左側端部から外径方向に延びる環状のフランジ部20bと、を主に備えている。
【0034】
フランジ部20bの右面には、右側に開口する挿入穴20dが形成されている。挿入穴20dは、フランジ部20bの周方向に複数等配されている。尚、挿入穴20dは、シールカバー10に形成される挿入穴10dと同じ数、同じ間隔で周方向に等配されていることが好ましい。
【0035】
複数の挿入穴20d内には、回転側スプリング22がそれぞれ配置されている。回転側スプリング22は、金属製の圧縮バネであり、回転側スプリング22の右側端部は、回転密封環21における基部21aの背面21gを押圧し、回転側スプリング22の左側端部は、挿入穴20dの底部を押圧している。尚、回転密封環21における基部21aの背面21gは、回転密封環21の摺動面21dと並行な面である。詳しくは、本実施例においては、回転密封環21の摺動面21dと背面21gは平行な面である。
【0036】
尚、本実施例において、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、同じ緒元である。そのため、組み立て時の静止側スプリング12と回転側スプリング22の取り付け誤りが生じない。
【0037】
また、同じ緒元でなくとも、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、バネ定数が同じであることが好ましく、外径、線径、自由高さ(自然長)等は異なっていてもよい。
【0038】
また、本実施例において、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、
図2、
図3、
図4に示す使用域において線形な特性を有している。
【0039】
また、
図1に示されるように、フランジ部20bの右面には、上述した挿入穴20dとは周方向に位相を異ならせた位置にドライブピン24が固定されている。ドライブピン24は、回転密封環21における基部21aの内周に形成される挿入溝21fに挿入されている。これにより、スリーブ20に対する回転密封環21の回転を規制しつつ、軸方向の移動を許容することができる。尚、スリーブ20に対する回転密封環21の回転を規制しつつ、軸方向の移動を許容する構成は、ドライブピン24と挿入溝21fによるものに限らず、スリーブ20から回転密封環21に向かって延びる延出部位が回転密封環21の切り欠きに周方向で係合可能なクラッチ機構であってもよい。
【0040】
また、フランジ部20bの外周には、フランジ部20bの右面から軸方向に凹む環状の凹部20eが形成されている。凹部20eには、回転側Oリング23が外嵌されている。詳しくは、回転側Oリング23は、凹部20eに外嵌され、当該凹部20eと回転密封環21における凸部21bの内周に形成される凹部21eとにより画成される空間に配置されている。尚、凹部20eと凹部21eとにより画成される空間の軸方向の寸法は、回転側Oリング23の断面の径よりも大きく形成されており、右側に向けて回転軸2が移動した場合(
図3参照)であっても、回転密封環21がスリーブ20に当接することで回転側Oリング23が軸方向に押し潰されないようになっている。
【0041】
また、回転側Oリング23は、凹部20eにおいて軸方向に延びる外周面と凹部21eにおいて軸方向に延びる内周面にそれぞれ線接触した状態で保持されている。すなわち、回転側Oリング23は、回転密封環21の摺動面21dと延伸方向において直交する周面である凹部21eの内周面に径方向に当接している。
【0042】
また、スリーブ20には、回転側Oリング23の軸方向両側において、回転密封環21に当接可能であり、回転密封環21に過剰な力が加わったときに、回転密封環21の倒れを規制する回転側移動規制部20f,20gが形成されている。
【0043】
尚、
図2は、本実施例のメカニカルシール1が適用される流体機器の停止時や通常の稼働状態における静止密封環11と回転密封環21の初期位置を示している。本実施例のメカニカルシール1においては、対向する静止側スプリング12と回転側スプリング22がそれぞれ自然長よりも短い圧縮状態で静止密封環11と回転密封環21を圧接させており、静止密封環11と回転密封環21は初期位置から軸方向両側に移動可能となっている。尚、本実施例では静止側スプリング12と回転側スプリング22が略同一線上に配置されて対向しているが、これに限らず、両者は異なる位相に配置されて対向していてもよい。
【0044】
また、静止密封環11と回転密封環21の初期位置において、静止側スプリング12と回転側スプリング22から静止密封環11と回転密封環21にそれぞれ付与される荷重は均衡している。以下、静止密封環11と回転密封環21の初期位置において、摺動面11d,21d間、すなわちシール部に掛かる荷重を基準シール荷重という。
