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特開2024-72548パイプクランプによるパイプの保持構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072548
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】パイプクランプによるパイプの保持構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/12 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
F16L3/12 F
F16L3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183422
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】瀬田 典幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 生希
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA05
3H023AB01
3H023AD06
3H023AD55
3H023AE03
(57)【要約】
【課題】パイプの保持力を向上させるとともに、容易な取り付け作業により作業効率を改善しつつコストを削減する。
【解決手段】パイプクランプ10Aが、パイプ12の外周面1202を保持する円弧状板部14と、円弧状板部14の周方向の一端から延在し角穴付きボルト22、32が挿通される取り付け板部16Aとを備え、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とを当接して角穴付きボルト22を取り付け板部16Aに締結した状態で、円弧状板部14の他端をパイプ12の外周面1202に圧接する圧接部30が、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とにより構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプの外周面を保持する円弧状板部と、前記円弧状板部の周方向の一端から延在しボルトが挿通される取り付け板部とを備えるパイプクランプによるパイプの保持構造であって、
前記ボルトは角穴付きボルトであり、前記角穴付きボルトの頭部は、均一径の外周面部と、前記均一径の外周面部の周方向の両端に接続され前記頭部の中心からの距離が前記外周面部の半径よりも大きく前記ボルトの軸心と平行して延在するボルト側平坦面部とを備え、
前記円弧状板部の周方向の他端は、前記取り付け板部上に位置すると共に、前記パイプの外周面と離れた前記他端の外周部に前記ボルト側平坦面部に当接可能なパイプクランプ側平坦面部が設けられ、
前記ボルト側平坦面部と前記パイプクランプ側平坦面部とを当接して前記角穴付きボルトを前記取り付け板部に締結した状態で、前記円弧状板部の他端を前記パイプの外周面に圧接する圧接部が前記ボルト側平坦面部と前記パイプクランプ側平坦面部とにより構成されている、
ことを特徴とするパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項2】
前記取り付け板部にボルト挿通孔が形成され、
前記角穴付きボルトの前記取り付け板部への締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記ボルト挿通孔に挿通され、前記取り付け板部から突出する前記雄ねじ部の箇所にナットが螺合することでなされている、
ことを特徴とする請求項1記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項3】
前記取り付け板部に雌ねじが形成され、
前記角穴付きボルトの前記取り付け板部への締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記雌ねじに螺合することでなされている、
ことを特徴とする請求項1記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項4】
前記取り付け板部はブラケットに載置され、
前記角穴付きボルトが配置された箇所よりも前記パイプから離れた前記取り付け板部の箇所で、ボルトにより前記ブラケットに取り付けられている、
ことを特徴とする請求項2または3記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項5】
前記取り付け板部はブラケットに載置され、
前記取り付け板部にボルト挿通孔が形成されると共に、前記ブラケットに雌ねじが形成され、
前記角穴付きボルトの前記取り付け板部への締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合することでなされている、
ことを特徴とする請求項1記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項6】
前記取り付け板部はブラケットに載置され、
前記取り付け板部と前記ブラケットにボルト挿通孔が形成され、
前記角穴付きボルトの前記取り付け板部への締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記取り付け板部と前記ブラケットの前記ボルト挿通孔に挿通され前記ブラケットから突出する前記雄ねじ部の箇所にナットが螺合することでなされている、
ことを特徴とする請求項1記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項7】
パイプの外周面を保持する円弧状板部と、前記円弧状板部の周方向の両端から延在し互いに重ね合わされる一対の取り付け板部とを備え、前記一対の取り付け板部の一方は下取り付け板部であり、他方は前記下取り付け板部の上に重ね合わされる上取り付け板部であるパイプクランプによるパイプの保持構造であって、
前記上取り付け板部から前記下取り付け板部に角穴付きボルトが挿通され、
前記角穴付きボルトの頭部は、均一径の外周面部と、前記均一径の外周面部の周方向の両端に接続され前記頭部の中心からの距離が前記外周面部の半径よりも大きく前記ボルトの軸心と平行して延在するボルト側平坦面部とを備え、
前記上取り付け板部に接続する前記円弧状板部の端部の外周部に前記ボルト側平坦面部に当接可能なパイプクランプ側平坦面部が設けられ、
前記ボルト側平坦面部と前記パイプクランプ側平坦面部とを当接して前記角穴付きボルトで前記上取り付け板部と前記下取り付け板部とを締結した状態で、前記円弧状板部の端部を前記パイプの外周面に圧接する圧接部が前記ボルト側平坦面部と前記パイプクランプ側平坦面部とにより構成されている、
ことを特徴とするパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項8】
前記上取り付け板部にボルト挿通孔が形成され、
前記下取り付け板部に雌ねじが形成され、
前記角穴付きボルトによる前記上取り付け板部と前記下取り付け板部との締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記ボルト挿通孔に挿通されて前記雌ねじに螺合することでなされている、
ことを特徴とする請求項7記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項9】
前記上取り付け板部と前記下取り付け板部とにボルト挿通孔が形成され、
前記角穴付きボルトによる前記上取り付け板部と前記下取り付け板部との締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記上取り付け板部と前記下取り付け板部の前記ボルト挿通孔に挿通され、前記下取り付け板部から突出する前記雄ねじ部の箇所にナットが螺合することでなされている、
ことを特徴とする請求項7記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項10】
前記下取り付け板部は前記上取り付け板部よりも長く形成され、
少なくとも前記上取り付け板部から突出する前記下取り付け板部の箇所がブラケットに載置され、ボルトにより前記ブラケットに取り付けられている、
ことを特徴とする請求項8または9記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項11】
前記下取り付け板部はブラケットに載置され、
前記上取り付け板部と前記下取り付け板部とにボルト挿通孔が形成され、
前記ブラケットに雌ねじが形成され、
前記角穴付きボルトによる前記上取り付け板部と前記下取り付け板部との締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記上取り付け板部と前記下取り付け板部の前記ボルト挿通孔に挿通されて前記ブラケットの前記雌ねじに螺合することでなされている、
ことを特徴とする請求項7記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【請求項12】
前記下取り付け板部はブラケットに載置され、
前記上取り付け板部と前記下取り付け板部と前記ブラケットとにボルト挿通孔が形成され、
前記角穴付きボルトによる前記上取り付け板部と前記下取り付け板部との締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記上取り付け板部と前記下取り付け板部と前記ブラケットの前記ボルト挿通孔に挿通され、前記ブラケットから突出する前記雄ねじ部の箇所にナットが螺合することでなされている、
