(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072550
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】情報処理方法および装置、船舶、プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 3/00 20060101AFI20240521BHJP
G01C 21/20 20060101ALI20240521BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G08G3/00 A
G01C21/20
G09B29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183425
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】安間 寛文
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】岡本 順敬
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英吉
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2C032HC09
2F129AA14
2F129BB03
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF37
5H181AA25
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF05
5H181FF22
(57)【要約】
【課題】船舶が通信圏外領域に入った際に警告不能となる状況を抑制する。
【解決手段】モバイル端末4のCPU21は、船舶6の位置と、船舶6の速度または進行方向の少なくとも一方と、を取得し、さらに通信圏情報を取得する。CPU21は、位置と、速度または進行方向の少なくとも一方と、に基づいて、船舶6が通信圏外領域RBに接近したか否かを判定し、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定されたことに応じて、位置に応じた対象領域401に関するロケーション情報19をサーバ2からダウンロードする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと通信可能な通信装置のコンピュータに、
船舶の位置と、前記船舶の速度または進行方向の少なくとも一方と、を取得する第1の取得ステップと、
海図上の領域が通信圏内領域か通信圏外領域かを示す通信圏情報を取得する第2の取得ステップと、
前記位置と、前記速度または前記進行方向の少なくとも前記一方と、に基づいて、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したか否かを判定する判定ステップと、
前記船舶が前記通信圏外領域に接近したと判定されたことに応じて、前記位置に応じた領域に関する、警告を発するための注意喚起情報を含むロケーション情報を前記サーバからダウンロードする制御ステップと、を実行させる、情報処理方法。
【請求項2】
前記制御ステップは、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したと判定されたタイミングで、前記ロケーション情報のダウンロードを開始する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記制御ステップは、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したと判定された場合に、前記ロケーション情報のダウンロードの開始タイミングを決定し、決定した前記開始タイミングが到来すると前記ロケーション情報のダウンロードを開始する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記制御ステップは、前記サーバとの通信速度と、ダウンロードする前記ロケーション情報のデータ容量とを取得し、前記通信速度と前記データ容量とに基づいて、前記開始タイミングを決定する、請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
ダウンロードする前記ロケーション情報の対象領域は、前記進行方向における第1の所定距離内の領域を含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記制御ステップは、ダウンロードする前記ロケーション情報の対象領域を、前記位置と、前記速度または前記進行方向の少なくとも前記一方と、に基づいて決定する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記制御ステップは、前記船舶を推進させるための燃料の残量を取得し、ダウンロードする前記ロケーション情報の対象領域を、前記残量と、前記位置と、前記速度または前記進行方向の少なくとも前記一方と、に基づいて決定する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記ロケーション情報は複数の情報を含み、
前記制御ステップは、前記ロケーション情報をダウンロードする際、前記注意喚起情報を優先してダウンロードする、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記ロケーション情報は、前記海図よりも詳細な地図情報と、構造物情報と、を含み、
前記制御ステップは、前記ロケーション情報をダウンロードする際、前記注意喚起情報、第2の所定距離内の前記詳細な地図情報、前記構造物情報、前記第2の所定距離外の前記詳細な地図情報、の順でダウンロードする、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項10】
船舶の位置と、前記船舶の速度または進行方向の少なくとも一方と、を取得する第1の取得部と、
海図上の領域が通信圏内領域か通信圏外領域かを示す通信圏情報を取得する第2の取得部と、
前記位置と、前記速度または前記進行方向の少なくとも前記一方と、に基づいて、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したか否かを判定する判定部と、
前記船舶が前記通信圏外領域に接近したと判定されたことに応じて、前記位置に応じた領域に関する、警告を発するための注意喚起情報を含むロケーション情報をダウンロードする制御部と、有する、船舶。
【請求項11】
船舶の位置と、前記船舶の速度または進行方向の少なくとも一方と、を取得する第1の取得部と、
海図上の領域が通信圏内領域か通信圏外領域かを示す通信圏情報を取得する第2の取得部と、
前記位置と、前記速度または前記進行方向の少なくとも前記一方と、に基づいて、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したか否かを判定する判定部と、
前記船舶が前記通信圏外領域に接近したと判定されたことに応じて、前記位置に応じた領域に関する、警告を発するための注意喚起情報を含むロケーション情報をダウンロードする制御部と、有する、情報処理装置。
【請求項12】
サーバと通信可能な通信装置のコンピュータに、
船舶の位置と、前記船舶の速度または進行方向の少なくとも一方と、を取得する第1の取得ステップと、
海図上の領域が通信圏内領域か通信圏外領域かを示す通信圏情報を取得する第2の取得ステップと、
前記位置と、前記速度または前記進行方向の少なくとも前記一方と、に基づいて、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したか否かを判定する判定ステップと、
前記船舶が前記通信圏外領域に接近したと判定されたことに応じて、前記位置に応じた領域に関する、警告を発するための注意喚起情報を含むロケーション情報を前記サーバからダウンロードする制御ステップと、を実行させる、プログラム。
【請求項13】
開始指示または終了指示を受け付ける受け付けステップと、