【0045】
また、本実施例において、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、シール部よりも内径側に位置している。また、静止密封環11と回転密封環21に対して静止側スプリング12と回転側スプリング22の付勢力が作用する作用径は、同じになっている。
【0046】
また、静止密封環11と回転密封環21の背面の全面は、被密封流体Fからの圧力を受けており、摺動面11d,21d間の面圧付勢に寄与している。
【0047】
さらに、本実施例のメカニカルシール1においては、静止側Oリング13と回転側Oリング23により規定される静止密封環11と回転密封環21の圧力作用径が同一となっている。加えて、本実施例のメカニカルシール1は、静止密封環11および回転密封環21の圧力作用径よりもシール部が内径側の位置まで形成されたバランス型のメカニカルシールである。これにより、本実施例のメカニカルシール1においては、静止密封環11と回転密封環21に対して軸方向に作用する被密封流体Fの圧力の影響が小さくなる。加えて、静止側Oリング13は、静止密封環11の凹部11eの内周面に径方向に当接し、かつ回転側Oリング23は、回転密封環21の凹部21eの内周面に径方向に当接している。さらに、静止側Oリング13が収容される凹部10eと凹部11eとにより画成される空間の軸方向の寸法が、静止側Oリング13の断面の径よりも大きく形成され、かつ回転側Oリング23が収容される凹部20eと凹部21eとにより画成される空間の軸方向の寸法が、回転側Oリング23の断面の径よりも大きく形成されている。これにより、本実施例のメカニカルシール1においては、常に静止側Oリング13と回転側Oリング23が静止密封環11と回転密封環21の背面に当接してシールカバー10やスリーブ20との間で押し潰されることがなく、静止側Oリング13と回転側Oリング23が自身の復元力により静止密封環11と回転密封環21にそれぞれ軸方向の力を作用させることがない。そのため、静止側スプリング12と回転側スプリング22の付勢力により摺動面11d,21d間における荷重を精度よく設定することができる。
【0048】
次いで、本実施例のメカニカルシール1において、回転軸2の軸移動が発生したときの静止側スプリング12と回転側スプリング22の動作について
図3および
図4を用いて説明する。尚、
図2に示される静止密封環11と回転密封環21の初期位置において、静止側スプリング12と回転側スプリング22の長さは同じものとして説明する。
【0049】
図3に示されるように、右側に向けて回転軸2が移動すると、対向する静止側スプリング12と回転側スプリング22の両方が圧縮状態からさらに縮むように動作する。
【0050】
このように、本実施例のメカニカルシール1においては、右側に向けて回転軸2が移動すると、静止側スプリング12と回転側スプリング22が同一寸法ずつ縮むように動作する。このとき、静止側スプリング12と回転側スプリング22の圧縮量、すなわち静止密封環11の移動量(L11)と回転密封環21の移動量(L21)は、回転軸2の移動量(L2)の半分となる。尚、
図3におけるL11、L21の矢印の向きは、静止側被取付部材であるシールカバー10、回転側被取付部材であるスリーブ20に対する移動方向を表しており、以下の実施例においても同様である。
【0051】
静止密封環11の移動量(L11)と回転密封環21の移動量(L21)は、従って、静止側スプリング12と回転側スプリング22の荷重変化量が、従来のスプリングが片側のみ設けられたメカニカルシールと比較して、半分にまで抑えられる。そのため、摺動面11d,21d間におけるシール荷重の変化量が、従来のスプリングが片側のみ設けられたメカニカルシールと比較して半分になり、シール性が安定する。このように、静止側スプリング12と回転側スプリング22の付勢力が初期位置からそれぞれ略同じだけ増加するため、静止側スプリング12と回転側スプリング22の付勢力の均衡は保たれやすくなっている。
【0052】
尚、本実施例のメカニカルシール1においては、静止密封環11と回転密封環21に作用する軸方向の力の全てが対向する静止側スプリング12と回転側スプリング22の圧縮により吸収されるため、摺動面11d,21d間には静止側スプリング12と回転側スプリング22が圧縮されたことによる荷重増加分しか作用しなくなり、結果として荷重の高まりを緩やかにすることができる。
【0053】
さらに、本実施例のメカニカルシール1においては、対向する静止側スプリング12と回転側スプリング22が同じバネ定数の圧縮バネであることにより、静止密封環11および回転密封環21がシールカバー10とスリーブ20の間における中央の位置に保持されやすくなる。そのため、摺動面11d,21d間における過大面圧の発生を抑制しやすくなっている。