ことを特徴とする請求項7記載のパイプクランプによるパイプの保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプクランプによるパイプの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には様々な流体を流通させるためのパイプ(流体配管)が設けられている。
例えば、車室内空調用のエアコンに設けられたパイプには熱交換用の流体である熱媒体が流通している。
あるいは、エンジンに設けられたパイプにはオイルや冷却水、EGRガスなどの液体や気体が流通している。
このようなパイプをエンジンルームに配置する場合、パイプの中間部を、パイプクランプを介して車体に保持することになる。
例えば、パイプクランプの円弧状板部をパイプに巻き付けた後に、円弧状板部の両端から延在する一対の取り付け板部を重ね合わせ、エンジンルーム内に設けられた基台に締結具を用いて締め付けて固定する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-210935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、パイプクランプをパイプに巻き付けた際に、パイプの外周面とパイプクランプの内面との間に大きな隙間が形成されてしまい、クランプによるパイプの保持力が低下してしまう。そうすると、走行時に車両が振動したり内燃機関が振動すると、パイプがガタついてしまうことがある。
このため、パイプの取り付けの際に溶接やろう付けを行ったり、パイプとクランプの間にゴムパッキンやゴムブッシュを充填していたが、溶接やろう付けを用いた取り付けは、技術力を有する作業であるため容易に行えず、また、ゴムパッキンやゴムブッシュを用いた取り付けは、部品数が増加してコストが上昇してしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パイプの保持力を向上させるとともに、容易な取り付け作業により作業効率を改善しつつコストを削減するパイプクランプを用いたパイプの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため本発明の一実施の形態は、パイプの外周面を保持する円弧状板部と、前記円弧状板部の周方向の一端から延在しボルトが挿通される取り付け板部とを備えるパイプクランプによるパイプの保持構造であって、前記ボルトは角穴付きボルトであり、前記角穴付きボルトの頭部は、均一径の外周面部と、前記均一径の外周面部の周方向の両端に接続され前記頭部の中心からの距離が前記外周面部の半径よりも大きく前記ボルトの軸心と平行して延在するボルト側平坦面部とを備え、前記円弧状板部の周方向の他端は、前記取り付け板部上に位置すると共に、前記パイプの外周面と離れた前記他端の外周部に前記ボルト側平坦面部に当接可能なパイプクランプ側平坦面部が設けられ、前記ボルト側平坦面部と前記パイプクランプ側平坦面部とを当接して前記角穴付きボルトを前記取り付け板部に締結した状態で、前記円弧状板部の他端を前記パイプの外周面に圧接する圧接部が前記ボルト側平坦面部と前記パイプクランプ側平坦面部とにより構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記取り付け板部にボルト挿通孔が形成され、前記角穴付きボルトの前記取り付け板部への締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記ボルト挿通孔に挿通され、前記取り付け板部から突出する前記雄ねじ部の箇所にナットが螺合することでなされていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記取り付け板部に雌ねじが形成され、前記角穴付きボルトの前記取り付け板部への締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記雌ねじに螺合することでなされていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記取り付け板部はブラケットに載置され、前記角穴付きボルトが配置された箇所よりも前記パイプから離れた前記取り付け板部の箇所で、ボルトにより前記ブラケットに取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記取り付け板部はブラケットに載置され、前記取り付け板部にボルト挿通孔が形成されると共に、前記ブラケットに雌ねじが形成され、前記角穴付きボルトの前記取り付け板部への締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合することでなされていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記取り付け板部はブラケットに載置され、前記取り付け板部と前記ブラケットにボルト挿通孔が形成され、前記角穴付きボルトの前記取り付け板部への締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記取り付け板部と前記ブラケットの前記ボルト挿通孔に挿通され前記ブラケットから突出する前記雄ねじ部の箇所にナットが螺合することでなされていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、パイプの外周面を保持する円弧状板部と、前記円弧状板部の周方向の両端から延在し互いに重ね合わされる一対の取り付け板部とを備え、前記一対の取り付け板部の一方は下取り付け板部であり、他方は前記下取り付け板部の上に重ね合わされる上取り付け板部であるパイプクランプによるパイプの保持構造であって、前記上取り付け板部から前記下取り付け板部に角穴付きボルトが挿通され、前記角穴付きボルトの頭部は、均一径の外周面部と、前記均一径の外周面部の周方向の両端に接続され前記頭部の中心からの距離が前記外周面部の半径よりも大きく前記ボルトの軸心と平行して延在するボルト側平坦面部とを備え、前記上取り付け板部に接続する前記円弧状板部の端部の外周部に前記ボルト側平坦面部に当接可能なパイプクランプ側平坦面部が設けられ、前記ボルト側平坦面部と前記パイプクランプ側平坦面部とを当接して前記角穴付きボルトで前記上取り付け板部と前記下取り付け板部とを締結した状態で、前記円弧状板部の端部を前記パイプの外周面に圧接する圧接部が前記ボルト側平坦面部と前記パイプクランプ側平坦面部とにより構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記上取り付け板部にボルト挿通孔が形成され、前記下取り付け板部に雌ねじが形成され、前記角穴付きボルトによる前記上取り付け板部と前記下取り付け板部との締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記ボルト挿通孔に挿通されて前記雌ねじに螺合することでなされていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記上取り付け板部と前記下取り付け板部とにボルト挿通孔が形成され、前記角穴付きボルトによる前記上取り付け板部と前記下取り付け板部との締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記上取り付け板部と前記下取り付け板部の前記ボルト挿通孔に挿通され、前記下取り付け板部から突出する前記雄ねじ部の箇所にナットが螺合することでなされていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記下取り付け板部は前記上取り付け板部よりも長く形成され、少なくとも前記上取り付け板部から突出する前記下取り付け板部の箇所がブラケットに載置され、ボルトにより前記ブラケットに取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記下取り付け板部はブラケットに載置され、前記上取り付け板部と前記下取り付け板部とにボルト挿通孔が形成され、前記ブラケットに雌ねじが形成され、前記角穴付きボルトによる前記上取り付け板部と前記下取り付け板部との締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記上取り付け板部と前記下取り付け板部の前記ボルト挿通孔に挿通されて前記ブラケットの前記雌ねじに螺合することでなされていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記下取り付け板部はブラケットに載置され、前記上取り付け板部と前記下取り付け板部と前記ブラケットとにボルト挿通孔が形成され、前記角穴付きボルトによる前記上取り付け板部と前記下取り付け板部との締結は、前記角穴付きボルトの雄ねじ部が前記上取り付け板部と前記下取り付け板部と前記ブラケットの前記ボルト挿通孔に挿通され、前記ブラケットから突出する前記雄ねじ部の箇所にナットが螺合することでなされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、パイプクランプが、パイプの外周面を保持する円弧状板部と、円弧状板部の周方向の一端から延在し角穴付きボルトが挿通される取り付け板部とを備え、ボルト側平坦面部とパイプクランプ側平坦面部とを当接して角穴付きボルトを取り付け板部に締結した状態で、円弧状板部の他端をパイプの外周面に圧接する圧接部がボルト側平坦面部とパイプクランプ側平坦面部とにより構成されている。したがって、パイプクランプの円弧状板部をパイプの外周面に圧接させてパイプの保持力を向上させるとともに、容易な取り付け作業により作業効率を改善しつつコストを削減する上で有利となる。