前記開始指示が受け付けられたことに応じて、前記通信装置の位置情報を取得する処理を開始し、前記終了指示が受け付けられたことに応じて、前記処理を終了する処理ステップと、を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記制御ステップは、取得された前記位置情報に基づき前記通信装置が海域に位置するか陸域に位置するかを判定し、前記通信装置が前記海域に位置すると判定されていることを条件に、前記位置情報を前記サーバへアップロードする、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記制御ステップは、前記処理が開始された後、前記通信装置が前記陸域に位置すると判定すると、前記処理を終了する、請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記制御ステップは、前記処理が開始された後、前記通信装置が前記陸域に位置すると判定すると前記処理を中断し、その後、前記通信装置が前記海域に位置すると判定すると前記処理を再開する、請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記制御ステップは、前記通信装置と前記船舶とが共に前記陸域に位置すると判定すると、前記処理の中断中であっても前記処理を終了する、請求項15に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記受け付けステップは、第1モードと第2モードとを選択的に受け付け、
前記制御ステップは、前記第1モードにおいては、前記処理が開始された後、前記通信装置が前記陸域に位置すると判定すると前記処理を終了し、前記第2モードにおいては、前記処理が開始された後、前記通信装置が前記陸域に位置すると判定すると前記処理を中断し、その後、前記通信装置が前記海域に位置すると判定すると前記処理を再開する、請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項18】
開始指示または終了指示を受け付ける受け付けステップと、
前記開始指示が受け付けられたことに応じて、前記通信装置の位置情報を取得する処理を開始し、前記終了指示が受け付けられたことに応じて、前記処理を終了する処理ステップと、
前記通信装置と船舶との距離を取得する第3の取得ステップと、を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記制御ステップは、取得された前記距離が第3の所定距離以内であることを条件に、前記位置情報を前記サーバへアップロードする、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項19】
開始指示または終了指示を受け付ける受け付けステップと、
前記開始指示が受け付けられたことに応じて、前記通信装置の位置情報を取得する処理を開始し、前記終了指示が受け付けられたことに応じて、前記処理を終了する処理ステップと、
前記通信装置と船舶との通信状況を取得する第4の取得ステップと、を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記制御ステップは、前記通信装置と前記船舶との通信が確立していることを条件に、前記位置情報を前記サーバへアップロードする、請求項1に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法および装置、船舶、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の分野においては、車両が通信網の圏外に移動しても通信サービスを極力継続利用するために、車両が通信網の圏外エリアに入る前に、取得すべき情報がある場合にはその情報のダウンロードを要求する技術が開示されている(特許文献1)。
【0003】
一方、船舶の分野において、進入禁止や徐行等が設定された領域に船舶が入ると警告を発する運用がなされている。船舶または操船者は、航行中に、警告を発するための注意喚起情報を含むロケーション情報を随時取得する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、船舶が通信圏外領域へ入るとロケーション情報を新たに取得することができないため、警告を発することができなくなる場合がある。
【0006】
本発明は、船舶が通信圏外領域に入った際に警告不能となる状況を抑制することができる情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様による情報処理方法は、サーバと通信可能な通信装置のコンピュータに、船舶の位置と、前記船舶の速度または進行方向の少なくとも一方と、を取得する第1の取得ステップと、海図上の領域が通信圏内領域か通信圏外領域かを示す通信圏情報を取得する第2の取得ステップと、前記位置と、前記速度または前記進行方向の少なくとも前記一方と、に基づいて、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したか否かを判定する判定ステップと、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したと判定されたことに応じて、前記位置に応じた領域に関する、警告を発するための注意喚起情報を含むロケーション情報を前記サーバからダウンロードする制御ステップと、を実行させる。
【0008】
この構成によれば、サーバと通信可能な通信装置のコンピュータは、船舶の位置と、前記船舶の速度または進行方向の少なくとも一方と、を取得し、図上の領域が通信圏内領域か通信圏外領域かを示す通信圏情報を取得し、記位置と、前記速度または前記進行方向の少なくとも前記一方と、に基づいて、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したか否かを判定し、前記船舶が前記通信圏外領域に接近したと判定されたことに応じて、前記位置に応じた領域に関する、警告を発するための注意喚起情報を含むロケーション情報を前記サーバからダウンロードする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、船舶が通信圏外領域に入った際に警告不能となる状況を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】情報処理システムの要部のブロック図である。
【
図6】モバイル端末におけるロケーション情報取得処理を実現する機能ブロックを示す図である。
【
図7】ロケーション情報取得処理を示すフローチャートである。
【
図8】船舶とモバイル端末との位置関係を示す概念図である。
【
図9】位置情報提供処理を示すフローチャートである。
【
図10】モバイル端末における位置情報提供処理を実現する機能ブロックを示す図である。
【
図11】船舶とモバイル端末との位置関係を示す概念図である。
【
図12】第1、第2の変形例に係る位置情報提供処理を示すフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【0013】
この情報処理システム1は、サーバ2、PC端末3、モバイル端末4、マイコン5、及びECU(Engine Control Unit)61を含む。ECU61は船舶6に搭載される。サーバ2、PC端末3、モバイル端末4、及びマイコン5は、ネットワークNを介して無線又は有線で互いに通信可能に接続される。また、モバイル端末4とマイコン5とが有線又は無線で接続され通信可能である。なお、情報処理システム1に含まれる構成は、それぞれが複数であってもよい。
【0014】
PC端末3は、PC(Personal Computer)である。PC端末3は、スマートフォン、タブレット、携帯電話、ノート型PC、又はウェアラブルコンピュータであってもよい。
【0015】
モバイル端末4は、船舶6に取り付けられた携帯端末(通信装置)である。モバイル端末4は、船舶6に搭乗する人が保持していてもよい。モバイル端末4は、典型的にはスマートフォンであるが、PC、タブレット、携帯電話、ノート型PC、又はウェアラブルコンピュータなどの情報処理装置である。
【0016】
マイコン5は、船舶6に内蔵された基板に搭載された半導体装置、又は半導体装置と電子部品との組み合わせにより構成される情報処理装置である。マイコン5は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせにより実現される。