【0054】
図4に示されるように、左側に向けて回転軸2が移動すると、対向する静止側スプリング12と回転側スプリング22の両方が圧縮状態から伸びるように動作する。尚、
図4は、左側に向けて回転軸2の軸移動量が最大となった状態を示している。
【0055】
このように、本実施例のメカニカルシール1においては、左側に向けて回転軸2が移動すると、静止側スプリング12と回転側スプリング22が同一寸法ずつ伸びるように動作する。このとき、静止側スプリング12と回転側スプリング22の伸長量、すなわち静止密封環11の移動量(L11’)と回転密封環21の移動量(L21’)は、回転軸2の移動量(L2’)の半分となる。従って、静止側スプリング12と回転側スプリング22の付勢力が初期位置からそれぞれ略同じだけ減少するため、摺動面11d,21d間における荷重は基準シール荷重から低下するものの、静止側スプリング12と回転側スプリング22は圧縮状態で摺動面11d,21dが圧接された状態が維持されることから、摺動面11d,21d間の面開きを確実に防ぐことができる。すなわち、本実施例において、静止側スプリング12と回転側スプリング22の初期セット量は、左方への軸移動量の半分よりも十分に大きい量としてある。
【0056】
以上説明したように、メカニカルシール1は、静止密封環11の摺動面11dと延伸方向において直交する周面である凹部11eの内周面に径方向に当接する静止側Oリング13と、回転密封環21の摺動面21dと延伸方向において直交する周面である凹部21eの内周面に径方向に当接する回転側Oリング23、静止密封環11を回転密封環21側に付勢する静止側スプリング12と、回転密封環21を静止密封環11側に付勢する回転側スプリング22と、を備えている。これにより、静止密封環11と回転密封環21がそれぞれ静止側スプリング12と回転側スプリング22により互いに近接する方向、すなわち軸方向に付勢されることにより、静止密封環11と回転密封環21に両側から作用する軸方向の力を均一化させやすくなり、摺動面11d,21d位置を軸方向に変化させにくくすることができるとともに、外乱や振動によって回転軸2が軸方向に移動しても摺動面11d,21d間における摺接状態を維持しつつ、摺動面11d,21d間における荷重変化を小さくすることができる。このようにして、摺動面11d,21d間における被密封流体Fの漏れを安定して防ぐことができる。
【0057】
また、静止側スプリング12は、シールカバー10から静止密封環11の摺動面11dと並行な背面11gに当接し、回転側スプリング22は、スリーブ20から回転密封環21の摺動面21dと並行な背面21gに当接しており、摺動面11d,21dに並行な背面11g,21gのみに荷重を与える構造であるため、静止側スプリング12および回転側スプリング22の荷重設計のみで静止密封環11および回転密封環21の位置、例えば初期位置を決めることができる。そのため、例えば静止密封環と回転密封環の形状が異なる場合であっても、より詳しくは、静止密封環の摺動面と回転密封環の摺動面の形状が異なる場合であっても、静止密封環と回転密封環を目的の位置に設定することができる。
【0058】
また、メカニカルシール1は、静止密封環11とシールカバー10との間に静止側スプリング12が設けられ、回転密封環21とスリーブ20との間に回転側スプリング22が設けられている。これにより、簡素な構造で摺動面11d,21d間における荷重を安定させることができる。また、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、ゴムベローズ等の他の付勢部材と比べて熱の影響を受けて形状やバネ定数が変化しにくいため、使用温度に係らず摺動面11d,21d間における荷重を安定させることができる。
【0059】
また、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、ゴムベローズ等の他の付勢部材と比べて、圧力が掛かった状態でも静止密封環11と回転密封環21に対する荷重や作用径を変化させることがないため、摺動面11d,21d間における荷重を安定させることができる。
【0060】
また、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、シールカバー10に形成される挿入穴10dと、スリーブ20に形成される挿入穴20dにそれぞれ配置されている。これにより、静止側被取付部材および回転側被取付部材に形成される挿入穴10d,20dの内周により静止側スプリング12と回転側スプリング22の伸縮がそれぞれガイドされ、静止側スプリング12と回転側スプリング22の座屈や傾きが防止されるため、静止密封環11および回転密封環21の軸方向の移動を安定させることができ、摺動面11d,21d間における荷重を安定させることができる。