また、角穴付きボルトの取り付け板部への締結を、角穴付きボルトの雄ねじ部を、取り付け板部に形成されたボルト挿通孔に挿通し、取り付け板部から突出する雄ねじ部の箇所にナットを螺合する構成とすれば、ボルト側平坦面部をパイプクランプ側平坦面部に圧接させるための角穴付きボルトの回転操作が1回で済み、作業効率を高めるうえで有利となる。
また、角穴付きボルトの取り付け板部への締結を、角穴付きボルトの雄ねじ部を、取り付け板部に形成された雌ねじに螺合する構成とすれば、角穴付きボルトを取り付け板部に締結するためのナットなどの部品が不要となり、コストを削減する上で有利となる。
また、取り付け板部をブラケットに載置し、角穴付きボルトが配置された箇所よりもパイプから離れた取り付け板部の箇所で、ボルトによりブラケットに取り付ける構成とすれば、円弧状板部とボルトとの間で所定の距離を確保できるため、ブラケットから離れた位置にパイプを配置する上で有利となる。
また、取り付け板部をブラケットに載置し、角穴付きボルトの取り付け板部への締結を、角穴付きボルトの雄ねじ部を、取り付け板部に形成されたボルト挿通孔に挿通し、ブラケットに形成された雌ねじに螺合する構成とすれば、角穴付きボルトの取り付け板部への締結とともにパイプクランプをブラケットに取り付けることができ、作業効率を高める上で有利となる。また、パイプクランプをブラケットに取り付けるためのボルトなどの部品が不要となり、コストを削減する上で有利となる。
また、取り付け板部をブラケットに載置し、角穴付きボルトの取り付け板部への締結を、角穴付きボルトの雄ねじ部と、取り付け板部とブラケットに形成されたボルト挿通孔に挿通し、ブラケットから突出する雄ねじ部の箇所にナットを螺合する構成とすれば、角穴付きボルトの取り付け板部への締結とともにパイプクランプをブラケットに取り付けることができ、作業効率を高める上で有利となる。また、ナットを用いることで、ボルト側平坦面部をパイプクランプ側平坦面部に圧接させるための角穴付きボルトの回転操作が1回で済み、作業効率を高めるうえで有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、パイプクランプが、パイプの外周面を保持する円弧状板部と、円弧状板部の周方向の両端から延在し互いに重ね合わされる一対の取り付け板部とを備え、ボルト側平坦面部とパイプクランプ側平坦面部とを当接して角穴付きボルトで上取り付け板部と下取り付け板部とを締結した状態で、円弧状板部の他端をパイプの外周面に圧接する圧接部がボルト側平坦面部とパイプクランプ側平坦面部とにより構成されている。したがって、パイプクランプの円弧状板部をパイプの外周面に圧接させてパイプの保持力を向上させるとともに、容易な取り付け作業により作業効率を改善しつつコストを削減する上で有利となる。
また、角穴付きボルトによる上取り付け板部と下取り付け板部との締結を、角穴付きボルトの雄ねじ部を、上取り付け板部に形成されたボルト挿通孔に挿通し、下取り付け板部に形成された雌ねじに螺合する構成とすれば、角穴付きボルトを一対の取り付け板部に締結するためのナットなどの部品が不要となり、コストを削減する上で有利となる。
また、角穴付きボルトによる上取り付け板部と下取り付け板部との締結を、角穴付きボルトの雄ねじ部を、上取り付け板部と下取り付け板部に形成されたボルト挿通孔に挿通し、下取り付け板部から突出する雄ねじ部の箇所にナットが螺合する構成とすれば、ボルト側平坦面部をパイプクランプ側平坦面部に圧接させるための角穴付きボルトの回転操作が1回で済み、作業効率を高めるうえで有利となる。
また、下取り付け板部が上取り付け板部よりも長く形成され、少なくとも上取り付け板部から突出する下取り付け板部の箇所をブラケットに載置し、ボルトによりブラケットに取り付ける構成とすれば、円弧状板部とボルトとの間で所定の距離を確保できるため、ブラケットから離れた位置にパイプを配置する上で有利となる。
また、下取り付け板部をブラケットに載置し、角穴付きボルトによる上取り付け板部と下取り付け板部との締結を、角穴付きボルトの雄ねじ部を、上取り付け板部と下取り付け板部に形成されたボルト挿通孔に挿通し、ブラケットに形成された雌ねじに螺合する構成とすれば、角穴付きボルトの一対の取り付け板部への締結とともにパイプクランプをブラケットに取り付けることができ、作業効率を高める上で有利となる。また、パイプクランプをブラケットに取り付けるためのボルトなどの部品が不要となり、コストを削減する上で有利となる。
また、下取り付け板部をブラケットに載置し、角穴付きボルトによる上取り付け板部と下取り付け板部との締結を、角穴付きボルトの雄ねじ部を、上取り付け板部と下取り付け板部とブラケットに形成されたボルト挿通孔に挿通し、ブラケットから突出する雄ねじ部の箇所にナットを螺合する構成とすれば、角穴付きボルトの一対の取り付け板部への締結とともにパイプクランプをブラケットに取り付けることができ、作業効率を高める上で有利となる。また、ナットを用いることで、ボルト側平坦面部をパイプクランプ側平坦面部に圧接させるための角穴付きボルトの回転操作が1回で済み、作業効率を高めるうえで有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)は第1の実施の形態のパイプクランプによるパイプの保持構造の平面図であり、(B)は第1の実施の形態のパイプクランプによるパイプ保持構造の正面図である。
図2】(A)は角穴付きボルトの平面図であり、(B)は角穴付きボルトの側面図であり、(C)は角穴付きボルトの正面図である。
図3】(A)は金型による成型前のパイプクランプを示す図であり、(B)は金型がパイプクランプを押圧し始めた状態を示す図である。
図4】(C)は金型がパイプクランプをさらに押圧している状態を示す図であり、(D)は金型により成型されたパイプクランプを示す図である。
図5】第1の実施の形態の変形例1のパイプクランプによるパイプ保持構造の正面図である。
図6】第1の実施の形態の変形例2のパイプクランプによるパイプ保持構造の正面図である。
図7】第1の実施の形態の変形例3のパイプクランプによるパイプ保持構造の正面図である。
図8】(A)は第2の実施の形態のパイプクランプによるパイプの保持構造の平面図であり、(B)は第2の実施の形態のパイプクランプによるパイプ保持構造の正面図である。
図9】(A)は金型による成型前のパイプクランプを示す図であり、(B)は金型がパイプクランプを押圧し始めた状態を示す図である。
図10】(C)は金型がパイプクランプをさらに押圧している状態を示す図であり、(D)は金型により成型されたパイプクランプを示す図である。
図11】第2の実施の形態の変形例1のパイプクランプによるパイプ保持構造の正面図である。
図12】第2の実施の形態の変形例2のパイプクランプによるパイプ保持構造の正面図である。
図13】第2の実施の形態の変形例3のパイプクランプによるパイプ保持構造の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
まず、図1図4を参照して第1の実施の形態から説明する。
本実施の形態のパイプクランプ10Aにより保持されて取り付けられるパイプ12は、例えば、車室内空調用のエアコンに用いられる熱交換用の流体が流通するパイプであり、エンジンルーム内に配置されている。
本実施の形態のパイプ12は金属製であるが、合成樹脂製やゴム製(ゴムホース)であっても取り付け可能となっている。
また、パイプクランプ10Aは金属製であって、例えば炭素鋼STKMなど従来公知の様々な材料が適用可能となっている。
【0009】
パイプクランプ10Aは、図1に示すように、パイプ12の外周面1202を保持する円弧状板部14と、円弧状板部14の周方向の一端から延在しボルトが挿通される取り付け板部16Aとを備えており、パイプ12を保持するものである。
取り付け板部16Aと、円弧状板部14の一端とは、屈曲接続部1002を介して接続されている。
【0010】
図1(B)に示すように、円弧状板部14の周方向の一端から他端に至るまでの内周面1402は、パイプ12の外周面1202に圧接している。
円弧状板部14の周方向の他端は、取り付け板部16A上に位置すると共に、パイプ12の外周面1202と離れた他端の外周部に、後述する角穴付きボルト22のボルト側平坦面部2406に当接可能で平坦に形成されたパイプクランプ側平坦面部1404が設けられている。
パイプクランプ側平坦面部1404は、取り付け板部16Aに向かうにつれて厚さが小さくなるように形成され、円弧状板部14の周方向の長さが、角穴付きボルト22のボルト側平坦面部2406の高さより長い寸法で形成されている。
また、図1(B)に示すように、円弧状板部14の周方向の他端を通り角穴付きボルト22の軸方向に直交する仮想平面と交差するパイプ12の外周面1202の両側の箇所は、パイプ12の全周の1/2以上の長さで延在し、パイプ12の直径上を跨ぐようにパイプクランプ側平坦面部1404が位置している。
【0011】
図1(B)に示すように、取り付け板部16Aは、屈曲接続部1002に接続されるパイプ12側の端部から延在し、長手方向の中間部には第1屈曲部1604および第2屈曲部1608が形成されている。
したがって、図1(B)に示すように、取り付け板部16Aは、パイプ12側の端部から順に、第1平坦部1602、第1屈曲部1604、傾斜部1606、第2屈曲部1608、および第2平坦部1610が形成されている。
また、取り付け板部16Aは、第1平坦部1602の所定の位置に、角穴付きボルト22が挿通するボルト挿通孔18が形成されている。