【0017】
図2は、船舶6の側面図である。船舶6は、一例としてウォータージェット推進艇(水上オートバイ)であり、いわゆるPWC(パーソナルウォータークラフト)である。なお、本発明の実現に関し、船舶6の種類は問わない。従って、船舶6は水上オートバイ以外のジェット推進艇(スポーツボートなど)でもよい。また、船舶6はPWCに限定されず、船外機、船内機または船内外機によって推進する船舶であってもよい。
【0018】
船舶6は、エンジン11と、エンジン11の駆動力により推力を発生させるジェット推進式の推進部13と、を含む。エンジン11および推進部13は、船舶6を推進する推進機である。
【0019】
エンジン11は、クランクシャフト11aを含む。推進部13は、エンジン11により駆動されることによって、船舶6の後部の下面に設けられた開口を有する水路12に水を取り込むとともに、取り込んだ水を船舶6の後端に位置するノズル13cから噴射する。その結果、船舶6は推進する。
【0020】
推進部13は、ドライブシャフト13aと、インペラ13bと、ノズル13cと、デフレクタ13dと、リバースゲート(バケット)13eと、を含む。ドライブシャフト13aは、前後方向に延びており、前端がクランクシャフト11aに接続されており、後端が水路12内に配置されている。ドライブシャフト13aの後端近傍には、インペラ13bが固定されている。
【0021】
インペラ13bは、ドライブシャフト13aとともに回転することにより、水路12内にノズル13cに向けた流れを発生させる。ノズル13cは、インペラ13bが配置される水路12の最下流位置に配置されている。ノズル13cは、水の排出口(噴射口)としての機能を有している。すなわち、ノズル13cは、水を噴射して推進力を発生させるように構成されている。ノズル13cには、デフレクタ13dおよびリバースゲート13eが設置されている。
【0022】
デフレクタ13dは、上下方向に延びる軸線回りに左右方向に回動可能であり、ノズル13cから噴射される水の向きを左右方向に変更可能に構成されている。リバースゲート13eは、左右方向に延びる軸線回りに上下方向に回動可能である。すなわち、リバースゲート13eは、ノズル13cから噴射される水の向きを前後方向に変更可能なように構成されている。
【0023】
図3は、情報処理システム1の要部のブロック図である。船舶6は、CPU31、ROM32、RAM33、メモリ34、表示部35、入力部36、通信I/F(インターフェイス)37、タイマ(不図示)を備える。ROM32またはメモリ34は制御プログラムを格納している。マイコン5(
図1)は、CPU31、ROM32、RAM33、メモリ34等を含む。
【0024】
CPU31は、ROM32等に格納された制御プログラムをRAM33に展開して実行することにより、各種の制御処理を実現する。RAM33は、CPU31が制御プログラムを実行する際のワークエリアを提供する。表示部35は各種情報を表示する。入力部36は、設定値やモードの入力を船舶6の操船者から受け付ける。通信I/F37は、ネットワークNとの通信が可能であるほか、CAN等によって、駆動源41(エンジン11が該当する)を制御するECU61(
図1)との通信も行うことができる。
【0025】
船舶6は、駆動源41のほか、始動操作部42、各種操作部43、各種処理部44、各種センサ45、位置検出部46、通信I/F47、シフト機構48を備える。
【0026】
始動操作部42は、駆動源41を始動させる指示を入力するための始動スイッチ等である。各種操作部43は、ステアリングやリモコンなど、操船者が操船するために操作される操作部である。各種操作部43は、このほか、操船者が各種設定を入力するのにも用いられる。各種処理部44は、ECU61を含み、船舶6に関する各種の動作を処理する。各種センサ45には、各種操作部43の操作を検出するセンサが含まれる。
【0027】
各種センサ45には、加速度センサ、速度センサ、角速度センサ、方位センサ、エンジン回転数センサ、シフト位置センサ等が含まれてもよい(いずれも図示せず)。位置検出部46は、GPS(Global Positioning System)衛星からGPS信号(測位情報)を受信し、船舶6の現在位置を示す位置情報を出力する。通信I/F47は、CAN等によって、通信I/F37との通信を行うことができる。
【0028】
各種センサ45における速度センサは、船舶6の航行速度(船速)を検出する。方位センサは船舶6の方位を検出する。なお、船舶6の速度や方位を検出する手法は限定されず、例えば、位置検出部46で取得した位置情報に基づき検出(決定)されてもよい。また、船舶6の速度は、エンジン回転数センサで検出されたエンジン回転数NEと、位置検出部46で取得された位置情報との少なくとも一方に基づいて決定されてもよい。例えばCPU31は、エンジン回転数NEから推定される速度と、位置情報の推移から推定される速度との中間の値を、船舶6の速度として決定してもよい。
【0029】
なお、モバイル端末4のCPU21が、エンジン回転数NEおよび位置情報をマイコン5から受信し、これらの少なくとも一方に基づいて船舶6の速度を決定してもよい。
【0030】
シフト機構48は、リバースゲート13eと、リバースゲート13eを操作するレバー(不図示)とを含む。各種センサ45におけるシフト位置センサは、シフト機構48のシフト位置を検出する。船舶6がPWCの場合は、シフト位置センサは、リバースゲート13eの位置を検出する。リバースゲート13eは、前進位置、中立位置、後進位置に位置することが可能である。
【0031】
なお、船外機等に適用されるもののように、ギアを介してシフト位置を変更する構成のシフト機構においては、シフト位置としては、船舶を推進する推進機における前後進切替機構のシフト位置が検出される。なお、構成によっては、シフト位置センサは、シフト機構の実際のシフト位置を検出してもよいし、シフト位置を指示する指示位置を検出してもよい。
【0032】
各種センサ45や位置検出部46による検出結果や、モードの情報は、随時、モバイル端末4へ送信される。また、CPU31は、位置検出部46によるGPS信号の受信状態の良否を判定し、その情報を随時、モバイル端末4へ送信する。
【0033】
モバイル端末4は、CPU21、ROM22、RAM23、メモリ24、表示部25、入力部26、通信I/F27、位置検出部20、タイマ(不図示)を備える。CPU21は、ROM22またはメモリ24に格納された制御プログラムをRAM23に展開して実行することにより、各種の制御処理を実現する。RAM23は、CPU21が制御プログラムを実行する際のワークエリアを提供する。表示部25は各種情報を表示する。入力部26は、各種設定や指示の入力をモバイル端末4の使用者から受け付ける。
【0034】
メモリ24には、各種処理を実現するためのアプリケーションが格納されている。例えば、サーバ2からダウンロードされたアプリケーション28により、後述する
図7に示すロケーション情報取得処理が実現される。また、サーバ2からダウンロードされたアプリケーション29により、後述する
図9に示す位置情報提供処理(第2の実施の形態で説明する)が実現される。本実施の形態では、アプリケーション29は必須でない。通信I/F27は、ネットワークNとの通信が可能である。通信I/F27は、また、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を含む。位置検出部20は、GPS衛星からGPS信号を受信し、モバイル端末4の現在位置を示す位置情報を出力する。
【0035】
サーバ2は、CPU51、ROM52、RAM53、メモリ54、表示部55、入力部56、通信I/F57、タイマ(不図示)を備える。CPU51、ROM52、RAM53、メモリ54、表示部55の構成は、それぞれ、モバイル端末4のCPU21、ROM22、RAM23、メモリ24、表示部25と基本的に同様である。入力部56は、各種設定や指示の入力をサーバ2の使用者から受け付ける。メモリ54には、各種処理を実現するアプリケーションが格納されている。また、メモリ54には、後述する地図情報18およびロケーション情報19が格納されている。通信I/F57は、ネットワークNとの通信が可能である。
【0036】