【0061】
さらに、静止密封環11は、シールカバー10の凸部10cや凹部10eの外周面に軸方向の移動をガイドされるとともに、回転密封環21は、スリーブ20のフランジ部20bや凹部20eの外周面に軸方向の移動をガイドされている。これにより、静止密封環11および回転密封環21の軸方向の移動をさらに安定させることができる。
【0062】
また、メカニカルシール1は、静止密封環11と回転密封環21に静止側スプリング12と回転側スプリング22により軸方向の荷重を与えることができるため、対向する静止側スプリング12と回転側スプリング22の荷重設計により静止密封環11と回転密封環21の初期位置における摺動面11d,21d間の荷重を精度よく設定することができる。
【0063】
例えば、本実施例のメカニカルシールを従来公知のフローティングシールと対比して説明する。フローティングシールにおけるOリングのようにシール機能と回り止め機能を兼ねるものにおいては、静止密封環および回転密封環に対して径方向に強い力が発生し、当該径方向の力を受けた静止密封環および回転密封環の変形による摺動面の歪みから摺動面間の漏れに繋がる虞がある。
【0064】
これに対し、本実施例のメカニカルシール1において、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、静止密封環11および回転密封環21に対して軸方向のみに力を発生させ、二次シールとして設けられる静止側Oリング13と回転側Oリング23は、静止密封環11および回転密封環21に対して径方向に線接触した状態で保持されているため、軸方向の力を発生させず、径方向の力を発生させる。
【0065】
ここで、静止側Oリング13と回転側Oリング23が発生させる径方向の力は、上述したフローティングシールにおいてOリングが発生させる径方向の力と比較すると非常に小さいため、本実施例のように摺動面11d,21d間の漏れに繋がるような静止密封環11および回転密封環21の変形を発生させるものではない。
【0066】
また、本実施例のメカニカルシール1における静止密封環11および回転密封環21の回り止め機能は、ノックピン14とドライブピン24により与えられるものである。すなわち、メカニカルシール1において、静止側Oリング13と回転側Oリング23は、あくまでも二次シールとしてのシール機能のみを有するものであり、対向する静止側スプリング12と回転側スプリング22により摺動面11d,21d間の荷重を与える構造であることにより、摺動面11d,21d間における被密封流体Fの漏れを安定して防ぐことができる。
【0067】
さらに、静止側Oリング13と回転側Oリング23に経年劣化が生じても、静止側スプリング12と回転側スプリング22の付勢力は変わらずに作用するため、摺動面11d,21d間における被密封流体Fの漏れを防ぐことができる。また、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、金属製の圧縮バネであるため、合成ゴム等により形成されるOリングと比較して経年劣化が起こりにくく、摺動面11d,21d間の面開きを長期間に亘り防ぐことができる。
【0068】
また、従来公知のフローティングシールでは、仮に回転軸の軸移動等が起きた場合でも、付勢部材であるOリングが発生させる径方向の力により静止密封環および回転密封環を保持する構造であるため、Oリングは転がることがなく、回転側ハウジング・固定側ハウジングと静止密封環および回転密封環との間で固定されたまま変形することとなるため、静止密封環および回転密封環が径方向に揺れやすく、静止密封環および回転密封環の摺動面間の当接状態が不適切になる虞がある。
【0069】
これに対し、本実施例のメカニカルシール1は、静止密封環11および回転密封環21を付勢する付勢手段は静止側スプリング12および回転側スプリング22のみであり、かつ密封環の倒れを規制する静止側移動規制部10f,10gおよび回転側移動規制部20f,20gと二次シールである静止側Oリング13および回転側Oリング23があるため、静止密封環11および回転密封環21に軸方向移動が起きた場合でも、径方向への揺れを抑制しながら静止密封環11および回転密封環21を軸方向に移動させることができる。詳しくは、静止密封環11および回転密封環21の径方向への移動を静止側移動規制部10f,10gおよび回転側移動規制部20f,20gが規制することにより、静止側Oリング13および回転側Oリング23が略変形せず、回ったり転がったりすることで静止密封環11および回転密封環21を軸方向に移動させることができるため、摺動面11d,21d間の当接状態が不適切になることを抑制できる。