また、取り付け板部16Aは、第2平坦部1610に角穴付きボルト32が挿通するボルト挿通孔20が形成されている。すなわち、ボルト挿通孔20は、角穴付きボルト22が配置された箇所よりもパイプ12から離れた取り付け板部16Aの箇所に形成されている。
【0012】
図2に示すように、ボルト挿通孔18に挿通される角穴付きボルト22は、角穴が設けられた頭部24と、頭部24から突設された雄ねじ部26とを有している。
頭部24の外周部は、均一径の外周面部2402と、外周面部2402の周方向の両端から外周面部2402から離れるにつれて頭部24の中心からの距離が次第に大きくなる一対の傾斜面部2404と、一対の傾斜面部2404の端部を接続しボルトの軸心と平行して延在するボルト側平坦面部2406とを有している。
図2において想像線で示すように、ボルト側平坦面部2406と頭部24の中心との距離は、外周面部2402の半径よりも大きく形成されている。
なお、外周面部2402の中心と雄ねじ部26の中心軸とは合致しているが、頭部24がボルト側平坦面部2406を有していることから、角穴付きボルト22は所謂偏心ボルトである。
【0013】
角穴付きボルト22の取り付け板部16Aへの締結は、角穴付きボルト22の雄ねじ部26がボルト挿通孔18に挿通され、取り付け板部16Aから突出する雄ねじ部26の箇所にナット28が螺合することでなされている。
本実施の形態では、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とを当接して角穴付きボルト22を取り付け板部16Aに締結した状態で、円弧状板部14の他端をパイプ12の外周面1202に圧接する圧接部30が、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とにより構成されている。
したがって、ボルト側平坦面部2406はパイプクランプ側平坦面部1404に当接可能に設けられ、角穴付きボルト22が取り付け板部16Aに締結された場合に、ボルト側平坦面部2406がパイプクランプ側平坦面部1404に圧接するように形成されている。
【0014】
また、図1に示すように、ボルト挿通孔20に挿通される角穴付きボルト32は、角穴が設けられた頭部3202と、頭部3202から突設された雄ねじ部3204とを有している。
パイプクランプ10Aをブラケット34Aに取り付ける場合、取り付け板部16Aの第2平坦部1610がブラケット34Aの被取り付け面3402に載置され、ボルト挿通孔20に挿通された角穴付きボルト32の雄ねじ部3204がブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合することで締結されている。
【0015】
次に、本実施の形態のパイプクランプ10Aによるパイプ12の保持方法およびパイプクランプ10Aの取り付け方法について図3図4を参照して説明する。
まず、パイプクランプ10Aを成型加工しながらパイプ12を保持する。
図3(A)に示すように、端部にパイプクランプ側平坦面部1404が形成された一枚の金属板からなるパイプクランプ10Aは、パイプ12を保持する前ではパイプ12が挿脱できるように円弧状板部14が開いている。
また、パイプクランプ10Aは、円弧状板部14と取り付け板部16Aを接続する屈曲接続部1002、取り付け板部16Aの第1平坦部1602、第1屈曲部1604、傾斜部1606、第2屈曲部1608、および第2平坦部1610が予め不図示の他の金型によって形成され、取り付け板部16Aにボルト挿通孔18、20(不図示)が形成されている。
そして、パイプクランプ10Aにパイプ12を保持させるには、開いた円弧状板部14にパイプ12を挿入し、上型36および載置台38から構成された金型40により成型加工を行う。
【0016】
図3(A)に示すように、上型36は、上下に移動可能となっており、本実施の形態では、成型加工時に下降する。
上型36の型面には、パイプクランプ10Aの円弧状板部14をパイプ12に巻き付ける円弧状型部3602、パイプクランプ側平坦面部1404を形成する平坦面型部3604が設けられている。
載置台38は、移動不能となっている。
載置台38の上面は、円弧状板部14の下側の外周面1406、屈曲接続部1002、第1平坦部1602、第1屈曲部1604、傾斜部1606、第2屈曲部1608、および第2平坦部1610の下面が接触可能に形成されている。
【0017】
まず、図3(A)に示すように、パイプクランプ10Aを載置台38に載置し、パイプクランプ10Aの成型加工を開始する。
成型加工が開始されると、図3(B)に示すように、上型36が下降し、上型36の下端部3606が円弧状板部14の他端を押圧していく。これにより、パイプクランプ10Aの円弧状板部14がパイプ12に巻き付き始める。
上型36がさらに下降すると、図4(C)に示すように、上型36の下端部3606が円弧状板部14の他端をパイプ12に近づけるように押圧していく。これにより、円弧状板部14がパイプ12に巻き付いていく。
【0018】
上型36がさらに下降すると、図4(D)に示すように、円弧状型部3602により、円弧状板部14がパイプ12の外周面1202のほぼ全周に亘って巻き付けられる。そして、平坦面型部3604により、円弧状板部14の他端の内周面1402をパイプ12の外周面1202に圧接させるとともに、パイプクランプ側平坦面部1404を鉛直方向に位置させる。
パイプクランプ10Aの成型加工が完了したら、上型36を上昇させて成型されたパイプクランプ10Aを取り出す。
【0019】
次に、取り出したパイプクランプ10Aの取り付け板部16Aに、角穴付きボルト22を締結する。
すなわち、パイプクランプ側平坦面部1404に外周面部2402が対向するように角穴付きボルト22の頭部24の姿勢を維持させ、雄ねじ部26を取り付け板部16Aのボルト挿通孔18に挿通し、取り付け板部16Aから突出する雄ねじ部26にナット28を螺合させ、角穴付きボルト22の頭部24が取り付け板部16A上でがたつかない程度にナット28を回転させる。
このように角穴付きボルト22を配置したならば、頭部24の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト22を回転させてボルト側平坦面部2406をパイプクランプ側平坦面部1404に圧接させる。
圧接させたならば、さらにナット28を回転させ、頭部24とナット28とにより取り付け板部16Aを挟持し固定する。
したがって、本実施の形態によれば、ボルト側平坦面部2406をパイプクランプ側平坦面部1404に圧接させるための角穴付きボルト22の回転操作が1回で済み、作業効率を高める上で有利となる。
【0020】
その後、角穴付きボルト22が締結されたパイプクランプ10Aをブラケット34Aに取り付ける。
すなわち、図1に示すように、取り付け板部16Aの第2平坦部1610をエンジンルーム内に設けられたブラケット34Aの被取り付け面3402に載置し、取り付け板部16Aのボルト挿通孔20に角穴付きボルト32を挿通する。
そして、角穴付きボルト32の頭部3202の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト32を回転させて、角穴付きボルト32の雄ねじ部3204をブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合させ、頭部3202とブラケット34Aとにより取り付け板部16Aを挟持し、パイプクランプ10Aをブラケット34Aに取り付ける。
これにより円弧状板部14がパイプ12に巻き付いて、円弧状板部14の端部がパイプ12の外周面1202を圧接することでパイプ12が保持され、取り付け板部16Aが角穴付きボルト32の頭部3202とブラケット34Aの被取り付け面3402により挟持されることでパイプクランプ10Aがブラケット34Aに取り付けられる。
【0021】
なお、上記のパイプ12の保持方法では、パイプクランプ10Aに予め屈曲接続部1002、第1平坦部1602、第1屈曲部1604、傾斜部1606、第2屈曲部1608、および第2平坦部1610が形成されている例を示したが、これらをパイプクランプ10Aの成型加工時にパイプ12の保持とともに形成する構成としてもよい。
【0022】
このように、第1の実施の形態によれば、パイプクランプ10Aが、パイプ12の外周面1202を保持する円弧状板部14と、円弧状板部14の周方向の一端から延在し角穴付きボルト22、32が挿通される取り付け板部16Aとを備え、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とを当接して角穴付きボルト22を取り付け板部16Aに締結した状態で、円弧状板部14の他端をパイプ12の外周面1202に圧接する圧接部30が、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とにより構成されている。したがって、パイプクランプ10Aの円弧状板部14をパイプ12の外周面1202に圧接させてパイプ12の保持力を向上させるとともに、容易な取り付け作業により作業効率を改善しつつコストを削減する上で有利となる。
また、角穴付きボルト22の取り付け板部16Aへの締結を、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を、取り付け板部16Aに形成されたボルト挿通孔18に挿通し、取り付け板部16Aから突出する雄ねじ部26の箇所にナット28を螺合する構成としたため、ボルト側平坦面部2406をパイプクランプ側平坦面部1404に圧接させるための角穴付きボルト22の回転操作が1回で済み、作業効率を高めるうえで有利となる。