サーバ2と通信可能に接続される船舶6、モバイル端末4およびPC端末3は、それぞれ複数あってもよい。なお、通信I/F57、27、37、47に含まれる通信機能は複数あってもよく、それらの通信機能の方式は、有線、無線を問わない。また、いずれの通信I/Fも、ネットワークNとの通信を含んでもよく、あるいは近距離無線通信機能を含んでもよい。
【0037】
地図情報18およびロケーション情報19について説明する。地図情報18は、広いエリアをカバーする比較的おおまかな海図(海岸や島の情報も含む)の情報である。サーバ2と通信可能に接続される各船舶は、地図情報18をサーバ2から随時取得することができる。地図情報18には、海図上の領域が通信圏内領域か通信圏外領域かを示す通信圏情報が含まれ、また、大まかに区分されたエリアごとに設定された注意喚起情報が含まれている。注意喚起情報は警告を発するための情報であり、例えば、航行速度が制限される速度制限エリアであること、オーディオ音の音量が制限されるオーディオ制限エリアであること、船舶の進入が禁止される進入禁止エリアであること、などを報知するための情報である。
【0038】
一方、ロケーション情報19は、地図情報18によりカバーされる全領域のうち、各船舶の航行状態に応じて決定される対象領域に対応する情報である。ロケーション情報19には複数の情報が含まれ、注意喚起情報のほか、詳細地
図18a(詳細な地図情報)、構造物情報が含まれる。船舶6は、後述する処理により、適切なタイミングで適切な対象領域に対応するロケーション情報19をサーバ2からダウンロードする。
【0039】
図5でも後述するが、サーバ2は、詳細地
図18a上の領域を、メッシュ状、すなわち格子状に分割した領域のそれぞれであるタイルを単位として管理する。タイルは、地図情報18における区分よりも細かい区分であり、例えばタイル座標により特定される。タイル座標は、互いに直交する2方向における座標で定義される。ロケーション情報19においては、対象領域におけるタイルごとに、注意喚起情報および構造物情報の有無が対応付けられている。
【0040】
図4は、地図情報18の概念図である。
図5は、詳細地
図18aの概念図である。
図4では、地図情報18の全エリアのうち一部のエリアが示されている。地図情報18(
図4)および詳細地
図18a(
図5)は、サーバ2の表示部55に表示されると共に、ロケーション情報取得処理(
図7で後述)を実行している船舶6の操船者が保持するモバイル端末4の表示部25に表示される。詳細地
図18aは、少なくとも対象領域401(後述)を包含する領域の情報である。なお、地図情報18、詳細地
図18aが表示部55または表示部25のいずれかのみに表示されてもよいし、いずれかに表示されることは必須でない。
【0041】
図4に示すように、地図情報18には、通信圏内領域RA(RA1、RA2)と通信圏外領域RBとを示す情報が含まれる。通信圏内領域RA1と通信圏外領域RBとの境界をLBで示す。通信圏内領域RAは、船舶6とサーバ2とがネットワークN等によって通信可能な領域であり、この通信圏内領域RAに位置する船舶6はサーバ2から各種情報をダウンロードできる。通信圏外領域RBは、船舶6とサーバ2とが通信できない領域であり、この通信圏外領域RBに位置する船舶6はサーバ2から各種情報をダウンロードできない。地図情報18には、通信圏内領域RAが船舶6と通信可能な領域であること、通信圏外領域RBが船舶6と通信不能な領域であること、を示す情報が含まれている。
【0042】
図6は、モバイル端末4におけるロケーション情報取得処理(
図7)を実現する機能ブロックを示す図である。この機能ブロックには、機能部として、第1の取得部601、第2の取得部602、判定部603、制御部604、受け付け部605、処理部606が含まれる。これらの各機能部は、主として、モバイル端末4のCPU21、ROM22、RAM23、メモリ24、表示部25、通信I/F27および位置検出部20のうちいずれか2つ以上の協働により実現される。モバイル端末4において、アプリケーション28が予めインストールされている。アプリケーション28が起動することで、第1の取得部601、第2の取得部602、判定部603、制御部604の各機能部の機能が実行される。なお、受け付け部605、処理部606は第2の実施の形態(後述)で必要となる機能部であり、本実施の形態では必須でない。
【0043】
【0044】
第1の取得部601は、船舶6の位置と、船舶6の速度または進行方向の少なくとも一方と、を取得する。第2の取得部602は、地図情報18上の領域が通信圏内領域RAか通信圏外領域RBかを示す通信圏情報を取得する。判定部603は、取得された位置と、速度または進行方向の少なくとも一方と、に基づいて、船舶6が通信圏外領域RBに接近したか否かを判定する。制御部604は、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定されたことに応じて、位置に応じた領域に関するロケーション情報をサーバ2からダウンロードする。これにより、船舶6が新たに通信圏外領域RBに入ったとしても、その直前にダウンロードしておいたロケーション情報を用いて警告が可能となる。これらの各処理は、船舶6が通信圏内領域RAに位置するときに実行可能であり、具体的には次に例示する態様により実現される。
【0045】
第1の取得部601は、各種センサ45における速度センサで検出された船舶6の速度と、位置検出部46から出力された位置情報とを、マイコン5から受信することで取得する。さらに第1の取得部601は、受信した位置情報の時間的推移(所定時間内での変化)から、進行方向を決定する。あるいは、第1の取得部601は、マイコン5で決定された進行方向を受信することで取得してもよい。
【0046】
第2の取得部602は、現在位置から一定半径内の領域の通信圏情報を、ネットワークNを通じてサーバ2から受信することで取得してもよい。ここでいう一定半径は、警告を発する対象とすべき領域が含まれるような距離であり、
図4に示す距離L1より十分に長い。なお、通信圏情報を取得する領域を、進行方向の所定角度範囲に限定してもよい。例えば、
図4の例でいえば、通信圏情報として、通信圏内領域RA-1およびRA-2、通信圏外領域RBが、通信可能な領域、通信不能な領域であることを示す情報が取得される。
【0047】
判定部603が、船舶6が通信圏外領域RBに接近したか否かを判定する方法はいくつか考えられる。一例として、判定部603は、通信圏内領域RA1と通信圏外領域RBとの境界LBと船舶6(
図4に点線で示す船舶6)の現在位置との距離L0が所定値未満となった場合に、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定してもよい。この場合、速度を用いる必要はない。あるいは、判定部603は、位置、速度および進行方向に基づいて、境界LBへの到達所要時間を算出し、到達所要時間が所定時間未満となった場合に、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定してもよい。あるいは、判定部603は、現在位置から所定半径の範囲に境界LBが含まれる場合に、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定してもよい。この場合、進行方向の情報を用いる必要はない。なお、判定部603は、これらいずれか1つでも該当した場合に、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定してもよい。
【0048】
船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定されたことに応じて、制御部604は、ネットワークNを通じてロケーション情報19をサーバ2からダウンロードする。ここで、ロケーション情報19のダウンロードの開始タイミング、および対象領域については、次のように処理される。
【0049】
まず、制御部604は、ロケーション情報19のダウンロードを、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定されたら即時に(つまり通信圏外領域RBに接近したと判定されたタイミングで)開始してもよい。あるいは、制御部604は、ダウンロードの開始タイミングを決定し、決定した開始タイミングが到来すると、ロケーション情報19のダウンロードを開始してもよい。