【0070】
尚、静止側Oリング13および回転側Oリング23は、常に静止密封環11および回転密封環21の背面に当接してシールカバー10やスリーブ20との間で押し潰されることがなく、静止側Oリング13と回転側Oリング23が自身の復元力により軸方向の力を発生させないように設けられるものであればよく、例えば
図5の変形例1に示されるように、静止側Oリング13がシールカバー110における凸部110cの外周面から内径方向に凹む環状の凹溝110e内に配置され、静止密封環111の凹部111eの内周面に径方向に当接し、かつ回転側Oリング23がスリーブ120におけるフランジ部120bの外周面から内径方向に凹む環状の凹溝120e内に配置され、回転密封環121の凹部121eの内周面に径方向に当接するように構成されてもよい。尚、変形例1のシールカバー110およびスリーブ120にも、静止側移動規制部110f,110gおよび回転側移動規制部120f,120gが形成されている。
【0071】
また、
図6の変形例2に示されるように、静止側Oリング13が静止密封環111における凹部111eの内周面から外径方向に凹む環状の凹溝111h内に配置され、シールカバー110における凸部110cの外周面に径方向に当接し、かつ回転側Oリング23が回転密封環121における凹部121eの内周面から外径方向に凹む環状の凹溝121h内に配置され、スリーブ120におけるフランジ部120bの外周面に径方向に当接するように構成されてもよい。尚、変形例2のシールカバー110およびスリーブ120にも、静止側移動規制部110f,110gおよび回転側移動規制部120f,120gが形成されている。
【0072】
また、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、それぞれ自然長よりも短い圧縮状態で静止密封環11と回転密封環21を圧接させている。これにより、摺動面11d,21d間における荷重変化を抑制しつつ、静止密封環11および回転密封環21を軸方向に移動させることができる。
【0073】
さらに、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、静止密封環11と回転密封環21の軸方向の移動範囲において、それぞれ圧縮状態で静止密封環11と回転密封環21を圧接させている。すなわち、一方のスプリングの伸び長が、他方のスプリングの縮み長以上となっている。これにより、一方のスプリングが他方のスプリングの伸縮に対して常に追従できるため、摺動面11d,21d間における荷重変化を抑制しつつ、摺動面11d,21d間における面開きや摺動面11d,21dの傾きを確実に防ぐことができる。
【0074】
また、静止密封環11に対する静止側スプリング12の付勢力が作用する作用径と、回転密封環21に対する回転側スプリング22の付勢力が作用する作用径が同一であることにより、静止密封環11と回転密封環21に両側から作用する軸方向の力をより均一化させやすくなり、摺動面11d,21d位置を軸方向に変化させにくくすることができる。
【0075】
また、静止側スプリング12と回転側スプリング22は、同じバネ定数のスプリングであることにより、静止密封環11および回転密封環21の軸方向の動きを制御しやすくなる。すなわち、静止密封環11および回転密封環21がシールカバー10とスリーブ20の間における中央の位置に保持されやすくなり、摺動面11d,21d間における荷重変化を小さくしやすい。
詳しくは、対向する静止側スプリング12と回転側スプリング22が圧縮状態で静止密封環11と回転密封環21を圧接させており、静止密封環11は初期位置から軸方向両側に移動可能となっているが、回転密封環21は初期位置から軸方向右側にのみ移動可能となっている。尚、静止密封環11と回転密封環21の初期位置において、静止側スプリング12と回転側スプリング22から静止密封環11と回転密封環21に付与される荷重は均衡している。
これにより、対向する静止側スプリング12と回転側スプリング22により圧接される静止密封環11と回転密封環21の振動が抑制され、静止密封環11と回転密封環21の初期位置が維持されやすい。
また、回転密封環21は、初期位置から軸方向右側、すなわち静止密封環11側にのみ移動可能となっているため、摺動面11d,21d間における面開きを確実に防ぐことができる。
尚、説明の便宜上、図示を省略するが、静止密封環11と回転密封環21の初期位置において静止密封環11がシールカバーに当接するようにメカニカルシールが構成されてもよく、詳しくは、静止密封環11は、初期位置から軸方向左側にのみ移動可能となっており、回転密封環21は、初期位置から軸方向両側に移動可能となっていてもよい。