また、取り付け板部16Aをブラケット34Aに載置し、角穴付きボルト22が配置された箇所よりもパイプ12から離れた取り付け板部16Aの箇所で、角穴付きボルト32によりブラケット34Aに取り付ける構成としたため、円弧状板部14と角穴付きボルト32との間で所定の距離を確保できるため、ブラケット34Aから離れた位置にパイプ12を配置する上で有利となる。
【0023】
(第1の実施の形態の変形例1)
次に、図5を参照して第1の実施の形態の変形例1について説明する。
第1の実施の形態にかかるパイプクランプ10Aでは、角穴付きボルト22の取り付け板部16Aへの締結の際、取り付け板部16Aから突出する角穴付きボルト22の雄ねじ部26にナット28を螺合していたのに対して、第1の実施の形態の変形例1にかかるパイプクランプ10Bでは、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を取り付け板部16Bに形成された雌ねじ42に螺合している点が異なっている。
なお、以下の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な個所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態と異なった個所について重点的に説明する。
【0024】
本変形例のパイプクランプ10Bは、取り付け板部16Bの第1平坦部1602に雌ねじ42が形成されている。
本変形例の角穴付きボルト22は、角穴が設けられた頭部24と、頭部24から突設された雄ねじ部26とを有する偏心ボルトであって、頭部24は、第1の実施の形態と同様に、外周面部2402、一対の傾斜面部2404、およびボルト側平坦面部2406とを有している。
また、本変形例の角穴付きボルト22は、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とが当接した状態で、角穴付きボルト22が取り付け板部16Bに締結されるように、言い換えると、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とが当接した状態で、角穴付きボルト22の頭部24の下面が取り付け板部16Bの上面に圧接されるように、雄ねじ部26が形成されている。
そして、角穴付きボルト22の取り付け板部16Bへの締結は、角穴付きボルト22の雄ねじ部26が雌ねじ42に螺合することでなされている。
なお、角穴付きボルト22は、ボルト側平坦面部2406がパイプクランプ側平坦面部1404に当接可能に設けられ、角穴付きボルト22が取り付け板部16Bに締結された状態で、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とが圧接するように形成されている。
【0025】
次に、本変形例のパイプクランプ10Bによるパイプ12の保持方法およびパイプクランプ10Bの取り付け方法について説明する。
まず、第1の実施の形態と同様に、パイプクランプ10Bを成型加工しながらパイプ12を保持したならば、角穴付きボルト22の雄ねじ部26の先端を取り付け板部16Bの雌ねじ42の位置に合わせ、頭部24の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト22を回転させて雄ねじ部26を取り付け板部16Bの雌ねじ42に螺合させていく。
そして、角穴付きボルト22の頭部24の下面が取り付け板部16Bの上面に圧接されるまで角穴付きボルト22を回転させると、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とが当接し、円弧状板部14の他端がパイプ12の外周面1202に圧接される。
その後、第1の実施の形態と同様に、パイプクランプ10Bをブラケット34Aに取り付ける。
これにより円弧状板部14がパイプ12に巻き付いて、円弧状板部14の端部がパイプ12の外周面1202を圧接することでパイプ12が保持され、取り付け板部16Bが角穴付きボルト22の頭部24とブラケット34Aの被取り付け面3402により挟持されることでパイプクランプ10Aがブラケット34Aに取り付けられる。
【0026】
このように、第1の実施の形態の変形例1によれば、角穴付きボルト22の取り付け板部16Bへの締結を、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を、取り付け板部16Bに形成された雌ねじ42に螺合する構成としたため、角穴付きボルト22を取り付け板部16Bに締結するためのナットなどの部品が不要となり、コストを削減する上で有利となる。
また、第1の実施の形態と同様の箇所は、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0027】
(第1の実施の形態の変形例2)
次に、図6を参照して第1の実施の形態の変形例2について説明する。
第1の実施の形態の変形例1にかかるパイプクランプ10Bでは、角穴付きボルト22の取り付け板部16Bへの締結と、パイプクランプ10Bのブラケット34Aへの取り付けを別個に行っていたのに対して、第1の実施の形態の変形例2にかかるパイプクランプ10Cでは、角穴付きボルト22を取り付け板部16Cへ締結するとともにパイプクランプ10Cのブラケット34Aへの取り付けを行う点が異なっている。
【0028】
本変形例のパイプクランプ10Cの取り付け板部16Cは、屈曲接続部1002に接続されるパイプ12側の端部から直線状に延在して形成されている。
取り付け板部16Cは、所定の位置に角穴付きボルト22が挿通するボルト挿通孔44が形成されている。
また、ブラケット34Aには、第1の実施の形態と同様に、雌ねじ3404が形成されている。
そして、角穴付きボルト22の取り付け板部16Cへの締結は、角穴付きボルト22の雄ねじ部26が取り付け板部16Cのボルト挿通孔44に挿通され、ブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合することでなされている。
【0029】
次に、本変形例のパイプクランプ10Cによるパイプ12の保持方法およびパイプクランプ10Cの取り付け方法について説明する。
まず、第1の実施の形態と同様に、パイプクランプ10Cを成型加工しながらパイプ12を保持したならば、取り出したパイプクランプ10Cの取り付け板部16Cがブラケット34Aの被取り付け面3402に載置され、雄ねじ部26を取り付け板部16Cのボルト挿通孔44に挿通し、頭部24の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト22を回転させて雄ねじ部26をブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合させていく。
そして、角穴付きボルト22の頭部24の下面が取り付け板部16Cの上面に圧接されるまで角穴付きボルト22を回転させると、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部1404とが当接し、円弧状板部14の他端がパイプ12の外周面1202に圧接される。
これにより円弧状板部14がパイプ12に巻き付いて、円弧状板部14の端部がパイプ12の外周面1202を圧接することでパイプ12が保持され、取り付け板部16Cが角穴付きボルト22の頭部24とブラケット34Aの被取り付け面3402により挟持されることでパイプクランプ10Cがブラケット34Aに取り付けられる。
【0030】
このように、第1の実施の形態の変形例2によれば、取り付け板部16Cをブラケット34Aに載置し、角穴付きボルト22の取り付け板部16Cへの締結を、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を、取り付け板部16Cに形成されたボルト挿通孔44に挿通し、ブラケット34Aに形成された雌ねじ3404に螺合する構成としたため、角穴付きボルト22の取り付け板部16Cへの締結とともにパイプクランプ10Cをブラケット34Aに取り付けることができ、作業効率を高める上で有利となる。また、パイプクランプ10Cをブラケット34Aに取り付けるためのボルトなどの部品が不要となり、コストを削減する上で有利となる。
また、第1の実施の形態と同様の箇所は、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0031】
(第1の実施の形態の変形例3)
次に、図7を参照して第1の実施の形態の変形例3について説明する。
第1の実施の形態の変形例2にかかるパイプクランプ10Cでは、角穴付きボルト22の取り付け板部16Cへの締結の際、角穴付きボルト22をブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合していたのに対して、第1の実施の形態の変形例3にかかるパイプクランプ10Cでは、角穴付きボルト22の雄ねじ部26にナット28を螺合している点が異なっている。
【0032】
本変形例のパイプクランプ10Cの取り付け板部16Cは、屈曲接続部1002に接続されるパイプ12側の端部から直線状に延在して形成されている。
取り付け板部16Cは、所定の位置に角穴付きボルト22が挿通するボルト挿通孔44が形成されている。
また、ブラケット34Bにも、角穴付きボルト22が挿通するボルト挿通孔3406が形成されている。
そして、角穴付きボルト22の取り付け板部16Cへの締結は、角穴付きボルト22の雄ねじ部26が取り付け板部16Cとブラケット34Bのボルト挿通孔44、3406に挿通され、ブラケット34Bから突出する雄ねじ部26の箇所にナット28が螺合することでなされている。
【0033】
次に、本変形例のパイプクランプ10Cによるパイプ12の保持方法およびパイプクランプ10Cの取り付け方法について説明する。