【0050】
例えば、制御部604は、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定された時点から所定時間だけ経過した後のタイミングを、開始タイミングとして決定してもよい。あるいは、制御部604は、サーバ2との通信速度と、ダウンロードするロケーション情報19のデータ容量とを取得し、取得した通信速度とデータ容量とに基づいて開始タイミングを決定してもよい。この場合、通信速度が遅いほど、あるいは、データ容量が大きいほど、開始タイミングが早く訪れるように決定される。その際に、現在位置と通信圏外領域RBとの距離L0(
図4)も考慮してもよい。通信圏外領域RBまでの距離L0と、通信速度と、データ容量とに基づいて開始タイミングを決定する場合、距離L0が長いほど、通信速度が遅いほど、あるいは、データ容量が大きいほど、開始タイミングが早く訪れるように決定される。
【0051】
対象領域401は、ロケーション情報19をダウンロードする対象となる領域である。対象領域401は、現在位置を基準とする固定の範囲であってもよい。この場合、制御部604は、進行方向における第1の所定距離L1内の領域を含むように対象領域401を決定してもよい。
図4に実線で示す位置に船舶6が到来した時点が、開始タイミングであるとする。第1の所定距離L1は、固定値であり、一例として、燃料が満タンのときに船舶6が航行可能な直線距離(例えば、150km)である。対象領域401は、開始タイミングでの船舶6の推定位置から第1の所定距離L1の範囲のうち、進行方向を中央とする角度θの角度範囲の扇形の領域である。
【0052】
あるいは、対象領域401を可変とし、制御部604は、ロケーション情報19をダウンロードする対象領域401を、位置、速度および進行方向に基づいて決定してもよい。この場合、速度が速いほど第1の所定距離L1は長くなる。なお、角度θも、位置、速度および進行方向に基づいて可変としてもよい。例えば、速度が速いほど角度θを狭くしてもよい。
【0053】
あるいは、対象領域401を可変とする際、制御部604は、船舶6を推進させるための燃料(本実施の形態ではエンジン11用のガソリン等の燃料)の残量の情報を取得し、残量を考慮してもよい。制御部604は、残量、位置、速度および進行方向に基づいて対象領域401を決定してもよい。この場合、残量が多いほど、あるいは速度が速いほど、第1の所定距離L1は長くなる。
【0054】
なお、処理をより簡素化するためには、対象領域401は、現在位置を基準とする所定半径の範囲であってもよい。この場合、速度および進行方向を用いる必要はない。
【0055】
図5に示すように、サーバ2は、タイルごとに、注意喚起情報および構造物情報の有無を対応付けて管理している。なお、サーバ2は、対象領域401の外郭線を包含するタイルは、対象領域401に属するとして扱うが、対象領域401に属さないとして扱ってもよい。
【0056】
制御部604は、対象領域401に対応するロケーション情報19を取得する。ロケーション情報19における注意喚起情報および詳細地
図18aには、対象領域401に対応するものが少なくとも含まれる。詳細地
図18aには構造物情報として構造物403を示す情報も含まれる。
【0057】
制御部604は、ロケーション情報19をダウンロードする際、ロケーション情報19に含まれる複数の情報に対して、ダウンロードの優先順位を付けてもよい。例えば、制御部604は、注意喚起情報を優先してダウンロードしてもよい。あるいは、制御部604は、
図5に示す優先領域402に対応するロケーション情報19を優先してダウンロードしてもよい。優先領域402は、対象領域401のうち、ロケーション情報19をダウンロードする際にダウンロードする優先順位の高い領域を示している。優先領域402に対応するロケーション情報が優先的にダウンロードされる。
【0058】
ここで、優先領域402は、開始タイミングでの船舶6の推定位置から第2の所定距離L2の範囲のうち、進行方向を中央とする角度θの角度範囲の扇形の領域であり、対象領域401より狭い。第2の所定距離L2は、一例として2海里である。
【0059】
あるいは、制御部604は、ロケーション情報19をダウンロードする際、注意喚起情報、優先領域402内の詳細地
図18a、構造物情報、第2の所定距離L2外(優先領域402以外の対象領域401)における詳細地
図18a、の順でダウンロードしてもよい。
【0060】
図7は、ロケーション情報取得処理を示すフローチャートである。この処理は、モバイル端末4において、ROM22またはメモリ24に格納されたプログラムを、CPU21がRAM23に展開して実行することにより実現される。この処理は、アプリケーション28が起動されると開始される。
【0061】
ステップS101では、CPU21は、海図である地図情報18が取得済みであるか否かを判別する。地図情報18が未取得であれば、CPU21は、ステップS110で、地図情報18をサーバ2へ要求し、ダウンロードすることで取得し、ステップS101に戻る。地図情報18が取得済みとなると、CPU21は、ステップS102に進み、その他の処理を実行する。ここでは、アプリケーション28の停止や終了の指示があれば、CPU21は、
図7に示すロケーション情報取得処理を中断、終了させる処理を実行する。
【0062】
ステップS103では、CPU21は、上述のように、船舶6の位置(現在位置)、速度、進行方向をマイコン5から受信する等によって取得する。なお、速度または進行方向については、その後の処理に用いない場合、取得することは必須でない。
【0063】
ステップS104では、CPU21は、上述のように、通信圏情報を、ネットワークNを通じてサーバ2から受信することで取得する。ステップS105では、CPU21は、上述したいずれかの方法により、船舶6が通信圏外領域RBに接近したか否かを判定する。そしてCPU21は、船舶6が通信圏外領域RBに接近していないと判定した場合は、ステップS102に戻り、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定した場合は、ステップS106に進む。
【0064】
ステップS106では、CPU21は、上述したいずれかの方法により、ロケーション情報19のダウンロードの開始タイミング、および対象領域401を決定する。ステップS107では、CPU21は、開始タイミングが到来したか否かを判別する。仮に、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定された時点を開始タイミングと決定していた場合は、ステップS107では直ちに開始タイミングが到来したと判別される。
【0065】
そしてCPU21は、開始タイミングが到来していない場合は、ステップS111に進み、船舶6の進行方向に変化があったか否かを判別する。なお、この処理が適用される場合は、進行方向の情報は逐次取得されているとする。その判別の結果、CPU21は、船舶6の進行方向に変化がない場合はステップS107に戻り、船舶6の進行方向に変化があった場合はステップS102に戻る。
【0066】
なお、ステップS111では、速度が変化した場合もステップS102に戻るようにしてもよい。ステップS111を設けることは必須でなく、ステップS107では、開始タイミングが到来するまで待機してもよい。
【0067】
一方、ステップS107での判別の結果、開始タイミングが到来した場合は、CPU21は、ステップS108に進み、決定された対象領域401に対応するロケーション情報19のダウンロードを開始する。その際、上述したように、ロケーション情報19に含まれる複数の情報に対してダウンロードの優先順位を付けていた場合は、その優先順位に従ってダウンロードされる。なお、ダウンロードの優先順位を付けるか否かは、その他の処理(ステップS102)で、モバイル端末4の使用者からの指示により指定されてもよい。
【0068】
ダウンロードを開始するために、CPU21は、サーバ2へ、ロケーション情報19の送信要求を発行する。それに応じて、サーバ2が、該当するロケーション情報19をモバイル端末4へ送信する。また、サーバ2は、要求されたロケーション情報19の送信が完了すると、完了通知をモバイル端末4へ送信する。
【0069】
ステップS108では、CPU21は、その他の処理を実行し、