まず、第1の実施の形態と同様に、パイプクランプ10Cを成型加工しながらパイプ12を保持したならば、取り出したパイプクランプ10Cの取り付け板部16Cをブラケット34Bの被取り付け面3402に載置する。そして、パイプクランプ側平坦面部1404に外周面部2402が対向するように角穴付きボルト22の頭部24の姿勢を維持させ、雄ねじ部26を取り付け板部16Cのボルト挿通孔44およびブラケット34Bのボルト挿通孔3406に挿通し、ブラケット34Bから突出する雄ねじ部26にナット28を螺合させ、角穴付きボルト22の頭部24が取り付け板部16C上でがたつかない程度にナット28を回転させる。
このように角穴付きボルト22を配置したならば、頭部24の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト22を回転させてボルト側平坦面部2406をパイプクランプ側平坦面部1404に圧接させる。
圧接させたならば、さらにナット28を回転させ、頭部24とナット28とにより取り付け板部16Cおよびブラケット34Bを挟持し固定する。
これにより円弧状板部14がパイプ12に巻き付いて、円弧状板部14の端部がパイプ12の外周面1202を圧接することでパイプ12が保持され、取り付け板部16Cが角穴付きボルト22の頭部24とブラケット34Bの被取り付け面3402により挟持されることでパイプクランプ10Cがブラケット34Bに取り付けられる。
【0034】
このように、第1の実施の形態の変形例3によれば、取り付け板部16Cをブラケット34Bに載置し、角穴付きボルト22の取り付け板部16Cへの締結を、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を、取り付け板部16Cとブラケット34Bに形成されたボルト挿通孔44、3406に挿通し、ブラケット34Bから突出する雄ねじ部26の箇所にナット28を螺合する構成としたため、角穴付きボルト22の取り付け板部16Cへの締結とともにパイプクランプ10Cをブラケット34Bに取り付けることができ、作業効率を高める上で有利となる。また、ナット28を用いることで、ボルト側平坦面部2406をパイプクランプ側平坦面部1404に圧接させるための角穴付きボルト22の回転操作が1回で済み、作業効率を高めるうえで有利となる。
また、第1の実施の形態と同様の箇所は、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、図8図10を参照して第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態のパイプクランプ10Aでは、円弧状板部14の周方向の一端から取り付け板部16Aが延在していたのに対して、第2の実施の形態にかかるパイプクランプ10Dでは、円弧状板部54の周方向の両端から一対の取り付け板部56Aが延在している点が異なっている。
【0036】
パイプクランプ10Dは、図8に示すように、パイプ12の外周面1202を保持する円弧状板部54と、円弧状板部54の周方向の両端から延在し互いに重ね合わされる一対の取り付け板部56Aとを備えており、パイプ12を保持するものである。
一対の取り付け板部56Aの一方は下取り付け板部58Aであり、一対の取り付け板部56Aの他方は下取り付け板部58Aの上に重ね合わされる上取り付け板部60Aであって、下取り付け板部58Aと円弧状板部54の一端とが接続され、上取り付け板部60Aと円弧状板部54の他端とが接続されている。
【0037】
図8(B)に示すように、円弧状板部54の周方向の一端から他端に至るまでの内周面5402は、パイプ12の外周面1202に圧接している。
上取り付け板部60Aに接続する円弧状板部54の周方向の他端(端部)の外周部に、角穴付きボルト22のボルト側平坦面部2406に当接可能で平坦に形成されたパイプクランプ側平坦面部5404が設けられている。
パイプクランプ側平坦面部5404は、円弧状板部54の周方向の長さが、角穴付きボルト22のボルト側平坦面部2406の高さとほぼ同じ寸法で形成されている。
また、図8(B)に示すように、パイプクランプ側平坦面部5404と上取り付け板部60Aの上面との角部を通り角穴付きボルト22の軸方向に直交する仮想平面と交差するパイプ12の外周面1202の両側の箇所は、パイプ12の全周の1/2以上の長さで延在し、パイプ12の直径上を跨ぐようにパイプクランプ側平坦面部5404が位置している。
【0038】
図8に示すように、一対の取り付け板部56Aは、パイプ12側の端部から直線状に延在し、それらの内面が重ね合わされている。
上取り付け板部60Aの所定の位置には、角穴付きボルト22が挿通するボルト挿通孔62が形成されている。
下取り付け板部58Aの長手方向の中間部には段差5802が設けられており、パイプ12側の下取り付け板部58A(第1下取り付け板部5804)と、角穴付きボルト32側の下取り付け板部58A(第2下取り付け板部5806)は、段差5802を介して厚さ(高さ)が異なっている。
すなわち、第1下取り付け板部5804の厚さ(高さ)は、第2下取り付け板部5806の厚さ(高さ)より大きい寸法で形成されている。
また、下取り付け板部58Aは、上取り付け板部60Aよりも長く形成されており、第1下取り付け板部5804の上面に、上取り付け板部60Aが重ね合わされている。
第1下取り付け板部5804の所定の位置には、角穴付きボルト22が螺合する雌ねじ64が形成されている。
また、第2下取り付け板部5806は、角穴付きボルト32が挿通するボルト挿通孔66が形成されている。すなわち、ボルト挿通孔66は、角穴付きボルト22が配置された箇所よりもパイプ12から離れた下取り付け板部58Aの箇所に形成されている。
【0039】
図8に示すように、上取り付け板部60Aから下取り付け板部58Aに挿通される角穴付きボルト22は、角穴が設けられた頭部24と、頭部24から突設された雄ねじ部26とを有する偏心ボルトであって、頭部24は、第1の実施の形態と同様に、外周面部2402、一対の傾斜面部2404、およびボルト側平坦面部2406とを有している(図2参照)。
また、角穴付きボルト22は、第1の実施の形態の変形例1と同様に、ボルト側平坦面部2406がパイプクランプ側平坦面部5404に当接可能に設けられ、下取り付け板部58Aと上取り付け板部60Aとが締結された状態で、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部5404とが圧接するように形成されている。
【0040】
角穴付きボルト22による上取り付け板部60Aと下取り付け板部58Aとの締結は、角穴付きボルト22の雄ねじ部26が上取り付け板部60Aのボルト挿通孔62に挿通され、下取り付け板部58A(第1下取り付け板部5804)の雌ねじ64に螺合することでなされている。
本実施の形態では、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部5404とを当接して角穴付きボルト22で上取り付け板部60Aと下取り付け板部58Aとを締結した状態で、円弧状板部54の他端(端部)をパイプ12の外周面1202に圧接する圧接部70が、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部5404とにより構成されている。
【0041】
また、図8に示すように、下取り付け板部58Aに形成されたボルト挿通孔66に挿通される角穴付きボルト32は、角穴が設けられた頭部3202と、頭部3202から突設された雄ねじ部3204とを有している。
パイプクランプ10Dをブラケット34Aに取り付ける場合、上取り付け板部60Aから突出する下取り付け板部58Aの箇所、すなわち第2下取り付け板部5806がブラケット34Aの被取り付け面3402に載置され、ボルト挿通孔66に挿通された角穴付きボルト32の雄ねじ部3204がブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合することで締結されている。
【0042】
次に、本実施の形態のパイプクランプ10Dによるパイプ12の保持方法およびパイプクランプ10Dの取り付け方法について図9図10を参照して説明する。
まず、パイプクランプ10Dを成型加工しながらパイプ12を保持する。
図9(A)に示すように、中間部にパイプクランプ側平坦面部5404が形成された金属板からなるパイプクランプ10Dは、パイプ12を保持する前ではパイプ12が挿脱できるように円弧状板部54が開いている。
また、パイプクランプ10Dは、円弧状板部54の他端に形成されたパイプクランプ側平坦面部5404と上取り付け板部60Aとが屈曲される位置に屈曲部5408が形成され、上取り付け板部60Aにボルト挿通孔62(不図示)が形成され、下取り付け板部58Aにボルト挿通孔66および雌ねじ64(不図示)が形成されている。
そして、パイプクランプ10Dにパイプ12を保持させるには、開いた円弧状板部54にパイプ12を挿入し、上型72および載置台74から構成された金型76により成型加工を行う。
【0043】
図9(A)に示すように、上型72は、上下に移動可能となっており、本実施の形態では、成型加工時に下降する。
上型72の型面には、パイプクランプ10Dの円弧状板部54をパイプ12に巻き付ける円弧状型部7202、パイプクランプ側平坦面部5404を形成する平坦面型部7204が設けられている。
載置台74は、移動不能となっている。
載置台74の上面は、円弧状板部54の下側の外周面5406、下取り付け板部58Aの下面が接触可能に形成されている。
【0044】
まず、図9(A)に示すように、パイプクランプ10Dを載置台74に載置し、パイプクランプ10Dの成型加工を開始する。
成型加工が開始されると、図9(B)に示すように、上型72が下降し、上型72の下端部7206が円弧状板部54の他端を押圧していく。これにより、パイプクランプ10Dの円弧状板部54がパイプ12に巻き付き始める。
上型72がさらに下降すると、図10(C)に示すように、上型72の下端部7206が円弧状板部54の他端をパイプ12に近づけるように押圧していく。これにより、円弧状板部54がパイプ12にさらに巻き付いていく。
【0045】
上型72がさらに下降すると、図10(D)に示すように、円弧状型部7202により、円弧状板部54がパイプ12の外周面1202のほぼ全周に亘って巻き付けられ、下端部7206により屈曲部5408に沿って折り曲げられる。そして、平坦面型部7204により、円弧状板部54の他端の内周面5402をパイプ12の外周面1202を当接させるとともに、パイプクランプ側平坦面部5404を鉛直方向に位置させる。
パイプクランプ10Dの成型加工が完了したら、上型72を上昇させて成型されたパイプクランプ10Dを取り出す。
【0046】
次に、取り出したパイプクランプ10Dの一対の取り付け板部56Aに、角穴付きボルト22を締結する。
すなわち、図8に示すように、上取り付け板部60Aのボルト挿通孔62に角穴付きボルト22を挿通し、頭部24の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト22を回転させて、雄ねじ部26を下取り付け板部58Aの雌ねじ64に螺合させていく。
そして、角穴付きボルト22の頭部24の下面が上取り付け板部60Aの上面に圧接されるまで角穴付きボルト22を回転させると、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部5404とが当接し、円弧状板部54の他端がパイプ12の外周面1202に圧接される。
【0047】
その後、角穴付きボルト22が締結されたパイプクランプ10Dをブラケット34Aに取り付ける。
すなわち、図8に示すように、第2下取り付け板部5806をエンジンルーム内に設けられたブラケット34Aの被取り付け面3402に載置し、第2下取り付け板部5806のボルト挿通孔66に角穴付きボルト32を挿通する。
そして、角穴付きボルト32の頭部3202の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト32を回転させて、角穴付きボルト32の雄ねじ部3204をブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合させ、頭部3202とブラケット34Aとにより下取り付け板部58Aを挟持し、パイプクランプ10Dをブラケット34Aに取り付ける。
これにより円弧状板部54がパイプ12に巻き付いて、円弧状板部54の端部がパイプ12の外周面1202を圧接することでパイプ12が保持され、下取り付け板部58Aが角穴付きボルト32の頭部3204とブラケット34Aの被取り付け面3402により挟持されることでパイプクランプ10Dがブラケット34Aに取り付けられる。
【0048】
このように、第2の実施の形態によれば、パイプクランプ10Dが、パイプ12の外周面1202を保持する円弧状板部54と、円弧状板部54の周方向の両端から延在し互いに重ね合わされる一対の取り付け板部56Aとを備え、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部5404とを当接して角穴付きボルト22で上取り付け板部60Aと下取り付け板部58Aとを締結した状態で、円弧状板部54の他端をパイプ12の外周面1202に圧接する圧接部70がボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部5404とにより構成されている。したがって、パイプクランプ10Dの円弧状板部54をパイプ12の外周面1202に圧接させてパイプ12の保持力を向上させるとともに、容易な取り付け作業により作業効率を改善しつつコストを削減する上で有利となる。
また、角穴付きボルト22による上取り付け板部60Aと下取り付け板部58Aとの締結を、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を、上取り付け板部60Aに形成されたボルト挿通孔62に挿通し、下取り付け板部58Aに形成された雌ねじ64に螺合する構成としたため、角穴付きボルト22を一対の取り付け板部56Aに締結するためのナットなどの部品が不要となり、コストを削減する上で有利となる。
また、下取り付け板部58Aが上取り付け板部60Aよりも長く形成され、上取り付け板部60Aから突出する下取り付け板部58Aの箇所をブラケット34Aに載置し、角穴付きボルト32によりブラケット34Aに取り付ける構成としたため、円弧状板部54と角穴付きボルト22との間で所定の距離を確保できるため、ブラケット34Aから離れた位置にパイプ12を配置する上で有利となる。
【0049】
(第2の実施の形態の変形例1)
次に、図11を参照して第2の実施の形態の変形例1について説明する。
第2の実施の形態にかかるパイプクランプ10Dでは、角穴付きボルト22の取り付け板部56Aへの締結の際、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を下取り付け板部58Aに形成された雌ねじ64に螺合していたのに対して、第2の実施の形態の変形例1にかかるパイプクランプ10Eでは、下取り付け板部58Bから突出する角穴付きボルト22の雄ねじ部26にナット28を螺合している点が異なっている。
なお、以下の実施の形態の説明では、第1、2の実施の形態と同様な個所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、第1、2の実施の形態と異なった個所について重点的に説明する。
【0050】
本変形例のパイプクランプ10Eは、下取り付け板部58Bの第1下取り付け板部5804に、角穴付きボルト22が挿通するボルト挿通孔78が形成されている。
本変形例の角穴付きボルト22は、角穴が設けられた頭部24と、頭部24から突設された雄ねじ部26とを有する偏心ボルトであって、頭部24は、第1の実施の形態と同様に、外周面部2402、一対の傾斜面部2404、およびボルト側平坦面部2406とを有している。
そして、角穴付きボルト22による上取り付け板部60Bと下取り付け板部58Bとの締結は、角穴付きボルト22の雄ねじ部26が上取り付け板部60Bと下取り付け板部58Bのボルト挿通孔62、78に挿通され、下取り付け板部58Bから突出する雄ねじ部26の箇所にナット28が螺合することでなされている。
【0051】
次に、本変形例のパイプクランプ10Eによるパイプ12の保持方法およびパイプクランプ10Eの取り付け方法について説明する。
まず、第2の実施の形態と同様に、パイプクランプ10Eを成型加工しながらパイプ12を保持する。
次に、角穴付きボルト22を上取り付け板部60Bと下取り付け板部58Bのボルト挿通孔62、78に挿通し、下取り付け板部58Bから突出する雄ねじ部26の箇所にナット28を螺合する。
詳細には、パイプクランプ側平坦面部5404に外周面部2402が対向するように角穴付きボルト22の頭部24の姿勢を維持させ、雄ねじ部26を一対の取り付け板部56Bのボルト挿通孔62、78に挿通し、下取り付け板部58Bから突出する雄ねじ部26にナット28を螺合させ、角穴付きボルト22の頭部24が上取り付け板部60B上でがたつかない程度にナット28を回転させる。
このように角穴付きボルト22を配置したならば、頭部24の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト22を回転させてボルト側平坦面部2406をパイプクランプ側平坦面部5404に圧接させる。
圧接させたならば、さらにナット28を回転させ、頭部24とナット28とにより一対の取り付け板部56Bを挟持し固定する。
その後、第2の実施の形態と同様に、パイプクランプ10Eをブラケット34Aに取り付ける。
これにより円弧状板部54がパイプ12に巻き付いて、円弧状板部54の端部がパイプ12の外周面1202を圧接することでパイプ12が保持され、下取り付け板部58Bが角穴付きボルト22の頭部24とブラケット34Aの被取り付け面3402により挟持されることでパイプクランプ10Eがブラケット34Aに取り付けられる。
【0052】
このように、第2の実施の形態の変形例2によれば、角穴付きボルト22による上取り付け板部60Bと下取り付け板部58Bとの締結を、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を、上取り付け板部60Bと下取り付け板部58Bに形成されたボルト挿通孔62、78に挿通し、下取り付け板部58Bから突出する雄ねじ部26の箇所にナット28が螺合する構成としたため、ボルト側平坦面部2406をパイプクランプ側平坦面部5404に圧接させるための角穴付きボルト22の回転操作が1回で済み、作業効率を高めるうえで有利となる。
また、第2の実施の形態と同様の箇所は、第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0053】
(第2の実施の形態の変形例2)
次に、図12を参照して第2の実施の形態の変形例2について説明する。
第2の実施の形態にかかるパイプクランプ10Dでは、角穴付きボルト22の一対の取り付け板部56Aへの締結と、パイプクランプ10Dのブラケット34Aの取り付けを別個に行っていたのに対して、第2の実施の形態の変形例2にかかるパイプクランプ10Fでは、角穴付きボルト22を一対の取り付け板部56Cへ締結するとともにパイプクランプ10Fのブラケット34Aへの取り付けを行う点が異なっている。