図7に示すロケーション情報取得処理を終了する。なお、ここでのその他の処理では、CPU21は、
図7に示すロケーション情報取得処理を終了した後、一定の時間を待機してから、
図7に示すロケーション情報取得処理を再開するようタイマをスタートさせてもよい。また、その他の処理では、サーバ2から完了通知が受信されれば、CPU21は、その旨を画面表示や音声によって報知してもよい。
【0070】
本実施の形態によれば、モバイル端末4において、船舶6の位置と、船舶6の速度または進行方向の少なくとも一方と、が取得され、通信圏情報が取得される。位置と、速度または進行方向の少なくとも一方と、に基づいて、船舶6が通信圏外領域RBに接近したか否かが判定される。船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定されたことに応じて、位置に応じた対象領域401に関するロケーション情報19がサーバ2からダウンロードされる。従って、船舶6が新たに通信圏外領域RBに入ったとしても、その直前に対象領域401に対応するロケーション情報19がダウンロードされている。よって、船舶6が通信圏外領域RBに入った際に警告不能となる状況を抑制することができる。
【0071】
また、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定されたタイミングで、ロケーション情報19のダウンロードを開始すれば、ロケーション情報19を迅速に取得でき、警告不能となる状況は一層抑制される。
【0072】
また、CPU21は、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定された場合に、ダウンロードの開始タイミングを決定し、決定した開始タイミングが到来するとロケーション情報19のダウンロードを開始する。これにより、ロケーション情報19の必要性が高まったときにダウンロードが開始されるので、無駄なデータの取得を抑制することができる。
【0073】
また、サーバ2との通信速度と、ダウンロードするロケーション情報19のデータ容量とに基づいて開始タイミングを決定すれば、必要なデータの取得に間に合うようにダウンロードを開始でき、無駄なデータの取得を抑制することができる。
【0074】
また、進行方向における第1の所定距離L1内の領域を含む領域を対象領域401として決定すれば、処理を簡素化することができる。あるいは、対象領域401を、位置と、速度または進行方向の少なくとも一方と、に基づいて決定すれば、必要に応じたより適切な範囲に対象領域401を決定することができる。また、対象領域401を、燃料の残量と、位置と、速度または進行方向の少なくとも一方と、に基づいて決定すれば、残量に応じて航行可能な範囲で対象領域401を決定することができる。
【0075】
また、ロケーション情報19をダウンロードする際、注意喚起情報を優先してダウンロードすることで、警告に必要な情報を優先的に取得することができる。また、ロケーション情報19をダウンロードする際、注意喚起情報、第2の所定距離L2内の詳細地
図18a、構造物情報、第2の所定距離L2外の詳細地
図18aの順でダウンロードすれば、必要の度合いの高い情報から優先的に取得することができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、
図7に示すロケーション情報取得処理は、情報処理装置となるモバイル端末4で実行されるとしたが、これに限らない。例えば、マイコン5がロケーション情報取得処理を実行し、ロケーション情報19をサーバ2からダウンロードしてもよい。この場合、マイコン5が情報処理装置となる。
【0077】
なお、船舶6が通信圏外領域RBに接近したと判定された場合において、通信圏外領域RBに入った後、すぐに次の通信圏内領域RAに入ると推定される場合は、対象領域401を減少させてもよい。例えば、上記のようにして仮決定された対象領域401に次の通信圏内領域RAが含まれる場合、仮決定された対象領域401から次の通信圏内領域RAを除いた領域を、正式な対象領域401として決定してもよい。これにより、ダウンロードするデータ量を少なくすることができる。
【0078】
(第2の実施の形態)
図8~
図12を用いて、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0079】
従来、航跡情報を記録するために、航行中に、操船者が所持するスマートフォン等の通信端末装置でGPS等から取得した位置情報をサーバへアップロードする場合がある。
【0080】
車両の分野においては、車両が所定領域内にあるときは位置情報を送信しないことで、個人情報を保護する技術が開示されている(例えば、特許第4984334号公報)。船舶の分野においても個人情報の保護を考慮する必要がある。個人情報保護の観点で、状況によっては航跡情報を記録することが適切でない場合もある。そこで、本実施の形態では、以下に説明する処理により、位置情報の不要な提供を抑制するようにした。
【0081】
図8(a)~(c)は、船舶6とモバイル端末4との位置関係を示す概念図である。
図8(a)~(c)において、陸域801と海域802とが示されている。操船者が携帯する通信装置としてモバイル端末4が例示され、船舶6に備えられた通信装置としてマイコン5が例示されている。詳細は
図9で説明するが、ここでは主な処理態様を概説する。なお、ロケーション情報取得処理(
図7)については第1の実施の形態と同様である。
【0082】
モバイル端末4のCPU21は、予めインストールされたアプリケーション29を起動することにより、位置情報提供処理(
図9)を実行する。位置情報提供処理においては、CPU21がモバイル端末4の位置情報を取得し、取得した位置情報を、ネットワークNを通じてサーバ2へアップロードすることを基本動作としている。位置情報をサーバ2へアップロードしておくことで、マリーナの管理者や操船者は、自身の船舶6の航跡情報を確認することが可能となる。
【0083】
図8(a)では、船舶6とモバイル端末4とが海域802に位置する。この状況では、CPU21は、原則として位置情報をサーバ2へアップロードする。
図8(b)では、モバイル端末4が上陸して陸域801に位置するが、船舶6は海域802に残っている。この状況では、位置情報の取得処理は終了または中断され、従って、位置情報はサーバ2へアップロードされない。モバイル端末4を携帯する使用者が上陸すると位置情報はアップロードされなくなるので、位置情報の不要な提供が抑制され、個人情報の保護に繋がる。
【0084】
図8(c)では、船舶6とモバイル端末4とが共に上陸して陸域801に位置する。この状況では、位置情報の取得処理は終了し、従って、位置情報はサーバ2へアップロードされない。
【0085】
位置情報提供処理(
図9)を実現する機能部には、制御部604、受け付け部605、処理部606が該当する(
図6参照)。モバイル端末4において、アプリケーション29が予めインストールされている。アプリケーション29が起動することで、制御部604、受け付け部605、処理部606の各機能部の機能が実行される。なお、位置情報提供処理(
図9)を実現する観点に限れば、第1の取得部601、第2の取得部602、判定部603は必須でない。
【0086】
受け付け部605は、通信装置(モバイル端末4)の位置情報を取得する処理(以下、位置情報取得処理と称する)の開始指示または終了指示を受け付ける。例えば、モバイル端末4の使用者は、入力部26を操作することで、開始指示または終了指示を入力することができ、CPU21は、入力操作を検出することで開始指示または終了指示を受け付ける。
【0087】
処理部606は、開始指示が受け付けられたことに応じて、通信装置(モバイル端末4)の位置情報取得処理を開始し、終了指示が受け付けられたことに応じて、当該処理を終了する。
【0088】
制御部604は、取得された位置情報に基づき通信装置(モバイル端末4)が海域802に位置するか陸域801に位置するかを判定し、通信装置が海域802に位置すると判定されていることを条件に、位置情報をサーバ2へアップロードする。
【0089】
ところで、受け付け部605が受け付け可能な動作モードとして、即時終了モード(第1モード)と中断モード(第2モード)とがあり、これらは選択的に受け付けられ、設定される。
【0090】
図9は、位置情報提供処理を示すフローチャートである。この処理は、モバイル端末4において、ROM22またはメモリ24に格納されたプログラムを、CPU21がRAM23に展開して実行することにより実現される。この処理は、アプリケーション29が起動されると開始される。
【0091】
ステップS201では、CPU21は、位置情報取得処理の開始指示が受け付けられるまで待機し、位置情報取得処理の開始指示が受け付けられると、ステップS202で、その他の処理を実行する。ここでは、例えば、アプリケーション29の終了の指示があれば、CPU21は、
図9に示す位置情報取得処理を終了させる処理を実行する。なお、開始指示の受け付け待機中(S201)においても、アプリケーション29の終了の指示があれば位置情報取得処理を終了させてもよい。
【0092】
ステップS203では、CPU21は、位置情報取得処理を開始する。すなわち、CPU21は、位置検出部20の出力に基づきモバイル端末4の現在位置を取得する。これ以降、位置情報取得処理を終了するまで、モバイル端末4の現在位置の取得は継続される。
【0093】
ステップS204では、CPU21は、モバイル端末4の現在位置を参照し、モバイル端末4が海域802に属するか否かを判別する。その判別の結果、CPU21は、モバイル端末4が海域802に属する場合(
図8(a)の状態)は、ステップS205に進み、モバイル端末4の位置情報をサーバ2へアップロードする。ここでアップロードする位置情報は、取得された最新の情報である。
【0094】
次に、ステップS206では、CPU21は、位置情報取得処理の終了指示が受け付けられた否かを判別する。その判別の結果、位置情報取得処理の終了指示が受け付けられていない場合は、CPU21は、ステップS202に戻る。従って、モバイル端末4が海域802に位置し続ける場合、ステップS202~S206が繰り返して実行され、位置情報のアップロードが継続される。
【0095】
一方、ステップS206での判別の結果、位置情報取得処理の終了指示が受け付けられた場合は、CPU21は、ステップS207に進み、位置情報取得処理を終了して、ステップS201に戻る。従って、位置検出部20の出力に基づくモバイル端末4の現在位置の取得は終了し、その後、開始指示が改めて受け付けられるまで位置情報取得処理は再開されない。
【0096】
ステップS204での判別の結果、モバイル端末4が海域802に属しない(陸域801に属する)場合は、CPU21は、ステップS208に進む。これには、
図8(b)または
図8(c)に示す状態が該当する。ステップS208では、CPU21は、即時終了モードが設定されているか否かを判別する。その判別の結果、CPU21は、即時終了モードが設定されている場合は、ステップS207を実行する。従って、即時終了モードが設定されている場合、少なくともモバイル端末4が上陸すると、終了指示を要することなく位置情報取得処理は直ちに終了され、開始指示が改めて受け付けられるまで位置情報取得処理は再開されない。
【0097】
ステップS208での判別の結果、即時終了モードが設定されていない場合は、中断モードが設定されているので、CPU21は、ステップS209に進み、位置情報取得処理を中断してステップS210に進む。ステップS209での中断によりモバイル端末4の現在位置は取得されなくなる。
【0098】
ステップS210では、CPU21は、モバイル端末4と船舶6とが共に陸域801に属するか否かを判別する。その判別の結果、モバイル端末4と船舶6とが共に陸域801に属する場合は、CPU21は、ステップS207を実行する。従って、位置情報取得処理の中断中であっても、
図8(c)に示すようにモバイル端末4と船舶6とが共に上陸すると、終了指示を要することなく位置情報取得処理は自動終了される。
【0099】
ステップS210での判別の結果、モバイル端末4と船舶6との少なくともいずれかが陸域801に属しない場合(実質的にはモバイル端末4が陸域801し、船舶6が海域802に属する場合)は、CPU21は、ステップS211に進む。これには、例えば、
図8(b)に示す状況が該当する。ステップS211では、CPU21は、モバイル端末4が海域802に属する(陸域801から海域802に戻った)か否かを判別する。その判別の結果、モバイル端末4が海域802に属しない場合は、依然として
図8(b)に示す状況が継続していることから、CPU21は、ステップS210に戻る。
【0100】
そして、モバイル端末4が海域802に属するようになると、CPU21は、ステップS211からステップS202に進む。従って、例えば、位置情報取得処理の中断中にモバイル端末4が海域802に戻ることで、開始指示の再度の受け付けを要することなく位置情報取得処理は自動的に再開される。
【0101】
本実施の形態によれば、ロケーション情報取得処理(
図7)が実行されることで、船舶6が通信圏外領域RBに入った際に警告不能となる状況を抑制することに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0102】
本実施の形態によればまた、位置情報提供処理(
図9)において、CPU21は、開始指示が受け付けられたことに応じて位置情報取得処理を開始し、終了指示が受け付けられたことに応じて当該処理を終了する。CPU21は、位置情報に基づき、モバイル端末4が海域802に位置すると判定されていることを条件に、位置情報をサーバ2へアップロードする。従って、位置情報提供処理の開始後でも、モバイル端末4が上陸すれば位置情報はアップロードされないので、位置情報の不要な提供を抑制することができる。また、サーバ2は、不要な情報を記憶する必要がなくなるので、サーバ2で確保すべき記憶容量の増加も抑えることができる。
【0103】
特に、即時終了モードの場合、モバイル端末4が上陸すれば位置情報提供処理は直ちに自動終了されるので(S208→S207)、終了指示を要することがない点で使用者の使い勝手がよい。
【0104】
また、中断モードの場合、モバイル端末4が陸域801に位置すると位置情報提供処理は一時的に中断され(S209)、モバイル端末4が再び海域802に戻れば位置情報提供処理は自動的に再開される(S211→S202)。従って、中断のために終了指示を要することがない点と、再開のために開始指示を要することがない点とで、使用者の使い勝手がよい。
【0105】
また、位置情報提供処理の中断中であっても、モバイル端末4および船舶6が共に陸域801に位置すると判定されると、位置情報提供処理は自動終了される(S210→S207)ので、終了指示を要することがない点で使用者の使い勝手がよい。
【0106】
また、動作モードとして、即時終了モードと中断モードを選択することで、処理再開のために開始指示を要するか否かを指定できるので(S207~S209)、使用者の使い勝手がよい。
【0107】
なお、即時終了モードを設けることは必須でない。即時終了モードを設けない場合は、ステップS208を廃止し、ステップS204でNoと判別されたとき、ステップS209に進むようにしてもよい。また、より簡素化する観点からは、中断モードを設けることも必須でなく、中断モードも設けない場合は、ステップS208~S211を廃止し、ステップS204でNoと判別されたとき、ステップS207に進むようにしてもよい。
【0108】
なお、本実施の形態において、第1の実施の形態で説明したロケーション情報取得処理(
図7)を実行することは必須でない。ロケーション情報取得処理を実行しない場合は、アプリケーション28をインストールする必要はなく、また、第1の取得部601、第2の取得部602、判定部603を廃止してもよい。また、制御部604についても、ロケーション情報取得処理を実行するための機能を有する必要はない。
【0109】
次に、本実施の形態における変形例を説明する。以下の変形例では、位置情報提供処理が、
図9に示すものと異なる。
【0110】
図10は、モバイル端末4における位置情報提供処理を実現する機能ブロックを示す図である。この機能ブロックには、機能部として、受け付け部605、処理部606、取得部1001、制御部604が含まれる。これらの各機能部は、主として、モバイル端末4のCPU21、ROM22、RAM23、メモリ24、表示部25、通信I/F27および位置検出部20のうちいずれか2つ以上の協働により実現される。アプリケーション29が起動することで、これらの各機能部の機能が実行される。