【0054】
本変形例のパイプクランプ10Fの下取り付け板部58Cは、第2の実施の形態の第1下取り付け板部5804に相当する部分のみで形成されている。つまり、第2下取り付け板部5806を有していない。
上取り付け板部60Cおよび下取り付け板部58Cは、所定位置にそれぞれ角穴付きボルト22が挿通するボルト挿通孔62、78が形成されている。
また、ブラケット34Aには、第2の実施の形態と同様に、雌ねじ3404が形成されている。
そして、角穴付きボルト22による上取り付け板部60Cと下取り付け板部58Cとの締結は、角穴付きボルト22の雄ねじ部26が上取り付け板部60Cと下取り付け板部58Cのボルト挿通孔62、78に挿通されてブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合することでなされている。
【0055】
次に、本変形例のパイプクランプ10Fによるパイプ12の保持方法およびパイプクランプ10Fの取り付け方法について説明する。
まず、第2の実施の形態と同様に、パイプクランプ10Fを成型加工しながらパイプ12を保持したならば、角穴付きボルト22を一対の取り付け板部56Cに締結するとともにパイプクランプ10Fのブラケット34Aへの取り付けを行う。
すなわち、取り出したパイプクランプ10Fの下取り付け板部58Cがブラケット34Aの被取り付け面3402に載置され、雄ねじ部26を上取り付け板部60Cと下取り付け板部58Cのボルト挿通孔62、78に挿通し、頭部24の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト22を回転させて雄ねじ部26をブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合させていく。
そして、角穴付きボルト22の頭部24の下面が上取り付け板部60Cの上面に圧接されるまで角穴付きボルト22を回転させると、ボルト側平坦面部2406とパイプクランプ側平坦面部5404とが当接し、円弧状板部54の他端がパイプ12の外周面1202に圧接される。
これにより円弧状板部54がパイプ12に巻き付いて、円弧状板部54の端部がパイプ12の外周面1202を圧接することでパイプ12が保持され、一対の取り付け板部56Cが角穴付きボルト22の頭部24とブラケット34Aの被取り付け面3402により挟持されることでパイプクランプ10Fがブラケット34Aに取り付けられる。
【0056】
このように、第2の実施の形態の変形例2によれば、下取り付け板部58Cをブラケット34Aに載置し、角穴付きボルト22による上取り付け板部60Cと下取り付け板部58Cとの締結を、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を、上取り付け板部60Cと下取り付け板部58Cに形成されたボルト挿通孔62、78に挿通し、ブラケット34Aに形成された雌ねじ26に螺合する構成としたため、角穴付きボルト22の一対の取り付け板部56Cへの締結とともにパイプクランプ10Fをブラケット34Aに取り付けることができ、作業効率を高める上で有利となる。また、パイプクランプ10Fをブラケット34Aに取り付けるためのボルトなどの部品が不要となり、コストを削減する上で有利となる。
また、第2の実施の形態と同様の箇所は、第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0057】
(第2の実施の形態の変形例3)
次に、図13を参照して第2の実施の形態の変形例3について説明する。
第2の実施の形態の変形例2にかかるパイプクランプ10Fでは、角穴付きボルト22の取り付け板部56Cへの締結の際、角穴付きボルト22をブラケット34Aの雌ねじ3404に螺合していたのに対して、第2の実施の形態の変形例3にかかるパイプクランプ10Fでは、角穴付きボルト22の雄ねじ部26にナット28を螺合している点が異なっている。
【0058】
本変形例のパイプクランプ10Fの取り付け板部56Cは、第2の実施の形態の変形例2と同様であり、上取り付け板部60Cおよび下取り付け板部58Cは、所定位置にそれぞれ角穴付きボルト22が挿通するボルト挿通孔62、78が形成されている。
また、ブラケット34Bにも、角穴付きボルト22が挿通するボルト挿通孔3406が形成されている。
そして、角穴付きボルト22による上取り付け板部60Cと下取り付け板部58Cとの締結は、角穴付きボルト22の雄ねじ部26が上取り付け板部60Cと下取り付け板部58Cとブラケット34Bのボルト挿通孔62、78、3406に挿通され、ブラケット34Bから突出する雄ねじ部26の箇所にナット28が螺合することでなされている。
【0059】
次に、本変形例のパイプクランプ10Fによるパイプ12の保持方法およびパイプクランプ10Fの取り付け方法について説明する。
まず、第2の実施の形態と同様に、パイプクランプ10Fを成型加工しながらパイプ12を保持したならば、角穴付きボルト22を一対の取り付け板部56Cに締結するとともにパイプクランプ10Fのブラケット34Bへの取り付けを行う。
すなわち、取り出したパイプクランプ10Fの下取り付け板部58Cをブラケット34Bの被取り付け面3402に載置する。そして、パイプクランプ側平坦面部5404に外周面部2402が対向するように角穴付きボルト22の頭部24の姿勢を維持させ、雄ねじ部26を一対の取り付け板部56Cのボルト挿通孔62、78およびブラケット34Bのボルト挿通孔3406に挿通し、ブラケット34Bから突出する雄ねじ部26にナット28を螺合させ、角穴付きボルト22の頭部24が取り付け板部56C上でがたつかない程度にナット28を回転させる。
このように角穴付きボルト22を配置したならば、頭部24の角穴に六角レンチなどの回転操作用の工具を係合させ、角穴付きボルト22を回転させてボルト側平坦面部2406をパイプクランプ側平坦面部5404に圧接させる。
圧接させたならば、さらにナット28を回転させ、頭部24とナット28とにより取り付け板部56Cおよびブラケット34Bを挟持し固定する。
これにより円弧状板部54がパイプ12に巻き付いて、円弧状板部54の端部がパイプ12の外周面1202を圧接することでパイプ12が保持され、取り付け板部56Cが角穴付きボルト22の頭部24とブラケット34Bの被取り付け面3402により挟持されることでパイプクランプ10Fがブラケット34Bに取り付けられる。
【0060】
このように、第2の実施の形態の変形例3によれば、下取り付け板部58Cをブラケット34Bに載置し、角穴付きボルト22による上取り付け板部60Cと下取り付け板部58Cとの締結を、角穴付きボルト22の雄ねじ部26を、上取り付け板部60Cと下取り付け板部58Cとブラケット34Bに形成されたボルト挿通孔62、78、3406に挿通し、ブラケット34Bから突出する雄ねじ部26の箇所にナット28を螺合する構成としたため、角穴付きボルト22の一対の取り付け板部56Cへの締結とともにパイプクランプ10Fをブラケット34Bに取り付けることができ、作業効率を高める上で有利となる。また、ナット28を用いることで、ボルト側平坦面部2406をパイプクランプ側平坦面部5404に圧接させるための角穴付きボルト22の回転操作が1回で済み、作業効率を高めるうえで有利となる。
また、第2の実施の形態と同様の箇所は、第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0061】
なお、上記の実施の形態では、金型を用い、円弧状板部を塑性変形することでパイプクランプによりパイプを保持する場合について説明したが、本発明は、パイプを挿脱できるように予めパイプ挿通孔がパイプよりも若干大きい内径で形成されたパイプクランプを成形しておき、ボルトの頭部のボルト側平坦面部により円弧状板部の端部のパイプクランプ側平坦面部をパイプに押し付けてパイプを保持するようにしてもよい。
この場合には、パイプクランプには金属製の他に合成樹脂製のものも使用でき、また、金属製や合成樹脂製のパイプの他にゴム製などのパイプの保持にも適用可能となる。
また、この場合には、第1、第2の実施の形態と同様に、取り付け板部は1枚であってもよく、一対設けられていてもよい。
ただしこの場合には、パイプの直径方向の両側からパイプの外周面が円弧状板部の内周面で挟持されるのに対して、第1、第2の実施の形態のように、金型を用いて円弧状板部を成形した場合には、円弧状板部の内周面のほぼ全周がパイプの外周面に圧接され、さらに、パイプの直径方向においてパイプの外周面が円弧状板部の内周面で挟持されるので、実施の形態の方がパイプの保持力を高める上では有利となる。
【符号の説明】
【0062】
10A、10B、10C、10D、10E、10F パイプクランプ
12 パイプ
1202 外周面
14、54 円弧状板部
1402、5402 内周面
1404、5404 パイプクランプ側平坦面部
16A、16B、16C 取り付け板部
22、32 角穴付きボルト
24、3202 頭部
2402 外周面部
2404 一対の傾斜面部
2406 ボルト側平坦面部
26、3204 雄ねじ部
28 ナット
30、70 圧接部
34A、34B ブラケット
3402 被取り付け面
36、72 上型
3602、7202 円弧状型部
3604、7204 平坦面型部
3606、7206 下端部
38、74 載置台
40、76 金型
56A、56B、56C 一対の取り付け板部
58A、58B、58C 下取り付け板部
5802 段差
5804 第1下取り付け板部
5806 第2下取り付け板部
60A、60B、60C 上取り付け板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13