【0111】
位置情報提供処理の変形例として、第1の変形例(
図12(a))と第2の変形例(
図12(b))とを説明する。第1、第2の変形例のいずれにおいても、受け付け部605、処理部606の機能は、第2の実施の形態として説明したものと同じである。
【0112】
第1の変形例では、取得部1001(第3の取得ステップ)は、通信装置(モバイル端末4)と船舶6との距離を取得する。制御部604は、取得された距離が第3の所定距離以内であることを条件に、位置情報をサーバ2へアップロードする。
【0113】
第2の変形例では、取得部1001(第4の取得ステップ)は、通信装置(モバイル端末4)と船舶6との通信状況を取得する。制御部604は、通信装置と船舶6との通信が確立していることを条件に、位置情報をサーバ2へアップロードする。
【0114】
図11は、船舶6とモバイル端末4との位置関係を示す概念図である。
【0115】
図11では、モバイル端末4と船舶6との距離が第3の所定距離を超えている。例えば、モバイル端末4を携帯する使用者が、船舶6から他の船舶に移動した場合等が該当する。また、
図11では、モバイル端末4と船舶6との通信が切断されている。これと同様の状況には、
図8(b)に示すようにモバイル端末4だけが上陸した場合も該当し得る。
【0116】
図12(a)は、第1の変形例に係る位置情報提供処理を示すフローチャートの一部である。ステップS201~S203、S205~S211は
図9に示す処理と同様である。従って、ステップS204に代えてステップS301、S302を設けた点が
図9に示す処理と異なる。
【0117】
ステップS203の後、CPU21は、ステップS301で、モバイル端末4と船舶6との距離を取得する。この距離は、両者の位置情報から決定される。ステップS302では、CPU21は、取得された距離が第3の所定距離以内か否かを判別する。第3の所定距離は、例えば、モバイル端末4が船舶6から下船し、明らかに離れた場合を想定した間隔以上の値に予め設定されている。
【0118】
取得された距離が第3の所定距離以内である場合は、CPU21は、ステップS205に進む。従って、モバイル端末4の位置情報がサーバ2へアップロードされる。一方、取得された距離が第3の所定距離以内でない場合は、CPU21は、ステップS208に進む。
【0119】
従って、取得された距離が第3の所定距離以内であることを条件に、位置情報がサーバ2へアップロードされ、モバイル端末4が第3の所定距離を超えて船舶6から離れると、位置情報提供処理は中断または終了される。よって、位置情報の不要な提供を抑制することができる。
【0120】
図12(b)は、第2の変形例に係る位置情報提供処理を示すフローチャートの一部である。ステップS201~S203、S205~S211は
図9に示す処理と同様である。従って、ステップS204に代えてステップS401、S402を設けた点が
図9に示す処理と異なる。
【0121】
ステップS203の後、CPU21は、ステップS401で、モバイル端末4と船舶6と間の通信状況を取得する。ここで、両者は例えば、近距離無線通信で通信しているとする。ステップS402では、CPU21は、モバイル端末4と船舶6の両者の通信が確立しているか否かを判別する。そして、両者の通信が確立している場合は、CPU21は、ステップS205に進む。従って、モバイル端末4の位置情報がサーバ2へアップロードされる。一方、両者の通信が確立していない場合は、CPU21は、ステップS208に進む。
【0122】
従って、両者の通信が確立していることを条件に、位置情報がサーバ2へアップロードされ、両者の通信が確立していなかったり切断されたりすると、位置情報提供処理は中断または終了される。例えば、モバイル端末4が船舶6から通信不能な程度に離れた状態では位置情報がアップロードされない。よって、位置情報の不要な提供を抑制することができる。
【0123】
なお、本実施の形態またはその変形例では、位置情報提供処理(
図9、
図12(a)、(b))は、情報処理装置となるモバイル端末4で実行されるとしたが、これに限らない。例えば、マイコン5が位置情報提供処理を実行し、位置情報をサーバ2へアップロードしてもよい。この場合、マイコン5が情報処理装置となる。
【0124】
なお、第2の実施の形態またはその変形例において、ロケーション情報取得処理(
図7)を実行する必要がない場合は、次のような方法、あるいはこれを実現する装置やプログラムも、本発明を構成する。
(構成1) サーバと通信可能な通信装置のコンピュータに、
開始指示または終了指示を受け付ける受け付けステップと、
前記開始指示が受け付けられたことに応じて、前記通信装置の位置情報を取得する処理を開始し、前記終了指示が受け付けられたことに応じて、前記処理を終了する処理ステップと、
取得された前記位置情報に基づき前記通信装置が海域に位置するか陸域に位置するかを判定し、前記通信装置が前記海域に位置すると判定されていることを条件に、前記位置情報を前記サーバへアップロードする制御ステップと、を実行させる、情報処理方法。
(構成2) サーバと通信可能な通信装置のコンピュータに、
開始指示または終了指示を受け付ける受け付けステップと、
前記開始指示が受け付けられたことに応じて、前記通信装置の位置情報を取得する処理を開始し、前記終了指示が受け付けられたことに応じて、前記処理を終了する処理ステップと、
前記通信装置と船舶との距離を取得する取得ステップと、
取得された前記距離が第3の所定距離以内であることを条件に、前記位置情報を前記サーバへアップロードする制御ステップと、を実行させる、情報処理方法。
(構成3) サーバと通信可能な通信装置のコンピュータに、
開始指示または終了指示を受け付ける受け付けステップと、
前記開始指示が受け付けられたことに応じて、前記通信装置の位置情報を取得する処理を開始し、前記終了指示が受け付けられたことに応じて、前記処理を終了する処理ステップと、
前記通信装置と船舶との通信状況を取得する取得ステップと、
前記通信装置と船舶との通信が確立していることを条件に、前記位置情報を前記サーバへアップロードする制御ステップと、を実行させる、情報処理方法。
【0125】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0126】
なお、上記各実施の形態において、船舶6の推進機は、駆動源としてエンジンを備える構成に限られず、例えば電気モータを備える構成であてもよい。
【0127】
本発明は、上記した実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワークや非一過性の記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータの1以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。以上のプログラムおよび以上のプログラムを記憶する記憶媒体は、本発明を構成する。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0128】
ところで、ロケーション情報に基づいて、航行中に警告を発する場合において、注意喚起ポイントが増えたりメッシュ情報が細かくなったりすると、各メッシュや注意喚起ポイントでの割り込み処理などが増加する。すると、モバイル端末4または船舶6の画面に現在表示されている範囲以外の位置にスクロールなどをする度にデータ処理が発生することで動きが円滑でなくなる。
【0129】
そこで、表示しているエリア範囲を超えて、描写処理をバックグラウンドでスクロール方向に進めておくようにしてもよい。そのようにすることで、スクロール時の画面の動きが滑らかになる。
【0130】
これを実現するために、例えば、特許第2619058号公報、特許第3141731号公報、特開平7-311046号公報、特開平8-314373号公報等に開示されている手法を採用することができる。
【符号の説明】
【0131】
2 サーバ、 4 モバイル端末、 6 船舶、 5 マイコン、 11、21、31 CPU、 401 対象領域、 601 第1の取得部、 602 第2の取得部、 603 判定部、 604 制御部、 RA 通信圏内領域、 RB 通信圏外領域